JP3911112B2 - データ写し込み装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真フイルムに文字やマークなどを写し込むデータ写し込み装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近のカメラの多くには撮影年月日などのデータを写真フイルムに写し込むデータ写し込み装置が内蔵されている。通常のデータ写し込み装置は、写し込みデータを表示する液晶板と、写し込み光源と、データ写し込み光を暗箱内に入射させるデータ写し込み開口とからなり、液晶板に撮影年月日などの写し込みデータを光透過部として表示し、シャッタレリーズに応答して写し込み光源を一定時間点灯させて、光学的なデータ写し込みを行う。
【0003】
特開平10−96991号公報においては、簡易型カメラであるレンズ付きフイルムユニットにデータ写し込み装置を内蔵した例が示されている。このデータ写し込み装置は、専用の写し込み光源を持たず、その代わりに写し込み光源としてレンズ付きフイルムユニットの周囲の環境光(外光)を利用している。レンズ付きフイルムユニットに使用されるシャッタとしては、被写体光を暗箱内に入射させる撮影開口を覆う閉じ位置に復帰バネによって付勢されたシャッタ羽根を設け、この撮影用シャッタを付勢方向と反対方向に蹴飛ばすことで、撮影開口を開く開き位置と閉じ位置との間を往復動させるいわゆる蹴飛ばし式のシャッタが採用されている。
【0004】
そして、データ写し込み開口を開閉するデータ写し込みシャッタが撮影用シャッタに連動するように、データ写し込みシャッタと前記シャッタ羽根とを一体に設けることで、被写体光の露光と同時にデータ写し込みを行うようにしている。こうすることで、構造の簡単化及び低コスト化を達成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シャッタ羽根にデータ写し込みシャッタを一体に設けた場合には、シャッタ羽根の開閉動作に合わせてデータ写し込みシャッタを開閉させることになるので、データ写し込みの露光時間は、シャッタ羽根のシャッタスピードによって規定されてしまう。被写体光の露光時間は短く、この時間に合わせてシャッタ羽根のスピードも設定されているので、このスピードで外光によるデータ写し込みをする場合には、データ写し込みの光量が不足してしまうという問題が生じる。
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、簡単な構成で充分なデータ写し込みの光量が得られるデータ写し込み装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明のデータ写し込み装置は、復帰バネの付勢によりストッパに当接した閉じ位置では撮影開口を覆い、シャッタ駆動部材の蹴飛ばし動作によって復帰バネに抗して撮影開口を開放する開き位置に移動した後、復帰バネにより閉じ位置に戻って一回の露光を行うシャッタ羽根を備えたカメラに設けられ、前記シャッタ羽根に一体化されたデータ写し込みシャッタをシャッタ羽根とともに移動させることによって、撮影開口とは別に設けられたデータ写し込み開口を開閉してフイルムに光学的にデータを写し込むデータ写し込み装置において、前記シャッタ羽根の開き方向への移動により、データ写し込み開口、撮影開口の順に開放されるようにデータ写し込み開口と撮影開口とを配置したことを特徴とするものである。
【0008】
なお、閉じ方向に移動したシャッタ羽根を前記ストッパとの衝突により復帰バネに抗してバウンドさせ、このバウンドによりデータ写し込み開口のみが再度開放されるようにしてもよい。なお、前記データ写し込み開口を通ってフイルムを露光するデータ写し込み光として、カメラ周囲の環境光を利用してもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のデータ写し込み装置が内蔵されたレンズ付きフイルムユニット11の外観及び内部構造の概略を示す図2及び図3において、レンズ付きフイルムユニット11のユニット本体12は、中央に露光部13が設けられ、その横にストロボ装置14が組み付けられた本体基部16と、その前後に被せられる前カバー17及び後カバー18とから構成されるユニット本体と、カートリッジ19及びカートリッジ19から引き出してロール形態にした写真フイルム21とからなる。
【0010】
カートリッジ19及び写真フイルム21は、本体基部16に形成されたカートリッジ収納室16a,フイルム収納室16bにそれぞれレンズ付きフイルムユニットの製造時点で予め組み込まれる。ユニット本体12の中央部には、化粧用のラベルシール22が貼られている。
【0011】
前カバー17には、その前面に、撮影レンズ23を露呈する撮影窓24,ファインダ対物窓26,ストロボ発光窓27,データ写し込み用の外光を採り入れる採光窓28等が形成されており、その上面には、シャッタボタン29,フイルムカウンタ窓31が形成されている。採光窓28には、外光を集光しその光をデータ表示部に導く集光部材32が埋め込まれている。データ写し込みには、この集光部材32によって集光された外光が光源として利用される。
【0012】
集光部材32は、例えば、透明なプラスチックで形成されており、プリントされた写し込みデータがオレンジ色で表示されるように、オレンジ色に着色されている。もちろん、黄色や他の色に着色してもよいし、着色しなくてもよい。
【0013】
採光窓28の下方には、データ写し込みを行うか否かを選択するための選択スイッチ33が、その横にはストロボスイッチ34が取り付けられている。選択スイッチ33には遮光片33aが設けられており、選択スイッチ33を上下方向にスライドさせると、遮光片33aがデータ写し込み光路内に挿脱される。これにより、データ写し込みを行う否かの選択がなされる。
【0014】
ストロボスイッチ34は、ストロボ充電を開始させるためのもので、上下方向にスライド自在に設けられている。ストロボの充電が完了すると、充電完了ランプが点灯し、この光がライトガイド36を通って撮影者に確認される。
【0015】
後カバー18にはファインダ接眼窓37、上面に、ライトガイド36を露呈する充電完了確認窓38が形成され、さらにカートリッジ収納室16a,フイルム収納室16bの底部開口を光密に覆う底蓋18a,18bが一体に形成されている。底蓋18aは、撮影済みの写真フイルムが巻き込まれたカートリッジ19を取り出すときに開放される。
【0016】
カートリッジ収納室16aの上部には、巻上げノブ41が設けられ、その下面に一体に形成された巻上げ軸がカートリッジ19のスプールに係合する。撮影ごとに巻上げノブ41を回動操作することによって、撮影済みの写真フイルム21は1コマ分ずつカートリッジ19に巻き込まれる。このフイルム1コマ巻上げに連動して露光部13に組み込まれたシャッタ機構が次回の撮影のためにチャージされ、またフイルム1コマ給送が完了すると露光部13に組み込まれたロックレバーによって巻上げノブ41の回動がロックされる。
【0017】
露光部13の背面には、露光枠が形成されており、この露光枠によって、撮影位置に給送されてきた写真フイルム21の1コマの露光範囲21aを制限する。露光部13の暗箱内部には、矩形状の開口が形成された有害光遮光枠42が組み込まれている。この有害光遮光枠42は、撮影レンズ23を通ってきた光のうち露光範囲21aの外に向かう有害光を遮断する。したがって、写真フイルム21には、露光範囲21aに向かう被写体光だけで露光が行われ、フレアのない鮮明な画像が得られる。
【0018】
この有害光遮光枠42の右上には、データ写し込み用の結像レンズ43が取り付けられる。データ写し込み光は結像レンズ43を通って、露光範囲21a内の右上部に設定されたデータ写し込み領域21bに、被写体光と重ねて写し込まれる。
【0019】
図4に示すように、ストロボ装置14は、メインコンデンサ46,シンクロスイッチ47,昇圧コイルなどの回路部品を取り付けた回路基板48と、ストロボ放電管やリフレクタ等を含む発光部49と、電源電池51とからなる。回路基板48には、回路パターンがプリントされるとともに、各種回路素子が取り付けられてストロボ回路が形成されている。回路基板48の前面には、充電スイッチ52が設けられている。ストロボスイッチ34をオン位置にスライドさせると、充電スイッチ52が押されて接片間が導通しストロボ充電を開始する。
【0020】
シンクロスイッチ47は、一対の金属接片からなり、シャッタレリーズに応答してオンする。これにより、ストロボ回路にトリガー信号が与えられ、ストロボ発光する。このストロボ光は、発光部49の前面から被写体に向けて照射されるとともに、発光部49の背後から漏れてユニット本体12内部に漏光する。
【0021】
露光部13は、前方に向かって角筒状に突出した暗箱基部56をベースにして、これにシャッタ機構,フイルム巻止め機構の他、対物及び接眼レンズからなるファインダ光学系やフイルムカウンタ板等が組み付けたものである。
【0022】
暗箱基部56の前面には、その中央に被写体光を暗箱内に入射させる撮影開口56aが、正面からみて右上方には、データ写し込み光を暗箱内に入射させるデータ写し込み開口56bが形成されている。また、暗箱基部56の前面には、シャッタ部材58と、これを覆うシャッタカバー59とが取り付けられる。シャッタカバー59には、撮影レンズ23が組み込まれており、撮影レンズ23の後方には絞り開口が形成されている。また、シャッタカバー59には、データ写し込み開口56bに対応する位置に開口59aが形成されている。
【0023】
シャッタ部材58は、羽根部61とその上方に設けられた取付部62とからなる。シャッタ部材58は、取付部62が暗箱基部56の前面に形成されたピン63と係合し、このピン63を中心軸として回動する。羽根部61は、撮影開口56aを開閉するメインシャッタ61aと、データ写し込み開口56bを開閉するデータ写し込みシャッタ61bとからなり、これらは一体に形成されている。これにより、データ写し込み開口56bの開閉が撮影開口56aの開閉に連動して行われる。
【0024】
シャッタ部材58は、撮影開口56a及びデータ写し込み開口56bを開く開き位置と、これらの開口56a,56bを閉じる閉じ位置との間で回動自在に設けられる。取付部62とピン63との間には、復帰バネ64が取り付けられる。この復帰バネ64の付勢力によって、シャッタ部材58は閉じ位置に向けて付勢される。
【0025】
シャッタボタン29の下方には、押圧レバー29aが形成されており、シャッタボタン29が押下されると、押圧レバー29aがシャッタ駆動レバーを押圧してシャッタ機構を作動させる。シャッタ機構が作動すると、蹴飛ばしレバー66が取付部62の上部を蹴飛ばす。取付部62が蹴飛ばされると、羽根部61が復帰バネ64の付勢に抗しながら開き位置方向に回動し、開き位置に達すると前記バネ64の付勢によって閉じ位置方向に回動する。シャッタ部材58の1往復動で、撮影開口56aが開放される被写体光の露光時間は、約9msに設定される。
【0026】
シャッタ部材58の開閉動作を示す図1において、データ写し込み開口56bと、撮影開口56aとは、シャッタ部材58が開き動作するときに、データ写し込み開口56b,撮影開口56aの順に開放されるように配置されている。したがって、シャッタ部材58が閉じ動作するときには、まず、撮影開口56aが閉じ、その後、データ写し込み開口56bが閉じられる。これにより、データ写し込み開口56bが開放されるデータ写し込み光の露光時間を、被写体光の露光時間よりも長くしている。このデータ写し込み光の露光時間は、約15msに設定される。なお、被写体の露光時間及びデータ写し込みの露光時間の各設定値は、撮影レンズ23及び結像レンズ43のF値等に応じて適宜設定される。
【0027】
また、撮影開口56aの左横には、ストッパピン67が設けられている。ストッパピン67は、羽根部61との当接により、シャッタ部材58の開き動作を停止させる。この位置がシャッタ部材58の開き位置となる。他方、撮影開口56aの上方には、ストッパ部68が設けられている。ストッパ部68は、羽根部61との当接により、シャッタ部材58の閉じ動作を停止させる。この位置がシャッタ部材58の閉じ位置となる。
【0028】
図1(A)〜(C)に示すように、シャッタ部材58が閉じ位置と開き位置との間で1往復動すると、被写体光及びデータ写し込み光が露光される。また、図1(D),(E)に示すように、シャッタ部材58の1往復動が終了したときに、閉じ方向に移動したシャッタ部材58を、羽根部61とストッパ部68との衝突により復帰バネ64に抗してバウンドさせることで、再度データ写し込み開口56bを開放し、データ写し込み光が再露光されるようにしている。これにより、データ写し込み光の合計の露光時間が、前記設定値(15ms)に再露光時の露光時間を加えた時間となる。
【0029】
また、このバウンドによりデータ写し込み開口56bを開放する際に、データ写し込み開口56bのみを全開させることができるように、データ写し込み開口56bと撮影開口56aとの位置関係を考慮して各開口56a,56bが配置されている。そして、バウンドによってシャッタ部材58が開き動作する範囲は、データ写し込み開口56bを全開し、かつ、撮影開口56aを開かない程度に抑えられる。
【0030】
このようにシャッタ部材58をバウンドさせるために、復帰バネ64の付勢力や、シャッタ部材58の大きさ,形状,材質及びストッパ部68,ストッパピン67の大きさ,形状,材質,配置などを総合的に考慮して決定している。
【0031】
また、ストッパ部68の横には、遮光壁69が設けられている。この遮光壁69は、データ写し込み開口56bの周囲を取り囲むように形成され、ストロボ装置14からの漏光がデータ写し込み開口56bに直接入射するのを防ぐ。
【0032】
また、取付部62には、押圧部62aが設けられている。この押圧部62aは、シャッタレリーズに連動してストロボ発光させるためのもので、シャッタボタン29が押下されてシャッタ部材58が開き位置にきた時に、シンクロスイッチ47を押圧して、これをオンする。
【0033】
図4に示すように、露光部13の前面には、受け板71を介して、デートモジュール72が取り付けられる。デートモジュール72は、写し込みデータである撮影日付を表示するためのもので、モジュール本体73と、これに給電するボタン電池74とからなる。モジュール本体73には、撮影日付を白抜きで表示する透過型の液晶表示部73aとこれを駆動する時計回路とが組み込まれている。符号75は、ボタン電池74とモジュール本体73とを電気的に接続するための電池接片である。この電池接片75は前カバー17の裏面に取り付けられており、モジュール本体73への給電は、前カバー17を本体基部16に組み付けたときに開始される。
【0034】
デートモジュール72には、集光部材32が取り付けられる。集光部材32は、集光した光を射出する面が液晶表示部72aの前面に配置されるように取り付けられる。また、集光部材32の上部は、ストロボ装置13からの漏光を採光できるように、ユニット本体12の背面に向けて突き出されている。これにより、ストロボ撮影をする際には、データ写し込み光の光源として、自然光の他にストロボ光の漏光も利用される。こうすることで、データ写し込みが充分な露光量のもとで行われるようにしている。
【0035】
図5に示すように、符号76は、振動などによりシャッタ部材58が誤動作してデータ写し込み開口56bが開放されたときに、データ写し込み開口56bから光が入射してしまうのを防ぐ遮光板である。遮光板76は、暗箱基部56に設けられたピンに取り付けられており、その遮光部76aがデータ写し込み光路内に挿入される位置と、データ写し込み光路から退避する位置との間で挿脱自在に設けられている。
【0036】
この遮光板76は、弾性を備えた金属製の薄板で形成されている。遮光板76には被押圧部76bが形成されており、この被押圧部76bがシャッタボタン29の押圧レバー29aと係合する。シャッタボタン29が押下されると、押圧レバー29aが被押圧部76bを正面からみて右方向に押す。これにより、シャッタボタン29が押下されている間、遮光板76が時計方向に揺動して、遮光部76aがデータ写し込み光路から退避する。
【0037】
また、被押圧部76bの下方には、暗箱基部56の前面に設けられたピン79と係合する係合部76cが設けられている。係合部76cは、遮光板76が時計方向に揺動したときに弾性変形し、遮光部76aがデータ写し込み光路に挿入される初期位置に復帰させるように付勢する。これにより、シャッタボタン29の押下が終了すると、遮光板76が反時計方向に揺動して、集光部材32からの光が遮断される。したがって、シャッタボタン29を押下しない限り、データ写し込み光路は遮光部76aにより遮断されるので、シャッタ部材58が誤作動しても、誤って写真フイルム21にデータ写し込み光が露光されてしまうようなことはない。
【0038】
以下、上記構成による作用について図1及び図5のタイムチャートを参照しながら説明する。巻き上げノブ41を回動してフイルム1コマの巻き上げを行うと、写真フイルム21が給送されるとともに、シャッタチャージがなされ、写真フイルム21の1コマ巻き上げが終了すると、巻き上げノブ41の回動がロックされる。
【0039】
ストロボ撮影をする場合には、ストロボスイッチ34をオンしてストロボ充電を行う。また、データ写し込みをする場合には、選択スイッチ33をオン位置にセットしてデータ写し込みを選択する。フレーミングの後、シャッタボタン29を押下する。シャッタボタン29を押下すると、遮光板76が開き方向に揺動して遮光部76aがデータ写し込み光路から退避する。さらに、シャッタボタン29aを押し込むと蹴飛ばしレバー66がシャッタ羽根の頭部を蹴飛ばしてシャッタ部材58が開き動作を開始する。
【0040】
シャッタ部材58が開き動作すると、まず、データ写し込み開口56bが開く。集光部材32によって集光された外光は液晶表示部73aを通ってデータ写し込み光となり、このデータ写し込み光がデータ写し込み開口56bから入射してデータ写し込みが開始される。さらに、シャッタ部材58が開き動作すると、撮影開口56aが開いて被写体光の露光が開始される。
【0041】
シャッタ部材58が開き位置に達すると、押圧部62aがシンクロスイッチ47をオンする。ここで、ストロボ充電がされている場合には、ストロボ発光する。このストロボ光が撮影開口56a及びデータ写し込み開口56bから入射する。
【0042】
シャッタ部材58は、ストッパピン67及び復帰バネ64の付勢により閉じ動作を開始する。閉じ動作では、まず、撮影開口56aが閉じられる。これにより、被写体光の露光が終了する。シャッタスピードは被写体光の露光時間に合わせて設定されているので、被写体光は適切な露出で露光される。
【0043】
さらに、シャッタ部材58が閉じ動作すると、データ写し込み開口56bが閉じられる。これにより、シャッタ部材58が閉じ位置に達して1往復動が終了する。シャッタ部材58が閉じ位置に達すると、羽根部61とストッパ部68との衝突によりシャッタ部材58がバウンドして、再度開き動作を開始する。これにより、データ写し込み開口56bが開いてデータ写し込み光が再露光される。このバウンド時には、データ写し込み開口56bのみが開かれるので、撮影開口56aが開放されてしまうようなことはない。
【0044】
データ写し込み光の露光時間は、被写体光の露光時間よりも長く設定されているので、データ写し込み光量を多くすることができる。また、データ写し込みは、シャッタ部材58のバウンドにより再露光されるので、データ写し込みに充分な光量が得られる。シャッタボタン29から手を離すと、遮光板76が反時計方向に揺動して、遮光部76aがデータ写し込み光路に挿入される。
【0045】
上記例では、レンズ付きフイルムユニットを例に説明したが、コンパクトカメラに実施してもよい。また、撮影日付で説明したが、例えば、メッセージや、社名などのロゴマークを写し込むようにしてもよい。
【0046】
また、上記例では、データ写し込みの再露光を1回させる例で示したが、シャッタ部材がバウンドする回数を多くして、2回以上再露光させるようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明のデータ写し込み装置は、復帰バネの付勢によりストッパに当接した閉じ位置では撮影開口を覆い、シャッタ駆動部材の蹴飛ばし動作によって復帰バネに抗して撮影開口を開放する開き位置に移動した後、復帰バネにより閉じ位置に戻って一回の露光を行うシャッタ羽根を備えたカメラに設けられ、前記シャッタ羽根に一体化されたデータ写し込みシャッタをシャッタ羽根とともに移動させることによって、撮影開口とは別に設けられたデータ写し込み開口を開閉してフイルムに光学的にデータを写し込むデータ写し込み装置において、前記シャッタ羽根の開き方向への移動により、データ写し込み開口、撮影開口の順に開放されるようにデータ写し込み開口と撮影開口とを配置したから、簡単な構成で、充分なデータ写し込み光量を得ることができる。
【0048】
さらに、閉じ方向に移動したシャッタ羽根を前記ストッパとの衝突により復帰バネに抗してバウンドさせ、このバウンドによりデータ写し込み開口のみが再度開放されるようにすることで、よりデータ写し込み光量を増加させることができる。
【0049】
また、前記データ写し込み開口を通ってフイルムを露光するデータ写し込み光を、カメラ周囲の環境光を利用するようにすれば、専用のデータ写し込み光源を使用せずに済むので、部品コストが削減でき、低コスト化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シャッタ部材の開閉動作を示す説明図である。
【図2】レンズ付きフイルムユニットの全体斜視図である。
【図3】レンズ付きフイルムユニットの分解斜視図である。
【図4】露光部を示す分解斜視図である。
【図5】遮光板の動作を示す説明図である。
【図6】遮光板,データ写し込みシャッタ,メインシャッタの開閉タイミングを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
11 レンズ付きフイルムユニット
33 集光部材
56a 撮影用開口
56b データ写し込み開口
58 シャッタ部材
58a データ写し込みシャッタ
58b メインシャッタ
64 復帰バネ
68 ストッパ部
Claims (4)
- 復帰バネの付勢によりストッパに当接した閉じ位置では撮影開口を覆い、シャッタ駆動部材の蹴飛ばし動作によって復帰バネに抗して撮影開口を開放する開き位置に移動した後、復帰バネにより閉じ位置に戻って一回の露光を行うシャッタ羽根を備えたカメラに設けられ、前記シャッタ羽根に一体化されたデータ写し込みシャッタをシャッタ羽根とともに移動させることによって、撮影開口とは別に設けられたデータ写し込み開口を開閉してフイルムに光学的にデータを写し込むデータ写し込み装置において、
前記シャッタ羽根の開き方向への移動により、データ写し込み開口、撮影開口の順に開放させるようにデータ写し込み開口と撮影開口とを配置し、
閉じ方向に移動した前記シャッタ羽根を前記ストッパとの衝突により復帰バネに抗してバウンドさせ、このバウンドにより前記データ写し込み開口のみを再度開放させることにより、写し込みデータを再露光させるとともに、
前記データ写し込み光が前記データ写し込み開口へ入射することを防ぐ遮光板を設けたことを特徴とするデータ写し込み装置。 - 前記遮光板は、シャッタボタンに連動して、データ写し込み光路に挿入される挿入位置と、前記データ写し込み光路から退避する退避位置との間で挿脱することを特徴とする請求項1記載のデータ写し込み装置。
- 前記データ写し込み光としてカメラの周囲の環境光を用いることを特徴とする請求項1又は2記載のデータ写し込み装置。
- 前記カメラはレンズ付きフィルムユニットであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のデータ写し込み装置。
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