JP2004157466A - 放射線画像情報消去ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄積性蛍光体シートに残存する放射線画像情報を確実且つ効率的に消去することが可能であるとともに、低コストで故障発生率が低く、しかも、フィルタのメンテナンス周期が長い放射線画像情報消去ユニットを提供する。
【解決手段】フィルタ104は、第1フィルタ120と第2フィルタ122とを積層して構成される。第1フィルタ120および第2フィルタ122は、ポリカーボネートからなる母材126を有し、母材126の両面には、紫外線を吸収する紫外線吸収層128が形成されている。第1フィルタ120は、母材126を形成するポリカーボネートを調整して透明なフィルタとして形成され、第2フィルタ122は、母材126を形成するポリカーボネートを黄色に着色したフィルタとして形成される。第1フィルタ120および第2フィルタ122は、透明な接着剤を用いて接着される。
【選択図】図3
【解決手段】フィルタ104は、第1フィルタ120と第2フィルタ122とを積層して構成される。第1フィルタ120および第2フィルタ122は、ポリカーボネートからなる母材126を有し、母材126の両面には、紫外線を吸収する紫外線吸収層128が形成されている。第1フィルタ120は、母材126を形成するポリカーボネートを調整して透明なフィルタとして形成され、第2フィルタ122は、母材126を形成するポリカーボネートを黄色に着色したフィルタとして形成される。第1フィルタ120および第2フィルタ122は、透明な接着剤を用いて接着される。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線画像情報が蓄積記録された蓄積性蛍光体シートに消去光源からの消去光を照射し、前記蓄積性蛍光体シートに残存する放射線画像情報を消去する放射線画像情報消去ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、放射線(X線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等)を照射すると、この放射線エネルギの一部が蓄積され、その後、可視光やレーザ光等の励起光を照射すると、蓄積されたエネルギ強度に応じて輝尽発光を示す蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)を利用して、人体等の被写体の放射線画像情報をシート状の蓄積性蛍光体層を備えてなる蓄積性蛍光体シートに一旦記録し、この蓄積性蛍光体シートに前記励起光を照射して得られる輝尽発光光を光電的に読み取り、得られた画像信号を写真感光材料等の記録媒体、CRT等の表示装置に被写体の放射線画像を可視像として出力させる放射線画像情報記録読取装置が知られている。
【0003】
この放射線画像情報記録読取装置では、さらに、放射線画像情報の読み取られた蓄積性蛍光体シートに消去光源からの消去光を照射して残存する放射線画像情報を消去し、蓄積性蛍光体シートを新たな放射線画像情報の記録に供するための消去ユニットを備えたものがある。
【0004】
この場合、蓄積性蛍光体シートの特性を劣化させることがなく、あるいは、消去光の一部が読取部に漏光することによる画像信号のS/N比の増大がなく、蓄積性蛍光体シートから残存する放射線画像情報を確実に消去するためには、所定の波長帯域の消去光を選択して蓄積性蛍光体シートに照射する必要がある。この課題を解決する方法として、所定の波長帯域の消去光のみを出力する消去光源を選択して消去ユニットに搭載することが考えられるが、適切な消去光源を選択することは、極めて高価となる問題があり、現実的ではない。
【0005】
そこで、本出願人は、前記課題を解決するために、例えば、特許文献1に示す消去ユニットを提案している。この消去ユニットは、消去光源を収容するケースの開口部に、放射線画像情報の消去に必要な所定の波長帯域の光を透過させる一方、消去ユニットに隣接する読取部に入射する輝尽発光光の波長帯域の光を遮蔽する特性を有したフィルタを備えている。従って、画像信号のS/N比を増大させることなく、放射線画像情報の読み取りと消去とを同時に行うことができ、しかも、消去処理を確実に行うことができる。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−90531号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フィルタの材質としては、一般に、ガラスやアクリル樹脂が用いられる。しかしながら、ガラスは耐衝撃性が低いため、取り扱いに注意を必要とする。また、ガラスは、アクリル樹脂に比較して重量物であるため、それを保持する保持部材に強度が要求され、必然的に保持部材が大掛かりとなる問題がある。
【0008】
一方、アクリル樹脂は、耐熱温度が低いため、例えば、75℃前後で変形する。そのため、消去光によるフィルタの温度上昇を阻止する手段として冷却ファンを消去ユニットに設ける必要があり、装置構成が複雑化するとともに装置コストが増大する懸念がある。また、アクリル樹脂は、耐熱温度が低いため、消去光源に近接して配置することができない。従って、消去光源と蓄積性蛍光体シートとの距離が必然的に増大し、消去効率が低下する問題が発生する。さらに、アクリル樹脂は、帯電しやすいために塵埃を引き寄せ易く、従って、フィルタ清掃等のメンテナンスの周期が短くなる等の問題を有する。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、蓄積性蛍光体シートに残存する放射線画像情報を確実且つ効率的に消去することが可能であるとともに、低コストで故障発生率が低く、しかも、フィルタのメンテナンス周期が長い放射線画像情報消去ユニットを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、本発明は、放射線画像情報が蓄積記録された蓄積性蛍光体シートに消去光源からの消去光を照射し、前記蓄積性蛍光体シートに残存する放射線画像情報を消去する放射線画像情報消去ユニットにおいて、
前記消去光源と前記蓄積性蛍光体シートとの間に配設され、ポリカーボネートを母材として形成され、前記蓄積性蛍光体シートに残存する放射線画像情報を消去するのに必要な波長帯域の光を前記消去光から選択して透過させるフィルタを備えることを特徴とする(請求項1記載の発明)。
【0011】
ポリカーボネートは、適度な可撓性を有し、ガラスに比して割れ、あるいは、欠けが生じ難く、耐衝撃性に優れるため、フィルタの故障率を低く抑えることができる。
【0012】
ポリカーボネートは、軽量であるとともに容易に薄肉化することができるため、それを保持するための保持部材を簡素な構成とすることができる。
【0013】
ポリカーボネートは、アクリル樹脂に比して耐熱温度が高いため、ファン等のフィルタを冷却する冷却手段が不要となり、装置構成を簡素なものとし、装置コストを低廉なものとすることができるとともに、フィルタを消去光源に近接して配置することができるので、消去光源と蓄積性蛍光体シートとの距離を短くすることができ、消去光を有効に活用することができる。
【0014】
また、放射線画像情報消去ユニットを冷却する必要がないため、放射線画像情報消去ユニットを連続使用して内部温度がある程度昇温している場合には、冷陰極蛍光管等の消去光源から出力される消去光を所望の輝度に速やかに到達させることができる。
【0015】
ポリカーボネートは、着色塗料を混ぜることにより、所望の透過波長帯域を有するフィルタを容易に作成することができる。
【0016】
ポリカーボネートは、安価であり、フィルタのコストを低廉なものとすることができる。
【0017】
ポリカーボネートは、帯電し難いので、塵埃を引き寄せ難く、従って、フィルタ清掃等のメンテナンス周期を長く設定することができる。
【0018】
また、前記フィルタは、紫外線近傍の波長帯域を含む光を前記消去光から選択して透過させる第1領域と、前記紫外線近傍の波長帯域よりも長い波長帯域の光を前記消去光から選択して透過させる第2領域とを備え、前記第1領域を透過した前記消去光を前記蓄積性蛍光体シートに照射した後、前記第2領域を透過した前記消去光を前記蓄積性蛍光体シートに照射することを特徴とする(請求項2記載の発明)。
【0019】
すなわち、フィルタの第1領域を介して紫外線近傍の波長帯域を含む光を蓄積性蛍光体シートに照射して消去を行うので、可視光では消えにくいレベルの比較的深いトラップ電子による残留画像を十分に消去することができる。次いで、フィルタの第2領域を介して紫外線近傍の波長帯域よりも長い波長帯域の光を蓄積性蛍光体シートに照射して消去を行うので、前記紫外線近傍の波長帯域を含む光自身で新たに形成されたトラップ電子による残留画像も十分に消去することができる。
【0020】
さらに、前記フィルタは、前記ポリカーボネートの母材に対して紫外線を吸収する紫外線吸収層を形成しているので(請求項3記載の発明)、消去光あるいは放射線画像情報消去ユニット外からの光に含まれる紫外線がこの紫外線吸収層で吸収され、ポリカーボネートが紫外線の照射を受けることはない。従って、紫外線の影響によるポリカーボネートの変色および光透過率の低下等が回避され、消去効率が経時変化することなく、しかも、フィルタの寿命を延ばすことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に係る放射線画像情報消去ユニットについて、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態の放射線画像情報消去ユニット10を含む放射線画像情報読取装置12の構成を示す。装置本体30の上部には、操作部およびモニタの機能を有するタッチパネル32が設けられ、タッチパネル32の下方には、複数、例えば、4つのカセッテ34を着脱自在なカセッテ装填部36a〜36dが設けられる。
【0023】
カセッテ34は、蓄積性蛍光体シート38を収容する筐体40と、筐体40の開口部42を開閉自在とする蓋体44とを有している。
【0024】
カセッテ装填部36a〜36dには、カセッテ34を載置するための支持台46が設けられるとともに、装置本体30の内部を遮光するためのシャッター部材48が開閉自在に配置される。また、カセッテ装填部36a〜36dには、カセッテ34の位置を固定するカセッテ位置固定機構(図示せず)と、カセッテ34の蓋体44を開閉させる蓋体開閉機構(図示せず)とが組み込まれている。さらに、カセッテ装填部36a〜36dの内部には、カセッテ装填部36a〜36dの任意の1つに対応して配置され、任意のカセッテ34から蓄積性蛍光体シート38を取り出す一方、読み取り消去後の蓄積性蛍光体シート38をカセッテ34内に戻す昇降枚葉部50が装着される。昇降枚葉部50は、蓄積性蛍光体シート38を枚葉するシート体枚葉機構52と、シート体枚葉機構52を上下方向(矢印A方向)に進退自在な昇降機構54とを備える。昇降枚葉部50と搬送系60との間には、蓄積性蛍光体シート38に記録されたバーコードを読み取る専用のバーコードリーダ(図示せず)が設けられている。
【0025】
昇降枚葉部50の下方には、搬送系60を介して放射線画像情報消去ユニット10および読取ユニット64が配設される。搬送系60は、互いに対をなす複数のローラ対66を備えており、このローラ対66により構成される鉛直搬送路の下端側に読取ユニット64が配設される。
【0026】
読取ユニット64は、蓄積性蛍光体シート38を副走査方向(矢印B方向)に搬送する副走査搬送機構70と、副走査方向に搬送される蓄積性蛍光体シート38の主走査方向(副走査方向と略直交する方向)に励起光であるレーザ光Lを照射する光学系72と、このレーザ光Lの照射によって蓄積性蛍光体シート38から生ずる輝尽発光光を光電的に読み取る集光系74とを備える。
【0027】
副走査搬送機構70は、互いに同期して回転駆動される第1および第2ローラ対80、82を備え、この第1および第2ローラ対80、82はそれぞれ近接離間自在である。集光系74は、蓄積性蛍光体シート38上のレーザ光Lの走査位置に沿って下端部が配置される光ガイド84と、光ガイド84の上部に装着されるフォトマルチプライヤ86とを備える。
【0028】
副走査搬送機構70による蓄積性蛍光体シート38の搬送方向下流には、読み取り後の蓄積性蛍光体シート38を上方に搬送する搬送部90が設けられる。
【0029】
制御回路92に近接して消去搬送部94が設けられる。消去搬送部94は、制御回路92の上方に搬送された蓄積性蛍光体シート38を引き戻し、放射線画像情報消去ユニット10の下面に沿った水平方向(図1中、左側から右側方向)に向かって搬送する。さらに、消去搬送部94は、放射線画像情報消去ユニット10を通過した後に上方向に延在して搬送系60に連結されている。
【0030】
制御回路92は、放射線画像情報読取装置12全体を制御するものであり、ネットワーク等を介して図示しない画像情報処理装置等と接続されている。また、制御回路92は、フォトマルチプライヤ86とも接続されており、フォトマルチプライヤ86から入力した画像信号を前記画像情報処置装置に転送する。
【0031】
放射線画像情報消去ユニット10は、図2に示すように、筐体100を有し、筐体100内には、冷陰極蛍光管等の消去光源102a〜102eが略等間隔に配設される。消去光源102a〜102eは、図示しないインバータ回路等の点灯回路によって点灯制御される。筐体100の図2において下面側には、消去搬送部94の搬送経路に指向して、消去光Qの所定の波長帯域の光を透過させるフィルタ104が配設される。フィルタ104の両端部は、略L字形状の板金106を介して筐体100の端部に固定される。
【0032】
フィルタ104は、図3に示すように、第1フィルタ120と第2フィルタ122とを積層して構成される。第1フィルタ120は、厚さ0.5〜1.0mm程度のポリカーボネートからなる母材126を有し、母材126の両面には、紫外線を吸収する厚さ1.0μm以下の紫外線吸収層128がコーティング等によって形成されている。第1フィルタ120は、母材126を形成するポリカーボネートを調整した透明なフィルタとして形成される。
【0033】
第2フィルタ122は、第1フィルタ120と同様に、厚さ0.5〜1.0mm程度のポリカーボネートからなる母材126を有し、母材126の両面には、所定の波長帯域の紫外線を吸収する厚さ1.0μm以下の紫外線吸収層128が形成されている。第2フィルタ122は、第1フィルタ120と異なり、母材126を形成するポリカーボネートを黄色に着色したフィルタとして形成される。第1フィルタ120と第2フィルタ122とは、透明な接着剤を用いて接着される。
【0034】
図3に示す第1フィルタ120のみからなる第1領域aは、消去光源102a〜102eから出力される消去光Qの紫外線近傍の波長帯域を含む光の透過を許容する。具体的には、第1領域aは、図4中、実線G1で示すように、約380nmより長い波長の光を透過させる。
【0035】
一方、第1フィルタ120および第2フィルタ122からなる第2領域bは、消去光源102a〜102eから出力される消去光Qの紫外線近傍の波長帯域よりも長い波長帯域の光の透過を許容する。具体的には、第2領域bは、図4中、点線G2で示すように、約450nmより長い波長の光を透過させる。
【0036】
ポリカーボネートは、熱変形温度が約150℃以上であり、アクリル樹脂の熱変形温度である約75℃に比較して高い温度安定性を備える。また、比重は、1.2であり、アクリル樹脂と同様に軽量である。さらに、光透過率が高く、耐衝撃性に優れている。
【0037】
なお、第1フィルタ120および第2フィルタ122は、レキサン(ゼネラルエレクトリック社の登録商標)、あるいは、ユーピロン・シート(三菱エンジニアリングプラスチックス社の登録商標)を好適なものとして使用することができる。これらのものは、ポリカーボネートを母材として形成されている。
【0038】
本発明の実施形態に係る放射線画像情報消去ユニット10を含む放射線画像情報読取装置12は、基本的には、以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0039】
先ず、図示しないX線撮影装置において患者の所定部位が撮影された蓄積性蛍光体シート38を収容したカセッテ34をカセッテ装填部36a〜36dに装填する(ステップS1)。カセッテ装填部36a〜36dに装填されたカセッテ34は、カセッテ34の位置を固定する機構によってその位置が固定される(ステップS2)。その後、カセッテ34の蓋体44が開かれ、昇降枚葉部50によって蓄積性蛍光体シート38がカセッテ34から枚葉されて、バーコードリーダに至る(ステップS3)。蓄積性蛍光体シート38に記録されたバーコードがバーコードリーダによって読み込まれた後(ステップS4)、蓄積性蛍光体シート38は、搬送系60に供給され搬送される(ステップS5)。その後、蓄積性蛍光体シート38は、搬送系60から副走査搬送機構70に受け渡され、読取ユニット64によって蓄積性蛍光体シート38の放射線画像情報が読み取られる(ステップS6)。読み取られた放射線画像情報は、制御回路92、ネットワークを介して前記画像情報処理装置に転送される。
【0040】
読み取りが終了した蓄積性蛍光体シート38は、搬送部90によって放射線画像情報消去ユニット10の上方に搬送された後、消去搬送部94によって制御回路92の上方で水平状態となる位置まで搬送される。さらに、蓄積性蛍光体シート38は、消去搬送部94によって、放射線画像情報消去ユニット10の下面に沿って水平方向(図1中、左側から右側方向)に搬送されながら、放射線画像情報消去ユニット10によって残存する放射線画像情報が消去される(ステップS7)。
【0041】
この場合、蓄積性蛍光体シート38は、先ず、フィルタ104の第1領域aを通過する際に、図4中、実線G1で示す波長帯域の光の照射を受け、次いで、第2領域bを通過する際に、点線G2で示す波長帯域の光の照射を受ける。すなわち、第1領域aを介して紫外線近傍の波長帯域を含む光を蓄積性蛍光体シート38に照射して消去を行うので、可視光では消えにくいレベルの比較的深いトラップ電子による残留画像を十分に消去することができる。次いで、第2領域bを介して紫外線近傍の波長帯域よりも長い波長帯域の光を蓄積性蛍光体シート38に照射して消去を行うので、前記紫外線近傍の波長帯域を含む光自身で新たに形成されたトラップ電子による残留画像も十分に消去することができる。
【0042】
消去後の蓄積性蛍光体シート38は、消去搬送部94から搬送系60へ受け渡され、搬送系60によって昇降枚葉部50まで搬送される。昇降枚葉部50は、受け渡された蓄積性蛍光体シート38をカセッテ34に戻す(ステップS8)。カセッテ34の蓋体44が閉塞された後、カセッテ34の位置固定が解除され(ステップS9)、作業者によって、カセッテ装填部36a〜36dから消去された蓄積性蛍光体シート38を収容したカセッテ34が取り外される(ステップS10)。
【0043】
ここで、本実施の形態の放射線画像情報消去ユニット10を構成するフィルタ104は、第1フィルタ120および第2フィルタ122をポリカーボネートを母材126として形成している。ポリカーボネートは、適度な可撓性を有し、ガラスに比して割れ、あるいは、欠けが生じ難く、耐衝撃性に優れるため、放射線画像情報消去ユニット10の故障率を低く抑えることができる。
【0044】
また、比重が約2.5であるガラスに比して、ポリカーボネートの比重は約1.2と低いため、軽量であり、従って、それを保持する保持部材である板金106を簡素な構成とすることができる。
【0045】
また、アクリル樹脂の耐熱温度が約75℃と低いのに対して、ポリカーボネートの耐熱温度は約150℃と高いため、フィルタ104を冷却するためのファン等の冷却手段が不要となり、装置構成を簡素なものとすることができるとともに、装置コストを低廉なものとすることができる。
【0046】
従って、フィルタ104を消去光源102a〜102eに近接して配置することができるので、消去光源102a〜102eと蓄積性蛍光体シート38との距離が短くなり、その結果、消去光源102a〜102eからの消去光Qを有効に活用することができる。
【0047】
また、放射線画像情報消去ユニット10を冷却する必要がないため、放射線画像情報消去ユニット10を連続使用して内部温度がある程度昇温している場合には、冷陰極蛍光管等の消去光源102a〜102eから出力される消去光Qを所望の輝度に速やかに到達させることができる。
【0048】
ポリカーボネートは、着色塗料を混ぜることにより、所望の透過波長帯域を有するフィルタ104を容易に作成することができる。
【0049】
ポリカーボネートは、薄く加工することができ、フィルタ104の軽量化が容易である。
【0050】
ポリカーボネートは、安価であり、フィルタ104のコストを低廉なものとすることができる。
【0051】
ポリカーボネートは、帯電し難いので、塵埃を引き寄せ難く、従って、フィルタ104の清掃等のメンテナンス周期を長く設定することができる。
【0052】
また、フィルタ104を構成する第1フィルタ120および第2フィルタ122は、ポリカーボネートの母材126に対して紫外線を吸収する紫外線吸収層128を形成しているので、消去光Qあるいは放射線画像情報消去ユニット10外からの光に含まれる紫外線がこの紫外線吸収層128で吸収され、ポリカーボネートが紫外線の照射を受けることはない。従って、紫外線の影響によるポリカーボネートの変色および光透過率の低下等が回避され、消去効率が経時変化することなく、しかも、フィルタ104の寿命を延ばすことができる。
【0053】
なお、上記の実施の形態では、図2に示すように、消去光源102a〜102eとフィルタ104とを別体で構成しているが、ポリカーボネートは、前述したとおり耐熱温度が高いため、第1フィルタ120または第2フィルタ122を消去光源102a〜102eに直接巻き付ける構成とすることもできる。
【0054】
また、第1フィルタ120および/または第2フィルタ122を紫外線吸収層128を形成することなくポリカーボネートからなる母材126のみで構成し、紫外線の照射の影響により母材126が変色する以前に第1フィルタ120および/または第2フィルタ122を交換するようにしてもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、蓄積性蛍光体シートに残存する放射線画像情報を確実且つ効率的に消去することが可能であるとともに、低コストで故障発生率が低く、しかも、フィルタのメンテナンス周期を長くする等の顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の放射線画像情報消去ユニットを含む放射線画像情報読取装置の構成図である。
【図2】本実施の形態の放射線画像情報消去ユニットの構成図である。
【図3】図2に示す放射線画像情報消去ユニットを構成するフィルタの構成を説明する縦断面図である。
【図4】フィルタの第1領域および第2領域の各透過特性を示すグラフである。
【図5】放射線画像情報読取装置の処理動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10…放射線画像情報消去ユニット 12…放射線画像情報読取装置
38…蓄積性蛍光体シート 100…筐体
102a〜102e…消去光源 104…フィルタ
106…板金 120…第1フィルタ
122…第2フィルタ 126…母材
128…紫外線吸収層 a…第1領域
b…第2領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線画像情報が蓄積記録された蓄積性蛍光体シートに消去光源からの消去光を照射し、前記蓄積性蛍光体シートに残存する放射線画像情報を消去する放射線画像情報消去ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、放射線(X線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等)を照射すると、この放射線エネルギの一部が蓄積され、その後、可視光やレーザ光等の励起光を照射すると、蓄積されたエネルギ強度に応じて輝尽発光を示す蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)を利用して、人体等の被写体の放射線画像情報をシート状の蓄積性蛍光体層を備えてなる蓄積性蛍光体シートに一旦記録し、この蓄積性蛍光体シートに前記励起光を照射して得られる輝尽発光光を光電的に読み取り、得られた画像信号を写真感光材料等の記録媒体、CRT等の表示装置に被写体の放射線画像を可視像として出力させる放射線画像情報記録読取装置が知られている。
【0003】
この放射線画像情報記録読取装置では、さらに、放射線画像情報の読み取られた蓄積性蛍光体シートに消去光源からの消去光を照射して残存する放射線画像情報を消去し、蓄積性蛍光体シートを新たな放射線画像情報の記録に供するための消去ユニットを備えたものがある。
【0004】
この場合、蓄積性蛍光体シートの特性を劣化させることがなく、あるいは、消去光の一部が読取部に漏光することによる画像信号のS/N比の増大がなく、蓄積性蛍光体シートから残存する放射線画像情報を確実に消去するためには、所定の波長帯域の消去光を選択して蓄積性蛍光体シートに照射する必要がある。この課題を解決する方法として、所定の波長帯域の消去光のみを出力する消去光源を選択して消去ユニットに搭載することが考えられるが、適切な消去光源を選択することは、極めて高価となる問題があり、現実的ではない。
【0005】
そこで、本出願人は、前記課題を解決するために、例えば、特許文献1に示す消去ユニットを提案している。この消去ユニットは、消去光源を収容するケースの開口部に、放射線画像情報の消去に必要な所定の波長帯域の光を透過させる一方、消去ユニットに隣接する読取部に入射する輝尽発光光の波長帯域の光を遮蔽する特性を有したフィルタを備えている。従って、画像信号のS/N比を増大させることなく、放射線画像情報の読み取りと消去とを同時に行うことができ、しかも、消去処理を確実に行うことができる。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−90531号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フィルタの材質としては、一般に、ガラスやアクリル樹脂が用いられる。しかしながら、ガラスは耐衝撃性が低いため、取り扱いに注意を必要とする。また、ガラスは、アクリル樹脂に比較して重量物であるため、それを保持する保持部材に強度が要求され、必然的に保持部材が大掛かりとなる問題がある。
【0008】
一方、アクリル樹脂は、耐熱温度が低いため、例えば、75℃前後で変形する。そのため、消去光によるフィルタの温度上昇を阻止する手段として冷却ファンを消去ユニットに設ける必要があり、装置構成が複雑化するとともに装置コストが増大する懸念がある。また、アクリル樹脂は、耐熱温度が低いため、消去光源に近接して配置することができない。従って、消去光源と蓄積性蛍光体シートとの距離が必然的に増大し、消去効率が低下する問題が発生する。さらに、アクリル樹脂は、帯電しやすいために塵埃を引き寄せ易く、従って、フィルタ清掃等のメンテナンスの周期が短くなる等の問題を有する。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、蓄積性蛍光体シートに残存する放射線画像情報を確実且つ効率的に消去することが可能であるとともに、低コストで故障発生率が低く、しかも、フィルタのメンテナンス周期が長い放射線画像情報消去ユニットを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、本発明は、放射線画像情報が蓄積記録された蓄積性蛍光体シートに消去光源からの消去光を照射し、前記蓄積性蛍光体シートに残存する放射線画像情報を消去する放射線画像情報消去ユニットにおいて、
前記消去光源と前記蓄積性蛍光体シートとの間に配設され、ポリカーボネートを母材として形成され、前記蓄積性蛍光体シートに残存する放射線画像情報を消去するのに必要な波長帯域の光を前記消去光から選択して透過させるフィルタを備えることを特徴とする(請求項1記載の発明)。
【0011】
ポリカーボネートは、適度な可撓性を有し、ガラスに比して割れ、あるいは、欠けが生じ難く、耐衝撃性に優れるため、フィルタの故障率を低く抑えることができる。
【0012】
ポリカーボネートは、軽量であるとともに容易に薄肉化することができるため、それを保持するための保持部材を簡素な構成とすることができる。
【0013】
ポリカーボネートは、アクリル樹脂に比して耐熱温度が高いため、ファン等のフィルタを冷却する冷却手段が不要となり、装置構成を簡素なものとし、装置コストを低廉なものとすることができるとともに、フィルタを消去光源に近接して配置することができるので、消去光源と蓄積性蛍光体シートとの距離を短くすることができ、消去光を有効に活用することができる。
【0014】
また、放射線画像情報消去ユニットを冷却する必要がないため、放射線画像情報消去ユニットを連続使用して内部温度がある程度昇温している場合には、冷陰極蛍光管等の消去光源から出力される消去光を所望の輝度に速やかに到達させることができる。
【0015】
ポリカーボネートは、着色塗料を混ぜることにより、所望の透過波長帯域を有するフィルタを容易に作成することができる。
【0016】
ポリカーボネートは、安価であり、フィルタのコストを低廉なものとすることができる。
【0017】
ポリカーボネートは、帯電し難いので、塵埃を引き寄せ難く、従って、フィルタ清掃等のメンテナンス周期を長く設定することができる。
【0018】
また、前記フィルタは、紫外線近傍の波長帯域を含む光を前記消去光から選択して透過させる第1領域と、前記紫外線近傍の波長帯域よりも長い波長帯域の光を前記消去光から選択して透過させる第2領域とを備え、前記第1領域を透過した前記消去光を前記蓄積性蛍光体シートに照射した後、前記第2領域を透過した前記消去光を前記蓄積性蛍光体シートに照射することを特徴とする(請求項2記載の発明)。
【0019】
すなわち、フィルタの第1領域を介して紫外線近傍の波長帯域を含む光を蓄積性蛍光体シートに照射して消去を行うので、可視光では消えにくいレベルの比較的深いトラップ電子による残留画像を十分に消去することができる。次いで、フィルタの第2領域を介して紫外線近傍の波長帯域よりも長い波長帯域の光を蓄積性蛍光体シートに照射して消去を行うので、前記紫外線近傍の波長帯域を含む光自身で新たに形成されたトラップ電子による残留画像も十分に消去することができる。
【0020】
さらに、前記フィルタは、前記ポリカーボネートの母材に対して紫外線を吸収する紫外線吸収層を形成しているので(請求項3記載の発明)、消去光あるいは放射線画像情報消去ユニット外からの光に含まれる紫外線がこの紫外線吸収層で吸収され、ポリカーボネートが紫外線の照射を受けることはない。従って、紫外線の影響によるポリカーボネートの変色および光透過率の低下等が回避され、消去効率が経時変化することなく、しかも、フィルタの寿命を延ばすことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に係る放射線画像情報消去ユニットについて、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態の放射線画像情報消去ユニット10を含む放射線画像情報読取装置12の構成を示す。装置本体30の上部には、操作部およびモニタの機能を有するタッチパネル32が設けられ、タッチパネル32の下方には、複数、例えば、4つのカセッテ34を着脱自在なカセッテ装填部36a〜36dが設けられる。
【0023】
カセッテ34は、蓄積性蛍光体シート38を収容する筐体40と、筐体40の開口部42を開閉自在とする蓋体44とを有している。
【0024】
カセッテ装填部36a〜36dには、カセッテ34を載置するための支持台46が設けられるとともに、装置本体30の内部を遮光するためのシャッター部材48が開閉自在に配置される。また、カセッテ装填部36a〜36dには、カセッテ34の位置を固定するカセッテ位置固定機構(図示せず)と、カセッテ34の蓋体44を開閉させる蓋体開閉機構(図示せず)とが組み込まれている。さらに、カセッテ装填部36a〜36dの内部には、カセッテ装填部36a〜36dの任意の1つに対応して配置され、任意のカセッテ34から蓄積性蛍光体シート38を取り出す一方、読み取り消去後の蓄積性蛍光体シート38をカセッテ34内に戻す昇降枚葉部50が装着される。昇降枚葉部50は、蓄積性蛍光体シート38を枚葉するシート体枚葉機構52と、シート体枚葉機構52を上下方向(矢印A方向)に進退自在な昇降機構54とを備える。昇降枚葉部50と搬送系60との間には、蓄積性蛍光体シート38に記録されたバーコードを読み取る専用のバーコードリーダ(図示せず)が設けられている。
【0025】
昇降枚葉部50の下方には、搬送系60を介して放射線画像情報消去ユニット10および読取ユニット64が配設される。搬送系60は、互いに対をなす複数のローラ対66を備えており、このローラ対66により構成される鉛直搬送路の下端側に読取ユニット64が配設される。
【0026】
読取ユニット64は、蓄積性蛍光体シート38を副走査方向(矢印B方向)に搬送する副走査搬送機構70と、副走査方向に搬送される蓄積性蛍光体シート38の主走査方向(副走査方向と略直交する方向)に励起光であるレーザ光Lを照射する光学系72と、このレーザ光Lの照射によって蓄積性蛍光体シート38から生ずる輝尽発光光を光電的に読み取る集光系74とを備える。
【0027】
副走査搬送機構70は、互いに同期して回転駆動される第1および第2ローラ対80、82を備え、この第1および第2ローラ対80、82はそれぞれ近接離間自在である。集光系74は、蓄積性蛍光体シート38上のレーザ光Lの走査位置に沿って下端部が配置される光ガイド84と、光ガイド84の上部に装着されるフォトマルチプライヤ86とを備える。
【0028】
副走査搬送機構70による蓄積性蛍光体シート38の搬送方向下流には、読み取り後の蓄積性蛍光体シート38を上方に搬送する搬送部90が設けられる。
【0029】
制御回路92に近接して消去搬送部94が設けられる。消去搬送部94は、制御回路92の上方に搬送された蓄積性蛍光体シート38を引き戻し、放射線画像情報消去ユニット10の下面に沿った水平方向(図1中、左側から右側方向)に向かって搬送する。さらに、消去搬送部94は、放射線画像情報消去ユニット10を通過した後に上方向に延在して搬送系60に連結されている。
【0030】
制御回路92は、放射線画像情報読取装置12全体を制御するものであり、ネットワーク等を介して図示しない画像情報処理装置等と接続されている。また、制御回路92は、フォトマルチプライヤ86とも接続されており、フォトマルチプライヤ86から入力した画像信号を前記画像情報処置装置に転送する。
【0031】
放射線画像情報消去ユニット10は、図2に示すように、筐体100を有し、筐体100内には、冷陰極蛍光管等の消去光源102a〜102eが略等間隔に配設される。消去光源102a〜102eは、図示しないインバータ回路等の点灯回路によって点灯制御される。筐体100の図2において下面側には、消去搬送部94の搬送経路に指向して、消去光Qの所定の波長帯域の光を透過させるフィルタ104が配設される。フィルタ104の両端部は、略L字形状の板金106を介して筐体100の端部に固定される。
【0032】
フィルタ104は、図3に示すように、第1フィルタ120と第2フィルタ122とを積層して構成される。第1フィルタ120は、厚さ0.5〜1.0mm程度のポリカーボネートからなる母材126を有し、母材126の両面には、紫外線を吸収する厚さ1.0μm以下の紫外線吸収層128がコーティング等によって形成されている。第1フィルタ120は、母材126を形成するポリカーボネートを調整した透明なフィルタとして形成される。
【0033】
第2フィルタ122は、第1フィルタ120と同様に、厚さ0.5〜1.0mm程度のポリカーボネートからなる母材126を有し、母材126の両面には、所定の波長帯域の紫外線を吸収する厚さ1.0μm以下の紫外線吸収層128が形成されている。第2フィルタ122は、第1フィルタ120と異なり、母材126を形成するポリカーボネートを黄色に着色したフィルタとして形成される。第1フィルタ120と第2フィルタ122とは、透明な接着剤を用いて接着される。
【0034】
図3に示す第1フィルタ120のみからなる第1領域aは、消去光源102a〜102eから出力される消去光Qの紫外線近傍の波長帯域を含む光の透過を許容する。具体的には、第1領域aは、図4中、実線G1で示すように、約380nmより長い波長の光を透過させる。
【0035】
一方、第1フィルタ120および第2フィルタ122からなる第2領域bは、消去光源102a〜102eから出力される消去光Qの紫外線近傍の波長帯域よりも長い波長帯域の光の透過を許容する。具体的には、第2領域bは、図4中、点線G2で示すように、約450nmより長い波長の光を透過させる。
【0036】
ポリカーボネートは、熱変形温度が約150℃以上であり、アクリル樹脂の熱変形温度である約75℃に比較して高い温度安定性を備える。また、比重は、1.2であり、アクリル樹脂と同様に軽量である。さらに、光透過率が高く、耐衝撃性に優れている。
【0037】
なお、第1フィルタ120および第2フィルタ122は、レキサン(ゼネラルエレクトリック社の登録商標)、あるいは、ユーピロン・シート(三菱エンジニアリングプラスチックス社の登録商標)を好適なものとして使用することができる。これらのものは、ポリカーボネートを母材として形成されている。
【0038】
本発明の実施形態に係る放射線画像情報消去ユニット10を含む放射線画像情報読取装置12は、基本的には、以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0039】
先ず、図示しないX線撮影装置において患者の所定部位が撮影された蓄積性蛍光体シート38を収容したカセッテ34をカセッテ装填部36a〜36dに装填する(ステップS1)。カセッテ装填部36a〜36dに装填されたカセッテ34は、カセッテ34の位置を固定する機構によってその位置が固定される(ステップS2)。その後、カセッテ34の蓋体44が開かれ、昇降枚葉部50によって蓄積性蛍光体シート38がカセッテ34から枚葉されて、バーコードリーダに至る(ステップS3)。蓄積性蛍光体シート38に記録されたバーコードがバーコードリーダによって読み込まれた後(ステップS4)、蓄積性蛍光体シート38は、搬送系60に供給され搬送される(ステップS5)。その後、蓄積性蛍光体シート38は、搬送系60から副走査搬送機構70に受け渡され、読取ユニット64によって蓄積性蛍光体シート38の放射線画像情報が読み取られる(ステップS6)。読み取られた放射線画像情報は、制御回路92、ネットワークを介して前記画像情報処理装置に転送される。
【0040】
読み取りが終了した蓄積性蛍光体シート38は、搬送部90によって放射線画像情報消去ユニット10の上方に搬送された後、消去搬送部94によって制御回路92の上方で水平状態となる位置まで搬送される。さらに、蓄積性蛍光体シート38は、消去搬送部94によって、放射線画像情報消去ユニット10の下面に沿って水平方向(図1中、左側から右側方向)に搬送されながら、放射線画像情報消去ユニット10によって残存する放射線画像情報が消去される(ステップS7)。
【0041】
この場合、蓄積性蛍光体シート38は、先ず、フィルタ104の第1領域aを通過する際に、図4中、実線G1で示す波長帯域の光の照射を受け、次いで、第2領域bを通過する際に、点線G2で示す波長帯域の光の照射を受ける。すなわち、第1領域aを介して紫外線近傍の波長帯域を含む光を蓄積性蛍光体シート38に照射して消去を行うので、可視光では消えにくいレベルの比較的深いトラップ電子による残留画像を十分に消去することができる。次いで、第2領域bを介して紫外線近傍の波長帯域よりも長い波長帯域の光を蓄積性蛍光体シート38に照射して消去を行うので、前記紫外線近傍の波長帯域を含む光自身で新たに形成されたトラップ電子による残留画像も十分に消去することができる。
【0042】
消去後の蓄積性蛍光体シート38は、消去搬送部94から搬送系60へ受け渡され、搬送系60によって昇降枚葉部50まで搬送される。昇降枚葉部50は、受け渡された蓄積性蛍光体シート38をカセッテ34に戻す(ステップS8)。カセッテ34の蓋体44が閉塞された後、カセッテ34の位置固定が解除され(ステップS9)、作業者によって、カセッテ装填部36a〜36dから消去された蓄積性蛍光体シート38を収容したカセッテ34が取り外される(ステップS10)。
【0043】
ここで、本実施の形態の放射線画像情報消去ユニット10を構成するフィルタ104は、第1フィルタ120および第2フィルタ122をポリカーボネートを母材126として形成している。ポリカーボネートは、適度な可撓性を有し、ガラスに比して割れ、あるいは、欠けが生じ難く、耐衝撃性に優れるため、放射線画像情報消去ユニット10の故障率を低く抑えることができる。
【0044】
また、比重が約2.5であるガラスに比して、ポリカーボネートの比重は約1.2と低いため、軽量であり、従って、それを保持する保持部材である板金106を簡素な構成とすることができる。
【0045】
また、アクリル樹脂の耐熱温度が約75℃と低いのに対して、ポリカーボネートの耐熱温度は約150℃と高いため、フィルタ104を冷却するためのファン等の冷却手段が不要となり、装置構成を簡素なものとすることができるとともに、装置コストを低廉なものとすることができる。
【0046】
従って、フィルタ104を消去光源102a〜102eに近接して配置することができるので、消去光源102a〜102eと蓄積性蛍光体シート38との距離が短くなり、その結果、消去光源102a〜102eからの消去光Qを有効に活用することができる。
【0047】
また、放射線画像情報消去ユニット10を冷却する必要がないため、放射線画像情報消去ユニット10を連続使用して内部温度がある程度昇温している場合には、冷陰極蛍光管等の消去光源102a〜102eから出力される消去光Qを所望の輝度に速やかに到達させることができる。
【0048】
ポリカーボネートは、着色塗料を混ぜることにより、所望の透過波長帯域を有するフィルタ104を容易に作成することができる。
【0049】
ポリカーボネートは、薄く加工することができ、フィルタ104の軽量化が容易である。
【0050】
ポリカーボネートは、安価であり、フィルタ104のコストを低廉なものとすることができる。
【0051】
ポリカーボネートは、帯電し難いので、塵埃を引き寄せ難く、従って、フィルタ104の清掃等のメンテナンス周期を長く設定することができる。
【0052】
また、フィルタ104を構成する第1フィルタ120および第2フィルタ122は、ポリカーボネートの母材126に対して紫外線を吸収する紫外線吸収層128を形成しているので、消去光Qあるいは放射線画像情報消去ユニット10外からの光に含まれる紫外線がこの紫外線吸収層128で吸収され、ポリカーボネートが紫外線の照射を受けることはない。従って、紫外線の影響によるポリカーボネートの変色および光透過率の低下等が回避され、消去効率が経時変化することなく、しかも、フィルタ104の寿命を延ばすことができる。
【0053】
なお、上記の実施の形態では、図2に示すように、消去光源102a〜102eとフィルタ104とを別体で構成しているが、ポリカーボネートは、前述したとおり耐熱温度が高いため、第1フィルタ120または第2フィルタ122を消去光源102a〜102eに直接巻き付ける構成とすることもできる。
【0054】
また、第1フィルタ120および/または第2フィルタ122を紫外線吸収層128を形成することなくポリカーボネートからなる母材126のみで構成し、紫外線の照射の影響により母材126が変色する以前に第1フィルタ120および/または第2フィルタ122を交換するようにしてもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、蓄積性蛍光体シートに残存する放射線画像情報を確実且つ効率的に消去することが可能であるとともに、低コストで故障発生率が低く、しかも、フィルタのメンテナンス周期を長くする等の顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の放射線画像情報消去ユニットを含む放射線画像情報読取装置の構成図である。
【図2】本実施の形態の放射線画像情報消去ユニットの構成図である。
【図3】図2に示す放射線画像情報消去ユニットを構成するフィルタの構成を説明する縦断面図である。
【図4】フィルタの第1領域および第2領域の各透過特性を示すグラフである。
【図5】放射線画像情報読取装置の処理動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10…放射線画像情報消去ユニット 12…放射線画像情報読取装置
38…蓄積性蛍光体シート 100…筐体
102a〜102e…消去光源 104…フィルタ
106…板金 120…第1フィルタ
122…第2フィルタ 126…母材
128…紫外線吸収層 a…第1領域
b…第2領域
Claims (3)
- 放射線画像情報が蓄積記録された蓄積性蛍光体シートに消去光源からの消去光を照射し、前記蓄積性蛍光体シートに残存する放射線画像情報を消去する放射線画像情報消去ユニットにおいて、
前記消去光源と前記蓄積性蛍光体シートとの間に配設され、ポリカーボネートを母材として形成され、前記蓄積性蛍光体シートに残存する放射線画像情報を消去するのに必要な波長帯域の光を前記消去光から選択して透過させるフィルタを備えることを特徴とする放射線画像情報消去ユニット。 - 請求項1記載のユニットにおいて、
前記フィルタは、紫外線近傍の波長帯域を含む光を前記消去光から選択して透過させる第1領域と、前記紫外線近傍の波長帯域よりも長い波長帯域の光を前記消去光から選択して透過させる第2領域とを備え、前記第1領域を透過した前記消去光を前記蓄積性蛍光体シートに照射した後、前記第2領域を透過した前記消去光を前記蓄積性蛍光体シートに照射することを特徴とする放射線画像情報消去ユニット。 - 請求項1または2記載のユニットにおいて、
前記フィルタは、前記ポリカーボネートの母材に対して紫外線を吸収する紫外線吸収層を形成してなることを特徴とする放射線画像情報消去ユニット。
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JP2002325333A JP2004157466A (ja) | 2002-11-08 | 2002-11-08 | 放射線画像情報消去ユニット |
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JP2002325333A JP2004157466A (ja) | 2002-11-08 | 2002-11-08 | 放射線画像情報消去ユニット |
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JP (1) | JP2004157466A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013012867A (ja) * | 2011-06-29 | 2013-01-17 | Kyocera Document Solutions Inc | 画像読取装置及びこれを備えた画像形成装置 |
-
2002
- 2002-11-08 JP JP2002325333A patent/JP2004157466A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013012867A (ja) * | 2011-06-29 | 2013-01-17 | Kyocera Document Solutions Inc | 画像読取装置及びこれを備えた画像形成装置 |
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