JP3910132B2 - 重金属含有土壌の再資源化方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は重金属を含有する汚染土壌から該重金属を揮発除去する重金属含有汚染土壌の浄化処理方法及び浄化後の土壌を焼成することを特徴とする窯業製品の製造方法に関する。より詳しくは、重金属含有汚染土壌に塩素成分含有物質を添加し、加熱処理によって該重金属を重金属塩化物として揮発除去する重金属含有汚染土壌の浄化処理方法及び浄化後の土壌を焼成することを特徴とする窯業製品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年廃棄物の焼却処理施設周辺や、工場跡地において、重金属に汚染された土壌の問題が顕在化しつつあり、土壌浄化処理の重要性が指摘されている。従来、重金属に汚染された土壌の浄化処理方法は、原位置での処理方法として固化・不溶化、遮断工等が、土壌を搬出しての処理方法として洗浄・分級法等が行われてきた。原位置での処理方法の多くは重金属を恒久的に除去するものではないため、将来的に溶出等が起こる可能性を否定できない欠点がある。土壌を搬出しての処理方法により重金属を除去することも可能であるが、汎用の加熱処理の手段では銅(Cu)、亜鉛(Zn)、砒素(As)およびアンチモン(Sb)などを効果的に除去することができないという問題があった。また、浄化処理を行うプラントを、汚染土壌サイトの近辺に見出し得ない場合には、汚染土壌の搬出及び浄化処理後の土壌の再搬入を行うこととすると、輸送費等に多大なコストがかかり、好ましくない。そこで、浄化処理後の土壌を他の用途に再利用することができれば、極めて望ましいことになる。
【0003】
上述の様な再利用を行う技術として、特開平11―92192号公報(特許文献1参照)では、重金属等を含有する汚染土を、熔融してスラグ化することにより、重金属が固定化され溶出量の少ない人工骨材を得る技術が開示されている。しかしながら、土壌等を熔融するには1600℃以上の超高温に加熱する必要があり、エネルギー費が掛かり過ぎること、超高温に耐える炉材の採用など、設備費やそのメンテナンスも高コストであること、重金属は固定化され、且つ幾分かは飛散してその量を減じているとは言え、完全に重金属を除去する手段ではないことなど、多くの問題点があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11―92192号公報(第2,3頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
汚染土壌を浄化処理し、その処理物を再利用する方法であって、有害な重金属とくに銅(Cu)、亜鉛(Zn)、砒素(As)およびアンチモン(Sb)などを環境に悪影響をもたらさない程度まで除去することが可能で、且つエネルギー費や設備費が大幅に増加する超高温での加熱処理などを必要としない方法を提供することが、本発明の目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明において提供する手段は、以下のとおりである。すなわち、汚染土壌の重金属を除去する方法として、まず請求項1に記載した発明は、塩素を含有する物質と、重金属を含有する土壌とを混合し、加熱装置の内部の水分量を、水分を除く固体の被加熱物の質量の0質量%以上、2.0質量%未満となる様管理しながら、700℃〜1600℃の温度で加熱処理を行って重金属を揮発分離することを特徴とする重金属含有土壌の浄化処理方法である。
【0007】
ここで、加熱装置内部の水分量の管理方法としては、以下の様な方法を用いることが好ましい。すなわち、加熱操作が定常となった状態における、加熱装置に投入される被加熱物(塩素を含有する物質及び重金属を含有する土壌夫々)の投入流量及び水分量を把握し、加熱装置に通風が行われている場合には導入空気中の水分量を把握し、さらに加熱装置内部で燃料の燃焼、物質の分解等で水分が発生する場合にはその水分量も把握する。そして、投入される水分を除く固体の被加熱物の時間当たり流量に対する上記各水分の時間当たり流量及び発生量の合量の割合を算出し、これが所定範囲となる様に、管理を行う。
【0008】
具体的な水分量管理の方法としては、主に加熱装置に投入される被加熱物の水分量を、事前に乾燥する等の方法で制御することにより行うことが好ましい。
【0009】
請求項2に記載した発明は、加熱処理のための装置が外部加熱方式であることを特徴とする請求項1に記載の重金属含有土壌の浄化処理方法である。
【0010】
請求項に記載した発明は、塩素を含有する物質が、塩化ビニル塩化ビニリデンおよびアルカリ土類金属の塩化物から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の重金属含有土壌の浄化処理方法である。請求項に記載した発明は、アルカリ土類金属の塩化物が、水溶液として重金属を含有する土壌に添加されることを特徴とする請求項に記載の重金属含有土壌の浄化処理方法である。請求項に記載した発明は、土壌に含有される重金属が、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、砒素(As)、セレン(Se)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)、及び銅(Cu)、からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の重金属含有土壌の浄化処理方法である。
【0011】
請求項に記載した発明は、重金属を含有する土壌が、都市ごみなどの一般廃棄物焼却施設から排出される焼却主灰及び飛灰からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の重金属含有土壌の浄化処理方法である。請求項に記載した発明は、重金属を含有する土壌が、稼動中及び休止中の工場敷地内の土壌、並びに工場跡地の土壌からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の重金属含有土壌の浄化処理方法である。請求項に記載した発明は、加熱処理に先立って、原料の乾燥処理を行うことを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の重金属含有土壌の浄化処理方法である。
【0012】
また、浄化後の土壌を焼成して窯業製品を製造する方法として、請求項に記載した発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8に記載の浄化処理方法において、加熱処理に先立って、混合後の原料を成形又は造粒し、加熱処理を行うとともに該成形物または造粒物を焼成することを特徴とする窯業製品の製造方法である。請求項10に記載した発明は、成形又は造粒工程に先立って、原料中の異物を除去ずる分別工程を設けたことを特徴とする請求項に記載の窯業製品の製造方法である。請求項11に記載した発明は、成形又は造粒工程に先立って、成形助剤を添加することを特徴とする請求項9又は10に記載の窯業製品の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
一般に重金属は、酸化物等よりも塩化物の方が沸点は低く、同温度での蒸気圧が高い。例えば塩化鉛(PbCl2)は鉛化合物の中で蒸気圧が最も高く、金属鉛(Pb)のそれは最も低い。酸化雰囲気で焼却される焼却炉から排出される焼却灰中の鉛は、主として塩化鉛、酸化鉛の形態で存在すると考えられ、酸化鉛を塩化物に転換すれば、1000℃以下の温度で焼却灰中の鉛のほとんどを揮発分離することができる。
【0014】
本発明者らは、重金属で汚染された土壌の浄化処理方法について鋭意検討してきた結果、上記重金属塩化物の揮発現象の利用と、加熱装置内部の水分含有率をコントロールすることによって、汚染土壌からの重金属類とくに銅(Cu)、亜鉛(Zn)、砒素(As)およびアンチモン(Sb)などの除去を効果的に実現できることを見出し、本発明に至った。ここで、塩素を含有する物質としては、アルカリ土類金属の塩化物を用いることが好ましいが、直接焼却するとダイオキシン類などの副生が懸念されその処理に課題をかかえる塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの塩素を含有するプラスチックを用いることも可能である。
【0015】
重金属を含有する土壌とアルカリ土類金属塩化物などの塩素含有物質とを混合して加熱すると、塩素含有物質中の塩素は、重金属含有土壌中に含まれるアルカリ金属、重金属等と、加熱条件下でアルカリ金属塩化物、重金属塩化物を形成し、ついで土壌からこれら塩化物を揮発分離し、土壌を浄化することができる。加熱処理温度は、塩化反応、塩化物の揮発分離の両方から700℃以上の温度であることが必要であるが、最適な温度は除去する重金属の種類により異なる。また、土壌の熔融を避けるためには、加熱温度を1600℃以下とする必要がある。1600℃以下とすることにより、エネルギー費や設備費が大幅に増加することを防止することも可能となる。加熱装置の中の水分量を、水を除く固体の被加熱物の質量の0質量%以上、2.0質量%未満とすることが好ましく、2.0質量%以上となると重金属の除去率が大きく低下する。ここで、固体の被加熱物の質量とは、加熱前の常温での固体の被加熱物の質量をいう。
【0016】
重金属含有土壌の加熱処理装置としては、ロータリーキルン、グレート式焼成炉、流動焙焼炉、固定のバッチ炉、電気炉等を用いることができるが、後述する窯業製品の製造との兼ね合いで機種を選定する必要がある。また、重油や石炭などを燃料とする内部加熱方式の加熱装置ではこれら燃料の燃焼により水が生成するので、この生成量も考慮して加熱装置内部の水分含有率が上昇し過ぎないようにする必要がある。この点、外部加熱方式の加熱処理装置、例えば外熱式ロータリーキルン等を用いれば、熱源が燃料の燃焼であっても、加熱装置内部の水分含有率の上昇を避けることができる。
【0017】
水分量を管理するために、加熱装置に投入される被加熱物の水分量を、事前に乾燥して制御することが好ましい。乾燥方法としては、トンネル乾燥機、ロータリードライヤ、流動層乾燥機等、通常用いられている乾燥装置を用いた方法が適用できる。
【0018】
加熱処理工程で揮発した重金属塩化物は、加熱雰囲気と共に後段の冷却装置を介して固体のダスト状物とする。この重金属ダスト状物をバグフィルタ等の集塵装置で捕集して、周囲環境への漏洩を防止する。捕集された重金属含有ダストは、本発明とは別の処理工程で、さらに純度の高い人工鉱石とし山元還元することが可能である。
【0019】
塩素含有物質と、重金属で汚染された土壌との混合比は、土壌中のアルカリ金属及び重金属類が、塩化物を形成するに十分な量の塩素含有物質を混合する必要がある。具体的には、土壌の化学組成、土壌に混入している焼却灰等の汚染源の化学組成等により異なり、変動するので、これらの条件に応じて混合比を選定していく必要がある。
【0020】
塩素含有物質と、重金属で汚染された土壌との混合の方法としては、できるだけ均一に分散可能な混合方法であれば、任意の方法を用い得るわけであるが、例えば容器回転式混合機、機械攪拌式混合機又は気流式混合機等を用いることができる。また、双方の粉粒体を粉砕機によって混合粉砕する方法を用いても良い。
【0021】
重金属含有土壌に添加するアルカリ土類金属の塩化物は、粉状、粒子状、顆粒状等であっても差し支えないが、潮解性を示すので、予め水溶液としてから重金属を含有する土壌に添加し、混合することが好ましい。水溶液として添加すると、重金属含有土壌中にアルカリ土類金属の塩化物が均一に分散されやすいので、重金属の揮発が促進される効果も期待できる。水溶液の添加方法としては、混合機の前で土壌粒子に噴霧する方法、土壌粒子を混合機で攪拌中に滴下する方法等、アルカリ土類金属の塩化物をできるだけ均一に分散可能な方法を選定すれば良い。なお、アルカリ土類金属の塩化物を水溶液として添加する場合には、加熱工程に導入される重金属含有土壌の水分が上昇するので、加熱工程の前に乾燥工程を設ける方法や、加熱工程を向流の外熱式ロータリーキルン等として、入口付近で蒸発した土壌中の水分を向流の排気と共に逃がし、土壌を高温で加熱する加熱装置内の水分量を上昇させない方法等を選択することが望ましい。
【0022】
加熱条件下における重金属塩化物の揮発挙動は、亜鉛(Zn)、砒素(As)およびアンチモン(Sb)などに限らず、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、セレン(Se)及び銅(Cu)においても共通である。したがって、これらの重金属を含有する汚染土壌に対して、上述の浄化処理方法を適用することが可能である。
【0023】
上記重金属を含有する土壌の典型例としては、都市ごみなどの一般廃棄物焼却施設から排出される焼却主灰、同飛灰、産業廃棄物焼却施設から排出される焼却主灰又は同飛灰等の焼却灰が飛散又は廃棄されて堆積し、土壌中に含有されるに至った汚染土壌を挙げることができる。このような焼却灰による重金属汚染土壌の浄化には、本発明の浄化処理方法を有効に適用することができる。
【0024】
ここで、都市ごみなどの一般廃棄物焼却施設から排出される焼却主灰、同飛灰、産業廃棄物焼却施設から排出される焼却主灰又は同飛灰等の焼却灰と、天然の土壌とを人為的に混合して、その混合物を重金属汚染土壌とみなすことにより、焼却灰中の重金属の処理方法として上記本発明の浄化処理方法を適用することも可能である。
【0025】
また、他の重金属を含有する土壌の典型例としては、金属製品製造業、化学工業、電気機械器具製造業等の重金属を扱う工場において、製造施設からの漏出、工場内での廃棄物の不適切な取り扱い等により工場敷地を汚染した場合を挙げることができる。稼働中及び休止中のこれら工場敷地内の重金属汚染土壌、並びにこれら工場の跡地の重金属汚染土壌浄化にも、本発明の浄化処理方法を有効に適用することができる。またさらに、重金属類で汚染された河川、湖沼の堆積物にも適用することができる。
【0026】
一般に重金属で汚染された土壌の主体は天然の土壌であり、その化学組成のばらつきの範囲は小さく、窯業製品の原料としての再生利用に十分供することができる。本発明による窯業製品の製造工程では、原料となる重金属を含有する土壌と塩素を含有する物質とを混合した後、混合後の原料を成形又は造粒する。この成形又は造粒工程に先立って、必要に応じて原料中の異物や粗大粒子を取り除くために分別工程を設けることができる。また、原料サイズを調整するために、粉砕工程を設けたり、原料水分を除去するために乾燥工程を設けることも可能である。分別工程としては、篩い分けや、磁選機等、異物の種類に応じてその内容を選定することができる。
【0027】
さらに、成形又は造粒を容易とするために、成形又は造粒工程に先立って、成形助剤としてベントナイト等の粘土類を添加することが望ましい。一方、焼成温度を適切に管理するために、石炭灰又はシリカ成分若しくはアルミナ成分に富む原料を少量添加して成分調整を行っても良いし、窯業製品が人工軽量骨材などの場合には、発泡補助剤として炭化ケイ素などの添加剤を配合しても差し支えない。
【0028】
成形又は造粒の方式は特に制限されるものではないが、目的とする窯業製品の形状に応じて選択する必要がある。例えば窯業製品がタイル、レンガおよびブロック等の場合には、一軸加圧成形が望ましく、水質浄化材やコンクリート用骨材等の場合には、その造粒法として押出し式造粒機、パン型ペレタイザ等を用いることができる。なお、成形又は造粒のために水分を添加した場合には、加熱工程に導入される重金属含有土壌の水分が上昇するので、加熱工程の前に乾燥工程を設ける方法や、加熱工程を向流の外熱式ロータリーキルン等として、入口付近で蒸発した土壌中の水分を向流の排気と共に逃がし、土壌を高温で加熱する加熱装置内の水分量を上昇させない方法等を選択することが望ましい。
【0029】
重金属含有土壌を窯業製品として再生するために、重金属揮発及び焼成を行う加熱装置としては、その窯業製品がタイル、レンガおよびブロック等の場合にはグレート式焼成炉、固定のバッチ炉、電気炉等を用いることができ、水質浄化材やコンクリート用骨材等の場合には、ロータリーキルン、グレート式焼成炉等を用いることができる。窯業製品を焼成するためには、700℃以上、望ましくは900℃以上で重金属揮発を行った後、さらに1600℃以下の温度で加熱を行う。1600℃を超えると、被加熱物が熔融する可能性があるので、好ましくない。また、加熱装置の内部の水分含有率の上昇を避けるためには、電気炉を用いるか、外熱式ロータリーキルンの様な外部加熱方式の加熱炉を用いることが好ましい。
【0030】
本発明の方法により再生される窯業製品は、主として石英、クリストバライト、アノーサイト、ムライト等の鉱物相及びガラス相により構成され、製品中に極微量残留した重金属類も、これら鉱物相及びガラス相の構成元素の一部を置換する形で固定化される。したがって、得られた窯業製品から重金属類が溶出されることが防止される。
【0031】
以上、本発明の重金属を含有する汚染土壌から該重金属とくに銅(Cu)、亜鉛(Zn)、砒素(As)およびアンチモン(Sb)などを揮発除去する浄化処理方法及び浄化後の土壌を焼成する窯業製品の製造方法に関して述べたが、本発明によれば、今日大きな社会問題となっている重金属汚染土壌や焼却灰等を無害なものとするのみならず、窯業製品として再利用することが可能となる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。
実施例1
浄化処理対象の土壌として、工場跡地より採集した土壌を使用した。この土壌には塊状のコンクリート片が含まれていたので、まず篩目40mmの篩を用いて異物の除去を行った。続いてドラム型の乾燥装置及びボールミルを用いて、乾燥及び粉砕を行った。この土壌中Zn濃度が1000ppmとなるように工業試薬のZnOを添加混合した。一方、重金属を揮発させるためのアルカリ土類金属の塩化物には塩化カルシウムを用いたが、水と塩化カルシウムを質量で3:2の割合で混合し塩化カルシウム水溶液とした。
つづいてこのZnO含有土壌を塩化カルシウム水溶液(外割で約25質量%添加)とベントナイトを添加しながらパン型ペレタイザに供給し、平均粒径15mmの球状のペレットを造粒した。この造粒体を乾燥後、異なる水分量を添加した6水準の試料について、外熱式の電気炉中で1200℃で10分間保持することにより加熱焼成し、コンクリートを作製する際に用いる骨材とした。加熱装置中の水分量が、水分を除いた固体の被加熱物の質量に対して2質量%を下回る条件で処理された人工骨材中のZnの除去率は85%以上であった。また作製した人工骨材について重金属溶出試験を行ったところ、検液中にZnは検出されなかった。
【0033】
表1に実施例1の結果を示す。
【表1】
Figure 0003910132
【0034】
実施例2
実施例2の土壌には実施例1と同一のものを同一前処理されたものを用い、この土壌中As濃度が500ppmとなるように工業試薬のAs2O3を添加混合した。一方、重金属を揮発させるためのアルカリ土類金属の塩化物には顆粒状の塩化カルシウムを用いた。この重金属含有土壌と塩化カルシウムとを4:1の割合で混合し、その混合物500gをアルミナ製の耐熱容器に収め、異なる水分量を添加した6水準の試料について、外熱式の電気炉中で、800℃で10分間保持することによりAsを塩化物として揮発除去した。加熱装置中の水分量が、水分を除いた固体の被加熱物の質量に対して2質量%を下回る条件で処理された土壌中のAsの除去率は70%以上であった。
【0035】
表2に実施例2の結果を示す。
【表2】
Figure 0003910132
【0036】
実施例3
実施例3の土壌には実施例1と同一のものを同一前処理されたものを用い、この土壌中Sb濃度が1000ppmとなるように工業試薬のSb2O3を添加混合した。一方、重金属を揮発させるためのアルカリ土類金属の塩化物には顆粒状の塩化カルシウムを用いた。この重金属含有土壌と塩化カルシウムとを4:1の割合で混合し、その混合物500gをアルミナ製の耐熱容器に収め、異なる水分量を添加した6水準の試料について、外熱式の電気炉中で、900℃で10分間保持することによりSbを塩化物として揮発除去した。加熱装置中の水分量が、水分を除いた固体の被加熱物の質量に対して2質量%を下回る条件で処理された土壌中のAsの除去率は85%以上であった。
【0037】
表3に実施例3の結果を示す。
【表3】
Figure 0003910132
【0038】
【発明の効果】
本発明の重金属含有土壌の浄化処理方法によれば、重金属を含有する汚染土壌中の重金属類とくに銅(Cu)、亜鉛(Zn)、砒素(As)およびアンチモン(Sb)などを、環境に悪影響をもたらさない程度まで揮発分離し無害化する事が可能で、さらに本発明の該処理物を用いた窯業製品の製造方法によれば、処理物を人工骨材やタイル等の窯業製品として再利用することが可能となる。そして、揮発分離した重金属類は、山元還元することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の窯業製品製造方法の一例を示す工程図である。

Claims (11)

  1. 塩素を含有する物質と、重金属を含有する土壌とを混合し、加熱装置の内部の水分量を、水分を除く固体の被加熱物の質量の0質量%以上、2.0質量%未満となる様管理しながら、700℃〜1600℃の温度で加熱処理を行って重金属を揮発分離することを特徴とする重金属含有土壌の浄化処理方法。
  2. 加熱処理のための装置が、外部加熱方式の加熱炉であることを特徴とする請求項1に記載の重金属含有土壌の浄化処理方法。
  3. 塩素を含有する物質が、塩化ビニル、塩化ビニリデンおよびアルカリ土類金属の塩化物から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の重金属含有土壌の浄化処理方法。
  4. アルカリ土類金属の塩化物が、水溶液として重金属を含有する土壌に添加されることを特徴とする請求項に記載の重金属含有土壌の浄化処理方法。
  5. 土壌に含有される重金属が、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、砒素(As)、セレン(Se)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)及び銅(Cu)からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1,2、3又は4に記載の重金属含有土壌の浄化処理方法。
  6. 重金属を含有する土壌が、都市ごみなどの一般廃棄物焼却施設から排出される焼却主灰及び飛灰、並びに産業廃棄物焼却施設から排出される焼却主灰及び飛灰からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1,2、3、4又は5に記載の重金属含有土壌の浄化処理方法。
  7. 重金属を含有する土壌が、稼働中及び休止中の工場敷地内の土壌、並びに工場跡地の土壌からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1,2、3、4又は5に記載の重金属含有土壌の浄化処理方法。
  8. 加熱処理に先立って、原料の乾燥処理を行うことを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の重金属含有土壌の浄化処理方法。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8に記載の浄化処理方法において、加熱処理に先立って、混合後の原料を成形又は造粒し、加熱処理を行うと共に該成形物又は造粒物を焼成することを特徴とする窯業製品の製造方法。
  10. 成形又は造粒工程に先立って、原料中の異物を除去する分別工程を設けたことを特徴とする請求項に記載の窯業製品の製造方法。
  11. 成形又は造粒工程に先立って、成形助剤を添加することを特徴とする請求項又は10に記載の窯業製品の製造方法。
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