JP3915199B2 - 抗菌性包装材料 - Google Patents

抗菌性包装材料

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  • Storage Of Fruits Or Vegetables (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カット野菜等の食品に使用してその鮮度保持を図る包装材料に関するもので、さらに詳しくは包装材料に抗菌効果を持たせることにより菌数増加を抑制するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品に使用される抗菌性包装材料としてはプラスチック樹脂に銀ゼオライトを練り混んでフィルム成形したものが従来から知られているが、この場合、包装材料と食品の接触する部分にしか効果がなく、特に内容物が固形分の場合は内容物全体に抗菌作用が及ばないという欠点があった。
同様に揮発性の抗菌成分であるアリルイソチオシアネートやヒノキチオールを紙に含浸させたり、フィルムにコーティングしたものもあるが、この場合、抗菌成分がすぐに揮発してしまい、効果の持続時間が短いという欠点があった。
【0003】
ところで、カット野菜を包装して販売するカット野菜製品の場合、菌数の増加が問題となる。一般にカット野菜を加工する際に前処理として水洗いや塩素溶液洗いを行ない、初発の菌数を極力、低減させる工夫がなされているが、実際の商品の菌数を測定するとかなり高いことが多い。
【0004】
一方、食品添加物であり、食品用途に使用することのできる抗菌性を有する物質としてヒノキチオールが知られており、ヒノキチオールを利用した各種抗菌材料はこれまでにも抗菌、鮮度保持目的に利用されている。しかし、ヒノキチオールを利用した抗菌材料はヒノキチオールの揮発性が高いため、その効果の持続期間が短く、また、材料に含浸または塗布させたヒノキチオールは水等の液体により脱落し、効果が失われ易い。
【0005】
また、ヒノキチオールを樹脂に直接、練り込んだシート状の製品もあるが、シートを成形する際に樹脂を高温で溶融させなければならず、揮発性のヒノキチオールはほとんど飛散してしまい、効果がなくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明においては、非接触でも内容物全体に対して抗菌効果があり、包装材料の製造工程において抗菌成分が消失する割合が少なく、また、使用時には抗菌成分が徐放的に揮発することで効果を長時間持続できる抗菌作用を持つ包装材料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために考えられたものであり、請求項1記載の発明は、基材となる樹脂層と熱融着性の樹脂層及び両層を接着させる接着剤から成る積層フィルムであって、その接着剤に抗菌性を有する天然物由来の揮発性生理活性物質であるメチルメタンチオスルホネートを含むことを特徴とする抗菌性包装材料である。請求項2記載の発明は、前記積層フィルムの熱融着性の樹脂層に、孔径が数μm〜数十μmの微細な孔が無数に形成されていることを特徴とする請求項1記載の抗菌性包装材料である。請求項3記載の発明は、前記孔が、熱融着性の樹脂層側から設けられ、孔径が数μm〜数十μmの微細な未貫通孔であることを特徴とする請求項記載の抗菌性包装材料である。
【0008】
本発明では上記のように揮発性の抗菌成分を用いることで、非接触でも内容物全体に抗菌効果を発揮することができる。また、抗菌成分を接着剤に含ませて積層フィルムを作ることで、揮発性抗菌成分がフィルム製造過程で受ける熱量を、樹脂に練り混んでフィルム化する場合よりも少なくすることができ、よって、抗菌成分の消失を少なくできる。また、抗菌成分は樹脂層を透過して揮発してくるため、徐放性があり、効果を長時間持続させることができる。
【0009】
また、熱融着性樹脂層の厚みを基材層の厚みよりも小さくすることで熱融着樹脂層側により多く揮発させることができ、さらに熱融着性樹脂層側に微細孔を多数形成することでほとんどの抗菌成分を熱融着性樹脂層側に揮発させることができる。また、熱融着性樹脂層の厚さと微細孔の数や貫通・未貫通の選択によって、抗菌成分の揮発量を制御することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
本発明における抗菌性包装材料は、生鮮食品を密封包装して使用するのに最も適する。よって、袋にしてシール包装するのが望ましく、コストを考慮すると積層する樹脂層は基材側が延伸ポリプロピレン、熱融着性樹脂層側がポリエチレン又は未延伸ポリプロピレンが望ましい。
【0011】
積層方法は、基材フィルムに熱溶融させた熱融着性樹脂を押出ラミネートしてもよく、基材フィルムと熱融着性フィルムをドライラミネートしてもよい。熱による揮発性抗菌成分の消失をより少なくするにはドライラミネートの方が望ましい。
【0012】
接着剤の種類も特に限定されないが、ドライラミネーションにおいて溶剤除去のための乾燥時間を短くするため、溶剤配合比の少ない接着剤系が望ましい。以下に本発明の具体的な実施例を示す。抗菌性を有する天然物由来の揮発性生理活性物質としてメチルメタンチオスルホネートを用いた
【0013】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。
【0014】
〈実施例1〉
次の配合比でメチルメタンチオスルホネート入りのドライラミネート用接着剤を調整した。
・主剤(ポリエステル系):56重量%
・硬化剤(ポリイソシアネート系):4重量%
・溶剤(酢酸エチル):36重量%
・メチルメタンチオスルホネート:4重量%
厚さ30μmの延伸ポリプロピレンフィルムと厚さ20μmのポリエチレンフィルムを、上記のように調整したメチルメタンチオスルホネート入り接着剤を用いてドライラミネートし、積層フィルムを得た。
ドライラミネートは次の条件で行なった。
・接着剤塗布量:8g/m2 wet
・乾燥条件:80℃×10秒
・エージング:なし(室温放置)
【0015】
〈実施例2〉
厚さ30μmの延伸ポリプロピレンフィルムと無数の微細孔を形成した厚さ20μmのポリエチレンフィルムを実施例1と同様に調整したメチルメタンチオスルホネート入り接着剤を用いて、実施例1と同様の条件でドライラミネートし、積層フィルムを得た。
微細孔の形成は、挟圧ロールの一方の表面にダイヤモンド粒子をコーティングしたロール間にフィルムを通して形成する方法、すなわち、特開平4−2499号公報記載の方法により行なった。
【0016】
〈実施例3〉
実施例2で得られた積層フィルムにポリエチレン側から無数の微細孔を形成して微細孔フィルムを得た。
微細孔の形成は、実施例2と同様の方法で行なった。
このとき、挟圧の圧力を調整してフィルムに形成した微細孔は未貫通孔となるように形成した。
【0017】
〈比較例1〉
メチルメタンチオスルホネートを含まない接着剤で実施例1と同様に作成した比較用積層フィルムを得た。
〈比較例2〉
メチルメタンチオスルホネートを含まない接着剤で実施例3と同様に作成した比較用積層フィルムを得た。
【0018】
さらに、メチルメタンチオスルホネートを含む積層包装材料である実施例1〜3及び比較用積層包装材料である比較例1、2の包装材料を用いて、各種菌液を塗布した平面培地シャーレを密封包装し、30℃において菌の発育状況を観察した。試験に用いた菌は枯草菌、大腸菌、青カビであった。その結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
Figure 0003915199
【0020】
また、実施例1〜3及び比較例1、2の包装材料を用いて、カットレタスを密封包装し、15℃で4日間保存して、一般性菌数の増加を確認した。その結果を表2に示す。
【0021】
【表2】
Figure 0003915199
【0022】
表1に示すように、メチルメタンチオスルホネートを含む積層包装材料では、各菌に対して発育阻害効果が見られた。
【0023】
また、表2に示すように実施例2、3においてはカットレタスの一般生菌数の増殖を抑制した。この結果から、熱融着性樹脂層側に微細孔を形成してある方が効果が高いと言える。
【0024】
また、実施例で用いた生理活性物質の濃度は4%であったが、生理活性物質の種類や必要とする抗菌力の程度やコスト等との兼ね合いによって調整でき、また、孔開けの程度も同様の理由で調整できる。
【0025】
【発明の効果】
上記のように、本発明による包材でカット野菜を密封包装することによって、流通過程におけるカット野菜に付着した生菌の増殖を抑制することができる。よって、カット野菜の鮮度保持を図り、より新鮮で安全なカット野菜を提供し、また、鮮度保持期間を延長することが可能となる。
【0026】
本発明では上記のように揮発性の抗菌成分を用いることで、非接触でも内容物全体に抗菌効果を発揮することができる。また、抗菌成分を接着剤に含ませて積層フィルムを作ることで、揮発性抗菌成分がフィルム製造過程で受ける熱量を、樹脂に練り混んでフィルム化する場合よりも少なくすることができ、よって、抗菌成分の消失を少なくできる。また、抗菌成分は樹脂層を透過して揮発してくるため、徐放性があり、効果を長時間持続させることができる。
【0027】
また、熱融着性樹脂層の厚みを基材層の厚みよりも小さくすることで熱融着樹脂層側により多く揮発させることができ、さらに熱融着性樹脂層側に微細孔を多数形成することでほとんどの抗菌成分を熱融着性樹脂層側に揮発させることができる。また、熱融着性樹脂層の厚さと微細孔の数や貫通・未貫通の選択によって、抗菌成分の揮発量を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る包装材料の一例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る包装材料の一例を示す断面図である。
【図3】本発明に係る包装材料の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:基材層
2:接着剤層
3:シーラント層
4:微細孔
5:抗菌性包装材料

Claims (3)

  1. 基材となる樹脂層と熱融着性の樹脂層及び両層を接着させる接着剤から成る積層フィルムであって、その接着剤に抗菌性を有する天然物由来の揮発性生理活性物質であるメチルメタンチオスルホネートを含むことを特徴とする抗菌性包装材料。
  2. 前記積層フィルムの熱融着性の樹脂層に、孔径が数μm〜数十μmの微細な孔が無数に形成されていることを特徴とする請求項1記載の抗菌性包装材料。
  3. 前記孔が、熱融着性の樹脂層側から設けられ、孔径が数μm〜数十μmの微細な未貫通孔であることを特徴とする請求項記載の抗菌性包装材料。
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