JPH10194982A - コラゲナーゼ阻害剤及びこれを含有する皮膚の老化防止用外用剤 - Google Patents
コラゲナーゼ阻害剤及びこれを含有する皮膚の老化防止用外用剤Info
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Abstract
線維の加水分解を防止し、これらの減少を有効に防止し
て皮膚の老化症状進行を改善及び防止することのできる
コラゲナーゼ阻害剤、及び皮膚外用剤を提供する。 【解決手段】 ヨモギ属植物の1種又は2種以上の抽出
物を含有させて、コラゲナーゼ阻害剤とする。抽出溶媒
としては、水及び低級アルコール,多価アルコールをは
じめとする極性有機溶媒が好ましい。さらに、これを含
有させて、皮膚の老化防止に有効な皮膚外用剤を得る。
抽出物は、そのままでもコラゲナーゼ阻害剤として外用
剤基剤に添加できるが、濃縮,乾固したものを水や極性
溶媒に再度溶解したり、或いは脱色,脱臭,脱塩等の精
製処理を行った後に添加しても良い。また、精製処理の
後凍結乾燥して、用時にそのまま添加したり、溶媒に溶
解させて用いることもできる。
Description
種又は2種以上の抽出物を含有して成るコラゲナーゼ阻
害剤、及びこれを含有して成る皮膚の老化防止に有効な
皮膚外用剤に関する。
生,弾性の低下といった老化症状の進行が認められる。
近年、熱,紫外線,種々の化学物質等、環境中に存在す
る多様なストレスにより、かかる老化症状の進行が促進
されることが明らかとなってきており、紫外線防御剤や
活性酸素消去剤の配合により、皮膚の老化を防止する試
みがなされている。
れる皮膚弾性の低下は、真皮コラーゲン線維やエラスチ
ンの減少、或いは過度の架橋の形成進行に起因すると考
えられ、可溶性のコラーゲンやエラスチンを直接皮膚外
用剤に配合したり、コラーゲン等のマトリックス成分を
合成する線維芽細胞を活性化する作用を有するものを配
合することも検討されている。
子量の大きいタンパク質であり、経皮吸収性が悪く、腐
敗や変性の防止等品質の維持にも注意を要する必要があ
る。さらに、経皮吸収された後抗原性を示す懸念もあ
り、皮膚外用剤への配合に適するとは言いがたい。一
方、種々の線維芽細胞活性化剤が検討されているが、経
皮吸収性,作用効果,安定性のすべてにおいて優れ、さ
らに皮膚刺激性や感作性等の皮膚に対する悪影響の少な
いものは未だにわずかである。また、紫外線防御剤や活
性酸素消去剤の配合によっても、紫外線や活性酸素種に
起因しない皮膚の弾性低下を防止するには不十分であ
る。
は、生体内で生じるコラーゲン等のマトリックス線維の
加水分解を防止し、これらの減少を有効に防止して皮膚
の老化症状進行を防ぐことのできるコラゲナーゼ阻害剤
及び皮膚外用剤を提供することを目的とした。
め、本発明者は安定性及び安全性が高く、しかも高活性
のコラゲナーゼ阻害剤のスクリーニングを行った。その
結果、ヨモギ属植物の水或いは極性溶媒による抽出物に
優れたコラゲナーゼ阻害活性を見いだし、これを皮膚外
用剤に含有させることによって、良好な皮膚の老化症状
の軽減及び進行防止が認められるに至った。
粧料や皮膚外用剤に配合されており、抗菌活性,消臭活
性,抗酸化性及びアミラーゼ阻害作用(特開平7−33
636)、アトピー性皮膚炎改善効果(特開平7−27
7950)、血行促進作用(特開平8−59493)、
皮膚掻痒症改善効果(特開平8−301773)、テス
トステロン5αリダクターゼ阻害作用(特開平1−96
125,同8−310923)、グリコシルトランスフ
ェラーゼ阻害作用(特開平8−310931)等が知ら
れているが、本発明において開示するコラゲナーゼ阻害
作用については全く開示されていない。
有させる抽出物を得るために用いるヨモギ属植物として
は、ヨモギ(モチグサ,Artemisia vulgaris L. var. i
ndica Maxim.,A. dubia Wall.),ヤマヨモギ(オオヨ
モギ,Artemisia vulgaris L. var. vulgatissima Bes
s.,A. montana Pampanini),これに近縁のArtemisia
vulgarisL.,オトコヨモギ(Artemisia japonica Thun
b.),シロヨモギ(Artemisia stelleriana Bess.),
イヌヨモギ(Artemisia keiskeana Miq.),ヒメヨモギ
(Artemisia lavandulaefolia DC.),タカネヨモギ(A
rtemisia sinanensis Yabe),サマニヨモギ(Artemisi
a norvegica Fries.,A. arctica Less.),アサギリソ
ウ(Artemisia schmidtiana Maxim.),カワラニンジン
(Artemisia apiacea Hance),クソニンジン(Artemis
ia annua L.),ハマヨモギ(フクド,Artemisia fukud
o Makino),モウコヨモギ(Artemisia mongolia Fisch
er),カワラヨモギ(Artemisia capillaris Thunb.)
等が挙げられ、これらより1種又は2種以上を選択して
用いる。抽出には、花,茎,葉,根の各部位及び全草を
用いることができるが、コラゲナーゼ阻害活性の点では
葉を用いることが最も好ましい。また、植物を生のまま
抽出操作に供しても良いが、抽出効率を考えると、細
切,乾燥,粉砕等の処理を行った後抽出を行うことが好
ましい。抽出温度は室温〜50℃程度が適切である。
エタノール,プロパノール,イソプロパノール等の低級
アルコール、1,3-ブチレングリコール,プロピレングリ
コール,ジプロピレングリコール,グリセリン等の多価
アルコール、エチルエーテル,プロピルエーテル等のエ
ーテル類、酢酸エチル,酢酸ブチル等のエステル類、ア
セトン,エチルメチルケトン等のケトン類などの極性有
機溶媒を用いることができ、これらより1種又は2種以
上を選択して用いる。また、皮膚外用剤への配合を考え
て、リン酸緩衝液等を用いても良い。
ラゲナーゼ阻害剤として外用剤基剤に添加できるが、濃
縮,乾固したものを水や極性溶媒に再度溶解したり、或
いは脱色,脱臭,脱塩等の精製処理を行った後に添加し
ても良い。また保存のためには、精製処理の後凍結乾燥
し、用時に溶媒に溶解させて用いることが好ましい。皮
膚外用剤への配合量は、ヨモギ属植物を十分浸漬し得る
量の溶媒にて抽出して得た粗抽出物の状態で、0.00
1〜10.0重量%程度とするのが適当である。
酸素消去剤,抗炎症剤,美白剤,皮膚細胞賦活剤,殺菌
剤の他、油類,界面活性剤,保湿剤,紫外線吸収剤,粉
体,香料,防腐剤等、一般的な外用剤及び化粧料原料を
も含有させることができる。
状,ゲル状,クリーム状又は粉末状の形態で提供するこ
とができる。また本発明に係る皮膚外用剤は、ローショ
ン剤,乳剤,ゲル剤,クリーム剤,軟膏等の剤型で提供
することができ、さらに化粧水,乳液,クリーム,パッ
ク等の皮膚化粧料、メイクアップベースローション,メ
イクアップベースクリーム,液状又はクリーム状或いは
軟膏型のファンデーションといったメイクアップ化粧
料、ハンドクリーム,レッグクリーム,ボディローショ
ン等の身体用化粧料などとしても提供することができ
る。
詳細に説明する。
コラゲナーゼ阻害剤 ヨモギの葉500gを、0.05Mリン酸緩衝液(pH
7.0)1.0l中に浸漬してホモジナイズし、室温に
て一晩抽出する。抽出液をセファデックスG-15カラ
ムクロマトグラフィーにより脱塩した後凍結乾燥した。
この凍結乾燥粉末を、10.0(w/v)%となるように前
記リン酸緩衝液に溶解し、コラゲナーゼ阻害剤とした。
有するコラゲナーゼ阻害剤 ヤマヨモギ全草500gを、50.0容量%エタノール
1.0l中に浸漬してホモジナイズし、室温にて一晩抽
出する。抽出液を濃縮乾固して溶媒を除去し、乾固物を
50.0容量%1,3-ブチレングリコール水溶液に再度溶
解し、活性炭処理してコラゲナーゼ阻害剤とした。
モギ全草及びカワラニンジン全草の抽出物を含有するコ
ラゲナーゼ阻害剤 ヒメヨモギ全草,カワラヨモギ全草及びカワラニンジン
全草各500gを、水2.0l中に浸漬してホモジナイ
ズし、室温にて一晩抽出する。抽出液をセファデックス
G-15カラムクロマトグラフィーにより脱塩した後凍
結乾燥した。この凍結乾燥粉末を、10.0(w/v)%と
なるように50.0容量%エタノールに溶解し、コラゲ
ナーゼ阻害剤とした。
ゲナーゼ活性阻害効果を評価した。コラゲナーゼ活性
は、ヒト真皮のホモジネート1.0mlを酵素液として
用い、p-フェニルアゾ-Z-プロリン-ロイシン-グリシン-
プロリン-アルギニンを基質としたコラゲナーゼ活性測
定法により測定した。この酵素反応系に、上記の実施例
1〜実施例3のそれぞれ0.1mlを試料として添加し
た時、及び実施例1〜実施例3で用いた溶媒のみ各0.
1mlを添加した時の320nmにおける吸光度を求
め、それぞれAS及びA0とし、酵素液を用いずに同様に
反応させた際の吸光度をAbS及びAb0として、コラゲナ
ーゼ活性阻害率は下記の式(1)により求められる。
阻害率を、表1に示した。
のコラゲナーゼ阻害剤は、67〜77%と非常に高い阻
害効果を示していた。
ゲナーゼ阻害剤は、熱及び光に対し非常に良好な安定性
を示し、100℃で10分間の熱処理及び3カ月間の露
光保存によっても、コラゲナーゼ阻害活性の低下はほと
んど見られなかった。
の実施例を示す。
し、70℃に保つ。一方、(7)〜(11)の水相成分を混
合,加熱して均一とし、70℃とする。この水相成分に
前記油相成分を攪拌しながら徐々に添加して乳化し、冷
却する。
て添加し、次いで(3)を加えて増粘させ、(6)を添加す
る。
熱する。一方、(8)〜(12)の水相成分を混合,溶解して
75℃に加熱する。次いで、上記水相成分に油相成分を
添加して予備乳化した後、ホモミキサーにて均一に乳化
し、冷却する。
75℃に加熱する。一方、(5)〜(9)の水相成分を混合,
溶解して75℃に加熱し、これに前記油相成分を添加し
て乳化し、冷却する。なお(8)のヒメヨモギ葉抽出物
は、ヒメヨモギの葉500gを細切後、1,3-ブチレング
リコール500mlに浸漬し、10℃にて1週間抽出し
て調製した。
する。なお、(3)のヨモギ葉抽出物及び(4)のアサギリソ
ウ全草抽出物は、ヨモギの葉500g及びアサギリソウ
の全草500gをそれぞれグリセリン及びエタノール各
750mlに浸漬し、15℃で5日間抽出し、活性炭処
理をして調製した。
0℃に加熱した(4)に攪拌しながら徐々に添加する。こ
れをあらかじめ混合し70℃に加熱溶解した(1)〜(3)に
均一に分散し、これに(7)〜(9)を(10)の残部に溶解して
70℃に加熱したものを攪拌しながら添加し、ホモミキ
サーにて乳化する。冷却後、40℃にて(11)を添加,混
合する。なお(9)のイヌヨモギ,タカネヨモギ抽出物
は、これら植物の全草各500gを水1.0l中でホモ
ジネートし、室温で24時間抽出した後、抽出物をセフ
ァデックスG-15カラムクロマトグラフィーにより脱
塩し、凍結乾燥して調製した。
均一とする。一方(5)〜(9)の水相成分を混合し、75℃
に加熱,溶解して均一とし、これに(10)〜(12)の顔料を
添加し、ホモミキサーにて均一に分散させる。この水相
成分に前記油相成分を添加し、ホモミキサーにて乳化し
た後冷却し、40℃にて(13)を添加,混合する。
均一とする。一方(6)〜(10)の水相成分を混合し、75
℃に加熱,溶解して均一とし、これに(11)〜(15)の顔料
を添加し、ホモミキサーにて均一に分散させる。この水
相成分に前記油相成分を添加し、ホモミキサーにて均一
に乳化した後冷却し、40℃にて(16)を添加,混合す
る。なお(9)のオトコヨモギ,シロヨモギ,ハマヨモギ
抽出物は、これら植物の葉各500gを0.05Mリン
酸緩衝液(pH7.0)1.5l中でホモジネートし、
室温で24時間抽出した後、抽出物をセファデックスG
-15カラムクロマトグラフィーにより脱塩し、凍結乾
燥して調製した。
熱する。一方、(7)〜(11)の水相成分を混合,溶解して
75℃に加熱する。次いで、上記水相成分に油相成分を
添加して予備乳化した後、ホモミキサーにて均一に乳化
し、冷却する。なお、(10)のサマニヨモギ,クソニンジ
ン抽出物は、これらの全草各500gを乾燥後粉砕し
て、40.0容量%エタノール200ml中に浸漬し、
15℃で5日間抽出した後、抽出液を濃縮,乾固し、3
0.0容量%1,3-ブチレングリコール10.0mlに再
溶解し、活性炭処理して調製した。
〜実施例8について、しわの発生防止効果を評価した。
その際、各実施例において、本発明に係るコラゲナーゼ
阻害剤及びヨモギ属植物の抽出物を、それぞれに用いて
いる溶媒に代替したものを比較例とし、同時に評価を行
った。なお、ヨモギ属植物抽出物が粉末状のものについ
ては、精製水にて代替した。評価は、ヘアレスマウス5
匹を1群とし、各群について実施例及び比較例をそれぞ
れ1日1回背部に塗布し、1J/cm2/週の長波長域紫
外線(UVA)を50週間照射し、ヘアレスマウスにお
けるしわの発生状況を観察し、表2に示す判定基準に従
って点数化して行った。この際、精製水のみを塗布した
群を対照とした。結果は各群の平均値を算出し、UVA
照射日数との関係により表3に示した。
数が40週を超える頃には形成されたしわの深さは中程
度にまで達し、50週後には深いしわの発生が見られて
いた。これに対し、本発明の実施例4〜実施例8塗布群
では良好なしわの発生防止が認められ、50週のUVA
照射によっても微小なしわ又は軽微なしわの発生が見ら
れた程度であった。一方比較例塗布群では、酢酸トコフ
ェロールを含有する比較例5塗布群で発生するしわの程
度の軽減が若干観察された他は、有意なしわの発生防止
或いは軽減は認められなかった。
いて、6カ月間の実使用試験を行った。パネラーとして
は、しわや皮膚弾性の低下といった皮膚の老化症状が顕
著に認められる40〜60才代の女性を用い、1群20
名とした。実施例9〜実施例13においても、それぞれ
に含有させたコラゲナーゼ阻害剤或いはヨモギ属植物抽
出物を溶媒又は精製水にて代替したものを比較例とし
た。使用試験は、実施例及び比較例のそれぞれを各群に
ブラインドにて使用させ、使用試験開始前と使用試験終
了後の皮膚の状態を観察し、しわ及び皮膚弾性の各改善
状況について、「改善」,「やや改善」,「変化なし」
の3段階にて評価して行った。結果は各評価を得たパネ
ラー数にて表4に示した。
は、実施例9使用群でしわの改善に変化の見られなかっ
たパネラーが1名存在した他は、すべてのパネラーにお
いてしわ及び皮膚弾性ともに改善傾向が認められてい
た。特に、実施例4〜実施例8及び実施例13使用群で
は、しわについては45%、皮膚弾性については60%
以上のパネラーで改善を認めていた。これに対し、比較
例使用群ではいずれにおいても、しわ及び皮膚弾性とも
に改善傾向はほとんど見られていなかった。
いては、使用試験期間中に含有成分の分離や凝集,析
出、変臭,変色等の状態変化を認めたものはなかった。
また、各実施例使用群において、皮膚刺激性反応や皮膚
感作性反応を示したパネラーも存在しなかった。
体内で生じるコラーゲン等のマトリックス線維の加水分
解を防止し、これらの減少を有効に防止して皮膚の老化
症状進行を防ぐことのできるコラゲナーゼ阻害剤及び皮
膚外用剤を提供することができた。
Claims (3)
- 【請求項1】 ヨモギ属植物の1種又は2種以上の抽出
物を含有して成る、コラゲナーゼ阻害剤。 - 【請求項2】 ヨモギ属植物の1種又は2種以上の抽出
物を、コラゲナーゼ阻害剤として含有して成る、皮膚の
老化防止用外用剤。 - 【請求項3】 皮膚の老化防止用外用剤が、皮膚の老化
防止用化粧料であることを特徴とする、請求項2に記載
の外用剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9017331A JPH10194982A (ja) | 1997-01-14 | 1997-01-14 | コラゲナーゼ阻害剤及びこれを含有する皮膚の老化防止用外用剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9017331A JPH10194982A (ja) | 1997-01-14 | 1997-01-14 | コラゲナーゼ阻害剤及びこれを含有する皮膚の老化防止用外用剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10194982A true JPH10194982A (ja) | 1998-07-28 |
Family
ID=11941082
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9017331A Pending JPH10194982A (ja) | 1997-01-14 | 1997-01-14 | コラゲナーゼ阻害剤及びこれを含有する皮膚の老化防止用外用剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10194982A (ja) |
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