JP3913278B2 - 乳酸又はグリコール酸水溶液のpH安定化方法および皮膚化粧料 - Google Patents

乳酸又はグリコール酸水溶液のpH安定化方法および皮膚化粧料 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、皮膚化粧料に関し、詳しくは、α−ヒドロキシ酸水溶液のpH安定化方法および、該pH安定性のα−ヒドロキシ酸水溶液を含有する肌あれ改善効果にすぐれた皮膚化粧料に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、米国において、グリコール酸等のα−ヒドロキシ酸の抗しわ効果に関する発表が行われたことをきっかけとして、α−ヒドロキシ酸を配合した皮膚化粧料が種々提案されている(例えばE.J.Van Scott,Cutis,vol.43,222(1989)および特開平5−139947)。
【0003】
α−ヒドロキシ酸は、そのまま添加するとかなり低pHであり、皮膚刺激性を有する。また、同時に例えば保湿成分としてヒアルロン酸を添加しようとすると、ヒアルロン酸は低pH条件では、分解低分子量化が進行し、期待した保湿効果が得られなくなってしまう。
【0004】
一方、α−ヒドロキシ酸をpH調整して中性または塩基性領域で安定化しようとする目的で塩基を加えた場合、一旦、目的のpH領域に調整しても、経時的なpH変化(低pH化)を起こしてしまい、なかなか目的のpHで安定化させることができなかった。
【0005】
しかし、一般に、α−ヒドロキシ酸の抗しわ効果は、酸性領域で有効であると考えられていたため、中性領域や弱アルカリ領域におけるpH安定化に関する検討は行われていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、乳酸又はグリコール酸の抗しわ効果について詳細に検討した結果、意外にも中性、弱酸性、および弱アルカリ性領域においても、十分に有効であることを見出した。
【0007】
また、乳酸又はグリコール酸のpH安定化の方法について種々検討を行い、水酸化ナトリウムを添加した後に、加熱処理を行うことで、その後のpHの経時変化を起こさない、pH安定性に優れた乳酸又はグリコール酸水溶液が得られることを見出した。また、このようにして得られた、pH安定性に優れた乳酸又はグリコール酸水溶液を配合した皮膚化粧料は、抗しわ効果および使用感に優れたものであることを見出した。
【0008】
従って、本発明は乳酸又はグリコール酸水溶液のpH安定化方法を提供するものであり、また、該pH安定化に優れた乳酸又はグリコール酸を配合した皮膚化粧料を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のポイントは、まず、従来、かなり強い酸性領域でのみ有効であると考えられていた、乳酸又はグリコール酸の抗しわ効果が、中性、弱アルカリ性、または弱酸性領域においても有効であることを見出したことにある。
【0010】
ヘアレスマウスに紫外線を慢性照射し、肌あれ皮膚を誘発させた実験系における試験では、pH調整しないグリコール酸(pH1.7)に対して、pH8.0に調整したグリコール酸のナトリウム塩、pH5.0に調整したグリコール酸のエタノールアミン塩、また、pH7.0に調整した乳酸のナトリウム塩が、保湿効果(角質水分量)、しわ改善効果(皮溝皮丘数、皮溝皮丘不規則性、しわ面積率、しわ最大深さ)において、同程度の有効性を有していることが確認された。
【0011】
次に、pH安定化の方法について説明する。
グリコール酸をほぼ中性pHに調整する目的で、塩基例えば水酸化ナトリウムを加えて、pH7程度に調整しても、そのままでは、経時的にpHが変化してしまい、例えば24時間後には、pH6.5程度に、3週間後には6.0程度まで低下してしまう。
しかし、塩基を添加して、一旦目的とするpHより高いpH、例えば8.9程度に調整し、しかる後に、該溶液を加熱処理、例えば90℃で1時間処理すると、pHは6.0程度になり、経時的にも安定なものとすることができる。
【0012】
水酸化ナトリウムの添加量は、乳酸又はグリコール酸がpH8〜9になるよう調整するとよい。
【0013】
また、加熱処理は、70℃以上好ましくは80℃以上で、1時間以上行うとよい。加熱方法にはとくに制限はない。
【0014】
このようにして得られたpHが安定化した、乳酸又はグリコール酸の水溶液は、優れた皮膚しわ改善効果を有しており、また経時的にもpHがほとんど変化しないので、各種化粧品に配合して皮膚しわ改善効果を有する化粧料を製造することができる。
【0015】
また、中性付近でpHが安定化できるので、低pHでは不安定な各種成分をさらに添加することが可能である。例えば、低pH領域では経時的に低分子量化してしまい有効性を失してしまうヒアルロン酸またはその塩を配合して、さらに保湿効果にも優れたものとすることができる。
【0016】
このほかにも、乳酸又はグリコール酸やその他の有効成分の効果を損なわない範囲で、ビタミン類、抗酸化剤、保湿剤、などの有効成分を添加してもよい。なかでも、抗酸化効果、保湿効果に優れた特性を有している、乳酸菌の培養上清をさらに配合することで、抗しわ効果、保湿効果、また使用感にも優れた皮膚化粧料を製造することができる。
【0017】
【実施例】
以下、試験例および実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0018】
試験例1
中性、弱アルカリ性、弱酸性領域における乳酸又はグリコール酸の抗しわ効果
ヘアレスマウスに紫外線を慢性照射し、肌あれ皮膚を誘発させ、これに、試験1)グリコール酸水溶液(pH1.7)、試験2)グリコール酸ナトリウム水溶液(pH8.0)、試験3)グリコール酸モノエタノールアミン水溶液(pH5.0)、試験4)乳酸ナトリウム水溶液(pH7.0)をそれぞれ塗布し、角質水分量、皮溝皮丘数、皮溝皮丘不規則性、しわ面積率、しわ最大深さ、の各項目について、何も塗布しない対照群と比較し、誤差1%以内で有為差ありと判断されるものを++ 印、誤差5%以内で有為差ありと判断されるものを+印で表わした。結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
Figure 0003913278
【0020】
その結果、乳酸又はグリコール酸の抗しわ効果は、中性、弱酸性、および弱アルカリ性領域でも、強酸性領域における効果と同等の効果があることが確認できた。
【0021】
試験例2
加熱処理によるグリコール酸のpH安定化試験
(1) 1%グリコール酸水溶液に水酸化ナトリウムを添加して、pH6.2に調整し、これを、90℃で2時間加熱処理した。処理後のpHは、pH5.5〜5.6であり、経時的にも安定なものであった。一方、加熱処理を行わないと、数週間に渡って徐々にpHが低下して、最終的にpH5.5程度となった。
【0022】
(2) グリコール酸水溶液に1.05等量の水酸化ナトリウムを加えてpH8.9に調整し、90℃で1時間加熱処理した。処理後のpHは、6.0〜6.1であり、経時的にも安定であった。
一方、加熱処理を行わないと、数週間に渡って徐々にpHが低下して、最終的にpH6.0程度となった。
この結果、グリコール酸水溶液に塩基を添加したのち、加熱処理を施すことにより、pHの安定化を図ることができることが判った。
【0023】
実施例1
pH6.0に安定化した、グリコール酸溶液の製造
7.6%のグリコール酸水溶液に、1.05等量の水酸化ナトリウムを加えて、pH8.9に調整した後、90℃で1時間加熱処理を行った。処理後のpHは、pH6.09であった。
【0024】
実施例2
pHの安定化したグリコール酸水溶液を配合した化粧料の製造
下記の処方により、乳液を製造した。
(成分)
(1)流動パラフィン 5 (%)
(2)ミリスチン酸オクチルドデシル 5
(3)スクワラン 3
(4)セタノール 0.5
(5)ステアリン酸 0.5
(6)ブチルパラベン 0.1
(7)POE(20)ソルビタン 2
モノステアレート
(8)グリセリルモノステアレート 2
(9)1,3ブチレングリコール 5
(10)メチルパラベン 0.2
(11)実施例1で製造した 10
グリコール酸水溶液
(12)香料 0.1
(13)精製水 全体を100とする量
(1)〜(8)を80℃で混合溶解したものに、(9)〜(10)を(13)に溶解したものと、(11)とを混合し、混合後50℃まで冷却し、(12)を添加して混合する。
【0025】
実施例3
さらに、ヒアルロン酸および乳酸菌培養上清を配合した化粧料の製造
下記の処方により、化粧水を製造した。
(成分)
(1)エチルアルコール 5 (%)
(2)EDTA・2Na 0.2
(3)グリセリン 10
(4)1,3ブチレングリコール 5
(5)メチルパラベン 0.1
(6)乳酸菌培養上清 10
(7)ヒアルロン酸Na 0.001
(8)実施例1で製造した 5
グリコール酸水溶液
(9)水酸化Na 適量
(10)POE(50)硬化ヒマシ油 0.5
(11)香料 0.1
(1)〜(7)を適当量の精製水に溶解したものと、(8)〜(9)の混合物と、(10)〜(11)を適当量の精製水に溶解したものを混合し、さらに精製水を加えて全体を100とする。
【0026】
実施例2、3で製造した皮膚化粧料は、いずれも使用感にすぐれ、また、保湿効果および皮膚のしわ改善効果に優れたものであった。
【0027】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、経時的にpHが安定化したα−ヒドロキシ酸の水溶液を製造することができ、これを配合することで、抗しわ効果に優れた皮膚化粧料を製造することができる。また、ほぼ中性領域でpHが安定化したα−ヒロドキシ配合化粧料では、酸性領域では、分解してしまうようなヒアルロン酸を保湿成分として配合することも可能となり、さらに保湿効果にも優れた化粧料を製造することができる。

Claims (4)

  1. 乳酸又はグリコール酸水溶液に水酸化ナトリウムを加えて、一旦目的とするpHより高いpHとした後に、加熱処理する、乳酸又はグリコール酸水溶液のpH安定化方法において、目的とするpHが5.5〜6.5であり、目的とするpHより高いpHが8〜9であり、加熱処理が80℃〜90℃で1時間以上の加熱処理である、乳酸又はグリコール酸水溶液のpH安定化方法
  2. 請求項記載の方法により得られるpHが安定化した乳酸又はグリコール酸水溶液を配合したことを特徴とする皮膚化粧料。
  3. さらに、ヒアルロン酸またはその塩を配合したことを特徴とする請求項に記載の皮膚化粧料。
  4. さらに、乳酸菌の培養上清を配合したことを特徴とする請求項2または3に記載の皮膚化粧料。
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