JP3913855B2 - チャネルストリームのエラー訂正装置及びエラー訂正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、最小符号長が制限されたチャネルストリームを受信する受信システムに係り、特にその受信されたチャネルストリームに最小符号長より短い符号長の符号が発生するというエラーを訂正するためのチャネルストリームのエラー訂正装置及びエラー訂正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、首記の如き受信システムは、受信信号をチャネルクロックに同期した2値化信号に変換し、この2値化信号に対して再生処理を施すようにしている。図5は、このような従来の受信システムを示している。すなわち、入力端子11に供給された受信信号は、レベル比較回路12の正側入力端+に供給されている。このレベル比較回路12の負側入力端−には、入力端子13に供給された基準直流レベルVref が印加されている。
【0003】
そして、このレベル比較回路12は、その正側入力端+の入力レベルが負側入力端−の入力レベルより高い場合にH(High)レベルとなり、そうでない場合にL(Low )レベルとなる2値化信号を生成している。このレベル比較回路12から出力される2値化信号は、D(Delay )タイプFF(Flipflap)回路で構成されたレジスタ14のデータ入力端Dに供給されるとともに、チャネルクロック生成回路15に供給されている。
【0004】
このチャネルクロック生成回路15は、図示しないPLL(Phase Locked Loop )回路を内蔵しており、レベル比較回路12から出力される2値化信号に位相同期したチャネルクロックを生成している。このチャネルクロック生成回路15で生成されたチャネルクロックは、レジスタ14のクロック入力端Cに供給されている。そして、このレジスタ14が、チャネルクロックの立上がりで2値化信号をラッチすることにより、受信信号がチャネルクロックに同期した2値化信号に変換され、出力端子16から取り出される。
【0005】
図6は、上記した受信システムの各部の波形を示している。まず、図6(a)は、送信符号列を示している。この送信情報は、例えばRLL(2,10)符号化されているものとする。この場合、送信符号列の1ビット伝送時間、つまり、チャネルクロックの1周期に対応する時間をTとすると、RLL(2,10)符号化における最短符号長及び最長符号長は、それぞれ3T及び11Tとなっている。そして、この図6(a)では、最短符号長3Tが2回出現した状態を示している。
【0006】
また、図6(b)〜(e)は、それぞれ図5における(b)〜(e)点の波形を示している。すなわち、図6(a)に示す送信符号列は、その伝送路上でノイズが加算されることにより、同図(b)に示すような波形となって入力端子11に供給される。この図6(b)に示す受信信号は、レベル比較回路12によって基準直流レベルVref とレベル比較されることにより、同図(c)に示すような2値化信号に変換される。
【0007】
そして、チャネルクロック生成回路15が、2値化信号に同期した図6(d)に示すチャネルクロックを生成し、レジスタ14が、チャネルクロックの立上がりで2値化信号をラッチすることにより、同図(e)に示すように、チャネルクロックに同期した2値化信号が得られる。この場合、図6(a)に示す送信符号列と、同図(e)に示す2値化信号(受信符号列)とは等価であり、送信符号列が正しく再現されたことになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般には、伝送路で加算されるノイズにより送信符号列に歪みが生じるため、受信符号列が送信符号列と異なってしまう場合が生じる。例えば図7(a)に示す送信符号列に対して、受信信号が同図(b)に実線で示すように歪んだとする。この場合、図7(b)に破線で示す部分が、本来期待される受信信号波形であるとする。
【0009】
すると、この図7(b)に実線で示す受信信号は、レベル比較回路12によって基準直流レベルVref とレベル比較されることにより、同図(c)に示すような2値化信号に変換される。そして、チャネルクロック生成回路15が、2値化信号に同期したチャネルクロックを生成し、レジスタ14が、チャネルクロックの立上がりで2値化信号をラッチすることにより、同図(e)に示すように、チャネルクロックに同期した2値化信号が得られる。
【0010】
この場合、図7(a)に示す送信符号列と同図(e)に示す受信符号列とは、異なったものとなっている。すなわち、送信符号列の第1の最短符号長3T部分Aが、その前縁及び後縁の誤りで1Tとなり、その結果、第1の最短符号長3T部分Aの両側に隣接する符号長6T及び5T部分が、それぞれ7T及び6Tに誤っている。また、送信符号列の第2の最短符号長3T部分Bが、その前縁の誤りで2Tとなり、その結果、隣接する符号長4T部分が5Tに誤っている。
【0011】
一般に、デジタル符号を伝送する場合には、エラーが生じることを考慮して、予め送信符号列に所定のエラー訂正符号を付加して伝送し、受信側で、このエラー訂正符号を用いて受信符号列に生じるエラーを訂正するようにしている。このため、受信符号列に図7で説明したようなエラーが生じたとしても、そのエラーは、エラー訂正符号によって訂正することが可能な場合が多い。
【0012】
ところが、通常、エラー訂正符号によってエラーを訂正することができる能力には限界があるため、受信符号列にそのエラー訂正能力を超えたエラーが発生した場合には訂正することが不可能となる。このため、エラー訂正処理を行なう以前の段階において受信符号列に含まれるエラーは、できる限り少なくしておくことが望ましいことになる。
【0013】
そこで、この発明は上記事情を考慮してなされたもので、エラー訂正符号を用いることなく、受信されたチャネルストリーム中に含まれる明らかなエラーを訂正して、エラー訂正処理以前にチャネルストリームに含まれるエラー数を低減するようにした極めて良好なチャネルストリームのエラー訂正装置及びエラー訂正方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るチャネルストリームのエラー訂正装置は、最小符号長が m に制限されたチャネルストリームを受信してエラー訂正を行なうものを対象としている。そして、受信信号を基準直流レベルとレベル比較して2値化されたチャネルストリームを生成するレベル比較手段と、レベル比較手段で生成されたチャネルストリームに同期したチャネルクロックを生成するチャネルクロック生成手段と、チャネルクロック生成手段で生成されたチャネルクロックに基づいて、レベル比較手段で生成されたチャネルストリームの符号長を測定する測定手段と、測定手段で測定された符号長がm−2である場合、その符号に隣接する前後部分の極性をチャンネルクロックの1周期分だけ反転させる第1の補正手段と、測定手段で測定された符号長がm−1である場合、その符号の極性反転位置におけるチャネルクロックの極性に基づいて、当該符号の前縁及び後縁のいずれにエラーが生じたかを判別する判別手段と、判別手段の判別結果に基づいて、符号長がm−1である符号に隣接する前部分または後部分の極性を、チャンネルクロックの1周期分だけ反転させる第2の補正手段とを備えるようにしたものである。
【0015】
また、この発明に係るチャネルストリームのエラー訂正装置は、上記の対象において、受信信号を基準直流レベルとレベル比較して2値化されたチャネルストリームを生成するレベル比較手段と、レベル比較手段で生成されたチャネルストリームに同期したチャネルクロックを生成するチャネルクロック生成手段と、チャネルクロック生成手段で生成されたチャネルクロックに基づいて、レベル比較手段で生成されたチャネルストリームの符号長を測定する測定手段と、測定手段で測定された符号長がm−1である場合、その符号の極性反転位置におけるチャネルクロックの極性に基づいて、当該符号の前縁及び後縁のいずれにエラーが生じたかを判別する判別手段と、判別手段の判別結果に基づいて、符号長がm−1である符号に隣接する前部分または後部分の極性を、チャンネルクロックの1周期分だけ反転させる補正手段とを備えるようにしたものである。
【0016】
さらに、この発明に係るチャネルストリームのエラー訂正方法は、最小符号長が m に制限されたチャネルストリームを受信してエラー訂正を行なう方法を対象としている。そして、受信信号を基準直流レベルとレベル比較して2値化されたチャネルストリームを生成する第1の工程と、第1の工程で生成されたチャネルストリームに同期したチャネルクロックを生成する第2の工程と、第2の工程で生成されたチャネルクロックに基づいて、第1の工程で生成されたチャネルストリームの符号長を測定する第3の工程と、第3の工程で測定された符号長がm−2である場合、その符号に隣接する前後部分の極性をチャンネルクロックの1周期分だけ反転させる第4の工程と、第3の工程で測定された符号長がm−1である場合、その符号の極性反転位置におけるチャネルクロックの極性に基づいて、当該符号の前縁及び後縁のいずれにエラーが生じたかを判別する第5の工程と、第5の工程の判別結果に基づいて、符号長がm−1である符号に隣接する前部分または後部分の極性を、チャンネルクロックの1周期分だけ反転させる第6の工程とを備えるようにしたものである。
【0017】
また、この発明に係るチャネルストリームのエラー訂正方法は、上記の対象において、受信信号を基準直流レベルとレベル比較して2値化されたチャネルストリームを生成する第1の工程と、第1の工程で生成されたチャネルストリームに同期したチャネルクロックを生成する第2の工程と、第2の工程で生成されたチャネルクロックに基づいて、第1の工程で生成されたチャネルストリームの符号長を測定する第3の工程と、第3の工程で測定された符号長がm−1である場合、その符号の極性反転位置におけるチャネルクロックの極性に基づいて、当該符号の前縁及び後縁のいずれにエラーが生じたかを判別する第4の工程と、第4の工程の判別結果に基づいて、符号長がm−1である符号に隣接する前部分または後部分の極性を、チャンネルクロックの1周期分だけ反転させる第5の工程とを備えるようにしたものである。
【0018】
上記のような構成及び方法によれば、符号長がm−2である符号は、それに隣接する前後部分をチャネルクロックの1周期分だけ反転させて符号長をmとするとともに、符号長がm−1である符号は、前縁が欠如したか後縁が欠如したかの判別結果に基づいて、それに隣接する前部分または後部分をチャネルクロックの1周期分だけ反転させるようにしたので、エラー訂正符号を用いることなく、受信されたチャネルストリーム中に含まれる明らかなエラーを訂正して、エラー訂正処理以前にチャネルストリームに含まれるエラー数を低減することができるようになる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1において、符号17は入力端子で、前述したレベル比較回路12から出力される2値化信号が供給されている。この入力端子17に供給された2値化信号は、前記レジスタ14の入力端Dに供給されるとともに、位相ステータス検出回路18に供給されている。そして、このレジスタ14の出力は、DタイプFF回路で構成された3つのレジスタ19,20,21を直列に介して、EXオア(排他的論理和)回路22の一方の入力端に供給されている。
【0020】
また、図1において、符号23は入力端子で、前述したチャネルクロック生成回路15で生成されたチャネルクロックが供給されている。この入力端子23に供給されたチャネルクロックは、上記レジスタ14,19,20,21の各クロック入力端Cと、1T検出回路24と、2T検出回路25と、上記位相ステータス検出回路18とに、それぞれ供給されている。また、上記レジスタ14の出力は、1T検出回路24及び2T検出回路25にそれぞれ供給されている。
【0021】
そして、上記1T検出回路24の出力は、1T補正パルス生成回路26を介してオア回路27の第1の入力端に供給されている。また、上記2T検出回路25の出力は、2T前縁補正パルス生成回路28を介してアンド回路29の一方の入力端に供給されるとともに、後縁補正パルス生成回路30を介してアンド回路31の一方の入力端に供給されている。
【0022】
ここで、一方のアンド回路29は、その他方の入力端に上記位相ステータス検出回路18の出力が供給されており、その出力は、上記オア回路27の第2の入力端に供給されている。また、他方のアンド回路31は、その他方の入力端に上記位相ステータス検出回路18の出力をノット回路32で反転した信号が供給されており、その出力は、上記オア回路27の第3の入力端に供給されている。そして、このオア回路27の出力が、上記EXオア回路22の他方の入力端に供給されており、このEXオア回路22の出力が、出力端子33から取り出されるようになっている。
【0023】
上記のような構成となされたエラー訂正装置において、以下、図2を参照してその動作を説明する。図2は、図1に示したエラー訂正装置における各部の波形を示している。まず、図2(a)は、最短符号長を3TとするRLL符号化された送信符号列を示している。図2(a)では、最短符号長3T部分A,B,Cの極性が全てHレベルになっているが、ここでの動作説明において、符号の極性は意味を持たないものとする。
【0024】
また、図2(b)〜(o)は、それぞれ図1における(b)〜(o)点の波形を示している。すなわち、入力端子17に図2(c)に示す2値化信号が供給され、入力端子23に同図(b)に示すチャネルクロックが供給されると、レジスタ14は、チャネルクロックの立上がりで2値化信号をラッチすることにより、同図(d)に示す2値化信号を出力する。
【0025】
このとき、レジスタ14から出力される図2(d)に示す2値化信号は、同図(a)に示した送信符号列の第1の最短符号長3T部分Aが1Tに誤り、第2の最短符号長3T部分Bが2Tに誤り、第3の最短符号長3T部分Cが2Tに誤りを生じている。特に、第2の最短符号長3T部分Bは、その前縁が欠けることによって2Tとなり、第3の最短符号長3T部分Cは、その後縁が欠けることによって2Tとなっている。
【0026】
このレジスタ14から出力された2値化信号は、3つのレジスタ19,20,21によってそれぞれチャネルクロックの1周期分づつ遅延されることにより、図2(e)に示す2値化信号となってEXオア回路22に供給されている。この3つのレジスタ19,20,21によって、レジスタ14から出力された2値化信号を遅延する理由は、以下に述べる他の回路の処理による遅延を考慮して、タイミング合わせを行なうためである。
【0027】
すなわち、上記レジスタ14から出力された2値化信号と、入力端子23に供給されたチャネルクロックとは、上記1T検出回路24及び2T検出回路25に供給されている。このうち、1T検出回路24は、入力された2値化信号の極性反転間隔(エッジ間距離)をチャネルクロックで測定することにより、チャネルクロックの1周期長つまり1Tの符号を検出している。そして、この1T検出回路24は、1Tの符号を検出すると、図2(f)に示すように、その1T符号の終了直後に、1T幅の検出パルスを出力している。
【0028】
そして、この1T検出回路24から出力された検出パルスは、1T補正パルス生成回路26に供給されている。この1T補正パルス生成回路26は、入力された検出パルスをトリガーとして1T補正パルスを発生する。この1T補正パルスは、図2(g)に示すように、検出パルスの終了直後に発生される1T幅の補正パルスと、この補正パルスの終了後、1T期間おいて、さらに発生される1T幅の補正パルスとから構成されている。
【0029】
また、上記2T検出回路25は、入力された2値化信号の極性反転間隔をチャネルクロックで測定することにより、チャネルクロックの2周期長つまり2Tの符号を検出している。そして、この2T検出回路25は、2Tの符号を検出すると、図2(h)に示すように、その2T符号の終了直後に、4T幅の検出パルスを出力している。
【0030】
この2T検出回路25から出力された検出パルスは、2T前縁補正パルス生成回路28及び2T後縁補正パルス生成回路30に、それぞれ供給されている。このうち、2T前縁補正パルス生成回路28は、入力された検出パルスをトリガーとして、図2(i)に示すように、検出パルスの発生(立上がり)直後に1T幅の補正パルスを出力している。また、2T後縁補正パルス生成回路30は、入力された検出パルスをトリガーとして、図2(j)に示すように、検出パルスの終了(立下がり)とともに終了する1T幅の補正パルスを出力している。
【0031】
ここで、上記入力端子17に供給された2値化信号と、入力端子23に供給されたチャネルクロックとは、位相ステータス検出回路18に供給されている。この位相ステータス検出回路18は、入力された2値化信号の立上がり及び立下がりエッジ(極性反転位置)とチャネルクロックとの位相関係を検出して、検出信号を発生している。
【0032】
つまり、この位相ステータス検出回路18は、図2(b)に示すチャネルクロックのHレベル期間に、同図(c)に示す2値化信号が極性反転した場合、同図(k)に示すように、その次のチャネルクロックの立上がりに同期してHレベルとなり、チャネルクロックのLレベル期間に2値化信号が極性反転した場合、その次のチャネルクロックの立上がりに同期してLレベルとなる検出信号を出力している。
【0033】
この場合、位相ステータス検出回路18から出力される検出信号は、Hレベルが、図2(e)に示す2値化信号の2T部分の前縁を修正することを意味し、Lレベルが、同2値化信号の2T部分の後縁を修正することを意味している。すなわち、上記2T前縁補正パルス生成回路28から出力される図2(i)に示す補正パルスと、位相ステータス検出回路18から出力される同図(k)に示す検出信号とが、アンド回路29によって論理積演算されることにより、同図(l)に示す2T前縁補正パルスが生成される。
【0034】
また、上記2T後縁補正パルス生成回路30から出力される図2(j)に示す補正パルスと、位相ステータス検出回路18から出力される同図(k)に示す検出信号をノット回路32で反転した信号とが、アンド回路31によって論理積演算されることにより、同図(m)に示す2T後縁補正パルスが生成される。
【0035】
そして、図2(g)に示した1T補正パルスと、同図(l)に示した2T前縁補正パルスと、同図(m)に示した2T後縁補正パルスとは、オア回路27によって論理和演算されることにより、同図(n)に示すように、上記した3つの補正パルスを全て含む補正信号が生成され、上記EXオア回路22に供給されている。
【0036】
このため、上記レジスタ21から出力された図2(e)に示す2値化信号は、図2(o)に示すように、1T部分がその前後部分に1T補正パルスが付加されることにより3Tに補正され、前縁が欠けることによって2Tとなった部分が、その前部分に2T前縁補正パルスが付加されることにより3Tに補正され、後縁が欠けることによって2Tとなった部分が、その後部分に2T後縁補正パルスが付加されることにより3Tに補正され、ここに、送信符号列と等価な受信符号列を得ることができる。
【0037】
ここで、上記した補正動作をまとめると、符号長が1Tの符号は、無条件にそれに隣接する前後部分を1Tづつ反転させて3Tとするとともに、符号長が2Tの符号は、入力端子17に供給された2値化信号の後ろエッジがチャネルクロックのHレベル期間に存在する場合に、それに隣接する前部分を1Tだけ反転させて3Tとし、入力端子17に供給された2値化信号の後ろエッジがチャネルクロックのLレベル期間に存在する場合に、それに隣接する後部分を1Tだけ反転させて3Tとするようにしている。
【0038】
そこで、このような補正動作の妥当性について、以下に説明する。まず、1T長符号の場合について述べる。すなわち、この実施の形態では、送信符号列の最短符号長を3Tとしているので、1T長符号が受信された場合、それは何らかのエラーが発生したものと判断することができる。そして、この受信された1T長符号は、3T長以上の符号が1Tに誤ったものと判断することができる。
【0039】
この場合、3T長以上の全ての符号で1Tに誤る可能性を持つことになるが、一般に、伝送される符号列に無相関にノイズが加えられることにより、符号のエッジが時間軸上でシフトする場合、3T長符号が1Tに誤る可能性が最も高いことになる。このため、1T長符号は、3T長符号が誤ったものと判断することは妥当である。
【0040】
また、3T長符号が1Tに誤る場合、前縁から2T欠ける場合と、後縁から2T欠ける場合と、前後が1Tづつ欠ける場合とが考えられる。この場合も、伝送される符号列に無相関にノイズが加えられることにより、符号のエッジが時間軸上でシフトされるような場合には、前後が1Tづつ欠ける可能性が最も高いといえる。このため、1T長符号が受信された場合、その前後を1Tづつ伸張して3Tとすることは、可能性として最も妥当である。
【0041】
次に、2T長符号の場合について述べる。この場合も、1T長符号と同様に、3T長符号が2Tに誤ったものと判断することが妥当である。そして、3T長符号が2Tに誤る場合、前縁から1T欠ける場合と、後縁から1T欠ける場合とが考えられるが、これらが起こり得る可能性は一般には同等であると考えられる。このため、前縁から1T欠けた場合と、後縁から1T欠けた場合とを、判別する必要が生じる。
【0042】
ここで、3T長符号が2Tに誤った場合、受信信号に対して低い周波数を持つノイズが加算されることによって、前記レベル比較回路12に与えた基準直流レベルVref が相対的にシフトされていることが可能性として高いので、この点について、図3を参照して考える。なお、図3(a)はチャネルクロックを示し、同図(b)は受信信号と、理想的な基準直流レベルVref と、相対的にシフトした基準直流レベルVref1とを示している。
【0043】
すなわち、レベル比較回路12によって、受信信号と、相対的にシフトした基準直流レベルVref1とがレベル比較されると、図3(c)に示すような2値化信号が生成されるが、この2値化信号をチャネルクロックでサンプリングした信号は3T長符号であり、エラーは生じていない。
【0044】
このような状態において、無相関なノイズが受信信号のY部分に矢印のように加えられると、レベル比較回路12からは、図3(d)に示すような2値化信号が出力され、この2値化信号をチャネルクロックでサンプリングした信号は、同図(f)に示すように2T長符号となる。この2T長符号は、前縁から1Tが欠如して2Tとなったものである。
【0045】
また、同様に、無相関なノイズが受信信号の図3(b)に示すZ部分に矢印のように加えられると、レベル比較回路12からは、同図(e)に示すような2値化信号が出力され、この2値化信号をチャネルクロックでサンプリングした信号は、同図(g)に示すように2T長符号となる。この2T長符号は、後縁から1Tが欠如して2Tとなったものである。
【0046】
すなわち、前縁から1Tが欠如して2Tとなった場合、レベル比較回路12から出力される2値化信号の極性反転時点は、図3(d)に示すようにチャネルクロックのHレベル期間になっている。また、後縁から1Tが欠如して2Tとなった場合、レベル比較回路12から出力される2値化信号の極性反転時点は、図3(e)に示すようにチャネルクロックのLレベル期間になっている。
【0047】
要するに、レベル比較回路12から出力される2値化信号の極性反転位置における、チャネルクロックの極性がHレベルかLレベルかを判別することにより、前縁から1T欠けた場合か、後縁から1T欠けた場合かを、判別することができる。
【0048】
図4は、レベル比較回路12の基準直流レベルが、図3(b)に示すように相対的にシフトし、さらに、無相関なノイズが受信信号に加えられることで、本来3T長の符号が2T長に誤った場合、レベル比較回路12から出力される2値化信号の極性反転時点と、そのときのチャネルクロックの極性と、1T分の欠如位置との関係をまとめたものである。
【0049】
そして、上記のように前縁から1T欠けたか後縁から1T欠けたかの判別結果に基づいて、レジスタ21から出力される2T長符号を、それに隣接する前部分または後部分を1Tだけ反転させることにより、正確な補正を行なうことができる。
【0050】
上記した実施の形態によれば、1T長符号はそれに隣接する前後部分を1Tづつ反転させて3Tとするとともに、2T長符号は、前縁が欠如したか後縁が欠如したかの判別結果に基づいて、それに隣接する前部分または後部分を1Tだけ反転させるようにしたので、エラー訂正符号を用いることなく、受信されたチャネルストリーム中に含まれる明らかなエラーを訂正して、エラー訂正処理以前にチャネルストリームに含まれるエラー数を低減することができる。
なお、この発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、この外その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明によれば、エラー訂正符号を用いることなく、受信されたチャネルストリーム中に含まれる明らかなエラーを訂正して、エラー訂正処理以前にチャネルストリームに含まれるエラー数を低減するようにした極めて良好なチャネルストリームのエラー訂正装置及びエラー訂正方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示すブロック構成図。
【図2】同実施の形態における各部の波形を示す図。
【図3】同実施の形態における2T長符号の訂正動作を説明するために示す図。
【図4】同実施の形態における2T長符号の訂正動作を説明するために示す図。
【図5】従来の受信システムを示すブロック構成図。
【図6】同受信システムにおける各部の波形を示す図。
【図7】同受信システムにおける問題点を説明するために示す図。
【符号の説明】
11…入力端子、
12…レベル比較回路、
13…入力端子、
14…レジスタ、
15…チャネルクロック生成回路、
16…出力端子、
17…入力端子、
18…位相ステータス検出回路、
19〜21…レジスタ、
22…EXオア回路、
23…入力端子、
24…1T検出回路、
25…2T検出回路、
26…1T補正パルス生成回路、
27…オア回路、
28…2T前縁補正パルス生成回路、
29…アンド回路、
30…2T後縁補正パルス生成回路、
31…アンド回路、
32…ノット回路、
33…出力端子。
Claims (4)
- 最小符号長が m に制限されたチャネルストリームを受信してエラー訂正を行なうチャネルストリームのエラー訂正装置において、
受信信号を基準直流レベルとレベル比較して2値化された前記チャネルストリームを生成するレベル比較手段と、
前記レベル比較手段で生成されたチャネルストリームに同期したチャネルクロックを生成するチャネルクロック生成手段と、
前記チャネルクロック生成手段で生成されたチャネルクロックに基づいて、前記レベル比較手段で生成されたチャネルストリームの符号長を測定する測定手段と、
前記測定手段で測定された符号長がm−2である場合、その符号に隣接する前後部分の極性を前記チャンネルクロックの1周期分だけ反転させる第1の補正手段と、
前記測定手段で測定された符号長がm−1である場合、その符号の極性反転位置における前記チャネルクロックの極性に基づいて、当該符号の前縁及び後縁のいずれにエラーが生じたかを判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づいて、前記符号長がm−1である符号に隣接する前部分または後部分の極性を、前記チャンネルクロックの1周期分だけ反転させる第2の補正手段とを具備してなることを特徴とするチャネルストリームのエラー訂正装置。 - 最小符号長が m に制限されたチャネルストリームを受信してエラー訂正を行なうチャネルストリームのエラー訂正装置において、
受信信号を基準直流レベルとレベル比較して2値化された前記チャネルストリームを生成するレベル比較手段と、
前記レベル比較手段で生成されたチャネルストリームに同期したチャネルクロックを生成するチャネルクロック生成手段と、
前記チャネルクロック生成手段で生成されたチャネルクロックに基づいて、前記レベル比較手段で生成されたチャネルストリームの符号長を測定する測定手段と、
前記測定手段で測定された符号長がm−1である場合、その符号の極性反転位置における前記チャネルクロックの極性に基づいて、当該符号の前縁及び後縁のいずれにエラーが生じたかを判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づいて、前記符号長がm−1である符号に隣接する前部分または後部分の極性を、前記チャンネルクロックの1周期分だけ反転させる補正手段とを具備してなることを特徴とするチャネルストリームのエラー訂正装置。 - 最小符号長が m に制限されたチャネルストリームを受信してエラー訂正を行なうチャネルストリームのエラー訂正方法において、
受信信号を基準直流レベルとレベル比較して2値化された前記チャネルストリームを生成する第1の工程と、
前記第1の工程で生成されたチャネルストリームに同期したチャネルクロックを生成する第2の工程と、
前記第2の工程で生成されたチャネルクロックに基づいて、前記第1の工程で生成されたチャネルストリームの符号長を測定する第3の工程と、
前記第3の工程で測定された符号長がm−2である場合、その符号に隣接する前後部分の極性を前記チャンネルクロックの1周期分だけ反転させる第4の工程と、
前記第3の工程で測定された符号長がm−1である場合、その符号の極性反転位置における前記チャネルクロックの極性に基づいて、当該符号の前縁及び後縁のいずれにエラーが生じたかを判別する第5の工程と、
前記第5の工程の判別結果に基づいて、前記符号長がm−1である符号に隣接する前部分または後部分の極性を、前記チャンネルクロックの1周期分だけ反転させる第6の工程とを具備してなることを特徴とするチャネルストリームのエラー訂正方法。 - 最小符号長が m に制限されたチャネルストリームを受信してエラー訂正を行なうチャネルストリームのエラー訂正方法において、
受信信号を基準直流レベルとレベル比較して2値化された前記チャネルストリームを生成する第1の工程と、
前記第1の工程で生成されたチャネルストリームに同期したチャネルクロックを生成する第2の工程と、
前記第2の工程で生成されたチャネルクロックに基づいて、前記第1の工程で生成されたチャネルストリームの符号長を測定する第3の工程と、
前記第3の工程で測定された符号長がm−1である場合、その符号の極性反転位置における前記チャネルクロックの極性に基づいて、当該符号の前縁及び後縁のいずれにエラーが生じたかを判別する第4の工程と、
前記第4の工程の判別結果に基づいて、前記符号長がm−1である符号に隣接する前部分または後部分の極性を、前記チャンネルクロックの1周期分だけ反転させる第5の工程とを具備してなることを特徴とするチャネルストリームのエラー訂正方法。
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