JPH10216670A - 焼却灰または飛灰の無害化処理方法 - Google Patents

焼却灰または飛灰の無害化処理方法

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JPH10216670A
JPH10216670A JP9020818A JP2081897A JPH10216670A JP H10216670 A JPH10216670 A JP H10216670A JP 9020818 A JP9020818 A JP 9020818A JP 2081897 A JP2081897 A JP 2081897A JP H10216670 A JPH10216670 A JP H10216670A
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達男 後藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼却灰または飛灰から重金属類を除去して無
害化するための処理方法を提供する。 【解決手段】 焼却灰又は飛灰を反応炉2に供給し、こ
の反応炉2に焼却炉4の排ガスを導入することにより、
重金属類の化合物を塩素化する。その後、1100℃ま
で昇温することにより重金属類の塩化物などの揮発成分
Gを排出し、これを冷却することにより捕集する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物を再資源化
するために焼却灰または飛灰から重金属類を除去して無
害化するための処理方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】産業廃棄物および都市
生活からの廃棄物等の内、可燃物は回収後、焼却炉で焼
却されて焼却灰の形態として投棄及び埋設処分などに付
されている。その一方、このような廃棄物を燃焼する
と、各種成分中の低沸点物質が揮発し、いわゆる飛灰と
なるが、この飛灰は、前記焼却灰に比べて鉛、カドミウ
ム、クロム、亜鉛、砒素、水銀などの重金属類を多く含
むので、一般廃棄物として埋め立てることができないば
かりか、燃焼ガスとして外部環境に拡散させないために
消石灰などを担持させたバグフィルターなどによりこれ
を捕集している。このような飛灰は、前述したように重
金属類を多く含有するので環境衛生上厳重な管理が必要
とされ、重金属類を水に不溶化してその溶出を防止した
上でセメントなどとともにコンクリート成形体として処
分場に投棄するなどされている。
【0003】しかしながら、近年、産業廃棄物や一般家
庭からの廃棄物の量は増加の一途であり、既存の処分場
の飽和化と環境汚染の問題等から、処分場用地の確保が
困難となっており、焼却灰、飛灰などを封じたコンクリ
ート成形体を基礎などとして再利用することが検討され
ているが、水に不溶化した状態でコンクリート成形体に
封じられた重金属類は、酸性雨などの影響も考慮すると
必ずしも安定化されておらず、重金属類が溶出すること
による環境汚染が懸念されるため、再利用するには適し
ない。このため、飛灰中より重金属類を十分に除去する
必要が生じている。
【0004】このような焼却灰又は飛灰から重金属類を
塩化物として除去する処理方法として、特開平7−16
3965号公報には、重金属を含む廃棄物を焼却し、燃
焼排ガスをバグフィルターで処理する方法において、焼
却前の廃棄物に塩化物を混入させて焼却し、廃棄物中の
重金属を金属塩化物にして燃焼排ガス中に飛散させた
上、燃焼排ガス中に重金属の捕集剤を噴霧してバグフィ
ルターで前記重金属の金属塩化物を除去する廃棄物の処
理方法が開示されている。
【0005】しかしながら、この廃棄物の処理方法で
は、焼却前の廃棄物に塩化物を混入するものであるた
め、廃棄物に対して十分な効果を得るには塩化物を多量
に混入しなければならないという問題点があった。ま
た、焼却前の廃棄物に多量の塩化物を混入した後、焼却
することになるので有害なダイオキシン類の生成が懸念
されるという問題点があった。さらに、重金属類を金属
塩化物とする焼却工程を800〜900℃で行われるこ
とになるが、このような高温では重金属類は塩化物と反
応するだけでなく、例えば鉛は二酸化ケイ素と反応して
ケイ酸鉛となるなどケイ素酸化物等とも反応してケイ酸
化合物も生成する。このケイ酸鉛などのケイ酸化合物は
沸点が例えば約1700℃と高いので、その除去が困難
となり、このため重金属類を完全に除去することはでき
ないという問題点があった。
【0006】また、特開平7−214029号公報に
は、重金属を含有する焼却灰または飛灰を、塩素換算量
で少なくとも2wt%の塩化物の存在下で加熱処理して重
金属分を塩化物として揮発させることにより重金属を飛
灰中に濃縮する第1工程、および得られた飛灰を水性液
中に溶解し、さらに中和処理することによって重金属分
を固形沈殿物中に捕集した後、固液分離し、固形沈殿物
中の重金属分を回収する第2工程、からなる焼却灰また
は飛灰の無害化処理による重金属のリサイクル方法が開
示されている。
【0007】しかしながら、この重金属のリサイクル方
法では、重金属類を塩化物の存在下で加熱処理して金属
塩化物としているが、重金属類と塩化物とを反応させる
には、やはり電気炉、アーク炉、バーナー炉、プラズマ
炉、低周波炉あるいは高周波炉などで800〜900℃
に加熱する必要があるので、重金属類が塩化物と反応す
るだけでなく、二酸化ケイ素などのケイ素酸化物とも反
応し、その結果生成されるケイ酸化合物の除去が困難に
なるという問題点があった。また、飛灰中に含まれる水
酸化カルシウムを中和するためにNaClなどの塩化物
が重金属類と反応する分よりも大幅に過剰に必要であ
り、長期的には使用する塩化物が多くなり、処理サイク
ル中に残存する塩化物の量の増大を招くという問題点が
あった。
【0008】さらに、特開平8−35018号公報に
は、廃棄物の燃焼により発生する塩素をCaCl2 とし
て固定化して含有する飛灰からの金属の回収方法であっ
て、a)該飛灰を酸化雰囲気下で剪断力を加えながら加
熱し、CaCl2 の分解により発生する塩素及び塩化水
素と飛灰中に含有される金属成分とを反応させ、b)こ
れにより生成し揮発する金属塩化物を、吸収液と接触さ
せて溶解回収し、c)得られた回収液から溶存金属を分
別的に回収する、飛灰からの金属の回収方法が開示され
ている。
【0009】しかしながら、この飛灰からの金属の回収
方法は、CaCl2 を分解して得られる塩素及び塩化水
素などの塩素系ガスと、金属成分とを反応させるもので
あるので、CaCl2 を分解させるために600〜10
00℃に加熱する必要があるが、CaCl2 は600〜
1000℃ではその雰囲気によっては分解しないという
問題点がある。また、600〜1000℃の高温では、
重金属類と二酸化ケイ素などのケイ素酸化物との反応を
完全に防止することができないため、必ずしも十分に重
金属類を除去することができない。また、この従来技術
においては、塩素系ガス源として、飛灰中に含まれるC
aCl2 を利用するものであるが、飛灰中にはCaCl
2 以外に水酸化カルシウム(Ca(OH)2 )も含まれ
ているため、600〜1000℃の高温では重金属類が
CaCl2 と反応して塩化物となった後、Ca(OH)
2 と反応してせっかく生成した重金属類の塩化物が水酸
化物に転化してしまう場合がある。また、CaCl2
分解により発生する塩素及び塩化水素とCa(OH)2
とが反応することにより、重金属類を全て塩化物とする
だけの量の塩素及び塩化水素が不足する場合もある。こ
のような水酸化カルシウムによる弊害を防止するには、
塩素をCa(OH)2 の分だけ過剰にしてやる必要があ
り、このためNaClなどの塩素源をさらに添加したり
していた。この結果、Ca(OH)2 が処理サイクル中
に蓄積されるにしたがって、長期的には添加するNaC
lなどの塩素源が多くなり、処理サイクル中の塩化物の
量の増大を招くという問題点があった。
【0010】本発明は上記課題に鑑みてなされたもので
あり、焼却灰または飛灰から重金属類を除去して無害化
するための処理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の焼却
灰または飛灰の無害化処理方法は、焼却灰または飛灰中
に含まれる重金属類を塩素系ガスの存在下で600℃未
満にて塩化物とした後、昇温して重金属類の塩化物を揮
発させて回収するものである。
【0012】このような構成を採用することにより、ま
ず焼却灰または飛灰を塩素系ガスの存在下にさらすこと
により、該焼却灰または飛灰中に含まれる重金属類の化
合物と、塩素系ガスとが直接的あるいは間接的に反応し
て重金属類が塩素化されて塩化物となる。この重金属類
の塩素化を600℃未満の温度で行うことにより、60
0℃未満の温度ではケイ素酸化物等と重金属類とはほと
んど反応しないため、高沸点で除去の困難な重金属のケ
イ酸化合物などが生成することがない。そして、このよ
うにして重金属類を塩化物とした後昇温することによ
り、沸点の低い重金属類の塩化物を揮発させてこれを回
収するができる。これにより、焼却灰又は飛灰中の重金
属類を効率よく除去することができる。
【0013】また、請求項2の焼却灰または飛灰の無害
化処理方法は、前記塩素系ガスのガス源が焼却炉の排ガ
スである。このため、塩素系ガス源を外部から導入する
必要がなく、処理サイクル中の塩化物の量が必要以上に
増大することがない。
【0014】請求項3の焼却灰または飛灰の無害化処理
方法は、前記塩素系ガスのガス源が600℃未満の温度
で分解する塩化物を該塩化物の分解温度以上600℃未
満の温度に加熱して分解させたものである。このため、
重金属類の塩素化を600℃未満の温度で行うことがで
きる。
【0015】請求項4の焼却灰または飛灰の無害化処理
方法は、前記焼却灰または飛灰中に含まれる重金属類を
塩素系ガスの存在下で塩化物とする前に、該焼却灰また
は飛灰を水分とともに混練するものである。このため、
水分を介して焼却灰または飛灰中の水酸化カルシウムと
重金属類の化合物とが反応して、重金属類の水酸化物あ
るいは塩基性炭酸塩が形成される。この重金属類の水酸
化物あるいは塩基性炭酸塩は、塩素系ガスとの反応性が
良好であるので、これを塩素系ガスの存在下で加熱する
ことにより重金属類を短時間で塩化物とすることができ
る。
【0016】さらに、請求項5の焼却灰または飛灰の無
害化処理方法は、前記重金属類の塩化物を揮発させて回
収した後、残った焼却灰または飛灰をさらに高温で溶融
してスラグ化するものである。このため、残った焼却灰
または飛灰を重金属の含有量の少ないスラグとして減容
化することができる。
【0017】
【発明の実施形態】以下、本発明の焼却灰または飛灰の
無害化処理方法について詳細に説明する。本発明におい
て処理対象となる焼却灰とは、焼却炉の底部に残存する
底灰といわれるものであり、重金属類などの有害物質の
含有量が比較的低いものである。この焼却灰としては、
都市ゴミ焼却場で発生するものに限らず、地下水処理場
や産業廃棄物処理場から発生するものなど重金属類を含
有する全てのものが含まれる。また、本発明において飛
灰とは、ごみは焼却されるとごみの各種成分中の低沸点
物質が揮発するが、これをフィルターなどで捕集したも
のであり、前記焼却灰に比べて鉛、亜鉛、砒素、水銀な
どの重金属類などを多く含むものである。なお、この飛
灰は消石灰(水酸化カルシウム)を担持したバグフィル
ターなどにより捕集されるため、その成分中に消石灰
(水酸化カルシウム)及びその中和物である塩化カルシ
ウムなどを多く含有する。
【0018】本発明においては、まず、上述したような
焼却灰または飛灰を600℃未満、好ましくは100℃
以上400℃以下で塩素系ガスにさらす。この塩素系の
ガスとしては、塩素ガス、塩化水素ガスあるいはその他
の塩素を含有するガスを用いることができる。この工程
において塩素系のガスと重金属類の酸化物や硝酸化物と
は直接反応して重金属類の塩化物を生じる。例えば塩化
水素や塩素ガスと重金属類(M)の酸化物との間では以
下の反応が生じる。
【0019】MO+2HCl→MCl2 +H2 O 2MO+2Cl2 →2MCl2 +O2 また、重金属類(M)の硫酸化物は、塩化カルシウムと
の接触により以下の反応が生じる。
【0020】 MSO4 +CaCl2 →MCl2 +CaSO4 この反応における塩化カルシウムは、飛灰中にもともと
含まれるもの、あるいは水酸化カルシウムが塩素系ガス
と反応して生じるものなどである。
【0021】このように600℃未満で塩素系ガスにさ
らすことにより重金属類の化合物は、ケイ素酸化物など
と反応することなく、塩素化されることになる。また、
この工程は、前述したように塩素ガスの存在化により、
飛灰中に含まれる水酸化カルシウム(Ca(OH)2
を塩化カルシウムに転換し、この塩化カルシウムが重金
属類の硫酸化物と接触反応して重金属類の硫酸化物を塩
素化することができるという効果も奏する。
【0022】この焼却灰または飛灰を塩素系ガスの存在
下に置く時間としては、処理する焼却灰または飛灰の量
にもよるが、10分以上であるのが好ましい。前記加熱
時間が10分未満では、焼却灰または飛灰中の重金属類
を塩素系ガスと十分に反応させるには不十分な場合があ
る。作業効率などの点も考慮すると、特に10〜60分
程度であるのが好ましい。
【0023】上述したような工程における塩素系ガスの
ガス源としては、焼却炉の排ガスを利用することができ
る。これは、廃棄物は燃焼すると多量の塩素系ガスが発
生することから、通常はこれを外部環境に拡散させない
ために消石灰(水酸化カルシウム)を担持したバグフィ
ルターにより塩化カルシウムとして捕集していることか
ら、この塩素系ガスを豊富に含む焼却炉の排ガスを利用
するものである。この排ガスは、約300〜600℃の
温度を有することから、焼却炉の排ガス流路に分岐路
(バイパス)を設け、必要に応じて温度調整や流量調整
を行った後、焼却灰または飛灰の反応炉に導入すること
により、600℃未満で塩素系ガスを導入することがで
きる。なお、前記排ガス中には、SO2 などの酸化イオ
ウ系のガスやNOなどの酸化窒素系のガスも含まれ、こ
れらも重金属類と反応して重金属類の硝酸化合物や硫酸
化合物を形成するが、これら重金属類の硝酸化合物や硫
酸化合物は、前述したように塩素系ガスや塩化カルシウ
ムと反応して重金属類の塩化物になる。
【0024】上述したような排ガスの流量としては、処
理対象となる焼却灰又は飛灰の総量にもよるが、焼却灰
又は飛灰100重量部が塩素換算で1〜5重量部程度の
排ガスにさらされるようにするのが好ましい。排ガス量
が塩素換算で1重量部未満では前述したように重金属類
を余す事なく塩素化するのが困難である一方、5重量部
を超えてもそれ以上の効果が得られないばかりか、流通
する排ガス量が多くなりすぎて装置がおおがかりとなる
ため好ましくない。
【0025】また、前記塩素系ガス源として、600℃
未満、好ましくは400℃以下の温度で分解して塩素系
のガスを発生する化合物を用いることができる。この6
00℃未満の温度で分解する塩化物としては、例えば、
塩化アンモニウム、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩素化
パラフィン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル、塩化ビ
ニリデンなどを用いることができる。なお、塩素化ポリ
エチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの高分子系
の塩化物の場合には、未使用のものを用いる必要はな
く、廃棄処理物でよい。
【0026】上述したような塩化物の配合割合は、焼却
灰又は飛灰100重量部に対して、塩素換算で1〜5重
量部程度であるのが好ましい。塩化物が塩素換算で1重
量部未満では前述したように重金属類を余す事なく塩素
化するのが困難である一方、5重量部を超えてもそれ以
上の効果が得られないばかりか、未反応の塩素系ガスの
量が増加するため好ましくない。
【0027】なお、本発明においては、前述した焼却灰
または飛灰を塩素系ガスの存在下にさらす際の前処理と
して、該焼却灰または飛灰を水分とともに混練すること
ができる。この際、焼却灰を主成分とする場合のように
そこに含有される水酸化カルシウムの量が不足している
場合には必要に応じて水酸化カルシウムを適宜添加した
後混練する。この水分としては純水に限らず、焼却灰又
は飛灰に水分を供給できれば汚水であってもよいし、あ
るいは水蒸気であってもよい。このように焼却灰又は飛
灰を水酸化カルシウムの存在下で水分とともに混練する
と、該焼却灰又は飛灰中の重金属類、その酸化物、硫酸
化物及びケイ酸化合物などの化合物は、水酸化カルシウ
ムと迅速に反応して、重金属類の水酸化物や塩基性炭酸
塩を形成する。例えば、硫酸化鉛と水酸化カルシウムと
の間では下記の反応が生じる。
【0028】PbSO4 +Ca(OH)2 →CaSO4
+Pb(OH)2 他の重金属類もこれと同じような反応により水酸化カル
シウムと反応して水酸化物となる。なお、従来バグフィ
ルターなどにより捕集した飛灰をコンクリート成形体と
すると、重金属類が容易に水酸化物となって水溶化する
ため重金属類の溶出が問題となっていたことから明らか
なように、重金属類は水酸化カルシウムと容易に反応し
て水酸化物となりやすい。そして、この重金属類の水酸
化物は、600℃未満で塩素系ガスと反応して重金属類
の塩化物を形成する。重金属類の化合物は、十分な時間
があれば酸化物や硫酸化物など異なる化合物であって
も、それぞれ塩素系ガスと十分に反応するものである
が、このようにいったん水酸化する前処理を施した後、
塩素化することにより酸化物や硫酸化物など異なる重金
属の化合物間での塩素系ガスとの反応性の相違を排除
し、迅速に塩素化することができる。
【0029】この焼却灰又は飛灰と水分との配合割合
は、混練可能であれば特に制限はないが、焼却灰又は飛
灰100重量部に対して水分3〜100重量部とすれば
よい。水分が3重量部未満では十分な混練性及び重金属
類の水酸化の効果が得られない一方、100重量部を超
えると水分が多くなり過ぎて後述する加熱工程の効率が
低下する。なお、湿灰(湿り気をおびた灰)のときに
は、焼却灰又は飛灰に対する水分の割合が上記範囲内で
あればそのまま用いることができる。なお、前記塩素系
ガス源として、600℃未満の温度で分解して塩素系の
ガスを発生する化合物を用いる場合には、この塩化物
は、前述した焼却灰または飛灰を水分とともに混練した
後添加すればよいが、高分子系の塩化物のときには、水
分とともに混練する前あるいは混練中に添加してもよ
い。
【0030】続いて、このようにして塩素化した重金属
類を昇温して揮発させる。この昇温は、重金属類の塩化
物の揮発のためには、600℃〜850℃であればよ
く、したがって前述した塩素系ガスの存在下での温度か
ら850℃まで加熱すればよいが、重金属類を塩化物と
して完全に揮発させるとともに、塩化ナトリウム、塩化
カリウムなどのアルカリ金属塩化物や塩化カルシウムな
どのアルカリ土類金属塩化物も除去するためには120
0℃まで昇温するのが望ましい。なお、前記アルカリ金
属塩化物やアルカリ土類金属塩化物には、アルカリ金属
酸化物やアルカリ土類金属酸化物が、塩化カルシウムと
の反応により転化したものも含まれている。この昇温は
1200℃まで連続的に行ってもよいし、複数の段階で
段階的に昇温させてもよい。この場合、重金属の塩化物
は1200℃まで加熱すれば完全に除去することが可能
であるが、850℃程度の温度でも十分に揮発するの
で、はじめに850℃までの温度に所定時間置いて重金
属類を塩化物として十分に揮発除去し、その後850℃
〜1200℃に所定時間置いてアルカリ金属塩化物及び
アルカリ土類金属塩化物を主に揮発除去することによ
り、重金属類とアルカリ金属塩化物及びアルカリ土類金
属塩化物とを分別回収することができる。なお、この工
程で揮発させた重金属類やアルカリ金属塩化物及びアル
カリ土類金属塩化物は、例えば、この揮発成分を冷却す
ることにより捕集して回収することができる。また、こ
のように徐々に昇温することにより残存する塩素も除去
されるため、ダイオキシンの生成を抑制することができ
るばかりか、仮にダイオキシンが生成したとしても次第
に高温になるにつれて生成したダイオキシンを分解する
ことができるという効果も奏する。さらに、このように
徐々に昇温することにより前述した塩素化の工程におい
て未反応の重金属類の化合物が残存したとしても、この
工程の初期段階で未反応の重金属類と残存する塩素系ガ
スや塩化カルシウムとが反応して塩化物とすることがで
きる。
【0031】このようにして重金属類を除去した後は、
必要に応じ残った焼却灰または飛灰をさらに高温、具体
的には1200〜1600℃程度に加熱することにより
重金属の含有量の少ないスラグとすることができる。
【0032】上述したような本発明の方法により重金属
類を除去した焼却灰または飛灰、あるいはそのスラグ
は、ポルトランドセメント、砂、砂利などに配合してコ
ンクリートブロック化するのに好適である。特に本発明
においては重金属類だけでなく、酸化ナトリウムや酸化
カリウムが塩化カルシウムと反応することにより塩化ナ
トリウムや塩化カリウムとなり除去されることにより、
酸化ナトリウムや酸化カリウムの含有量が低下するた
め、セメント原料の一部として使用するのに好適なもの
となっている。このようにして得られるコンクリートブ
ロックにおいては、焼却灰または飛灰中の重金属類が除
去されているので、これら重金属類の溶出のおそれがな
い。しかも、アルカリ金属塩化物やアルカリ土類金属塩
化物も除去されているので、塩害によりコンクリート成
形体の強度が低下したり脆化したりすることがないの
で、土木工事あるいは建築工事の基礎道路の基礎、具体
的には道路、建築物、グランド、競技場などの基礎とし
て有効利用を図ることができる。また、コンクリートブ
ロックに油性ペイントにより適当な色彩や模様などを描
写したり、ポルトランドセメントとの混練時に色剤を添
加したりして、このコンクリートを配列することにより
所望の色彩や模様とすることにより、景観材としても再
利用も可能である。
【0033】上述したような本発明の焼却灰または飛灰
の無害化処理は、例えば、塩素系ガス源として焼却炉の
排ガスを用いる場合には、図1に示すような機構による
行うことができる。図1において焼却灰又は飛灰のタン
ク1は図示しない供給機を介して加熱手段及び制御機構
を備えた反応炉2に連通しており、この反応炉2におけ
る残存物Sが図示しない供給機を介して溶融炉3に供給
される。一方、4は、廃棄物などの焼却炉であり、この
焼却炉4の排ガス流路5の終端部には、バグフィルター
6が設置されている。また、排ガス流路5の途中には図
示しない流量制御機構、温度制御機構及び開閉機構を備
えた分岐路7が形成されていて、この分岐路7は前述し
た反応炉2に導入されている。そして、反応炉2にはそ
れぞれ開閉可能な第1及び第2の排出路2A,2Bが設
けられており、また、溶融炉3には排出路3Aが設けら
れており、これら排出路2A,3Aは、それぞれ排ガス
流路5に合流している。なお、図1中8は第2の排出路
2Bに設けられた冷却装置である。
【0034】このような機構において、図1中に固体の
流れは実線で、気体の流れは破線で示すように、タンク
1から焼却灰又は飛灰を反応炉2に供給し、分岐路7及
び第1の排出路2Aを開成して第2の排出路2Bを閉成
しておくことにより、分岐路7から反応炉2内に焼却炉
4に600未満の排ガスを導入する。この排ガスが排出
路2Aから排ガス流路5に還流することにより反応炉2
内に新たな排ガスが次々と流通する。これにより排ガス
中に含まれる塩素系ガスにより重金属類の種々の化合物
を塩素化することができる。このようにして焼却灰又は
飛灰に所定時間排ガスを流通したら、分岐路7及び第1
の排出路2Aを閉成する一方第2の排出路2Bを開成し
て、反応炉2内の温度を1200℃まで連続的に昇温す
ることにより第2の排出路2Bから揮発成分Gを排出
し、これを冷却することにより捕集する。この時、反応
炉2の温度が600℃〜850℃において主に重金属類
の塩化物が捕集され、850℃から1200℃でアルカ
リ金属塩化物やアルカリ土類金属塩化物が捕集されるの
で、重金属類と該アルカリ金属塩化物及びアルカリ土類
金属塩化物(アルカリ金属塩化物等)とを分別して捕集
することができる。一方、焼却炉2の固形残存物Sは重
金属類と該アルカリ金属塩化物及びアルカリ土類金属塩
化物が除去されて無害化されているので、そのままセメ
ント原料などとして用いることができる()。また、
アーク炉、プラズマ炉などの溶融炉3に供給してさらに
高温に加熱してスラグ化することもできる()。
【0035】以上、本発明の焼却灰または飛灰の無害化
処理方法について説明してきたが、本発明はこれに限定
されず、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変更が
可能である。上述したような本発明の方法は、特に飛灰
の無害化処理方法として好適である。
【0036】
【実施例】以下の具体的実施例により本発明をさらに詳
細に説明する。例1 鉛化合物を鉛換算で2632mg/kgの割合で含有する試
験用飛灰100gを反応炉に導入するとともに、この反
応炉に焼却炉の排ガスを流通して重金属類の塩素化を行
った後、1200℃まで60分間かけて徐々に昇温しな
がら加熱した。この間の排ガスを随時採取してこの排ガ
ス中からの鉛の採集量(鉛換算)を測定した。この結果
から温度と鉛の残存率との関係を調べたところ、図2に
示すように約550℃から鉛が減少し始め、約650℃
から約750℃程度までで急激に減少し、約1000℃
ではその残存率が大幅に減少しているのが確認された。
【0037】
【発明の効果】本発明の請求項1の焼却灰または飛灰の
無害化処理方法は、焼却灰または飛灰中に含まれる重金
属類を塩素系ガスの存在下で600℃未満にて塩化物と
した後、昇温して重金属類の塩化物を揮発させて回収す
るものであるので、焼却灰又は飛灰中の重金属類を効率
よく除去することができる。
【0038】また、請求項2の焼却灰または飛灰の無害
化処理方法は、前記塩素系ガスのガス源が焼却炉の排ガ
スであるので、塩素系ガス源を外部から導入する必要が
なく、処理サイクル中の塩化物の量が必要以上に増大す
ることがない。
【0039】請求項3の焼却灰または飛灰の無害化処理
方法は、前記塩素系ガスのガス源が600℃未満の温度
で分解する塩化物を該塩化物の分解温度以上600℃未
満の温度に加熱して分解させたものであるので、重金属
類の塩素化を600℃未満の温度で行うことができる。
【0040】請求項4の焼却灰または飛灰の無害化処理
方法は、前記焼却灰または飛灰中に含まれる重金属類を
塩素系ガスの存在下で塩化物とする前に、該焼却灰また
は飛灰を水分とともに混練するものであるので、水分を
介して焼却灰または飛灰中の水酸化カルシウムと重金属
類の化合物とが反応して、重金属類の水酸化物あるいは
塩基性炭酸塩が形成される。この重金属類の水酸化物あ
るいは塩基性炭酸塩は、塩素系ガスとの反応性が良好で
あるので、これを塩素系ガスの存在下で加熱することに
より重金属類を短時間で塩化物とすることができる。
【0041】さらに、請求項5の焼却灰または飛灰の無
害化処理方法は、前記重金属類の塩化物を揮発させて回
収した後、残った焼却灰または飛灰をさらに高温で溶融
してスラグ化するものであるので、残った焼却灰または
飛灰を重金属の含有量の少ないスラグとして減容化する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の系統図である。
【図2】塩化物による鉛の除去状況を示すグラフであ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼却灰または飛灰中に含まれる重金属類
    を塩素系ガスの存在下で600℃未満にて塩化物とした
    後、昇温して重金属類の塩化物を揮発させて回収するこ
    とを特徴とする焼却灰または飛灰の無害化処理方法。
  2. 【請求項2】 前記塩素系ガスのガス源が焼却炉の排ガ
    スであることを特徴とする請求項1記載の焼却灰または
    飛灰の無害化処理方法。
  3. 【請求項3】 前記塩素系ガスのガス源が600℃未満
    の温度で分解する塩化物を該塩化物の分解温度以上60
    0℃未満の温度に加熱して分解させたものであることを
    特徴とする請求項1記載の焼却灰または飛灰の無害化処
    理方法。
  4. 【請求項4】 前記焼却灰または飛灰中に含まれる重金
    属類を塩素系ガスの存在下で塩化物とする前に、該焼却
    灰または飛灰を水分とともに混練することを特徴とする
    請求項1乃至3のいずれか1項記載の焼却灰または飛灰
    の無害化処理方法。
  5. 【請求項5】 前記重金属類の塩化物を揮発させて回収
    した後、残った焼却灰または飛灰をさらに高温で溶融し
    てスラグ化することを特徴とする請求項1乃至4のいず
    れか1項記載の焼却灰または飛灰の無害化処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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