JPH11114530A - 焼却灰または飛灰の無害化処理方法 - Google Patents

焼却灰または飛灰の無害化処理方法

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JPH11114530A
JPH11114530A JP9284039A JP28403997A JPH11114530A JP H11114530 A JPH11114530 A JP H11114530A JP 9284039 A JP9284039 A JP 9284039A JP 28403997 A JP28403997 A JP 28403997A JP H11114530 A JPH11114530 A JP H11114530A
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ash
fly ash
heavy metals
chloride
incinerated ash
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JP9284039A
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Tatsuo Goto
達男 後藤
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SHINSEI DENTAL LABORATORY KK
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SHINSEI DENTAL LAB KK
SHINSEI DENTAL LABORATORY KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 廃棄物を再資源化するために焼却灰または飛
灰から重金属類を除去するとともに、残存する重金属類
の溶出を抑制することの可能な焼却灰または飛灰の無害
化処理方法を提供する。 【解決手段】 焼却灰または飛灰を減圧加熱炉2に供給
して、分岐路6から減圧加熱炉2内に焼却炉3の排ガス
を導入して重金属類の種々の化合物を塩化物化する。そ
して、減圧加熱炉2内の温度を600℃以上850℃未
満に昇温することにより吸引管2Bから第1の揮発成分
G1を排出し、重金属類の塩化物を捕集する。続いて反
応炉2内の温度を850℃以上1200℃以下に昇温す
ることによりアルカリ金属塩化物等を捕集する。このよ
うにして重金属類と、アルカリ金属塩化物等とを分別し
て捕集することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物を再資源化
するために焼却灰または飛灰から重金属類を除去すると
ともに、残存する重金属類の溶出を抑制して無害化する
ための処理方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】産業廃棄物および都市
生活からの廃棄物等の内、可燃物は回収後、焼却炉で焼
却されて焼却灰の形態として投棄及び埋設処分などに付
されている。その一方、このような廃棄物を燃焼させる
と、各種成分中の低沸点物質が揮発し、いわゆる飛灰と
なるが、この飛灰は、前記焼却灰に比べてPb、Cd、
Cr、Zn、As、Hgなどの重金属類を多く含むの
で、一般廃棄物として埋め立てることができないばかり
か、これらの重金属類を燃焼ガスとして外部環境に拡散
させないために消石灰などを担持させたバグフィルター
などによりこれを捕集している。また、ポリ塩化ビニル
などのプラスチックを燃焼すると塩素ガスが発生する
が、この塩素ガスも外部環境に拡散させないためにバグ
フィルターなどにより捕集され、塩化カルシウムとして
飛灰中に固定化される。
【0003】このような飛灰は、前述したように重金属
類を多く含有するので環境衛生上厳重な管理が必要とさ
れ、重金属類を水に不溶化してその溶出を防止した上で
セメントなどとともにコンクリート成形体として管理型
の処分場に投棄するなどされている。しかしながら、近
年、産業廃棄物や一般家庭からの廃棄物の量は増加の一
途であり、既存の処分場の飽和化と環境汚染の問題等か
ら、処分場用地の確保が困難となっており、飛灰などを
封じたコンクリート成形体を基礎などとして再利用する
ことが検討されているが、水に不溶化した状態でコンク
リート成形体に封じられた重金属類や塩化カルシウム
は、酸性雨などの影響も考慮すると必ずしも安定化され
ているとはいえず、重金属類が溶出することによる環境
汚染が懸念されるため、再利用するには適しない。この
ため、飛灰中より重金属類を十分に除去する必要が生じ
ている。
【0004】このような焼却灰又は飛灰から塩化物とし
て重金属類を除去する処理方法として、特開平7−16
3965号公報には、重金属を含む廃棄物を焼却し、燃
焼排ガスをバグフィルターで処理する方法において、焼
却前の廃棄物に塩化物を混入させて焼却し、廃棄物中の
重金属を金属塩化物にして燃焼排ガス中に飛散させた
上、燃焼排ガス中に重金属の捕集剤を噴霧してバグフィ
ルターで前記重金属の金属塩化物を除去する廃棄物の処
理方法が開示されている。
【0005】しかしながら、この廃棄物の処理方法で
は、焼却前の廃棄物に塩化物を混入するものであるた
め、焼却前の廃棄物中に含有されている重金属を金属塩
化物とするには、塩化物を多量に混入しなければならな
いという問題点がある。また、焼却前の廃棄物に多量の
塩化物を混入した後、焼却することになるので有害なダ
イオキシン類の生成が懸念されるという問題点がある。
さらに、この方法は塩化物とともに廃棄物を焼却するこ
とにより塩化水素を生成させ、この塩化水素と重金属の
酸化物とを反応させるものであるが、重金属類の硫酸化
物は、塩化水素などの塩素系ガスとは反応しないため、
重金属類の硫酸化物を除去するのには適しないという問
題点がある。
【0006】また、特開平7−214029号公報に
は、重金属を含有する焼却灰または飛灰を、塩素換算量
で少なくとも2wt%の塩化物の存在下で加熱処理して重
金属分を塩化物として揮発させることにより重金属を飛
灰中に濃縮する第1工程、および得られた飛灰を水性液
中に溶解し、さらに中和処理することによって重金属分
を固形沈殿物中に捕集した後、固液分離し、固形沈殿物
中の重金属分を回収する第2工程、からなる飛灰の無害
化処理による重金属のリサイクル方法が開示されてい
る。
【0007】しかしながら、この重金属のリサイクル方
法では、塩化カルシウムや塩化ナトリウムなどの塩化物
の含有率が高いので、長期的には使用する塩化物が多く
なり、処理サイクル中に残存する塩化物の量の増大を招
くという問題点がある。
【0008】さらに、特開平8−35018号公報に
は、廃棄物の燃焼により発生する塩素をCaCl2 とし
て固定化して含有する飛灰からの金属の回収方法であっ
て、a)該飛灰を酸化雰囲気下で剪断力を加えながら加
熱し、CaCl2 の分解により発生する塩素及び塩化水
素と飛灰中に含有される金属成分とを反応させ、b)こ
れにより生成し揮発する金属塩化物を、吸収液と接触さ
せて溶解回収し、c)得られた回収液から溶存金属を分
別的に回収する、飛灰からの金属の回収方法が開示され
ている。
【0009】この飛灰からの金属の回収方法は、飛灰中
に含まれるCaCl2 を利用し、このCaCl2 を分解
して得られる塩素及び塩化水素などの塩素系ガスと、金
属成分とを反応させるものであるが、CaCl2 は安定
な塩化物であるので、普通は600〜1000℃では分
解せず、塩素や塩化水素を発生しないため、重金属類の
除去効果があまり得られないという問題点がある。これ
は、この方法はいわゆる塩化焙焼と呼ばれるものであ
り、硫黄酸化物などの存在する雰囲気下で塩化物ととも
に焙焼するものであるので、600〜1000℃の温度
では硫黄酸化物とCaCl2 とが反応して塩素や塩化水
素などが発生するが、それ以外の条件ではさらに高温に
まで加熱しなければCaCl2 が分解しないためであ
る。したがって、この方法は硫黄酸化物などを含む雰囲
気下でなければ十分な効果が期待できないものである。
また、重金属類の硫酸化物は塩素や塩化水素などのガス
と塩素系のガスとは反応しないため、この方法は重金属
類の硫酸化物を除去するのには適しないという問題点が
ある。
【0010】そこで、このような従来技術における問題
点を解決することを目的として、本発明者は、焼却灰あ
るいは飛灰中の重金属類を効率よく塩化物として低沸点
化した後、加熱して揮発除去する方法を種々提案した
(特願平9-7804号、特願平9-20818 号、特願平9-20822
号、特願平9-20825 号及び特願平9-59663 号)。この方
法により焼却灰あるいは飛灰中の重金属類を高い収率で
除去することが可能となった。
【0011】しかしながら、その後の本発明者の研究の
結果、これらの従来技術の方法は、焼却灰あるいは飛灰
中から重金属類を高い収率で除去することができるもの
であるが、これらの方法において重金属類を完全に除去
するのはあまりに効率が悪い。そして、この残存する重
金属類が水などに溶出するおそれがあることがわかっ
た。そこで、さらに本発明者は重金属類の残存量と溶出
量との関係について検討した結果、重金属類の残存量と
溶出量とは必ずしも比例しないこと、すなわち、重金属
類の残存量が多くても溶出量が少ない場合や重金属類の
残存量が少なくても溶出量が多い場合があることがわか
った。したがって、焼却灰や飛灰を資源として再利用す
るためには、重金属類をできるだけ除去するとともに残
存する重金属類を溶出させない処理方法を検討する必要
が生じた。
【0012】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので
あり、廃棄物を再資源化するために焼却灰または飛灰か
ら重金属類を除去するとともに、残存する重金属類の溶
出を抑制することの可能な焼却灰または飛灰の無害化処
理方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、焼却灰または飛灰中には焼却時に
発生する塩素ガスや塩化カルシウムなどが含まれている
ため、重金属類はある程度塩化物として存在しており、
この重金属類の塩化物は沸点が低く、また水に対する溶
解度が高いのでその除去が容易であり、この重金属類の
塩化物化を促進することにより、その除去率を高めるこ
とができる一方、この重金属類の塩化物は水に対する溶
解度が極めて高いので、これが残存した場合には容易に
溶出するためその残存量をできるだけ減らす必要がある
ことを見出した。そこで、本発明者らは、焼却灰または
飛灰中の重金属類をまず塩化物としてこれを除去し、そ
の後残った重金属類を還元して溶解度の低い化合物とし
てやればよいことを見出し、本発明に想到した。
【0014】すなわち、本発明の請求項1記載の焼却灰
または飛灰の無害化処理方法は、焼却灰または飛灰から
重金属類を除去するとともに、残存する重金属類の溶出
を抑制するための無害化処理方法であって、焼却灰また
は飛灰中に含まれる重金属類を塩化物化する第1工程
と、この塩化物を除去する第2工程と、残存物を還元す
る第3工程とを有するものである。
【0015】また、請求項2記載の焼却灰または飛灰の
無害化処理方法は、請求項1記載の方法において前記焼
却灰または飛灰が水酸化カルシウムを含有するものであ
り、前記第1工程の前に前記焼却灰または飛灰を水分と
ともに混練する工程を有するものである。
【0016】請求項3記載の焼却灰または飛灰の無害化
処理方法は、請求項1又は2記載の方法において、前記
第1工程が焼却灰または飛灰中に含まれる重金属類を塩
素系ガスの存在下で600℃未満にて塩化物とするもの
である。
【0017】請求項4記載の焼却灰または飛灰の無害化
処理方法は、請求項3記載の方法において、前記塩素系
ガスのガス源が焼却炉の排ガスであるものである。
【0018】請求項5記載の焼却灰または飛灰の無害化
処理方法は、請求項3記載の方法において、前記塩素系
ガスのガス源が600℃未満の温度で分解する塩化物を
該塩化物の分解温度以上600℃未満の温度に加熱して
分解させたものである。
【0019】請求項6記載の焼却灰または飛灰の無害化
処理方法は、請求項1又は2記載の方法において、前記
焼却灰または飛灰が廃棄物の燃焼により発生する塩素を
塩化カルシウムとして含有するものであり、前記第1工
程が該飛灰を600℃以上1200℃以下に加熱し塩化
カルシウムと飛灰中に含有されている重金属類の化合物
とを接触反応させて塩化物とするものである。
【0020】請求項7記載の焼却灰または飛灰の無害化
処理方法は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の方法
において、前記第2工程が前記塩化物を1200℃まで
昇温して前記重金属類の塩化物を揮発させて回収するも
のである。
【0021】請求項8記載の焼却灰または飛灰の無害化
処理方法は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の方法
において、前記第2工程が前記塩化物を600℃以上8
50℃未満に加熱してこの重金属類の塩化物を揮発させ
て回収し、さらに850℃以上1200℃以下に加熱し
てアルカリ金属塩化物及びアルカリ土類金属塩化物を揮
発させて回収するものである。
【0022】請求項9記載の焼却灰または飛灰の無害化
処理方法は、請求項7又は8記載の方法において、前記
塩化物を加熱して揮発させて回収する際に、20〜60
0mmHgの減圧下とするものである。
【0023】請求項10記載の焼却灰または飛灰の無害
化処理方法は、請求項9記載の方法において、前記第1
工程及び第2工程を減圧加熱炉内で該減圧加熱炉内に加
熱ガスを導入しながら行うものである。
【0024】請求項11記載の焼却灰または飛灰の無害
化処理方法は、請求項10記載の方法において、前記加
熱ガスを前記飛灰の容積の2〜20倍量毎分導入すると
ともに、前記減圧加熱炉内が20〜600mmHgの減圧下
となるように吸引するものである。
【0025】さらに、請求項12記載の焼却灰または飛
灰の無害化処理方法は、請求項11記載の方法におい
て、前記加熱ガスを前記減圧加熱炉の底部から吐出させ
るものである。
【0026】
【発明の実施形態】以下、本発明の焼却灰または飛灰の
無害化処理方法について詳細に説明する。本発明におい
て処理対象となる焼却灰とは、焼却炉の底部に残存する
底灰といわれるものであり、重金属類などの有害物質の
含有量が比較的低いものである。この焼却灰としては、
都市ゴミ焼却場で発生するものに限らず、地下水処理場
や産業廃棄物処理場から発生するものなど重金属類を含
有する全てのものが含まれる。また、本発明において飛
灰とは、ごみは焼却されるとごみの各種成分中の低沸点
物質が揮発するが、これをバグフィルターなどで捕集し
たものであり、前記焼却灰に比べてPb、Cd、Cr、
Zn、As、Hgなどの重金属類を酸化物や硫酸化物な
どとして多量に含有するものである。これらの重金属類
の酸化物や硫酸化物は、蒸気圧が低く飛散しにくいので
飛灰中に高濃度で残存し、埋め立て処分後に溶出する危
険性があるため除去する必要がある。また、ポリ塩化ビ
ニルなどのプラスチックを燃焼すると塩素ガスが発生す
るが、この塩素ガスも外部環境に拡散させないためにバ
グフィルターなどにより捕集され、塩化カルシウムとし
て飛灰中に固定化されている。なお、この飛灰を捕集す
るバグフィルターとしては、消石灰(水酸化カルシウ
ム)を担持したものが一般に用いられるため、飛灰中に
は消石灰も含まれている。上述したような飛灰の平均粒
径は、約0.1〜10μm程度と微細であり、1〜8μ
mの粒子が全体の30〜70%を占めるものである。本
発明は基本的にはこのような焼却灰あるいは飛灰を処理
対象とするものであるが、炉底灰、汚泥など他の成分を
含有していてもよい。
【0027】本発明においては、まず、第1工程として
焼却灰または飛灰中の重金属類を塩化物化する。この塩
化物化の工程としては特に制限はないが、例えば、いわ
ゆるラメン型塩化焙焼法、あるいは光和法を適用するこ
とができる。また、特に本発明においては焼却灰または
飛灰中の重金属類の塩化物化を促進するために以下のよ
うな2種類の方法のいずれかを採用するのが好ましい。
第1の方法としては、焼却灰または飛灰を600℃未
満、好ましくは100℃以上400℃以下で塩素系ガス
にさらすことにより重金属類を塩化物化する。この塩素
系ガスとしては、塩素ガス、塩化水素ガスあるいはその
他の塩素を含有するガスを用いることができる。この工
程において塩素系のガスと重金属類の酸化物や硝酸化物
とは直接反応して重金属類の塩化物を生じる。例えば塩
化水素や塩素ガスと重金属類(M)の酸化物との間では
以下の反応が生じる。
【0028】MO+2HCl→MCl2 +H2 O 2MO+2Cl2 →2MCl2 +O2 また、重金属類(M)の硫酸化物は、塩化カルシウムと
の接触により以下の反応が生じる。
【0029】 MSO4 +CaCl2 →MCl2 +CaSO4 この反応における塩化カルシウムは、焼却灰または飛灰
中にもともと含まれるもの、あるいは水酸化カルシウム
が塩素系ガスと反応して生じるものなどである。
【0030】このように600℃未満で塩素系ガスにさ
らすことにより重金属類の化合物は、ケイ素酸化物など
と反応することなく、塩化物化されることになる。ま
た、この工程は、前述したように塩素ガスの存在下によ
り、焼却灰または飛灰中に含まれる水酸化カルシウム
(Ca(OH)2 )を塩化カルシウムに転換し、この塩
化カルシウムが重金属類の硫酸化物と接触反応して重金
属類の硫酸化物を塩化物化することができるという効果
も奏する。
【0031】この焼却灰または飛灰を塩素系ガスの存在
下に置く時間としては、処理する焼却灰または飛灰の量
にもよるが、10分以上であるのが好ましい。前記加熱
時間が10分未満では、焼却灰または飛灰中の重金属類
を塩素系ガスと十分に反応させるには不十分な場合があ
る。作業効率などの点も考慮すると、特に10〜60分
程度であるのが好ましい。
【0032】上述したような工程における塩素系ガスの
ガス源としては、焼却炉の排ガスを利用することができ
る。これは、廃棄物は燃焼すると多量の塩素系ガスが発
生することから、通常はこれを外部環境に拡散させない
ために消石灰(水酸化カルシウム)を担持したバグフィ
ルターにより塩化カルシウムとして捕集していることか
ら、この塩素系ガスを豊富に含む焼却炉の排ガスを利用
するものである。この排ガスは、約300〜600℃の
温度を有するので焼却炉の排ガス流路に分岐路(バイパ
ス)を設け、必要に応じて温度調整や流量調整を行った
後、焼却灰または飛灰の反応炉に導入することにより、
600℃未満で塩素系ガスを導入することができる。な
お、前記排ガス中には、SO2 などの酸化イオウ系のガ
スやNOなどの酸化窒素系のガスも含まれ、これらも重
金属類と反応して重金属類の硝酸化合物や硫酸化合物を
形成するが、これら重金属類の硝酸化合物や硫酸化合物
は、前述したように塩素系ガスや塩化カルシウムと反応
して重金属類の塩化物になる。
【0033】この排ガスの流量としては、処理対象とな
る焼却灰または飛灰の総量にもよるが、焼却灰または飛
灰100重量部が塩素換算で1〜5重量部程度の排ガス
にさらされるようにするのが好ましい。排ガス量が塩素
換算で1重量部未満では前述したように重金属類を余す
事なく塩化物化するのが困難である一方、5重量部を超
えてもそれ以上の効果が得られないばかりか、流通する
排ガス量が多くなりすぎて装置がおおがかりとなるため
好ましくない。
【0034】また、前記塩素系ガス源として、600℃
未満、好ましくは400℃以下の温度で分解して塩素系
のガスを発生する化合物を用いることができる。この6
00℃未満の温度で分解する塩化物としては、例えば、
塩化アンモニウム、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化物
化パラフィン、塩化物化ポリエチレン、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、テトラクロロエチレン等の塩素系溶剤な
どを用いることができる。なお、塩化物化ポリエチレ
ン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩素系溶剤などの場
合には、未使用のものを用いる必要はなく、廃棄物でよ
い。
【0035】この塩化物の配合割合は、焼却灰または飛
灰100重量部に対して、塩素換算で1〜5重量部程度
であるのが好ましい。塩化物が塩素換算で1重量部未満
では前述したように重金属類を余す事なく塩化物化する
のが困難である一方、5重量部を超えてもそれ以上の効
果が得られないばかりか、未反応の塩素系ガスの量が増
加するため好ましくない。
【0036】また、焼却灰または飛灰中の重金属類の塩
化物化する第2の方法としては、この焼却灰または飛灰
をそのまま、あるいは焼却灰または飛灰中に水酸化カル
シウム成分が多い場合には塩素ガス源を適量添加して6
50℃以上1200℃以下に加熱して接触反応させる。
前記塩素ガス源としては塩化ビニル(廃棄物でよい)な
どを用いることができる。この工程において焼却灰また
は飛灰中に含まれる重金属類の各種化合物と接触状態に
あるCaCl2 が反応して重金属類の塩化物を生じる。
例えば重金属類(M)の酸化物や重金属類の硫酸化物
と、CaCl2 との間では以下の反応が起こる。
【0037】MO+CaCl2 →MCl2 +CaO MSO4 +CaCl2 →MCl2 +CaSO4 上記重金属類とCaCl2 との反応は、焼却灰または飛
灰中にはNaClが多量に含まれているので、このNa
ClがCaCl2 の融点降下剤として作用して、CaC
2 が融解することにより促進される。なお、NaCl
はみかけ上安定であるので、塩素源としてこの反応系に
直接関与してこない。
【0038】この加熱工程は、通常の空気を雰囲気とし
て行ってもよいが、特に還元雰囲気下で行うのが好まし
い。これは、以下のような理由による。すなわち、Ca
Cl 2 は通常の空気雰囲気下では安定的に存在し、上述
したように重金属類の酸化物や硫酸化物などの化合物と
直接的に反応するが、酸化雰囲気となるとこの反応の反
応速度が小さくなり、重金属類の化合物を十分に塩化物
化するのが困難となるばかかりか、塩化物化された重金
属類が再び酸化しやすくなる。これとは逆に還元雰囲気
下では、重金属類と化合している酸素や硫黄酸化物など
が重金属類から解離しやすくなるため反応速度が大きく
なり、前記反応が十分に進行するからである。なお、雰
囲気中に硫黄酸化物が多く存在すると、CaCl2 は6
50℃以上1200℃以下の温度では該硫黄酸化物と反
応して塩化水素あるいは塩素などの塩素系ガスが発生す
る。そして、重金属類の化合物は、この塩素系ガスとも
反応するが、その反応速度は非常に遅く、また、その重
金属類の種類や結合している化合物の種類により塩素系
ガスとの反応性が大きく異なるため、塩素系ガスにより
重金属類の塩化物化を十分に進行させるのは困難とな
る。しかしながら、還元雰囲気とすることにより、この
ようなCaCl2 の分解も抑制されるため重金属類の化
合物とこのCaCl2 とを直接接触反応させることがで
きるという効果も奏する。
【0039】上述したような還元雰囲気とするには、例
えば飛灰を空気を遮断した状態で加熱すればよい。これ
により焼却灰または飛灰中に含まれる炭素や不完全酸化
物により還元雰囲気とすることができる。また、飛灰に
活性炭などの炭素成分を添加して加熱してもよいし、さ
らには、飛灰に塩化ビニル(廃棄物でよい)を添加して
加熱して該塩化ビニルを分解させてることによっても還
元雰囲気とすることができる。
【0040】このような焼却灰または飛灰の加熱工程に
おいては、重金属類の化合物の粒子がまんべんなくCa
Cl2 の粒子と接触する必要があることから、飛灰を撹
拌することにより、重金属の化合物の粒子とCaCl2
との接触を促進するのが望ましい。
【0041】上述したような焼却灰または飛灰の加熱工
程は、650℃以上1200℃以下の温度で行う。ただ
し、焼却灰または飛灰が溶融スラグ化しない温度とする
必要がある。該加熱温度が1200℃を超えると、重金
属類の化合物がCaCl2 と反応するだけでなく、二酸
化ケイ素などのケイ素酸化物などとも反応しやすくな
り、この結果生じる重金属類のケイ酸化合物は沸点が高
く揮発による除去が困難となるばかりか、CaCl2
分解して重金属類の化合物とCaCl2 との接触反応が
困難となる一方、650℃未満では、CaCl2 と重金
属類の化合物との接触反応性が十分でないばかりか、後
述するように塩化物化された重金属類を十分に揮発させ
るのが困難となる。
【0042】そして、このようにして塩化物化された重
金属類は、該加熱温度において連続的に揮発する。この
加熱工程は前記温度範囲であれば一定の温度でよいが、
850℃以上の温度で加熱することにより飛灰中に含ま
れるアルカリ金属塩化物及びアルカリ土類金属塩化物
(以下、アルカリ金属塩化物等という)も揮発除去する
ことができる。したがって、重金属類の塩化物は650
℃以上850℃以下の温度でも十分に揮発するので、は
じめに650℃以上850℃以下の温度で重金属類を塩
化物として十分に揮発除去し、その後850℃を超えて
1200℃以下に加熱してアルカリ金属塩化物等を主に
揮発除去することにより、重金属類とアルカリ金属塩化
物等とを分別回収することもできる。なお、この工程で
揮発させた重金属類やアルカリ金属塩化物等は、例え
ば、この揮発成分を冷却することにより捕集して回収す
ることができる。また、該排出ガスをスクラバーなどの
気液接触装置により、水あるいは水性溶液等よりなる被
回収液と接触させ、被回収液に重金属類の塩化物を溶解
させた後、硫酸などを添加して重金属類を硫酸化物とし
て沈殿させて回収することもできる。
【0043】上述したような飛灰の加熱時間は、処理す
る飛灰の量にもよるが、10分以上、特に60分以上で
あるのが好ましい。前記加熱時間が10分未満では、飛
灰中の重金属類の化合物とCaCl2 と十分に反応させ
るには不十分な場合がある。処理効率などの点も考慮す
ると、10分〜180分程度であるのが好ましい。
【0044】なお、この第2の方法は特に飛灰の処理方
法として好適であり、この方法によれば塩化物化の工程
と、後述する第2工程である塩化物の除去工程とを同時
に行うことができる。
【0045】第1工程では、上述したように種々の方法
により重金属類を塩化物とすることができるが、本発明
においては、この第1工程の前処理として、該焼却灰ま
たは飛灰を水分とともに混練して、重金属類及びその化
合物を水酸化物や塩基性炭酸塩することができる。この
際、焼却灰を主成分とする場合のように、そこに含有さ
れる水酸化カルシウムの量が不足している場合には必要
に応じて水酸化カルシウムを適宜添加した後混練する。
この水分としては純水に限らず、焼却灰又は飛灰に水分
を供給できれば汚水であってもよいし、あるいは水蒸気
であってもよい。このように焼却灰又は飛灰を水酸化カ
ルシウムの存在下で水分とともに混練すると、該焼却灰
又は飛灰中の重金属類、その酸化物、硫酸化物及びケイ
酸化合物などの化合物は、水酸化カルシウムと迅速に反
応して、重金属類の水酸化物や塩基性炭酸塩を形成す
る。例えば、硫酸化鉛と水酸化カルシウムとの間では下
記の反応が生じる。
【0046】PbSO4 +Ca(OH)2 →CaSO4
+Pb(OH)2 他の重金属類もこれと同じような反応により水酸化カル
シウムと反応して水酸化物となる。なお、従来バグフィ
ルターなどにより捕集した飛灰をコンクリート成形体と
すると、重金属類が容易に水酸化物となって水溶化する
ため重金属類の溶出が問題となっていたことから明らか
なように、重金属類は水酸化カルシウムと容易に反応し
て水酸化物となりやすい。そして、この重金属類の水酸
化物は、塩素系ガスや塩化カルシウムと反応して重金属
類の塩化物を形成しやすい。重金属類の化合物は、十分
な時間があれば酸化物や硫酸化物など異なる化合物であ
っても、それぞれ塩素系ガスや塩化カルシウムと十分に
反応するものであるが、このようにいったん水酸化する
前処理を施した後、塩化物化することにより酸化物や硫
酸化物など異なる重金属の化合物間での塩素系ガスとの
反応性の相違を排除し、迅速に塩化物化することができ
る。
【0047】この焼却灰または飛灰と水分との配合割合
は、混練可能であれば特に制限はないが、焼却灰または
飛灰100重量部に対して水分3〜100重量部とすれ
ばよい。水分が3重量部未満では十分な混練性及び重金
属類の水酸化の効果が得られない一方、100重量部を
超えると水分が多くなり過ぎて後述する第2工程での加
熱効率が低下する。なお、湿灰(湿り気をおびた灰)の
ときには、焼却灰または飛灰に対する水分の割合が上記
範囲内であればそのまま用いることができる。なお、前
述した第1工程において、塩素系ガス源として600℃
未満の温度で分解して塩素系のガスを発生する化合物を
用いる場合には、この塩化物は、前述した焼却灰または
飛灰を水分とともに混練した後添加すればよいが、高分
子系の塩化物のときには、水分とともに混練する前ある
いは混練中に添加してもよい。
【0048】次に第2工程として、この塩化物を除去す
る。この塩化物の除去は、例えば1100℃まで、特に
1200℃まで昇温することにより行う。この際前述し
た第1工程での温度から1200℃まで徐々に昇温する
のが好ましい。このように昇温することにより、第1工
程で生成した重金属の塩化物を揮発させる。この結果、
焼却灰または飛灰中に残存する重金属類は大幅に減少
し、焼却灰または飛灰を無害化することができる。特に
徐々に昇温しながら加熱することにより塩素も除去され
るため、ダイオキシンの生成を抑制することができるば
かりか、次第に高温になるにつれて生成したダイオキシ
ンを分解することができるという効果も奏する。上述し
たような第2工程は、前記塩化物を1100℃まで連続
的に昇温させてもよいし、複数の段階で段階的に昇温さ
せてもよい。
【0049】この場合、重金属の塩化物は1100℃、
特に1200℃まで加熱すれば完全に除去することが可
能であるが、特に、600℃以上850℃未満に加熱し
て所定時間置いて重金属の塩化物を揮発させて、焼却灰
または飛灰を無害化した後、850℃以上1200℃以
下に加熱して所定時間置くことにより、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩化物や塩化カル
シウムなどのアルカリ土類金属塩化物を揮発させてこれ
を回収することができる。このようにして重金属類と、
アルカリ金属塩化物等とを分別して回収することができ
る。なお、揮発させた重金属類とアルカリ金属塩化物等
とは、常法により、例えば揮発成分を冷却することによ
り容易に回収することができる。
【0050】上述したような重金属類の塩化物と、アル
カリ金属塩化物等との揮発回収は、減圧下で行うことが
できる。このように減圧することにより、重金属類の塩
化物、アルカリ金属塩化物及びアルカリ土類金属塩化物
が揮発しやすくなり、その除去効率を大幅に向上させる
ことができるとともに除去に要する時間を短縮すること
ができる。上述したような減圧条件としては、高い減圧
である必要はなく、20〜600mmHg程度の圧力となる
ようにすればよい。このような減圧条件であれば厳密な
気密性は要求されず、しかも、重金属類やアルカリ金属
塩化物等の沸点低下の効果は、比較的低い減圧度でも十
分に得られるので、従来よりも低い温度で重金属類の化
合物やアルカリ金属塩化物等を揮発除去することができ
る。この際の加熱温度は、減圧状況にもよるが前述した
ように600〜1200℃とすればよい。
【0051】このように減圧下で揮発回収を行う場合に
は、減圧加熱炉を用いて、減圧加熱炉内に加熱ガスを導
入するとともに減圧しながら加熱するのが好ましい。こ
の加熱ガスとしては、加熱空気、完全燃焼排ガス、不完
全燃焼排ガスなどの燃焼排ガスを用いることがき、特に
燃焼排ガスが好ましい。したがって、加熱ガスだけで加
熱する場合には、前述した温度範囲となるように700
〜1300℃と高めの加熱ガスを流通すればよい。加熱
ガスの導入量は、焼却灰または飛灰の総量に応じて適宜
設定すればよいが、減圧加熱炉内の焼却灰または飛灰の
容積の2倍/分未満では、加熱ガスが十分に焼却灰また
は飛灰粒子内を流通してこれを加熱するのが困難とな
り、焼却灰または飛灰に局部的に加熱ムラが生じやすい
一方、20倍を超えると減圧加熱炉内を後述するように
減圧するのが困難となるため、焼却灰または飛灰の容積
の2〜20倍/分とするのが好ましい。さらに、この加
熱ガスを減圧加熱炉の底部から吐出させるようにするこ
とにより、下層から上層へと加熱ガスが流通するため焼
却灰または飛灰を良好に加熱することができる。特に、
加熱ガスの流速を焼却灰または飛灰の下部から加熱ガス
を吐出すると、粒子が浮遊懸濁して流動層化する速度と
することにより、焼却灰または飛灰を均一に加熱するこ
とができて好ましい。上述したような減圧加熱炉内への
加熱ガスの導入及び減圧は、例えばコンプレッサやブロ
ーワ等により加熱ガスを供給しながら、この供給量以上
の空気を真空ポンプや誘引ファン等により吸引するか、
これとは逆に真空ポンプ等により吸引し、加熱炉内が所
定の減圧度となるように圧調整弁などを用いて加熱ガス
の導入量を調整してもよい。なお、減圧度により重金属
類の化合物等の揮発温度は相違してくるので、加熱温度
に応じて減圧度を適宜設定するか、あるいは減圧度に応
じて加熱温度を適宜設定する。この際、減圧度に応じて
重金属類の化合物が揮発しやすい第1の温度領域と、ア
ルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩化物が揮発しやす
い第2の温度領域とを予め測定しておき、まず第1の温
度領域で加熱して所定時間置くことにより、重金属の化
合物を揮発させてこれを回収し、続いて、第2の温度領
域で加熱して所定時間置くことにより、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウムなどのアルカリ金属塩化物や塩化カル
シウムなどのアルカリ土類金属塩化物を揮発させてこれ
を回収すればよい。
【0052】なお、上述したような第2工程は、第1工
程の塩化物化の方法として接触反応による第2の方法を
選択した場合には、塩化物化と除去とが同時に行われる
ことになる。したがって、この場合の第1工程における
各温度による効果は、第2工程における温度の効果と同
じである。
【0053】このようにして重金属類を除去した後は、
第3工程として、残存物である残った焼却灰または飛灰
を還元する。この還元は、残った焼却灰または飛灰を前
述した第2工程の後空気を遮断した状態で放置すればよ
い。この際、必要に応じて木材、プラスチックなどの廃
材を添加したり、活性炭などの還元剤を添加することが
できる。これにより前述した第2工程で除去されなかっ
た重金属類が還元され、重金属単体あるいは徐々に酸化
して酸化物や塩基性炭酸塩などとなる。
【0054】このような重金属の単体や酸化物、あるい
は塩基性炭酸塩は、塩化物と比較して大幅に水に溶けに
くくなっている。例えばPbの場合の溶解度まで溶解し
た場合における鉛濃度を比較するとPbCl2 は720
0mg/リットルであるのに対し、Pb単体では0.3
mg/リットル、PbOでは46mg/リットル、Pb
CO3 では0.85〜1.3mg/リットルと少なくと
も100倍以上溶解しにくくなっている。
【0055】このようにして重金属類を除去し、さらに
残存する重金属類を還元した焼却灰または飛灰は、ポル
トランドセメント、砂、砂利などに配合してコンクリー
トブロック化するのに好適である。このようにして得ら
れるコンクリートブロックにおいては、焼却灰または飛
灰中の重金属類の含有量が少なく、しかも、残存する重
金属類が溶出しにくい状態となっており、しかも塩類も
除去されているので、塩害によりコンクリート成形体の
強度が低下したり脆化したりすることがないため、土木
工事あるいは建築工事の基礎道路の基礎、具体的には道
路、建築物、グランド、競技場などの基礎として有効利
用を図ることができる。また、コンクリートブロックに
油性ペイントにより適当な色彩や模様などを描写し、こ
のコンクリートを配列することにより所望の色彩や模様
とすることにより、景観材としても再利用も可能であ
る。
【0056】上述したような本発明の焼却灰または飛灰
の無害化処理方法は、例えば、図1に示すような機構に
より行うことができる。図1において焼却灰または飛灰
のタンク1は図示しない供給機を介して加熱手段、吐出
装置及び制御機構を備えた減圧加熱炉2に連通してお
り、Sはこの減圧加熱炉2における排出物である。一
方、3は、廃棄物などの焼却炉であり、この焼却炉3の
排ガス流路4の終端部には、バグフィルター5が設置さ
れている。また、排ガス流路4の途中には図示しない流
量制御機構、温度制御機構及び開閉機構を備えた分岐路
6が形成されていて、この分岐路6は前述した減圧加熱
炉2に導入されている。そして、減圧加熱炉2には開閉
可能な排出路2Aと図示しない吸引ポンプに連通した吸
引管に連通した吸引管2Bとが設けられており、排出路
2Aは、それぞれ排ガス流路4に合流している。また、
吸引管2Bの途中には冷却装置7が設けられている。
【0057】このような機構において、図1中に固体の
流れは実線で、気体の流れは破線で示すように、タンク
1から焼却灰または飛灰を減圧加熱炉2に供給し、分岐
路6及び排出路2Aは開成し、吸引管2Bは閉成してお
き、分岐路6から減圧加熱炉2内に焼却炉3の排ガスを
導入する。この排ガスが排出路2Aから排ガス流路4に
還流することにより減圧加熱炉2内を新たな排ガスが次
々と流通する。これにより排ガス中に含まれる塩素系ガ
スにより重金属類の種々の化合物を塩化物化することが
できる。このようにして焼却灰または飛灰に所定時間排
ガスを流通させたら、分岐路6及び排出路2Aを閉成す
る一方、吸引管2Bを開成して吐出装置からエアを吐出
しながら、吸引ポンプにより吸引管2B側から吸引して
減圧する。そして、減圧加熱炉2内の温度を600℃以
上850℃未満に昇温することにより吸引管2Bから第
1の揮発成分G1を排出し、これを冷却装置7により冷
却することにより重金属類の塩化物を捕集する。続いて
反応炉2内の温度を850℃以上1200℃以下に昇温
することにより吸引管2Bから第2の揮発成分G2を排
出し、これを冷却装置7により冷却することによりアル
カリ金属塩化物等を捕集する。このようにして重金属類
と、アルカリ金属塩化物等とを分別して捕集することが
できる。一方、減圧加熱炉2に残った残存物は、必要に
応じて活性炭などを添加した後、排出路2A及び吸引管
2Bを閉鎖して空気を遮断した状態で放置すればよい。
この後、減圧加熱炉2から排出される排出物Sは、重金
属類のみならずアルカリ金属塩化物等も除去されてお
り、しかも排出物S中に残存する重金属類は、還元され
て水に対する溶解度が低い状態となっているので、その
ままセメント原料などとして用いることができる。
【0058】以上、本発明の焼却灰または飛灰の無害化
処理方法について説明してきたが、本発明はこれに限定
されず、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変更が
可能である。例えば、前述した図1においては減圧加熱
炉2を採用したが、通常の加熱炉であってもよく、ま
た、タンク1には、水分とともに混練して重金属類及び
その化合物を水酸化物や塩基性炭酸塩としたものを貯蔵
しておいてもよい。
【0059】
【実施例】以下の具体的実施例により本発明をさらに詳
細に説明する。実施例1 重金属類、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を表1に
示す割合で含有する試験用焼却灰10kgを減圧加熱炉に
供給し、濃度38%の塩酸700ccを添加し混練して
乾燥し、続いて800℃まで120分間かけて徐々に昇
温し、さらに1000℃まで60分間かけて昇温し加熱
した後、還元剤として炭素を500g添加し減圧加熱炉
を閉鎖して焼却灰の処理を行った。この処理後の焼却灰
中の重金属類、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の割
合を測定した結果を表1に示す。また、この残存する焼
却灰のヒ素、カドミウム及び鉛の土壌基準の溶出量を測
定した結果を表1に合わせて示す。また、試験用焼却灰
におけるヒ素、カドミウム及び鉛の溶出量を測定した結
果を表1に示す。
【0060】比較例1 実施例1で使用した試験用焼却灰10kgを減圧加熱炉に
供給し、800℃まで120分間かけて徐々に昇温し、
さらに1000℃まで60分間かけて昇温し加熱して焼
却灰の処理を行った。この処理後の焼却灰中の重金属
類、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の割合を測定し
た結果を表1に示す。また、この残存する焼却灰のヒ
素、カドミウム及び鉛の溶出量を実施例1と同様にして
測定した結果を表1に合わせて示す。
【0061】比較例2 実施例1で使用した試験用焼却灰10kgを減圧加熱炉に
供給し、塩化ビニルの廃材3kgを添加し吸引装置により
約25mmHg吸引しながら800℃まで120分間かけて徐
々に昇温し、さらに1000℃まで60分間かけて昇温
し加熱して焼却灰の処理を行った。この処理後の焼却灰
中の重金属類、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の割
合を測定した結果を表1に示す。また、ヒ素、カドミウ
ム及び鉛の溶出量同様に測定した結果を表1に示す。
【0062】比較例3 実施例1で使用した試験用焼却灰10kgを減圧加熱炉に
供給し、濃度38%の塩酸700ccを添加し混練して
乾燥し、続いて吸引装置により約25mmHg吸引しながら
800℃まで120分間かけて徐々に昇温し、さらに1
000℃まで60分間かけて昇温し加熱して焼却灰の処
理を行った。この処理後の焼却灰中の重金属類、アルカ
リ金属及びアルカリ土類金属の割合を測定した結果を表
1に示す。また、ヒ素、カドミウム及び鉛の溶出量を同
様に測定した結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】表1から明らかなとおり、実施例1の焼却
灰または飛灰の無害化処理方法によれば、重金属類、ア
ルカリ金属及びアルカリ土類金属が大幅に除去されてお
り、しかもその溶出量が僅かであった。これに対し、十
分な加熱により塩化物の揮発除去のみを行った比較例1
の方法では、重金属類、アルカリ金属及びアルカリ土類
金属の除去率は低いものの溶出量は少なかった。また、
塩素源として塩化ビニルや塩酸を添加した比較例2及び
3の方法では、これらの除去率は高いものの鉛の溶出は
比較的多かった。
【0065】
【発明の効果】本発明の請求項1の焼却灰または飛灰の
無害化処理方法は、焼却灰または飛灰から重金属類を除
去するとともに、残存する重金属類の溶出を抑制するた
めの無害化処理方法であって、焼却灰または飛灰中に含
まれる重金属類を塩化物化する第1工程と、この塩化物
を除去する第2工程と、残存物を還元する第3工程とを
有するものであるので、重金属類を十分に除去すること
ができるとともに、除去されずに残存した重金属類を水
に溶出しにくい状態とすることができる。
【0066】また、請求項2記載の焼却灰または飛灰の
無害化処理方法は、請求項1記載の方法において前記焼
却灰または飛灰が水酸化カルシウムを含有するものであ
り、前記第1工程の前に前記焼却灰または飛灰を水分と
ともに混練する工程を有するものであるので、第1工程
の塩化物化を促進することができ、重金属の除去率を高
めることができる。
【0067】請求項3記載の焼却灰または飛灰の無害化
処理方法は、請求項1又は2記載の方法において、前記
第1工程が焼却灰または飛灰中に含まれる重金属類を塩
素系ガスの存在下で600℃未満にて塩化物とするもの
であるので、塩化物化を促進することができ、重金属の
除去率を高めることができる。
【0068】請求項4記載の焼却灰または飛灰の無害化
処理方法は、請求項3記載の方法において、前記塩素系
ガスのガス源が焼却炉の排ガスであるので、塩化物化を
促進することができ、重金属の除去率を高めることがで
きる。
【0069】請求項5記載の焼却灰または飛灰の無害化
処理方法は、請求項3記載の方法において、前記塩素系
ガスのガス源が600℃未満の温度で分解する塩化物を
該塩化物の分解温度以上600℃未満の温度に加熱して
分解させたものであるので、塩化物化を促進することが
でき、重金属の除去率を高めることができる。
【0070】請求項6記載の焼却灰または飛灰の無害化
処理方法は、請求項1又は2記載の方法において、前記
焼却灰または飛灰が廃棄物の燃焼により発生する塩素を
塩化カルシウムとして含有するものであり、前記第1工
程が該飛灰を600℃以上1200℃以下に加熱し塩化
カルシウムと飛灰中に含有されている重金属類の化合物
とを接触反応させて塩化物とするものであるので、塩化
物化を促進することができ、重金属の除去率を高めるこ
とができる。
【0071】請求項7記載の焼却灰または飛灰の無害化
処理方法は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の方法
において、前記第2工程が前記塩化物を1200℃まで
昇温して前記重金属類の塩化物を揮発させて回収するも
のであるので、重金属類の塩化物のみならず、アルカリ
金属塩化物及びアルカリ土類金属塩化物も除去すること
ができる。
【0072】請求項8記載の焼却灰または飛灰の無害化
処理方法は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の方法
において、前記第2工程が前記塩化物を600℃以上8
50℃未満に加熱してこの重金属類の塩化物を揮発させ
て回収し、さらに850℃以上1200℃以下に加熱し
てアルカリ金属塩化物及びアルカリ土類金属塩化物を揮
発させて回収するものであるので、重金属類の塩化物の
みならず、アルカリ金属塩化物及びアルカリ土類金属塩
化物も除去することができ、しかもこれらを分別して除
去することができる。
【0073】請求項9記載の焼却灰または飛灰の無害化
処理方法は、請求項7又は8記載の方法において、前記
塩化物を加熱して揮発させて回収する際に、20〜60
0mmHgの減圧下とするものであるので、重金属類やアル
カリ金属塩化物及びアルカリ土類金属塩化物を迅速に、
かつ高い除去率で除去することができる。
【0074】請求項10記載の焼却灰または飛灰の無害
化処理方法は、請求項9記載の方法において、前記第1
工程及び第2工程を減圧加熱炉内で該減圧加熱炉内に加
熱ガスを導入しながら行うものであるので、重金属類や
アルカリ金属塩化物及びアルカリ土類金属塩化物を高い
除去率で除去することができる。
【0075】請求項11記載の焼却灰または飛灰の無害
化処理方法は、請求項10記載の方法において、前記加
熱ガスを前記飛灰の容積の2〜20倍量毎分導入すると
ともに、前記減圧加熱炉内が20〜600mmHgの減圧下
となるように吸引するものであるので、焼却灰または飛
灰を流動化しながら加熱することができるため、重金属
類やアルカリ金属塩化物及びアルカリ土類金属塩化物を
迅速かつ高い除去率で除去することができる。
【0076】さらに、請求項12記載の焼却灰または飛
灰の無害化処理方法は、請求項11記載の方法におい
て、前記加熱ガスを前記減圧加熱炉の底部から吐出させ
るものであるので、特に重金属類やアルカリ金属塩化物
及びアルカリ土類金属塩化物を迅速かつ高い除去率で除
去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す系統図である。
【符号の説明】
2 減圧加熱炉

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼却灰または飛灰から重金属類を除去す
    るとともに、残存する重金属類の溶出を抑制するための
    無害化処理方法であって、焼却灰または飛灰中に含まれ
    る重金属類を塩化物化する第1工程と、この塩化物を除
    去する第2工程と、残存物を還元する第3工程とを有す
    ることを特徴とする焼却灰または飛灰の無害化処理方
    法。
  2. 【請求項2】 前記焼却灰または飛灰が水酸化カルシウ
    ムを含有するものであり、前記第1工程の前に前記焼却
    灰または飛灰を水分とともに混練する工程を有すること
    を特徴とする請求項1記載の焼却灰または飛灰の無害化
    処理方法。
  3. 【請求項3】 前記第1工程が焼却灰または飛灰中に含
    まれる重金属類を塩素系ガスの存在下で600℃未満に
    て塩化物とすることを特徴とする請求項1又は2記載の
    焼却灰または飛灰の無害化処理方法。
  4. 【請求項4】 前記塩素系ガスのガス源が焼却炉の排ガ
    スであることを特徴とする請求項3記載の焼却灰または
    飛灰の無害化処理方法。
  5. 【請求項5】 前記塩素系ガスのガス源が600℃未満
    の温度で分解する塩化物を該塩化物の分解温度以上60
    0℃未満の温度に加熱して分解させたものであることを
    特徴とする請求項3記載の焼却灰または飛灰の無害化処
    理方法。
  6. 【請求項6】 前記焼却灰または飛灰が廃棄物の燃焼に
    より発生する塩素を塩化カルシウムとして含有するもの
    であり、前記第1工程が該飛灰を600℃以上1200
    ℃以下に加熱し塩化カルシウムと飛灰中に含有されてい
    る重金属類の化合物とを接触反応させて塩化物とするこ
    と特徴とする請求項1又は2記載の焼却灰または飛灰の
    無害化処理方法。
  7. 【請求項7】 前記第2工程が前記塩化物を1200℃
    まで昇温して前記重金属類の塩化物を揮発させて回収す
    ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載
    の焼却灰または飛灰の無害化処理方法。
  8. 【請求項8】 前記第2工程が前記塩化物を600℃以
    上850℃未満に加熱してこの重金属類の塩化物を揮発
    させて回収し、さらに850℃以上1200℃以下に加
    熱してアルカリ金属塩化物及びアルカリ土類金属塩化物
    を揮発させて回収することを特徴とする請求項1乃至6
    のいずれか1項記載の焼却灰または飛灰の無害化処理方
    法。
  9. 【請求項9】 前記塩化物を加熱して揮発させて回収す
    る際に20〜600mmHgの減圧下とすることを特徴とす
    る請求項7又は8記載の焼却灰または飛灰の無害化処理
    方法。
  10. 【請求項10】 前記第1工程及び第2工程を減圧加熱
    炉内で該減圧加熱炉内に加熱ガスを導入しながら行うこ
    とを特徴とする請求項9記載の焼却灰または飛灰の無害
    化処理方法。
  11. 【請求項11】 前記加熱ガスを前記飛灰の容積の2〜
    20倍量毎分導入するとともに、前記減圧加熱炉内が2
    0〜600mmHgの減圧下となるように吸引することを特
    徴とする請求項10記載の焼却灰または飛灰の無害化処
    理方法。
  12. 【請求項12】 前記加熱ガスを前記減圧加熱炉の底部
    から吐出させることを特徴とする請求項11記載の焼却
    灰または飛灰の無害化処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113710959A (zh) * 2019-02-28 2021-11-26 金属循环公司 灰分处理的方法和系统
CN117231985A (zh) * 2023-11-16 2023-12-15 南京阳森科技发展有限公司 一种有机固体废弃物资源回收处理装置

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