JP3918297B2 - 記録媒体駆動装置及び記録媒体のチャッキング機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な記録媒体駆動装置及び記録媒体のチャッキング機構に関する。詳しくは、記録媒体ディスクをそれを支持して回転させるターンテーブルに保持するためのチャッキング機構において、チャッキング時において記録媒体ディスクのチャッキング機構や記録再生装置の各部に掛かる負荷を軽減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
円板状をした記録媒体ディスクを回転させながら、該記録媒体ディスクについての情報の記録又は再生及びその双方を行なう記録再生装置において、記録媒体ディスクを回転させるためのターンテーブルに記録媒体ディスクを保持する、すなわち、チャッキングする機構に、図23乃至図25に示すようなものがある。
【0003】
チャッキング機構aは、図示しないスピンドルモータによって回転されるターンテーブルbのディスク載置面cの中心部に厚手の円板状の外形を有するチャックベースdを設け、該チャックベースdに3個のチャックフィンe、e、eをチャックベースdの半径方向に移動自在に設けると共に、上記チャックフィンe、e、eの一部がチャックベースdの外周面から突出するように弾発付勢したものである。
【0004】
すなわち、各チャックフィンeは、それを配置するためにチャックベースdにその外周面に開口するように形成された配置凹部f内にチャックベースdの半径方向に摺動自在に配置され、該チャックフィンeと配置凹部fの奥面との間に縮設されたコイルバネgによってその先端部がチャックベースdの外周面から突出する方向に弾発付勢されている。
【0005】
そして、上記コイルバネgはその一端部がチャックフィンeの後面に突設された嵌合ピンhに外嵌され、また、他端部が配置凹部fの奥面に形成された嵌合凹部iに内嵌され、これによって、コイルバネgの両端部の位置決めがなされ、動作中においてその両端部が所定の位置からずれてしまうことが無いようにされている。
【0006】
そして、記録媒体ディスクのチャッキングは以下のようにして為される。
【0007】
すなわち、記録媒体ディスクjがその中心孔kがチャックベースdに外嵌されるように、ターンテーブルbに近づいて来て、その中心孔kの開口縁部がチャックフィンe、e、eの先端部の上側の傾斜面l、l、lに当接する(図23参照)。
【0008】
そこからさらに、記録媒体ディスクjがディスク載置面cに近付くように移動すると、中心孔kの開口縁部がチャックフィンe、e、eの上記傾斜面l、l、lを押圧するので、チャックフィンe、e、eにはチャックベースd内へ引っ込む方向への移動力が付勢され、これによって、チャックフィンe、e、eはコイルバネg、g、gによる付勢力に抗して、チャックベースd内へ引っ込むように移動する(図24参照)。
【0009】
チャックフィンe、e、eがチャックベースd内へ引っ込むように移動することによって、記録媒体ディスクjはさらにディスク載置面cへと近付くことができ、記録媒体ディスクjがディスク載置面cに載置されると、チャックフィンe、e、eがコイルバネg、g、gによって付勢されている移動力によってその先端部がチャックベースdの外周面から突出し、その先端部下面の曲面m、m、mが記録媒体ディスクjの中心孔kの開口縁部にディスク載置面cと反対側から弾接し(図25参照)、これによって、記録媒体ディスクjはディスク載置面cとチャックフィンe、e、eとによって挟持された状態でチャッキングされる。
【0010】
そして、記録媒体ディスクjをターンテーブルbから取り外す時は、記録媒体ディスクjをディスク載置面cから離間する方向へ移動させる。すると、記録媒体ディスクjの中心孔kの開口縁部がチャックフィンe、e、eの下側の曲面m、m、mを押圧するので、チャックフィンe、e、eは配置凹部f、f、f内へ引っ込むように移動し、これによって、記録媒体ディスクjはチャックフィンe、e、eの位置を抜けてターンテーブルbから取り外される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記したチャッキング機構aにあっては、チャックフィンe、e、eががチャックベースd内に引っ込むように移動して記録媒体ディスクjの通過を許容するので、記録媒体ディスクjの移動方向に対して直交する方向へチャックフィンe、e、eを移動させることになり、力の伝達ロスが大きく、従って、記録媒体ディスクjを強い力でターンテーブルbの方向へ移動させなければならない。そのために、強い力に絶えられるように、記録再生装置の各部の剛性を高くする必要があり、また、チャックフィンeの上側の傾斜面lを45°以上になるようきつくする必要があり、傾斜面lの高さが必要になる。このことが装置の小型化、薄型化の障害となっていた。
【0012】
そこで、本発明は、チャッキング時において記録媒体ディスクのチャッキング機構や記録再生装置の各部にに掛かる負荷を軽減することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明記録媒体駆動装置及び記録媒体のチャッキング機構は、上記した課題を解決するために、記録媒体を支持して駆動する駆動機構に上記記録媒体を保持し、上記駆動機構の記録媒体載置面の中心部に記録媒体の中心孔を嵌合支持するチャックベースを突設させ、該チャックベースに複数の押圧部をチャックベースの半径方向に移動自在に設けると共に、上記押圧部の一部がチャックベースの外周面から突出するように弾発付勢する弾発部材を設け、上記押圧部は、その先端が上記記録媒体載置面から離れる方向へは回動不能にされ、上記記録媒体を上記チャッキング機構から取り外すときは、上記押圧部の先端部が上記記録媒体の中心孔の開口縁に押圧されて上記弾発部材による付勢力に抗してチャックベース内へ引っ込むように移動し、上記記録媒体の上記記録媒体載置面から離間する方向への移動を許容するようにされると共に、上記押圧部は、その先端が上記記録媒体載置面の方向へは回動可能にされ、上記記録媒体を上記駆動機構に装着するときは、上記押圧部の先端部が上記記録媒体の中心孔の開口縁に押圧されて回動し、上記記録媒体の上記記録媒体載置面の方向への移動を許容するようにされたものである。
【0014】
従って、記録媒体をチャッキング機構から取り外すときには、押圧部の先端部が記録媒体の中心孔の開口縁に押圧されて弾発部材による付勢力に抗してチャックベース内へ引っ込むように移動し、記録媒体の記録媒体載置面から離間する方向への移動を許容すると共に、記録媒体を駆動機構に装着するときは、押圧部の先端部が記録媒体の中心孔の開口縁に押圧されて回動し、記録媒体の記録媒体載置面の方向への移動を許容するので、記録媒体の取り外し及び装着のために大きな力を必要としない。そのために、記録媒体のチャッキング機構からの取り外し及び駆動機構への装着をより簡単に行なうことができると共に、装置の各部の剛性を低くすることが出来、そのために、装置の小型化及び薄型化が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明記録媒体駆動装置及び記録媒体のチャッキング機構の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0019】
なお、図示した実施の形態は、本発明をノート型パーソナルコンピュータに搭載するCD−ROMドライブにおけるCD−ROMのチャッキング機構として適用したものである。
【0020】
そこで、先ず、CD−ROMドライブの概要について図1乃至図3によって説明する。
【0021】
CD−ROMドライブ1は上下に偏平で前面に開口した外筐2を備え、該外筐2は下側のボトムシャーシ3と該ボトムシャーシ3の上面に固定されたカバー体4とから成り、このような外筐2に引出部5が収納及び引出可能に支持される。
【0022】
そして、ボトムシャーシ3の右側部には、底上げされた張り出し部3aが形成されており、ボトムシャーシがカバー体4により覆われたときに、上記張り出し部3a以外の部分が空間6となって、トレイ7が収納されるようになっている。
【0023】
引出部5は合成樹脂製のトレイ7にベースユニット8が支持されて成る。なお、図示は省略するが、引出部5の外筐に対する収納及び引出のために、引出部5の側面部と外筐2の側部との間にスライド機構が介挿されている。
【0024】
トレイ7は平面形状で前後方向に長い長方形の外形を有し、その幅は外筐2の空間6の幅より僅かに小さく形成されている。
【0025】
トレイ7の上面に記録媒体ディスクとしてのCD−ROM9を配置する円形の一部を為す凹部10が形成され、該凹部10内にベースユニット8を上方へ臨ませるための開口部11が形成されている。
【0026】
また、トレイ7の前面には前面パネル12が取り付けられる。前面パネル12は合成樹脂で横長の板状に形成され、その左右方向の長さは上記外筐2の左右方向の長さとほぼ同じになっている。
【0027】
ベースユニット8は、シャーシ13に各種部品が搭載されて構成されている。
【0028】
すなわち、シャーシ13には、CD−ROM9が載置されるターンテーブル14と、該ターンテーブル14を回転させるスピンドルモータ15と、CD−ROM9に記録されている情報の読取を行う光ピックアップ16と、該光ピックアップ16をCD−ROM9の半径方向に移動自在に支持するガイド軸17、18と、光ピックアップ16を移動させるスレッドモータ19等が搭載されている。
【0029】
シャーシ13は、板金材料からなり、ゴムダンパー20、20、20を介してトレイ7の下面に支持されている。
【0030】
シャーシ13にはそのほとんどを占める大きな開口部21が形成されている。該開口部21は左前から右後方に向けて延びるほぼ長方形状を為し、その後縁はほぼ左右方向に延びるように他の部分に対して傾斜したピックアップ用開口部21aと、該ピックアップ用開口部21aの後縁に連続しほぼ半円形を為すターンテーブル用開口部21bと、ピックアップ用開口部21aの右前方を向いた側縁のほぼ中央部に連続しほぼ半円強の形状を為すスレッドモータ用開口部21cとが連続して形成されて成る。
【0031】
そして、上記したターンテーブル14に本発明が適用されている。
【0032】
図4乃至図12は第1の実施の形態を示すものである。
【0033】
ターンテーブル100(上記CD−ROMドライブ1におけるターンテーブル14に相当する。)のディスク載置面101の中心部に、厚手の円盤状の外形をしたチャックベース110が突設され、該チャックベース110の外周面111はターンテーブル100の回転中心を中心とした円に沿う面とされている。
【0034】
該チャックベース110には外周面111に開口し奥に延びる配置凹部120が周方向に等間隔に離間して3個形成されている。
【0035】
配置凹部120は、下面に凸字状の開口を有し、該凸字状の奥の幅狭の部分121が下方及び前方に開口されたバネ受け凹部とされ、幅の広い部分122が主凹部とされ、該主凹部122の上面はそのほぼ中央の3分の1の部分122aが上方へ開口された上方開口部とされ、該上方開口部122aはチャックベース110の外周面111にまで達している。上記主凹部122の前側に連続した前凹部123は上記主凹部122の幅と同じ幅を有し、下方が下面壁123aによって閉塞され、上記上方開口部122aによって上方に開口し、その前面開口123bの形状は横長の矩形の底部の両側が側方に行くに従って上方へ変位する円弧状を為すようにされている。
【0036】
上記の如き配置凹部120内にチャックフィン130が摺動自在に配置される。
【0037】
チャックフィン130は正面、すなわち、チャックベース110の外周面111に向かう方向から見て横長の矩形をした厚手の板状を為す基部131と、該基部131から前方へ突出した押え部132と、上記基部131及び押え部132の上面の幅方向における中央部に前後に亘って突設されると共に基部131の後端よりやや後方まで突出した被案内部133と、上記基部131の下端部の中央部から後方へ突出した後部突起134とが一体に形成されて成る。
【0038】
上記押え部132は、その上面132aが上方から見て基部131から前方へ突出した半円状を為し、下面132bが側方から見て前方へ行くに従って上方へ変位する円弧状を、かつ、正面から見て中央が最下端に位置する円弧状を為し、その上面132aは基部131の上面と一致し、基部131側の下端は基部131の下端よりやや上方に位置している。また、下面132bの前端縁及び左右両端縁は上面132aと一致している。
【0039】
上記被案内部133は、その幅が上記配置凹部120の上方開口部122aの幅と同じか僅かに小さく形成され、前端部上面133aは前下がりに傾斜した傾斜面とされ、その前端縁は上記押え部132の上面132aに一致している。さらに、該被案内部133の後端部は上面から後面にかけて側方から見て円弧状を為す曲面133bに形成されている。
【0040】
また、基部131の下端部はその下面から前面にかけて側方から見て円弧状を為す曲面131aに形成され、さらに、基部131の上端部はその上面から後面にかけて側方から見て円弧状を為す曲面131bに形成されている。また、基部131の後面には位置決め凹部131cが形成されている。
【0041】
しかして、上記したチャックフィン130がチャックベース110の配置凹部120内に移動自在に配設される。すなわち、基部131が主凹部122内において移動自在に配設され、押え部132が前凹部123を通してその先端部がチャックベース110の外周面111から突出するように位置され、被案内部133が上方開口部122aに摺動自在に係合される。
【0042】
さらに、弾発部材としてコイルバネ140が配置凹部120内において配置凹部120の奥面とチャックフィン130の基部131との間で縮設される。該コイルバネ140の一端部はチャックフィン130の基部131の位置決め凹部131cに内嵌状に位置され、他端部は配置凹部120のバネ受け凹部121内に内嵌状に位置され、これによって、コイルバネ140の両端部の位置が安定する。
【0043】
しかして、チャックフィン130にはコイルバネ140によって配置凹部120から突出する方向への移動力が付勢され、チャックフィン130の同方向への移動は、基部131の前面が主凹部122の前凹部123との境界面、すなわち、前凹部123の下面壁123aの主凹部122側の端面に当接することによって阻止され、この状態で、押え部132の先端部がチャックベース110の外周面111から突出する(図4参照)。
【0044】
そして、上記したようにチャックフィン130、130、130及びコイルバネ140、140、140が各配置凹部120、120、120内に配置されたチャックベース110がターンテーブル100のディスク載置面101の中心部に固定され、これによって、配置凹部120、120、120の下面が閉塞されて、チャックフィン130、130、130及びコイルバネ140、140、140の配置凹部120、120、120からの脱落が防止される。
【0045】
次に、CD−ROM9のチャッキングについて説明する。
【0046】
CD−ROM9がその中心孔9aがチャックベース110に位置合せされた状態でターンテーブル100のディスク載置面101に近づくように移動されてくると、中心孔9aの開口縁がチャックフィン130、130、130の被案内部133、133、133の傾斜面133a、133a、133aに当接する(図4参照)。
【0047】
ここからさらに、CD−ROM9がディスク載置面101に近づくように移動すると、チャックフィン130、130、130にはその先端部が下方へ移動する方向への回動力が付勢され、基部131の下端部が下面から前面にかけての曲面131a、131a、131aになっていると共に、基部131の上端部が上面から後面にかけての曲面131b、131b、131bになっていることから、チャックフィン130、130、130は下側の曲面131a、131a、131aがターンテーブル100の上面を滑るようにして、また、上側の曲面131b、131b、131bが主凹部122の天井面を滑るようにしてコイルバネ140、140、140を圧縮しながらその前端部が下方へ移動するように回動し(図11参照)、これによって、CD−ROM9がディスク載置面101に当接する位置まで移動することができる。
【0048】
そして、CD−ROM9がターンテーブル100のディスク載置面101に当接すると、チャックフィン130、130、130はコイルバネ140、140、140によって付勢されている力によってその前端部が上方へ移動するように回動し、かつ、その押え部132、132、132の下面132b、132b、132bがCD−ROM9の中心孔9aの上側開口縁を押圧してCD−ROM9をターンテーブル100のディスク載置面101に押し付け、チャッキングが完了する(図12参照)。
【0049】
CD−ROM9をターンテーブル100から取り外すときは、図12に示すチャッキングされている状態から、CD−ROM9をディスク載置面101から離間する方向に移動させる。
【0050】
すると、CD−ROM9の中心孔9aの開口縁がチャックフィン130、130、130の押え部132、132、132の下面132b、132b、132bを押圧し、これによって、チャックフィン130、130、130はコイルバネ140、140、140を縮設させながらチャックベース110内へ引っ込むように移動し、CD−ROM9のディスク載置面101から離間する方向への移動を許容する(図13参照)。
【0051】
そこで、CD−ROM9をディスク載置面101から離間する方向へさらに移動させれば、CD−ROM9をターンテーブル100から取り外すことができる。
【0052】
従来のように、チャックフィンがチャックベース内に引っ込むように移動してCD−ROMの通過を許容する場合は、CD−ROMの移動方向に対して直交する方向へチャックフィンを移動させることになり、力の伝達ロスが大きく、従って、CD−ROMを強い力でターンテーブルの方向へ移動させなければならないが、上記した第1の実施の形態にかかるCD−ROMのチャッキング機構にあっては、上記のように、チャックフィン130、130、130が回動してCD−ROM9の移動を許容するようにすることによって、より小さい力でCD−ROM9を移動させるだけで、CD−ROM9をターンテーブル100にチャッキングさせることができる。従って、CD−ROM9の装着を容易に行なうことが出来、また、CD−ROMドライブ1の各部の強度を大きくする必要が無い。さらに、CD−ROMの装着を容易にするために、コイルバネの強度を弱くする必要が無いので、CD−ROM9のチャッキング強度が低下することが無く、高速回転に対応することが出来る。また、チャックフィン130の上側の傾斜面の高さを低くできるので、チャックベース110の薄型化が可能になり、CD−ROMドライブ1を薄型化できる。
【0053】
なお、CD−ROM9をターンテーブル100から取り外すときは、チャックフィン130、130、130は、基部131及び押え部132の上面132aがチャックベース110の上方開口部122a、122a、122aに隣接する上面部に当接していて、チャッキング時のように回動することはない。したがって、CD−ROM9がターンテーブル100から外れる方向への移動には強い力を要することになり、コイルバネ140の強度を強くしなくても必要なチャッキング強度を維持することが出来、この点でも、高速回転に対応することが出来る。
【0054】
図14乃至図22は本発明記録媒体駆動装置及び記録媒体のチャッキング機構の第2の実施の形態を示すものである。
【0055】
ターンテーブル400(上記CD−ROMドライブ1におけるターンテーブル14に相当する。)のディスク載置面401の中心部に、厚手の円盤状の外形をしたチャックベース410が突設され、該チャックベース410の外周面411はターンテーブル400の回転中心を中心とした円に沿う面とされている。
【0056】
該チャックベース410には外周面411に開口し奥に延びる配置凹部420が周方向に等間隔に離間して3個形成されている。
【0057】
該配置凹部420は、上記第1の実施の形態における配置凹部120と同様のものであり、下面に凸字状の開口を有し、該凸字状の奥の幅狭の部分421が下方及び前方に開口されたバネ受け凹部とされ、幅の広い部分422が主凹部とされ、該主凹部422の上面はそのほぼ中央の3分の1の部分422aが上方へ開口された上方開口部とされ、該上方開口部422aはチャックベース410の外周面411にまで達している。上記主凹部422の前側に連続した前凹部423は上記主凹部422の幅と同じ幅を有し、下方が下面壁423aによって閉塞され、上記上方開口部422aによって上方に開口し、その前面開口423bの形状は横長の矩形の底部の両側が側方に行くに従って上方へ変位する円弧状を為すようにされている。
【0058】
上記の如き配置凹部420内にチャックフィン430が摺動自在に配置される。
【0059】
チャックフィン430は正面、すなわち、チャックベース410の外周面411に向かう方向から見て横長の矩形をした厚手の板状を為す基部431と、該基部431から前方へ突出した押え部432と、上記基部431及び押え部432の上面の幅方向における中央部に前後に亘って突設されると共に基部431の後端よりやや後方まで突出した被案内部433とが一体に形成されて成る。
【0060】
上記押え部432は、その上面432aが上方から見て基部431から前方へ突出した半円状を為し、下面432bが側方から見て前方へ行くに従って上方へ変位する円弧状を、かつ、正面から見て中央が最下端に位置する円弧状を為し、その上面432aは基部431の上面と一致し、基部431側の下端は基部431の下端よりやや上方に位置している。また、下面432bの前端縁及び左右両端縁は上面432aと一致している。
【0061】
上記被案内部433は、その幅が上記配置凹部420の上方開口部422aの幅と同じか僅かに小さく形成され、前端部上面433aは前下がりに傾斜した傾斜面とされ、その前端縁は上記押え部432の上面432aに一致している。さらに、該被案内部433の後端部は上面から後面にかけて側方から見て円弧状を為す曲面433bに形成されている。
【0062】
また、基部431の下端部にはその下面から前面にかけて側方から見て円弧状を為す曲面431a及び下面から後面にかけて側方から見て円弧状を為す曲面431bが形成され、さらに、基部431の上端部にはその上面から後面にかけて側方から見て円弧状を為す曲面431cが形成されている。
【0063】
しかして、上記したチャックフィン430がチャックベース410の配置凹部420内に移動自在に配設される。すなわち、基部431が主凹部422内において移動自在に配設され、押え部432が前凹部423を通してその先端部がチャックベース410の外周面411から突出するように位置され、被案内部433が上方開口部422aに摺動自在に係合される。
【0064】
さらに、弾発部材としてコイルバネ440が配置凹部420内において配置凹部420の奥面とチャックフィン430の基部431との間で縮設される。該コイルバネ440の一端部はチャックフィン430の基部431の後面に弾接され、他端部は配置凹部420のバネ受け凹部421内に内嵌状に位置される。
【0065】
しかして、チャックフィン430にはコイルバネ440によって配置凹部420から突出する方向への移動力が付勢され、チャックフィン430の同方向への移動は、基部431の前面が主凹部422の前凹部423との境界面、すなわち、前凹部423の下面壁423aの主凹部422側の端面に当接することによって阻止され、この状態で、押え部432の先端部がチャックベース410の外周面411から突出する(図14参照)。
【0066】
そして、上記したようにチャックフィン430、430、430及びコイルバネ440、440、440が各配置凹部420、420、420内に配置されたチャックベース410がターンテーブル400のディスク載置面401の中心部に固定され、これによって、配置凹部420、420、420の下面が閉塞されて(図14参照)、チャックフィン430、430、430及びコイルバネ440、440、440の配置凹部420、420、420からの脱落が防止される。
【0067】
次に、CD−ROM9のチャッキングについて説明する。
【0068】
CD−ROM9がその中心孔9aがチャックベース410に位置合せされた状態でターンテーブル400のディスク載置面401に近づくように移動されてくると、中心孔9aの開口縁がチャックフィン430、430、430の被案内部433、433、433の傾斜面433a、433a、433aに当接する(図19参照)。
【0069】
ここからさらに、CD−ROM9がディスク載置面401に近づくように移動すると、チャックフィン430、430、430にはその先端部が下方へ移動する方向への回動力が付勢され、基部431の下端部の前端部が下面から前面にかけての曲面431a、431a、431aになっていると共に、基部431の上端部の後端部が上面から後面にかけての曲面431c、431c、431cになっていることから、チャックフィン430、430、430は下側の曲面431a、431a、431aがターンテーブル400の上面を滑るようにして、また、上側の曲面431c、431c、431cが主凹部422の天井面を滑るようにしてコイルバネ440、440、440を圧縮しながらその前端部が下方へ移動するように回動し(図20参照)、これによって、CD−ROM9がディスク載置面401に当接する位置まで移動することができる。
【0070】
そして、CD−ROM9がターンテーブル400のディスク載置面401に当接すると、チャックフィン430、430、430はコイルバネ440、440、440によって付勢されている力によってその前端部が上方へ移動するように回動し、かつ、その押え部432、432、432の下面432b、432b、432bがCD−ROM9の中心孔9aの上側開口縁を押圧してCD−ROM9をターンテーブル400のディスク載置面401に押し付け、チャッキングが完了する(図21参照)。
【0071】
CD−ROM9をターンテーブル400から取り外すときは、図21に示すチャッキングされている状態から、CD−ROM9をディスク載置面401から離間する方向に移動させる。
【0072】
すると、CD−ROM9の中心孔9aの開口縁がチャックフィン430、430、430の押え部432、432、432の下面432b、432b、432bを上方へ向けて押圧し、これによって、チャックフィン430、430、430にはその先端部が上方へ移動する方向への回動力が付勢され、基部431、431、431の下端部の後端部が下面から後面にかけての曲面431b、431b、431bになっていることから、該曲面431b、431b、431bがターンテーブル400の上面を滑るようにして、コイルバネ440、440、440を圧縮しながらその前端部が上方へ移動するように回動して(図22参照)、CD−ROM9のディスク載置面401から離間する方向への移動を許容する。
【0073】
そこで、CD−ROM9をディスク載置面401から離間する方向へさらに移動させれば、CD−ROM9をターンテーブル400から取り外すことができる。
【0074】
この第2の実施の形態にかかるチャッキング機構にあっては、チャッキング時のみならず、CD−ROM9をターンテーブル400から取り外すときも、チャックフィン430、430、430が回動してCD−ROM9のディスク載置面401から離間する方向への移動を許容するので、チャッキング時ばかりでなく、取外し時にも大きな力を必要としない。
【0075】
尚、上記した各実施の形態においては、本発明をCD−ROMドライブにおけるCD−ROMのチャッキング機構として適用したものを示したが、本発明はこのようなものに限らず、例えば、CD-R、DVD等その他の記録媒体ディスクのチャッキング機構として広く適用することができるものである。
【0076】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、本発明記録媒体駆動装置及び記録媒体のチャッキング機構は、記録媒体を支持して駆動する駆動機構に上記記録媒体を保持し、上記駆動機構の記録媒体載置面の中心部に記録媒体の中心孔を嵌合支持するチャックベースを突設させ、該チャックベースに複数の押圧部をチャックベースの半径方向に移動自在に設けると共に、上記押圧部の一部がチャックベースの外周面から突出するように弾発付勢する弾発部材を設け、上記押圧部は、その先端が上記記録媒体載置面から離れる方向へは回動不能にされ、上記記録媒体を上記チャッキング機構から取り外すときは、上記押圧部の先端部が上記記録媒体の中心孔の開口縁に押圧されて上記弾発部材による付勢力に抗してチャックベース内へ引っ込むように移動し、上記記録媒体の上記記録媒体載置面から離間する方向への移動を許容するようにされると共に、上記押圧部は、その先端が上記記録媒体載置面の方向へは回動可能にされ、上記記録媒体を上記駆動機構に装着するときは、上記押圧部の先端部が上記記録媒体の中心孔の開口縁に押圧されて回動し、上記記録媒体の上記記録媒体載置面の方向への移動を許容するようにされたことを特徴とする。
【0077】
従って、記録媒体をチャッキング機構から取り外すときには、押圧部の先端部が記録媒体の中心孔の開口縁に押圧されて弾発部材による付勢力に抗してチャックベース内へ引っ込むように移動し、記録媒体の記録媒体載置面から離間する方向への移動を許容すると共に、記録媒体を駆動機構に装着するときは、押圧部の先端部が記録媒体の中心孔の開口縁に押圧されて回動し、記録媒体の記録媒体載置面の方向への移動を許容するので、記録媒体の取り外し及び装着のために大きな力を必要としない。そのために、記録媒体のチャッキング機構からの取り外し及び駆動機構への装着をより簡単に行なうことができると共に、装置の各部の剛性を低くすることが出来、そのために、装置の小型化及び薄型化が可能となる。
【0081】
尚、上記した各実施の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1乃至図3は本発明記録媒体駆動装置及び記録媒体のチャッキング機構を適用したCD−ROMドライブの一例を示すものであり、本図は引出部を引き出した状態を示す斜視図である。
【図2】 概略分解斜視図である。
【図3】 ベースユニットを示す拡大平面図である。
【図4】 図5乃至図13と共に本発明記録媒体駆動装置及び記録媒体のチャッキング機構の第1の実施の形態を示すものであり、本図はCD−ROMがターンテーブルに載置され始める状態を一部を切り欠いて示す拡大側面図である。
【図5】 1のチャックフィン及びコイルバネを除いた状態で示すチャックベースの平面図である。
【図6】 1のチャックフィン及びコイルバネを除いた状態で示すチャックベースの底面図である。
【図7】 図5のA視図である。
【図8】 チャックフィンの拡大斜視図である。
【図9】 チャックフィンの別の方向から見た拡大斜視図である。
【図10】 チャックフィンの拡大縦断面図である。
【図11】 CD−ROMがチャッキングされる過程を示す一部切欠き拡大側面図であり、本図は図4に続く状態を示すものである。
【図12】 CD−ROMがチャッキングされた状態を示すものである。
【図13】 CD−ROMがターンテーブルから取り外される途中の状態を示す一部切欠き拡大側面図である。
【図14】 図15乃至図22と共に本発明記録媒体駆動装置及び記録媒体のチャッキング機構の第2の実施の形態を示すものであり、本図は一部を切り欠いて示す側面図である。
【図15】 1のチャックフィン及びコイルバネを除いた状態で示すチャックベースの平面図である。
【図16】 1のチャックフィン及びコイルバネを除いた状態で示すチャックベースの底面図である。
【図17】 チャックフィンの拡大斜視図である。
【図18】 チャックフィンの別の方向から見た拡大斜視図である。
【図19】 図20及び図21と共にCD−ROMがチャッキングされる過程を示す一部切欠拡大側面図であり、本図はCD−ROMがチャックフィンに接触した状態を示すものである。
【図20】 チャックフィンが回動してCD−ROMの通過を許容する状態を示すものである。
【図21】 CD−ROMがチャッキングされた状態を示すものである。
【図22】 CD−ROMがターンテーブルから取り外される過程でチャックフィンが回動してCD−ROMの通過を許容する状態を示す一部切欠側面図である。
【図23】 図24及び図25と共に従来の記録媒体ディスクのチャッキング機構の一例を示す一部を切り欠いた側面図であり、本図は記録媒体ディスクがチャッキングされる前の状態を示すものである。
【図24】 図28に続く状態を示すものである。
【図25】 記録媒体ディスクがチャッキングされた状態を示すものである。
【符号の説明】
9…CD−ROM(記録媒体)、9a…中心孔、101…ディスク載置面(記録媒体載置面)、110…チャックベース、130…チャックフィン(押圧部)、140…コイルバネ(弾発部材)、401…ディスク載置面(記録媒体載置面)、410…チャックベース、430…チャックフィン(押圧部)、440…コイルバネ(弾発部材)
Claims (3)
- 記録媒体を支持して駆動する駆動機構に上記記録媒体を保持するチャッキング機構を有し、
上記駆動機構の記録媒体載置面の中心部に記録媒体の中心孔を嵌合支持するチャックベースを突設させ、該チャックベースに複数の押圧部をチャックベースの半径方向に移動自在に設けると共に、上記押圧部の一部がチャックベースの外周面から突出するように弾発付勢する弾発部材を設け、
上記押圧部は、その先端が上記記録媒体載置面から離れる方向へは回動不能にされ、
上記記録媒体を上記チャッキング機構から取り外すときは、上記押圧部の先端部が上記記録媒体の中心孔の開口縁に押圧されて上記弾発部材による付勢力に抗してチャックベース内へ引っ込むように移動し、上記記録媒体の上記記録媒体載置面から離間する方向への移動を許容するようにされると共に、
上記押圧部は、その先端が上記記録媒体載置面の方向へは回動可能にされ、
上記記録媒体を上記駆動機構に装着するときは、上記押圧部の先端部が上記記録媒体の中心孔の開口縁に押圧されて回動し、上記記録媒体の上記記録媒体載置面の方向への移動を許容するようにされた
ことを特徴とする記録媒体駆動装置。 - 上記記録媒体は、その中心孔の開口縁を上記押圧部の先端部と上記記録媒体載置面とで挟持することによって上記駆動機構にチャッキングするようにされた
ことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体駆動装置。 - 記録媒体を支持して駆動する駆動機構に上記記録媒体を保持する記録媒体のチャッキング機構であって、
上記駆動機構の記録媒体載置面の中心部に記録媒体の中心孔を嵌合支持するチャックベースを突設させ、該チャックベースに複数の押圧部をチャックベースの半径方向に移動自在に設けると共に、上記押圧部の一部がチャックベースの外周面から突出するように弾発付勢する弾発部材を設け、
上記押圧部は、その先端が上記記録媒体載置面から離れる方向へは回動不能にされ、
上記記録媒体を上記チャッキング機構から取り外すときは、上記押圧部の先端部が上記記録媒体の中心孔の開口縁に押圧されて上記弾発部材による付勢力に抗してチャックベース内へ引っ込むように移動し、上記記録媒体の上記記録媒体載置面から離間する方向への移動を許容するようにされると共に、
上記押圧部は、その先端が上記記録媒体載置面の方向へは回動可能にされ、
上記記録媒体を上記駆動機構に装着するときは、上記押圧部の先端部が上記記録媒体の中心孔の開口縁に押圧されて回動し、上記記録媒体の上記記録媒体載置面の方向への移動を許容するようにされた
ことを特徴とする記録媒体のチャッキング機構。
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