JP3917220B2 - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、後進段選択時のセレクトショックの軽減と所要セレクト時間の短縮とを実現可能な自動変速機の油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の自動変速機では、運転者がセレクトレバーを中立段(Nレンジ)から後進段(Rレンジ)へセレクト操作すると、上記セレクトレバーと連動するマニュアルバルブが動作して、作動圧をリバースクラッチ及びローアンドリバース(L&R)ブレーキに供給し、このリバースクラッチ及びL&Rブレーキを係合動作させることで、自動変速機の後進段をエンジン出力軸に連設させて後進走行を可能にする。
【0003】
このとき、上記リバースクラッチ及びL&Rブレーキに対して作動圧が急激に印加されると、エンジン出力が上記後進段を介して駆動系に急激に伝達される、いわゆるセレクトショックが生じる。
【0004】
このセレクトショックを軽減する手段として、例えば特公平4−81061号公報では、リバースクラッチに連通する油圧通路にアキュムレータを配設し、N→Rセレクト直後の上記リバースクラッチに対する作動圧を上記アキュムレータにて緩衝することでセレクトショックを軽減する技術が開示されている。
【0005】
又、セレクトレバーが中立段(Nレンジ)にあるときL&Rブレーキを係合動作させると共に、N→Rセレクト時には上記セレクトレバーと連動するマニュアルバルブからリバースクラッチへ作動圧を直接供給してリバースクラッチを係合動作させる、いわゆるダイレクト制御による自動変速機では、上記リバースクラッチに対しては油圧制御を行わないことからN→Rセレクト時には上記L&Rブレーキ側の油圧を一旦減衰させた後、上記リバースクラッチへ作動圧を供給し、次いで、上記L&Rブレーキへ作動圧を再び供給するようにしているいるため、N→Rセレクト時から上記L&Rブレーキが係合動作するまでの所要セレクト時間が長く、運転者に不快感を与えてしまう。
【0006】
この所要セレクト時間を短くするためには、N→Rセレクト時に上記L&Rブレーキに印加されている作動圧を素早く減衰させた後、リバースクラッチを係合動作させる必要があるが、この作動圧が十分に減衰される前にリバースクラッチが係合動作されるとセレクトショックが生じる。
【0007】
このダイレクト制御による自動変速機のN→Rセレクト時のセレクトショックの軽減、及び所要セレクト時間の短縮を図る技術として、例えば特開平7−269685号公報では、L&Rブレーキに、オリフィスを介装する油圧通路とオリフィスを設けない油圧通路とを連通し、N→Rセレクト直後の過渡時においては、上記L&Rブレーキに印加されている作動圧をオリフィスが介装されていない油圧通路を介して速やかに排出し、一方リバースクラッチの係合動作が開始されると、上記L&Rブレーキに対しオリフィスを介装する油圧通路から作動圧を徐々に昇圧させながら供給する技術が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した特公平4−81061号公報に開示されている技術では、アキュムレータの容量変化により、N→Rセレクト時のセレクトショックを軽減するようにしているが、上記アキュムレータの容量変化の分、上記作動圧が上記リバースクラッチ及び上記L&Rブレーキを係合動作させるに十分な圧力に上昇する迄に比較的長時間を要し、運転者に不快感を与えてしまう。又、この先行技術ではアキュムレータを構成するアキュムレータピストン、スプリング等の部品、及びこれらを収容するケースを油圧回路中に設けなければならないため、油圧回路の設計の自由度が拘束されるばかりでなく、アキュムレータを必要とする分、部品点数が多く製造コストの高騰を招く。
【0009】
一方、特開平7−269685号公報に開示されている技術では、上記アキュムレータのような複雑な構成部品を用いず、L&Rブレーキに対し、油圧供給時と排出時とで異なる油圧通路を油圧切換え弁により選択的に連通させることで、N→Rセレクト時の所要セレクト時間の短縮とセレクトショックの軽減を両立させるようにしているため構成が簡素化されているが、L&Rブレーキへ作動圧を供給する際には必ずソレノイド弁を通過しなければならないため該ソレノイド弁の信頼性が問題となる。従って、このソレノイド弁の作動信頼性を保証するために、油圧回路に介装するフィルタの構造を複雑化したり、ソレノイド弁単品の品質管理が過剰となり、結果として製造コストの高騰を招いてしまう。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、簡単な構成で後進段選択時の所要セレクト時間の短縮とセレクトショックの軽減を図り、安価で高い信頼性を得ることのできる自動変速機の油圧制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明による第1の自動変速機の油圧制御装置は、後進段選択の際にセレクトレバーと連動するマニュアルバルブを介して作動圧を供給する油圧式クラッチと油圧式ブレーキとを備え、上記油圧式クラッチと上記マニュアルバルブとを第1の油圧通路を介して連通し、上記油圧式ブレーキとライン圧通路とを第2の油圧通路を介して連通し、上記第2の油圧通路に、少なくとも中立段選択時の上記油圧式ブレーキに印加する予圧を該油圧式ブレーキに伝達トルクが発生しない圧力に調整する圧力制御弁を介装し、上記第1の油圧通路と上記第2の油圧通路の上記圧力制御弁の下流とを第3の油圧通路を介して連通し、上記第3の油圧通路に絞り部を設け、上記第2の油圧通路と上記第3の油圧通路との合流部に該両油圧通路のうち高圧側の油圧通路が油圧ブレーキに接続するシャトル弁を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明による第2の自動変速機の油圧制御装置は、上記第1の自動変速機の油圧制御装置において、上記第3の油圧通路に上記絞り部をバイパスするバイパス通路を接続し、上記バイパス通路に上記第2の油圧通路から上記第1の油圧通路への流通を許容する逆止弁を介装したことを特徴とする。
【0013】
本発明による第3の自動変速機の油圧制御装置は、上記第1、第2の自動変速機の油圧制御装置において、上記圧力制御弁が比例電磁式減圧弁とデューティ制御式減圧弁との何れかであることを特徴とする。
【0017】
第1の自動変速機の油圧制御装置では、運転者がセレクトレバー操作により後進段を選択すると、該セレクトレバーと連動するマニュアルバルブを介し、第1の油圧通路を経て後進段選択の際に係合動作する油圧式クラッチに作動圧が供給されると共に、この作動圧の一部が第3の油圧通路を通り絞り部を経て第2の油圧通路に分流される。第2の油圧通路には後進段選択の際に係合動作する油圧式ブレーキが連通されおり、この油圧式ブレーキに対しては、上記第2の油圧通路を経て圧力制御弁によりライン圧を所定圧力に調圧した油圧が制御圧として供給されている。上記油圧式クラッチは後進段選択時に上記作動圧が供給されることで係合動作し、一方上記油圧式ブレーキに対しては上記絞り部から分流する作動圧が上記制御圧を越えたとき供給が開始され、この作動圧が上昇するに従い上記油圧式ブレーキが次第に係合動作する。この場合、セレクトレバーが中立段にセットされている時は、上記圧力制御弁による予圧が上記油圧式ブレーキに伝達トルクが発生しない程度の圧力に設定される。
【0018】
第2の自動変速機の油圧制御装置では、上記第1の自動変速機の油圧制御装置において、運転者がセレクトレバー操作により後進段から中立段或いは前進変速段を選択すると、上記油圧式クラッチに供給されている油圧が第1の油圧通路を経て排出されると共に、油圧式ブレーキに供給されている油圧が上記第3の油圧通路の絞り部をパイバスするバイパス通路から上記第1の油圧通路を経て排出される。
【0019】
第3の自動変速機の油圧制御装置では、上記第1、第2の自動変速機の油圧制御装置において、上記圧力制御弁を比例制御電磁式減圧弁とデューティ制御式減圧弁との何れかとし、上記圧力制御弁の弁開度を比例制御信号或いはデューテイ制御信号により制御する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。図1に本実施の形態で採用する自動変速機の動力伝達列を示す。この動力伝達列には、入力側からトルクコンバータ1、オイルポンプ2、多段変速機3が配設され、エンジン出力軸4からの駆動力が上記トルクコンバータ1を経て上記多段変速機3の入力軸5に伝達される。
【0024】
上記多段変速機3が、上記入力軸5の軸上に配設するフロントプラネタリギヤユニット6とリヤプラネタリギヤユニット7とを備え、この各プラネタリギヤユニット6(7)がプラネタリキャリヤ6a(7a)、リングギヤ6b(7b)、ピニオンギヤ6c(7c)、サンギヤ6d(7d)で構成されている。
【0025】
又、上記フロントプラネタリギヤユニット6の側方に、ハイクラッチ8、リバースクラッチ9、2&4ブレーキ10が並列に配設されている。上記ハイクラッチ8が上記入力軸3と上記フロントプラネタリキャリヤ6aとの間の動力伝達を断続し、上記リバースクラッチ9が上記入力軸5と上記フロントサンギヤ6dとの間の動力伝達を断続し、更に、上記2&4ブレーキ10が上記フロントサンギヤ6dと上記多段変速機3の自動変速機ケース11との間を係脱する。
【0026】
上記リヤプラネタリギヤユニット7のプラネタリキャリヤ7aが、上記フロントプラネタリギヤユニット6のリングギヤ6bと一体に回転すると共に出力軸12に連設されている。
【0027】
又、上記両プラネタリギヤユニット6,7の外周に、ロークラッチドラム13aが配設され、このロークラッチドラム13aがフロントプラネタリキャリヤ6aと一体回転すると共に、ローワンウェイクラッチ14に連設されている。更に、上記ロークラッチドラム13aと上記リヤプラネタリギヤユニット7のリングギヤ7bとの間に断続自在なロークラッチ13が介装されている。
【0028】
又、上記リヤプラネタリギヤユニット7の側方に、上記フロントプラネタリギヤユニット6のプラネタリキャリヤ6aと上記自動変速機ケース11との間を係脱する上記ローワンウェイクラッチ14と、このローワンウェイクラッチ14の空転を防止するローアンドリバース(L&R)ブレーキ15とが並列に配設されている。
【0029】
このような構成による上記多段変速機3は、前進4段、後進1段の変速段を有し、各変速段が上記ハイクラッチ8、上記リバースクラッチ9、上記ロークラッチ13、上記2&4ブレーキ10、L&Rブレーキ15の動作により適宜選択される。
【0030】
尚、変速時の各クラッチ、ブレーキの作動関係を表1に示す。
【0031】
【表1】
上記表1に示すように、中立段(Nレンジ)から後進段(Rレンジ)へシフトすると、リバースクラッチ9とL&Rブレーキ15が作動して後進段が選択動作される。すなわち、上記L&Rブレーキ15が係合すると、フロントプラネタリキャリヤ6aが上記ロークラッチドラム13aを介して上記自動変速機ケース11に固定される。一方、リバースクラッチ9が係合すると、エンジン出力が上記入力軸5から上記リバースクラッチ9を介してフロントプラネタリギヤユニット6のサンギヤ6dに伝達される。このとき、このフロントキャリヤ6aが自動変速機ケース11に固定されているため、上記フロントリングギヤ6bがフロントピニオンギヤ6cにより入力軸5に対して逆方向へ減速された状態で回転し、この回転力がリヤプラネタリギヤユニット7のプラネタリキャリヤ7aを介して出力軸12に伝達され、後進段の動力が出力される。
【0032】
尚、図2に示すように、上記L&Rブレーキ15は、多板のドライブプレートとドリブンプレートから成る摩擦係合要素15aと油圧により該摩擦係合要素15aを押圧するピストン15bと、この両者間に介装する皿ばね15cとで構成されている。
【0033】
図3に自動変速機の油圧回路図を示す。前進変速段選択時に係脱動作するハイクラッチ8とロークラッチ13と2&4ブレーキ10とが、油圧通路16を介してマニュアルバルブ17の前進油圧ポート17aに並列接続されていると共に、上記各油圧通路16に上記各クラッチ8,13及び2&4ブレーキ10とに供給する作動圧を調圧するソレノイド弁19が介装されている。
【0034】
又、後進段選択時に係脱動作するリバースクラッチ9が第1の油圧通路20を介して上記マニュアルバルブ17の後進油圧ポート17bに接続されている。更に、後進段或いは1速のエンジンブレーキを必要とする場合に係合する上記L&Rブレーキ15が第2の油圧通路21を介してライン圧通路22に接続され、更に、この第2の油圧通路21に圧力制御弁の一例であるソレノイド弁23が介装されている。このソレノイド弁23は、比例電磁式減圧弁、或いはデューティ制式減圧弁であり、このソレノイド弁23の弁開度によりライン圧PLを所定に減圧して上記L&Rブレーキ15に予圧としてのプライマリ圧PSを供給し、或いはセレクトレバーが1速レンジにセレクトされたときは、上記L&Rブレーキ15に対して作動圧を滑らかに立ち上げながら供給して変速ショックを軽減する。尚、このプライマリ圧PSは上記L&Rブレーキ15に伝達トルクを発生させない程度の圧力に設定されている。
【0035】
又、上記リバースクラッチ9に連通する油圧通路20と上記L&Rブレーキ15に連通する第2の油圧通路21の上記ソレノイド弁23の下流とが第3の油圧通路24を介して連通されていると共に、上記第2の油圧通路21と第3の油圧通路24との合流部に、この各油圧通路21,24を上記L&Rブレーキ15に対して差圧により選択的に連通するシャトル弁25が介装されている。
【0036】
更に、上記第3の油圧通路24に絞り部としてのオリフィス26が介装されて、又、このオリフィス26の上流と下流とがバイパス通路27によりバイパス接続されている。このバイパス通路27に、上記チェツクボール25側から上記第1の油圧通路20側への流通のみを許容する逆止弁の一例であるチェックボール28が介装されている。
【0037】
上記マニュアルバルブ17は図示しないセレクトレバーと連動しており、運転者が後進段(Rレンジ)を選択すると、図3に示すように上記マニュアルバルブ17を介してライン圧通路22と上記第1の油圧通路20とが連通され、又、セレクトレバーが中立段(Nレンジ)にセレクトされた状態では第1の通路20と前進変速段側の油圧通路16との双方が上記ライン圧通路22から遮断されると共に、上記各油圧通路16,20の油圧が図示しないドレーン通路を経て排出され、各クラッチ、ブレーキ9,8,10,13の係合動作が解除される。
【0038】
次に、上記構成による本実施の形態の動作について説明する。図示しないセレクトレバーが中立段(Nレンジ)にセットされているとき、各油圧通路16,20が解放され、上記ライン圧通路22からのライン圧PLは第2の油圧通路21にのみ供給される。すると、図4に示すように、上記第2の油圧通路21に介装されているソレノイド弁23にて調圧されたプライマリ圧PSがシャトル弁25により第3の油圧通路24を閉塞すると共に、L&Rブレーキ15に予圧とし供給される(図8の時間0〜t1)。このプライマリ圧PSが、上記L&Rブレーキ15に対して伝達トルクが発生しない程度の油圧に上記ソレノイド弁23にて調圧されているためL&Rブレーキ15は非作動状態を維持する。
【0039】
その後、運転者がセレクトレバーを後進段(Rレンジ)にセレクトすると(図8の時間t2)、図3に示すように上記マニュアルバルブ17がライン圧通路22と第1の油圧通路20とを連通する。すると、図5に示すように、第1の油圧通路20に連通するリバースクラッチ9にライン圧PLの供給が開始されると共に、この第1の油圧通路20に分岐接続する第3の油圧通路24側へもライン圧PLが分流される。
【0040】
その結果、上記リバースクラッチ9が上記ライン圧PLをリバースクラッチ圧PR1として係合動作し、一方、上記第3の油圧通路24側へ流通したライン圧PLは途中に設けられているオリフィス26を介してリバースクラッチ圧PR1として上記シャトル弁25側へ印加される。このチェツクボール25には上記第2の油圧通路21を流れるプライマリ圧PSが印加されており、PR1<PSの間は、図5に示すように、上記第3の油圧通路24がシャトル弁25により閉塞され、上記L&Rブレーキ15には上記プライマリ圧PSが依然予圧として印加され続ける。
【0041】
その後、上記リバースクラッチ圧PR1が上昇し、PR1≧PS になると(図8の時間t3)、上記シャトル弁25が上記第3の油圧通路24を開き、同時に第2の油圧通路21を次第に閉塞する。その結果、図6に示すように上記L&Rブレーキ15に対し上記リバースクラッチ圧PR1が作動圧PL&R/Bとして供給され始める。
【0042】
そして、上記L&Rブレーキ15に供給する作動圧PL&R/Bが上昇するに従い、上記L&Rブレーキ15のピストン15bが摩擦係合要素15aを皿ばね15cを介して押圧する。すると、この皿ばね15cが上記ピストン15bの押圧力を受けて撓み、この撓みにより上記ピストン15bの内容量が変化し、その分、上記摩擦係合要素15aに対する作動圧PL&R/Bの上昇が緩やかになる(図8の時間t4〜t5)。その結果、上記摩擦係合要素15aは滑らかに係合され、セレクトショックが軽減される。
【0043】
又、上記L&Rブレーキ15に対してはNレンジにおいてソレノイド弁23により調圧されたプライマリ圧PSが予圧として供給されているため、リバースクラッチ圧PR1を作動圧PL&R/Bとして上記L&Rブレーキ15に供給する際の所要セレクト時間を短縮することが可能になる。
【0044】
そして、上記作動圧PL&R/Bが上昇し、PL&R/B=PLになると(図8の時間t6)、上記摩擦係合要素15aが定常圧で係合された定常状態となる。
【0045】
一方、運転者がセレクトレバーを操作して後進段(Rレンジ)から中立段(Nレンジ)或いは前進変速段(Dレンジ、1〜3速レンジ)へセレクトすると、上記セレクトレバーと連動するマニュアルバルブ17が上記第1の油圧通路20とライン圧通路22とを遮断すると共に、この第1の油圧通路20を油圧ドレーン側へ連通させる。又、ソレノイド23が油圧通路21からシャトル弁25への油圧の供給を遮断する。
【0046】
すると、図7に示すように、上記L&Rブレーキ15に供給された作動圧PL&R/Bが第3の油圧通路24に介装されているオリフィス26をバイパスするバイパス通路27に介装されているチェックボール28を開き、第2の油圧通路20へ速やかに排出される。尚、図7の×は油圧ドレーンを示す。
【0047】
その結果、セレクトレバーを後進段(Rレンジ)から他のシフトへセレクトするとき上記L&Rブレーキ15に対する係合が直ちに解放されるため、例えば2速レンジへセレクトしてロークラッチ13と2&4ブレーキ10を係合動作させる際には(表1参照)、L&Rブレーキ15に対する係合が既に解放されているため、インターロックが発生せず、スムーズな発進性能を得ることが出来る。
【0048】
ところで、上記第2の油圧通路21に介装されているソレノイド弁23が塵埃等の混入によるスティック、或いは電気系統の異常などの理由から動作不良を起こし、L&Rブレーキ15に対して設定プライマリ圧PSが供給されなくなった場合でも、セレクトレバーを後進段(Rレンジ)にセレクトすると、第2の油圧通路20、第3の油圧通路24を経てリバースクラッチ圧PR1が上記L&Rブレーキ15に対し作動圧PL&R/Bとして供給されるため、上記L&Rブレーキ15はプライマリ圧PSが予圧として印加されていない分、若干の動作遅れは生じるが動作不能とはならず後進走行が可能となる。
【0049】
又、図9に本発明の第2の実施の形態による自動変速機の油圧回路を示す。上述した第1の実施の形態では、第2の油圧通路21に介装したソレノイド弁23を電流制御、或いはデューティ制御により開度制御することで、プライマリ圧PSを設定しているが、本実施の形態では、電磁閉止弁であるソレノイド弁34をON/OFF切換えによるスイッチング制御にて動作させ、プライマリ圧PSはオリフィス31,33で調圧する。
【0050】
すなわち、第2の油圧通路21の中途にオリフィス31を介装すると共に、この第2の油圧通路21をL&Rブレーキ15にシャトル弁25を介して連通し、又、この第2の油圧通路21の上記オリフィス31の下流にドレーン通路32を分岐接続し、このドレーン通路32に、ON動作時に全閉動作するソレノイド弁34を介装すると共に、その上流又は下流にオリフィス33を配設する。
【0051】
上記ソレノイド弁23は1速レンジが選択されたときにのみ全閉動作して上記ドレーン通路32を閉塞し、それ以外のレンジが選択されたときは全開動作してドレーン通路32を解放する。
【0052】
その結果、運転者がセレクトレバーを1速レンジにセレクトすると、ドレーン通路32が全閉し、ライン圧通路22からのライン圧PLが第2の油圧通路21に介装されているオリフィス31により油圧供給速度を調整されつつL&Rブレーキ15に供給され、このL&Rブレーキ15に作動圧PL&R/Bを印加し、この作動圧PL&R/Bがライン圧PLに達したとき(PL&R/B=PL)、上記L&Rブレーキ15が定常の係合状態になる。このときリバースクラッチ9に連通する第1の油圧通路20に対してはライン圧PLは供給されていない(表1参照)。
【0053】
一方、セレクトレバーを1速レンジ以外のレンジ、例えば中立段(Nレンジ)にセットすると、上記ソレノイド弁34が全開し、L&Rブレーキ圧PL&R/Bの一部がドレーン通路32から排出される。その結果、上記L&Rブレーキ15に供給されるL&Rブレーキ圧PL&R/Bが、上記第2の油圧通路21に介装されたオリフィス31と上記ドレーン通路32に介装されたオリフィス33との口径バランスにより、上記L&Rブレーキ15に対し伝達トルクを発生させない程度の圧力に調整された予圧PSとして供給される。
【0054】
このように、本実施の形態では安価な電磁閉止弁の使用が可能で、セレクトレバーが1速レンジにセレクトされたときにのみ上記ソレノイド弁34を全閉動作させるので、ソレノイド弁34の動作頻度が少なく、その分、耐久性が向上する。更に、プライマリ圧PSが第2の油圧通路21に介装されたオリフィス31とドレーン通路32に配設したオリフィス33との口径バランスにより設定されるだけの簡単な構造であるため、耐久性、信頼性が一層向上する。
【0055】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、以下に列記する効果が奏される。
【0056】
請求項1記載の発明によれば、後進選択時に動作する油圧式ブレーキに連通する第2の油圧通路をライン圧通路に接続すると共に、第2の油圧通路に圧力制御弁を介装し、又上記第1の油圧通路と上記第2の油圧通路の上記圧力制御弁の下流とを第3の油圧通路を介して連通したので、後進段選択時に上記第1の油圧通路を介して油圧式クラッチに供給する作動用油圧の一部が上記第3の油圧通路に分流されて上記油圧式ブレーキに供給され、しかもこの第3の油圧通路に絞り部を設けたことにより上記油圧式ブレーキに供給される作動圧が緩やかに昇圧されるので、後進段選択時のセレクトショックが軽減される。更に、所要セレクト時間の短縮及びセレクトショックの軽減をアキュムレータやスプールバルブ等、比較的高価な部品を用いることなく実現できるので、システム全体の低コスト化を図ることが可能になる。又、後進段選択時には、第1の油圧通路から油圧式クラッチ及び油圧式ブレーキに対して作動圧が供給されるため、上記第2の油圧通路に介装されている圧力制御弁が動作不良を起こした場合でも、上記油圧式ブレーキを確実に係合動作させることができ、後進走行不能を有効に回避することが可能となり、高い信頼性を得ることができるばかりでなく、過剰な防塵構造を備える必要が無く、品質管理の正常化が図れ、製品コストを一層低減させることができる。
更に、中立段選択時の上記油圧式ブレーキに印加されている予圧を該油圧式ブレーキに伝達トルクが発生しない圧力に調整することで、後進段選択時から油圧式ブレーキが係合動作するまでの所要セレクト時間を短縮することができる。
【0057】
請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、上記第3の油圧通路に上記絞り部をバイパスするバイパス通路を接続し、このバイパス通路に上記第2の油圧通路から上記第1の油圧通路への流通を許容する逆止弁を介装したので、後進段から中立段或いは前進変速段へセレクトしたとき、上記油圧式ブレーキに供給されている作動圧が上記バイパス通路から逆止弁を介して上記第1の油圧通路に排出されるため、上記油圧式ブレーキに印加されている作動圧を直ちに解除することができ変速時間の短縮を図ることができる。
【0058】
請求項3記載の発明では、上記請求項1或いは2記載の発明において、上記圧力制御弁の弁開度を電流制御信号とデューティ制御式減圧弁との何れかで制御することにより、上記油圧式ブレーキに供給する予圧をより高精度に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による自動変速機の動力伝達列を示す模式図
【図2】同、自動変速機の要部断面図
【図3】同、自動変速機の要部油圧回路図
【図4】同、中立段選択時の図3の部分詳細図
【図5】同、後進段選択直後の図3の部分詳細図
【図6】同、後進段選択後の図3の部分詳細図
【図7】同、後進段から中立段或いは前進段選択時の図3の部分詳細図
【図8】同、ライン圧と作動圧との時間的変化を示す図表
【図9】本発明の第2の実施の形態による自動変速機の動力伝達列を示す模式図
【符号の説明】
9…油圧式クラッチ
15…油圧式ブレーキ
17…マニュアルバルブ
20…第1の油圧通路
21…第2の油圧通路
22…ライン圧通路
23…圧力制御弁(ソレノイド弁)
24…第3の油圧通路
26,31,33…絞り部
27…バイパス通路
28…逆止弁
32…ドレーン通路
34…電磁閉止弁(ソレノイド弁)
PL&R/B…(油圧式ブレーキに対する)作動圧
Claims (3)
- 後進段選択の際にセレクトレバーと連動するマニュアルバルブを介して作動圧を供給する油圧式クラッチと油圧式ブレーキとを備え、
上記油圧式クラッチと上記マニュアルバルブとを第1の油圧通路を介して連通し、
上記油圧式ブレーキとライン圧通路とを第2の油圧通路を介して連通し、
上記第2の油圧通路に、少なくとも中立段選択時の上記油圧式ブレーキに印加する予圧を該油圧式ブレーキに伝達トルクが発生しない圧力に調整する圧力制御弁を介装し、
上記第1の油圧通路と上記第2の油圧通路の上記圧力制御弁の下流とを第3の油圧通路を介して連通し、
上記第3の油圧通路に絞り部を設け、
上記第2の油圧通路と上記第3の油圧通路との合流部に該両油圧通路のうち高圧側の油圧通路が油圧ブレーキに接続するシャトル弁を設けたことを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。 - 上記第3の油圧通路に上記絞り部をバイパスするバイパス通路を接続し、
上記バイパス通路に上記第2の油圧通路から上記第1の油圧通路への流通を許容する逆止弁を介装したことを特徴とする請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。 - 上記圧力制御弁が比例電磁式減圧弁とデューティ制御式減圧弁との何れかであることを特徴とする請求項1或いは2記載の自動変速機の油圧制御装置。
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