JP2002066497A - 廃棄物の安定化処理剤および処理方法 - Google Patents
廃棄物の安定化処理剤および処理方法Info
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Abstract
金属の溶出を防止することができる廃棄物の安定化処理
剤および安定化処理方法を提供する。 【解決手段】pH値が7未満の重金属含有廃棄物に、p
H値調整剤とpH値安定剤とを混合してなる安定化処理
剤を添加し、水の存在下で混練処理し、pH値を7.5
〜11にし、これにより廃棄物に含有される重金属を不
溶性の重金属水酸化物にする。この際、pH値調整剤と
しては生石灰、消石灰等の安価な材料を用いることがで
き、廃棄物はまずこのpH値調整剤によって、まず重金
属を不溶化するpHに調整され、安定したpH値を持つ
水酸化マグネシウムのようなpH値安定剤によってその
pHに維持される。これにより鉛、亜鉛等の両性金属が
不溶化するpH範囲に保つことができる。
Description
残渣、或いは焼却残渣等を溶融処理する際に発生する溶
融飛灰の処理方法に関し、特に重金属を含有する酸性廃
棄物の安定化処理方法に関する。
渣を減容化し、無害化するために、一般に溶融処理が行
われている。この溶融処理において、溶融スラグのほか
に、鉛、亜鉛、カドミウム等の重金属を多量に含む溶融
飛灰が発生する。このような溶融飛灰は、そのまま環境
に放出された場合、重金属が雨水などに溶解して溶出し
環境汚染源となるため、飛灰中の重金属を固定処理する
方法が種々提案されている。
に、キレート剤或いは安定化剤を用いて重金属を不溶化
する方法と塩化第一鉄等の2価鉄を用いたフェライト化
によって不溶化する方法が知られている。前者として、
例えば、溶融飛灰に水及びキレート剤を加えて混練する
方法(特開平5−87324号公報)、溶融飛灰に消石
灰を加えてpH値を8.5以上にした後、多硫化カルシ
ウムを加え、さらに鉱酸を加えてpH値を所定範囲に調
整した後、水を加えて混練する方法(特開平8−197
034号公報)等が提案されている。また後者として、
溶融飛灰に鉄塩の存在下でアルカリ成分を添加してpH
値を所定範囲に保ち混合する方法(特開平6−2382
59号公報)等が提案されている。
ト剤を用いて固定化する方法では、キレート剤としてジ
チオカルバミン酸等のイオウ化合物を用いるため、固定
化処理の際に二硫化炭素等の有毒ガスが発生するという
問題がある。またキレート剤は一般に高価であり廃棄物
の処理剤としては経済的でない。一方、フェライト化に
よる方法では、フェライト反応を進行させるための適性
pH値があるため、固定化処理においてpHの管理が必
要となる。
値で固定化した場合でも、長期にわたって酸性の環境、
例えば酸性雨等にさらされた場合、水溶性に変化し、溶
出するという問題がある。そこで本発明は、極めて簡便
な方法で長期にわたって重金属の溶出を防止することが
できる廃棄物の安定化処理剤およびそれを用いた処理方
法を提供することを目的とする。
理剤は、初期pH値調整剤(以下、単にpH調整剤とい
う)とpH値安定剤の混合物から成る廃棄物の安定化処
理剤である。本発明の安定化処理剤は、重金属を含有す
る廃棄物、特に酸性の重金属含有廃棄物を対象とし、廃
棄物に含有される重金属を所定のpH値に調整すること
によって不溶性の重金属水酸化物にする。
物の中に含まれる重金属が不溶化するpH値に調整し、
ついでpH値安定剤によって調整されたpH値に維持す
る。これにより酸性雨等により処理化後の廃棄物が酸性
環境にさらされた場合でも、容易に重金属が溶出するの
を防止できる。また単にpH値安定剤を用いる場合に比
べ、少量で速やかに目的とするpH値、即ち重金属の塩
が水に不溶性となるpHに調整することができる。
はアルカリ土類金属の水酸化物または酸化物であって、
水溶液としたときのpH値が11以上となる強アルカリ
を用いることができる。このような強アルカリのうち、
特に実用的なものとして水酸化カルシウム、酸化カルシ
ウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられ、
これらは1種または2種以上を混合して用いることができ
る。
要はなく、例えば酸化カルシウムの場合、石灰石や貝が
らを焼成した生石灰を、また水酸化カルシウムの場合は
このような生石灰を水と反応させて得られる消石灰を使
用することができる。
整剤によって調整した後のpH値を一定に保ち、pH値
の変動による重金属の再溶出を防止するためのものであ
り、水酸化マグネシウム及び/又は酸化マグネシウムが
用いられる。水酸化マグネシウムはその添加量にかかわ
りなく一定のpH値(10.3程度)を示すため、廃棄物の
pH値を両性金属が溶解しないpH値に保つことができ
る。なお、酸化マグネシウムは、水酸化マグネシウムに
比べ高価であり廃棄物の処理剤としての実用性は低い
が、水との反応によって水酸化マグネシウムを生じ同様
の効果が得られる。
シウムを、単独で安定化処理剤として用いた場合でも、
廃棄物のpH値を調整し且つ安定に保つことは可能であ
るが、上述したpH値調整剤と組み合わせたことによ
り、pH値安定剤の添加量が少量でも速やかに所望のp
H値に調整することができる。
調整剤とpH値安定剤とを所定の割合で混合したもので
あり、1)両者を所望の割合で混合したもの、2)pH値
安定剤の表面にpH値調整剤を付着させた複合体のいず
れでもよい。またpH値調整剤をpH値安定剤と混合す
る場合の形態は、特に限定されず、粒状、粉末、懸濁液
のいずれでもよい。但し、pH値調整剤は、廃棄物と混
合したときに速やかにpH値を調整するのに消費され、
残留量がないことが好ましく、このような観点から粉末
状或いは懸濁液として混合することが好ましい。特に表
面積の大きい粉末であることが好ましい。
調整剤によって調整したpH値を長期に亘って一定に保
つものであるので、雨水等によって流れやすい形態(例
えば粉末)よりも粒状であることが好ましい。両者の混
合物は、例えば粉末と粉末を単に混合することにより調
製できる。また複合体としては、例えばpH値安定剤の
粉末および/または粒にpH値調製剤の液体(水溶液ま
たは懸濁液)を噴霧して、表面を覆ったものや、pH値
安定剤の粒にpH値調整剤の粉末を添加し、メカノケミ
カルに反応させたものが用いられる。
目的とする廃棄物のpHや含有される重金属の種類によ
っても異なるが、重量比で0.5:9.5〜9.5:0.5、好適に
は1:9〜9:1の範囲とする。
棄物の安定化処理方法について説明する。本発明の廃棄
物の安定化処理方法が対象とする廃棄物は、廃棄物焼却
灰の溶融処理において集塵機等から回収された溶融飛灰
のみならず、重金属を含む一般廃棄物、例えば電炉ダス
ト、汚泥、廃酸等の産業廃棄物や、その焼却灰をも含
む。特にpH値が7未満の酸性廃棄物に適用される。こ
れら廃棄物は、必要に応じて焼却処理や脱水処理したも
のを用いる。
酸性廃棄物に上述した安定化処理剤を添加し、水の存在
下で混練処理する。水が存在することにより、重金属と
pH値調整剤(およびpH値安定剤)の反応が進行し、
不溶性の重金属の水酸化物が生成する。ここで「水の存
在下」とは、混練時に水が存在している状態であること
を意味し、このような水は、混練に先立って或いは混練
中に添加された水も、また廃棄物自体が水を含む場合や
安定化処理剤がその添加形態によって水を含む場合に
は、そのような予め含有される水も含む意味である。
懸濁液を処理状況に応じて用いる。例えば飛灰のように
殆ど水分を含まない廃棄物については、懸濁液として添
加することにより均一に混合、処理することができる。
廃棄物自体の水分含有量が多い場合には粒状又は粉末と
して添加することが好ましい。また安定化処理剤は、p
H調整剤とpH安定剤とを予め混合して一体化すること
なく、それぞれ廃棄物に添加して混合してもよい。本発
明の安定化処理剤は、このような形態で添加される場合
も含む。
が、水の存在下で混練した後においてpH値が7.5〜
11、好適には9.5〜10.5となるように添加する。
pH値が7.5より低い場合には、長期に環境にさらさ
れたときに酸性雨や酸性のガス等によって両性金属酸化
物が溶出する可能性がある。pH値が11を超える場合
にも両性金属が溶出する。
行うことができるが、好適には密閉系で加温しながら行
う。密閉系とすることにより水の散逸を防止し、確実に
反応させることができる。また加温することにより反応
を促進し、短時間で安定化処理を行うことができる。温
度は、反応促進の点からは高い方がよいが、高すぎると
密閉系で反応させた場合に圧力が上がり、圧力容器が必
要となる。従って実用的には、圧力容器を必要としない
圧力、具体的には2気圧未満の圧力となるまで加温しな
がら反応させることが好適である。密閉系であって加温
しても2気圧に達しないような温度は、廃棄物や安定化
処理剤の添加量によっても異なるが、具体的には120
℃未満に維持することが好適である。
加温した場合には、安定化処理剤と廃棄物中に含まれる
成分との鉱物反応によって生成する生成物中に重金属が
取り込まれ、重金属がより強固に固定されると考えられ
る。反応時間は特に限定されないが、このように加温処
理する場合も含め、通常数分〜2時間程度とする。この
ように混練処理した後の処理物は、通常の無害化産業廃
棄物と同様に埋立等により最終処分される。その場合、
上述したように重金属類が安定に固定処理されているの
で、酸性雨等にさらされても重金属類の溶出による土壌
や地下水の汚染を確実に防止することができる。
施例を説明するが、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。
に水酸化マグネシウム(粉末)7gと水酸化カルシウム
(粉末)3gを加えてよく混合し、水40gを加えて約1時
間混練した。混練後の試料100gについて環境庁告示1
3号に基づく溶出試験を行った。共試した酸性飛灰中に
は、鉛が6400mg/kg、カドミウムが510mg/kg、水銀が3 m
g/kg、砒素が8mg/kg、クロムが39mg/kg含有されてい
た。溶出試験の結果、鉛、水銀、砒素および6価クロム
は検出されず、カドミウムの溶出量は0.09mg/Lであり法
定基準値以下であった。また、溶出水のpH値は9.0で
あった。
m粒)6gと水酸化カルシウム(粉末)4gとを混合した
混合物を、実施例1で共試した飛灰100gに加えよく混
合し、さらに水40gを加えて混練した。その後環境庁告
示13号に基づく溶出試験を行った。溶出試験の結果、
鉛、水銀、砒素、6価クロムおよびカドミウムは検出さ
れなかった。また、溶出水のpH値は9.2であった。
に水酸化マグネシウム(1〜3mm粒)5gと水酸化カ
ルシウム(粉末)5gを加えてよく混合し、水40gを加
えて混練した。その後環境庁告示13号に基づく溶出試
験を行った。溶出試験の結果、鉛、水銀、砒素、6価ク
ロムおよびカドミウムは検出されなかった。また、溶出
水のpH値は10.1であった。
gと水酸化カルシウム1gを含む懸濁液20gを加えてよ
く混合したものを、酸性飛灰(pH=6.4)100gに加
えて混練した。その後環境庁告示13号に基づく溶出試
験を行った。共試した酸性飛灰中には、鉛が12000mg/k
g、カドミウムが280mg/kg、水銀が3 mg/kg、砒素が6mg/
kg、クロムが28mg/kg含有されていた。溶出試験の結
果、鉛、水銀、砒素、6価クロムおよびカドミウムは検
出されなかった。また、溶出水のpH値は7.7であっ
た。
に、水酸化マグネシウム(1〜3mm粒)8gと水酸化
カルシウム2g(粉末)を加えてよく混合し、水20gを
加えて混練した。その後環境庁告示13号に基づく溶出
試験を行った。溶出試験の結果、鉛、水銀、砒素、6価
クロムおよびカドミウムは検出されなかった。また、溶
出水のpH値は10.1であった。
gに懸濁させた懸濁液と、水酸化マグネシウム(1〜3
mm粒)7.5gとを、実施例4で共試した飛灰100gに加
えてよく混合し、混練した。その後環境庁告示13号に
基づく溶出試験を行った。溶出試験の結果、鉛、水銀、
砒素、6価クロムおよびカドミウムは検出されなかっ
た。また、溶出水のpH値は10.8であった。
に、水酸化マグネシウム(粉末)7gと水酸化カルシウ
ム(粉末)3gを加えてよく混合した後、密閉容器に移
し、これに水40gを加えて約10分間混練し、さらに116
℃で約1時間加温した。密閉容器内の圧力は1時間加温後
で約1.8気圧(atm)であった。この混練加温処理後の試料
100gについて、環境庁告示13号に基づく溶出試験を
行った結果、鉛、水銀、砒素、6価クロムおよびカドミ
ウムは検出されなかった。また、溶出水のpH値は9.5
であった。
に、水酸化マグネシウム(粉末)10gと水酸化カルシウ
ム(粉末)10gを加えてよく混合した後、水80gを加え
て約1時間混練した。混練後の試料について酸性水溶液
に対する安定性を試験するために、試料200gをカラム
に詰め、1cm3/minの速度でpH値を4に調整した希硝
酸水溶液300 cm3を流し、100 cm3毎の重金属の溶出量
およびpH値を測定した。その結果、300 cm3迄の溶出
液から鉛、水銀、砒素、6価クロムおよびカドミウムな
どの重金属は検出されなかった。また何れの溶出液もp
H値は10.1であった。
量300 cm3は埋立飛灰に対する1年間の降水量にほぼ対
応するものとして計算されたものである。即ち、年平均
降水量を1600mm、飛灰の比重を0.5、埋立時の層厚を2m
とすると、飛灰埋立面積1cm2(体積200cm3、重量100
g)に対し1年の降水量は160gとなる。従って、飛灰20
0gについては降水量320g(ほぼ300g)となる。次
に、希硝酸水溶液を流した後の試料100gについて環境
庁告示13号に基づく溶出試験を行った結果、鉛、水
銀、砒素、6価クロムおよびカドミウムは検出されなか
った。また、溶出水のpH値は10.1であった。
濁させた懸濁液50gと、水酸化マグネシウム(1〜3m
m粒)6gとを実施例1で共試した飛灰100gに加えて混
練した。その後環境庁告示13号に基づく溶出試験を行っ
た。 溶出試験の結果、鉛、水銀、砒素、6価クロムお
よびカドミウムは検出されなかった。また、溶出水のp
H値は9.2であった。
グネシウムと粉末状水酸化カルシウムとをメカノケミカ
ルに反応させて、水酸化マグネシウムの表面に水酸化カ
ルシウムが付着した複合体{Mg(OH)2:Ca(OH)2=6:4
(重量比)}を作成した。この安定化処理剤を実施例1
で共試した飛灰100gに加えてよく混合し、さらに水40
gを加えて混練した。その後環境庁告示13号に基づく溶
出試験を行った。溶出試験の結果、鉛、水銀、砒素、6
価クロムおよびカドミウムは検出されなかった。また、
溶出水のpH値は9.2であった。
gに酸化マグネシウム(粉末)6gと水酸化カルシウム
(粉末)4gを加えてよく混合し、水40gを加えて混練
した。その後環境庁告示13号に基づく溶出試験を行っ
た。 溶出試験の結果、鉛、水銀、砒素、6価クロムお
よびカドミウムは検出されなかった。また、溶出水のp
H値は9.2であった。
ネシウムと粉末状水酸化カルシウムとをメカノケミカル
に反応させて、酸化マグネシウムの表面に水酸化カルシ
ウムが付着した複合体{MgO:Ca(OH)2=6:4(重量
比)}を作成した。この安定化処理剤剤を実施例1で共
試した飛灰100gに加えてよく混合し、さらに水40gを
加えて混練した。その後環境庁告示13号に基づく溶出試
験を行った。 溶出試験の結果、鉛、水銀、砒素、6価
クロムおよびカドミウムは検出されなかった。また、溶
出水のpH値は9.2であった。
gに、酸化マグネシウム(粉末)6gと、水酸化ナトリ
ウム4gを含む水溶液40gとを加えて混練した。その後
環境庁告示13号に基づく溶出試験を行った。溶出試験の
結果、鉛、水銀、砒素、6価クロムおよびカドミウムは
検出されなかった。また、溶出水のpH値は9.5であっ
た。
酸化ナトリウム水溶液を噴霧して、酸化マグネシウムの
表面に水酸化ナトリウムが付着した複合体{MgO:NaOH
=6:4(重量比)}を作製した。この安定化処理剤10g
を実施例1で共試した飛灰100gに加えてよく混合し、
さらに水40gを加えて混練した。その後環境庁告示13号
に基づく溶出試験を行った。溶出試験の結果、鉛、水
銀、砒素、6価クロムおよびカドミウムは検出されなか
った。また、溶出水のpH値は9.5であった。
に水30gを加えて混練した。その後、環境庁告示13号に
基づく溶出試験を行った。溶出試験の結果、水銀、砒
素、6価クロムは検出されなかったが、鉛の溶出量は11
mg/L、カドミウムの溶出量は6.3mg/Lであった。また、
溶出水のpH値は6.3であった。
に水30gを加えて混練した。その後、環境庁告示13号に
基づく溶出試験を行った。溶出試験の結果、水銀、砒
素、6価クロムは検出されなかったが、鉛の溶出量は7m
g/L、カドミウムの溶出量は14mg/Lであった。また、溶
出水のpH値は6.4であった。
に水酸化マグネシウム(粉末)5gと水酸化カルシウム
(粉末)5gを加えてよく混合し、水40gを加えて混練
した。その後環境庁告示13号に基づく溶出試験を行っ
た。溶出試験の結果、水銀、砒素、6価クロムおよびカ
ドミウムは検出されなかったが鉛の溶出量は17mg/Lであ
った。また、溶出水のpH値は12.2であった。
に水酸化カルシウム(粉末)10gを加えてよく混合した
後、水80gを加えて約1時間混練することにより、pH
値を10.1に調整した。混練後の試料について酸性水溶液
に対する安定性を試験するために、試料200gをカラム
に詰め、1cm3/minの速度でpH値を4に調整した希硝
酸水溶液300 cm3を流し、100 cm3毎の重金属の溶出量
およびpH値を測定した。その結果、重金属の検出量は
0〜100cm3で鉛が12mg/L、カドミウムが14mg/Lであり、
水銀、砒素および6価クロムは検出されなかった。101
〜200cm3で鉛が36mg/L、カドミウムが38mg/Lであり、
水銀、砒素、6価クロムは検出されなかった。201〜300
cm3で鉛が72mg/L、カドミウムが86mg/L、6価クロムが
0.02 mg/Lであり水銀、砒素は検出されなかった。酸性
水によって短期間で鉛の溶出が始まることが確認され
た。また、溶出液のpH値は0〜100cm3では、5.2、 1
01〜200cm3が 4.5、 201〜300cm3が4.0であった。
ついて環境庁告示13号に基づく溶出試験を行った。溶出
試験の結果、重金属の検出量は鉛が122mg/L、6価クロ
ムが0.03 mg/Lであり水銀、砒素は検出されなかった。
また、溶出水のpH値は4.0であった。
の量および形態を表1に示すとともに、これらの結果を
表2に示す。表2からも明らかなように、本発明の安定
化処理剤を用いた安定化処理方法により、高濃度の鉛含
有飛灰であっても効果的に鉛の溶出量を抑えることがで
きた。但し、本発明の安定化処理剤を用いた場合でも、
pH調整後のpH値が11を超える場合には(比較例
3)、鉛の溶出が見られ、十分な重金属固定がなされな
いことがわかった。
かなように、水酸化カルシウムのようなアルカリで両性
金属(鉛)を固定化するpH値に調整した場合には、長
期に酸性の雰囲気にさられたときに安定してそのpH値
を維持することができず、経時的に鉛の溶出量が増加し
たのに対し、本発明の安定化処理方法によって処理した
飛灰は、長期にわたる酸性雨にさらされた後でも鉛の溶
出量が低く、鉛が安定して固定されていた。
物と混練するだけで、効果的に重金属の固定処理を行う
ことができる安定化処理剤が提供される。この安定化処
理剤を用いることにより、廃棄物を速やかに所望のpH
値に調整すると共に維持することができ、これによって
高いpH領域では水溶性となる両性金属について安定し
て不溶化を維持することができる。また本発明によれ
ば、混練の加温条件を調整することにより、特別な圧力
容器等を必要とせずに簡便且つ迅速に固定化処理を行う
ことができる。
Claims (7)
- 【請求項1】 初期pH値調整剤とpH値安定剤の混合
物から成る廃棄物の安定化処理剤。 - 【請求項2】 初期pH値調整剤が水酸化カルシウム、
酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの
中から選ばれた少なくとも1種類であり、pH値安定剤
が水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムの中から選ば
れた少なくとも1種類である請求項1記載の廃棄物の安
定化処理剤。 - 【請求項3】 初期pH値調整剤が粉末または懸濁液で
あり、pH値安定剤が粒状物であることを特徴とする請
求項1または2に記載の廃棄物の安定化処理剤。 - 【請求項4】 請求項1乃至3いずれか1項に記載の安定
化処理剤を、pH値が7未満の重金属含有廃棄物に添加
し、水の存在下で混練処理することを特徴とする重金属
含有廃棄物の安定化処理方法。 - 【請求項5】 請求項1乃至3いずれか1項に記載の安定
化処理剤を、pH値が7未満の重金属含有廃棄物に添加
し、水の存在下で混練処理し、pH値を7.5〜11にする
ことを特徴とする重金属含有廃棄物の安定化処理方法。 - 【請求項6】 請求項1乃至3いずれか1項に記載の安定
化処理剤を、pH値が7未満の重金属含有廃棄物に添加
し、水の存在下で混練処理後、2気圧未満の圧力まで加
温し所定時間保温処理することを特徴とする重金属含有
廃棄物の安定化処理方法。 - 【請求項7】 請求項1乃至3いずれか1項に記載の安定
化処理剤を、pH値が7未満の重金属含有廃棄物に添加
し、水の存在下で混練処理し、2気圧未満の圧力まで加
温し所定時間保温処理することにより廃棄物のpH値を
7.5〜11にすることを特徴とする重金属含有廃棄物の安
定化処理方法。
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