JP6731811B2 - スラリーの加熱処理方法及び溶融装置 - Google Patents

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本発明は、スラリーの加熱処理方法及び溶融装置に関する。
下水汚泥、焼却主灰さらには焼却飛灰等の産業廃棄物の減容化のために溶融炉を用いた溶融処理が行なわれている。
そして、下水汚泥等のスラリーはフィルタプレス等の固液分離装置で固液分離されて板状の脱水ケーキになり、さらに必要に応じて脱水ケーキがスクリュー式の搬送機構等で解されながら熱風炉等に搬送され、熱風炉等で乾燥処理された後に溶融炉等の熱処理炉に投入されている。焼却主灰や焼却飛灰が洗浄処理されてスラリー状になった場合も同様である。
ところで、東日本大震災で発生した福島原子力発電所の事故により放射性物質で汚染された約2000万mに及ぶ大量の土壌を処理するために、様々な方策が試行されている。
放射性物質の中でもセシウム134、セシウム137は沸点、融点が低くて揮散しやすく水溶性も高い物質であるため健康への影響が大きく、特にセシウム137は半減期が30年と長く、土壌に吸着されると容易に除染できない。
これまでの研究によって、セシウムは土壌中の細かい粒子によく吸着し、土に含まれる雲母等の鉱物の層間に強固に固定されている場合は、通常想定されている降雨等によっては容易に溶出しない性質があることが判明している。
そのため、放射性物質で汚染された様々な粒径の土壌を分級処理して、汚染処理の対象となる小さな粒径の土壌のみに対して更に高度減容化処理を施すことによって除染や減容化のための作業効率を高めることができるようになる。
セシウムを含む細かい粒子の分級及び放射性物質で汚染された微粉体の飛散の防止等の観点から、分級処理では、粒子の沈降速度差を利用した重力場分級方式や粒子に作用する遠心力を利用した遠心力場分級方式等の湿式の分級装置が主に用いられている。
特許文献1には、土壌から放射性セシウムを低コストで効率よく除去し、かつ、処理後の土壌を再利用可能な、土壌からの放射性セシウム除去方法が提案されている。
当該放射性セシウム除去方法は、土壌とカルシウム化合物との混合物中におけるカルシウム化合物の割合が3質量%以上30質量%となるように、放射性セシウムを含有する土壌に無機カルシウム化合物、又は500℃以上の酸化雰囲気下で酸化カルシウムを生成する有機カルシウム化合物を添加し、さらに土壌と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物の質量に対して0.5質量%を超え5質量%以下となるように塩化ナトリウムを添加する添加工程と、900℃以上1200℃以下で30分以上120分以下の時間加熱処理することにより、前記添加工程後の土壌から放射性セシウムを揮発させる加熱工程と、加熱工程によって土壌から発生した粉塵を水によって洗浄し、洗浄排水を吸着材によって吸着処理することにより、放射性セシウムを回収する回収工程と、を有する。
そして、添加工程の前に、粒径1mm以下の土壌を湿式分級して、加熱工程に供する土壌を減容する処理が実行されており、微粒子を含有する分級用水は、フィルタプレス又はベルトプレスのような脱水装置によって固液分離される。分級用水の脱水時に排出される脱離液には、水に対する溶解性の高い形態で放射性セシウムが溶解していることがあるため、一定期間使用した後、必要に応じて吸着材を利用して脱離液中に溶解している放射性セシウムを吸着除去するように構成されている。
特開2014−174115号公報
上述した従来技術では、下水汚泥または焼却主灰や焼却飛灰を含むスラリー、放射性セシウムで汚染された土壌を含むスラリーをそれぞれ固液分離するためにフィルタプレス等の固液分離装置を用いて脱水処理した後に、加熱または溶融処理を行なう必要があり、固液分離のために設備費の嵩む脱水装置が必要になるとともに、固液分離された脱離液の処理も必要となり、処理コストが嵩むという問題があった。
本発明の目的は、上述した従来の問題に鑑み、固液分離装置を介することなくスラリー状の被処理物を加熱処理できるスラリーの加熱処理方法及び溶融装置を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明によるスラリーの加熱処理方法の第一特徴構成は、120℃から300℃の温度雰囲気下で被処理物である放射性セシウムを含むスラリーを気流乾燥させて、百μmから数mmの粒径に造粒された粒状物を得る気流乾燥工程と、前記気流乾燥工程の前後何れかに被処理物に対して処理助剤を添加する助剤添加工程と、前記気流乾燥工程で乾燥され、前記助剤添加工程で前記処理助剤が添加された粒状物を加熱処理する加熱工程と、を実行するように構成されている点にある。
気流乾燥工程によってスラリーが気流乾燥されて放射性セシウムを含む粒状物が得られる。気流乾燥工程の前後何れかに助剤添加工程が実行されて粒状物に処理助剤が添加される。処理助剤が添加された粒状物が加熱工程で加熱処理される。スラリーを固液分離することなく気流乾燥させるので、取扱いが容易な状態で被処理物を加熱工程に供給することができる。特に気流乾燥工程の前に助剤添加工程が実行されると、被処理物に処理助剤が均等に分散混合されるようになり、加熱工程での処理安定性が向上する。
気流乾燥工程では、120℃から300℃の温度雰囲気下での気流乾燥によってスラリーが効率的に加熱乾燥される。そして当該温度域では、例えば放射性セシウムのような加熱工程で処理される必要がある物質が揮散したり、加熱工程でエネルギー源となる有機分が分解されたりするようなことがなく被処理物として安定した状態で乾燥処理される。その際に、百μm未満の微粒径に造粒されると加熱工程で焼成や溶融などが行われることなく飛散する虞があり、数mmより大粒径になれば薬剤との接触効率が低下して効率的な加熱処理が妨げられる虞があるので、気流乾燥工程でスラリーが百μmから数mmの粒径の粒状物に造粒乾燥されることが好ましい。
同第二の特徴構成は、上述の第一の特徴構成に加えて、前記処理助剤が少なくとも塩素系助剤を含み、前記加熱工程で前記粒状物から放射性セシウムを揮散分離する分離工程と、前記分離工程で揮散分離された放射性セシウムを捕集する捕集工程と、を実行するように構成されている点にある。
剤添加工程で少なくとも塩素系助剤が添加された土壌、焼却灰、下水汚泥の何れかが加熱工程で加熱されることにより、細粒径の土壌、焼却灰または下水汚泥から放射性セシウムが効率的に揮散分離され、捕集工程で捕集されるようになる。
同第三の特徴構成は、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記スラリーが、放射性セシウムを含む土壌を分級して得られた細粒土壌を沈降分離して得られるスラリー、放射性セシウムを含む焼却主灰や焼却飛灰を洗浄した後に薬剤を添加して水溶セシウムを析出させたスラリー、放射性セシウムを含む下水汚泥を沈降分離して得られるスラリーの少なくとも何れかを含む点にある。
放射性セシウムで汚染された土壌を分級することにより、除染対象となる土壌を主に放射性セシウムが吸着している粒径の小さな土壌に減容化される。分級によって得られた細粒径の土壌、焼却灰、下水汚泥の少なくとも何れかを含むスラリーが気流乾燥工程に供給されて、固液分離することなく気流乾燥され、取り扱いが容易な状態となって加熱工程に供給される。
本発明による溶融装置の第一の特徴構成は、上述した第一から第三の何れかの特徴構成を備えたスラリーの加熱処理方法に用いられる溶融装置であって、バーナ及び空気供給機構が設置されるとともに出滓口が形成された炉室と、前記炉室に連通して設けられた被処理物収容部と、前記被処理物収容部から前記粒状物を前記炉室に供給する被処理物供給機構と、を備えて構成され、前記被処理物供給機構から前記炉室に供給された被処理物をその表面から溶融する表面溶融炉と、前記表面溶融炉の排ガス中の飛灰を捕集する集塵機と、を備えている点にある。
以上説明した通り、本発明によれば、固液分離装置を介することなくスラリー状の被処理物を加熱処理できるスラリーの加熱処理方法及び溶融装置を提供することができるようになった。
放射性セシウム分離濃縮装置の説明図 スラリーの溶融処理方法のフロー図 別実施形態を示すスラリーの溶融処理方法の説明図
以下、本発明によるスラリーの加熱処理方法及び溶融装置の実施形態を説明する。
図1には、スラリーの溶融処理方法を実施する溶融炉7を備えた放射性セシウム分離濃縮装置1が示され、図2にはその処理手順が示されている。
放射性セシウム分離濃縮装置1は、放射性セシウムで汚染された土壌を所定粒径以下の細粒に分級する湿式の分級装置2と、分級装置2で分級された細粒土壌を含むスラリーを乾燥処理する気流乾燥装置4と、気流乾燥装置4の前段または後段に設置され、細粒土壌に少なくとも塩素系助剤を添加する助剤添加装置6と、助剤が添加された細粒土壌を溶融して放射性セシウムを揮散分離する溶融炉7と、排ガスを二次燃焼させる二次燃焼部9、冷却装置10、溶融炉7で揮散分離された放射性セシウムを含む飛灰を捕集する第1集塵機11、排ガスに含まれる塩化水素ガスを中和処理するための中和剤を添加する中和剤添加装置12、中和処理で生じた塩化カルシウム等を補修する第2集塵機13等を備えている。
湿式の分級装置2として沈降速度差により分離する重力分離方式や、遠心力で分離する遠心分離方式等を採用することができる。当該分級装置2によって粒径が約1mm以下の粒径の砂やシルトや粘土が分級される。JIS法では、粒径が2mm〜74μmが砂、74μm〜5μmがシルト、5μm〜1μmが粘土と分類され、セシウムはシルトや粘土に付着し易いことが知られている。
分級装置2から排出された主にシルトや粘土からなる細粒土壌を含むスラリーは、シックナー等の沈降分離装置3に導かれて固形分が底部に沈降分離される。助剤添加装置6から沈降分離装置3に塩素系助剤、塩基度調整剤、還元剤等の処理助剤が添加され、撹拌翼で撹拌された後、濃縮されたスラリーが沈降分離装置3の底部から抜き出されて気流乾燥装置4に投入される。
気流乾燥装置4として、熱風気流中にスラリーを微小な液滴として噴霧して乾燥紛体を形成するスプレードライヤを好適に用いることができる。また、スプレードライヤとして特別な態様の装置を必要とすることはなく、スラリーの噴霧機構としてディスク型及びノズル型の何れであってもよく、また熱風気流の流れとの関係では並流型、向流型、並向流型の何れであってもよい。さらに、槽内で流動する媒体球の表面にスラリーの乾燥膜を形成し、媒体球の衝突により剥離するような媒体流動式の気流乾燥機を用いることも可能である。
気流乾燥装置4では、供給されたスラリーを放射性セシウムまたは塩化セシウム等の化合物の揮散温度よりも十分に低く、土壌に含まれる有機分も燃焼しない400℃以下、好ましくは120℃から300℃、より好ましくは有害な塩素系有機化合物の合成温度より低い120℃から200℃の温度範囲で乾燥処理するように熱風温度が調整されている。
また、気流乾燥装置4によってスラリーが百μmから数mmの粒径の粒状物に造粒乾燥される。百μm未満の微粒径になれば加熱工程で焼成や溶融など為されることなく飛散する虞があり、数mmより大粒径になれば処理助剤である薬剤との接触効率が低下して効率的な溶融が妨げられる虞があるため、このような範囲に調整される。適切な粒径サイズに造粒できるように解膠剤(粘性低下剤)、粘結剤をスラリーに混合してから気流乾燥装置4へ供給するように構成してもよい。
気流乾燥装置4の熱風としては、化石燃料などを利用した熱風発生炉による熱風や溶融炉などの加熱炉の排ガスや炉本体から回収した熱を利用した熱風発生装置からの熱風、さらに溶融炉からの排ガスをそのまま、あるいは加熱して昇温された熱風などが利用される。
尚、気流乾燥装置としてスプレードライヤ以外に通気バンド乾燥機やディスク乾燥機を用いることも可能である。
助剤添加装置6によって添加される処理助剤として、塩素系助剤、塩基度調整剤、還元剤が添加される。塩素系助剤としてセシウムの揮散を促進する塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化鉄等の塩素系の無機塩化物が添加され、塩基度調整剤として非塩素系の塩基度調整助剤が添加される。
尚、塩素系助剤を添加すると、加熱処理で塩素系由来の腐食性ガスである塩化水素ガスが大量に発生するため、排ガスへの中和剤の添加量が増して薬剤コストの上昇を招いたり、飛灰量の増加のため大型のバグフィルタを構成することによる設備コストの上昇を招いたりする虞がある。
そのため、塩素系助剤の添加量を低減して効率的にセシウムを揮散させるという観点で、好ましい塩基度に調整するため、非塩素系の塩基度調整助剤を添加する。被処理物に塩基度調整助剤を添加して塩基度を増加させると、スラグの骨格構造が脆弱化して、スラグからセシウムが遊離し易くなる。
塩素系助剤として、無機塩化物または無機塩化物が含まれる物質の何れかから選択される単一または複数の物質を採用することが好ましく、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化鉄の何れかから選択される単一または複数の物質を採用することがさらに好ましい。
高沸点の塩化物として塩化カルシウム等が好適に用いられ、図1に示す第2集塵機13で回収された塩化カルシウム等を含む飛灰や、ごみ焼却炉で発生した塩化カルシウム等を含む飛灰を使用することも可能である。
非塩素系塩基度調整助剤として、非塩素系アルカリ金属化合物、非塩素系アルカリ土類金属化合物、非塩素系マグネシウム化合物、非塩素系ホウ素化合物、非塩素系鉄化合物、及び非塩素系鉛化合物の何れかから選択される単一または複数の物質を好適に用いることができる。
特に、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ホウ素、ホウ砂、ホウ酸、酸化第一鉄、四酸化三鉄、酸化第二鉄、一酸化鉛、二酸化鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の何れかから選択される単一または複数の物質が好適に用いられる。被処理物が土壌由来の場合は塩基度調整剤としてカルシウム系の助剤が利用され特に水酸化カルシウムが好適に利用され、被処理物が焼却飛灰などの焼却灰由来の場合は融点を下げるため酸化ケイ素、酸化アルミニウムが好適に利用される。
塩素系塩基度調整助剤と非塩素系塩基度調整助剤を添加した後の被処理物の塩基度が略一定であることが好ましく、塩基度を略一定に保つ限り、塩基度調整工程で添加される非塩素系塩基度調整助剤の種類や添加割合を変えても、スラグの骨格の脆弱化による放射性セシウムの揮散率の上昇という効果が恒常的に得られる。
塩素系助剤が塩化カルシウムであり非塩素系塩基度調整助剤が水酸化カルシウムであることが好ましく、放射性セシウムで汚染された広範囲に広がる土壌に対して好適に放射性セシウムを分離除去でき、しかも塩素系助剤として塩化カルシウムを用いれば効果的に塩基度を調整できるとともに放射性セシウムの揮散率を上昇させることができ、非塩素系塩基度調整助剤として水酸化カルシウムを用いれば、塩化カルシウムに代替して効果的に塩基度を調整できるようになる。
また、入手と取り扱いの容易さから酸化鉄がより好適に利用される。尚、塩基度調整剤は融点を降下させる作用も備えているので融点降下剤としても利用される。
処理助剤として還元剤を被処理物に添加すれば、溶融時に被処理物に含まれる放射性セシウムの酸化物が効果的にセシウムに還元処理され、還元された放射性セシウムが効率的に塩素と結合して塩化セシウムに移行し、放射性セシウムの揮散がより促進されるようになる。
還元剤として、活性炭、グラファイト、カーボンブラック、コークス、木炭、プラスチック、草木、及び下水汚泥の何れかから選択される単一または複数の物質が好適に用いられる。下水汚泥には生物処理によって有機物が分解された炭素成分が含まれているため、還元剤として好適に利用できる。尚、プラスチックのうち廃プラスチックを用いれば経済性が上がる。
尚、気流乾燥装置4の前段に助剤添加装置6を設置すれば、土壌に均等の助剤が分散された状態で気流乾燥され、均質な被処理物を得ることができるが、気流乾燥装置4の後段に助剤添加装置6を設置して、粉粒体となった微細土壌に助剤を添加して撹拌することも可能である。
気流乾燥した後に一時貯留してから溶融する場合に、潮解性のある助剤、例えば塩化カルシウムを気流乾燥装置4の前段に投入すると貯留時や搬送中に潮解して付着するおそれがある。そのため、潮解性のある助剤は気流乾燥装置4の後段で溶融前に添加するのがより良い方法である。
気流乾燥装置4から出る粉粒体を含む熱風は集塵機5に送られ、被処理物である粉粒体(粒状汚染土壌)と熱風とに分離される。熱風は加熱炉で利用される。例えば溶融炉では一次燃焼空気や二次燃焼空気として利用される。燃焼空気として利用されない場合は、加熱炉の排ガスと混合処理して排出したり、別置きのスクラバや集塵機などの排ガス処理装置を介して大気中へ排出する。尚、集塵機5としてはサイクロンやバグフィルタなどが利用される。
溶融炉7は、放射性セシウムを含有する被処理物を1200℃から1500℃の温度範囲で加熱溶融して放射性セシウムを揮散分離する装置である。詳述すると、溶融炉7はバーナ及び空気供給機構が炉天井に設置されるとともに出滓口7Eが形成された炉室7Dと、炉室7Dに連通して設けられた被処理物収容部7Cと、被処理物収容部7Cから被処理物を炉室7Dに供給する切出し羽根である被処理物供給機構7Fとを備えて構成されている回転式表面溶融炉である。
炉室7Dを形成する内筒7Bと、内筒7Bと同心円状に配置された外筒7Aの間に被処理物収容部7Cが形成され、内筒7Bに対して外筒7Aが回転することにより、被処理物供給機構7Fから被処理物が炉室7Dにすり鉢状に切り出されて表面から溶融し、炉底の中央部に形成された出滓口7Eから溶融スラグが滴下し、その下部に設けられた冷却水槽8で急冷されて水砕スラグとなる。水砕スラグは冷却水槽8から排出機構15によって排出される。
排出されたスラグは、例えばコンクリート骨材、セメント材料、道路舗装材等の産業用資源として有効利用される。一方、溶融の過程で発生した排ガスは二次燃焼部9で二次燃焼され、煙道7Gに沿って配置された冷却装置10、剥離剤添加装置16、第1集塵機11、中和剤添加装置12、第2集塵機13、さらには図示していないヒータ、触媒塔、煙突を経て排出される。尚、溶融炉7の炉室7D及び煙道7Gは耐火レンガや耐火セメント等の耐火物で被覆されている。
冷却装置10により冷却されて排ガス中で析出し、固化された放射性セシウム化合物を含む飛灰が第1集塵機11で集塵され、排ガスに含まれる塩化水素ガスやSOx等の酸性ガスが中和剤添加装置12から添加される中和剤としての消石灰で中和されてカルシウム塩化物やカルシウム硫化物として第2集塵機13で集塵される。第1集塵機11及び第2集塵機13は主にバグフィルタで構成され、潮解性を有する飛灰が濾布に強固に付着しないように、剥離剤添加装置16から添加された剥離剤が濾布表面にコーティングされ、パルスジェット等による清掃時の剥離性が確保される。尚、乾式で中和する場合には中和剤として消石灰が好適に用いられるが、例えば湿式洗浄装置を利用する場合には水酸化ナトリウム(NaOH)も用いられる。また、剥離剤としては炭酸カルシウムが好適に用いられる。
放射性セシウムの揮散を促進するために、助剤添加装置6によって還元剤を添加する構成を説明したが、還元剤の添加とともに或いは還元剤の添加に代えて、炉内を還元性雰囲気に制御する還元性雰囲気調整機構14を備えることも可能である。
還元性雰囲気調整機構14は、燃焼用空気として大気中の空気を供給して炉内の還元性雰囲気を調整することができるが、空気供給機構から供給される燃焼用空気として、PSA装置等を用いて窒素ガス分圧を低減した酸素富化ガスを供給し、さらにバーナからの化石燃料の供給量を酸素富化ガスに見合った量よりも多めに供給することにより、炉室7D内を還元性雰囲気に調整する。PSA装置を用いることにより、排ガス総量を減らしつつ酸素量を維持した酸素富化ガスの供給が可能になる。これによると、空気中に含まれる窒素を加熱する必要がなくなりバーナの化石燃料消費を減らすことができる。また、窒素ガスが減ることにより排ガス量も削減でき環境負荷低減にも寄与することができる。
以上説明したように、本発明によるスラリーの加熱処理方法は、放射性セシウムで汚染された土壌を所定粒径以下の細粒に分級する分級工程と、分級工程で分級された細粒土壌を含むスラリーを気流乾燥させて粒状物を得る気流乾燥工程と、気流乾燥工程の前後何れかに処理助剤となる塩素系助剤を添加する助剤添加工程と、気流乾燥工程で乾燥され、塩素系助剤が添加された粒状物を加熱処理する加熱工程と、加熱工程で溶融対象物から放射性セシウムを揮散分離する分離工程と、分離工程で揮散分離された放射性セシウムを捕集する捕集工程と、を実行するように構成されている。
以下、本発明の別実施形態を説明する。
上述した実施形態では、放射性セシウムで汚染された土壌を除染するためのスラリーの溶融処理方法を説明したが、本発明は放射性セシウムで汚染された土壌の除染以外に用いることも可能で、例えば同じく放射性セシウムで汚染された焼却炉の焼却主灰や焼却飛灰を洗浄した後に、助剤を添加して水溶セシウムを析出させたようなスラリー状の焼却灰を溶融して除染する場合や、放射性セシウムに汚染されたスラリー状の下水汚泥を溶融して除染する場合にも適用できる。また、放射性セシウムに汚染された河口や湖沼等の底質汚泥にも適用できる。
さらには、放射性セシウムの汚染に関係なく、スラリー状の下水汚泥を、固液分離装置を用いることなく乾燥させて溶融するような場合にも適用できる。例えば、下水処理場に併設された溶融設備において、下水汚泥に含まれるリンをスラグに濃縮固定するために溶融する場合、従来であれば固液分離装置であるフィルタプレスなどで脱水し乾燥させてから溶融していたが、スラリーの状態で下水処理場から受け入れて気流乾燥装置で乾燥させて溶融することで、固液分離装置が不要となる。
図3には、フィルタプレス等の固液分離装置を用いずに被処理物である下水汚泥を沈降分離装置3で沈降分離し、濃縮されたスラリーを気流乾燥装置4で粒状に乾燥させ、集塵機5で分離した粒状の下水汚泥を溶融炉7で溶融処理する溶融装置100が示されている。集塵機5により分離された高温の空気は2次燃焼部9に2次燃焼用空気として供給するように構成することが好ましい。
また、煙道に備えた第1集塵機11を通過して浄化された排ガスを昇温装置17で昇温した後に、気流乾燥装置4に乾燥用のガスとして供給するように構成することが好ましい。
尚、当該溶融装置100でも、溶融炉7から出た排ガスを処理する2次燃焼部9、冷却装置10、第1集塵機11、さらに被処理物が溶融したスラグを水砕スラグとする冷却装置8が設けられている。
このような溶融装置では、下水汚泥に含まれる有機物の有する熱量で自燃溶融させることが可能になり、少なくとも化石燃料の消費量を低減できるようになる。
即ち、本発明によるスラリーの加熱処理方法は、被処理物であるスラリーを気流乾燥させて粒状物を得る気流乾燥工程と、気流乾燥工程の前後何れかに処理助剤を添加する助剤添加工程と、気流乾燥工程で乾燥された粒状物を溶融処理する溶融工程と、を実行するように構成されていればよい。
尚、助剤添加工程で添加される助剤は、上述した塩素系助剤、塩基度調整助剤、還元剤等、必要に応じて適宜選択すればよい。また、その添加時期も気流乾燥工程の前後何れであってもよい。さらに、助剤添加工程を備えていなくてもよい。
上述の構成によれば、スラリーを固液分離することなく気流乾燥させるので、流動性が良く搬送中や貯留中にブリッジや固着を生じない取り扱いの良い状態で被処理物を加熱工程が実行される溶融炉に供給することができる。特に気流乾燥工程の前に助剤添加工程が実行されると、被処理物に処理助剤が均等に分散混合されるようになり、加熱工程での処理安定性が向上する。また、従来必要であった固液分離する脱水装置を削減し、固液分離された脱離液の処理も不要となりコストを削減することができる。
上述した実施形態では、放射性セシウムを分離濃縮するために、気流乾燥工程で乾燥された粒状物を溶融処理する加熱工程を備えた例を説明したが、溶融処理に代えて他の加熱工程であるキルンによる昇温・焼成や低温溶融炉による加熱などの加熱処理を実行するように構成してもよい。
即ち、本発明によるスラリーの加熱処理方法は、放射性セシウムで汚染された土壌を所定粒径以下の細粒に分級する分級工程と、前記分級工程で得られたスラリーを気流乾燥させて粒状物を得る気流乾燥工程と、前記気流乾燥工程の前後何れかに、塩素系助剤を処理助剤として添加する助剤添加工程と、前記気流乾燥工程で乾燥され、塩素系助剤が添加された粒状物を加熱処理して、放射性セシウムを揮散分離する加熱工程と、分離された放射性セシウムを捕集する捕集工程と、を実行するように構成されていてもよい。
気流乾燥工程で用いられる乾燥装置は既に説明したものと同等の装置であり、その際の条件も同等でよい。加熱工程では、粒状物に含まれる放射性セシウムを揮散させることが可能な温度域で加熱処理できればよく、そのための加熱炉として流動床炉や熱風炉、キルン炉や1200℃以下の低温溶融炉等を用いることができる。尚、上述の実施例では加熱炉として溶融炉、特に操作性や安定性の高い回転式表面溶融炉で説明を行なった。
捕集工程では、粒状物から揮散して排ガスに同伴する放射性セシウムを捕集する必要があるので、流動床炉や熱風炉等の何れの加熱炉においても煙道に上述と同様の冷却装置や集塵機等の排ガスを処理する装置を備える必要がある。
1:放射性セシウム分離濃縮装置
2:湿式分級装置
3:沈降分離装置
4:気流乾燥装置
5:サイクロン
6:助剤添加装置
7:溶融炉
7G:煙道
9:二次燃焼部
10:冷却装置
11:第1集塵機
12:中和剤添加装置
13:第2集塵機
16:剥離剤添加装置

Claims (4)

  1. 120℃から300℃の温度雰囲気下で被処理物である放射性セシウムを含むスラリーを気流乾燥させて、百μmから数mmの粒径に造粒された粒状物を得る気流乾燥工程と、
    前記気流乾燥工程の前後何れかに被処理物に対して処理助剤を添加する助剤添加工程と、
    前記気流乾燥工程で乾燥され、前記助剤添加工程で前記処理助剤が添加された粒状物を加熱処理する加熱工程と、
    を実行するように構成されているスラリーの加熱処理方法。
  2. 前記処理助剤が少なくとも塩素系助剤を含み、
    前記加熱工程で前記粒状物から放射性セシウムを揮散分離する分離工程と、前記分離工程で揮散分離された放射性セシウムを捕集する捕集工程と、
    を実行するように構成されている請求項1記載のスラリーの加熱処理方法。
  3. 前記スラリーが、放射性セシウムを含む土壌を分級して得られた細粒土壌を沈降分離して得られるスラリー、放射性セシウムを含む焼却主灰や焼却飛灰を洗浄した後に薬剤を添加して水溶セシウムを析出させたスラリー、放射性セシウムを含む下水汚泥を沈降分離して得られるスラリーの少なくとも何れかを含む請求項1または2記載のスラリーの加熱処理方法。
  4. 請求項1から3の何れかに記載のスラリーの加熱処理方法に用いられる溶融装置であって、
    バーナ及び空気供給機構が設置されるとともに出滓口が形成された炉室と、
    前記炉室に連通して設けられた被処理物収容部と、
    前記被処理物収容部から前記粒状物を前記炉室に供給する被処理物供給機構と、
    を備えて構成され、前記被処理物供給機構から前記炉室に供給された被処理物をその表面から溶融する表面溶融炉と、
    前記表面溶融炉の排ガス中の飛灰を捕集する集塵機と、
    を備えている溶融装置
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