JP2004131755A - 煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ごみ処理工程で発生する煤燼10に所定量の鉄源11と塩化物A12とを混合して700℃以上に加熱し、この加熱により、煤燼10中に含まれる非鉄金属を塩化物Bにして揮発させ煤燼10中から除去し、製鉄原料13を得るので、煤燼10を埋立て処分することなく製鉄原料13として利用し、経済的に処理できる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ごみ処理工程(例えば、焼却処理、溶融処理等)で発生する煤燼を処理し製鉄原料として使用可能とする煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
家庭や小規模な事業所から排出される一般廃棄物は、年間約5000万トン程度発生しており、その多くは例えばごみ焼却炉で焼却処理されている。この処理後に生成した煤燼(一次飛灰とも言う)のほとんどは、例えば、セメント固化、薬剤処理、溶融固化等が施された後、埋立て処分されているが、埋立て処分場の確保が次第に困難になってきており、社会問題化している。
そこで、この煤燼の再資源化及び減容化を図るため、多くの自治体は、灰溶融炉を導入して煤燼を処理したり、また、灰溶融炉を導入することなくごみ焼却炉自体をガス化溶融炉に代えて廃棄物を処理して、生成した溶融スラグを有効活用している。なお、製造されたスラグは、例えば、埋戻し材、路盤材などの土木材や、コンクリート製品の細骨材等に使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、灰溶融炉及びガス化溶融炉では、溶融スラグが生成すると共に、溶融スラグの忌避物質を濃縮した飛灰(二次飛灰又は溶融飛灰とも言う)も発生する。この飛灰は、忌避物質を濃縮したものであるため、埋立て処分を行った場合、飛灰中の重金属類が溶出することによる環境汚染が懸念される。
しかし、この飛灰中の重金属類の溶出防止処理を行う場合、多大な処理コストがかかり、経済的でない。なお、飛灰に何らかの前処理を施すことで、埋立て処分した後の重金属類の溶出を防止できたとしても、やはり埋立処分場内に環境負荷の高い重金属類が蓄積することになり、長期的には問題解決にならない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、煤燼を埋立て処分することなく製鉄原料として利用し、経済的に処理可能な煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法は、ごみ処理工程で発生する煤燼に所定量の鉄源と塩化物Aとを混合して700℃以上に加熱し、この加熱により、煤燼中に含まれる非鉄金属を塩化物Bにして揮発させ煤燼中から除去し、製鉄原料を得る。ここで、ごみ処理工程とは、ごみの焼却処理又は溶融処理を行う工程を意味する。また、煤燼としては、例えば、重金属含有廃棄物、都市ごみ、産業廃棄物等からなる廃棄物を、ごみ処理工程で焼却処理や溶融処理したときに発生する粉末状のものであり、例えば、一次飛灰、二次飛灰等が挙げられる。この一次飛灰とは、廃棄物をごみ焼却炉で焼却した場合に発生する残渣(例えば、排ガス中の煤燼等)である。また、二次飛灰とは、ごみ焼却又はごみ溶融時に発生する残渣をスラグにする工程で生成するものであり、溶融スラグの忌避物質(例えば、クロム(Cr)、カドミウム(Cd)、ヒ素(As)、セレン(Se)、鉛(Pb)、水銀(Hg)等)が濃縮したものである。なお、鉄源としては、例えば、高炉ダスト、転炉ダスト等を使用でき、また塩化物Aとしては、例えば、塩化カルシウム等を使用できる。また、得られた製鉄原料は、例えば、製鉄工程の高炉、転炉、電気炉等の鉄原料として使用できる。
このように、煤燼に鉄源と塩化物Aとを混合して700℃以上に加熱することで、従来公知の塩化揮発反応、即ち非鉄金属の酸化物と塩化物Aとが反応し、非鉄金属の塩化物Bが揮発する反応が進行する。これにより、鉄源中の鉄成分を残存させ、しかも煤燼中から非鉄金属を除去して製鉄原料を得るので、煤燼を埋立て処理することなく、製鉄原料として利用できる。
【0005】
ここで、本発明に係る煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法において、非鉄金属は、銅、鉛、及び亜鉛のいずれか1又は2以上であることが好ましい。このように、回収した非鉄金属は有用金属であるため、回収した非鉄金属を非鉄精錬の原料として利用できる。
本発明に係る煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法において、煤燼は、鉄源及び塩化物Aに混合される前に、水又は酸性水溶液に投入され、煤燼中のアルカリ金属の塩化物Cが溶出され除去されていることが好ましい。ここで、煤燼中のアルカリ金属の塩化物Cとしては、例えば、塩化カルシウム(CaCl2 )、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)等が挙げられる。このように、煤燼からアルカリ金属の塩化物Cを予め除去できるので、例えば塩化ナトリウム等に起因する炉のトラブルを未然に防止できる。
本発明に係る煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法において、煤燼と鉄源と塩化物Aとの混合物の加熱は酸化雰囲気で行われ、鉄源中の鉄の揮発を抑制することが好ましい。このように、煤燼と鉄源と塩化物Aとの混合物の加熱を酸化雰囲気で行うことにより、鉄源中の鉄成分が塩化物になりにくいので、非鉄金属の塩化物Bを揮発させることができる。
【0006】
本発明に係る煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法において、煤燼に混合する鉄源中の鉄量は、製鉄原料の総重量の30質量%以上であることが好ましい。これにより、得られた製鉄原料は、高炉に投入する原料として必要な強度を備えることができる。
本発明に係る煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法において、鉄源には、製鉄所から排出される酸化鉄含有ダストを使用し、煤燼と酸化鉄含有ダストとの混合物を焼いて炭素を除去し、その後に塩化物Aを混合することが好ましい。このように、鉄源として酸化鉄含有ダストを使用できるので、鉄源のコストを安価にできる。また、煤燼と酸化鉄含有ダストとの混合物を焼くことで、炭素を除去できるので、例えば煤燼と鉄源と塩化物Aとの混合物を球状にして加熱する場合に、炭素が起因となる球状混合物の粉化を防止できる。
【0007】
本発明に係る煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法において、煤燼は、ごみ焼却時に発生する残渣をスラグにする工程で生成する溶融飛灰であることが好ましい。これにより、従来再資源化が課題となっていた溶融飛灰の処理を行うことができる。
本発明に係る煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法において、製鉄原料を高炉原料として使用することが好ましい。これにより、高炉で使用する鉄原料を安価に得ることができる。
本発明に係る煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法において、製鉄原料をコンクリートの骨材として使用することが好ましい。ここで、コンクリートとしては、例えば、アスファルトコンクリート、セメントコンクリート等の各種コンクリートが挙げられる。得られた製鉄原料は、コンクリートの骨材として十分な強度を有し、しかも重金属類が除去されているので、各種コンクリートの骨材として利用できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法の塩化揮発工程の説明図、図2は同再資源化方法の浸出工程及び脱炭工程の説明図、図3は同再資源化方法の造粒工程の説明図、図4は同再資源化方法の重金属回収工程の説明図である。
【0009】
図1〜図4に示すように、本発明の一実施の形態に係る煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法は、浸出工程、脱炭工程、造粒工程、塩化揮発工程、及び重金属回収工程を有しており、これらの工程で、ごみ処理工程で発生する煤燼10に所定量の酸化鉄含有ダスト(鉄源の一例)11(例えば、酸化鉄含有ダスト11中の鉄量が、最終的に得られる高炉原料(製鉄原料の一例)13の総重量の30質量%以上(この実施の形態においては50〜60質量%)となる量の酸化鉄含有ダスト11)と塩化カルシウム(塩化物Aの一例)12とを混合して700℃以上に加熱し、この加熱により、混合物中に含まれる非鉄金属を塩化物Bにして揮発させ煤燼10中から除去し、高炉原料13を得る方法である。以下、詳しく説明する。
【0010】
煤燼10は、例えば、重金属含有廃棄物、都市ごみ、産業廃棄物等からなる廃棄物を、ごみ処理工程で焼却処理や溶融処理したときに発生する粉末状のものであり、例えば、一次飛灰、二次飛灰(溶融飛灰とも言う)等がある。
ここで、重金属含有廃棄物としては、重金属汚染土壌、有機物汚染土壌、活性汚泥、生コンクリート製造工場から排出されるセメント残渣等がある。また、都市ごみ焼却場や産業廃棄物焼却場における飛灰の品位には、大きなばらつきがあり、例えば、カルシウム(Ca):30%、ナトリウム(Na):20%、塩素(Cl):10%が含まれており、これに銅(Cu)、鉛(Pb)、及び亜鉛(Zn)のいずれか1又は2以上からなる非鉄金属、鉄(Fe)、その他の重金属類、アルミナ(Al2 O3 )、シリカ(SiO2 )等がそれぞれ数%程度含まれている。
【0011】
まず、図2に示すように、煤燼10を、水又は酸性水溶液(例えば、塩酸が添加された水等)からなる液体14が貯留された抽出槽15に投入し所定時間撹拌する。これにより、煤燼10中に含まれるアルカリ金属の塩化物C、例えば、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が、液体14中に溶出し、煤燼10中から除去される。ここで、液体14が酸性水溶液の場合、重金属類、カルシウム等も、水溶物として液体14中に溶出させて煤燼10中から除去でき、塩化揮発の負荷を軽減できるので、塩化カルシウム12の添加量も減らすことが可能となる。
次に、この煤燼10を有する液体14をフィルタープレス16に供給し、固液分離を行うことで、塩化物Cが除去された煤燼10は脱炭工程へ、塩化物Cが溶解した液体14は重金属回収工程へとそれぞれ送られる(以上、浸出工程)。
【0012】
塩化物Cが除去された煤燼10は、製鉄所から排出される酸化鉄含有ダスト11、例えば酸化鉄を主成分とした高炉ダスト(例えば、鉄として40〜50質量%、他の成分として鉛、亜鉛、硫黄等を10%程度有する)、転炉ダスト(例えば、鉄として60質量%弱、他の成分として亜鉛、カルシウム等を10%程度有する)等と共に、炉内が例えば950℃となった酸化炉17に投入され焼かれる。これにより、内部から炭素成分が除去された混合物A(煤燼10と酸化鉄含有ダスト11の混合物)は造粒工程へ、またこのとき発生する排ガス中の成分(例えば、金属等)は重金属回収工程へとそれぞれ送られる。
【0013】
なお、塩化物Cが除去された煤燼10に混合する酸化鉄含有ダスト11の量は、前記したように、酸化鉄含有ダスト11中の鉄量が、最終的に得られる高炉原料13の総重量の30質量%以上となる量を添加することが好ましいが、最終的に得られる高炉原料13に必要とされる鉄量に基づいて決定することも可能であり、この場合、高炉原料13の総重量の50質量%以上とすることが好ましい。
ここで、酸化鉄含有ダスト11中の鉄量が、最終的に得られる高炉原料13の総重量の30質量%未満の場合、製造した製品が高炉原料13として必要な強度を備えることが不可能となり、原料として利用できない。従って、製造した製品が、確実に高炉原料13として利用可能な強度を備えるためには、添加する酸化鉄含有ダスト11中の鉄量を高炉原料13の総重量の40質量%以上、更には50質量%以上とすることが好ましい(以上、脱炭工程)。
【0014】
浸出工程で塩化物Cが除去され、脱炭工程で炭素が除去された混合物Aは、図3に示すように、塩化カルシウム12の水溶液が添加された後、造粒機の一例であるパンペレタイザー18を用いて、粒径が例えば10mmに造粒される。ここで、添加される塩化カルシウム12の量は、反応効率を考慮して、混合物A中に含まれる非鉄金属の反応に必要な理論当量の例えば2〜3倍程度となっている。
パンペレタイザー18で造粒された処理物19(生ボールとも言う)は、乾燥装置の一例であるコンベヤードライヤー20で搬送されながら乾燥された後、塩化揮発工程へ送られる。なお、この乾燥された処理物19は乾ボールとも呼ばれる。
このように、煤燼10は、酸化鉄含有ダスト11及び塩化カルシウム12と混合される前に、液体14に投入され、煤燼10中の塩化ナトリウムが液体14中に溶出され煤燼10中から除去されているので、後工程において塩化ナトリウムによる炉操業のトラブルを予め回避できる(以上、造粒工程)。
【0015】
造粒工程で塩化カルシウム12が添加された処理物19は、図1に示すように、ロータリーキルン21(例えば、長さが30m程度)の炉内に連続的に投入され、700℃以上(この実施の形態では、例えば800〜1200℃)で2時間程度加熱されて、酸化鉄(Fe2 O3 )を主体とする鉄品位が例えば50〜60質量%の高炉原料(製品ペレット)13が製造される。
このロータリーキルン21の炉内では、従来公知の塩化揮発反応、即ち銅、鉛、及び亜鉛のいずれか1又は2以上の非鉄金属の酸化物(MO)、例えば、酸化銅(CuO)、酸化鉛(PbO)、酸化亜鉛(ZnO)等と塩化カルシウム(CaCl2 )とが反応し、酸化カルシウム(CaO)が生成して、非鉄金属の塩化物B(MCl2 )、例えば、塩化銅(Cu2 Cl2 )、塩化鉛(PbCl2 )、塩化亜鉛(ZnCl2 )等が揮発する反応が進行する。このとき、炉内には、空気が吹込まれて酸化雰囲気となっているので、酸化鉄含有ダスト11中の鉄は塩化物となりにくく、非鉄金属の塩化物Bが揮発し、酸化鉄含有ダスト11中の鉄の揮発が抑制される。
【0016】
ここで、ロータリーキルン21の炉内の加熱温度が700℃未満の場合、非鉄金属を十分に塩化物Bにすることができず、製造した高炉原料13中に含まれる非鉄金属の量が多くなり、原料として利用できなくなる。また、例え非鉄金属が塩化物Bになったとしても、塩化物Bの揮発を十分に行うことができず、やはり製造した高炉原料13中に含まれる非鉄金属の量が多くなり、原料として利用できなくなる。従って、高炉原料13として良好な品質を備えるためには、ロータリーキルン21の炉内の加熱温度を750℃以上、更には800℃以上にすることが好ましい。一方、加熱温度が高ければ、非鉄金属の塩化物Bの揮発を十分に行うことができるため、上限値については規定していないが、加熱温度が混合物Aの溶融温度以上に高くなれば、塩化揮発が阻害される。従って、非鉄金属の塩化物Bの揮発を行うためには、ロータリーキルン21の炉内の加熱温度を1300℃以下、更には1200℃以下とすることが好ましい。
【0017】
なお、ロータリーキルン21の下流側から高炉原料13と共に排出される排熱は、ロータリーキルン21の炉内の加熱を行うバーナー部22を介して炉内へ供給される。また、ロータリーキルン21の上流側から排出される揮発ガス23は、冷却塔24に送り込まれる。
冷却塔24では、送り込まれた揮発ガス23に対して冷却水が噴霧され、揮発した非鉄金属の塩化物Bを液体に溶解させている。なお、非鉄金属の塩化物Bが溶解した液体は重金属回収工程へ送られる。一方、溶解しなかった成分は、洗浄塔25へ送られ、洗浄塔25で、例えば、HCl、SOx、塵等が除去された後、ダイオキシン除去塔26へ送られ、無害化処理が行われた後、大気へ放出される(以上、塩化揮発工程)。
【0018】
浸出工程から送られた塩化物Cが溶解した液体14と、塩化揮発工程から送られた塩化物Bが溶解した液体は、まず中和槽27に投入される。そして、この中和槽27に石灰28を投入することで、非鉄金属が析出し沈殿するpHにそれぞれ調整する。これにより、非鉄金属の塩化物B(MCl2 )と水酸化カルシウム(Ca(OH)2 )とが反応し、非鉄金属の水酸化物(M(OH)2 )と塩化カルシウム(CaCl2 )とが生成する。この非鉄金属の水酸化物(例えば、Pb(OH)2 、Zn(OH)2 等)は液中から析出するので、その都度フィルタープレス29を使用して、非鉄金属をそれぞれ分離回収する。この回収された非鉄金属は、各製錬所で還元(山元還元)され非鉄製錬原料として再利用される。この非鉄金属の中で、例えば銅は、鉄による置換法により金属銅(銅品位70%程度)として回収されており、中和反応により高品位に山元還元される。
なお、ここで鉄を回収した場合は、高炉原料13として使用できる。
【0019】
また、フィルタープレス29で固液分離された液を、熱風等を利用した塩化カルシウム濃縮装置30に送ることで、浸出工程で液中に溶解された塩化カルシウムを回収できる。なお、この塩化カルシウムは、造粒工程で使用する塩化カルシウム12として使用できるので、有効活用でき経済的である。
また、フィルタープレス29で固液分離された液は、例えば水硫化ソーダを添加して他の重金属類を除去しておくことが好ましく、無害化処理された後、放流される(以上、重金属回収工程)。
以上のことから、例えば、従来製鉄業で使用されていたプロセス、即ち、製鉄工程で発生する製鉄ダストから、銅、鉛、亜鉛等の忌避物質を除去して、鉄原料に再生するプロセスを、煤燼の再資源化処理に使用することもできる。このとき、銅、鉛、亜鉛等の重金属だけでなく、塩素やアルカリ金属類も煤燼中から回収又は除去でき、しかも残りの成分(例えば、カルシウム、ケイ素、アルミニウム)は、高炉原料製造の焼結剤となり、また高炉内では造滓剤として使用され、製鉄プロセスの副原料として有効利用される。また、日本国内の鉄生産量に対して、溶融飛灰の発生量は1%にも満たないことから、この再資源化方法を用いることで、大半の溶融飛灰は既存の社会資本を活用して処理することも可能なため経済的である。
【0020】
以上、本発明を、一実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記した実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、鉄源として酸化鉄含有ダストを使用したが、他の鉄源、例えば、鉄を含む汚泥やスラッジ等の廃棄物を使用することも可能である。
そして、前記実施の形態においては、製鉄原料を高炉原料として使用する場合について説明したが、例えば、転炉、電気炉の鉄原料や、アスファルトコンクリート、セメントコンクリートの各種コンクリートの骨材として使用することも可能である。
【0021】
【発明の効果】
請求項1〜9記載の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法においては、鉄源中の鉄成分を残存させ、しかも煤燼中から非鉄金属を除去して製鉄原料を得るので、煤燼を埋立て処理することなく、煤燼を製鉄原料として再資源化し、経済的に処理することが可能になる。
特に、請求項2記載の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法においては、回収した非鉄金属が有用金属であるため、回収した非鉄金属を非鉄精錬の原料として利用できるので、経済的であると共に、資源の有効活用を図ることができる。請求項3記載の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法においては、煤燼からアルカリ金属の塩化物Cを予め除去できるので、例えば塩化ナトリウム等に起因する炉のトラブルを未然に防止でき、安定操業が可能となる。
【0022】
請求項4記載の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法においては、煤燼と鉄源と塩化物Aとの混合物の加熱を酸化雰囲気で行うことにより、鉄源中の鉄成分の揮発を抑制した状態で、非鉄金属の塩化物Bを揮発させることができる。これにより、製鉄原料中の鉄品位を、経済的に回収できる水準まで高めることができる。
請求項5記載の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法においては、得られた製鉄原料が、高炉に投入する原料として必要な強度を備えているので、例えば更に処理を施すことなく、そのまま製鉄原料として使用できる。
【0023】
請求項6記載の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法においては、鉄源として酸化鉄含有ダストを使用できるので、鉄源のコストを安価にでき、経済的である。また、煤燼と酸化鉄含有ダストとの混合物を焼くことで、煤燼中の炭素を除去できるので、例えば煤燼と鉄源と塩化物Aとの混合物を球状にして加熱する場合に、炭素が起因となる球状混合物の粉化を防止でき、作業を安全に行うことができる。
請求項7記載の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法においては、従来再資源化が課題となっていた溶融飛灰の処理を経済的に行うことができる。
請求項8記載の煤塵を製鉄原料とするための再資源化方法においては、製鉄原料を高炉原料として使用するので、高炉で使用する鉄原料を安価に得ることができ、経済的である。
請求項9記載の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法においては、得られた製鉄原料が、コンクリートの骨材として十分な強度を有し、しかも重金属類が除去されているので、そのままコンクリートの骨材として利用できる。これにより、得られた製鉄原料の利用用途を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法の塩化揮発工程の説明図である。
【図2】同再資源化方法の浸出工程及び脱炭工程の説明図である。
【図3】同再資源化方法の造粒工程の説明図である。
【図4】同再資源化方法の重金属回収工程の説明図である。
【符号の説明】
10:煤燼、11:酸化鉄含有ダスト(鉄源)、12:塩化カルシウム(塩化物A)、13:高炉原料(製鉄原料)、14:液体、15:抽出槽、16:フィルタープレス、17:酸化炉、18:パンペレタイザー、19:処理物、20:コンベヤードライヤー、21:ロータリーキルン、22:バーナー部、23:揮発ガス、24:冷却塔、25:洗浄塔、26:ダイオキシン除去塔、27:中和槽、28:石灰、29:フィルタープレス、30:塩化カルシウム濃縮装置
Claims (9)
- ごみ処理工程で発生する煤燼に所定量の鉄源と塩化物Aとを混合して700℃以上に加熱し、この加熱により、前記煤燼中に含まれる非鉄金属を塩化物Bにして揮発させ前記煤燼中から除去し、製鉄原料を得ることを特徴とする煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法。
- 請求項1記載の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法において、前記非鉄金属は、銅、鉛、及び亜鉛のいずれか1又は2以上であることを特徴とする煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法において、前記煤燼は、前記鉄源及び前記塩化物Aに混合される前に、水又は酸性水溶液に投入され、前記煤燼中のアルカリ金属の塩化物Cが溶出され除去されていることを特徴とする煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法において、前記煤燼と前記鉄源と前記塩化物Aとの混合物の加熱は酸化雰囲気で行われ、前記鉄源中の鉄の揮発を抑制することを特徴とする煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法において、前記煤燼に混合する前記鉄源中の鉄量は、前記製鉄原料の総重量の30質量%以上であることを特徴とする煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法において、前記鉄源には、製鉄所から排出される酸化鉄含有ダストを使用し、前記煤燼と前記酸化鉄含有ダストとの混合物を焼いて炭素を除去し、その後に前記塩化物Aを混合することを特徴とする煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法において、前記煤燼は、ごみ焼却時に発生する残渣をスラグにする工程で生成する溶融飛灰であることを特徴とする煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法において、前記製鉄原料を高炉原料として使用することを特徴とする煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法において、前記製鉄原料をコンクリートの骨材として使用することを特徴とする煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法。
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