JP3918908B2 - インクジェット記録装置、及びインクジェット記録装置用インク吸収材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置の記録用紙搬送機構、より詳細には記録ヘッドの移動範囲の印刷領域外のインク受けの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、少なくとも記録ヘッドの移動領域で記録担体を平坦にするためにプラテンと、記録担体の幅方向に往復移動するキャリッジ上に搭載された記録ヘッドとを備え、プラテンに支持された記録担体に記録ヘッドからインク滴を吐出しながら画像等のデータを記録し、1行分の記録を終了した後に所定量の紙送りを行ない、その後に次の行のデータを記録するという動作を繰り返すように構成されている。
ところが、印刷の際に、紙サイズの設定を間違えたり、印刷データよりもサイズが小さい記録担体が装填された場合、さらには記録用紙全体に画像を印刷するため、印刷データを若干拡大して記録する、いわゆる縁無し印刷が行われた場合等のように、記録担体の外側にも印刷が及ぶことになり、プラテンがインクにより汚染される。この結果、つぎの記録担体が装填されると、その裏面がプラテンに付着したインクにより汚染されるという問題がある。
このような問題を解消するため、特開平11-254657号公報に見られるように記録担体を支持し、かつ記録担体の周囲からはみ出すようにインク吸収体を配置することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、吸収したインクがインク吸収体の表面にインクカスとして残存して、記録用紙の裏面を汚染するという問題があった。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、インクによる汚染を可能な限り少なくすることができる紙送り機構を備えたインクジェット記録装置を提供することである。
また本発明の他の目的は、同上記録装置に適したインク吸収材を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような課題を達成するために本発明においては、インク滴を吐出する記録ヘッドと、紙送りローラにより搬送される記録担体を、前記記録ヘッドの移動領域で水平に支持するプラテンとを備えたインクジェット記録装置において、前記プラテンの近傍に、前記記録ヘッドから吐出されたインクを受ける受容層と、前記受容層の下層に位置して前記受容層のインクを吸収し、拡散させる拡散層との少なくとも2層からなるインク吸収材が水平に配置されている。
【0005】
【作用】
記録担体の領域外に吐出されたインク滴は、インク吸収材の受容層に受け止められた後、下層の拡散層に吸収され、拡散層を水平方向に拡散して、受容層にインクカスを残すことがない。また、拡散層に吸収された余剰のインクが重力により落下するので、吸収飽和による汚染が防止される。
【0006】
【発明の好ましい実施態様】
そこで以下に本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明のインク吸収材が適用されるインクジェット記録装置の一実施例を、ケースカバー1を開放して印刷機構部を示すものであって、インクカートリッジ2、3や記録ヘッドを搭載したキャリッジ4の移動経路に対向する位置にはプラテン5が、またプラテン5を挟むように、記録用紙の排出方向の上流側に第1の紙押えローラ6と、第2の紙押えローラ7が配置されている。
【0007】
図中符号20は、本発明が特徴とするインク吸収材で、図2に示したようにプラテン5の少なくとも非印刷領域となる部分に形成された窓5a、5aに対向するように配置され、その下面を図4に示したように支持部材8により支持され、また支持部材8は、下部に配置された廃インクタンク9に対向する領域にはインク排出用の流路となる窓8a、8aが形成されている。
【0008】
インク吸収材20は、図3(イ)に示したように記録担体の裏面と接触してインクを受ける受容層21と、受容層21のインクを吸収し、拡散させる拡散層22との少なくとも2層を備えた構造として構成されている。
【0009】
このようなインク吸収材20は、受容層21として撥水性に優れた高分子材料の網状シートを、また拡散層22として多孔質シートを用い、これらを重ねた状態で所定の間隔で離散的にパンチング加工や溶着、さらには接着剤により固定して構成されている。
【0010】
受容層21は、フッソ樹脂からなる多孔質シートにより構成され、特に顔料インクを対象とする場合には、顔料の粒度よりも大きな孔径の細孔を備えたものが使用されている。
拡散層22は、インク溶媒に対する吸収特性が高い材料、例えばフエルト材、親水性高分子多孔質シートが使用されている。
【0011】
この実施例において、記録担体Pを装填して印刷を開始すると、図4に示したように記録ヘッド10から印刷データに対応してインク滴が吐出され、記録担体Pに印刷データに対応したドットが形成される。
ところで、記録ヘッド10からのインク滴が、記録担体の領域外に吐出されると、ここに配置されたインク吸収材20に着弾する。
【0012】
インク吸収材20に着弾したインクKは、受容層21に受け止められた後、重力により下層の拡散層22に移動して拡散層22に吸収され(図4(ロ))、拡散層22を水平方向に浸透する(図4(ハ))。この水平方向への浸透により、特定領域にインクが滞ることがなく、受容層21は、インクカスを残留させることなく速やかに乾燥する。したがって、新たな記録担体が装填された場合にも、記録担体をインクで汚染することなく印刷を実行することができる。
【0013】
一方、インク量が拡散層22で保持しきれない程度に達すると、拡散層22のインクは重力により、支持部材8の窓8aから下方に落下し、廃インクタンク9に収容される。
【0014】
なお、上述の実施例においては、受容層、及び拡散層をそれぞれ1層構造として構成しているが、図5(イ)に示したようにそれぞれの層21−1、21−2、または拡散層だけを複数の層22−1、22−2として構成することもできる。特に、拡散層を複数の層22−1、22−2で構成するとともに、受容層21から離れた層22−2の毛細管力、またはインク吸収力を受容層側の層22−1よりも大きくすることにより、受容層とインクを保持している拡散層22−2との距離を確保し、かつインクを確実に下方に移動させて汚染を確実に防止することができる。
【0015】
また、図5(ロ)に示したように、撥インク性を備え、かつインクを通過させることができる網目状のシート23からなる受容層によりインク吸収剤組成物24を薄板状に包装しても同様の作用を奏する。
【0016】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、記録担体で受け止められなかったインクを下層のインク拡散層に確実に吸収し、インクカスの存在しない受容層で記録担体を支持することができ、インクによる記録担体の汚染を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインク吸収材が適用されるインクジェット記録装置の一実施例を示す斜視図である。
【図2】同上記録装置の紙送り機構近傍の上面の構造を示す図である。
【図3】図(イ)乃至(ハ)は、それぞれ本発明のインク吸収材の一実施例を模式的に示す断面図と、インクを吸収した状態を示す図である。
【図4】同上インク吸収材が配置された印刷領域を示す図である。
【図5】図(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明のインク吸収材に他の実施例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
2、3 インクカートリッジ
4 キャリッジ
5 プラテン
6、7 紙押えローラ
9 廃インクタンク
10 記録ヘッド
20 インク吸収材
21 インク受容層
22 拡散層
P 記録担体
K インク
Claims (6)
- インク滴を吐出する記録ヘッドと、紙送りローラにより搬送される記録担体を、前記記録ヘッドの移動領域で水平に支持するプラテンとを備えたインクジェット記録装置において、
前記プラテンの近傍に、前記記録ヘッドから吐出されたインクを受ける受容層と、前記受容層の下層に位置して前記受容層のインクを吸収し、拡散させる拡散層との少なくとも2層からなるインク吸収材が水平に配置されているインクジェット記録装置。 - 前記インク吸収材の下方にインク排出用の流路が設けられ、前記流路が廃インクタンクに連通されている請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 少なくと前記受容層が顔料インクの顔料を透過させることができる材料で構成されている請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 記録ヘッドから吐出されたインクを受ける受容層と、前記受容層の下層に位置して前記受容層のインクを吸収して拡散させる拡散層との少なくとも2層を備えインクジェット記録装置用インク吸収材。
- 前記受容層と拡散層とが所定の間隔で離散的に固定されている請求項4に記載のインクジェット記録装置用インク吸収材。
- 前記受容層が顔料インクの顔料を透過させることができる材料で構成されている請求項4に記載インクジェット記録装置用インク吸収材。
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