JP2991907B2 - 抗菌性吸水シート - Google Patents

抗菌性吸水シート

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JP2991907B2
JP2991907B2 JP5277127A JP27712793A JP2991907B2 JP 2991907 B2 JP2991907 B2 JP 2991907B2 JP 5277127 A JP5277127 A JP 5277127A JP 27712793 A JP27712793 A JP 27712793A JP 2991907 B2 JP2991907 B2 JP 2991907B2
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光行 橋詰
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生鮮食品等の食品の鮮
度保持材等に用いられる抗菌性吸水シートに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より、生鮮食品の鮮度保持材として
抗菌性シートは、広く利用されている。上記抗菌性シー
トとしては、実開平3-111982号公報、特開平3-224437号
公報に開示されているように、抗菌性および揮散性を有
するイソチオシアン酸エステル類および/またはモノテ
ルペン類の抗菌性成分のサイクロデキストリン包接物
が、シート材料内部に含有、あるいはシート材料表面ま
たは層間に塗膜層として設けられたものが開示されてい
る。
【0003】これにより、生鮮食品を包装する包装容器
内に上記抗菌性シートが敷かれ、上記包装容器がラップ
等により密閉されると、上記抗菌性成分が揮発ガスとし
て上記包装容器内に充満する。このことから、上記生鮮
食品における上記抗菌性シートとの非接触部分での微生
物の増殖が上記抗菌性成分によって抑制される。
【0004】ところが、上記抗菌性シートでは、生鮮食
品における非接触部分での微生物の増殖を抑制できる
が、上記抗菌性シートに吸収される生鮮食品から出たド
リップに発生し易い微生物の増殖を抑制する効果が低い
という問題を生じている。
【0005】そこで、上記問題を回避するために、特公
平3-69541号公報、特開平3-148470号公報、特開平2-30
3825号公報、特開平2-253847号公報、特開平2-252555号
公報、特開平2−252554号公報に開示されているよう
に、上記抗菌性シートに対し、さらに抗菌性粒子を含有
させた抗菌性吸水シートが考えられた。
【0006】上記抗菌性粒子は、抗菌作用を有する銀等
の金属または/およびその金属塩を安全に長時間、抗菌
性を発揮するために、生理的に不活性なゼオライトや活
性炭等の無機担体に吸着またはイオン交換により担持さ
れたものである。
【0007】よって、上記抗菌性吸水シートには、前記
サイクロデキストリン包接物および上記抗菌性粒子を吸
水性樹脂粒子間に混合し、少なくとも一方が透水性を有
する不織布等の包装材料間に挟持してシート状に成形し
たものが想定される。
【0008】これにより、上記の抗菌性吸水シートは、
上記金属の抗菌性によって、上記抗菌性粒子と接触した
微生物の増殖をさらに抑制できるようになっているの
で、吸収したドリップに対しての抗菌性を改善できるも
のとなっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記抗菌性
吸水シートでは、抗菌性粒子と接触した微生物に対して
殺菌作用や静菌作用を有しているが、上記抗菌性粒子と
離間した微生物に対しては殺菌作用や静菌作用が小さ
い。このため、上記抗菌性吸水シートでは、多くの抗菌
性粒子を備える必要から、コストの高い抗菌性金属であ
る銀を多く用いる必要があるので、コストアップを招来
するという問題を生じている。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の抗菌性吸
水シートは、以上の課題を解決するために、抗菌性およ
び揮発性を有する油状抗菌剤を包接したサイクロデキス
トリン包接物を有する吸水性シート状部材を備える抗菌
性吸水シートにおいて、非晶質リン酸カルシウム粒子に
抗菌性金属イオンが吸着された抗菌性粒子が上記シート
状部材に保持されていることを特徴としている。
【0011】請求項2記載の抗菌性吸水シートは、抗菌
性および揮発性を有する油状抗菌剤を包接したサイクロ
デキストリン包接物を有する吸水性シート状部材を備え
る抗菌性吸水シートにおいて、非晶質リン酸カルシウム
粒子に抗菌性金属イオンが吸着された抗菌性粒子を保持
する樹脂フィルムが、上記樹脂フィルムの延伸によって
上記抗菌性粒子の一部を露出するように形成され、か
つ、上記吸水性シート状部材に積層されていることを特
徴としている。
【0012】請求項3記載の抗菌性吸水シートは、請求
項1または請求項2記載の抗菌性吸水シートにおいて、
油状抗菌剤は、抗菌性および揮発性を有するイソチオシ
アン酸エステル類およびモノテルペン類の中から選択さ
れた少なくとも一つのものであることを特徴としてい
る。
【0013】上記吸水シート状部材としては、吸水性を
有するものであれば、特に限定されないが、紙、パルプ
や綿等の天然繊維やポリエステルやアクリル等の合成繊
維からなる布、不織布などの透水性および吸水性を有す
るシートを挙げることができ、さらに、上記シート内の
繊維間に絡合によって吸水性樹脂粒子を保持させたも
の、あるいは上記各シート間に吸水性樹脂粒子を分散さ
せたもの、あるいはポリウレタンフォーム等の連続気泡
を有する合成樹脂発泡体を挟持させたものが挙げられ
る。
【0014】上記吸水性樹脂としては、例えばデンプン
・アクリル酸塩のグラフト重合体、カルボキシメチルセ
ルロース架橋体、ビニルアルコール・アクリル酸塩共重
合体、ポリアクリロニトリル加水分解物、架橋ポリアク
リル酸塩、変性ポリビニルアルコール、アクリル酸重合
体、アクリル酸塩・アクリルアミド共重合体、イソブチ
レン・無水マレイン酸共重合体などが挙げられるが、吸
水性を有する材料であれば、特に限定されない。
【0015】上記油状抗菌剤としては、常温において揮
散性を有し、抗菌作用としての殺菌あるいは静菌作用を
有するイソチオシアン酸エステル類、モノテルペン類の
単体、それらの混合物、および香草であるセージやタイ
ム等から抽出された油状物が挙げられる。
【0016】上記イソチオシアン酸エステル類として
は、からしやわさびの辛味成分であるイソチオシアン酸
アリル(CH2=CHCH2NCS)、イソチオシアン酸フェニル、
イソチオシアン酸メチル、イソチオシアン酸エチル、イ
ソチオシアン酸プロピル、イソチオシアン酸イソプロピ
ル、イソチオシアン酸ブチル、イソチオシアン酸イソブ
チル、イソチオシアン酸イソアミル、イソチオシアン酸
ベンジル、イソチオシアン酸シクロヘキシル等が使用さ
れる。
【0017】前記モノテルペン類としては、ヒノキチオ
ール等のテルペン炭化水素、テルペンアルコール、テル
ペンアルデヒド、テルペンケトン、テルペンオキシド、
テルペン酸が挙げられる。なお、上記油状抗菌剤は、水
と自由に混和するアルコールと水との混液に溶解してサ
イクロデキストリンに混合し、減圧乾燥によって上記ア
ルコールおよび水を留去することにより上記サイクロデ
キストリンに吸着される。
【0018】油状抗菌剤の担体として用いられる上記サ
イクロデキストリンとしては、α−サイクロデキストリ
ン、β−サイクロデキストリン、γ−サイクロデキスト
リンを用いることができるが、油状抗菌剤の包接性や経
済性が良いことから、β−サイクロデキストリンが好ま
しい。なお、上記のようなサイクロデキストリンを用い
るのは、サイクロデキストリンが食品安全性を有すると
共に、上記油状抗菌剤の抗菌作用を安定してより有効に
発揮させる特性を有するからである。
【0019】すなわち、サイクロデキストリンは、油状
抗菌剤の被包接物における化学的な安定化、揮発の除放
化、無臭化、酸化防止、光分解抑制をはかり、包接され
た油状抗菌剤の長期間にわたる安定性、有効性を確保で
きるものである。
【0020】その上、油状抗菌剤を包接したサイクロデ
キストリンは、ドリップ等の水分と接触すると、上記油
状抗菌剤をより放出することから、食品を載せたときに
油状抗菌剤の揮発濃度を高めるといった揮発濃度の制御
が可能となるので、上記油状抗菌剤の担体として好適に
用いられる。
【0021】しかも、サイクロデキストリンを担体とす
ることにより、上記サイクロデキストリンは、ゼオライ
ト等の無機質担体と比べて吸湿性が小さいため、食品の
包装内雰囲気湿度に影響されることなく、被包接物の安
定した揮発濃度が得られると共に、消臭効果により食品
から発生する異臭を除去できる。
【0022】上記サイクロデキストリン包接物における
吸水シート状部材に対する配合量は、0.01〜10g/m2
が好ましく、さらには 0.1〜5g/m2 が好ましい。そ
の配合量が0.01g/m2 未満であると、その効果が小さ
くなり、その配合量が10g/m2 を越えると、吸水シー
ト状部材に対して安定に保持させることが困難なものと
なる。
【0023】上記抗菌性粒子は、非晶質リン酸カルシウ
ム粒子に、抗菌性金属または抗菌性金属イオンを吸着担
持させたものであり、上記非晶質リン酸カルシウム粒子
が有害菌等の微生物を吸着する特性を有することから、
接触する微生物だけではなく、近辺の微生物に対しても
の抗菌作用を有して、例えば食品からのドリップ等にお
ける微生物の増殖を抑制できるものである。
【0024】以下に、上記抗菌性粒子について説明す
る。まず、上記非晶質リン酸カルシウム(Amorphous Ca
lcium Phosphate :以下、ACPと略す)粒子を含むス
ラリー中に、固形分で50重量%以下となるように、抗菌
性金属イオンを混合することにより、上記ACP粒子に
上記抗菌性金属イオンが、イオン交換によって吸着され
抗菌性粒子が得られる。
【0025】なお、上記抗菌性金属イオンを吸着したA
CP粒子を噴霧乾燥造粒法などにより造粒乾燥して抗菌
性粒子を得てもよい。これにより、上記抗菌性粒子の比
表面積を大きくできて、抗菌性を向上させることができ
る。
【0026】上記スラリーは、攪拌下の水酸化カルシウ
ム懸濁液に、中性あるいは弱アルカリ性の水溶性高分子
分散剤、例えばトリアクリル酸アンモニウム塩を 0.1〜
10重量%添加し、好ましくは 0.1〜3重量%添加して混
合溶液を得た後、攪拌下の上記混合溶液をリン酸水溶液
の滴下によってpH10〜5に調整すると、粒径約 0.1μ
m以下のACP微粒子を含むものである。
【0027】上記ACP微粒子は、粉末X線回折法によ
り、そのパターンからリン酸カルシウム〔Ca3(PO4)2
nH2O〕であり、また、そのパターンがブロードであるこ
とから、非晶質なリン酸カルシウムであることが確認さ
れる。その上、上記ACP微粒子は、結晶水を含むこと
から静電気的に活性な物質であると思われ、種々な菌体
やウイルスを吸着し易くなっていると想定される。
【0028】また、得られた抗菌性粒子が大きな比表面
積をそなえるために、スラリーのACP微粒子は、その
粒径が 0.1μm以下であることが好ましい。また、抗菌
性金属イオンを金属粉末あるいは金属化合物粉末の状態
で上記スラリーに加える場合、上記金属粉末あるいは金
属化合物粉末の粒径は、溶解性を高めるために20μm以
下であることが望ましい。その上、抗菌性金属イオンを
スラリーに加える場合、上記混合は室温条件にて行うこ
とが望ましい。
【0029】なお、上記抗菌性粒子を造粒して得る場
合、スラリーにおけるACP微粒子が90重量%以上とな
ると、スラリーの粘度が高くなるので、造粒に不適とな
る。なお、スラリーにおけるACP微粒子の含量を1〜
90重量%の範囲で変えることにより、所望の平均粒径を
有する抗菌性粒子を得ることができる。
【0030】また、造粒法としては、得られる粒子が、
多孔質、かつ、粒径 200μm以下の略球状で、かつ、比
表面積を10m2/g以上にできるものであれば、特に限定さ
れるものではないが、例えば噴霧乾燥造粒法を用いるこ
とができ、他にフリーズドライ後に粉砕してなる造粒
法、また、高速撹拌型造粒法を用いてもよい。
【0031】抗菌性金属イオンを供給する抗菌性金属と
しては、金、銀、亜鉛、銅、錫、鉛、砒素、白金、鉄、
アンチモン、ニッケル、アルミニウム、バリウム、カド
ミウム、マンガンから少なくとも一種の金属、またはそ
れらの混合物、あるいはそれらの金属化合物、およびそ
れらの水溶液を用いることができる。
【0032】上記抗菌性粒子を保持する前記樹脂フィル
ムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等
の熱可塑性樹脂である合成樹脂から作製される。上記樹
脂フィルムには、吸水シート状部材に積層された際に、
生鮮食品からのドリップ等の水を上記吸水シート状部材
に効率よく吸水させるために透水性を有する方が望まし
い。このため、上記樹脂フィルムには、その表裏面を貫
通するスリットあるいは細孔を多数設けることが好まし
い。
【0033】上記樹脂フィルムに抗菌性粒子を配合する
方法としては、直接ロール、バンバリー、ニーダー、押
出機等の混練機で溶融混練する方法、また、あらかじめ
ヘンシェル型ミキサー等で合成樹脂の粉体と混合した
後、前述の混練機等で溶融混練する方法、あるいは抗菌
性粒子の含有量が高濃度の前述した合成樹脂によるマス
ターバッチペレットを作製し、そのマスターバッチペレ
ットを前述した合成樹脂との混練により希釈する方法な
ど、公知の方法を使用することができる。
【0034】上記樹脂フィルムは、上記のように抗菌性
粒子と合成樹脂とを混練したものを上記抗菌性粒子の粒
径よりも厚いフィルム状物を成形し、上記フィルム状物
を、上記粒径と同様な厚さ、または上記粒径よりも薄い
厚さに延伸によって延ばして成形される。
【0035】これにより、押し出し成形時等の圧力によ
る上記抗菌性粒子の粒度変化や形状の変化を回避しなが
ら、上記樹脂フィルムの表面に抗菌性粒子の一部を露出
させることができる。このことから、上記抗菌性粒子
は、外部と接触して抗菌性を発揮することができ、か
つ、樹脂フィルムに強固に保持される。
【0036】このような樹脂フィルムの成形方法として
は、インフレーションフィルム成形法、Tダイフィルム
成形法、カレンダー成形法、一軸延伸フィルム成形法、
二軸延伸フィルム成形法など公知の成形方法を挙げるこ
とができる。
【0037】また、樹脂フィルムを吸水シート状部材に
積層する際、上記樹脂フィルムと吸水シート状部材と
は、熱シールによる貼着や、接着剤による貼着が挙げら
れるが、これらに限定されるものでない。また、貼着形
態としては、面接着、線接着、点接着等が可能である
が、これらには限定されない。
【0038】このように抗菌性粒子を保持した樹脂フィ
ルムを用いることにより、上記抗菌性粒子を吸水性シー
ト状部材の所望する位置に偏在させることができるの
で、上記抗菌性粒子の抗菌性を有効に利用することがで
きる。
【0039】
【実施例】 〔実施例1〕本発明の一実施例を実施例1として図1お
よび図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。抗
菌性吸水シートは、図1に示すように、天然パルプシー
トのような吸水シート(吸水シート状部材)21に、抗
菌性および揮発性を有するイソチオシアン酸アリルをβ
−サイクロデキストリン(以下、β−CDという)に包
接したβ−CD包接物粒子23と、抗菌性を有する銀イ
オンを吸着した抗菌性非晶質リン酸カルシウム(Amorph
ous Calcium Phosphate :以下、ACPという)粒子
(抗菌性粒子)25とを内部の繊維間にほぼ均一に分散
して含有保持したものである。
【0040】まず、抗菌性ACP粒子25について説明
する。上記抗菌性ACP粒子25は、図2に示すよう
に、ACP粒子1を含むスラリー中に、固形分で所定量
の抗菌性金属イオンである銀イオン2を混合した混合物
スラリー3を噴霧乾燥造粒法などにより造粒乾燥して得
られた。
【0041】上記スラリーを以下のようにして製造す
る。最初に、攪拌下の水酸化カルシウム懸濁液に、弱ア
ルカリ性の水溶性高分子分散剤としてのトリアクリル酸
アンモニウム塩を 0.5重量%添加して混合溶液を得た。
【0042】その後、上記混合溶液に対し、pH11付近
に至るまで2〜4倍に水で希釈したリン酸水溶液を滴下
し、続いて、5〜8倍に水で希釈したリン酸水溶液を滴
下して、上記混合溶液をpH10〜9に調整することによ
り、粒径約0.1μm以下のACP微粒子を含むスラリー
を得た。
【0043】上記スラリーでは、水溶性高分子分散剤の
添加によって、ACP微粒子の凝集が回避されており、
よって、ACP微粒子が一次粒子の状態で保持されてい
る。
【0044】次に、上記抗菌性粒子の製造方法では、上
記スラリーをイオン交換水により希釈して、ACP粒子
1の濃度が20重量%となるように調製したACPスラリ
ーを得、上記ACPスラリーにおけるACP含量に対し
て、イオン交換水に溶解した無水硝酸銀を、 0.5 mol%
となるように水溶液にて上記ACPスラリーに添加し、
さらに、攪拌モータで1時間混合して混合物スラリー3
を得た。
【0045】その次に、上記混合物スラリー3を、定量
ポンプ4によりスプレードライヤー(大川原化工機社製
L−8 )5に供給する。スプレードライヤー5のアトマ
イザー6を高速回転させて、上記混合物スラリー3を、
スプレードライヤー5内の乾燥用の熱空気流中に噴霧す
る噴霧造粒法により造粒乾燥して、銀イオンが添加吸着
された抗菌性ACP粒子25を得た。
【0046】造粒乾燥により得られた略球状の抗菌性A
CP粒子25としては、サイクロン8によって30μmの
平均粒径のものが採取された。このとき、サイクロン8
により採取しきれない超微粉体はバグフィルター(図示
せず)により別に採取されて回収された。
【0047】さらに、上記の抗菌性ACP粒子25にお
ける銀イオンの添加量 0.5 mol%に代えて、1 mol%、
2 mol%の銀イオンの添加量の抗菌性ACP粒子25を
それぞれ調製した。
【0048】上記各抗菌性ACP粒子25は、噴霧造粒
法により、球状となり、また、粒径約0.1μm以下のA
CP粒子1を用いたから、比表面積の大きな多孔質なも
のとなる。そこで、上記各抗菌性ACP粒子25の比表
面積をBET法により測定した結果、各比表面積は79〜
83m2/gであった。
【0049】なお、上記噴霧乾燥造粒における操作条件
は次の通りであった。定量ポンプ4による原料としての
混合物スラリー3の供給量は1〜3kg/hであり、エアフ
ィルター9を介して電気ヒーター10によって加温され
た熱空気の温度は、熱ガス室11の入口温度が 200〜 2
50℃に、サイクロン8に繋がる排出孔12における出口
温度が 100℃を常に越えるように制御され、また、アト
マイザー6の回転数は10000〜37000rpmの範囲内に設定
された。
【0050】また、上記スプレードライヤー5をよりス
ケールアップした2種のスプレードライヤー(大川原化
工機社製 FOC-20,OD-25G、FOC-25,OC-25) を用いて、ス
ラリー供給量を100kg/hrとし、他の条件は上記と同様に
抗菌性粒子を調製したところ、上記スプレードライヤー
5による抗菌性ACP粒子25と同様の抗菌性粒子が得
られた。このようにして得られた抗菌性ACP粒子25
は略球状であった。次に、上記ACP粒子1について、
X線回折法により、上記各抗菌性粒子の生成相を調べた
ところ、図示しないが、得られた各抗菌性粒子は、リン
酸カルシウム〔Ca3(PO4)2 ・nH2O〕であり、また、その
パターンがブロードであることから、非晶質なリン酸カ
ルシウムであることが判る。
【0051】また、上記各抗菌性ACP粒子25は、非
晶質リン酸カルシウム粒子内に銀イオンを取り込んで吸
着していて、上記両者の固溶体状態を形成していること
が同定された。つまり、上記非晶質リン酸カルシウムの
微結晶内や、カルシウムイオンの位置等に銀イオンが取
り込まれていると想定される。
【0052】さらに、上記で得られた硝酸銀の混合率2
mol%、1 mol%、 0.5 mol%とした各抗菌性ACP粒
子25の抗菌力を測定した。比較例1として市販品の抗
菌性アパタイト粒子(銀の混合率 1.9 mol%)を用い
た。
【0053】試験方法 1.菌液の調製 寒天培地で37℃、18時間培養した試験菌体をリン酸
緩衝液(1/15M、pH7.2)に浮遊させ108 cells/mlの
懸濁液である原液を調整し、その原液を適宜希釈して試
験に用いた。
【0054】2.抗菌性試験(シェークフラスコ法) 各抗菌性ACP粒子25および抗菌性アパタイト粒子を
試料として 0.1gそれぞれ秤量し、上記リン酸緩衝液 1
00mlの入った各 200ml三角フラスコにそれぞれ入れ、こ
れらに、試験菌懸濁液を約105 cells/mlになるように加
えた後、これらの三角フラスコを25℃±5℃に保ちなが
ら振とうし、経時的に上記各三角フラスコ内の菌数をそ
れぞれ測定した。使用菌株は次の通り。
【0055】 使用菌株 Escherichia coli(大腸菌) IFO-12734 Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌) IFO-12732 Psedomonas aeruginosa (緑膿菌) IFO-12689 Candida albicans(カンジダ) IFO-1060 使用培地 細菌:Mueller Hinton 2 (BBL) 真菌:ポテトデキストロース寒天培地(栄研) 上記の測定結果を表1〜4に示した。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】このように上記実施例の各抗菌性ACP粒
子25は、従来の抗菌性粒子として市販されている前記
抗菌性アパタイト粒子より、抗菌作用が高いことが示さ
れた。これは、上記各抗菌性ACP粒子25は、多孔質
であるから、菌と接触する面積である比表面積が大き
く、その上、基材として用いたACPが高い菌吸着能
(朝日新聞、1993年1月16日付け夕刊、参照)を有する
ことにより、銀イオン2の抗菌性を効率よく発揮できる
ためと想定される。
【0061】また、このような抗菌性ACP粒子25
は、真球状であるから、生鮮食品を載せる発泡プラスチ
ックトレイ等の樹脂成形品等にブレンドするときにも均
一に分散され易いものであり、樹脂成形品に対する混合
性を従来より向上できる。
【0062】次に、上記各抗菌性ACP粒子25は、プ
ラスチックシートに配合されて、生鮮食品を載せる発泡
プラスチックトレイ等の白色である上記トレイに使用さ
れることが想定される。このことから、配合された抗菌
性ACP粒子25が有色である場合、上記トレイにゴミ
や汚れが付着しているとユーザーに誤認される虞があ
る。そこで、上記各抗菌性ACP粒子25の色を目視に
て観察したところ、全ての各抗菌性ACP粒子25は、
無色である白色であり、ゴミや汚れと誤認されることが
ないものであった。
【0063】これにより、上記抗菌性ACP粒子25
は、樹脂成形品に対する混合性を向上できると共に無色
であるから、市販されているプラスチックス容器等の製
造時に容易に練り込むことができ、あるいはシート状プ
ラスチックに容易に混合成形しても、汚れ等に誤認され
る虞を防止できる。よって、上記プラスチック容器の外
観の劣化も回避できる。
【0064】また、上記抗菌性ACP粒子25は、樹脂
原料に混合してプラスチックス容器を成形して、その容
器の内表面に露出させることができ、また、ラミパック
等のようにプラスチック容器の表面にコーティングでき
るから、上記抗菌性ACP粒子25と接触する食品にお
ける有害菌等の微生物に対して、銀イオンによって殺菌
・静菌作用を有している。
【0065】その上、上記抗菌性ACP粒子25は、ラ
ップされた食品トレイ等のような密閉容器内の生鮮食品
に対しても、上記プラスチック容器に載置された食品上
における雑菌等の微生物の増殖を抑制できる。
【0066】このことから、上記抗菌性粒子は生鮮食品
の日持ち向上を図ることができると共に、雑菌の増殖し
た食品による食中毒の防止効果を有し、さらに、野菜類
や果物類、鮮魚等の生鮮食料品の鮮度保持効果も有する
ことができる。
【0067】ところで、担体としてゼオライトを用いた
抗菌性粒子では、空気中の水分を吸湿し易いため、上記
抗菌性粒子を溶融した熱可塑性樹脂に混練して成形する
際、加熱によって上記水分を熱可塑性樹脂内に放出する
ことによって、上記熱可塑性樹脂の成形性を劣化させて
いた。このため、上記抗菌性粒子を熱可塑性樹脂に混練
する場合は、上記抗菌性粒子を混練直前に乾燥させる必
要があった。
【0068】しかしながら、上記抗菌性ACP粒子25
では、ACPが担体となっているため、吸湿性が低く、
事前に乾燥させる必要があるといった手間の問題がな
く、加熱して成形する熱可塑性樹脂等に混合して成形す
ることも容易となっている。
【0069】次に、図1に示す前記β−CD包接物粒子
23について説明すると、抗菌性および揮発性を有する
油状抗菌剤であるイソチオシアン酸アリルを所定の濃度
に溶剤〔水・エタノール混液(1:9)〕に溶解した溶
液を、β−CD 100重量部に対し、イソチオシアン酸ア
リルが20重量部となるように混合した混合物を得た後、
上記混合物を減圧乾燥によって上記溶剤を留去して、上
記イソチオシアン酸アリルがβ−CDに包接されたβ−
CD包接物粒子23を得た。 このように上記実施例1
の抗菌性吸水シートは、生鮮食品、例えばマグロの切身
が載せられ、ラップされて密閉された状態で冷蔵陳列ケ
ース等に並べられて保存される食品トレイに敷いて用い
られると、上記抗菌性吸水シートと接触する生鮮食品の
部分は、β−CD包接物粒子23および抗菌性ACP粒
子25、特に抗菌性ACP粒子25によって殺菌および
静菌されて、有害菌等の微生物の増殖が抑制される。
【0070】また、上記生鮮食品から流出するドリップ
については、上記抗菌性ACP粒子25によって殺菌お
よび静菌されて、上記ドリップ内の微生物に起因する異
臭の発生が防止され、さらに、吸水シート21内の天然
パルブ間に吸収されるから、生鮮食品との接触が防止さ
れるので、上記生鮮食品におけるドリップとの接触によ
る変色が回避される。
【0071】その上、上記抗菌性吸水シートと接触しな
い生鮮食品の部分についても、β−CD包接物粒子23
によって殺菌および静菌される。つまり、上記抗菌性吸
水シートからβ−CD包接物粒子23に包接されたイソ
チオシアン酸アリルが揮発し、上記密閉状態となる食品
トレイ内に充満することになる。これにより、抗菌性吸
水シートに対する上記生鮮食品の非接触部分にも上記イ
ソチオシアン酸アリルが達するので、上記非接触部分に
対しても殺菌および静菌作用が発揮される。
【0072】さらに、上記β−CD包接物粒子23で
は、ドリップ等の水分と接触することにより、包接して
いたイソチオシアン酸アリルをより放出し易いという特
性を有している。このことから、抗菌性吸水シートで
は、ドリップ等を流出し易い、マグロ等の鮮魚の切身が
載せられると、上記ドリップ等によりイソチオシアン酸
アリルの揮発濃度を高めることができる。したがって、
上記抗菌性吸水シートでは、生鮮食品が載せられてか
ら、イソチオシアン酸アリルの揮発濃度を高めることが
できて、上記イソチオシアン酸アリルの有用性をより効
率よく利用できるものとなっている。
【0073】〔実施例2〕次に、前記抗菌性ACP粒子
25およびβ−CD包接物粒子23を用いた抗菌性吸水
シートにおける他の実施例を実施例2として図3に基づ
いて説明する。なお、上記実施例1と同様の機能を有す
る部材については同一の部材番号を付与して、その説明
を省いた。
【0074】抗菌性吸水シートは、図3に示すように、
前記β−CD包接物粒子23を内部に分散した吸水シー
ト21の上に、銀イオンを 0.5 mol%含有する前述した
抗菌性ACP粒子25を、その一部露出した状態で分散
保持した樹脂フィルム22を熱接着により積層したもの
である。
【0075】上記樹脂フィルム22は次のようにして得
られた。まず、加熱によって溶融したポリプロピレン樹
脂80重量部に対し、上記抗菌性ACP粒子25を20重量
部混練して樹脂組成物を得た後、上記樹脂組成物75重量
部に上記ポリプロピレン樹脂25重量部を単軸押出機で溶
融混練し、Tダイ成形機にて押し出して、厚さ 100μm
の合成樹脂フィルムを作製し、この合成樹脂フィルムを
一軸方向に延伸して、厚さ30μmの抗菌性樹脂フィルム
を得た。上記抗菌性樹脂フィルムに、その表裏面を貫通
する長さ1cmのスリットを縦横1cm間隔にそれぞれ形成
して前記樹脂フィルム22を作製した。
【0076】このような樹脂フィルム22では、用いら
れた抗菌性ACP粒子25の平均粒径が30μmであるた
め、延伸したときに、抗菌性ACP粒子25の一部が露
出している。これにより、上記抗菌性ACP粒子25が
外部と接触できて、抗菌性を有効に発揮できる。
【0077】一方、β−CD包接物粒子23を内部に分
散した吸水シート21は、β−CD包接物粒子23を3
gを天然パルプシート(5cm×5cm)の内部のパルプ繊
維間に分散させたものである。
【0078】次に、このような抗菌性吸水シートの抗菌
性について調べた。上記抗菌性吸水シートをマグロの切
身の下に敷き、シャーレに入れパラフィルムによって密
封包装し、温度5℃の冷蔵庫内に48時間保存した。この
とき、保存開始時と、48時間保存後のマグロ表面の低温
菌の菌数をそれぞれ測定し、かつ、表面上の色や粘りの
有無および異臭の有無による商品価値の評価をそれぞれ
行った。比較例2として、前記樹脂フィルム22のみ用
いて、他は同様にして低温菌の菌数および商品価値の測
定をそれぞれ行った。これらの結果を表5に示した。な
お、商品価値の評価では、許容できるものは〇にて示
し、許容できないものについては×にて示した。
【0079】
【表5】
【0080】〔実施例3〕次に、前記抗菌性ACP粒子
25およびβ−CD包接物粒子23を用いた抗菌性吸水
シートにおけるさらに他の実施例を実施例3として図6
に基づいて説明する。なお、上記実施例1および実施例
2と同様の機能を有する部材については同一の部材番号
を付与して、その説明を省いた。
【0081】抗菌性吸水シートでは、上記実施例2にお
けるβ−CD包接物粒子23を吸水シート21の内部に
含有させることに代えて、上記β−CD包接物粒子23
を3gウレタン系バインダーを用いて吸水シート21上
に塗布して塗布層24を形成し、その塗布層24上に、
銀イオンを 0.5 mol%含有する前述した抗菌性ACP粒
子25を、その一部露出した状態で分散保持した樹脂フ
ィルム22を熱接着により積層したものである。
【0082】次に、このような抗菌性吸水シートの抗菌
性について調べた。上記抗菌性吸水シートをマグロの切
身の下に敷き、シャーレに入れパラフィルムによって密
封包装し、温度5℃の冷蔵庫内に48時間保存した。この
とき、保存開始時と、48時間保存後のマグロ表面の低温
菌の菌数をそれぞれ測定し、かつ、表面上の色や粘りの
有無および異臭の有無による商品価値の評価をそれぞれ
行った。比較例3として、前記β−CD包接物粒子23
を3g、吸水シート21上に塗布したものを用いて、他
は同様にして低温菌の菌数および商品価値の測定をそれ
ぞれ行った。これらの結果を表6に示した。
【0083】
【表6】
【0084】〔実施例4〕次に、前記抗菌性ACP粒子
25およびβ−CD包接物粒子23を用いた抗菌性吸水
シートにおけるさらに他の実施例を実施例4として図7
に基づいて説明する。なお、上記実施例1ないし実施例
3と同様の機能を有する部材については同一の部材番号
を付与して、その説明を省いた。
【0085】抗菌性吸水シートでは、上記実施例3にお
けるポリエチレン樹脂に代えて、ポリプロピレン樹脂を
用いて、以下同様にして作製して、図7に示すように、
抗菌性ACP粒子25を含有する樹脂フィルム22’が
用いられている。
【0086】よって、上記抗菌性吸水シートでは、上記
β−CD包接物粒子23を3gウレタン系バインダーを
用いて吸水シート21上に塗布して塗布層24を形成
し、その塗布層24上に、銀イオンを 0.5 mol%含有す
る前述した抗菌性ACP粒子25を、その一部露出した
状態で分散保持した樹脂フィルム22’を熱接着により
積層したものである。
【0087】次に、このような抗菌性吸水シートの抗菌
性について調べた。上記抗菌性吸水シートをマグロの切
身の下に敷き、シャーレに入れパラフィルムによって密
封包装し、温度5℃の冷蔵庫内に48時間保存した。この
とき、保存開始時と、48時間保存後のマグロ表面の低温
菌の菌数をそれぞれ測定し、かつ、表面上の色や粘りの
有無および異臭の有無による商品価値の評価をそれぞれ
行った。比較例4として、未処理となる吸水シート21
のみを用いて、他は同様にして低温菌の菌数および商品
価値の測定をそれぞれ行った。これらの結果を表7に示
した。
【0088】
【表7】
【0089】このように上記各実施例の抗菌性吸水シー
トは、β−CD包接物粒子23および抗菌性ACP粒子
25とが協同することにより、マグロ等の生鮮食品にお
ける有害となる低温菌等の微生物の増殖を、抗菌性吸水
シートと接触する部分だけではなく、非接触部分に対し
ても顕著に抑制できるものである。
【0090】また、油状抗菌剤としてのイソチオシアン
酸アリルは、天然物であるカラシおよびワサビに含まれ
る油状の辛味成分であって、通常の摂取量では人体に対
して安全な化合物である一方、銀イオン2はACP粒子
1に強固に吸着されていて外部に溶出することが回避さ
れ、人体内に摂取されることが防止される。
【0091】この結果、上記各実施例の抗菌性吸水シー
トは、安全性が高い上に、抗菌性に優れていることによ
り保存する生鮮食品の外観の劣化も回避できるので、生
鮮食品等の食品の載置トレイ等に好適に使用することが
できる。
【0092】なお、上記各実施例の構成では、油状抗菌
剤として、イソチオシアン酸アリルを用いた例を挙げた
が、上記に特に限定されることはなく、常温において揮
散性を有し、殺菌・静菌作用を有するもの、例えばヒノ
キチオールやテルペン類を用いることも可能である。
【0093】なお、上記実施例4では、図6に示すよう
に、吸水シート21の上に塗布層24を形成し、その塗
布層24上に樹脂フィルム22を積層した例を挙げた
が、図5に示すように、吸水シート21の上に樹脂フィ
ルム22を積層し、その樹脂フィルム22上に塗布層2
4を形成したものでもよい。
【0094】また、図4に示すように、吸水シート21
内に抗菌性ACP粒子25を分散させて、絡合等により
保持させ、上記吸水シート21上に、前記の塗布層24
を形成してもよい。
【0095】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の抗菌性吸水シー
トは、以上のように、抗菌性および揮発性を有する油状
抗菌剤を包接したサイクロデキストリン包接物を有する
吸水性シート状部材を備える抗菌性吸水シートにおい
て、非晶質リン酸カルシウム粒子に抗菌性金属イオンが
吸着された抗菌性粒子が上記シート状部材に保持されて
いる構成である。
【0096】それゆえ、上記構成は、生鮮食品等を載置
する食品トレイ等の内表面に用いると、非晶質リン酸カ
ルシウムの有する菌の吸着作用によって、抗菌性金属イ
オンの抗菌性を有効に発揮することができる。
【0097】また、上記構成は、ラップされた食品トレ
イ等のような密閉容器内に敷くことにより、油状抗菌剤
がサイクロデキストリン包接物から揮発して、上記密閉
容器内の食品における非接触部位に対しても高い抗菌性
を発揮し得るから、上記密閉容器内の食品の非接触部位
に対しても抗菌性を発揮することができる。
【0098】これらの結果、上記構成は、生鮮食品等の
食品の鮮度保持剤として好適に使用でき、特に、食品ト
レイのようにラップ等により密閉される包装形態に好適
に使用できるという効果を奏する。
【0099】本発明の請求項2記載の抗菌性吸水シート
は、以上のように、抗菌性および揮発性を有する油状抗
菌剤を包接したサイクロデキストリン包接物を有する吸
水性シート状部材を備える抗菌性吸水シートにおいて、
非晶質リン酸カルシウム粒子に抗菌性金属イオンが吸着
された抗菌性粒子を保持する樹脂フィルムが、上記樹脂
フィルムの延伸によって上記抗菌性粒子の一部を露出す
るように形成され、かつ、上記吸水性シート状部材に積
層されている構成である。
【0100】それゆえ、上記構成は、さらに、抗菌性粒
子を露出して保持する樹脂フィルムによって、上記抗菌
性粒子を吸水シート状部材の所望する位置に偏在させる
ことができるので、微生物との接触により抗菌性を発揮
する抗菌性金属イオンの抗菌性をより効率よく発揮でき
るという効果を奏する。
【0101】本発明の請求項3記載の抗菌性吸水シート
は、以上のように、請求項1または2記載の抗菌性吸水
シートにおいて、油状抗菌剤は、抗菌性および揮発性を
有するイソチオシアン酸エステル類およびモノテルペン
類の中から選択された少なくとも一つのものである構成
である。
【0102】それゆえ、上記構成は、さらに、油状抗菌
剤が、イソチオシアン酸エステル類、モノテルペン類で
あるから、安全性が高く、食品等に付着しても安全であ
るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の抗菌性吸水シートの概略断
面図である。
【図2】上記抗菌性吸水シートに用いられる抗菌性AC
P粒子を得るための噴霧造粒機の概略構成図である。
【図3】本発明の実施例2の抗菌性吸水シートの概略断
面図である。
【図4】上記抗菌性吸水シートの一変形例の概略断面図
である。
【図5】上記抗菌性吸水シートの他の一変形例の概略断
面図である。
【図6】本発明の実施例3の抗菌性吸水シートの概略断
面図である。
【図7】本発明の実施例4の抗菌性吸水シートの概略断
面図である。
【符号の説明】
21 吸水シート(吸水シート状部材) 23 β−CD包接物粒子(サイクロデキストリン包
接物) 25 抗菌性ACP粒子(抗菌性粒子)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 7/02 A23B 4/14 Z (56)参考文献 特開 平3−224437(JP,A) 特開 平7−46973(JP,A) 特開 平3−148470(JP,A) 特開 平2−303825(JP,A) 特開 平2−303826(JP,A) 特開 平2−253847(JP,A) 特開 平2−252555(JP,A) 特開 平2−252554(JP,A) 特開 平7−33173(JP,A) 実開 平3−111982(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23L 3/34 - 3/3598

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗菌性および揮発性を有する油状抗菌剤を
    包接したサイクロデキストリン包接物を有する吸水性シ
    ート状部材を備える抗菌性吸水シートにおいて、 非晶質リン酸カルシウム粒子に抗菌性金属イオンが吸着
    された抗菌性粒子が上記シート状部材に保持されている
    ことを特徴とする抗菌性吸水シート。
  2. 【請求項2】抗菌性および揮発性を有する油状抗菌剤を
    包接したサイクロデキストリン包接物を有する吸水性シ
    ート状部材を備える抗菌性吸水シートにおいて、 非晶質リン酸カルシウム粒子に抗菌性金属イオンが吸着
    された抗菌性粒子を保持する樹脂フィルムが、上記樹脂
    フィルムの延伸によって上記抗菌性粒子の一部を露出す
    るように形成され、かつ、上記吸水性シート状部材に積
    層されていることを特徴とする抗菌性吸水シート。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2記載の抗菌性吸水
    シートにおいて、 油状抗菌剤は、抗菌性および揮発性を有するイソチオシ
    アン酸エステル類およびモノテルペン類の中から選択さ
    れた少なくとも一つのものであることを特徴とする抗菌
    性吸水シート。
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JPH09299458A (ja) * 1996-05-16 1997-11-25 Sekisui Plastics Co Ltd 感染防御方法および感染防御用シート
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