JP3913568B2 - 画像情報読取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像情報の蓄積記録された蓄積性蛍光体シートに励起光を照射し、得られた輝尽発光光から画像情報を読み取るとともに、画像情報の読み取られた蓄積性蛍光体シートに消去光を照射し、残存する画像情報を消去する画像情報読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、放射線(X線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等)を照射すると、この放射線エネルギの一部が蓄積され、その後、可視光等の励起光を照射すると蓄積されたエネルギ強度に応じて輝尽発光を示す蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)を利用して、人体等の被写体の放射線画像情報をシート状の蓄積性蛍光体層を備えてなる蓄積性蛍光体シートに一旦記録し、この蓄積性蛍光体シートにレーザ光等の励起光を照射して得られる輝尽発光光を光電的に読み取って得られた画像信号を、写真感光材料等の記録媒体、あるいは、CRT(Cathode Rey Tube)等の表示装置に被写体の放射線画像を可視像として出力させる放射線画像情報記録読取システムが知られている。この場合、蓄積性蛍光体シートは、放射線画像情報を読み取った後、消去光を照射することで残存する放射線画像情報を消去して再利用することができる。
【0003】
ところで、当該システムにおける処理効率を向上させるため、放射線画像情報が記録された複数の蓄積性蛍光体シートに対する読取処理および消去処理を連続的に行うように構成した放射線画像情報読取装置が開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような放射線画像情報読取装置において、読取処理中に消去光源を点灯していると、消去光の一部が輝尽発光光に重畳され、高精度な画像信号が得られなくなってしまう。例えば、光量を確保して消去効率を向上させるため、消去光源をインバータで発振させるようにしたものが提案されているが、遮光状態が不完全であると、消去光源の点滅によるむらが画像信号に重畳されてしまう。また、インバータのスイッチングにより発生する電磁ノイズが画像信号に影響を与えることも懸念される。
【0005】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、消去光や電磁ノイズの影響を受けることのない高精度な画像情報を得ることのできる画像情報読取装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、本発明では、蓄積性蛍光体シートに励起光を照射し、得られた輝尽発光光を電気信号に変換して読み取りを行う間、消去光照射手段を直流駆動し、消去光を画像情報の読み取られた蓄積性蛍光体シートに照射し、あるいは、照射する準備を行う。この場合、消去光の一部が輝尽発光光に重畳されたとしても、コントラストの補正処理等により、一定光量からなる消去光の影響を容易に除去することができるため、高精度な画像情報を得ることができる。また、消去光照射手段は、直流駆動されているため、この駆動中に電磁ノイズが生じることがなく、従って、電磁ノイズの影響のない画像情報を得ることができる。
【0007】
また、本発明では、消去光照射手段を、光電変換手段により変換された電気信号のナイキスト周波数よりも高い周波数で駆動することにより、消去光の周期むらが輝尽発光光や画像信号に重畳されることがなく、むらのない良好な画像信号を得ることができる。
【0008】
なお、アンチエイリアシングフィルタにより、ナイキスト周波数よりも低い周波数の電気信号を通過させるように構成することで、消去光の影響を完全に除去し、一層むらのない画像信号を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本実施形態の放射線画像情報読取装置10の概略構成を示す。
【0010】
放射線画像情報読取装置10を構成するハウジング14の前面上部には、当該放射線画像情報読取装置10の操作およびモニタの機能を有するタッチパネル16が設けられ、このタッチパネル16の下方には、複数のカセッテ18を装填するカセッテ装填部20a〜20dが設けられる。カセッテ18は、放射線画像情報の記録された蓄積性蛍光体シートPを収納し、先端部に開閉自在な蓋体22を有する。
【0011】
カセッテ装填部20a〜20dの内部には、前記カセッテ装填部20a〜20dの任意の1つに対応して配置され、任意のカセッテ18から蓄積性蛍光体シートPを取り出す一方、後述する読取消去後の蓄積性蛍光体シートPをカセッテ18に戻す昇降枚葉機構24が設けられる。昇降枚葉機構24は、蓄積性蛍光体シートPを吸着搬送する吸着盤26とともに上下方向に昇降自在に構成される。
【0012】
昇降枚葉機構24の下部には、搬送系28を介して消去部30および読取部32が設けられる。搬送系28は、複数の互いに対をなすローラ対34を備え、このローラ対34により構成される鉛直搬送路の下端側に読取部32が配置される。読取部32は、カセッテ18から取り出された蓄積性蛍光体シートPを副走査方向(矢印Y方向)に搬送する副走査搬送機構36と、副走査方向に搬送される蓄積性蛍光体シートPの主走査方向(矢印Y方向と直交する方向)に励起光Lを照射する励起光学系38(励起光照射手段)と、励起光Lの照射によって蓄積性蛍光体シートPから生ずる輝尽発光光を光電的に読み取る集光系40(光電変換手段)とを備える。
【0013】
副走査搬送機構36は、蓄積性蛍光体シートPを挟持した状態で互いに同期して回転駆動される第1ローラ対42および第2ローラ対44を備える。励起光学系38は、励起光Lを出力する後述のLD(Laser diode)を備える。集光系40は、下端部が蓄積性蛍光体シートP上の励起光Lの走査位置である主走査線に沿って近接配置される光ガイド46と、光ガイド46の上端部に装着され、蓄積性蛍光体シートPから得られた輝尽発光光を電気信号に変換するフォトマルチプライア48とを備える。
【0014】
読取部32の搬送方向下流側には、読取処理後の蓄積性蛍光体シートPを上方向に搬送する搬送部50が設けられる。搬送部50は、上端部が水平方向に案内されて退避路52に接続される一方、退避路52からスイッチバックした蓄積性蛍光体シートPを消去部30に搬送する消去搬送部54に接続される。
【0015】
消去搬送部54は、退避路52から搬送された蓄積性蛍光体シートPを水平方向に搬送する。消去搬送部54の搬送途上には、消去部30を構成する複数の消去光源56(消去光照射手段)が配置される。消去搬送部54は、消去部30を通過した後、上方向に延在して搬送系28に連結する。なお、消去光源56としては、後述する直流電源回路から供給される直流駆動電流に従って駆動される蛍光灯、LED(Light emitting diode)、ハロゲンランプ等を使用することができる。
【0016】
図2は、ハウジング14内の上部に設けられる制御部58を中心とした放射線画像情報読取装置10の制御回路ブロックを示す。制御部58は、放射線画像情報読取装置10の全体制御を行う制御回路60を備える。
【0017】
制御回路60は、LDドライバ62を制御することで励起光Lを発生するLD64を駆動する。LD64は、励起光学系38(図1参照)を構成する。また、制御回路60は、画像処理回路66を制御し、アンチエイリアシングフィルタ67およびA/D(Analog/digital)変換器68を介してフォトマルチプライア48から供給された画像信号に対する画像処理を行う。この場合、アンチエイリアシングフィルタ67は、A/D変換器68によるナイキスト周波数よりも高い周波数の信号を除去する特性を有する。さらに、制御回路60は、消去部30の上部に設けられる直流電源回路70を制御し、直流駆動により消去光源56を点灯する。
【0018】
本実施形態の放射線画像情報読取装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その動作について説明する。
【0019】
先ず、放射線画像情報の蓄積記録された蓄積性蛍光体シートPを収納するカセッテ18が任意のカセッテ装填部20a〜20dに対して装填される。次いで、昇降枚葉機構24が所望の蓄積性蛍光体シートPを収納するカセッテ装填部20a〜20dまで昇降した後、当該カセッテ18の蓋体22が開蓋され、吸着盤26によって蓄積性蛍光体シートPが枚葉される。
【0020】
枚葉された蓄積性蛍光体シートPは、昇降枚葉機構24を介して搬送系28に供給された後、ローラ対34によって読取部32まで搬送され、次いで、副走査搬送機構36を構成する第1ローラ対42および第2ローラ対44により矢印Y方向に副走査搬送される。このとき、制御回路60は、LDドライバ62を制御し、LD64を駆動して励起光Lを蓄積性蛍光体シートPの主走査方向に照射する。
【0021】
励起光Lが照射された蓄積性蛍光体シートPからは、蓄積された放射線画像情報に応じた輝尽発光光Kが出力される。この輝尽発光光Kは、下端部が蓄積性蛍光体シートPに近接配置された光ガイド46を介して集光系40を構成するフォトマルチプライア48に導かれた後、電気信号に変換される。放射線画像情報に係る電気信号は、A/D変換器68のナイキスト周波数f/2よりも高い周波数のアナログ信号がアンチエイリアシングフィルタ67によって除去された後、A/D変換器68に供給される。A/D変換器68は、供給されたアナログ信号からなる画像信号をデジタル信号に変換し、画像処理回路66に供給する。画像処理回路66は、供給されたデジタル信号に対して所望の画像処理を施し、他の医療診断装置等に転送する。
【0022】
一方、放射線画像情報の読み取られた蓄積性蛍光体シートPは、搬送部50により直流電源回路70の上部に設けられた退避路52まで搬送された後、スイッチバックし、消去搬送部54によって消去部30に搬送される。消去部30では、制御回路60によって直流電源回路70が制御されることで、消去光源56が点灯し、出力された消去光Sが蓄積性蛍光体シートPに照射されることにより、残存する放射線画像情報が消去される。放射線画像情報の消去された蓄積性蛍光体シートPは、搬送系28を介して昇降枚葉機構24に供給された後、所望のカセッテ18に収納され、次の放射線画像情報の記録に供される。
【0023】
ここで、本実施形態の放射線画像情報読取装置10では、読取部32において蓄積性蛍光体シートPに蓄積記録された放射線画像情報の読取処理を行う間、消去部30において他の蓄積性蛍光体シートPに残存する放射線画像情報の消去処理を並行して行い、あるいは、消去光源56を点灯し、消去光Sの光量の安定化を図ることができる。この場合、消去光源56から出力された消去光Sの一部が漏光し、読取部32で読み取りを行っている蓄積性蛍光体シートPに照射されると、読み取られた放射線画像情報にかぶりが生じてしまう。
【0024】
しかしながら、消去光源56は、直流電源回路70によって直流駆動されているため、蓄積性蛍光体シートPから出力される輝尽発光光Kは、消去光Sによりコントラストが一様に変動するだけである。すなわち、図3において、消去光源56が消灯状態のときの輝尽発光光Kの光量に対するA/D変換器68による変換後のデジタル信号(点線a1)と、消去光源56が点灯状態にあるときのデジタル信号(実線a2)とを比較すると、これらの信号は、消去光Sの漏光量に対応した一定の変動量rだけ異なっている。従って、画像処理回路66は、A/D変換器68から供給されたデジタル信号より変動量rだけ一様に補正したデジタル信号を求めた後、画像処理を行うことにより、消去光Sの影響のない画像信号を得ることができる。
【0025】
また、消去光源56は、直流電源回路70によって直流駆動されているため、電源のスイッチングによる電磁ノイズが発生することがなく、それによるむらが画像信号に影響を与えることもない。
【0026】
なお、消去光源56として蛍光灯を直流駆動する場合には、消去光源56の極性を所定の通電時間間隔で反転させることにより、陽極側が一方的に黒化する不具合を回避することができる。
【0027】
また、上述した実施形態では、消去光源56を直流電源回路70によって直流駆動しているが、図4に示すように、インバータ電源回路72から供給される高周波駆動電流によって消去光源56を駆動するように構成することもできる。この場合、インバータ電源回路72によって生成される駆動電流の周波数は、A/D変換器68による画像信号のナイキスト周波数よりも高い周波数に設定する。
【0028】
図5は、蓄積性蛍光体シートPから得られる輝尽発光光に基づく画像信号の周波数分布Gfと、消去光源56から出力される消去光Sの周波数分布Sfと、アンチエイリアシングフィルタ67を通過する周波数分布Ffとの関係を示す。この場合、消去光Sの周波数分布Sfは、画像信号のナイキスト周波数f/2よりも高く設定されているため、たとえ、消去光Sが読取部32側に漏光したとしても、A/D変換器68が消去光Sの漏光部分を除去することになる。この結果、画像処理回路66は、消去光Sの影響のないデジタル信号に基づいて画像処理を行うことができる。また、A/D変換器68の直前にアンチエイリアシングフィルタ67を配置し、ナイキスト周波数f/2以上の信号をノイズとして除去するようにしているため、ノイズのない良好な画像信号を得ることができる。
【0029】
なお、消去光源56をインバータ電源回路72から供給される高周波駆動電流により駆動する場合、電流をオン/オフのスイッチング制御とすると、スイッチングによる電磁ノイズが発生するおそれがある。この電磁ノイズは、フォトマルチプライア48によって光電変換された画像信号の外乱となる。この場合、高周波駆動電流をオフ状態とならない脈流とすれば、電磁ノイズの発生が少なく、高精度な画像信号を取り込むことができる。また、消去光源56をLEDとした場合、LEDをパルス状に点灯させるときの制御に適用してもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、蓄積性蛍光体シートからの画像情報の読取処理中において、消去光照射手段を直流駆動することで連続点灯する消去光を生成し、あるいは、画像情報のナイキスト周波数よりも高い周波数で消去光照射手段を駆動することにより、輝尽発光光に混入される消去光を容易に除去し、画像情報を高精度に読み取ることができる。従って、例えば、消去光の光電変換手段に対する遮光をさほど厳密に行う必要がなく、その分、装置を簡易且つ安価なものとすることができる。また、電磁ノイズの発生がなく、あるいは、少なくすることができるため、ノイズの混入を回避して高精度な画像情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の放射線画像情報読取装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す放射線画像情報読取装置における制御回路ブロック図である。
【図3】図1に示す放射線画像情報読取装置における消去光を含む光電変換後のデジタル信号の説明図である。
【図4】他の実施形態における制御回路ブロック図である。
【図5】図4に示す制御回路における消去光、画像情報およびアンチエイリアシングフィルタの各周波数特性の関係説明図である。
【符号の説明】
10…放射線画像情報読取装置 18…カセッテ
30…消去部 32…読取部
38…励起光学系 40…集光系
48…フォトマルチプライア 56…消去光源
58…制御部 60…制御回路
67…アンチエイリアシングフィルタ 68…A/D変換器
70…直流電源回路 72…インバータ電源回路
L…励起光 K…輝尽発光光
P…蓄積性蛍光体シート S…消去光
Claims (3)
- 画像情報の蓄積記録された蓄積性蛍光体シートに励起光を照射する励起光照射手段と、
前記励起光が照射されることで前記蓄積性蛍光体シートから得られる輝尽発光光を電気信号に変換する光電変換手段と、
画像情報の読み取られた前記蓄積性蛍光体シートに消去光を照射し、残存する画像情報を消去する消去光照射手段と、
前記消去光照射手段を直流駆動することで、一定光量からなる前記消去光を生成する電源回路と、
前記光電変換手段によって変換された前記電気信号を、前記消去光に基づく電気信号の分だけ補正する補正手段と、
を備え、前記光電変換手段による前記画像情報の読取処理中に前記消去光照射手段を駆動することを特徴とする画像情報読取装置。 - 画像情報の蓄積記録された蓄積性蛍光体シートに励起光を照射する励起光照射手段と、
前記励起光が照射されることで前記蓄積性蛍光体シートから得られる輝尽発光光を電気信号に変換する光電変換手段と、
画像情報の読み取られた前記蓄積性蛍光体シートに消去光を照射し、残存する画像情報を消去する消去光照射手段と、
前記光電変換手段により変換された前記電気信号のナイキスト周波数よりも高い周波数で前記消去光照射手段を駆動して前記消去光を生成する電源回路と、
を備え、前記光電変換手段による前記画像情報の読取処理中に前記消去光照射手段を駆動することを特徴とする画像情報読取装置。 - 請求項2記載の装置において、
前記ナイキスト周波数よりも低い周波数の前記電気信号を通過させるアンチエイリアシングフィルタを有することを特徴とする画像情報読取装置。
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