JP2013160676A - 放射性物質の固定化材、および放射性汚染物の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は石炭灰を使用した放射性物質の処理材を提供する。
【解決手段】 本発明は、石炭灰を基材として含む放射性物質の固定化材等を提供する。また、本発明は、前記固定化材を、放射性汚染物の上に、被覆する操作、被覆した後に形成された被覆物を再利用する操作、散布する操作、散布した後に撹拌して混合する操作、および散布した後に撹拌して混合した混合物を該放射性汚染物があった場所に埋め戻す操作、の少なくとも1種以上の操作を含む、放射性汚染物の処理方法を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】 本発明は、石炭灰を基材として含む放射性物質の固定化材等を提供する。また、本発明は、前記固定化材を、放射性汚染物の上に、被覆する操作、被覆した後に形成された被覆物を再利用する操作、散布する操作、散布した後に撹拌して混合する操作、および散布した後に撹拌して混合した混合物を該放射性汚染物があった場所に埋め戻す操作、の少なくとも1種以上の操作を含む、放射性汚染物の処理方法を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、放射性セシウム等の放射性物質を固定化することができる材料と、該材料を用いて放射性汚染物、特に低レベルの放射性汚染物を処理する方法に関する。
ここで、低レベルの放射性汚染物とは、使用済み燃料の再処理操作で分離された放射性廃液やそのガラス固化体等の高レベル放射性廃棄物を除いたもので、例えば、放射性物質を含む土壌(以下「汚染土」という。)や、放射性物質を含む灰(以下「汚染灰」という。)などの放射性汚染物をいう。
ここで、低レベルの放射性汚染物とは、使用済み燃料の再処理操作で分離された放射性廃液やそのガラス固化体等の高レベル放射性廃棄物を除いたもので、例えば、放射性物質を含む土壌(以下「汚染土」という。)や、放射性物質を含む灰(以下「汚染灰」という。)などの放射性汚染物をいう。
福島第一原子力発電所の事故により、膨大な量の放射性物質が福島県を中心として広い範囲に拡散した。この放射性物質の中でも放射性セシウム(セシウム137)は、半減期が30年と長く残存量が多いため、長期にわたる放射線被爆による住民の健康被害や農林畜産物に対する汚染が懸念されている。そのため、迅速かつ広範囲にわたる除染作業が必要とされているが、除染に伴い汚染土が大量に集積する。そして、該汚染土を移送する際の汚染土の飛散防止や、汚染土の搬出先や保管場所の確保が難しく、除染等による汚染土処理には多くの課題がある。
また、前記発電所から遠く離れた首都圏内の焼却場でも、放射性物質を含む下水汚泥等の焼却により放射性物質が濃縮された汚染灰が、日々大量に発生している。しかし、放射線量が1kg当たり8千ベクレルを超える放射性汚染物は受け入れ先の確保が難しいため、現在、汚染灰は焼却場に保管されたままである。
また、前記発電所から遠く離れた首都圏内の焼却場でも、放射性物質を含む下水汚泥等の焼却により放射性物質が濃縮された汚染灰が、日々大量に発生している。しかし、放射線量が1kg当たり8千ベクレルを超える放射性汚染物は受け入れ先の確保が難しいため、現在、汚染灰は焼却場に保管されたままである。
従来、放射性廃棄物の地層での処分や放射性物質の濾過等に、天然粘土鉱物を含む膨張性ベントナイトや多孔質性ゼオライトが使用されてきた。また、最近、前記事故で生じた汚染土を調べた結果、汚染土中の天然粘土鉱物は放射性セシウムを強く吸着し固定し、セシウムが地表に長く留まっていることが確認されたことから、セシウムの地中への移行や農作物による吸収は遅いと予想されている。かかるセシウムの固定メカニズムとして、粘土鉱物は層状構造を有し層間の陰イオンのサイトにあるカリウム等の陽イオンに、結合力のより強いセシウムイオンがイオン交換して固定されるという機序が提唱されている。したがって、汚染土に対し天然粘土鉱物を用いて、セシウムを固定することも考えられる。
しかし、天然粘土鉱物は希少資源であり大量に使用すると資源の枯渇が懸念されるほか、価格が高いため経済上の理由からも汚染土の処理材として大量に消費する用途には適さない。したがって、現在、汚染土の迅速かつ大量処理という社会的要請に応じることができる汚染土の処理材が求められている。
しかし、天然粘土鉱物は希少資源であり大量に使用すると資源の枯渇が懸念されるほか、価格が高いため経済上の理由からも汚染土の処理材として大量に消費する用途には適さない。したがって、現在、汚染土の迅速かつ大量処理という社会的要請に応じることができる汚染土の処理材が求められている。
ところで、財団法人 石炭エネルギーセンターによれば、平成21年度の石炭灰の発生量は1095万トンであり、そのうち電気事業からの発生量は893万トンと全体の73%を占めている。その多くは石炭火力発電所で発生する石炭灰である。
そして、近年、該発電所では、使用する石炭銘柄の多様化、NOx規制等に対応する環境対策の強化、および発電効率の優先等の理由により、微粉炭を完全燃焼せずに石炭灰を回収するケースが増えている。そのため、石炭灰中の炭素含有率の変動幅は大きく、3〜30質量%程度の範囲にある。
そして、近年、該発電所では、使用する石炭銘柄の多様化、NOx規制等に対応する環境対策の強化、および発電効率の優先等の理由により、微粉炭を完全燃焼せずに石炭灰を回収するケースが増えている。そのため、石炭灰中の炭素含有率の変動幅は大きく、3〜30質量%程度の範囲にある。
かかる石炭灰をコンクリート混和材に用いると、未燃炭素がAE剤を吸着してコンクリートに微細空気が連行されないばかりか、コンクリートの表面に浮上してコンクリートの美観が著しく損なわれ、コンクリートの品質管理が困難になる。また、コンクリート混和材として標準的な、JIS A 6201に規定するコンクリート用フライアッシュII種の強熱減量は5%以下であり、この点からも、前記石炭灰はコンクリート混和材の用途に適さない。
しかし、電力事業における石炭灰の発生量は、平成11年度の576万トンから、この10年間で約1.5倍にも増加し、今後もこの増加が予想されるため、未燃炭素の多い石炭灰を有効に活用できる方法が望まれている。
しかし、電力事業における石炭灰の発生量は、平成11年度の576万トンから、この10年間で約1.5倍にも増加し、今後もこの増加が予想されるため、未燃炭素の多い石炭灰を有効に活用できる方法が望まれている。
そこで、石炭灰を使用した放射性セシウムの処理方法として、特許文献1には放射性セシウムの捕集方法が提案されている。具体的には該方法は、石炭灰を単位長さ当りの気孔数が10−30個になる多孔性板状捕集材等に加工した捕集材を利用して、気相のセシウム化合物と700−1300℃で反応させ、セシウムアルミノシリケート化合物の形態に放射性セシウムを固定するセシウムの捕集方法である。
しかし、該方法は、石炭灰と気相のセシウムを700−1300℃で反応させてセシウムアルミノシリケート化合物の形態に放射性セシウムを固定するものであるから、常温での汚染土の処理には適さない。
しかし、該方法は、石炭灰と気相のセシウムを700−1300℃で反応させてセシウムアルミノシリケート化合物の形態に放射性セシウムを固定するものであるから、常温での汚染土の処理には適さない。
そこで、本発明は、石炭灰を使用した放射性物質の処理材を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的に適う処理材を鋭意検討した結果、フライアッシュおよびクリンカアッシュを基材として含む材料は、放射性物質を固定化し、かつ地上の空間放射線量を低減する効果があることを見い出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供する。
[1]基材として石炭灰を50%以上含む、放射性物質の固定化材。
[2]さらに石膏、スラグ、固化材、カリウム塩、炭酸カルシウム、および多孔質粘土類から選ばれる少なくとも1種以上を含む、前記[1]に記載の放射性物質の固定化材。
[3]前記固定化材が放射性汚染物を覆うための被覆材である、前記[1]または[2]に記載の放射性物質の固定化材。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の放射性物質の固定化材を、放射性汚染物の上に、(A)被覆する操作、(B)被覆した後に形成された被覆物を再利用する操作、(C)散布する操作、(D)散布した後に撹拌して混合する操作、(E)散布した後に撹拌して混合した混合物を該放射性汚染物があった場所に埋め戻す操作、の少なくとも1種以上の操作を含む、放射性汚染物の処理方法。
[5]保管貯蔵施設における放射性汚染物を処理の対象とする、前記[4]に記載の放射性汚染物の処理方法。
[6]汚染土および汚染灰を処理の対象とする、前記[4]または[5]に記載の放射性汚染物の処理方法。
[1]基材として石炭灰を50%以上含む、放射性物質の固定化材。
[2]さらに石膏、スラグ、固化材、カリウム塩、炭酸カルシウム、および多孔質粘土類から選ばれる少なくとも1種以上を含む、前記[1]に記載の放射性物質の固定化材。
[3]前記固定化材が放射性汚染物を覆うための被覆材である、前記[1]または[2]に記載の放射性物質の固定化材。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の放射性物質の固定化材を、放射性汚染物の上に、(A)被覆する操作、(B)被覆した後に形成された被覆物を再利用する操作、(C)散布する操作、(D)散布した後に撹拌して混合する操作、(E)散布した後に撹拌して混合した混合物を該放射性汚染物があった場所に埋め戻す操作、の少なくとも1種以上の操作を含む、放射性汚染物の処理方法。
[5]保管貯蔵施設における放射性汚染物を処理の対象とする、前記[4]に記載の放射性汚染物の処理方法。
[6]汚染土および汚染灰を処理の対象とする、前記[4]または[5]に記載の放射性汚染物の処理方法。
本発明の放射性物質の固定化材は、以下の(i)〜(iii)の効果を奏する。
(i)放射性物質の土壌等からの溶出や農作物等への移行を低減するとともに、地上の空間放射線量の低下を図ることができる。
(ii)未燃炭素を多く含む石炭灰を有効に利用でき、天然粘土鉱物の代替により天然鉱物資源の枯渇等の環境負荷を低減することができる。しかも、石炭灰は天然粘土鉱物と比べて安価であるから経済的である。
(iii)石炭灰の発生源である石炭火力発電所は福島県に現在4カ所あるため、福島県内の除染作業において、該発電所で発生する大量の石炭灰を使用することができる。
(i)放射性物質の土壌等からの溶出や農作物等への移行を低減するとともに、地上の空間放射線量の低下を図ることができる。
(ii)未燃炭素を多く含む石炭灰を有効に利用でき、天然粘土鉱物の代替により天然鉱物資源の枯渇等の環境負荷を低減することができる。しかも、石炭灰は天然粘土鉱物と比べて安価であるから経済的である。
(iii)石炭灰の発生源である石炭火力発電所は福島県に現在4カ所あるため、福島県内の除染作業において、該発電所で発生する大量の石炭灰を使用することができる。
本発明は、前記のとおり、石炭灰を基材として含むセシウム等の放射性物質(以下「セシウム等」という。)の固定化材である。また、本発明は、任意の成分として、さらに石膏、スラグ、固化材、カリウム塩、炭酸カルシウム、および多孔質粘土類から選ばれる1種以上の副材を、該固定化材中に含むことができる。また、本発明は、該固定化材を用いた放射性汚染物の処理方法を含む。
本発明における処理対象は、使用済み燃料の再処理操作で分離された放射性廃液やそのガラス固化体等の高レベル放射性廃棄物を除いた、低レベルの放射性汚染物であり、例えば、除染の対象となる汚染土や、焼却場等で発生する汚染灰などである。
以下、本発明について、1.放射性物質の固定化材、2.その製造方法、および3.放射性汚染物の処理方法に分けて説明する。なお、%は特に示さない限り質量%である。
本発明における処理対象は、使用済み燃料の再処理操作で分離された放射性廃液やそのガラス固化体等の高レベル放射性廃棄物を除いた、低レベルの放射性汚染物であり、例えば、除染の対象となる汚染土や、焼却場等で発生する汚染灰などである。
以下、本発明について、1.放射性物質の固定化材、2.その製造方法、および3.放射性汚染物の処理方法に分けて説明する。なお、%は特に示さない限り質量%である。
1.放射性物質の固定化材
(1)石炭灰
石炭灰は、本発明の固定化材において必須の成分(基材)であり、フライアッシュ、クリンカアッシュまたはこれらの混合物が挙げられる。
フライアッシュは、燃焼ガス中を浮遊する石炭灰の溶融粒子が温度低下によりボイラー出口付近で固化したガラス状球形粒子であり、これを電気集塵器で集めた回収したものである。また、クリンカアッシュは、赤熱状態の石炭灰がボイラ底部の水槽に落下して固化した塊状物を、破砕機で破砕し粒度調整したものある。
フライアッシュとクリンカアッシュの主な成分はいずれもSiO2とAl2O3であり、その他にK、Na、およびCa等を含む。これらの化学成分等は粘土鉱物と共通(類似)しているため、セシウム等の固定化材の基材として好適である。
(1)石炭灰
石炭灰は、本発明の固定化材において必須の成分(基材)であり、フライアッシュ、クリンカアッシュまたはこれらの混合物が挙げられる。
フライアッシュは、燃焼ガス中を浮遊する石炭灰の溶融粒子が温度低下によりボイラー出口付近で固化したガラス状球形粒子であり、これを電気集塵器で集めた回収したものである。また、クリンカアッシュは、赤熱状態の石炭灰がボイラ底部の水槽に落下して固化した塊状物を、破砕機で破砕し粒度調整したものある。
フライアッシュとクリンカアッシュの主な成分はいずれもSiO2とAl2O3であり、その他にK、Na、およびCa等を含む。これらの化学成分等は粘土鉱物と共通(類似)しているため、セシウム等の固定化材の基材として好適である。
フライアッシュは、粘土鉱物と同様に、表面積が大きく(粒径が小さく)セシウム等の付着性が高いこと、また、フライアッシュはポゾラン反応性を有するため、CaO等のアルカリ剤を添加すると、水和反応によりフライアッシュの凝結性が発現し、土壌を固化してセシウム等を土壌中に固定化する作用がある。
また、クリンカアッシュは0.2〜20μm程度の孔隙が多数あり、クリンカアッシュ1gあたり細孔面積は約4.5m2と広いことからセシウム等の吸収量が多い。さらに、フライアッシュは造粒処理や加熱・発泡処理等により多孔質に加工することも可能である。
本発明に用いる石炭灰のブレーン比表面積は、2500〜5000cm2/gが好ましく、3000〜4000cm2/gがより好ましく、3000〜3500cm2/gがさらに好ましい。該値が2500〜5000cm2/gの範囲にあれば、本発明の固定化材の施工性やセシウム等の固定化作用が良好である。
本発明の固定化材中の石炭灰の含有率は50%以上であり、50〜95%が好ましく、60〜90%がより好ましく、70〜85%がさらに好ましい。該値が50%未満では、流動性や充填性等の施工性が低下するほか、長期にわたる固化強度の発現性が低下するおそれがあり、また経済性も劣る。将来において、被覆物を掘り返す場合や再利用する場合の作業性も悪化する。
また、クリンカアッシュは0.2〜20μm程度の孔隙が多数あり、クリンカアッシュ1gあたり細孔面積は約4.5m2と広いことからセシウム等の吸収量が多い。さらに、フライアッシュは造粒処理や加熱・発泡処理等により多孔質に加工することも可能である。
本発明に用いる石炭灰のブレーン比表面積は、2500〜5000cm2/gが好ましく、3000〜4000cm2/gがより好ましく、3000〜3500cm2/gがさらに好ましい。該値が2500〜5000cm2/gの範囲にあれば、本発明の固定化材の施工性やセシウム等の固定化作用が良好である。
本発明の固定化材中の石炭灰の含有率は50%以上であり、50〜95%が好ましく、60〜90%がより好ましく、70〜85%がさらに好ましい。該値が50%未満では、流動性や充填性等の施工性が低下するほか、長期にわたる固化強度の発現性が低下するおそれがあり、また経済性も劣る。将来において、被覆物を掘り返す場合や再利用する場合の作業性も悪化する。
次に、本発明の固定化材において任意の成分である、以下の(2)〜(6)の副材について説明する。
(2)石膏
石膏は特に限定されないが、副産物の有効利用の観点から、好ましくは、火力発電所の排煙脱硫設備、フッ酸製造設備、および排ガス中和設備等から副生する副生石膏(CaSO4、CaSO4・2H2O等)や、廃石膏ボード等を加熱処理等して得られる再生石膏(CaSO4、CaSO4・1/2H2O等)から選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。これらの石膏は、汚染土のpHを調整して土壌の酸性化を抑制するとともに、石炭灰等の水和反応の速度(凝結速度)を制御することにより、土壌中のセシウムを固定化する環境を最適化してセシウムの溶出を抑制する。とくに、半水石膏(CaSO4・1/2H2O)は、それ自体の凝結性により汚染土を固化する性質があり、汚染土中のセシウム等の固定化に好適である。
(2)石膏
石膏は特に限定されないが、副産物の有効利用の観点から、好ましくは、火力発電所の排煙脱硫設備、フッ酸製造設備、および排ガス中和設備等から副生する副生石膏(CaSO4、CaSO4・2H2O等)や、廃石膏ボード等を加熱処理等して得られる再生石膏(CaSO4、CaSO4・1/2H2O等)から選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。これらの石膏は、汚染土のpHを調整して土壌の酸性化を抑制するとともに、石炭灰等の水和反応の速度(凝結速度)を制御することにより、土壌中のセシウムを固定化する環境を最適化してセシウムの溶出を抑制する。とくに、半水石膏(CaSO4・1/2H2O)は、それ自体の凝結性により汚染土を固化する性質があり、汚染土中のセシウム等の固定化に好適である。
石膏のブレーン比表面積は3000〜8000cm2/gが好ましく、3500〜6500cm2/gがより好ましく、4000〜6000cm2/gがさらに好ましく、4500〜5500cm2/gが特に好ましい。該値が3000〜8000cm2/gの範囲にあれば、セシウム等の溶出抑制効果や汚染土の固化強度を高めることができる。
固定化材中の石膏の含有率は40%未満が好ましく、5〜30%がより好ましく、10〜20%がさらに好ましい。該値が40%を超えると、セシウム等の溶出抑制効果がむしろ低下する場合がある。
固定化材中の石膏の含有率は40%未満が好ましく、5〜30%がより好ましく、10〜20%がさらに好ましい。該値が40%を超えると、セシウム等の溶出抑制効果がむしろ低下する場合がある。
(3)スラグ
スラグは、製鉄所から副生する高炉スラグや製鋼スラグ等が挙げられる。これらのスラグはCaO成分を含み潜在水硬性があるため、スラグの凝結により汚染土の固化強度を向上させる効果がある。したがって、スラグはフライアッシュのポゾラン反応による凝結と相まって土壌中のセシウムを固定化するので好ましい。
スラグのブレーン比表面積は、3000〜8000cm2/gが好ましく、3500〜6000cm2/gがより好ましく、3750〜4250cm2/gがさらに好ましい。該値が3000cm2/g未満では固化強度が低く、8000cm2/gを超えるとコスト高になる。
また、固定化材中のスラグの含有率は40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましい。該値が40%を超えると固化強度の向上効果が低下する傾向がある。
スラグは、製鉄所から副生する高炉スラグや製鋼スラグ等が挙げられる。これらのスラグはCaO成分を含み潜在水硬性があるため、スラグの凝結により汚染土の固化強度を向上させる効果がある。したがって、スラグはフライアッシュのポゾラン反応による凝結と相まって土壌中のセシウムを固定化するので好ましい。
スラグのブレーン比表面積は、3000〜8000cm2/gが好ましく、3500〜6000cm2/gがより好ましく、3750〜4250cm2/gがさらに好ましい。該値が3000cm2/g未満では固化強度が低く、8000cm2/gを超えるとコスト高になる。
また、固定化材中のスラグの含有率は40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましい。該値が40%を超えると固化強度の向上効果が低下する傾向がある。
(4)固化材
固化材は、MgOを主成分とする重金属類溶出防止材と、セメント系固化材が挙げられる。前記重金属類溶出防止材としてはデナイト(登録商標、太平洋セメント社製)がある。デナイトは重金属類の溶出防止に優れた効果を発揮するため、セシウムのほか、ヒ素、六価クロム、鉛、カドニウム等の重金属やフッ素の溶出を防止することができる。
また、セメント系固化材の固化強度は、通常、デナイトよりも高く、汚染土中にセシウム等を固定化する能力が高い。固定化材がスラグや石炭灰を含む場合、固化材中のCaOが水和して生成するアルカリ成分が、スラグの潜在水硬性や石炭灰のポゾラン反応性を刺激して固化強度がさらに高まる。セメント系固化材は特に限定されず、ジオセット(登録商標、太平洋セメント社製)等の市販の固化材が使用できる。
固定化材中の固化材の含有率は50%未満が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましい。
固化材は、MgOを主成分とする重金属類溶出防止材と、セメント系固化材が挙げられる。前記重金属類溶出防止材としてはデナイト(登録商標、太平洋セメント社製)がある。デナイトは重金属類の溶出防止に優れた効果を発揮するため、セシウムのほか、ヒ素、六価クロム、鉛、カドニウム等の重金属やフッ素の溶出を防止することができる。
また、セメント系固化材の固化強度は、通常、デナイトよりも高く、汚染土中にセシウム等を固定化する能力が高い。固定化材がスラグや石炭灰を含む場合、固化材中のCaOが水和して生成するアルカリ成分が、スラグの潜在水硬性や石炭灰のポゾラン反応性を刺激して固化強度がさらに高まる。セメント系固化材は特に限定されず、ジオセット(登録商標、太平洋セメント社製)等の市販の固化材が使用できる。
固定化材中の固化材の含有率は50%未満が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましい。
(5)カリウム塩、炭酸カルシウム
カリウム塩は、塩化カリウムや硫酸カリウム等が挙げられる。カリウム塩が汚染土中で溶解して生成するカリウム陽イオンは、セシウム陽イオンに優先して農作物等に吸収される特性があるため、農作物等へのセシウムの移行を抑制することができる。
固定化材中のカリウム塩の含有率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。該値が20%を超えると汚染土の固化強度が低下してセシウム等の固定化効果が低下するおそれがある。なお、カリウム塩は水溶性であり、汚染土中の水分により溶解するため粒度は特に限定されない。
カリウム塩は、塩化カリウムや硫酸カリウム等が挙げられる。カリウム塩が汚染土中で溶解して生成するカリウム陽イオンは、セシウム陽イオンに優先して農作物等に吸収される特性があるため、農作物等へのセシウムの移行を抑制することができる。
固定化材中のカリウム塩の含有率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。該値が20%を超えると汚染土の固化強度が低下してセシウム等の固定化効果が低下するおそれがある。なお、カリウム塩は水溶性であり、汚染土中の水分により溶解するため粒度は特に限定されない。
また、炭酸カルシウムは、汚染土のpHを調整して酸性化を抑制する機能があり、汚染土中にセシウムを固定する環境を最適化してセシウムの溶出を抑制することができる。
前記炭酸カルシウムのブレーン比表面積は、3000〜8000cm2/gが好ましく、3500〜6500cm2/gがより好ましく、4000〜6000cm2/gがさらに好ましく、4500〜5500cm2/gが特に好ましい。該値が3000cm2/g未満では、取り扱い時のハンドリング性が低下する傾向があり、8000cm2/gを超えると粉砕に手間がかかりコスト高となる。
また、固定化材中の炭酸カルシウムの含有率は、30%以下が好ましく、1〜20%がより好ましく、2〜15%がさらに好ましい。該含有率が30%を超えると、重金属等の溶出抑制効果が低下するのみならず、放射性汚染物のpHの調整が困難になる。
なお、本発明で使用できる炭酸カルシウムには、工業用炭酸カルシウム粉末、試薬の炭酸カルシウム粉末、石灰石粉末、炭酸カルシウムを主成分とする貝殻の粉砕物、サンゴの粉砕物等が含まれる。
前記炭酸カルシウムのブレーン比表面積は、3000〜8000cm2/gが好ましく、3500〜6500cm2/gがより好ましく、4000〜6000cm2/gがさらに好ましく、4500〜5500cm2/gが特に好ましい。該値が3000cm2/g未満では、取り扱い時のハンドリング性が低下する傾向があり、8000cm2/gを超えると粉砕に手間がかかりコスト高となる。
また、固定化材中の炭酸カルシウムの含有率は、30%以下が好ましく、1〜20%がより好ましく、2〜15%がさらに好ましい。該含有率が30%を超えると、重金属等の溶出抑制効果が低下するのみならず、放射性汚染物のpHの調整が困難になる。
なお、本発明で使用できる炭酸カルシウムには、工業用炭酸カルシウム粉末、試薬の炭酸カルシウム粉末、石灰石粉末、炭酸カルシウムを主成分とする貝殻の粉砕物、サンゴの粉砕物等が含まれる。
(6)多孔質粘土類
多孔質粘土類は、モンモリロナイト、バーミキュライト、珪藻土およびゼオライト等の天然の多孔質粘土鉱物や、天然粘土鉱物を加熱して発泡させた人工の多孔質粘土鉱物等が挙げられる。人工の多孔質粘土鉱物として、例えば、カルストーン(登録商標、太平洋セメント社製)やパーライト等の市販品やこれらの粉砕物が挙げられる。
これらの材料は、汚染土中のセシウムを吸着または吸収するとともに、土壌の保水性や排水性を改善する効果がある。
また、多孔質粘土類のブレーン比表面積は3000〜8000cm2/gが好ましく、3500〜6000cm2/gがより好ましく、3750〜4250cm2/gがさらに好ましい。該値が3000cm2/g未満ではセシウムを吸着効果が低下し、8000cm2/gを超えるとコスト高になる。
固定化材中の多孔質粘土類の含有率は35%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、25%以下がさらに好ましい。該値が35%を超えると固化強度が低下する傾向がある。
多孔質粘土類は、モンモリロナイト、バーミキュライト、珪藻土およびゼオライト等の天然の多孔質粘土鉱物や、天然粘土鉱物を加熱して発泡させた人工の多孔質粘土鉱物等が挙げられる。人工の多孔質粘土鉱物として、例えば、カルストーン(登録商標、太平洋セメント社製)やパーライト等の市販品やこれらの粉砕物が挙げられる。
これらの材料は、汚染土中のセシウムを吸着または吸収するとともに、土壌の保水性や排水性を改善する効果がある。
また、多孔質粘土類のブレーン比表面積は3000〜8000cm2/gが好ましく、3500〜6000cm2/gがより好ましく、3750〜4250cm2/gがさらに好ましい。該値が3000cm2/g未満ではセシウムを吸着効果が低下し、8000cm2/gを超えるとコスト高になる。
固定化材中の多孔質粘土類の含有率は35%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、25%以下がさらに好ましい。該値が35%を超えると固化強度が低下する傾向がある。
2.固定化材の製造方法
本発明の固定化材の形態は、粉粒体混合物、造粒物および発泡物がある。以下、(1)粉粒体混合物、(2)造粒物および(3)発泡物に分けて、固定化材の製造方法を説明する。
(1)粉粒体混合物
該混合物は、副材である石膏、スラグ、固化材、カリウム塩、炭酸カルシウム、および多孔質粘土類から選ばれる少なくとも1種以上と、基材である石炭灰を調合し混合装置を用いて混合して製造する。
ここで、前記混合装置として、傾胴ミキサー、オムニミキサー、ヘンシェルミキサー、V型ミキサー、ナウタミキサー、ボールミル、または強制二軸ミキサー等が使用できる。
また、固定化材の各成分を粒度調整等により粉砕する必要がある場合は、粉砕機として、縦型ミル、横型チューブミル、ボールミル、振動ミル、アトマイザー、ローラーミル、ローラープレス、ジョークラッシャー、またはトップグラインダー等が使用できる。
本発明の固定化材の形態は、粉粒体混合物、造粒物および発泡物がある。以下、(1)粉粒体混合物、(2)造粒物および(3)発泡物に分けて、固定化材の製造方法を説明する。
(1)粉粒体混合物
該混合物は、副材である石膏、スラグ、固化材、カリウム塩、炭酸カルシウム、および多孔質粘土類から選ばれる少なくとも1種以上と、基材である石炭灰を調合し混合装置を用いて混合して製造する。
ここで、前記混合装置として、傾胴ミキサー、オムニミキサー、ヘンシェルミキサー、V型ミキサー、ナウタミキサー、ボールミル、または強制二軸ミキサー等が使用できる。
また、固定化材の各成分を粒度調整等により粉砕する必要がある場合は、粉砕機として、縦型ミル、横型チューブミル、ボールミル、振動ミル、アトマイザー、ローラーミル、ローラープレス、ジョークラッシャー、またはトップグラインダー等が使用できる。
(2)造粒物
該造粒物は、前記粉粒体混合物に水と、必要に応じて、セメント等のバインダーを添加して混練した後、この混合物を造粒し、さらに必要に応じて該造粒物を養生して製造する。
該混練は、例えば、ペーストを調製するための汎用の混練機が用いられる。また、造粒装置は特に限定されず、例えば、パンペレタイザー、ブリケットマシン、ロールプレス、押し出し成形機、パグミル等が挙げられる。また、造粒後に、回転ドラム、ミキサ、篩等を用いて整粒してもよい。造粒時に生じた微粉はふるい分けて回収した後、再度、造粒物の原料として用いることができる。
該造粒物は、前記粉粒体混合物に水と、必要に応じて、セメント等のバインダーを添加して混練した後、この混合物を造粒し、さらに必要に応じて該造粒物を養生して製造する。
該混練は、例えば、ペーストを調製するための汎用の混練機が用いられる。また、造粒装置は特に限定されず、例えば、パンペレタイザー、ブリケットマシン、ロールプレス、押し出し成形機、パグミル等が挙げられる。また、造粒後に、回転ドラム、ミキサ、篩等を用いて整粒してもよい。造粒時に生じた微粉はふるい分けて回収した後、再度、造粒物の原料として用いることができる。
前記養生の期間は特に限定されないが、十分な強度を得るためには1時間以上が好ましく、3時間以上がより好ましく、6時間以上がさらに好ましい。養生期間の上限は、特に限定されないが、製造効率の点から、30日以内が好ましく、10日以内がより好ましく、5日以内がさらに好ましい。
養生の方法としては、特に限定されず、封乾養生、風乾養生(気乾養生)、湿空養生、蒸気養生、加熱乾燥養生等が挙げられる。これらの中でも、強度促進の点から、封乾養生や相対湿度80%以上での湿空養生等が好ましい。早期に強度を発現したい場合は、蒸気養生や加熱養生が好ましい。ここで、封乾養生や風乾養生等の温度は、例えば5〜40℃であり、蒸気養生や加熱乾燥養生の温度は、例えば30〜400℃である。
なお、造粒物の養生は必要に応じて行なえばよく、目標とする圧壊強度が早期に得られる場合は不要である。
(3)発泡物
該発泡物は、前記造粒物と造粒工程については共通であり、必要に応じて、膨張性頁岩その他の発泡剤を原料に添加して混練し造粒した後、これをロータリーキルン等の焼成炉を用いて1000〜1200℃で焼成して発泡させて製造する。該値が1200℃を超えると造粒物の融着や焼成炉壁面への付着が起こる傾向があり、1000℃未満では発泡が不十分になる傾向がある。
養生の方法としては、特に限定されず、封乾養生、風乾養生(気乾養生)、湿空養生、蒸気養生、加熱乾燥養生等が挙げられる。これらの中でも、強度促進の点から、封乾養生や相対湿度80%以上での湿空養生等が好ましい。早期に強度を発現したい場合は、蒸気養生や加熱養生が好ましい。ここで、封乾養生や風乾養生等の温度は、例えば5〜40℃であり、蒸気養生や加熱乾燥養生の温度は、例えば30〜400℃である。
なお、造粒物の養生は必要に応じて行なえばよく、目標とする圧壊強度が早期に得られる場合は不要である。
(3)発泡物
該発泡物は、前記造粒物と造粒工程については共通であり、必要に応じて、膨張性頁岩その他の発泡剤を原料に添加して混練し造粒した後、これをロータリーキルン等の焼成炉を用いて1000〜1200℃で焼成して発泡させて製造する。該値が1200℃を超えると造粒物の融着や焼成炉壁面への付着が起こる傾向があり、1000℃未満では発泡が不十分になる傾向がある。
2.放射性汚染物の処理方法
該処理方法は、放射性物質の固定化材を、放射性汚染物の上に、(A)被覆する操作、(B)被覆した後に形成された被覆物を再利用する操作、(C)散布する操作、(D)散布した後に撹拌して混合する操作、(E)散布した後に撹拌して混合した混合物を該放射性汚染物があった場所に埋め戻す操作、の少なくとも1種以上の操作を含むものである。
また、該処理方法は、処理の対象が、仮置場、中間貯蔵施設または最終処分場等の保管貯蔵施設における放射性汚染物が好ましく、また、該汚染物は汚染土および汚染灰が好ましい。
以下、前記の操作について説明する。
該処理方法は、放射性物質の固定化材を、放射性汚染物の上に、(A)被覆する操作、(B)被覆した後に形成された被覆物を再利用する操作、(C)散布する操作、(D)散布した後に撹拌して混合する操作、(E)散布した後に撹拌して混合した混合物を該放射性汚染物があった場所に埋め戻す操作、の少なくとも1種以上の操作を含むものである。
また、該処理方法は、処理の対象が、仮置場、中間貯蔵施設または最終処分場等の保管貯蔵施設における放射性汚染物が好ましく、また、該汚染物は汚染土および汚染灰が好ましい。
以下、前記の操作について説明する。
(A)の操作
放射性物質の固定化材を放射性汚染物の上に被覆する方法は、特に限定されず、固定化材の形態により、例えば、以下の(I)〜(III)が挙げられる。すなわち、
(I)前記粉粒体混合物の場合は、水と混合しスラリー状にした上で、ポンプ圧送等により、放射性汚染物の上に流し込むか、または吹き付けを行った後、自然養生(気乾養生)する方法等が挙げられる。
(II)前記造粒物の場合は、運搬車の荷台から直接落下させ、重機等により展圧の上、必要に応じて散水し、自然養生する方法等が挙げられる。
(III)前記発泡物の場合は、運搬車の荷台から直接落下させ、重機等により展圧の上、必要に応じて前記粉粒体混合物を散布して散水した後、自然養生する方法等が挙げられる。
前記(I)〜(III)の操作において、被覆層の不等沈下を防ぐため、必要に応じて盛土補強材を併用することができる。
(B)の操作
(A)の操作において形成される被覆物(被覆層)は、セシウム等の放射性物質の移行性が後記の他の操作におけるものよりも低いため、放射性物質の移行量(含有量)が許容量以下の被覆物(部分)については、掘り起こした後、粉砕して篩い分けすることにより、細骨材(砂)の代替物として再利用が可能である。該被覆物の再利用の用途として、路盤材のほか、セメントやスラグ等と混合して、東日本大震災により被災した港湾、海岸および河川における、防波堤、防潮堤および護岸補強等の土木工事用の人工鉱石原料が挙げられる。
特に(A)の(II)や(III)の操作による被覆物は、掘り返した後、篩い分けのみにより、そのままの形で、路盤材としての再利用や、防波堤、防潮堤、および護岸補強等の土木工事用の人工盛土材としての再利用が可能である。
このように本発明の固定化材は、被覆材として好適である。
(C)の操作
放射性物質の固定化材を散布する方法は、特に限定されず、固定化材を積載したトラック等の運搬車を移動させながら、放射汚染物の上に、粉粒体散布装置等を用いて固定化材を散布する方法や、運搬車の荷台から直接落下させる方法等が挙げられる。
(D)の操作
該操作において、例えば、表層混合処理工法を用いることができる。該工法では、固定化材と放射性汚染物の撹拌・混合に、バックホウ施工機や、履帯式スタビライザー施工機を用いることができる。
放射性物質の固定化材を放射性汚染物の上に被覆する方法は、特に限定されず、固定化材の形態により、例えば、以下の(I)〜(III)が挙げられる。すなわち、
(I)前記粉粒体混合物の場合は、水と混合しスラリー状にした上で、ポンプ圧送等により、放射性汚染物の上に流し込むか、または吹き付けを行った後、自然養生(気乾養生)する方法等が挙げられる。
(II)前記造粒物の場合は、運搬車の荷台から直接落下させ、重機等により展圧の上、必要に応じて散水し、自然養生する方法等が挙げられる。
(III)前記発泡物の場合は、運搬車の荷台から直接落下させ、重機等により展圧の上、必要に応じて前記粉粒体混合物を散布して散水した後、自然養生する方法等が挙げられる。
前記(I)〜(III)の操作において、被覆層の不等沈下を防ぐため、必要に応じて盛土補強材を併用することができる。
(B)の操作
(A)の操作において形成される被覆物(被覆層)は、セシウム等の放射性物質の移行性が後記の他の操作におけるものよりも低いため、放射性物質の移行量(含有量)が許容量以下の被覆物(部分)については、掘り起こした後、粉砕して篩い分けすることにより、細骨材(砂)の代替物として再利用が可能である。該被覆物の再利用の用途として、路盤材のほか、セメントやスラグ等と混合して、東日本大震災により被災した港湾、海岸および河川における、防波堤、防潮堤および護岸補強等の土木工事用の人工鉱石原料が挙げられる。
特に(A)の(II)や(III)の操作による被覆物は、掘り返した後、篩い分けのみにより、そのままの形で、路盤材としての再利用や、防波堤、防潮堤、および護岸補強等の土木工事用の人工盛土材としての再利用が可能である。
このように本発明の固定化材は、被覆材として好適である。
(C)の操作
放射性物質の固定化材を散布する方法は、特に限定されず、固定化材を積載したトラック等の運搬車を移動させながら、放射汚染物の上に、粉粒体散布装置等を用いて固定化材を散布する方法や、運搬車の荷台から直接落下させる方法等が挙げられる。
(D)の操作
該操作において、例えば、表層混合処理工法を用いることができる。該工法では、固定化材と放射性汚染物の撹拌・混合に、バックホウ施工機や、履帯式スタビライザー施工機を用いることができる。
(E)の操作
固定化材と放射性汚染物の混合物の搬送先や保管先の確保が困難な場合は、放射性汚染物があった場所に埋め戻す場合もある。この場合、放射性汚染物が飛散しない措置を取ることが必要であり、例えば、該混合物をタンピングランマー等を用いて十分に締固める等の措置を採るのが望ましい。
以上の中で、とくに(A)の操作は、被覆層の厚みによる空間放射線量の低減効果が大きい。また、一般的な天然粘土で覆土する場合と比較して、乾燥による飛散性がなく、不透水性も高いため、防水シートやテント等による覆いが不要となる。仮置場等における下部遮水層の施工にも適しており、放射性物質の地下水層への溶出リスクを低減できる。
さらに、基材となる石炭灰は球状であるため、そのボールベアリング効果により、前記(A)の(I)の操作は、施工性の面で、高流動性、長距離圧送性、および自己充填性があり、また、石炭灰特有のポゾラン反応性により、長期にわたる固化強度の発現や低発熱性等の特徴がある。
また、(A)の(I)の操作により、仮置場において上部被覆層を施工する場合は、固定化材中の石炭灰の含有率をできるだけ増やす(好ましくは80〜95%)のが好ましい。この増量により、将来において、仮置場から中間貯蔵施設等に放射性汚染物を移す場合に、被覆層を掘り返す際の作業性が良好となり、前記の(B)のように被覆物を再利用することも容易となる。
なお、広い汚染地帯に本発明の処理方法を適用する場合、汚染の程度に応じて(A)〜(E)の操作を場所ごとに1種以上選択し、これらを組み合わせて使用してもよい。
固定化材と放射性汚染物の混合物の搬送先や保管先の確保が困難な場合は、放射性汚染物があった場所に埋め戻す場合もある。この場合、放射性汚染物が飛散しない措置を取ることが必要であり、例えば、該混合物をタンピングランマー等を用いて十分に締固める等の措置を採るのが望ましい。
以上の中で、とくに(A)の操作は、被覆層の厚みによる空間放射線量の低減効果が大きい。また、一般的な天然粘土で覆土する場合と比較して、乾燥による飛散性がなく、不透水性も高いため、防水シートやテント等による覆いが不要となる。仮置場等における下部遮水層の施工にも適しており、放射性物質の地下水層への溶出リスクを低減できる。
さらに、基材となる石炭灰は球状であるため、そのボールベアリング効果により、前記(A)の(I)の操作は、施工性の面で、高流動性、長距離圧送性、および自己充填性があり、また、石炭灰特有のポゾラン反応性により、長期にわたる固化強度の発現や低発熱性等の特徴がある。
また、(A)の(I)の操作により、仮置場において上部被覆層を施工する場合は、固定化材中の石炭灰の含有率をできるだけ増やす(好ましくは80〜95%)のが好ましい。この増量により、将来において、仮置場から中間貯蔵施設等に放射性汚染物を移す場合に、被覆層を掘り返す際の作業性が良好となり、前記の(B)のように被覆物を再利用することも容易となる。
なお、広い汚染地帯に本発明の処理方法を適用する場合、汚染の程度に応じて(A)〜(E)の操作を場所ごとに1種以上選択し、これらを組み合わせて使用してもよい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
1.固定化材の製造
ブレーン比表面積が3000cm2/gの石炭灰(原粉)を70%と、デナイトを15%、3500cm2/gの高炉スラグ粉末を15%混合して本発明の固定化材を製造した。
1.固定化材の製造
ブレーン比表面積が3000cm2/gの石炭灰(原粉)を70%と、デナイトを15%、3500cm2/gの高炉スラグ粉末を15%混合して本発明の固定化材を製造した。
2.セシウムの固定化試験
前記固定化材310gを直径30mm、長さ250mmのガラス製カラムに充填し、該充填物の上から、セシウム濃度が10mg/lの水溶液100mlを滴下して混合した後、28日間放置した。その後、該充填物をカラムから取り出し、300mlの水に浸し、さらに28日間放置した。
該充填物を浸していた水のセシウム濃度を分析した結果、検出限界以下(0.02mg/l未満)であった。したがって、本発明の放射性物質の固定化材は、セシウムの固定化性能が高いことが確認された。
前記固定化材310gを直径30mm、長さ250mmのガラス製カラムに充填し、該充填物の上から、セシウム濃度が10mg/lの水溶液100mlを滴下して混合した後、28日間放置した。その後、該充填物をカラムから取り出し、300mlの水に浸し、さらに28日間放置した。
該充填物を浸していた水のセシウム濃度を分析した結果、検出限界以下(0.02mg/l未満)であった。したがって、本発明の放射性物質の固定化材は、セシウムの固定化性能が高いことが確認された。
Claims (6)
- 基材として石炭灰を50質量%以上含む、放射性物質の固定化材。
- さらに石膏、スラグ、固化材、カリウム塩、炭酸カルシウム、および多孔質粘土類から選ばれる少なくとも1種以上を含む、請求項1に記載の放射性物質の固定化材。
- 前記固定化材が放射性汚染物を覆うための被覆材である、請求項1または2に記載の放射性物質の固定化材。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の放射性物質の固定材を、放射性汚染物の上に、(A)被覆する操作、(B)被覆した後に形成された被覆物を再利用する操作、(C)散布する操作、(D)散布した後に撹拌して混合する操作、および(E)散布した後に撹拌して混合した混合物を該放射性汚染物があった場所に埋め戻す操作、の少なくとも1種以上の操作を含む、放射性汚染物の処理方法。
- 保管貯蔵施設における放射性汚染物を処理の対象とする、請求項4に記載の放射性汚染物の処理方法。
- 汚染土および汚染灰を処理の対象とする、請求項4または5に記載の放射性汚染物の処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012023893A JP2013160676A (ja) | 2012-02-07 | 2012-02-07 | 放射性物質の固定化材、および放射性汚染物の処理方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2013160676A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014106006A (ja) * | 2012-11-22 | 2014-06-09 | Medience Corp | 放射性物質の捕捉方法 |
JP2015064345A (ja) * | 2013-08-25 | 2015-04-09 | 株式会社 エコ・ライズ | 放射線汚染土壌の放射線量低減方法 |
JP2018017702A (ja) * | 2016-07-29 | 2018-02-01 | 株式会社クボタ | スラリーの加熱処理方法、回転式表面溶融炉、放射性セシウム分離濃縮装置及び溶融装置 |
-
2012
- 2012-02-07 JP JP2012023893A patent/JP2013160676A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015064345A (ja) * | 2013-08-25 | 2015-04-09 | 株式会社 エコ・ライズ | 放射線汚染土壌の放射線量低減方法 |
JP2018017702A (ja) * | 2016-07-29 | 2018-02-01 | 株式会社クボタ | スラリーの加熱処理方法、回転式表面溶融炉、放射性セシウム分離濃縮装置及び溶融装置 |
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