JP3439340B2 - 抗菌性フィルム - Google Patents

抗菌性フィルム

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JP3439340B2
JP3439340B2 JP08679598A JP8679598A JP3439340B2 JP 3439340 B2 JP3439340 B2 JP 3439340B2 JP 08679598 A JP08679598 A JP 08679598A JP 8679598 A JP8679598 A JP 8679598A JP 3439340 B2 JP3439340 B2 JP 3439340B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】本発明は、生鮮食品等の鮮度を保持し、日
持ちを向上させる抗菌性フィルムに関する。 【0002】 【従来の技術】生鮮食品等の食品におけるカビの発生や
細菌の増殖等を防ぐ抗菌効果を有する物質として、イソ
チオシアン酸エステル類、モノテルペン化合物等の油状
抗菌剤が知られている。これらの抗菌剤は一般に揮発性
を有しており、すぐに拡散してしまうため、そのままの
状態では抗菌効果を発揮できない。そこで、上記揮発性
油状抗菌剤をシクロデキストリンに包接させて、徐放さ
せ得る状態とした上で用いている。また、シクロデキス
トリンに包接させることにより、抗菌剤の化学的な安定
化、無臭化、酸化防止、光分解の抑制を図ることもで
き、抗菌作用の長期間にわたる安定性、有効性を確保で
きる。 【0003】揮発性油状抗菌剤のシクロデキストリン包
接物(以下、CD包接物という)は、例えば食品を包装
する包装容器に塗布したり、練り込んだりして使用され
る。このような使用形態をとることにより、包装容器と
接触する生鮮食品の表面に抗菌作用を付与できる。ま
た、包装容器を密閉して、CD包接物から放散した油状
抗菌性成分のガスを包装容器内に充満させることで、生
鮮食品が包装容器と直接接触していない部分の表面にも
抗菌作用を付与できる。 【0004】また、揮発性油状抗菌剤のCD包接物は、
フィルムやシート材料の内部に散在させまたは表面に塗
布して、抗菌性フィルムまたは抗菌性シートとした上
で、生鮮食品を直接包装する軟包装材としても使用され
ている。この抗菌性フィルムや抗菌性シートを製造する
方法としては、(i) 熱可塑性樹脂樹脂にCD包接物を練
り込み、押出加工やインフレーション加工等によりフィ
ルム状に成形したり(特開平6−191562号公
報)、(ii)ウレタン系樹脂バインダーを用いて天然パル
プシート表面に塗布したり(特開平3−224437号
公報)、(iii) 熱可塑樹脂を酢酸エチル、トルエン等の
溶剤に溶解させ、この溶液にCD包接物を分散させてフ
ィルムに塗工し、次いで溶剤を揮発させたりする方法が
一般的である。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高湿度
下では、上記のCD包接物から抗菌剤が放散する速度が
速い。このため、上記抗菌性フィルムや抗菌性シート
を、例えば浅漬け等の漬け物、生食用牡蠣等のように、
水分とともに密封される食品の包装に使用すると、抗菌
効果が早期に消失するという問題が生じることが、本発
明者らの検討により明らかとなった。 【0006】また、抗菌性フィルムを製造する場合にも
種々の問題が生じることが判明した。例えば前記(i) の
ように、CD包接物を熱可塑性樹脂に練り混む場合に
は、抗菌剤と熱可塑性樹脂との混練物をフィルム状に成
形するまでに加熱する工程を数回経るため、その度にC
D包接物内の抗菌剤が放散してしまい、抗菌剤が目減り
するという問題がある。一方、抗菌剤の目減りに対応し
てあらかじめ樹脂中にCD包接物を大量に混入すれば、
抗菌性フィルム自体の物性が低下して、ピンホールの発
生やシール不良等の問題が生じる。 【0007】前記(ii)の製造方法では、酢酸エチル、ト
ルエン等の溶剤の一部がシクロデキストリンに包接され
て抗菌性シート内部に残存し、使用時に揮発するという
重大な欠点を有する。例えば、酢酸エチルがシクロデキ
ストリンに包接されて抗菌性シート内部に残存した場合
に、その抗菌性シートをマグロ等の刺身の包装に使用す
ると、使用時に揮発する酢酸エチルの影響で刺身の赤み
が土色に変色するといった食品衛生上の問題が生じる。 【0008】前記(iii) の製造方法では、シート材料と
してウレタン系樹脂が用いられるために、直接食品に接
触する用途には使用できない。また、食品に直接接触さ
せなくても、残留モノマーや遊離のイソチオシアネート
等が悪影響を及ぼすため、食品衛生上の問題が生じる。
さらに、上記の製造方法では、抗菌剤がフィルムやシー
トの全体に混練されていることから、実際に使用されな
い部分にも抗菌剤が含有しており、無駄になる分が多い
という問題もあった。 【0009】そこで本発明の目的は、天然樹脂バインダ
ーを含有するアルコール系溶剤に高湿環境下でも長期に
わたって抗菌作用が得られる抗菌性材料を分散させた分
散液を塗布してなる抗菌性フィルムを提供することであ
る。また、本発明の他の目的は、人体に対する安全性が
高く、かつ抗菌剤の無駄を生じない抗菌性フィルムを提
供することである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために研究を重ねていく中で、デンプンを酵
素反応により、または酸による加水分解反応により低分
子化したものであるデキストリンが、イソチオシアン酸
エステル類等の揮発性油状抗菌剤を吸着し、徐放する性
質を有しており、高湿環境下でも抗菌剤の放散速度が遅
いという事実を見出し、さらに研究を重ねた結果、前記
抗菌剤のCD包接物と、デキストリンに吸着させたもの
とを組み合わせればよいことを見出し、本発明を完成す
るに至った。 【0011】すなわち、本発明で使用する抗菌性材料
は、揮発性油状抗菌剤を包接したシクロデキストリン
と、揮発性油状抗菌剤を吸着したデキストリンとを含む
ことを特徴とする。優れた抗菌効果を得るには、カビや
細菌があまり増殖していない初期の段階から抗菌作用を
付与することが好ましいが、本発明の抗菌性材料によれ
ば、CD包接物からの揮発性油状抗菌剤の放散によって
初期の段階においても放散量が多い(すなわち、立ち上
がりが充分である)。さらに、前記抗菌剤をデキストリ
ンに吸着させたもの(以下、デキストリン吸着物とい
う)からの揮発性油状抗菌剤の放散は、上記CD包接物
よりもタイミングが遅れて生じることから、長期にわた
って抗菌作用を発現する。 【0012】また、本発明の抗菌性フィルムは、揮発性
油状抗菌剤を包接したシクロデキストリンと、揮発性油
状抗菌剤を吸着したデキストリンとを、天然樹脂バイン
ダーとアルコール系溶剤との混合液に分散し、この分散
液をフィルム表面の少なくとも一部に塗布したものであ
る。上記本発明の抗菌性フィルムは、揮発性油状抗菌剤
のCD包接物やデキストリン吸着物をシート部材用の樹
脂と混練して押出成形等の加工を施すのではなく、天然
樹脂バインダーとアルコール系溶媒との混合液に分散さ
せた上で塗布させることによって得られる。 【0013】すなわち、抗菌性フィルムの製造に、押出
成形等の加工に伴う加熱工程を含まず、CD包接物から
の抗菌剤の放散を促す水や、食品衛生上問題を生じるお
それのある溶剤、樹脂等を使用する工程を含まない。ま
た、アルコール溶液中ではシクロデキストリン包接物か
らの抗菌剤の放散がわずかに促進されるものの、デキス
トリン吸着物からの抗菌剤の放散が生じにくい。従っ
て、抗菌性フィルムの製造時に抗菌剤が目減りするのを
充分に抑制することができる。 【0014】また、天然樹脂バインダーを用いており、
前述のような食品衛生上問題を生じるおそれのある溶剤
や樹脂を使用しないことから、食品と直接接触して使用
することも可能である。さらに、フィルムの一部に抗菌
剤が塗布されているので製袋上の支障もなく、製造時に
バッチ単位毎に抗菌剤を計量添加する手間も省くことが
できる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 〔抗菌性材料〕 本発明に使用する抗菌性材料に用いられる揮発性油状抗
菌剤は、常温において揮発性を有し、抗菌作用としての
殺菌または静菌作用を有する油状成分であって、例えば
カラシやワサビの辛味成分であるイソチオシアン酸エス
テル類や、天然植物等に豊富に含まれるモノテルペン化
合物等が挙げられる。これらの油状成分は植物の抽出物
等から得られる天然物であって、人体に対する安全性が
高い。とりわけ、イソチオシアン酸エステル類は食品衛
生上認められた添加物であり、かつ優れた抗菌作用を発
揮することから、好適に用いられる。 【0016】イソチオシアン酸エステル類の具体例とし
ては、イソチオシアン酸アリル(CH2 =CHCH2
CS)、イソチオシアン酸フェニル、イソチオシアン酸
メチル、イソチオシアン酸エチル、イソチオシアン酸プ
ロピル、イソチオシアン酸イソプロピル、イソチオシア
ン酸ブチル、イソチオシアン酸イソブチル、イソチオシ
アン酸イソアミル、イソチオシアン酸ベンジル、イソチ
オシアン酸シクロヘキシル等が挙げられる。 【0017】モノテルペン化合物としては、テルペン炭
化水素、テルペンアルコール、テルペンアルデヒド、テ
ルペンケトン、テルペンオキシド等が挙げられる。揮発
性油状抗菌剤を包接するシクロデキストリンとしては、
α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ
−シクロデキストリン等のほか、マルトシルシクロデキ
ストリン、ジメチルシクロデキストリン、トリメチルシ
クロデキストリン等の分岐または修飾シクロデキストリ
ン;シクロデキストリンポリマー等が挙げられる。かか
るシクロデキストリンは、食品衛生上の安全性が高く、
上記抗菌剤の抗菌作用を安定化してより有効に発揮させ
る特性を有する。上記例示のシクロデキストリンの中で
も、油状抗菌剤の包接性や経済性等の観点から、β−シ
クロデキストリンが好適に用いられる。 【0018】シクロデキストリンに揮発性油状抗菌剤を
包接させる方法は、特に限定されるものではなく、シク
ロデキストリンと揮発性油状抗菌剤とを常法に従って混
練することによって得ることができる。シクロデキスト
リンに包接させる揮発性油状抗菌剤の量は、シクロデキ
ストリン100重量部に対して5〜14重量部、好まし
くは8〜12重量部の範囲で設定される。抗菌剤の量が
上記範囲を超えてもシクロデキストリンに包接される量
は変わらないため、抗菌剤が無駄になりコスト面で不利
である。逆に抗菌剤の量が上記範囲を下回ると、抗菌効
果が不十分になる。 【0019】揮発性油状抗菌剤を吸着するデキストリン
は、デンプンを酵素によって分解し、または酸による加
水分解によって分解して低分子化したものであって、マ
ルトース以上の鎖長を有するグルコース重合体の混合物
である。このデキストリンは食品素材であることから、
人体に対する安全性が高い。デキストリンに揮発性油状
抗菌剤を吸着させる方法は、特に限定されるものではな
く、例えば油状抗菌剤とデキストリンおよび水の分散液
に乳化剤を入れスプレードライする方法等が挙げられ
る。 【0020】デキストリンに吸着させる揮発性油状抗菌
剤の量は、デキストリン100重量部に対し1〜40重
量部、好ましくは15〜30重量部の範囲で設定され
る。抗菌剤の量が上記範囲を超えてもデキストリンに吸
着される量は変わらないため、抗菌剤が無駄になりコス
ト面で不利である。逆に抗菌剤の量が上記範囲を下回る
と、抗菌効果が不十分になる。 【0021】本発明に使用する抗菌性材料において、揮
発性油状抗菌剤のCD包接物とデキストリン吸着物との
配合割合は特に限定されないが、抗菌効果を迅速に発揮
し、かつ長期にわたって持続させるという観点から、C
D包接物とデキストリン吸着物との割合を、重量比で1
0:90〜90:10、好ましくは30:70〜70:
30の範囲で設定するのが好ましい。 【0022】〔抗菌性フィルム〕本発明の抗菌性フィル
ムを形成する原料樹脂としては、特に限定されないが、
例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアル
コール、ポリエステル等が挙げられる。天然樹脂バイン
ダーとしては、アルコール系溶剤に可溶であるほかは特
に限定されないが、例えばシェラック(Shellac) 樹脂、
コーパル(copal) 樹脂等が好適に用いられる。このよう
な天然樹脂バインダーは、ウレタン樹脂のように人体に
悪影響を及ぼす残留モノマーがなく、直接食品に接触さ
せて使用することができる。中でも、シェラック樹脂は
エチルアルコール等のアルコール系溶剤との溶解性が優
れており、好適である。 【0023】アルコール系溶剤としては、食品衛生上の
安全性を有するものであればよく、例えばエチルアルコ
ール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、
シンナミルアルコール、デカノール等が挙げられる。中
でもエチルアルコールは、溶剤自体が抗菌作用を発揮す
る特性を有することから、好適に用いられる。揮発性油
状抗菌剤のCD包接物およびデキストリン吸着物の含有
量は、天然樹脂バインダー100重量部に対して100
〜400重量部の範囲で用いられる。上記CD包接物お
よびデキストリン吸着物の含有量が100重量部を下回
ると、揮発性油状抗菌剤を包接したシクロデキストリン
やデキストリンが天然樹脂バインダーに覆われてしま
い、抗菌剤を放散しにくくなる。逆に、400重量部を
超えると、シート状部材に上記CD包接物とデキストリ
ン吸着物とを保持できなくなる。CD包接物およびデキ
ストリン吸着物の、天然樹脂バインダー100重量部に
対する含有量は、上記範囲の中でも特に、120〜30
0重量部であるのが好ましく、150〜250重量部で
あるのがより好ましい。 【0024】本発明の抗菌性フィルムにおいて、シート
状部材に保持された揮発性油状抗菌剤のCD包接物とデ
キストリン吸着物との割合は特に限定されないが、前述
の抗菌性材料における比率と同様に設定するのが好まし
い。 【0025】 【実施例】以下、試験例、実施例および比較例を挙げて
本発明を説明する。 〔CD包接物およびデキストリン吸着物の作製〕揮発性
油状抗菌剤にはイソチオシアン酸アリルを、シクロデキ
ストリンにはβ−シクロデキストリン(β−CD)を、
デキストリンにはマルトデキストリンを、乳化剤にはア
ラビアガムをそれぞれ使用した。 【0026】試料1(CD包接物) β−CDを水に分散し、この水溶液中にイソチオシアン
酸アリルを加えた。こうして得られた混合物を減圧乾燥
して上記混合溶液を除去し、イソチオシアン酸アリルが
10重量%の割合で包接されたCD包接物を得た。 試料2(デキストリン吸着物) デキストリンを水に分散し、この分散液中にイソチオシ
アン酸アリルと乳化剤を加えた。こうして得られた混合
物をスプレードライして、イソチオシアン酸アリル、デ
キストリンおよび乳化剤を10:80:10の重量比で
含有するデキストリン吸着物を得た。 【0027】試料3(CD包接物とデキストリン吸着物
との混合粉末) 試料1(CD包接物)と試料2(デキストリン吸着物)
とをそれぞれ1:1の重量比で秤量し、乳鉢で充分に混
合して複合粉末0.2gを得た。 試料4(CD包接物とデキストリン吸着物との複合錠
剤) 上記試料1(CD包接物)100重量部に対してショ糖
脂肪酸エステル8重量部を添加混合し、混合物0.1g
を錠剤状に成形した。次いで、その表面に、試料2(デ
キストリン吸着物)100重量部に対してショ糖脂肪酸
エステル8重量部を添加した混合物0.1gをまぶし
て、粒状の成形物(複合錠剤)0.2gを得た。 【0028】試料5(CD包接物の錠剤) 試料1(CD包接物)100重量部に対してショ糖脂肪
酸エステルを8重量部を添加した混合物0.2gを錠剤
状に成形した。 試料6(デキストリン吸着物の錠剤) 試料2(デキストリン吸着物)100重量部に対してシ
ョ糖脂肪酸エステルを8重量部を添加した混合物0.2
gを錠剤状に成形した。 【0029】〔抗菌剤の放散試験〕 試験例1 試料1(CD包接物)0.2gおよび試料2(デキスト
リン吸着物)0.2gをそれぞれろ紙に包み、水50m
lの入ったガラスビン(内容積1.1リットル)の口か
らぶら下げて設置した。次いで、ガラスビンを密閉して
30℃の恒温槽に放置し、ガラス容器内部の湿度を10
0%(高湿)にした上で、CD包接物およびデキストリ
ン吸着物中のイソチオシアン酸アリル含有量と、イソチ
オシアン酸アリルの容器内濃度との経時変化を測定し
た。 【0030】CD包接物についてのイソチオシアン酸ア
リル(AITC)含有量(重量%)は、ろ紙中のCD包
接物0.2gを取り出してエタノール20ml中に投入
し、23℃にて24時間放置した後、エタノールに溶出
したAITCの濃度をガスクロマトグラフィーで測定す
ることによって算出した。一方、デキストリン吸着物に
ついてのAITC含有量(重量%)は、ろ紙中のデキス
トリン吸着物0.2gを取り出し、水20mlおよび酢
酸エチル20mlの混合溶媒に投入して、スターラーで
10分間攪拌し、次いで15分放置して酢酸エチルを除
去し、ガスクロマトグラフィーで水溶液中のAITCの
濃度を測定することによって算出した。 【0031】また、AITCの容器内濃度(mg/L)
は、ろ紙中のCD包接物またはデキストリン吸着物0.
2gを取り出して不織布の袋(35mm×50mm)に入
れ、これを水50mlの入ったガラス容器(内容積1.
1リットル)に吊るし入れて密閉し、次いで30℃にて
保管し、容器内のAITC濃度をガスクロマトグラフィ
ーで測定することによって算出した。 【0032】以上の結果を表1および図1、2に示す。 【0033】 【表1】【0034】表1および図1、2より明らかなように、
高湿環境下では、CD包接物は試験開始直後の放散量が
多く(含有量の低下が大きく)、一方デキストリン吸着
物はシクロデキストリン包接物よりも徐放性があること
がわかった。 試験例2 試料1(CD包接物)0.2gおよび試料2(デキスト
リン吸着物)0.2gをそれぞれろ紙に包み、湿度60
%(低湿)、23℃の恒温槽に放置して、イソチオシア
ン酸アリル含有量の経時変化を測定した。その結果を表
2および図3に示す。 【0035】 【表2】 【0036】表2および図3より明らかなように、低湿
環境下ではイソチオシアン酸アリルの含有量の変化が全
体的に少なかった。また、含有量の変化は、デキストリ
ン吸着物の方がCD包接物よりもわずかに多かった。 試験例3 試料3(複合粉末)0.2gおよび試料4(複合錠剤)
を0.2gをそれぞれろ紙に包んだほかは、試験例1と
同様にして、イソチオシアン酸アリルの容器内濃度の経
時変化を測定した。 【0037】その結果を表3および図4に示す。 【0038】 【表3】 【0039】表3および図4より明らかなように、試験
開始直後から充分な放散量が得られ、かつその放散量が
持続した。 〔抗菌試験〕上記試料1〜6を用いて抗菌試験を実施し
た。まず、大腸菌BNN45をハートインフュージョン
培地(HIF)で16時間培養し、約109 CFU/m
lの菌液を得た。この菌液をHIFで100倍(107
CFU/ml)および10000倍(105 CFU/m
l)に希釈し、各々100μlをドリガルスキープレー
ト(Drigalski 培地)上の寒天培地に塗布した。 【0040】次いで、試料1〜6をそれぞれ0.2g秤
量し、試料が寒天培地に直接触れないように、すなわち
寒天培地が上面となるようにシャーレ内に設置して、パ
ラフィンフィルムで密封した。シャーレを30℃の恒温
槽に入れ、1、2、6および24時間経過後の各試料を
取り出し、それぞれ37℃の条件下で24時間培養し
て、プレート上のコロニーの数を調べた。 【0041】以上の結果を表4に示す。 【0042】 【表4】【0043】表4より明らかなように、CD包接物とデ
キストリン吸着物とを両方含有する試料3および4は、
デキストリン吸着物のみを含有する試料2および6に比
べて抗菌効果の立ち上がりが良好であった。また、作用
時間がごく短い場合であっても、CD包接物のみを含有
する試料1および5よりも優れた抗菌効果が得られた。 【0044】〔抗菌性フィルムの作製〕 実施例1 エタノール5.5kgにシェラック樹脂1.5kgを分
散させ、試料1(CD包接物)1.5kgと試料2(デ
キストリン吸着物)1.5kgとを投入して分散した。
次いで、得られた混合分散液を、ポリエチレン(PE)
フィルム(厚み65μm)の片面にグラビアコーターに
より塗布し、乾燥して抗菌性フィルムを得た。なお、混
合分散液の塗布量は、PEフィルムの表面5cm2 に対
して5gとなるように調整した。 【0045】こうして得られたフィルムのうち、混合分
散液が塗布された面を内側にし、混合分散液が塗布され
た部分がシール部に重ならないようにしてフィルムを袋
状に加工した。 比較例1 試料1(CD包接物)のみを、前出のPEフィルムに対
して重量換算で5重量%となるように練り込んで抗菌性
フィルムを作製し、袋状に加工した。 【0046】比較例2 試料1(CD包接物)のみを、前出のPEフィルムに対
して重量換算で10重量%となるように練り込んで抗菌
性フィルムを作製し、袋状に加工した。 比較例3 酢酸エチル5.5kgにウレタン樹脂1.5kgを分散
し、さらに試料1(CD包接物)3kgを投入して分散
した。次いで、得られた混合分散液を用いて、実施例1
と同様にして抗菌性フィルムを作製し、袋状に加工し
た。 【0047】〔抗菌性フィルムの性能試験〕上記実施例
1および比較例1〜3で得られた袋状の抗菌性フィルム
について、製袋性、ピンホール性、臭い、安全性、抗菌
性をそれぞれ以下に示す基準で評価した。「製袋性」
は、袋状に加工する際の熱シール性、すなわち剥がれ易
さや表面の凹凸を観察して、剥がれにくくかつ表面に凹
凸が生じなかったものを○とし、剥がれ易い物や凹凸が
生じたものを×とした。 【0048】「ピンホール性」は、袋状に加工後、袋内
に水を入れた時の水漏れを観察して、水漏れが生じなか
ったものを○、水漏れまたは滲みが生じたものを×とし
た。「臭い」は、袋状に加工後、袋内に水を入れた時の
溶剤臭を嗅覚で判断し、臭いを感じなかった場合を○、
臭いを感じた場合を×とした。「安全性」は、食品と抗
菌性フィルムとが接触した場合における安全性の有無を
意味するものであって、食品衛生上の問題がない場合を
○とし、食品衛生上好ましくない場合を×とした。 【0049】「抗菌性」は、袋内に、菌数が1×105
である大腸菌液入りの水を入れて、24時間接触させた
後の菌数の変化を比較した。対照として抗菌剤の分散液
を塗布していないまたは抗菌剤を練り混んでいないPE
フィルムからなる袋をを使用した。以上の結果を表5に
示す。 【0050】 【表5】 【0051】表5より明らかなように、実施例1の抗菌
性フィルムは、多水分系および水に分散した食品等に接
触させて用いても食品衛生上安全であり、かつ有害菌等
の微生物の増殖が充分に抑制できる。 【0052】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明の抗菌性材
料および抗菌性フィルムによれば、たとえ高湿環境下で
あっても長期にわたって抗菌効果を持続でき、かつ抗菌
効果の立ち上がりも良好である。従って、あらゆる湿度
条件の食品に対しても、自由にその抗菌力をコントロー
ルでき、長期にわたる生鮮食品の保存に好適に用いるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】試験例1におけるイソチオシアン酸アリルの含
有量の経時変化を示すグラフである。 【図2】試験例1におけるイソチオシアン酸アリルの容
器内濃度の経時変化を示すグラフである。 【図3】試験例2におけるイソチオシアン酸アリルの含
有量の経時変化を示すグラフである。 【図4】試験例3におけるイソチオシアン酸アリルの容
器内濃度の経時変化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 3/00 - 3/3535 A23B 4/00 A23B 7/00 B65D 81/28 B65D 65/40 C08K 9/08

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】フィルム表面の少なくとも一部に、揮発性
    油状抗菌剤を包接したシクロデキストリン、揮発性油状
    抗菌剤を吸着したデキストリンおよびシェラックまたは
    コーパル樹脂のようなアルコール系溶剤に可溶な天然樹
    脂バインダーを含有するアルコール系溶剤の分散液が塗
    布されたことを特徴とする抗菌性フィルム。
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