JP3911256B2 - レーダ装置、レーダ装置の目標測定方法、およびレーダ装置の目標測定プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、目標との距離、特に近距離を測定するレーダ装置、レーダ装置の目標測定方法、およびレーダ装置の目標測定プログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車載レーダ装置は、目標となる先行車との距離を測定・検出して追突の危険性を判定し、運転者に警報するものである。このような車載レーダ装置は、車両に搭載するため小型化が要求されている。そこで、上述した小型化あるいは低廉化の要求を満たすため、従来から、機器構成が簡単なFM−CWレーダ方式のレーダ装置が提供されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この特許文献1のFM−CWレーダ方式のレーダ装置は、周波数変調信号を送信し、目標物体で反射された信号を受信して送信信号と混合して得たビート信号から上記目標物体の距離及び相対速度を得る。そして、単一のアンテナを使用しており、送受信を時分割で行うこととしている。
【0004】
一方、近年のFM−CWレーダ方式のレーダ装置は、小型化の要求のほか、更なる事故防止及び安全確保のため、近距離測定の高精度化が要求されている。特に、車載レーダ装置では、渋滞時のように低速で短間隔の車間距離を制御するストップアンドゴー機能を付加するため、近距離目標に対して高い距離精度δRが要求されている。
【0005】
近距離の距離精度が要求される場合、上述した特許文献1のFM−CW方式のレーダ装置では、距離精度を高めるために、下記式(1)に示す周波数偏移ΔFを高める必要がある。
【0006】
距離精度は、ビート周波数の測定にも関係する。距離精度δRは、ビート周波数frの計測分解能δfrであらわされ、
δR=(C/(4・fm・ΔF))δfr・・・式(1)
(但し、Cは光速、fmは変調周波数)
となる。計測分解能δfrは、ビート周波数の計測方式によって異なるが、通常のFFT解析により周波数計測をする場合、1/(2・fm)内にビート信号1サイクル分が必要となり、ビート周波数は、この最小周波数の整数倍で計測される。したがって、δfr=2・fmとなり、上記(1)式より、距離精度δRを求めると、
δR=(C/(4・ΔF)・・・式(2)
となる。ΔF=100[MHz]では、δR=1.5[m](±0.75[m])になる。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−243738号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したFM−CW方式のレーダ装置は、送受信スイッチにより、スイッチ周波数で目標に対する送受信を逆相で切り替えている。このため、近距離の距離精度を高めるために周波数偏移幅ΔFを広げると、周波数変調の直線性の確保が困難となる。また、現行の76GHz帯レーダバンドは電波法の規定から1[GHz]以下に制限されている。したがって、上述したFM−CW方式のレーダ装置では、周波数偏移ΔFの拡大に限界があり、近距離の距離精度の性能を向上させることができないという問題があった。
【0009】
一方、レーダの目標は、各種車両、人または側路物などであるため、レーダ反射断面積(Radar Cross Section、以下「RCS」と称す)の幅が大きくなる。そして、受信機では、このRCS幅が大きくなると、目標までの距離の4乗に反比例して受信レベルが低下することから、受信機のダイナミックレンジは大きくなる。たとえば、RCS幅が−5〜40[dBsm]、距離が2〜150[m](75[dB])とすると、受信機の入力信号強度範囲は120[dB]となって、利得制御が困難となる。
【0010】
これにより、たとえば、図14に示すように、車載レーダ装置を搭載した車両1400の前方に、RCSが比較的小さい車両1401(たとえばバイク)があり、さらに前方には、車両1401のRCSよりも大きいRCSを有する車両1402(たとえばトラック)がある場合、車両1402からのレーダの反射波によって受信機が飽和してしまい、受信機の感度が低下することがある。この感度低下によって、車両1402よりもRCSが小さい車両1401を検出できない場合がある。
【0011】
このように、RCSが異なる2つの車両1401、1402からの反射波が非線形動作の受信機によって受信されると、図15に示すように、車両1401、1402のビート信号f1、f2のほか、2つのビート信号f1、f2の周波数成分が結合して新たな歪成分の周波数となる虚像信号(歪みビート信号)f3、f4が発生する。ここで、虚像信号f3、f4について具体的に説明する。上述した特許文献1のレーダ装置の受信電力は、下記式(3)のレーダ方程式によると、近距離ほど増大する。
【0012】
Pr=Pt+Gt+Gr+σ−10・LOG(λ2/((4π)3・R4)・・・式(3)
【0013】
但し、Ptは送信電力[dBm]、Prは受信電力[dBm]、Gtは送信アンテナ利得[dBi]、Grは受信アンテナ利得[dBi]、σは目標のRCS[dBsm]、Rは距離[m]である。
【0014】
また、目標となる車両のRCSは、バイクは約−5[dBsm]、トラックやバスなどの大型車両は、最大30〜40[dBsm]とされる。因みに、目標が距離R=10[m]離れており、送信電力Pt=10[dBm]、送信アンテナ利得Gt=30[dBi]、受信アンテナ利得Gr=30[dBi]とすると、RCS=40[dBsm]のトラックからの反射受信電力Prは、Pr=−21[dBm]となる。
【0015】
出力インターセプトポイントOIP=20[dBm]、利得20[dB]の受信機の増幅器に、反射波レベルが同じレベルである2つの反射波が入力した場合、送信電力を0[dBm]とすると、インターモジュレーション出力IMは、下記式(4)のようになる。
OIP=Pt+IM/(N−1)・・・式(4)
ここで、Nは次数であり、N=3とすると、3次のインターモジュレーション出力IMは、
IM=(3−1)・(OIP−Pt)=2×(20+0)=40[dB]
となる。したがって、虚像信号として−40[dBm]が出力される。この虚像信号f3、f4は、レーダによる虚像目標として検出される。
【0016】
この虚像信号f3、f4によって、車両1400のレーダ装置は、図15に示すように、実際には存在しない虚像目標1501、1502が存在すると判定する場合がある。虚像信号f3、f4のうち、和の歪みビートである虚像信号f4による虚像目標1502は、実際の目標1401、1402よりも遠い位置に発生するため、安全上問題はない。一方、2つの目標1401、1402の差分歪みビートである虚像信号f3による虚像目標1501は、手前の目標1401よりも差分距離だけ手前に発生することとなる。
【0017】
したがって、目標がないにもかかわらず、真の目標1401よりも手前に目標1501があると判定すると、目標1401との間隔を誤って測定してしまうこととなる。これにより、運転者の目測とレーダ装置による測定とのずれが生じてしまい、安全上問題となっていた。また、虚像目標1501による誤測定により、車速制御やブレーキ制御によって車両1400を停止または減速する場合がある。これにより、運転者の意に反した走行をしてしまい、安全上問題があった。
【0018】
一方、虚像目標1501、1502の発生防止のために、強い受信電力によって無歪みの増幅器やミキサをミリ波レーダバンドで実現することは、現時点においては多大な費用を要し、無歪みの受信機を実現するには限界がある。図16はレーダの受信部の自動利得制御(AGC)回路例である。
【0019】
この回路では、たとえば、自動車の高速走行時などでは目標の変化が速く、受信入力レベルの変動の周波数に応答しないLPFの応答制限により、図17に示すように、歪みのない制御ループの応答制御は困難となっている。したがって、可変減衰器や制御系の回路が増え、費用が高価になる問題があった。
【0020】
この発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、近距離測定の高精度化および安全性の向上を図ることができるレーダ装置、レーダ装置の目標測定方法、およびレーダ装置の目標測定プログラムを提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上述した問題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるレーダ装置、レーダ装置の目標測定方法、およびレーダ装置の目標測定プログラムは、目標に対し送信波信号を送信し、送信された送信波信号が前記目標に反射されることによって得られる反射波信号を受信し、前記目標に対する送受信を互いに逆相となるように切り替え、前記反射波信号と前記送信波信号とを混合して前記目標のビート信号を生成し、送受信を切り替えるスイッチ周波数によって前記反射波信号の受信感度が不感状態となるヌルポイントに基づいて、前記ビート信号が前記目標の虚像をあらわす虚像信号であるか否かを判定し、前記虚像信号でないと判定されたビート信号に基づいて、前記目標までの距離を算出することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、ビート信号を擬似的に不感状態とすることによって、そのビート信号が虚像信号であるか否かを判定することができる。したがって、真の目標のみの測定をおこなうことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明のFM−CW方式のレーダ装置にかかる好適な実施の形態を詳細に説明する。図1は、この発明の実施の形態にかかるレーダ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0024】
このレーダ装置100は、送信部101と、受信部102と、スイッチ制御部103と、信号処理部104と、から構成されている。送信部101は、クロック発振器110と、三角波発生回路111と、高周波の電圧可変発振器(VCO)112と、送信スイッチ113と、送信アンテナ114と、から構成される。
【0025】
クロック発振器110は、送信部101の三角波発生回路111とスイッチ駆動信号源(LO)130の周期制御および受信距離信号の信号処理部104のクロック信号を入力する。三角波発生回路111は、クロック発振器110からのクロック信号に同期した三角波を出力する。
【0026】
電圧可変発振器112は、三角波発生回路111から出力された三角波を周波数変調して、被周波数変調信号を出力する。また、電圧可変発振器112は、受信部102の第一ミキサ122に接続されており、この被周波数変調信号の一部を第一ミキサ122に出力する。送信スイッチ113は、スイッチ制御部103により開閉制御される。送信アンテナ114は、目標に向けて、スイッチングされた被周波数変調信号を送信波信号として送信する。
【0027】
受信部102は、受信アンテナ120と、受信スイッチ121と、第一ミキサ122と、バンドパスフィルタ(BPF)123と、第二ミキサ124と、から構成される。受信アンテナ120は、目標からの反射波信号を受信する。受信スイッチ121は、スイッチ制御部103により反射波信号を開閉制御される。
【0028】
第一ミキサ122は、送信部101からの周波数変調信号と反射波信号とを混合して中間周波数信号を出力する。バンドパスフィルタ123は、第一ミキサ122からの中間周波数信号を所定の帯域で通過させる。第二ミキサ124は、バンドパスフィルタ123を通過した中間周波数信号と、スイッチ駆動信号源(LO)130の局部発振信号と、を混合することによってビート信号を出力する。
【0029】
スイッチ制御部103は、スイッチ駆動信号源(LO)130と、インバータ131と、を備えている。スイッチ駆動信号源(LO)130は、送信スイッチ113に接続される。また、送信スイッチ113への接続ラインから分岐し、インバータ131を介して受信スイッチ121に接続されている。これにより、送信スイッチ113と受信スイッチ121とは互いに逆相で開閉駆動される。なお、送信部101、受信部102およびスイッチ制御部103による送受信原理については後述する。
【0030】
つぎに、信号処理部104について説明する。信号処理部104は、A/D変換器140と、高速フーリエ変換器(FFT)141と、記憶部142と、制御部143と、から構成されている。A/D変換器140は、第二ミキサ124から送信されてくるビート信号をデジタル変換する。
【0031】
高速フーリエ変換器141は、デジタル化されたビート信号を高速フーリエ変換することで、目標の距離に相当する距離信号を生成する。記憶部142は、スイッチ駆動信号源(LO)130の周期と、高速フーリエ変換器141によって生成された距離信号とを記憶する。記憶部142は、たとえば、RAM、EEPROM、フラッシュメモリ、HDなど読み書き可能な記録媒体によって構成されている。
【0032】
つぎに、制御部143について詳細に説明する。図2は制御部143の機能的構成を示すブロック図である。制御部143は、ヌルポイント走査設定部201と、ヌルポイント走査部202と、虚像信号判定部203と、虚像信号消去部204と、距離算出部205と、区間抽出部206と、増減検出部207と、から構成されている。
【0033】
ヌルポイント走査設定部201は、クロック発振器110からのクロック信号に基づいて、反射波信号の受信感度が不感状態となるヌルポイントを設定する。ヌルポイント走査部202は、ヌルポイント走査設定部201からの走査範囲信号に基づき、スイッチ制御部103において送受信を切り替えるスイッチ周波数、すなわちスイッチ駆動信号源(LO)130の局部発振信号の発振周波数を掃引するための制御信号を、スイッチ駆動信号源(LO)130に入力する。これにより、ヌルポイントと一致するビート信号(距離信号)を擬似的に不感状態にすることができる。また、スイッチ駆動信号源(LO)130の周期を指定する信号は、記憶部142にも出力される。
【0034】
虚像信号判定部203は、ヌルポイントとビート信号(距離信号)に基づいて、ビート信号(距離信号)が、目標の虚像をあらわす虚像信号であるか否かを判定する。すなわち、ヌルポイント走査部202によって擬似的に不感状態となったビート信号(距離信号)に基づいて、虚像信号であるか否かを判定する。この判定原理については後述する。
【0035】
虚像信号消去部204は、虚像信号判定部203によって虚像信号であると判定された距離信号を記憶部142から消去する。距離算出部205は、記憶部142に記憶されているビート信号の距離周波数情報(距離信号)によって、目標までの距離を算出する。
【0036】
区間抽出部206は、ヌルポイント走査部202によってヌルポイントを走査した距離区間から、虚像信号判定部203によって虚像信号でないと判定されたビート信号を含む区間(以下、「抽出区間」と称す。)を、ビート信号ごとに抽出する。
【0037】
また、増減検出部207は、区間抽出部206によって抽出された抽出区間内に存在する設定強度以上のビート信号についてのヌルポイント数の増減を検出する。このヌルポイント数の増減検出は、たとえば、抽出区間内において、ヌルポイントの検出が走査されているときに、ヌルポイントと一致したときのビート信号の消滅回数と、抽出区間に含まれているビート信号の数とを比較することによって増減検出をおこなうことができる。
【0038】
なお、上述したヌルポイント走査設定部201、ヌルポイント走査部202、虚像信号判定部203、虚像信号消去部204、距離算出部205、区間抽出部206および増減検出部207は、ROM,RAM,HDなどに格納されたプログラムをCPUが実行することによってその機能を実現する。
【0039】
つぎに、この発明の実施の形態にかかるレーダ装置の送受信原理について説明する。図3は、この発明の実施の形態にかかるレーダ装置の送受信原理を示すタイミングチャートである。図3に示すように、送信部101と受信部102による送受信時に、目標反射遅延時間τと、送信スイッチ113及び受信スイッチ121による送受信スイッチ周期Tswと、がほぼ一致、すなわち受信区間が略なくなると、受信部102は不感状態(null)になる。
【0040】
このため、局部発振信号をスイッチ周波数fsw(fsw=1/Tsw)で掃引することにより、ある距離Rにある目標からの反射波信号を選択的に排除することができる。送信波信号と反射波信号を0−πの位相差でスイッチすると、スイッチ周波数fsw[Hz]と距離R[m]の関係により、送信スイッチ113および受信スイッチ121がない場合の連続波受信電力と、送信スイッチ113および受信スイッチ121がある場合の連続波受信電力と、の受信電力比SWは、下記式(5)であらわすことができる。
SW=(1/2)×(2/π)×sin(kπ)・・・式(5)
なお、kは任意の整数である。
【0041】
一方、目標までの距離R[m],光速C[m/s]とすると、レーダ装置100の目標反射遅延時間τ[s]は、下記式(6)であらわすことができる。
τ=2・R/C・・・式(6)
【0042】
また、目標反射遅延時間τが送受信スイッチ周期Tswを越える場合、何周期分の遅れかを示す式τ/Tswの整数部分をnとする。この場合における式(5)のkは、以下に示す条件(A)においては、下記式(7)であらわすことができる。
n×Tsw≦τ<((2n+1)/2)×Tsw・・・条件(A)
k=(τ-(n・Tsw))/Tsw・・・式(7)
【0043】
一方、以下に示す条件(B)においては、式(5)のkは、下記式(8)であらわすことができる。
((2n+1)/2)×Tsw≦τ<(n+1)×Tsw・・・条件(B)
k=((n+Tsw)−τ)/Tsw・・・式(8)
【0044】
ここで、近距離の受信感度が不感状態(null)となる距離R0とスイッチ周波数fsw0は、式(7)および式(8)のk,nがk=1,n=1のときである。したがって、不感状態(null)での目標反射遅延時間τ0は、下記式(9)であらわすことができる。同様に、不感状態(null)でのスイッチ周波数fsw0は、下記式(10)であらわすことができる。
τ0=Tsw・・・式(9)
【0045】
fsw0=C/(2×R0)・・・式(10)
なお、目標距離R0=1[m]では、fsw0=150[MHz]で受信感度が最低となる。また、上述した信号処理部104では、スイッチ周波数fswを掃引することによって、ヌルポイントを、目標の距離をあらわすビート信号に一致させている。
【0046】
ここで、図4に、近距離における目標Tと受信電力Prと距離Rとの関係例を示す。このグラフの縦軸は、所謂レーダ方程式と上記式(5)により算出される受信電力Prを示している。ここで、スイッチ周波数fswはfsw=56[MHz]、目標の反射断面積σはσ=10[dBsm]、送信電力Ptは0[dBm]、アンテナ利得GはG=30.9[dB]である。
【0047】
このグラフによれば、約8.03[m]の距離で、受信電力の落ち込みが大きくなり、この距離が不感状態での近距離の目標Tまでの距離となる。またこの場合、10[dB]のレベル差が検出できれば、10[cm]以内の誤差で距離が算出できることになる。
【0048】
このように、従来技術で示した通りビート周波数のみでは、近距離の目標に対して十分な距離精度が得られないが、レーダ装置100は、高速フーリエ変換による目標距離に対応するビート周波数は大よそでよい。このため、検波レベル(ビート周波数)の低下のみ注目することにより、目標までの距離を算出することができる。
【0049】
つぎに、虚像信号判定部203の虚像信号判定原理について説明する。図5〜図8は、虚像信号判定部203の虚像信号判定原理を示す説明図である。図5〜図8において、横軸は、目標の距離をあらわす距離周波数軸であり、距離周波数の大きさが距離の大きさに対応する。縦軸は、ビート信号の信号レベルであり、目標の反射断面積RCSに比例する。また、信号レベルには所定のしきい値tが設定されており、ビート信号の信号レベルがしきい値t以下に変動するか否かを監視する。
【0050】
まず、図5において、スイッチ周波数掃引によって走査されているヌルポイントNが、いずれのビート信号fa〜fcにも一致していない場合のビート信号を示す。
【0051】
また、図6に示すように、スイッチ周波数掃引によって走査されているヌルポイントNが、ビート信号fcに一致する場合、虚像信号の判定処理が実行される。すなわち、ヌルポイントNでは受信部102の感度が擬似的に不感状態となるため、ヌルポイントNと一致するビート信号fcが、実在する真の目標のビート信号であるとすると、ビート信号fcは消滅する。
【0052】
これにより、ビート信号fcは真の目標のビート信号であると判定することができる。また、図6では、ヌルポイントNと一致していないビート信号faおよびfbは、不感状態になっていない。これにより、図6では、ビート信号faが消滅していないため、真の目標のビート信号であると判定することができる。
【0053】
一方、図7に示すように、ヌルポイントNと一致していないビート信号faが消滅している。これは、ビート信号faは、他のビート信号fbおよびfcの相互変調によって発生している虚像信号(歪みビート信号)であるため、真の目標のビート信号fcの消滅により、このビート信号fcによって結合された歪み成分の歪みビート信号faが消滅する。これにより、歪みビート信号faの信号レベルが低下して所定のしきい値t以下となり、虚像信号が消滅する。したがって、ヌルポイントNと一致していない状態であっても、ビート信号faは虚像信号であると判定することができる。
【0054】
また、図8では、スイッチ周波数掃引によって走査されているヌルポイントNがビート信号faに一致しており、擬似的に不感状態としているが、ビート信号faは消滅していない。これは、ビート信号faが、他のビート信号fbおよびfcの相互変調によって発生している虚像信号(歪みビート信号)であるからである。したがって、ビート信号faは虚像信号であると判定することができる。
【0055】
つぎに、この実施の形態にかかるレーダ装置の目標測定処理手順について説明する。図9は、この実施の形態にかかるレーダ装置の目標測定処理手順を示すフローチャートである。
【0056】
まず、スイッチ周波数fswを掃引することによって、ヌルポイントNを所定の距離区間走査する(ステップS901)。そして、この走査によって、しきい値tを超えるビート信号があるか否かを判定する(ステップS902)。しきい値tを越えるビート信号がない場合(ステップS902:No)は、ステップS901に戻る。
【0057】
一方、しきい値tを越えるビート信号がある場合(ステップS902:Yes)、虚像信号処理を実行する(ステップS903)。そして、虚像信号処理後、区間抽出処理を実行する(ステップS904)。この区間抽出処理は、ヌルポイントの距離区間から、虚像信号処理によって真の目標のビート信号であると判定されたビート信号ごとに、そのビート信号を含む所定区間を抽出する。
【0058】
各抽出区間には、一本のビート信号が含まれている。これにより、距離区間のうち真の目標のビート信号が出現していない区間を除去することができ、距離区間を短縮することができる。
【0059】
そして、各抽出区間を連結することによってロックし、ロックされた抽出区間において、ヌルポイント検出に足りるスイッチング周期を走査する(ステップS905)。ロックされた各抽出区間のヌルポイントから目標までの距離を算出する(ステップS906)。
【0060】
そして、ビート信号のヌルポイント数が増減したか否かを検出する(ステップS907)。この走査する抽出区間内における検出可能なビート信号のヌルポイント数が増減していない場合(ステップS907:No)、ステップS905に移行する。したがって、ロックされた抽出区間においてビート信号のヌルポイント数の増減を検出することによって、真の目標を追尾することができる。
【0061】
また、ロックされた抽出区間内のビート信号のヌルポイント数が増減した場合(ステップS907:Yes)、ステップS901に移行して、再度スイッチ周波数fswを掃引することによって、距離区間におけるヌルポイントの走査をおこなう(ステップS901)。
【0062】
つぎに、この実施の形態にかかるレーダ装置の虚像信号処理手順について説明する。図10は、この実施の形態にかかるレーダ装置の虚像信号処理手順を示すフローチャートである。
【0063】
まず、図9のステップS901によって、ヌルポイントNが走査されると、走査されているヌルポイントNとビート信号とが一致するか否かを判定する(ステップS1001)。一致しない場合(ステップS1001:No)は、図9のステップS901に移行する。
【0064】
一方、ヌルポイントNとビート信号とが一致した場合(ステップS1001:Yes)、そのビート信号が消滅していない場合は(ステップS1002:No)、そのビート信号は虚像信号であると判定する(ステップS1003)。そして、虚像信号であると判定されたビート信号を記憶部142から消去する(ステップS1004)。
【0065】
また、ヌルポイントNと一致するビート信号が消滅した場合(ステップS1002:Yes)、真の目標のビート信号であると判定する(ステップS1005)。また、この消滅と同時に、ヌルポイントNと一致していないビート信号が追従して消滅した場合(ステップS1006:Yes)、その追従して消滅したビート信号も虚像信号であると判定する(ステップS1003)。
【0066】
また、ヌルポイントNと一致していないビート信号が追従して消滅しない場合(ステップS1006:No)または、虚像信号であると判定されたビート信号を記憶部142から消去(ステップS1004)した後、ヌルポイントNの走査が終了したか否かを判断する(ステップS1007)。ヌルポイントNの走査が終了していない場合は(ステップS1007:No)、ステップS1001に移行する。一方、ヌルポイントNの走査が終了した場合は(ステップS1007:Yes)、図9に示す区間抽出処理(ステップS904)に移行する。
【0067】
この図9および図10に示した処理手順によれば、生成したビート信号を、擬似的に不感状態にすることによって、そのビート信号が真の目標のビート信号であるか虚像目標のビート信号(虚像信号)であるかを判定することができ、ビート信号から虚像信号を取り除くことができる。これにより、真の目標のみを正確に捕捉することができる。また、真の目標のビート信号を含む区間を抽出することにより、距離区間を短縮して真の目標を追尾することができる。
【0068】
つぎに、上述したレーダ装置100の目標測定処理手順を用いた目標測定の一例を、図14および図15の走行状態を例にして説明する。図11は、目標測定処理手順を用いた目標測定の一例を示す説明図である。
【0069】
まず、1回目の走査では、距離区間S全体についてヌルポイントNを走査するが、目標が存在しないため、目標測定処理は実行されない。そして、2回目の距離区間SにおけるヌルポイントNの走査時に、図14および図15に示す目標1401、1402からの反射波信号を受信すると、この距離区間Sでは、2つの目標1401、1402のビート信号(実像信号)f1、f2と、このビート信号f1、f2の歪み成分によって生成された2つの虚像信号f3、f4と、が発生している。そして、上述した虚像信号処理によって虚像信号f3、f4は消去され、真の目標1401、1402のビート信号f1、f2のみが残存する。
【0070】
つぎに、真の目標のビート信号(実像信号)f1、f2ごとに、真の目標のビート信号(実像信号)f1、f2を含む所定区間E1およびE2を抽出する。そして、この抽出区間E1およびE2において、ヌルポイントNを走査することによってビート信号f1、f2の周波数、レベルの増減を監視し、目標1401、1402を追尾する(1回目の追尾)。そして、ビート信号数に変動があるまで目標1401、1402の追尾を継続する。
【0071】
そして、n回目の追尾において、図14および図15に示す目標1402がレーダ装置100の測定範囲外に走行するなどして、目標1402からの反射波信号が得られなくなった場合、追尾をおこなっている抽出区間E1およびE2からビート信号f2がしきい値t以下のレベルとなって消滅する。
【0072】
この場合、再度、距離区間Sにおいて、ヌルポイントNの走査をおこなって(1回目の走査)、ビート信号f1を含む抽出区間E1を抽出して追尾する。このようにして目標の追尾をおこなうことによって、目標に対する追従性が良好なレーダ装置100を提供することができる。
【0073】
また、図12に示すように、受信部を2つ設け(受信部102、受信部1201)、信号処理部104において、目標の方位を算出する方位算出部1210を付加することとしてもよい。この受信部1201の内部構成である、受信アンテナ1202、受信スイッチ1203、第一ミキサ1204、バンドパスフィルタ1205、第二ミキサ1206については、受信部102の内部構成である、受信アンテナ120、受信スイッチ121、第一ミキサ122、バンドパスフィルタ123、第二ミキサ124と同一内容であるため、その説明を省略する。
【0074】
この構成では、アンテナを方位スキャンせず、このレーダ装置100を搭載する車両の車幅両端に受信アンテナ120、1202を配置し、受信アンテナ120、1202間に広角指向性の送信アンテナ114を設置することにより、三角法によって近距離目標の方位を算出することができる。この方位算出部1210は、ROM,RAM,HDなどに格納されたプログラムをCPUが実行することによってその機能を実現する。
【0075】
ここで、方位算出部1210による方位算出原理について説明する。図13に示すように、送信アンテナ114と受信アンテナ120、1202間の距離をL、受信アンテナ120から目標Tまでの実際の距離をD1、受信アンテナ1202から目標Tまでの実際の距離をD2とすると、制御部143の距離算出部205は、受信アンテナ120によって受信された反射波信号から得られる算出距離R1と、受信アンテナ1202によって受信された反射波信号から得られる算出距離R2と、を算出する。
【0076】
この算出距離R1は、送信アンテナ114および受信アンテナ120の中点C1と目標Tとの距離であり、算出距離R2は、送信アンテナ114および受信アンテナ1202の中点C2と目標Tとの距離である。したがって、送信アンテナ114からみた目標Tの方位θは、三角測量の原理を用いて、下記式(11)によってあらわすことができる。
【0077】
【数1】
【0078】
この式(11)を用いて演算することによって、目標Tの方位θを算出することができる。また、目標Tまでの距離については、目標Tの算出距離R1とR2の平均値をとることとしてもよい。したがって、この構成によれば、目標Tの距離および方位を正確に測定することができる。すなわち、このレーダ装置100を搭載した車両から見て目標Tが右前方に存在するか左前方に存在するかを判定することができる。
【0079】
また、図12に示すように、信号処理部104において、目標Tの位置を検出する位置検出部1211を設けることとしてもよい。この位置検出部1211は、制御部143の距離算出部205によって算出された距離R1、R2と、方位算出部1210によって算出された方位θと、に基づいて、目標Tが、このレーダ装置を搭載した車両の車幅または走行レーンの間に存在するか否かを検出する。この位置検出部1211は、ROM,RAM,HDなどに格納されたプログラムをCPUが実行することによってその機能を実現する。
【0080】
以上、説明したように、この実施の形態のレーダ装置100によれば、目標が複数の場合に発生する虚像信号を消去することができるため、真の目標のみを検出することができる。これにより、目標を正確に検出することができる。
【0081】
また、レーダ装置100から得られた目標の距離に基づいて、図示しない自動速度制御装置や警報装置の動作制御をおこなうことができ、目標との衝突を回避したり、衝突を事前に予測して警報することもできる。
【0082】
また、目標は時々刻々と変化するが、なかでも最も衝突危険度の高い目標は、最も近い目標であるため、この最も接近している目標を優先して検出する必要がある。したがって、真の目標のビート信号が複数ある場合、最も接近している目標のビート信号、すなわち、距離周波数が最も小さいビート信号を含む抽出区間のみを選択することとしてもよい。これにより、ヌルポイントの走査範囲をさらに短縮化することができ、目標の追尾速度の高速化を図ることができる。
【0083】
また、距離区間を短縮化することにより、従来にくらべ、真の目標の捕捉回数も増加するため、目標に対する追従性を良好におこなうことができる。さらに、歪みを制御する制御回路を設ける必要がなくため、構成を簡単にすることができ、かつ安価にすることができる。
【0084】
(付記1)目標に対し送信波信号を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信された送信波信号が前記目標に反射されることによって得られる反射波信号を受信する受信手段と、
前記目標に対する送受信を互いに逆相となるように切り替える送受信切替手段と、
前記反射波信号と前記送信波信号とを混合して前記目標のビート信号を生成するビート信号生成手段と、
送受信を切り替える前記送受信切替手段のスイッチ周波数によって前記反射波信号の受信感度が不感状態となるヌルポイントに基づいて、前記ビート信号生成手段によって生成されたビート信号が、前記目標の虚像をあらわす虚像信号であるか否かを判定する虚像信号判定手段と、
前記虚像信号判定手段によって前記虚像信号でないと判定されたビート信号に基づいて、前記目標までの距離を算出する距離算出手段と、
を備えることを特徴とするレーダ装置。
【0085】
(付記2)前記スイッチ周波数を掃引することによって、前記ビート信号が出現する所定の距離区間内において、前記ヌルポイントを走査するヌルポイント走査手段を備え、
前記虚像信号判定手段は、前記ヌルポイント走査によって走査されているヌルポイントの周期と前記ビート信号のヌルポイントが一致する場合は、前記ビート信号を実像信号であると判定し、一致しない場合は、前記ビート信号を前記目標の虚像をあらわす虚像信号であると判定することを特徴とする付記1に記載のレーダ装置。
【0086】
(付記3)前記虚像信号判定手段は、前記ヌルポイント走査によって走査されているヌルポイントの周期および前記ビート信号のヌルポイントが一致するとき、その一致するビート信号と結合して生じる歪み成分のレベルがヌルとなる場合、前記一致するビート信号を、前記目標の虚像をあらわす虚像信号であると判定することを特徴とする付記2に記載のレーダ装置。
【0087】
(付記4)前記虚像信号判定手段によって実像信号であると判定されたビート信号ごとに、前記ヌルポイント走査手段によって前記ヌルポイントを走査した距離区間から、前記虚像信号判定手段によって実像信号であると判定されたビート信号を含む所定区間を抽出する区間抽出手段と、
前記区間抽出手段によって抽出された各所定区間に存在するビート信号の数が増減したか否かを検出する増減検出手段と、
を備えることを特徴とする付記2または3に記載のレーダ装置。
【0088】
(付記5)前記区間抽出手段は、前記虚像信号判定手段によって実像信号であると判定されたビート信号のうち、最も近距離となる目標のビート信号を含む所定の区間のみを抽出することを特徴とする付記4に記載のレーダ装置。
【0089】
(付記6)目標に対し送信波信号を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信された送信波信号が前記目標に反射されることによって得られる反射波信号を受信する一対の受信手段と、
前記目標に対する送受信を互いに逆相となるように切り替える送受信切替手段と、
前記一対の受信手段から得られる各反射波信号に前記送信波信号を混合して前記目標のビート信号を前記受信手段ごとに生成するビート信号生成手段と、
前記ビート信号生成手段によって前記受信手段ごとに生成されたビート信号に基づいて、前記受信手段ごとに前記目標までの距離を算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段によって前記受信手段ごとに算出された前記目標までの距離と、前記送信手段および前記各受信手段の設置間隔と、に基づいて、前記目標の方位を算出する方位算出手段と、
を備えることを特徴とするレーダ装置。
【0090】
(付記7)前記方位算出手段によって算出された前記目標の方位と、前記距離算出手段によって前記受信手段ごとに算出された前記目標までの距離と、に基づいて、前記目標の位置を検出する位置検出手段を備えることを特徴とする付記6に記載のレーダ装置。
【0091】
(付記8)目標に対する送受信を時分割でおこなうレーダ装置の目標測定方法であって、
前記目標から反射してくる反射波信号に基づいて生成されるビート信号を入力するビート信号入力工程と、
前記目標から反射されてくる反射波信号の受信感度が不感状態となるヌルポイントに基づいて、前記ビート信号入力工程によって入力されたビート信号が、前記目標の虚像をあらわす虚像信号であるか否かを判定する虚像信号判定工程と、
前記虚像信号判定工程によって前記虚像信号でないと判定されたビート信号に基づいて、前記目標までの距離を算出する距離算出工程と、
を含んだことを特徴とするレーダ装置の目標測定方法。
(付記9)目標に対する送受信を時分割でおこなうレーダ装置の目標測定プログラムであって、
前記目標から反射してくる反射波信号に基づいて生成されるビート信号を入力させるビート信号入力工程と、
前記目標から反射されてくる反射波信号の受信感度が不感状態となるヌルポイントに基づいて、前記ビート信号入力工程によって入力されたビート信号が、前記目標の虚像をあらわす虚像信号であるか否かを判定させる虚像信号判定工程と、
前記虚像信号判定工程によって前記虚像信号でないと判定されたビート信号に基づいて、前記目標までの距離を算出させる距離算出工程と、
を含んだことを特徴とするレーダ装置の目標測定プログラム。
【0092】
【発明の効果】
この発明によれば、生成されたビート信号から虚像信号を消去することができるため、真の目標のみ検知することができ、車載レーダの近距離測定の高精度化および安全性の向上を図ることができるという効果を奏する。また、目標の方位や位置を測定することによって、さらに、近距離測定の高精度化および安全性の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態にかかるレーダ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかるレーダ装置における制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態にかかるレーダ装置における送受信原理を示すタイミングチャートである。
【図4】近距離における目標Tと受信電力Prと距離Rとの関係を示すグラフである。
【図5】この発明の実施の形態にかかるレーダ装置における虚像信号判定原理を示す説明図(その1)である。
【図6】この発明の実施の形態にかかるレーダ装置における虚像信号判定原理を示す説明図(その2)である。
【図7】この発明の実施の形態にかかるレーダ装置における虚像信号判定原理を示す説明図(その3)である。
【図8】この発明の実施の形態にかかるレーダ装置における虚像信号判定原理を示す説明図(その4)である。
【図9】この発明の実施の形態にかかるレーダ装置の目標測定処理手順を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態にかかるレーダ装置の虚像信号処理手順を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態にかかるレーダ装置の目標測定処理手順を用いた目標測定の一例を示す説明図である。
【図12】この発明の実施の形態にかかるレーダ装置の他の例を示すブロック図である。
【図13】図12に示すレーダ装置の方位算出原理を示す説明図である。
【図14】レーダ装置を備えた車両の前方に複数の目標が走行している状態の一例を示す説明図である。
【図15】図14の走行状態から得られるビート信号を示す説明図である。
【図16】受信自動利得制御回路のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図17】図16に示す受信自動利得制御回路の応答波形を示す説明図である。
【符号の説明】
100 レーダ装置
101 送信部
102 受信部
103 スイッチ制御部
104 信号処理部
143 制御部
202 ヌルポイント走査部
203 虚像信号判定部
204 虚像信号消去部
205 距離算出部
206 区間抽出部
207 増減検出部
1210 方位算出部
1211 位置検出部
N ヌルポイント
Claims (5)
- 目標に対し送信波信号を送信する送信手段と、
前記送信手段から送信された送信波信号が前記目標に反射されることによって得られる反射波信号を受信する受信手段と、
前記目標に対する送受信を互いに逆相となるように切り替える送受信切替手段と、
前記反射波信号と前記送信波信号とを混合して前記目標のビート信号を生成するビート信号生成手段と、
送受信を切り替える前記送受信切替手段のスイッチ周波数によって前記反射波信号の受信感度が不感状態となるヌルポイントに基づいて、前記ビート信号生成手段によって生成されたビート信号が、前記目標の虚像をあらわす虚像信号であるか否かを判定する虚像信号判定手段と、
前記虚像信号判定手段によって前記虚像信号でないと判定されたビート信号に基づいて、前記目標までの距離を算出する距離算出手段と、
を備えることを特徴とするレーダ装置。 - 前記スイッチ周波数を掃引することによって、前記ビート信号が出現する所定の距離区間内において、前記ヌルポイントを走査するヌルポイント走査手段を備え、
前記虚像信号判定手段は、前記ヌルポイント走査によって走査されているヌルポイントの周期と前記ビート信号のヌルポイントが一致する場合は、前記ビート信号を実像信号であると判定し、一致しない場合は、前記ビート信号を前記目標の虚像をあらわす虚像信号であると判定することを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。 - 前記虚像信号判定手段は、前記ヌルポイント走査によって走査されているヌルポイントの周期および前記ビート信号のヌルポイントが一致するとき、その一致するビート信号と結合して生じる歪み成分のレベルがヌルとなる場合、前記一致するビート信号を、前記目標の虚像をあらわす虚像信号であると判定することを特徴とする請求項2に記載のレーダ装置。
- 目標に対し送信波信号を送信する送信手段と、前記送信手段から送信された送信波信号が前記目標に反射されることによって得られる反射波信号を受信する受信手段と、前記目標に対する送受信を互いに逆相となるように切り替える送受信切替手段と、前記反射波信号と前記送信波信号とを混合して前記目標のビート信号を生成するビート信号生成手段と、を備え、前記目標に対する送受信を時分割でおこなうレーダ装置の目標測定方法であって、
前記ビート信号生成手段によって生成されたビート信号を入力するビート信号入力工程と、
前記反射波信号の受信感度が不感状態となるヌルポイントに基づいて、前記ビート信号入力工程によって入力されたビート信号が、前記目標の虚像をあらわす虚像信号であるか否かを判定する虚像信号判定工程と、
前記虚像信号判定工程によって前記虚像信号でないと判定されたビート信号に基づいて、前記目標までの距離を算出する距離算出工程と、
を含んだことを特徴とするレーダ装置の目標測定方法。 - 目標に対し送信波信号を送信する送信手段と、前記送信手段から送信された送信波信号が前記目標に反射されることによって得られる反射波信号を受信する受信手段と、前記目標に対する送受信を互いに逆相となるように切り替える送受信切替手段と、前記反射波信号と前記送信波信号とを混合して前記目標のビート信号を生成するビート信号生成手段と、を備え、前記目標に対する送受信を時分割でおこなうレーダ装置の目標測定プログラムであって、
前記ビート信号生成手段によって生成されたビート信号を入力させるビート信号入力工程と、
前記反射波信号の受信感度が不感状態となるヌルポイントに基づいて、前記ビート信号入力工程によって入力されたビート信号が、前記目標の虚像をあらわす虚像信号であるか否かを判定させる虚像信号判定工程と、
前記虚像信号判定工程によって前記虚像信号でないと判定されたビート信号に基づいて、前記目標までの距離を算出させる距離算出工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするレーダ装置の目標測定プログラム。
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