JP2007029813A - 複合重金属汚染土壌の無害化処理方法および無害化処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 鉛、カドミウム、水銀、セレン、アンチモン、亜鉛、および、銅のいずれか1種以上と砒素とを含有する複合重金属汚染土壌の無害化処理方法であって、前記複合重金属汚染土壌を塩化マグネシウム存在下で700℃以上に加熱する加熱処理を実施することを特徴とする複合重金属汚染土壌の無害化処理方法を提供する。
【選択図】 なし
Description
また、重金属を水に難溶性の塩に変化させる方法は、不溶化などとも呼ばれ、不溶化させる重金属の種類に応じてこの重金属と水に難溶性の塩を形成する化合物(不溶化剤)を土壌に混合させる方法などが採用されている。また、この不溶化剤としては、不溶化させる重金属の種類に応じて種々のものが採用されている。
また、加熱により重金属を除去する方法においては、加熱前は砒素の溶出量が環境基準を満たす土壌であっても、加熱により従来土壌に含まれている砒素化合物が溶出しやすい形態に変化するため別途砒素の不溶化を行う必要がある。
また、このような複合重金属汚染土壌を酸で洗浄してこれらの重金属を除去することも考え得るが、その場合には、土壌に酸が残留することとなるため別途酸を除去する工程が必要になり工程の簡略化が困難である。さらに、これらの重金属に共通の不溶化剤も見出されていないことから不溶化処理による無害化処理工程の簡略化も困難である。
すなわち、鉛、カドミウム、水銀、セレン、アンチモン、亜鉛、および、銅のいずれか1種以上と砒素とを含有する複合重金属汚染土壌の従来の無害化処理方法においては、工程の簡略化が困難であるという問題を有している。
すなわち、本発明は、鉛、カドミウム、水銀、セレン、アンチモン、亜鉛、および、銅のいずれか1種以上と砒素とを含有する複合重金属汚染土壌の無害化処理方法であって、 前記複合重金属汚染土壌を塩化マグネシウム存在下で700℃以上に加熱する加熱処理を実施することを特徴とする複合重金属汚染土壌の無害化処理方法と塩化マグネシウム存在下で前記複合重金属汚染土壌を700℃以上に加熱する加熱機構と、該加熱された複合重金属汚染土壌から発生する気体を除去する排気機構とが備えられていることを特徴とする複合重金属汚染土壌の無害化処理装置とを提供する。
この複合重金属汚染土壌の処理に用いる装置には、鉛、カドミウム、水銀、セレン、アンチモン、亜鉛、および、銅のいずれか1種以上と砒素とを含有する複合重金属汚染土壌を塩化マグネシウムを含有する状態で700℃以上に加熱するロータリーキルン1と、このロータリーキルン1で加熱された複合重金属汚染土壌から発生する気体を除去して二次燃焼させる二次燃焼炉2とが備えられている。
また、複合重金属汚染土壌の処理装置には、複合重金属汚染土壌に塩化マグネシウムを混合するミキサー(図示せず)と、この塩化マグネシウムを混合された複合重金属汚染土壌を貯留する土壌ホッパー3と、該土壌ホッパー3からロータリーキルン1に複合重金属汚染土壌を搬送する搬送コンベア4が備えられている。
また、複合重金属汚染土壌の処理装置には、ロータリーキルン1から排出された、加熱処理後の土壌を冷却する処理土壌冷却装置5が備えられ、該処理土壌冷却装置5で冷却された土壌を搬送する処理土壌排出コンベア8と、該処理土壌排出コンベア8により排出された土壌をその粒度により篩い分けする篩い分けコンベア9が備えられている。
さらに、複合重金属汚染土壌の処理装置には、前記二次燃焼炉2で二次燃焼された複合重金属汚染土壌から発生した気体の排ガスを冷却するための減温塔6と、該減温塔6で冷却された排ガスに含まれる重金属の塩化物やその他のダストを捕集するためのバグフィルター7と、前記排ガスをバグフィルター7に通過させる前に排ガスを中和処理させたりするための薬剤を保管する薬剤貯留槽10が備えられている。
また、ここでは詳述はしないが、複合重金属汚染土壌の処理装置には、上記のほかに、燃料供給手段、助燃ガス供給手段や各種配管、ポンプ、送風機、煙突などといった、土壌処理装置に通常備えられているものが備えられている。
本実施形態の複合重金属汚染土壌の処理方法においては、まず汚染土壌と、塩化マグネシウムとを混合する混合工程を実施し、次いで、この混合工程後の土壌を、ロータリーキルンを用いて700℃以上に加熱処理する加熱工程を実施し、さらに、ロータリーキルンから排出される排ガスを加熱処理する工程を実施する。また、加熱工程後の土壌を冷却する冷却工程を実施する。
前記混合工程においては、複合重金属汚染土壌と塩化マグネシウムとをミキサーなど一般的な混合攪拌手段を用いて混合する。このとき、塩化マグネシウムは、固体のまま複合重金属汚染土壌に混合してもよく、水に溶かした水溶液の状態で混合してもよい。また、この塩化マグネシウムの複合重金属汚染土壌に対する添加量は、複合重金属汚染土壌中に含まれる鉛や砒素の量によりその下限の量を定めることが好ましく、鉛を十分に塩化揮発させるための塩素量から求められる塩化マグネシウムの量と、砒素を水に対しての溶解性の低い化合物とするための十分なマグネシウム量から求められる塩化マグネシウムの量のいずれか多い方を複合重金属汚染土壌に対して添加する塩化マグネシウムの下限の量とすることが好ましい。
このような点において、鉛を十分に塩化揮発させるための塩素量から求められる塩化マグネシウムの量は、鉛1モルに対して塩化マグネシウム1モル以上、より好ましくは2モル以上である。
一方、砒素については、砒素1モルに対して、塩化マグネシウム1.5モル以上、より好ましくは3モル以上である。
しかし、通常、複合汚染土壌では、鉛など砒素以外に含有される重金属の量に比べて砒素の含有量は微量であることから、塩化揮発させる重金属すなわちここでは鉛に対して定めることができる。
なお、上限については、過分の塩化マグネシウムを複合重金属汚染土壌に添加すると後段に説明する加熱工程において、土壌中の水分などと塩化マグネシウムとが反応し、大量に塩化水素ガスが発生し、加熱炉などの加熱設備を腐蝕させるおそれがあることから、土壌に対して、好ましくは、10質量%以下とされ、3質量%以下とされることがより好ましい。
なお、ここでいう質量%とは、塩化マグネシウム六水和物換算の質量%を意図している。
さらに、本発明の効果を損ねない範囲において塩化マグネシウムとともに、塩化カルシウムなどを併用することも可能であるが塩化カルシウムを併用した場合には、砒素とマグネシウムとの化合物に比べて水に溶出し易い砒酸カルシウム塩が形成され易くなることから、好ましくは、塩化マグネシウムのみを用いることが好ましい。
前記加熱工程においては、混合工程にて不溶化剤を混合させた砒素汚染土壌をロータリーキルンで700℃以上に加熱する。この加熱工程での加熱温度が700℃以上とされるのは、加熱温度が700℃未満の場合には、鉛を塩化揮発させることが困難であり、また、砒素とマグネシウムとの化合物の形成に多大な時間を必要として複合重金属汚染土壌の無害化処理工程を簡略化させることが困難となるためである。
この加熱工程が850〜1000℃の温度、平均滞留時間5〜120minとされることが好ましいのは、前述した通り、加熱温度が850℃未満の場合には、温度が低く鉛を塩化揮発により十分に除去できないおそれがあり、1000℃を超える場合には、土壌成分が焼結し、クリンカを生成するおそれがあるためである。特に、クリンカが生成されると、ロータリーキルンの排出機構が詰まり連続運転に支障をきたすおそれがある。さらに、この加熱工程においては、装置を高温で運転させるため、前記のように排出機構が詰まると一度運転を停止し、炉内を冷却して、詰まりを解消し、再加熱するまでに多大な手間が必要になる点からもロータリーキルンの運転温度としては1000℃以下であることが好ましい。
また、平均滞留時間が5min未満の場合には、鉛などの重金属が塩化揮発されずに土壌中に残存するおそれがあり、120minを超える場合には処理コストが高くなるおそれを有するためである。
なお、このロータリーキルンでの平均滞留時間とは、ロタリーキルン内で加熱されている土壌の総質量を、単位時間あたりにロータリーキルンに導入させる量で除した値を意図している。
なお、ロータリーキルン内の土壌の温度は、熱電対などの一般的な温度計測手段により計測することができ、このような温度測定手段をロータリーキルンの所望の位置(例えば、入口部、中央部、排出部など)に設置して、それぞれの位置での土壌の温度を測定することができる。
また、この吸引除去された気体は、後段で説明する二次燃焼炉内に導入し、排ガス中の未燃成分を燃焼させる。
ロータリーキルンから排出される排ガスは土壌中の有機物が不完全に燃焼して生成された未燃分(たとえば一酸化炭素)を含んでいるため、二次燃焼炉に導入して未燃分を完全燃焼させる。完全燃焼された排ガスは減温塔内で水の散布により約100〜200℃、好ましくは150〜180℃まで冷却された後、粒子状(45μm以下)の活性炭と消石灰などの添加剤が添加され、その後、バグフィルターによって排ガス中の微粒子や前記活性炭が除去される。また、このとき必要に応じて中和剤等の薬品を添加しても良い。なお、塩化揮発した重金属もこのバグフィルターで除去されることとなる。この、捕集された塩化鉛は別途設けられた処理工程により処理させる。
また、このシャワーリングや土壌が投入される水として緩衝液などを用いて土壌を冷却するとともに所望のpH値に調整することも可能である。
また、本実施形態においては、塩化揮発させた重金属を土壌から分離する方法として気体の吸引除去を例に説明したが、本発明においては、このような方法に限定されるものではない。さらに、本実施形態においては、吸引除去した重金属の塩化物をバグフィルターなどを用いて捕集する方法を例示したが、本発明においては、このような方法に限定するものではない。
また、本実施形態においては活性炭を吹き込む例を説明したが、これに限定されず、バグフィルターの後段に活性炭を充填した吸着塔を設けても良い。また、バグフィルターに代えて活性炭フィルターを用いても良い。
また、要すれば、本発明の効果を損ねない範囲において、塩化マグネシウム以外に、一般的な不溶化剤を加熱工程前あるいは加熱工程後の土壌に混合することも可能である。
表1に「処理前」として示されている鉛と砒素とを含有する複合重金属汚染土壌に塩化マグネシウム六水和物を3質量%となるように添加、混合したものを500g用意し、上記間接加熱炉に投入し、供給ガスとしては窒素を30リットル/minで供給し、炉内雰囲気を酸素濃度10vol%になるように調整しつつ1000℃で15分間加熱した。
なお、排出されたガスは冷却され、排ガスの一部を酸素分析計(ホダカ社製、排ガス計測器HT−1300)に通過させ、炉内の酸素濃度を確認できるようにしている。
処理後の土壌は放熱により冷却し、常温まで冷却する。この冷却された土壌を平成15年3月環境省告示第18号「土壌溶出量調査に係る測定方法を定める件 」に定められた溶出試験方法で水中へのヒ素及び鉛の溶出量を測定することにより、ヒ素及び鉛が環境庁で定められた環境基準(例えば、ヒ素の場合、0.01mg/リットル以下)を達成される程度まで不溶化されているかどうか確認した。
また、平成15年3月環境省告示第18号「土壌含有量調査に係る測定方法を定める件 」に定められた含有試験方法で土壌中に含有されている砒素及び鉛の含有量を同様に測定した。結果を、表1に併せて示す。
(比較例1)
(比較例2)
Claims (3)
- 鉛、カドミウム、水銀、セレン、アンチモン、亜鉛、および、銅のいずれか1種以上と砒素とを含有する複合重金属汚染土壌の無害化処理方法であって、
前記複合重金属汚染土壌を塩化マグネシウム存在下で700℃以上に加熱する加熱処理を実施することを特徴とする複合重金属汚染土壌の無害化処理方法。 - 鉛または水銀のいずれか1種以上と砒素との複合重金属汚染土壌に用いられる請求項1に記載の複合重金属汚染土壌の無害化処理方法。
- 鉛、カドミウム、水銀、セレン、アンチモン、亜鉛、および、銅のいずれか1種以上と砒素とを含有する複合重金属汚染土壌の処理に用いられる装置であって、
塩化マグネシウムを含有する前記複合重金属汚染土壌を700℃以上に加熱する加熱機構と、該加熱された複合重金属汚染土壌から発生する気体を除去する排気機構とが備えられていることを特徴とする複合重金属汚染土壌の無害化処理装置。
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