JP5834038B2 - 土壌及び木質系廃棄物からの放射性セシウム除去方法 - Google Patents
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Description
放射性セシウムを含有する土壌と木質系廃棄物との混合物を乾式分級し、土壌と木質系廃棄物とを分離する第一分級工程と、
第一分級工程によって木質系廃棄物が取り除かれた土壌の残部に、酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種類の無機カルシウム化合物と、塩化ナトリウムとを添加する添加工程と、
前記添加工程後の土壌と木質系廃棄物とを900℃以上1200℃以下で30分以上120分以下の時間加熱処理することにより、土壌及び木質系廃棄物から放射性セシウムを揮発させる加熱工程と、
前記加熱工程によって土壌及び木質系廃棄物から揮発した放射性セシウムを回収する回収工程と、
を有することを特徴とする、土壌及び木質系廃棄物からの放射性セシウム除去方法に関する。
<粗分級>
[実施形態1]
図1は、実施形態1の工程フロー図を示す。放射性セシウムを除染するために、山肌、田畑、公園又はグラウンド等の土壌は、雑草又は草木のような植物が生育している状態のまま、その表層部分を削り取られる。その結果、削り取られた土壌(除去土壌)は、木質系廃棄物を多く含有する場合が多い。
粗大な木質系廃棄物を除去した後の除去土壌について、メッシュ幅40mmの分級装置によって乾式分級を行い、微粒子状の土壌と、粒径40mmを超える木質系廃棄物及び礫とに分級する。木質系廃棄物と礫とは、手選別又は比重分離(風力選別又は浮上分離)により分離することが可能である。土壌と分離された木質系廃棄物は、一旦保管された後、後述する加熱工程において土壌と共に加熱され、焼却される。木質系廃棄物を除去された土壌は、第二分級工程に供される。
第一分級工程後の土壌(除去土壌)は、粒径1mm以下、より好ましくは500μm以下となるように分級される。本発明において、「土壌」には、河川の底質、砂又は礫も含まれる。
粗大粒子を除去された微粒子状の土壌に、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、カルシウムシアナミド、硫酸カルシウム及び硝酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種類の無機カルシウム化合物、又は500℃以上の酸化雰囲気下で酸化カルシウムを生成する有機カルシウム化合物を添加する。無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物の添加量は、土壌と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物中における無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物の割合が3質量%以上30質量%以下となるように調整される。次に、無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物を添加した土壌に、放射性セシウム含有土壌と無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物との混合物の合計量に対して0.5質量%を超え5質量%以下の塩化ナトリウムを添加する。なお、無機カルシウム化合物、有機カルシウム化合物又は塩化ナトリウムの添加量は、土壌の乾燥質量を基準として算出される。
無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物と塩化ナトリウムとを添加された土壌は、必要に応じて加熱工程前に乾燥させてもよい。加熱工程に先立って、土壌を乾燥させることで、加熱工程における熱のロスを少なくすることができると共に、水の蒸発に伴う炉内の温度低下を抑制し、排ガス量を減少させることが可能である。土壌の予備乾燥には、間接接触式又は直接接触式のいずれの乾燥装置も用いることができる。熱媒は、空気に限定されず、水蒸気であってもよい。また、土壌の予備乾燥は、加熱工程の直前に限られず、添加工程前に行われてもよい。
無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物と塩化ナトリウムとを添加された土壌は、加熱炉、焼却炉又はロータリーキルンのような加熱装置へと供給される。このとき、第一分級工程において土壌から分離された木質系廃棄物も土壌と一緒に加熱装置へと供給される。そして、両者は900℃以上1200℃以下、好ましくは950℃以上1100℃以下で加熱される。加熱時間は30分以上120分以下であることが好ましい。加熱処理されることにより、無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物と塩化ナトリウムとを添加された土壌から放射性セシウムが揮発して除去される。
加熱工程によって土壌及び木質系廃棄物(木質系廃棄物の焼却灰も含む)から揮発した放射性セシウムは、加熱工程実行中に、排ガスに含有された状態で加熱装置から排出される。加熱装置後段には、通常、二次燃焼装置が設けられており、ダイオキシン等の発生を抑制するために850℃の雰囲気に2秒以上二次燃焼装置内に滞留させられる。この排ガスは、必要に応じて減温塔へと供給されて冷却された後、バグフィルタのような乾式集塵手段へと供給される。乾式捕集手段としては、バグフィルタ以外に、サイクロン、HEPAフィルタ又は電気集塵装置を利用し得る。また、乾式捕集手段を複数段組み合わせて使用してもよい。粉塵を乾式捕集手段によって捕集することにより、焼却炉から放出された放射性セシウムを回収することが可能となる。
加熱工程後の土壌及び木質系廃棄物の焼却灰の混合物を水と接触させることにより、混合物に含有されている塩化ナトリウムを除去するようにしてもよい。塩化ナトリウムの添加量及び加熱温度を調整することにより、土壌からは、添加された塩化ナトリウム由来の塩素原子を含有する化合物が加熱工程において除去される一方で、土壌中に含有されている有機物由来の塩素原子を含有する化合物が多い場合又は土壌への塩化ナトリウムの添加量が多い場合は、加熱工程後の土壌に含有されている塩素化合物を除去するために、脱塩工程を任意に実施してもよい。
図2は、実施形態2の工程フロー図を示す。基本的は工程フローは、図1に示される実施形態1の工程フローと同じであるため、ここでは実施形態1との相違点についてのみ説明する。
土壌として、園芸用土壌を使用した。この土壌に水酸化セシウム(非放射性、メーカー:MP Biomedicals,LLC)を10ppmとなるように添加し、土壌サンプルとした。この土壌サンプルに、木質系廃棄物として木質ペレット、枯草又は枯葉を表1に示される割合で混合した。次に、木質系廃棄物を混合された土壌に、土壌と炭酸カルシウムとの混合物中における炭酸カルシウムの割合が30質量%となるように炭酸カルシウムを添加した。さらに、炭酸カルシウム添加後の混合物に、炭酸カルシウム及び土壌の合計量の5質量%となるように塩化ナトリウムを添加した。
Claims (4)
- 放射性セシウムを含有する土壌と木質系廃棄物との混合物を乾式分級し、土壌と木質系廃棄物とを分離する第一分級工程と、
第一分級工程によって木質系廃棄物が取り除かれた土壌の残部に、酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種類の無機カルシウム化合物と、塩化ナトリウムとを添加する添加工程と、
前記添加工程後の土壌と木質系廃棄物とを900℃以上1200℃以下で30分以上120分以下の時間加熱処理することにより、土壌及び木質系廃棄物から放射性セシウムを揮発させる加熱工程と、
前記加熱工程によって土壌及び木質系廃棄物から揮発した放射性セシウムを回収する回収工程と、
を有することを特徴とする、土壌及び木質系廃棄物からの放射性セシウム除去方法。 - 前記第一分級工程後、かつ、前記添加工程前に、木質系廃棄物が分離された土壌の残部を乾式分級又は湿式分級することにより、粒径1mm以下の土壌を分級し、前記加熱工程に供する土壌を減容する第二分級工程をさらに有する、請求項1に記載の土壌及び木質系廃棄物からの放射性セシウム除去方法。
- 前記添加工程における無機カルシウム化合物の添加量が、土壌と無機カルシウム化合物との混合物中における無機カルシウム化合物の割合が30質量%であり、
前記添加工程における塩化ナトリウムの添加量が、土壌と無機カルシウム化合物との混合物の質量に対して5質量%である、請求項1又は2に記載の土壌及び木質系廃棄物からの放射性セシウム除去方法。 - 前記加熱工程後の土壌及び木質系廃棄物の焼却灰から塩化ナトリウムを除去する除塩工程をさらに有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の土壌及び木質系廃棄物からの放射性セシウム除去方法。
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