JP3917288B2 - 板状ヒータおよび定着装置ならびに画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば複写機、ファクシミリやコンピュータなどのOA機器のトナー定着装置や乾燥などの加熱装置に用いられる板状ヒータおよびこれらの定着装置ならびにこの定着装置を組込んだ画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば電子式複写機においては、トナー像を形成した複写用紙などの記録媒体をヒータと加圧ローラとの間で挟圧しながら通過させ、ヒータの熱によって複写用紙を加熱してトナーを溶融させて定着するようにしている。
【0003】
この定着用のヒータとして各種形態のものが存在するが、機器の小形化や多機能化の要望により、平板状のものがある。この板状ヒータは、アルミナセラミックスなどからなる表面が平面状をなす長尺の耐熱・電気絶縁性の基板の表面上に、銀・パラジウム合金(Ag/Pd)系などの厚膜ペーストを印刷塗布・焼成して細長い帯状の抵抗発熱体を形成するとともに、この抵抗発熱体の両端を幅広としこの部分に銀(Ag)などの良導体からなる膜を形成して端子部としている。また、このヒータは、抵抗発熱体の表面をガラスからなるオーバーコート層で被覆して、抵抗発熱体を電気的に絶縁あるいは磨耗、酸化や硫化などから保護するようにしている。
【0004】
また、定着装置は表面を耐熱弾性材料で形成した加圧ローラに対して平行に板状ヒータを設け、この加圧ローラの表面は保護用のポリイミド樹脂などからなるロール状の定着フィルムを介してヒータのオーバーコート層に軽く弾接しながら回転するようになっている。そして、ヒータを覆うフィルムと加圧ローラとの間に複写用紙が供給されると、加圧ローラの回転により、複写用紙がヒータのオーバーコート層表面のロール状の定着フィルムとともに滑りながら搬送され、この間にヒータの熱によって複写用紙上のトナーが加熱溶融して定着されるようになっている。
【0005】
このような定着装置に用いられる板状ヒータは、平面状をなす基板上の抵抗発熱体の表面がガラスのオーバーコート層で覆われ、このオーバーコート層に摺接していくロール状の定着フィルムが円滑に回動して、複写用紙の搬送がスムーズで良好な加熱定着が行える。
【0006】
そして、上記の定着装置においては、加圧ローラの回転によりこのローラとヒータとの間に複写用紙が供給されるが、加圧ローラの加圧力やトナーが付着された複写用紙の供給タイミングなどにより、特に装置の始動時に、定着フィルムと板状ヒータとの間の摩擦抵抗が定着フィルムと複写用紙との間の摩擦抵抗より大きくなることにより、定着フィルムが回転せず、定着フィルム上を複写用紙が滑り、トナーの適正な定着が行えないという不具合が発生する場合がある。
また、トナー付着面を定着フィルム側とした場合、トナーが定着フィルムと複写用紙とともに搬送されず、最も圧力がかかるヒータ上に溜り易くなる。
【0007】
また、このガラスからなるオーバーコート層を、融点が高いガラスなどで形成した場合は、層形成作業を高温で行うことを要するが発熱体などに酸化を生じる虞があり、溶融温度を低めに押さえている関係で、その表面は凹凸が多い粗面となって定着フィルムとの摩擦抵抗が大きくなる過ぎる傾向にある。また逆に、融点が低いガラスなどで形成した場合は、層形成作業が容易でその表面の凹凸は少なく平滑性がよくなって摩擦抵抗は減るが、成分中に不純物が多く入っている関係で電気絶縁性が低下して発熱体の抵抗を下げヒータが所定の温度にまで昇温しないという問題がある。また、表面の平滑性が極めてよくなると定着フィルムがスリップして回転せず複写用紙の搬送が加圧ローラ側のみとなって、円滑に行えなくなることがある。また、発熱体への通電の入り切りによる熱的衝撃(温度変化)によってガラス層が破損し易かった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この不具合を防ぐ手段として定着フィルムと板状ヒータとの間にグリスを塗布して摩擦抵抗を小さくすることが行われてきていたが、グリスでは未だ完全にはこの不具合を解消するまでに至っていない。また、この板状ヒータの表面には適度の抵抗を持たせた方が定着フィルムとの接触がよいことが分かった。
なお、従来から潤滑層を形成する技術はあったが、上記のようにガラス層表面の粗さが決定されることにより、必ずしもガラス層と潤滑層との十分な密着強度が得られなかった。
【0009】
本発明は、表面のガラスオーバーコート層の不具合を解消できる板状ヒータおよび複写用紙などのトナー定着不良の発生を少なくした定着装置ならびに画像形成装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の板状ヒータは、耐熱・電気絶縁性を有する平板状の基板と、この基板の表面に長手方向に沿って形成された帯状の抵抗発熱体と、上記基板に形成されて上記抵抗発熱体と接続してなる給電用電極と、少なくとも上記抵抗発熱体を含む基板の表面に形成されたガラス層と、このガラス層および基板の表面上に付着され硬化することにより形成された潤滑層とを具備していることを特徴とする。
【0011】
上記構成の板状ヒータは、潤滑層が抵抗発熱体の表面に形成した電気絶縁作用をなすガラス層を保護して破損を防ぐとともにガラス層およびセラミックスからなる基板を連続して覆っており、基板はガラス層よりも表面を粗くすることが容易であり、その表面を適度に粗く形成すればガラスとの接合に比べて接合力が高く、潤滑層が基板から剥離することを低減できる。
【0012】
また、この潤滑層の形成はガラス層はもちろんセラミックスからなる基板にまで達していることが肝要で、その先端は基板上であってもあるいは基板の全面を覆うよう形成してあっても差支えない。
【0013】
また、ガラス層の表面に凹凸を設け表面積を大きくして、潤滑層を形成すれば接合面積が増して両者の接合力を高めることができる。
【0014】
また、ガラス層の上面を覆う潤滑層を形成する材料成分としては、二硫化モリブデン(MoS 2 )などを用いることができる。
【0015】
なお、本発明の板状ヒータは複写機やファクシミリなどのOA機器類の定着装置用に限らず、種々の産業用製造設備や家庭用機器など他の分野の機器においても実装可能である。
【0016】
本発明の請求項2に記載の板状ヒータは、潤滑層が潤滑材とガラスとの混合材料で形成されていることを特徴とする。
潤滑層が、潤滑材に下層のガラス層を形成する成分などのガラス質のものを混入して形成することによって、下層のガラス層との接合性を高めることができる。
本発明の請求項3に記載の板状ヒータは、潤滑層の表面がガラス層の表面よりも粗面であることを特徴とする。
【0017】
通常、ガラス層は溶融によりその表面は殆ど凹凸のない平滑面となって形成される。このため定着装置などにおいては、このガラス層上を通過する定着フィルムがスリップして停滞し、前述したのようにトナーの定着不良が生じたり複写用紙の詰まりを生じるなどの不具合があった。
【0018】
本発明の請求項4に記載の板状ヒータは、耐熱・電気絶縁性を有する平板状の基板と、この基板の表面に長手方向に沿って形成された帯状の抵抗発熱体と、上記基板に形成されて上記抵抗発熱体と接続してなる給電用電極と、上記基板の抵抗発熱体が形成されていない反対面側の表面に付着され硬化することにより形成された潤滑層とを具備していることを特徴とする。
【0019】
この板状ヒータは、基板の裏面側に、たとえば二硫化モリブデン(MoS2 )からなる潤滑層が形成してあり、たとえば定着装置において抵抗発熱体側に近接してではなく基板の裏面側が紙やフィルムなどと圧接される場合に用いられ、セラミックスなどからなる基板よりも小さい摩擦抵抗が得られ、上記の実施の形態と同様に円滑な搬送を行なうことができる。
【0020】
本発明の請求項5に記載の定着装置は、加圧ローラと、この加圧ローラに対向して潤滑層部が配設された請求項1ないし請求項4のいずれか一に記載された板状ヒータと、この板状ヒータと加圧ローラとの間を移動可能に設けられた定着フィルムとを具備していることを特徴とする。
【0021】
未定着トナー像を転写した記録媒体たとえば複写用紙が定着装置に搬送されてくると、複写用紙は上下面が加圧ローラと定着フィルム面との両者が回転している間で、上下面から挟圧した状態で繰り出すよう通過させられる。その際に、複写用紙は上記の加圧と抵抗発熱体の加熱とにより、未定着トナー像が焼付けられ、複写用紙にはトナー像を定着形成させることができる。
【0022】
このとき、板状ヒータの抵抗発熱体を覆って最上層に形成した潤滑層の表面は、適度の摩擦抵抗を有し定着フィルムに摺接しているので、定着フィルムが円滑に回動して、トナーの良好な定着が行える。
【0023】
本発明の請求項6に記載の画像形成装置は、媒体に形成された静電潜像にトナーを付着させてこのトナーを用紙に転写して所定の画像を形成する手段と、加圧ロラーにより画像を形成した用紙を定着フィルムを介して定着ヒータに圧接しながら通過させることによってトナーを定着するようにした請求項5に記載の定着装置とを具備していることを特徴とする。
【0024】
カセットから供給された複写用紙やフィルムなどの記録媒体には画像形成部での電子写真プロセスによって未定着トナー像が転写され、未定着トナー像が上記請求項4に記載と同様な作用を奏する定着装置により定着される。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の板状ヒータの第1の実施の形態を図1ないし図3を参照して説明する。図1は板状ヒータHの中間部を切欠した平面図、図2は図1の底面図、図3は図1中の矢視X−X線に沿って切断した部分の拡大側面断面図である。
【0026】
図中1は基板で、耐熱・電気絶縁性材料たとえば酸化アルミニウム(Al2 O3 )や窒化アルミニウム(AlN)などのセラミックスからなる長さ約300mm,幅約10mm,厚さ0.65〜1mmの大きさの細長い短冊状に形成されている。また、2は基板1の表面側11に長手方向に沿って形成された長さ約230mm,幅約2mm、厚さ約10μmの銀・パラジウム(Ag・Pd)合金、銀(Ag)や銀・白金(Ag・Pt)合金などを主体とする帯状の抵抗発熱体、3,3はこの抵抗発熱体2の両端部において重層形成した長さ約15mm、幅約6mmの幅広な銀・パラジウム(Ag・Pd)合金などを主体とする良導電体膜からなる給電用の端子部である。
【0027】
また、4は上記端子部3,3および基板1の一部を除く、抵抗発熱体2のほぼ全面を含む抵抗発熱体2部につづく基板1の表面側11にまで延在して形成したホウケイ酸鉛ガラスなどのガラス粉末を溶融して形成した層厚さが20〜100μmのガラス層である。
【0028】
また、5はこのガラス層4の全面を含むガラス層4部につづく基板1の表面側11にまで延在して形成した二硫化モリブデン(MoS2 )などからなる劈開性を有する潤滑層である。この、潤滑層5は、たとえば二硫化モリブデン(MoS2 )を印刷やスプレーなどによりガラス層4および基板1上に付着させ、室温または加熱して硬化することにより形成した層厚さが1〜10μmで表面が適度の粗さを有するものである。
【0029】
また、基板1の裏面側12には、表面側11の発熱体2の延在方向に沿って上記端子部3と同様な銀・パラジウム(Ag・Pd)合金などを主体とする材料からなる幅約1mm、膜厚10〜30μmの一対の配線導体31,32が並行して形成されていて、その端部は端子部33,34となっている。
【0030】
そして、この配線導体31,32端部の間を橋絡して基板1側に感温部を対面させたサーミスタなどの温度検出素子6が銀(Ag)や銀・パラジウム(Ag・Pd)合金粉末などを無機結着剤や有機結着剤と混合した導電性接着剤を介して接合させてある。また、このサーミスタ6および上記接合部を含む表面にはエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの絶縁性樹脂からなる保護コート層(図示しない。)が形成してある。なお、この温度検出素子6の設置位置は基板1の他面(裏面)側12で、安定した温度検出できる箇所である。
【0031】
そして、この板状ヒータHは、SSR(ソリッドステートリレー)またはPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅制御方式)などおよび温度制御回路を介し接続されて端子部3、3間に通電すると、抵抗発熱体2に電流が流れ、発熱体2は長手方向にほぼ均一の発熱温度分布を呈する。このヒータHは、金属合金に含まれる銀・パラジウム(Ag・Pd)が電気的な抵抗要素となり、抵抗ペーストに含有される銀・パラジウム(Ag・Pd)の比率によって発熱体2の抵抗値が調節される。本実施の形態では、約25オーム[Ω]の抵抗値を有し、100Vの電圧印加により約4Aの電流が流れ、約400Wの発熱量となる。
【0032】
そして、通常は基板1の裏面側に設けたサーミスタ6がヒータHの温度を検出して、温度制御回路を通じSSRなどをON・OFFして所定の温度に制御している。
【0033】
そして、上記構成の板状ヒータHは、上記潤滑層5が抵抗発熱体2の表面に形成した電気絶縁作用をなすガラス層4を保護するとともに耐熱性を向上することができる。
【0034】
また、この板状ヒータHは、潤滑層5がガラス層部分のみでなくガラス層およびセラミックスからなる基板1の表面側11を連続して覆っており、この基板1部分とはガラス層4との接合に比べて接合力が高く、潤滑層5が基板1から剥離することを確実に低減できる。なお、この潤滑層5の形成はガラス層4はもちろんセラミックスからなる基板1の表面側11にまで達していることが肝要で、その先端は基板1上であってもあるいは基板1の全面を覆うよう形成してあっても差支えない。
【0035】
また、ガラス層4の上面を覆うよう形成する上記潤滑層5はたとえば二硫化モリブデン(MoS2 )で形成したが、この二硫化モリブデン(MoS2 )にホウケイ酸ガラスなどのガラスを混入して形成したものであってもよい。
【0036】
このように潤滑層5にガラス質のものを混入することによって、下層のガラス層4との接合力が増して耐久性が向上できる作用効果を呈する。
【0037】
また、ガラス層4の表面に凹凸を設け表面積を大きくして、潤滑層5を形成すれば接合面積が増して両者の接合力を高めることができる。
【0038】
つぎに、本発明の板状ヒータの第2の実施の形態について説明する。なお、図面的には図1および図2と同一である。
【0039】
この第2の実施の形態の場合は、ガラス層4の上面を覆うよう形成された潤滑層5の表面を、ガラス層4表面より凹凸の大きい粗面としてある。
【0040】
これは通常、ガラス層4は溶融によりその表面は殆ど凹凸のない平滑面となって形成される。このため定着装置などにおいては、このガラス層4上を通過する複写用紙がスリップして停滞し、トナーに所定の加熱を行うことができなかったり複写用紙の詰まりを生じるなどの不具合があった。
【0041】
しかし、上記の二硫化モリブデン(MoS2 )は六方晶系構造をした結晶で、多数の薄片が重なり合った劈開性を有する層状構造をしていて、被層とした場合その表面には適当な凹凸を有する粗面が形成できる。そして、この粗面は、この粗面と対向して配設した加圧ローラに押圧された紙やフィルムなどが圧接した場合に、強圧せず適度な摩擦抵抗でもってあたり紙やフィルムなどを送り出すことができる。
【0042】
さらに、本発明の板状ヒータの第3の実施の形態として、図4に示す構成としてもよい。図4は板状ヒータH1の中間部の拡大側面断面図で、図中、図3と同一部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0043】
この板状ヒータH1は、基板1の表面側11に長手方向に沿って形成された帯状の抵抗発熱体2を含む基板1表面には抵抗発熱体2を保護するガラス層4からなるオーバーコート層が形成されている。また、この基板1の裏面側12には、たとえば二硫化モリブデン(MoS2 )からなる潤滑層5が形成してある。
【0044】
このような構成の板状ヒータH1は、定着装置において抵抗発熱体2側に近接してではなく基板1の裏面側が紙やフィルムなどと圧接される場合に用いられ、セラミックスなどからなる基板1よりも小さい摩擦抵抗が得られ、上記の実施の形態と同様に円滑な搬送を行なうことができる。
【0045】
つぎに、本発明の定着装置Fの実施の形態を図5を参照して説明する。図5は定着装置Fの内部構造を示す縦断側面図で、この装置F内には上記の板状ヒータHが組込まれている。図5において、F1は加圧ローラで、両端面に駆動部(図示しない。)に軸支された回転軸F2を突設し、この回転軸F2の外周に形成した円筒形ローラ本体F3の表面に耐熱性弾性材料たとえばシリコーンゴム層F4が嵌合してある。
【0046】
また、F5は上記加圧ローラF1の回転軸F2と対向して配設された円柱形状をなすヒータ支持体で、この支持体F5に板状ヒータHが加圧ローラF1と並置した状態で取着固定されている。また、ヒータHを含む基台F5の周囲にはポリイミド樹脂などの耐熱性のシートからなるエンドレスのロール状をした定着フィルムF6が循環自在に巻装されている。そして、抵抗発熱体2の上側に形成された潤滑層5の表面は、この定着フィルムF6を介し上記加圧ローラF1のシリコーンゴム層F4と弾接している。また、図5中PAは記録媒体たとえば複写用紙で、複写用紙PA上のT1は印刷された未定着トナー像、T2は定着済みトナー像を示す。
【0047】
そして、上記構成の定着装置Fは、後述するように画像形成装置の一部として利用され、複写用紙PAなど記録媒体に転写された未定着トナー像T1を定着する。この定着装置Fにおいて板状ヒータHは、端子部3、3に接触した燐青銅板などからなる弾性が付与されたコネクタ(図示しない。)を通じ通電され、抵抗発熱体2が所定温度で発熱した状態で、加圧ローラF1が駆動部により回転して、これに縦動して圧接されている定着フィルムF6も抵抗発熱体2を覆う潤滑層5表面に摺接しながらヒータ支持体F5の周りを循環する。
【0048】
そして、未定着トナー像T1を転写した複写用紙PAが定着装置Fに搬送されてくると、複写用紙PAは上下面が加圧ローラF1のシリコーンゴム層F4と定着フィルムF6面との両者が回転している間で、上下面から挟圧した状態で図中矢印方向へ繰り出すよう通過させられる。その際に、複写用紙PAは上記の加圧と抵抗発熱体2の加熱とにより、未定着トナー像T1が焼付けられ、複写用紙PAにはトナー像T2を定着形成させることができる。
【0049】
つまり、加圧ローラF1の用紙入力側では、複写用紙PA上の未定着トナー像T1がまず定着フィルムF6を介してヒータHにより加熱溶融され、少なくともその表面部は融点を大きく上回り完全に軟化溶融する。しかる後、加圧ローラF1の用紙排出側では、複写用紙PAがヒータHから離れ、トナー像T2は自然放熱して再び冷却固化し、定着フィルムF6も複写用紙PAから離反される。
【0050】
このとき、上記板状ヒータHの抵抗発熱体2を覆って最上層に形成した潤滑層5の表面は、適度の摩擦抵抗を有し定着フィルムF6に摺接しているので、定着フィルムF6が円滑に回動して、加圧ローラF1との間で複写用紙PAが定着フィルムF6とともに円滑に搬送され、トナーの滲みの少ない良好な定着が行える。また、上記潤滑層5は耐熱性および耐磨耗性に優れているので板状ヒータHの寿命を長くすることができる。
【0051】
つぎに、本発明に関わる上記に示した板状ヒータHおよび定着装置Fを実装した複写機、プリンタやファクシミリなどの画像形成装置について説明する。
【0052】
ここでは画像形成装置の実施の形態として複写機を図6に示す。図6は複写機Pの概略構成を示す縦断側面図で、図中定着装置F部分は上記実施の形態と同じであるので同一部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0053】
図6においてP1は複写機Pの筐体、P2は筐体P1の上面に設けられたガラスなどの透明部材からなる原稿載置台で矢印Y方向に往復動して原稿PA1を走査する。
【0054】
筐体P1内の上方には光照射用のランプと反射鏡とからなる照明装置Lが設けられていて、この照明装置Lにより照射された原稿PA1からのの反射光線が短焦点小径結像素子アレイP3によって感光ドラムP4上にスリット露光される。なお、この感光ドラムP4は矢印方向に回転する。
【0055】
また、P5は帯電器で、たとえば酸化亜鉛感光層あるいは有機半導体感光層が被覆された感光ドラムP4上に一様に帯電を行う。この帯電器P5により帯電されたドラムP4には、結像素子アレイP3によって画像露光が行われた静電画像が形成される。この静電画像は、現像器P6による加熱で軟化溶融する樹脂などからなるトナーを用いて顕像化される。
【0056】
一方、カセットP7内に収納されている複写用紙PAは、給送ローラP8と感光ドラムP4上の画像と同期するようタイミングとって上下方向で圧接して回転される対の搬送ローラP9によって、ドラムP4上に送り込まれる。そして、転写放電器P10によって感光ドラムP4上に形成されているトナー像は複写用紙PA上に転写される。
【0057】
この後、ドラムP4上から離れた用紙PAは、搬送ガイドP11によって定着装置Fに導かれ加熱定着処理された後にトレイP12上排出される。なお、トナー像を転写後、ドラムP4上の残留トナーはクリーナP13によって除去される。
【0058】
上記定着装置Fは複写用紙PAの移動方向と直交する方向に、この複写機Pが複写できる最大判用紙の幅(長さ)に合わせた有効長、すなわち最大判用紙の幅(長さ)より長い抵抗発熱体2を延在させて板状ヒータHを配置しているとともにこの抵抗発熱体2の延在方向に軽く弾接するよう抵抗発熱体2と相対して送り用の加圧ローラF1が設けられている。そして、ヒータHと加圧ローラF1との間を送られる用紙PA上の未定着トナー像T1は、抵抗発熱体2からの熱を受け溶融して用紙PA面上に文字、英数字、記号、図面などの複写像を現出させる。
このような、複写機Pは上記定着装置Fに記載したと同様な作用効果を奏することができる。
【0059】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、たとえば基板上に形成した帯状の抵抗発熱体は1本に限らず複数本形成してあってもよい。
【0060】
また、上記実施の形態では基板の裏面側に配線導体を形成して、この配線導体にサーミスタなどの温度検出素子を固着したが、この配線導体および温度検出素子は必須のものではなく、本発明はこれらを形成していない板状ヒータにも適用ができることはいうまでもない。
【0061】
請求項1に記載の発明によれば、潤滑剤を付着し硬化させて形成した潤滑層からなるオーバーコート層が、抵抗発熱体の表面に形成した電気絶縁作用をなすガラス層を含む基板上までを覆っているので、ガラス層との接合に比べて接合力が高く、潤滑層が基板から剥離することを確実に低減できる品質の向上した板状ヒータを提供することができる。
【0062】
請求項2および3に記載の発明によれば、上記請求項1に記載と同様な効果のほかガラス層部分においての接合力を増すことができる。
【0063】
請求項4に記載の発明によれば、基板の裏面側に潤滑層を形成した場合も、上記請求項1に記載と同様な効果を奏する。
【0064】
請求項5に記載の発明によれば、複写用紙などの記録媒体の搬送を円滑にできる定着装置を提供することができる。
【0065】
請求項6記載の発明によれば、複写用紙などの記録媒体の搬送を円滑にできる定着装置を備えた複写機やファクシミリなどの画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる板状ヒータの第1の実施の形態を示す中間部を切欠した平面図である。
【図2】図1の底面図である。
【図3】図1中の矢視X−X線に沿って切断した部分の拡大側面断面図である。
【図4】本発明に係わる板状ヒータの第3の実施の形態を示す中間部の拡大側面断面図である。
【図5】本発明に係わる定着装置の内部構造の実施の形態を示す縦断側面図である。
【図6】本発明に係わる複写機の実施の形態を示す内部構造の縦断側面図である。
【符号の説明】
H:板状ヒータ
1:基板
11:表面側
12:裏面側
2:抵抗発熱体
3:端子部
4:ガラス層
5:潤滑層
F:定着装置
F1:加圧ローラ
F5:ヒータ支持体
F6:定着フィルム
P:複写機
PA:複写用紙
Claims (6)
- 耐熱・電気絶縁性を有する平板状の基板と;
この基板の表面に長手方向に沿って形成された帯状の抵抗発熱体と;
上記基板に形成されて上記抵抗発熱体と接続してなる給電用電極と;
少なくとも上記抵抗発熱体を含む基板の表面に形成されたガラス層と;
このガラス層および基板の表面上に付着され硬化することにより形成された潤滑層と;
を具備していることを特徴とする板状ヒータ。 - 潤滑層が潤滑材とガラスとの混合材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の板状ヒータ。
- 潤滑層の表面がガラス層の表面よりも粗面であることを特徴とする請求項1または2に記載の板状ヒータ。
- 耐熱・電気絶縁性を有する平板状の基板と;
この基板の表面に長手方向に沿って形成された帯状の抵抗発熱体と;
上記基板に形成されて上記抵抗発熱体と接続してなる給電用電極と;
上記基板の抵抗発熱体が形成されていない反対面側の表面に付着され硬化することにより形成された潤滑層と;
を具備していることを特徴とする板状ヒータ。 - 加圧ローラと;
この加圧ローラに対向して潤滑層部が配設された請求項1ないし請求項4のいずれか一に記載された板状ヒータと;
この板状ヒータと加圧ローラとの間を移動可能に設けられた定着フィルムと;
を具備していることを特徴とする定着装置。 - 媒体に形成された静電潜像にトナーを付着させてこのトナーを用紙に転写して所定の画像を形成する手段と;
加圧ロラーにより画像を形成した用紙を定着フィルムを介して定着ヒータに圧接しながら通過させることによってトナーを定着するようにした請求項5に記載の定着装置と;
を具備していることを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04745598A JP3917288B2 (ja) | 1998-02-27 | 1998-02-27 | 板状ヒータおよび定着装置ならびに画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP04745598A JP3917288B2 (ja) | 1998-02-27 | 1998-02-27 | 板状ヒータおよび定着装置ならびに画像形成装置 |
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