JP3912622B2 - ヒーター付ミラー - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、浴室の鏡や、車両用ドアミラー等に好適に用いられる、防曇用又はミラーの表面に付着した水滴、雨滴、露、氷といったものを除去するヒーター付ミラーに関する。
【0002】
【従来の技術】
降雨時や、寒冷地の降雪時の車両の走行において、バックミラー等に水滴が付着したり氷結したりすることにより、後方の視認が不十分となり走行安全性が損なわれることを防ぐことを目的として、ミラー表面に付着した水滴、氷などを加温して除去するために加熱できるミラーが種々提案されている。
【0003】
例えば、実公昭58−28937号公報には、鏡板の裏面に、熱伝導率の高い均熱板を密着状態で配置し、この均熱板の裏面に発熱体を接合した車両用バックミラーが開示されている。
また、実公昭62−33648号公報には、ミラー本体の背面に平面上のヒーターを固着し、ヒーターのパターンをミラーの周縁部を中心部より密にしたヒーター付ミラーが開示されている。
更に、実開平4−102599号公報には、電極によって発熱領域が複数に分割されているミラー用面状発熱体が開示されている。
【0004】
上記のミラー又はミラー用面状発熱体においては、良好な視界が得られるようミラー全面を均一に加温すべく、複雑な発熱抵抗体パターンや複雑な電極パターンを形成した電熱基板をミラー基板裏面へ固着させる等の方法が採られていた。しかし、ミラー基板と別体の電熱基板を用いる方法では、複雑な発熱抵抗体パターンや電極パターンを設計・製造しなければならず、コストが高くなるという問題があった。また、別体の電熱基板からの熱伝導によりミラー基板が加温されるため、熱効率が悪く水滴などの除去に時間が長くかかるという問題もあった。
そこで、実開平5−13872号公報のように、ミラー基板の表面に、反射膜兼発熱抵抗体を形成し、この反射膜兼発熱抵抗体の表面に絶縁用オーバーコート層を設けたヒーター付ミラーが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、反射膜兼発熱抵抗体をミラー基板表面に形成した場合には、熱効率は改善されるものの、ミラーの中心部のみが昇温し易く、端部における水滴などの除去には長時間を要する。
また、ミラー全面の加温をなすためには、各電極線をミラー基板の外辺部近傍に設けることが行われているが、特に、車両用のミラーはミラー基板の形状として円形や矩形でなく略平行四辺形、略台形、略楕円形、略菱形といったような、ミラー基板外縁の作る内角が小さい部分(狭角部)とこれより大きい部分(広角部)とを有しているものが用いられているため、各電極線は狭角部と広角部を結ぶミラー基板1の外辺近傍、もしくは広角部と広角部、狭角部と狭角部とを結ぶミラー基板1の外辺近傍に位置することになり、電極線端部は狭角部または広角部に位置することになる。このような場合、特に広角部近傍が加温され易く、加温され難い狭角部の水滴などの除去を速やかに行おうとすると、多大の電力を投入せねばならず、効率が悪いばかりでなく、広角部の過加熱により樹脂ホルダーなど周辺部品の焼失・変形や人間の接触などによるやけどといった災害をもたらすことにもなる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになしたもので、狭角部と広角部とを有するミラー基板上に反射膜兼発熱抵抗体膜、又は、反射膜及び発熱抵抗体膜を形成し、この発熱抵抗体膜に通電加温するためにミラーの長辺側に沿った方向で対向する2本の電極を設けたヒーター付ミラーにおいて、前記ミラーの長辺側に沿った方向で対向する2本の電極の4端部を結んだ線が略長方形になるように電極を配置することを特徴とするヒーター付ミラーを要旨とするものである。
【0007】
図1は本発明の一実施例である大型車両用ミラーに用いるヒーター付ミラーの背面図であり、図2はその縦断面模式図である。参照符号1は、ガラスなどの透明材料よりなる略台形のミラー基板であり、このミラー基板1の四方のR付けされた角は、ミラー基板1外縁の作る内角が90度より大きい部分(広角部)1a、1dと、小さい部分(狭角部)1b、1cとなっている。このミラー基板1の裏面には、反射膜兼発熱抵抗体膜2を形成している。
この反射膜兼発熱抵抗体膜2はチタン、クロム、ニクロムなどの膜をスパッタリング法や真空蒸着法により形成したものである。なお、反射膜兼発熱抵抗体膜2は、本実施例のように、ミラー基板1裏面に形成した膜が反射膜と発熱抵抗体膜とを兼ねているもの以外の構成も採用できる。例えば、複層の膜を形成して、各々の膜に反射膜としての働きと発熱抵抗体膜としての働きを重ね合せたものや、反射膜と発熱抵抗体膜との間に絶縁層を形成し、電気的に接続されないよう形成したものも採用できる。
複層の膜を形成して、各々の膜に反射膜としての働きと発熱抵抗体膜としての働きを重ね合せたものの場合、第1層は、材料としてアルミニウム、クロム、ニッケル、ニクロム系合金、ニッケル−燐などを用い、スパッタリング法、真空蒸着法又はめっき法などにより形成し、第2層は、材料としてチタン、チタンシリサイド、クロムシリサイド、窒化タンタル、炭化チタン、炭化タングステン、ホウ化ニオブ、鉄−クロム−アルミニウム系合金などを用い、スパッタリング法、真空蒸着法又はめっき法などにより形成することができる。
また、反射膜と発熱抵抗体膜との間に絶縁層を形成し、電気的に接続されないよう形成させたものの場合、反射膜としては材料としてアルミニウム、クロム、ニッケル、ニクロム系合金、ニッケル−燐などを用い、スパッタリング法、真空蒸着法又はめっき法などにより形成し、絶縁層としてはシリカを用い、発熱抵抗体膜としては材料としてチタン、チタンシリサイド、クロムシリサイド、窒化タンタル、炭化チタン、炭化タングステン、ホウ化ニオブ、鉄−クロム−アルミニウム系合金などを用い、スパッタリング法、真空蒸着法又はめっき法などにより形成することができる。
【0008】
さらに、この反射膜兼発熱抵抗体膜2の裏面には、前記反射膜兼発熱抵抗体膜2に通電するための電極線3a、3bよりなる対向する2本の電極3が設けられており、この電極線3aはミラー基板1の広角部1aと1dをつなぐミラー基板1の外辺近傍に設けられ、また対向する電極線3bは狭角部1bと1cをつなぐミラー基板1の外辺近傍に設けられており、この対向する電極線3a、3bの4端部E1、E2、E3、E4を結ぶ線は、略長方形となっている。
また広角部側における電極線端部E1、E4はミラー全面を加温するために、広角部1a、1d近傍に位置していることが好ましい。
また図6は本発明の別の実施例である車両用ドアミラーに用いるヒーター付ミラーの背面図であり、略平行四辺形の形状をしたミラー基板であり、電極線3aは広角部1aと狭角部1bをつなぐミラー基板1の外辺近傍に設けられ、電極線3bは広角部1dと狭角部1cをつなぐミラー基板1の外辺近傍に設けられている。この様な形状のミラー基板の場合にも電極線端部E1、E2、E3、E4を結ぶ線は、略長方形となっている。
その結果、電極線3a,3bは電極線長さがほぼ等しく、かつ略平行に形成されることになり、広角部側電極線両端部での電流集中を抑制することができる。
また電極先端部での電流集中をより抑制するために、電極先端部に凸部を形成しても良い。
電極線の形状を以上のようになすことによって加熱されやすい広角部側に流入する電流集中度を低くすることによって、ミラー全面を均一に加温することができる。
【0009】
上記電極線3a、3bは種々の方法で形成することができる。例えば、銅や銀ペーストを用いて銅や銀の薄層を形成したり、その上にハンダを施したり、ニッケルめっきによりニッケルの薄層を形成したりなどである。また、ミラー全面の均一な加温をなすために、電極線の材質・厚さなどを変えることにより、場所により不均一な抵抗値を持たせた電極であっても良い。
【0010】
更に、ミラー裏面は、電気的絶縁のため、温度変化によりクラックが発生しないヤング率の低い樹脂・ゴム等の絶縁材料4によりコーティングすることが好ましい。参照符号5は前記電極線3a、3bと給電回路(不図示)とを半田付け等により接続するためのリード線であり、A1、A2は、それぞれの電極線の給電点である。尚、電極線内における給電点は、複数個であってもよい。
【0011】
【作用】
本発明のヒーター付ミラーにおいて、ミラー基板広角部を含む全面が所望通りの温度制御の下、均一な加温が可能になるのは、従来過加熱され易かった広角部に流入する電流を、電極線の形状を調整することにより、広角部側の電流密度を低くすることで、広角部の過加熱を防止し、効率的にミラー基板全面を加温できるようになしたためである。
【0012】
【実施例】
以下、実施例によってより詳細に説明する。
実施例1
図1は、実施例1の大型車両用ミラーであって、略台形状のガラス製曲面ミラー基板(R=600mm)1上に、ニクロム膜とチタン膜とを順次スパッタリング法により、各々0.15μm、0.1μm厚形成して反射膜兼発熱抵抗体膜2とした。
さらに、この反射膜兼発熱抵抗体膜2の裏面には、前記反射膜兼発熱抵抗体膜2に通電するための電極線3a、3bよりなる電極3を設けた。この電極線3aはミラー基板1の広角部1aと1dをつなぐミラー基板1の外辺近傍に設け、その両端部E1、E4が広角部1a、広角部1d近傍に位置するように形成した。また電極線3bは、ミラー基板1の狭角部1bと1cとをつなぐミラー基板1の外辺近傍に設け、その両端部E2、E3は、電極線端部E1、E2、E3、E4を結ぶ線が略長方形になるように位置を定めて形成した。
この電極3の電極線3a、3bに設定した給電点A1、A2にリード線5を接続してヒーター付ミラーを作製した。
このヒーター付ミラーの加温を温度制御素子(サーモスタット)6により制御したところ、ミラー基板の表面の温度を45〜65℃の範囲で設定通り制御することができた。
【0013】
実施例2
図3は、実施例2の大型車両用ミラーであって、実施例1において、広角部1a、1d近傍に位置する電極線3aの両端に凸部を形成した以外は実施例1と同様になしてヒーター付ミラーを作製した。
このヒーター付ミラーの加温を温度制御素子(サーモスタット)6により制御したところ、ミラー基板の表面の温度を50〜65℃の範囲で設定通り制御することができた。
【0014】
実施例3
図4は、実施例3の大型車両用ミラーであって、実施例2において、電極線3bの両端にも凸部を形成した以外は実施例2と同様になしてヒーター付ミラーを作製した。
このヒーター付ミラーの加温を温度制御素子(サーモスタット)6により制御したところ、ミラー基板の表面の温度を50〜65℃の範囲で設定通り制御することができた。
【0015】
比較例1
図5は、比較例1の大型車両用ミラーであって、実施例1において、電極線3bの両端部をミラー基板1の狭角部1b,1c近傍に形成した以外は実施例1と同様になしてヒーター付ミラーを作製した。
このヒーター付ミラーの加温を温度制御素子(サーモスタット)6により制御したところ、広角部側電極線端部近傍での過加熱が生じ、ミラー基板の表面の温度が40〜95℃となり、設定通りの温度範囲で制御することができなかった。
【0016】
実施例4
図6は、実施例4の車両用ドアミラーであって、略平行四辺形のガラス製曲面ミラー基板(R=1400mm)1上に、チタン膜をスパッタリング法により0.1μm厚形成して反射膜兼発熱抵抗体膜2とした。
さらに、この反射膜兼発熱抵抗体膜2の裏面には、前記反射膜兼発熱抵抗体膜2に通電するための電極線3a、3bよりなる電極3を設けた。この電極線3aは、ミラー基板1の広角部1aと狭角部1bとをつなぐミラー基板1の外辺近傍に設け、電極線3bはミラー基板1の広角部1dと狭角部1cとをつなぐミラー基板1の外辺近傍に設けた。電極線3aの広角部1a側端部E1は広角部1a近傍に凸部を持って形成され、電極線3bの広角部1d側端部E4は広角部1d近傍に凸部を持って形成されている。更に電極線3a、3bの他端部E2、E3は、電極線端部E1、E2、E4、E3を結ぶ線が略長方形になるように位置を定めて形成した。
この電極3の電極線3a、3bに設定した給電点A1、A2にリード線5を接続してヒーター付ミラーを作製した。
このヒーター付ミラーの加温を温度制御素子(サーモスタット)6により制御したところ、ミラー基板の表面の温度を50〜65℃の範囲で設定通り制御することができた。
【0017】
比較例2
図7は、比較例2の車両用ドアミラーであって、実施例4において、電極線3a、3bの両端部をミラー基板1の広角部1a,狭角部1b,狭角部1c,広角部1d近傍に形成させた以外は、実施例4と同様なしてヒーター付ミラーを作製した。
このヒーター付ミラーの加温を温度制御素子(サーモスタット)6により制御したところ、広角部側電極線端部近傍での過加熱が生じ、ミラー基板の表面の温度が40〜95℃となり、設定通りの温度範囲で制御することができなかった。
【0018】
【発明の効果】
本発明に係わるヒーター付ミラーは、ミラー基板の広角部の電流集中による過加熱を防止できるため、ミラー基板全面において均一な加温が得られることから所望の温度制御が可能であり、ミラー表面に付着した水滴、氷などを全面にわたって速やかに除去できる。また、大きな電流を流すことによって、降雨時の走行中にミラーに付着した雨滴の迅速な除去も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図 1】 本発明の実施例1の背面図である。
【図 2】 図1の縦断面模式図である。
【図 3】 本発明の実施例2の背面図である。
【図 4】 本発明の実施例3の背面図である。
【図 5】 本発明の比較例1の背面図である。
【図 6】 本発明の実施例4の背面図である。
【図 7】 本発明の比較例2の背面図である。
【符号の説明】
1 ミラー基板
2 反射膜兼発熱抵抗体膜
3 電極
3a、3b 電極線
4 絶縁材料
5 リード線
6 温度制御素子
1a、1d 広角部
1b、1c 狭角部
A1、A2 給電点
E1、E2、E3、E4 電極線端部
【産業上の利用分野】
本発明は、浴室の鏡や、車両用ドアミラー等に好適に用いられる、防曇用又はミラーの表面に付着した水滴、雨滴、露、氷といったものを除去するヒーター付ミラーに関する。
【0002】
【従来の技術】
降雨時や、寒冷地の降雪時の車両の走行において、バックミラー等に水滴が付着したり氷結したりすることにより、後方の視認が不十分となり走行安全性が損なわれることを防ぐことを目的として、ミラー表面に付着した水滴、氷などを加温して除去するために加熱できるミラーが種々提案されている。
【0003】
例えば、実公昭58−28937号公報には、鏡板の裏面に、熱伝導率の高い均熱板を密着状態で配置し、この均熱板の裏面に発熱体を接合した車両用バックミラーが開示されている。
また、実公昭62−33648号公報には、ミラー本体の背面に平面上のヒーターを固着し、ヒーターのパターンをミラーの周縁部を中心部より密にしたヒーター付ミラーが開示されている。
更に、実開平4−102599号公報には、電極によって発熱領域が複数に分割されているミラー用面状発熱体が開示されている。
【0004】
上記のミラー又はミラー用面状発熱体においては、良好な視界が得られるようミラー全面を均一に加温すべく、複雑な発熱抵抗体パターンや複雑な電極パターンを形成した電熱基板をミラー基板裏面へ固着させる等の方法が採られていた。しかし、ミラー基板と別体の電熱基板を用いる方法では、複雑な発熱抵抗体パターンや電極パターンを設計・製造しなければならず、コストが高くなるという問題があった。また、別体の電熱基板からの熱伝導によりミラー基板が加温されるため、熱効率が悪く水滴などの除去に時間が長くかかるという問題もあった。
そこで、実開平5−13872号公報のように、ミラー基板の表面に、反射膜兼発熱抵抗体を形成し、この反射膜兼発熱抵抗体の表面に絶縁用オーバーコート層を設けたヒーター付ミラーが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、反射膜兼発熱抵抗体をミラー基板表面に形成した場合には、熱効率は改善されるものの、ミラーの中心部のみが昇温し易く、端部における水滴などの除去には長時間を要する。
また、ミラー全面の加温をなすためには、各電極線をミラー基板の外辺部近傍に設けることが行われているが、特に、車両用のミラーはミラー基板の形状として円形や矩形でなく略平行四辺形、略台形、略楕円形、略菱形といったような、ミラー基板外縁の作る内角が小さい部分(狭角部)とこれより大きい部分(広角部)とを有しているものが用いられているため、各電極線は狭角部と広角部を結ぶミラー基板1の外辺近傍、もしくは広角部と広角部、狭角部と狭角部とを結ぶミラー基板1の外辺近傍に位置することになり、電極線端部は狭角部または広角部に位置することになる。このような場合、特に広角部近傍が加温され易く、加温され難い狭角部の水滴などの除去を速やかに行おうとすると、多大の電力を投入せねばならず、効率が悪いばかりでなく、広角部の過加熱により樹脂ホルダーなど周辺部品の焼失・変形や人間の接触などによるやけどといった災害をもたらすことにもなる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになしたもので、狭角部と広角部とを有するミラー基板上に反射膜兼発熱抵抗体膜、又は、反射膜及び発熱抵抗体膜を形成し、この発熱抵抗体膜に通電加温するためにミラーの長辺側に沿った方向で対向する2本の電極を設けたヒーター付ミラーにおいて、前記ミラーの長辺側に沿った方向で対向する2本の電極の4端部を結んだ線が略長方形になるように電極を配置することを特徴とするヒーター付ミラーを要旨とするものである。
【0007】
図1は本発明の一実施例である大型車両用ミラーに用いるヒーター付ミラーの背面図であり、図2はその縦断面模式図である。参照符号1は、ガラスなどの透明材料よりなる略台形のミラー基板であり、このミラー基板1の四方のR付けされた角は、ミラー基板1外縁の作る内角が90度より大きい部分(広角部)1a、1dと、小さい部分(狭角部)1b、1cとなっている。このミラー基板1の裏面には、反射膜兼発熱抵抗体膜2を形成している。
この反射膜兼発熱抵抗体膜2はチタン、クロム、ニクロムなどの膜をスパッタリング法や真空蒸着法により形成したものである。なお、反射膜兼発熱抵抗体膜2は、本実施例のように、ミラー基板1裏面に形成した膜が反射膜と発熱抵抗体膜とを兼ねているもの以外の構成も採用できる。例えば、複層の膜を形成して、各々の膜に反射膜としての働きと発熱抵抗体膜としての働きを重ね合せたものや、反射膜と発熱抵抗体膜との間に絶縁層を形成し、電気的に接続されないよう形成したものも採用できる。
複層の膜を形成して、各々の膜に反射膜としての働きと発熱抵抗体膜としての働きを重ね合せたものの場合、第1層は、材料としてアルミニウム、クロム、ニッケル、ニクロム系合金、ニッケル−燐などを用い、スパッタリング法、真空蒸着法又はめっき法などにより形成し、第2層は、材料としてチタン、チタンシリサイド、クロムシリサイド、窒化タンタル、炭化チタン、炭化タングステン、ホウ化ニオブ、鉄−クロム−アルミニウム系合金などを用い、スパッタリング法、真空蒸着法又はめっき法などにより形成することができる。
また、反射膜と発熱抵抗体膜との間に絶縁層を形成し、電気的に接続されないよう形成させたものの場合、反射膜としては材料としてアルミニウム、クロム、ニッケル、ニクロム系合金、ニッケル−燐などを用い、スパッタリング法、真空蒸着法又はめっき法などにより形成し、絶縁層としてはシリカを用い、発熱抵抗体膜としては材料としてチタン、チタンシリサイド、クロムシリサイド、窒化タンタル、炭化チタン、炭化タングステン、ホウ化ニオブ、鉄−クロム−アルミニウム系合金などを用い、スパッタリング法、真空蒸着法又はめっき法などにより形成することができる。
【0008】
さらに、この反射膜兼発熱抵抗体膜2の裏面には、前記反射膜兼発熱抵抗体膜2に通電するための電極線3a、3bよりなる対向する2本の電極3が設けられており、この電極線3aはミラー基板1の広角部1aと1dをつなぐミラー基板1の外辺近傍に設けられ、また対向する電極線3bは狭角部1bと1cをつなぐミラー基板1の外辺近傍に設けられており、この対向する電極線3a、3bの4端部E1、E2、E3、E4を結ぶ線は、略長方形となっている。
また広角部側における電極線端部E1、E4はミラー全面を加温するために、広角部1a、1d近傍に位置していることが好ましい。
また図6は本発明の別の実施例である車両用ドアミラーに用いるヒーター付ミラーの背面図であり、略平行四辺形の形状をしたミラー基板であり、電極線3aは広角部1aと狭角部1bをつなぐミラー基板1の外辺近傍に設けられ、電極線3bは広角部1dと狭角部1cをつなぐミラー基板1の外辺近傍に設けられている。この様な形状のミラー基板の場合にも電極線端部E1、E2、E3、E4を結ぶ線は、略長方形となっている。
その結果、電極線3a,3bは電極線長さがほぼ等しく、かつ略平行に形成されることになり、広角部側電極線両端部での電流集中を抑制することができる。
また電極先端部での電流集中をより抑制するために、電極先端部に凸部を形成しても良い。
電極線の形状を以上のようになすことによって加熱されやすい広角部側に流入する電流集中度を低くすることによって、ミラー全面を均一に加温することができる。
【0009】
上記電極線3a、3bは種々の方法で形成することができる。例えば、銅や銀ペーストを用いて銅や銀の薄層を形成したり、その上にハンダを施したり、ニッケルめっきによりニッケルの薄層を形成したりなどである。また、ミラー全面の均一な加温をなすために、電極線の材質・厚さなどを変えることにより、場所により不均一な抵抗値を持たせた電極であっても良い。
【0010】
更に、ミラー裏面は、電気的絶縁のため、温度変化によりクラックが発生しないヤング率の低い樹脂・ゴム等の絶縁材料4によりコーティングすることが好ましい。参照符号5は前記電極線3a、3bと給電回路(不図示)とを半田付け等により接続するためのリード線であり、A1、A2は、それぞれの電極線の給電点である。尚、電極線内における給電点は、複数個であってもよい。
【0011】
【作用】
本発明のヒーター付ミラーにおいて、ミラー基板広角部を含む全面が所望通りの温度制御の下、均一な加温が可能になるのは、従来過加熱され易かった広角部に流入する電流を、電極線の形状を調整することにより、広角部側の電流密度を低くすることで、広角部の過加熱を防止し、効率的にミラー基板全面を加温できるようになしたためである。
【0012】
【実施例】
以下、実施例によってより詳細に説明する。
実施例1
図1は、実施例1の大型車両用ミラーであって、略台形状のガラス製曲面ミラー基板(R=600mm)1上に、ニクロム膜とチタン膜とを順次スパッタリング法により、各々0.15μm、0.1μm厚形成して反射膜兼発熱抵抗体膜2とした。
さらに、この反射膜兼発熱抵抗体膜2の裏面には、前記反射膜兼発熱抵抗体膜2に通電するための電極線3a、3bよりなる電極3を設けた。この電極線3aはミラー基板1の広角部1aと1dをつなぐミラー基板1の外辺近傍に設け、その両端部E1、E4が広角部1a、広角部1d近傍に位置するように形成した。また電極線3bは、ミラー基板1の狭角部1bと1cとをつなぐミラー基板1の外辺近傍に設け、その両端部E2、E3は、電極線端部E1、E2、E3、E4を結ぶ線が略長方形になるように位置を定めて形成した。
この電極3の電極線3a、3bに設定した給電点A1、A2にリード線5を接続してヒーター付ミラーを作製した。
このヒーター付ミラーの加温を温度制御素子(サーモスタット)6により制御したところ、ミラー基板の表面の温度を45〜65℃の範囲で設定通り制御することができた。
【0013】
実施例2
図3は、実施例2の大型車両用ミラーであって、実施例1において、広角部1a、1d近傍に位置する電極線3aの両端に凸部を形成した以外は実施例1と同様になしてヒーター付ミラーを作製した。
このヒーター付ミラーの加温を温度制御素子(サーモスタット)6により制御したところ、ミラー基板の表面の温度を50〜65℃の範囲で設定通り制御することができた。
【0014】
実施例3
図4は、実施例3の大型車両用ミラーであって、実施例2において、電極線3bの両端にも凸部を形成した以外は実施例2と同様になしてヒーター付ミラーを作製した。
このヒーター付ミラーの加温を温度制御素子(サーモスタット)6により制御したところ、ミラー基板の表面の温度を50〜65℃の範囲で設定通り制御することができた。
【0015】
比較例1
図5は、比較例1の大型車両用ミラーであって、実施例1において、電極線3bの両端部をミラー基板1の狭角部1b,1c近傍に形成した以外は実施例1と同様になしてヒーター付ミラーを作製した。
このヒーター付ミラーの加温を温度制御素子(サーモスタット)6により制御したところ、広角部側電極線端部近傍での過加熱が生じ、ミラー基板の表面の温度が40〜95℃となり、設定通りの温度範囲で制御することができなかった。
【0016】
実施例4
図6は、実施例4の車両用ドアミラーであって、略平行四辺形のガラス製曲面ミラー基板(R=1400mm)1上に、チタン膜をスパッタリング法により0.1μm厚形成して反射膜兼発熱抵抗体膜2とした。
さらに、この反射膜兼発熱抵抗体膜2の裏面には、前記反射膜兼発熱抵抗体膜2に通電するための電極線3a、3bよりなる電極3を設けた。この電極線3aは、ミラー基板1の広角部1aと狭角部1bとをつなぐミラー基板1の外辺近傍に設け、電極線3bはミラー基板1の広角部1dと狭角部1cとをつなぐミラー基板1の外辺近傍に設けた。電極線3aの広角部1a側端部E1は広角部1a近傍に凸部を持って形成され、電極線3bの広角部1d側端部E4は広角部1d近傍に凸部を持って形成されている。更に電極線3a、3bの他端部E2、E3は、電極線端部E1、E2、E4、E3を結ぶ線が略長方形になるように位置を定めて形成した。
この電極3の電極線3a、3bに設定した給電点A1、A2にリード線5を接続してヒーター付ミラーを作製した。
このヒーター付ミラーの加温を温度制御素子(サーモスタット)6により制御したところ、ミラー基板の表面の温度を50〜65℃の範囲で設定通り制御することができた。
【0017】
比較例2
図7は、比較例2の車両用ドアミラーであって、実施例4において、電極線3a、3bの両端部をミラー基板1の広角部1a,狭角部1b,狭角部1c,広角部1d近傍に形成させた以外は、実施例4と同様なしてヒーター付ミラーを作製した。
このヒーター付ミラーの加温を温度制御素子(サーモスタット)6により制御したところ、広角部側電極線端部近傍での過加熱が生じ、ミラー基板の表面の温度が40〜95℃となり、設定通りの温度範囲で制御することができなかった。
【0018】
【発明の効果】
本発明に係わるヒーター付ミラーは、ミラー基板の広角部の電流集中による過加熱を防止できるため、ミラー基板全面において均一な加温が得られることから所望の温度制御が可能であり、ミラー表面に付着した水滴、氷などを全面にわたって速やかに除去できる。また、大きな電流を流すことによって、降雨時の走行中にミラーに付着した雨滴の迅速な除去も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図 1】 本発明の実施例1の背面図である。
【図 2】 図1の縦断面模式図である。
【図 3】 本発明の実施例2の背面図である。
【図 4】 本発明の実施例3の背面図である。
【図 5】 本発明の比較例1の背面図である。
【図 6】 本発明の実施例4の背面図である。
【図 7】 本発明の比較例2の背面図である。
【符号の説明】
1 ミラー基板
2 反射膜兼発熱抵抗体膜
3 電極
3a、3b 電極線
4 絶縁材料
5 リード線
6 温度制御素子
1a、1d 広角部
1b、1c 狭角部
A1、A2 給電点
E1、E2、E3、E4 電極線端部
Claims (1)
- 狭角部と広角部とを有するミラー基板上に反射膜兼発熱抵抗体膜、又は、反射膜及び発熱抵抗体膜を形成し、この発熱抵抗体膜に通電加温するためにミラーの長辺側に沿った方向で対向する2本の電極を設けたヒーター付ミラーにおいて、前記ミラーの長辺側に沿った方向で対向する2本の電極の4端部を結んだ線が略長方形になるように電極を配置することを特徴とするヒーター付ミラー。
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Applications Claiming Priority (1)
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JP33901494A JP3912622B2 (ja) | 1994-12-28 | 1994-12-28 | ヒーター付ミラー |
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JPH08183430A JPH08183430A (ja) | 1996-07-16 |
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ID=18323461
Family Applications (1)
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JP33901494A Expired - Fee Related JP3912622B2 (ja) | 1994-12-28 | 1994-12-28 | ヒーター付ミラー |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3912622B2 (ja) |
-
1994
- 1994-12-28 JP JP33901494A patent/JP3912622B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH08183430A (ja) | 1996-07-16 |
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