JP3919391B2 - プライマー組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプライマー組成物に関し、更に詳しくは、貯蔵安定性が良好で、ポットライフが長く、接着性、耐候性に優れ、あるいは更にカーボンブラックの分散性が良好な、自動車の窓ガラス用アクリル系シーラントをガラスや樹脂ガラスと接着させるために用いられるプライマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
接着剤あるいはシーリング材を基体に接着させる際には、多くの場合、接着性を向上させるため、予め基体上にプライマーが塗布される。従来、このようなプライマーには、ポリエステルポリウレタン、アクリル樹脂のようなバインダー成分(造膜成分)、シランカップリング剤、ポリイソシアネート、カーボンブラック等が配合されている。プライマーの中で、自動車用ウィンドシールドシーラント用プライマーといった耐候性、中でも光に対する耐候性を特に要求されるものでは、耐候性向上のために紫外線や可視光線を遮蔽または吸収する必要があり、カーボンブラックの配合は必須である。
基材にポリエステルウレタンのようなウレタン樹脂を用いると、ウレタン結合、尿素結合は耐候性を低下させるため、特にカーボンブラックの配合は重要であった。しかし、カーボンブラックが、従来より用いられているバインダー成分との相溶性に劣るという問題があり、その結果、プライマーが十分な耐候性を持たず、耐候試験における接着性のみが悪いプライマーも多い。
また、ポリエステルポリウレタンやポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基は、接着性に寄与する官能基であるが、水分の存在によって硬化反応を起こすため、プライマー塗布後、一定時間以内にシーラントを塗布しないと、大気中の水分によりプライマー表面が失活し、再度プライマーを塗布しない限り十分な接着性を得ることができなかった。
また、最近、ガラスの代わりにシリコンハードコートされた樹脂ガラスが軽量化の為に用いられるようになっている。しかし、これまでのガラス面用プライマーではシリコンハードコートされた樹脂ガラスに十分な接着性を得ることができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、貯蔵安定性に優れ、ポットライフが長く、接着性、耐候性に優れ、更にカーボンブラックの分散性が良好な、自動車のガラス(樹脂ガラス)固定用ウィンドシールドシーラントのガラス(樹脂ガラス)面用プライマー組成物を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、主鎖が、メチルメタアクリレートとブチルメタアクリレートとを、メチルメタアクリレート:ブチルメタアクリレート=9:1〜3:7の重量比で含有するアクリル重合体であり、側鎖として、アルコキシシリル基および水酸基を持ち、アルコキシシリル基含有単量体の含有量が反応性樹脂総量の0.1〜10重量%であり、1分子内に少なくとも1個の芳香環を有する水酸基含有単量体の含有量が反応性樹脂総量の0.1〜20重量%である造膜性を有する反応性樹脂100重量部と、カーボンブラック100〜500重量部と、前記反応性樹脂に含まれるアルコキシシリル基および水酸基に対して不活性である有機溶剤100〜500重量部とを含有するプライマー組成物を提供する。
【0005】
前記有機溶剤が、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ミネラルスピリット、トルエン、キシレン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、アセトン、n−ヘキサン、メチレンクロリド、テトラヒドロフラン、エチルエーテルおよびジオキサンからなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
【0006】
前記プライマー組成物が、さらに、シランカップリング剤単体、もしくは、シランカップリング剤を1種以上用いた反応生成物を、前記造膜性を有する反応性樹脂100重量部に対し、100〜500重量部含有するのが好ましい。
【0007】
前記シランカップリング剤を1種以上用いた反応生成物が、1分子中にアミノ基を2個以上有する化合物1モルに、エポキシシラン2〜3モルを反応させてなる反応生成物であるのが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のプライマー組成物は、主鎖が、メチルメタアクリレートとブチルメタアクリレートとを、メチルメタアクリレート:ブチルメタアクリレート=9:1〜3:7の重量比で含有するアクリル重合体であり、側鎖として、アルコキシシリル基および水酸基を持ち、アルコキシシリル基含有単量体の含有量が反応性樹脂総量の0.1〜10重量%であり、1分子内に少なくとも1個の芳香環を有する水酸基含有単量体の含有量が反応性樹脂総量の0.1〜20重量%である造膜性を有する反応性樹脂100重量部と、カーボンブラック100〜500重量部と、前記反応性樹脂に含まれるアルコキシシリル基および水酸基に対して不活性である有機溶剤100〜500重量部とを含有するプライマー組成物である。
本発明に用いる反応性樹脂は、上記の主鎖と側鎖とを有するものであればその製造方法はいかなるものであってもよいが、少なくとも、メチルメタアクリレートと、ブチルメタアクリレートと、アルコキシシリル基含有単量体と、1分子内に少なくとも1個の芳香環を有する水酸基含有単量体とを、共重合することにより得られる樹脂で、造膜成分と接着成分とを一分子内に併せ持つ造膜性を有する反応性樹脂である。
ここで造膜性とは、連続した皮膜を形成する樹脂の特性をいい、プライマーの接着面積の増大による接着性の向上や、プライマーの浸透性等の基本的な性質を左右する特性である。
【0010】
メチルメタクリレート(MMA)は、CH2 =C(CH3 )COOCH3の化学構造式で表され、ブチルメタクリレート(BMA)は、CH2 =C(CH3 )COOC4 H9の化学構造式で表される、共に重合によりアクリル重合体の主鎖を形成し、重合により造膜性を有する非官能性単量体である。
本発明に用いる反応性樹脂の主鎖は、メチルメタクリレートとブチルメタクリレートとを重量比で9:1〜3:7、好ましくは8:2〜4:6で共重合してなるアクリル重合体である。メチルメタクリレートとブチルメタクリレートとの重合比が上記範囲であると、得られる反応性樹脂が接着性に優れる。
【0011】
本発明に用いる反応性樹脂の主鎖には、本発明の目的を損なわない範囲で、分子内に少なくとも1つのアクリル基またはメタクリル基を有する、重合により造膜性を有する単量体もしくはオリゴマーを含有しても良い。このような単量体もしくはオリゴマーとしては、例えば、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート等の(メタ)アクリレート系エステル類;スチレン等の芳香族ビニル類;その他、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0012】
また、本発明に用いる反応性樹脂の主鎖には、メチルメタクリレートとブチルメタクリレート、あるいはさらに、上記単量体もしくはオリゴマーに加えて、本発明の目的を損なわない範囲で、ラジカル重合するビニル単量体を併用してもよく、このような単量としては、塩化ビニリデン、塩化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン含有ビニル化合物;エチレン等のオレフィン類;無水マレイン酸、イタコン酸等のα,β−エチレン性不飽和酸のエステル等が挙げられる。
【0013】
アルコキシシリル基含有単量体は、本発明に用いる反応性樹脂の側鎖のアルコキシル基を与える単量体である。
アルコキシシリル基含有単量体としては、アルコキシシリル基を有するラジカル重合性のビニル単量体であれば特に限定はなく、例えば、下記式で表される各ビニル単量体
【0014】
【化1】
【0015】
が挙げられる。中でも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが、ガラスとの接着性の観点から好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
1分子内に少なくとも1個の芳香環を有する水酸基含有単量体は、本発明に用いる反応性樹脂の側鎖の水酸基を与える単量体である。このような芳香環を有する水酸基含有単量体は、本発明のプライマー組成物中で、微分散する、表面に有機官能基を持つカーボンブラックと、反応性樹脂との相溶性を高める効果を有する。
1分子内に少なくとも1個の芳香環を有する水酸基含有単量体としては、特に限定されないが、例えば、下記式で表される各ビニル単量体が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
【化2】
【0018】
本発明に用いる反応性樹脂の構成成分の含有量は、反応性樹脂に対して、アルコキシシリル基含有単量体が、0.1〜10重量%、好ましくは、0.5〜5重量%、水酸基含有単量体が、0.1〜20重量%、好ましくは、0.5〜10重量%である。
アルコキシシリル基含有単量体が0.1重量%未満であると、塗膜の架橋密度が小さく耐候性・耐水性の塗膜物性が不良となる。10重量%超であると、貯蔵安定性が不良となる。上記範囲内であれば、耐候性、耐水性、貯蔵安定性、さらに接着性も良好となる。
水酸基含有単量体が0.1重量%未満であると、カーボンブラックの分散性が不良となり、20重量%超であると、接着性の低下がおこる。
また、反応性樹脂の分子量は、1,000〜100,000が好ましい。分子量がこの範囲であると、得られる本発明のプライマー組成物を塗布する被着体への、本発明のプライマー組成物の浸透性が適当な程度となるからである。
【0019】
本発明に用いられる反応性樹脂の製造方法の一例としては、重合によりメチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート、アルコキシシリル基含有単量体、および、水酸基含有単量体、あるいはさらに本発明の目的を損なわない範囲でその他のビニル単量体やラジカル重合性のビニル単量体も加え、過酸化物、アゾ化合物等を重合開始剤として、50〜100℃の温度範囲でラジカル重合させる方法が挙げられる。さらに、重合をコントロールするために、マクロモレキュウルズ(Macromolecules)、Vol.31、p542およびp545、1998年に記載の添加剤を加えて重合してもよい。
【0020】
本発明のプライマー組成物は、カーボンブラックを含有する。
本発明に用いる反応性樹脂では、側鎖にアルコキシシリル基、水酸基を有し、特に水酸基を含む側鎖に芳香環を有するので、反応性樹脂とカーボンブラックとの相溶性が優れており、分散性を良好とすることができる。そのため、得られる本発明のプライマー組成物の耐候性を優れたものとすることができる。
【0021】
本発明に用いられるカーボンブラックとしては、特に限定はなく、米国材料試験協会規格における、N110、N220、N330、N550、N660、N770等、あるいはこれらの混合物が使用可能である。
本発明のプライマー組成物に含有される、カーボンブラックの含有量は、反応性樹脂100重量部に対し、100〜500重量部であり、200〜400重量部が好ましい。
【0022】
本発明のプライマー組成物は、シランカップリング剤、もしくは、シランカップリング剤を1種以上用いた反応生成物を含有することができる。シランカップリング剤、もしくは、シランカップリング剤を1種以上用いた反応生成物を含有することにより、得られる本発明のプライマー組成物の接着性が向上する。
シランカップリング剤としては、従来公知のシランカップリング剤を用いることができ、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは1種を単独で、あるいは2種以上を併用して用いてもよい。
シランカップリング剤としては、市販品を利用することができ、例えば、日本ユニカー社製のA187、A1100、A1120等が挙げられる。
【0023】
シランカップリング剤を1種以上用いた反応生成物とは、例示した上記シランカップリング剤同士を2種以上反応させて得られる反応性生物であってもよく、また、上記シランカップリング剤1種以上と、シランカップリング剤と反応し得る官能基を有する化合物との反応性生物であっても良い。
【0024】
シランカップリング剤を1種以上用いた反応生成物としては、1分子中にアミノ基を2個以上有する化合物1モルに、エポキシシラン2〜3モルを反応させてなる化合物が好ましい。エポキシシランとは、分子内にエポキシ基を有するシラン化合物をいう。
1分子中にアミノ基を2個以上有する化合物としては、エチルアミノエチルアミン、ヘキサメチレンジアミン等のポリメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、m−フェニレンジアミン等が挙げられる。
【0025】
エポキシシランとしては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0026】
1分子中にアミノ基を1個有する化合物との反応生成物では、ガラスに対する接着性は良好であっても、樹脂ガラスに対する接着性が不良となる。
1分子中にアミノ基を2個以上有する化合物1モルに、反応させるエポキシシランが上記範囲外では、接着性が不良となる。
【0027】
1分子中にアミノ基を2個以上有する化合物と、エポキシシランとの組み合わせの具体例としては、エチルアミノエチルアミンと日本ユニカー社製のA187(エポキシシラン)等の組み合わせが例示される。
【0028】
本発明のプライマー組成物中のシランカップリング剤、もしくは、シランカップリング剤を1種以上用いた反応生成物の含有量は、前述の反応性樹脂100重量部に対し、100〜500重量部であり、200〜400重量部が好ましい。上記範囲内であれば、ガラス、樹脂ガラスへの接着性、貯蔵安定性が良好である。
【0029】
本発明のプライマー組成物は、エポキシ樹脂を含有しても良い。エポキシ樹脂を含有することにより、得られる本発明のプレポリマー組成物の接着性がより優れたものとなるからである。
エポキシ樹脂としては、エポキシ基を1分子中に2個以上持つポリエポキシ化合物であれば、特に制限はない。
例えばビスフェノールAのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂及びその誘導体、グリセリンのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ポリアルキレンオキサイドのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラックのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ダイマー酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ビスフェノールFのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのうちビスフェノールAのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、汎用のエポキシ樹脂として好適に用いられる。
【0030】
本発明のプライマー組成物は、前記反応性樹脂に含まれるアルコキシシリル基および水酸基に対して不活性である有機溶剤を含有する。有機溶剤を含有することにより、プライマー組成物の製造においては、混練等の製造作業性が良好となる。
有機溶剤としては、前記反応性樹脂に含まれるアルコキシシリル基および水酸基に対して不活性であり、さらに適度な揮発性を有するものが好ましい。例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ミネラルスピリット、トルエン、キシレン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、アセトン、n−ヘキサン、メチレンクロリド、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明のプライマー組成物中の有機溶剤の含有量は、ウィンドシールドシーラントのガラス(樹脂ガラス)面用プライマーとしては、前述の反応性樹脂100重量部に対し、100〜500重量部が好ましい。上記範囲内であれば、ガラス、樹脂ガラスへの接着性、貯蔵安定性が良好である。
【0031】
本発明のプライマー組成物には耐候性、作業性を更に向上させるため、前記成分に加えて他の成分を配合しても良い。
例えば、ランプブラック、チタンホワイト、ベンガラ、チタンイエロー、亜鉛華、鉛丹、コバルトブルー、鉄黒、アルミ粉等のような無機顔料;ネオザボンブラック RE、ネオブラック RE、オラゾールブラック CN、オラゾールブラック Ba(いずれもチバ・ガイギー社製)、スピロンブルー2BH(保土ヶ谷化学社製)のような有機染顔料;サイアソルブ(Cyasorb UV24Light Absorber、アメリカン・サイアナミド社製)、ウビヌル(Uvinul D−49、D−50、N−35、N−539、ジェネラル・アニリン社製)のような紫外線吸収剤等を配合すると、紫外線や可視光線を遮蔽、若しくは吸収し、耐光性の向上に有効である。
さらに、ガラス粉末、クレー、粉末シリカゲル、極微粉状ケイ酸、モレキュラーシーブス(これは吸水能をも有する)等の充填剤、増粘剤、ブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、塩化パラフィンといったプライマー皮膜に柔軟性を与え、接着強度を向上させる可塑剤を配合してもよい。
【0032】
本発明のプライマー組成物の製造方法としては、例えば、反応容器に、メチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート、アルコキシシリル基含有単量体、水酸基含有単量体、有機溶剤、さらにその他のラジカル重合性のビニル単量体や添加剤を適宜加えて、これにラジカル重合開始剤を加え反応させる。反応温度は50〜80℃、反応時間は12〜96時間が好ましい。得られた反応溶液に、カーボンブラックを有機溶剤と共に加え、十分に混合して本発明のプライマー組成物を得ることができる。
【0033】
このようにして得られる本発明のプライマー組成物は、従来用いられているウレタン系プライマーが、水分の存在によって硬化反応を起こし、プライマー塗布後、一定時間以内にシーラントを塗布しないと、大気中の水分によりプライマー表面が失活し、再度プライマーを塗布しない限り十分な接着性を得ることができなかったのとは異なり、プライマー塗布後のポットライフ(可使時間)が長い。また、接着性、貯蔵安定性に優れる。
側鎖に芳香環を有する水酸基含有単量体を構成成分として有する反応性樹脂を含有する本発明のプライマー組成物では、特にカーボンブラックの分散性に優れる。
カーボンブラックを含有する本発明のプライマー組成物では、カーボンブラックの分散性が良好で、優れた耐候性、特に耐光性を有する。
シランカップリング剤を含有する本発明のプライマー組成物では、特に接着性に優れ、ガラス面への接着性に優れるばかりでなく、シリコンハードコートされた樹脂ガラスへの接着性にも優れる。
従って、このような特性を有する本発明のプライマー組成物は、自動車のガラス(樹脂ガラス)固定用ウィンドシールドシーラントとガラス(樹脂ガラス)との接着に用いられるガラス(樹脂ガラス)面用プライマー組成物として好適に用いることができる。
【0034】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<反応性樹脂の合成>
有機溶剤(メチルエチルケトン,以下MEKと記す)を70℃に加熱し、第1表に示した各成分を混合して、重合開始剤としてAIBNを添加し混合溶液を20時間反応させて、反応性樹脂を得た。
【0035】
<表中の化合物>
MMA:メチルメタアクリレート
BMA:ブチルメタアクリレート
HEMA:ヒドロキシエチルメタアクリレート
側鎖に芳香環を有さないアクリル重合体
A174:日本ユニカー社製、メタクリルシラン
【0036】
( )内はアクリル重合体の全構成成分の合計重量に対する重量%
【0037】
(比較例1−1〜1−3)
得られた反応性樹脂(A−4)〜(A−4−3)を用い、第2表に示す組成(重量比)で、第2表に示す化合物を配合してプライマー組成物を得た。
得られたプライマー組成物について、プライマー組成物の接着性、貯蔵安定性を下記の方法で評価した。
【0038】
(1)接着性
実施例で得られたプライマー組成物を、塗布面積12cm×2.5cmとしてガラス板に塗布し、塗布後すぐにその上にウレタンシーラント(横浜ゴム(株)製、WS−100)を圧着させて試験片とした。手剥離できれば×、手剥離できなければ○とした。
また、プライマー組成物塗布後、3ヶ月放置してからシーラントを圧着して、同様の剥離試験をしてみた。実施例1−1〜1−3で得られたプライマー組成物について、いずれも接着性は○であった。
(2)貯蔵安定性
実施例で得られたプライマー組成物を、40℃で4週間密閉保存した後の粘度を初期粘度で割り、その値が20%以上を×、20%未満を○とした。
【0039】
【0040】
<表中の化合物>
S−1 :日本ユニカー社製シラン
A187とA1100をA187:A1100=1:1で反応させた反応生 成物、固形分33.3%のMEK希釈溶液として使用。
E−1 :東都化成社製エポキシ樹脂、YD−017
固形分33.3%のMEK希釈溶液として使用。
カーボン :Cabot社製、ELFTEX8
【0041】
<反応性樹脂の合成>
有機溶剤(MEK)を70℃に加熱し、第3表に示した各成分を混合して、重合開始剤としてAIBNを添加し混合溶液を20時間反応させて、反応性樹脂を得た。
【0042】
【表1】
【0043】
<表中の化合物>
MMA:メチルメタアクリレート
BMA:ブチルメタアクリレート
M5700:東亜合成社製、アロニックスM5700
芳香環を有する水酸基含有単量体を構成成分として含むアクリル重合体
HEMA:ヒドロキシエチルメタアクリレート
側鎖に芳香環を有さないアクリル重合体
A174:日本ユニカー社製、メタクリルシラン
【0044】
(実施例2−1〜2−3、比較例2−1〜2−7)
得られた反応性樹脂(A−1)〜(A−10)を用い、第4表に示す組成(重量比)で、第4表に示す化合物を配合してプライマー組成物を得た。
得られたプライマー組成物について、カーボンブラックの沈降性を下記の方法で、プライマー組成物の接着性、貯蔵安定性を実施例1−1と同様の方法で評価した。
【0045】
<沈降性>
実施例、比較例で得られたプライマー組成物を20℃で1週間静置した後、プライマー組成物中のカーボンブラックの分離沈降を目視にて評価した。カーボンブラックがプライマー組成物中で良好に分散していれば○、分離して半分以上が沈降していれば×とした。
【0046】
【表2】
【0047】
<表中の化合物>
S−1 :日本ユニカー社製シラン
A187とA1100をA187:A1100=1:1で反応させた反応生 成物、固形分33.3%のMEK希釈溶液として使用。
E−1 :東都化成社製エポキシ樹脂、YD−017
固形分33.3%のMEK希釈溶液として使用。
カーボン :Cabot社製、ELFTEX8
【0048】
(実施例3−1〜3−4、比較例3−1〜3−2)
反応性樹脂(A−1)、シランカップリング剤を反応させて得られた反応生成物S−1、シランカップリング剤A187、エポキシ樹脂E−1、カーボン、MEKを、第5表に示す組成(重量比)で配合してプライマー組成物を得た。
得られたプライマー組成物について、剥離接着性を評価した。手剥離できれば×、手剥離できなければ○とした。
また、プライマー組成物塗布後、3ケ月放置してからシーラントを圧着して、同様の剥離試験をしてみた。実施例3−1〜3−4で得られたプライマー組成物について、いずれも接着性は○であった。
【0049】
【0050】
<表中の化合物>
S−1 :日本ユニカー社製シラン
A187とA1100をA187:A1100=1:1で反応させた反応生 成物、固形分33.3%のMEK希釈溶液として使用。
A187 :日本ユニカー社製シランカップリング剤(エポキシシラン)
E−1 :東都化成社製エポキシ樹脂、YD−017
固形分33.3%のMEK希釈溶液として使用。
カーボン :Cabot社製、ELFTEX8
【0051】
<シランカップリング剤を1種以上用いた反応生成物の合成>
有機溶剤(MEK)に、第6表に示した各成分を、第6表に記載の組成比(モル比)で混合して、混合溶液を60℃で24時間反応させて、反応生成物を得た。固形分33.3%のMEK希釈溶液とした。
【0052】
【0053】
<表中の化合物>
A187 :日本ユニカー社製シランカップリング剤(エポキシシラン)
A1100:日本ユニカー社製シランカップリング剤
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
(H2 NC3 H6 Si(OC2 H5 )3)
A1120:日本ユニカー社製シランカップリング剤
N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン
(H2 NC2 H4 NHC3 H6 Si(OCH3)3 )
AM−1 :エチルアミノエチルアミン
AM−2 :エチルアミン
【0054】
(実施例4−1〜4−3、比較例4−1〜4−5)
上述の反応性樹脂(A−1)、得られたシラン化合物(S−2)〜(S−7)(固形分33.3%のMEK希釈溶液)、エポキシ樹脂E−1、カーボン、MEKを、第7表に示す組成(重量比)で配合してプライマー組成物を得た。
得られたプライマー組成物について、ガラスに対する接着性、シリコンハードコートされた樹脂ガラス(表中、Si H/Cと記載)への接着性、貯蔵安定性を評価した。
接着性、貯蔵安定性の評価方法は実施例1−1における評価方法と同じである。
また、プライマー組成物塗布後、3ヶ月時間放置してからシーラントを圧着して、接着性を評価してみた。実施例4−1〜4−3で得られたプライマー組成物について、ガラス面、樹脂ガラス面、いずれに対しても接着性は○であった。
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】
本発明のプライマー組成物は、ポットライフ(可使時間)が長く、カーボンブラックの分散性が良好で、その結果耐候性に優れ、また、接着性、貯蔵安定性に優れる。従って、本発明の組成物は、プライマーとして好適であり、特に自動車のガラス(樹脂ガラス)固定用ウィンドシールドシーラントのガラス(樹脂ガラス)面用プライマーとして好適である。
Claims (4)
- 主鎖が、メチルメタアクリレートとブチルメタアクリレートとを、メチルメタアクリレート:ブチルメタアクリレート=9:1〜3:7の重量比で含有するアクリル重合体であり、側鎖として、アルコキシシリル基および水酸基を持ち、アルコキシシリル基含有単量体の含有量が反応性樹脂総量の0.1〜10重量%であり、1分子内に少なくとも1個の芳香環を有する水酸基含有単量体の含有量が反応性樹脂総量の0.1〜20重量%である造膜性を有する反応性樹脂100重量部と、
カーボンブラック100〜500重量部と、
前記反応性樹脂に含まれるアルコキシシリル基および水酸基に対して不活性である有機溶剤100〜500重量部と
を含有するプライマー組成物。 - 前記有機溶剤が、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ミネラルスピリット、トルエン、キシレン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、アセトン、n−ヘキサン、メチレンクロリド、テトラヒドロフラン、エチルエーテルおよびジオキサンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のプライマー組成物。
- さらに、シランカップリング剤、もしくは、シランカップリング剤を1種以上用いた反応生成物を、前記造膜性を有する反応性樹脂100重量部に対し、100〜500重量部含有する請求項1または2に記載のプライマー組成物。
- 前記シランカップリング剤を1種以上用いた反応生成物が、1分子中にアミノ基を2個以上有する化合物1モルに、エポキシシラン2〜3モルを反応させてなる反応生成物である請求項3に記載のプライマー組成物。
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