JPH09239340A - 廃棄物処理材および廃棄物処理方法 - Google Patents
廃棄物処理材および廃棄物処理方法Info
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- JPH09239340A JPH09239340A JP8048863A JP4886396A JPH09239340A JP H09239340 A JPH09239340 A JP H09239340A JP 8048863 A JP8048863 A JP 8048863A JP 4886396 A JP4886396 A JP 4886396A JP H09239340 A JPH09239340 A JP H09239340A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 都市ごみ焼却灰をはじめとして、鉱さい、土
壌、汚泥、シュレッダーダストなどに含まれる有害重金
属が長期間にわたって再溶出しないように安定化できる
廃棄物処理材と処理方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも1種の可溶性多価金属燐酸
塩、またはこれに硫酸アルミニウムもしくは鉄を加えた
廃棄物処理材を、好ましくは多価金属燐酸塩としての第
1燐酸マグネシウムもしくは第1燐酸アルミニウムが廃
棄物に対して1重量%〜30重量%になるように、鉛、
カドミウム、水銀、クロム、銅、ニッケルなどの有害重
金属を含む廃棄物と混合し、必要なら水を添加して混練
し、養生固化させる廃棄物処理方法。
壌、汚泥、シュレッダーダストなどに含まれる有害重金
属が長期間にわたって再溶出しないように安定化できる
廃棄物処理材と処理方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも1種の可溶性多価金属燐酸
塩、またはこれに硫酸アルミニウムもしくは鉄を加えた
廃棄物処理材を、好ましくは多価金属燐酸塩としての第
1燐酸マグネシウムもしくは第1燐酸アルミニウムが廃
棄物に対して1重量%〜30重量%になるように、鉛、
カドミウム、水銀、クロム、銅、ニッケルなどの有害重
金属を含む廃棄物と混合し、必要なら水を添加して混練
し、養生固化させる廃棄物処理方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有害な重金属など
を含有する廃棄物を、安定化処理するのに有効な廃棄物
の処理材および処理方法に関するものである。
を含有する廃棄物を、安定化処理するのに有効な廃棄物
の処理材および処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】都市ごみは、悪臭のするもので、従来
は、焼却して減容化し、焼却灰を最終処分場に廃棄すれ
ば、処理は終了すると考えられてきた。しかし、ごみの
中味の変化にともなって、都市ごみ処理の様相も変化し
てきた。例えば、プラスチック、カラー印刷の紙類、乾
電池は、カドミニウム(Cd)、鉛(Pb)、クロム
(Cr)、水銀(Hg)、銅(Cu)などの重金属を含
んでいる。そこで、これらを焼却すると、焼却灰の中に
重金属が残存することになった。また、大気汚染防止の
観点から、ごみの焼却に伴って発生する塩素を除くため
の脱塩素化が必要となり、煙道から消石灰が投入される
ようになった。消石灰は水に溶解するとアルカリを示す
が、脱塩素化のためには、大量の消石灰の投入が必要な
ために、飛灰は高アルカリ性になった。重金属の中で鉛
は、高アルカリ性では溶出しやすくなり、消石灰を投入
しない低アルカリ灰でのカドミウムの溶出と同様に問題
化している。
は、焼却して減容化し、焼却灰を最終処分場に廃棄すれ
ば、処理は終了すると考えられてきた。しかし、ごみの
中味の変化にともなって、都市ごみ処理の様相も変化し
てきた。例えば、プラスチック、カラー印刷の紙類、乾
電池は、カドミニウム(Cd)、鉛(Pb)、クロム
(Cr)、水銀(Hg)、銅(Cu)などの重金属を含
んでいる。そこで、これらを焼却すると、焼却灰の中に
重金属が残存することになった。また、大気汚染防止の
観点から、ごみの焼却に伴って発生する塩素を除くため
の脱塩素化が必要となり、煙道から消石灰が投入される
ようになった。消石灰は水に溶解するとアルカリを示す
が、脱塩素化のためには、大量の消石灰の投入が必要な
ために、飛灰は高アルカリ性になった。重金属の中で鉛
は、高アルカリ性では溶出しやすくなり、消石灰を投入
しない低アルカリ灰でのカドミウムの溶出と同様に問題
化している。
【0003】重金属類は、発癌性、変異原性、臓器障害
性など、生体毒性を有するものがある。例えば、鉛は、
カドミニウム、水銀、クロムなどとともに腎臓に破壊的
に作用する。また、鉛は、血液成分のヘム合成阻害作用
や、水銀とともに神経系の影響が知られている。カドミ
ニウムは、高血圧の可能性、精子形成能力の低下が指摘
されている。従って、都市ごみ焼却灰は、有害廃棄物と
考えるられるようになった。日本では、1995年4月
から、都市ごみは、特別管理一般廃棄物として、十分な
重金属の溶出量の抑制が求められている。そのために、
セメント類、粉体薬剤、液体薬剤、溶融処理などによる
様々な処理が行なわれている。
性など、生体毒性を有するものがある。例えば、鉛は、
カドミニウム、水銀、クロムなどとともに腎臓に破壊的
に作用する。また、鉛は、血液成分のヘム合成阻害作用
や、水銀とともに神経系の影響が知られている。カドミ
ニウムは、高血圧の可能性、精子形成能力の低下が指摘
されている。従って、都市ごみ焼却灰は、有害廃棄物と
考えるられるようになった。日本では、1995年4月
から、都市ごみは、特別管理一般廃棄物として、十分な
重金属の溶出量の抑制が求められている。そのために、
セメント類、粉体薬剤、液体薬剤、溶融処理などによる
様々な処理が行なわれている。
【0004】上記のような各種処理法の中で、有害金属
の溶出を防ぐ目的で近年多用されるのは、ポリエチレン
イミンにジチオカルボキシル基の結合したポリマーや、
ジブチルジチオカルバミン酸塩などの低分子の液体有機
薬剤である。この液体有機薬剤は、鉛の安定化に優れて
いるものの、セメントと比較して価格が20倍以上であ
り処理費用が高く、また長期安定性が十分に証明されて
おらず、しかも使用にあたって異臭が発生するという問
題がある。また、この有機液体薬剤は、中性灰を処理す
る場合には鉛やカドミウムの安定化能力が低く、危険な
硫化水素ガスが発生する。このように、有機薬剤には多
くの問題が指摘されている。
の溶出を防ぐ目的で近年多用されるのは、ポリエチレン
イミンにジチオカルボキシル基の結合したポリマーや、
ジブチルジチオカルバミン酸塩などの低分子の液体有機
薬剤である。この液体有機薬剤は、鉛の安定化に優れて
いるものの、セメントと比較して価格が20倍以上であ
り処理費用が高く、また長期安定性が十分に証明されて
おらず、しかも使用にあたって異臭が発生するという問
題がある。また、この有機液体薬剤は、中性灰を処理す
る場合には鉛やカドミウムの安定化能力が低く、危険な
硫化水素ガスが発生する。このように、有機薬剤には多
くの問題が指摘されている。
【0005】更に、廃棄物の処理材には、廃棄物最終処
分場周辺の住民運動、環境保全意識の高まりから、長期
安定性、つまり有害な重金属が長期間にわたって再溶出
しないことが求められている。これは、廃棄物を処理し
た当初は重金属が処理物中で安定化されていても、長期
の保管で処理物中の廃棄物処理材が劣化すると、重金属
が洩れだし、万一、防水シートが破れると、地下に重金
属類が洩れだし、地下水を通して人体に影響を与える危
険が考えられることによる。従って、有害重金属の溶出
を長期間にわたって可能な限り低下させることが重要に
なっている。しかし、長期安定性については、廃棄物の
種類が多様であるために、定説がない。このような中
で、評価法の1つとしてアベイラビリティー試験法が注
目されている。
分場周辺の住民運動、環境保全意識の高まりから、長期
安定性、つまり有害な重金属が長期間にわたって再溶出
しないことが求められている。これは、廃棄物を処理し
た当初は重金属が処理物中で安定化されていても、長期
の保管で処理物中の廃棄物処理材が劣化すると、重金属
が洩れだし、万一、防水シートが破れると、地下に重金
属類が洩れだし、地下水を通して人体に影響を与える危
険が考えられることによる。従って、有害重金属の溶出
を長期間にわたって可能な限り低下させることが重要に
なっている。しかし、長期安定性については、廃棄物の
種類が多様であるために、定説がない。このような中
で、評価法の1つとしてアベイラビリティー試験法が注
目されている。
【0006】アベイラビリティー試験法は100年〜1
000年の長期にわたって処理物を放置した場合の処理
物の安定性を見積もる方法としてオランダで採用されて
いる。本試験は、第3回廃棄物学会研究発表会講演論文
集603−606頁(1992年)やComparison of d
ifferent regulatory leaching test procedures forwa
ste materials and construction material , H.A. Van
der Sloot, D. Hoede, P. Bonouvrie ; ECN-C-91-082,
Netherlands Energy Research FoundationECN, 1991
)にあるように、きびしい試験法とされている。本法
の実験手順は、NEN7341(1992)に記載され
ているので詳細は略すが、本試験の特徴は、固液比を大
きくし、粒径を小さくし、pHを低く設定している点が
きびしい溶出試験といわれる理由である。
000年の長期にわたって処理物を放置した場合の処理
物の安定性を見積もる方法としてオランダで採用されて
いる。本試験は、第3回廃棄物学会研究発表会講演論文
集603−606頁(1992年)やComparison of d
ifferent regulatory leaching test procedures forwa
ste materials and construction material , H.A. Van
der Sloot, D. Hoede, P. Bonouvrie ; ECN-C-91-082,
Netherlands Energy Research FoundationECN, 1991
)にあるように、きびしい試験法とされている。本法
の実験手順は、NEN7341(1992)に記載され
ているので詳細は略すが、本試験の特徴は、固液比を大
きくし、粒径を小さくし、pHを低く設定している点が
きびしい溶出試験といわれる理由である。
【0007】また、TCLP(Toxic Characteristic L
eaching Procesure )法は、米国で採用されている試験
法である。本試験では、産業廃棄物を安価に処分するた
めに、廃棄業者が生ごみなど有機物を含んだ都市廃棄物
と産業廃棄物とを95:5の比で故意に処分した最悪の
状況を想定している。本試験法は、このような不適切な
処分が行なわれた埋立地での浸出水を再現するのに適し
た溶出試験方法であるとされている。従って、この試験
法は、長期保管時に、万一、防水シートが破れた場合の
地下水の汚染の有無を推定する方法と考えることもでき
る。
eaching Procesure )法は、米国で採用されている試験
法である。本試験では、産業廃棄物を安価に処分するた
めに、廃棄業者が生ごみなど有機物を含んだ都市廃棄物
と産業廃棄物とを95:5の比で故意に処分した最悪の
状況を想定している。本試験法は、このような不適切な
処分が行なわれた埋立地での浸出水を再現するのに適し
た溶出試験方法であるとされている。従って、この試験
法は、長期保管時に、万一、防水シートが破れた場合の
地下水の汚染の有無を推定する方法と考えることもでき
る。
【0008】アベイラビリティー試験法、TCLP法と
もに共通している点は、抽出液を酸性にする点である。
アベイラビリティー試験法では硝酸、TCLP法では酢
酸が用いられる。酸性条件では、重金属が溶解しやす
い。従って、このような試験法を尺度として重金属を安
定に処理できる場合、その時の処理材は、試験法の限定
を受けるものの、長期安定性が高いと考えることができ
る。例えば、セメント処理では、セメントのアルカリが
酸によって中和されると、水酸化物として不溶化してい
た重金属が可溶化する。有機液体薬剤処理では、その薬
剤のpHがアルカリ性であるために、硫黄で結合しなか
った重金属が水酸化物から再溶解する。また、酸によっ
て薬剤自体の分解が促進される。このように、セメント
や有機液体薬剤による現状の処理方法には長期安定性の
問題があるようである。
もに共通している点は、抽出液を酸性にする点である。
アベイラビリティー試験法では硝酸、TCLP法では酢
酸が用いられる。酸性条件では、重金属が溶解しやす
い。従って、このような試験法を尺度として重金属を安
定に処理できる場合、その時の処理材は、試験法の限定
を受けるものの、長期安定性が高いと考えることができ
る。例えば、セメント処理では、セメントのアルカリが
酸によって中和されると、水酸化物として不溶化してい
た重金属が可溶化する。有機液体薬剤処理では、その薬
剤のpHがアルカリ性であるために、硫黄で結合しなか
った重金属が水酸化物から再溶解する。また、酸によっ
て薬剤自体の分解が促進される。このように、セメント
や有機液体薬剤による現状の処理方法には長期安定性の
問題があるようである。
【0009】以上のように、廃棄物中の重金属安定化処
理に関して、重金属安定化性能に優れ、臭いもなく、安
価で、なおかつ廃棄物中の有害な重金属が長期間にわた
って再溶出しないよう強力に安定化しうる処理材および
処理方法が望まれている。
理に関して、重金属安定化性能に優れ、臭いもなく、安
価で、なおかつ廃棄物中の有害な重金属が長期間にわた
って再溶出しないよう強力に安定化しうる処理材および
処理方法が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような、重金属などを含有する廃棄物を安定化処理する
のに有効な廃棄物処理材を提供することである。特に本
発明は、上記のような都市ごみ焼却灰をはじめとして、
鉱さい、土壌、汚泥、シュレッダーダストに含まれる有
害な重金属などが長期間にわたって再溶出しないように
安定化することが可能な廃棄物処理材および処理方法を
提供することを目的とするものである。
ような、重金属などを含有する廃棄物を安定化処理する
のに有効な廃棄物処理材を提供することである。特に本
発明は、上記のような都市ごみ焼却灰をはじめとして、
鉱さい、土壌、汚泥、シュレッダーダストに含まれる有
害な重金属などが長期間にわたって再溶出しないように
安定化することが可能な廃棄物処理材および処理方法を
提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな廃棄物処理の現状における問題点を解決する目的で
鋭意検討した結果、この目的を達成しうる廃棄物処理材
と処理方法を得るに至った。即ち、本発明の処理材は、
可溶性の多価金属燐酸塩を主たる構成成分とする廃棄物
処理材であり、その中でも第1燐酸マグネシウム、第1
燐酸アルミニウムの少なくとも一方を含むことが好まし
いことを見いだした。更に、前記多価金属燐酸塩に、硫
酸アルミニウムもしくは鉄の少なくとも一方を更に加え
ることもできる。また、本発明の処理方法は、上記のよ
うな廃棄物処理材を、鉛、カドミウム、水銀、クロム、
銅、ニッケルからなる群より選ばれた少なくとも1つの
有害物質を含有する廃棄物とともに混合し、必要に応じ
て水を添加したものを混練し、養生固化させることを特
徴とする。この処理方法が適用される廃棄物としては、
焼却灰、鉱さい、土壌、または汚泥があげられる。ま
た、処理に際しては、前記第1燐酸マグネシウム、第1
燐酸アルミニウムの少なくとも一方を、廃棄物に対して
1重量%〜30重量%になるように添加することが好ま
しい。
うな廃棄物処理の現状における問題点を解決する目的で
鋭意検討した結果、この目的を達成しうる廃棄物処理材
と処理方法を得るに至った。即ち、本発明の処理材は、
可溶性の多価金属燐酸塩を主たる構成成分とする廃棄物
処理材であり、その中でも第1燐酸マグネシウム、第1
燐酸アルミニウムの少なくとも一方を含むことが好まし
いことを見いだした。更に、前記多価金属燐酸塩に、硫
酸アルミニウムもしくは鉄の少なくとも一方を更に加え
ることもできる。また、本発明の処理方法は、上記のよ
うな廃棄物処理材を、鉛、カドミウム、水銀、クロム、
銅、ニッケルからなる群より選ばれた少なくとも1つの
有害物質を含有する廃棄物とともに混合し、必要に応じ
て水を添加したものを混練し、養生固化させることを特
徴とする。この処理方法が適用される廃棄物としては、
焼却灰、鉱さい、土壌、または汚泥があげられる。ま
た、処理に際しては、前記第1燐酸マグネシウム、第1
燐酸アルミニウムの少なくとも一方を、廃棄物に対して
1重量%〜30重量%になるように添加することが好ま
しい。
【0012】
【発明の実施の形態】燐酸の多価金属塩には、燐酸マグ
ネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸カルシウム、燐酸
鉄、燐酸亜鉛、燐酸銀など多数のものが知られている
が、本発明の処理材に使用される多価金属燐酸塩は可溶
性である。ここで、可溶性とは25℃〜30℃において
水に対する溶解度が5重量%以上である性質をいい、ま
た難溶性とは同じく溶解度が5重量%未満をいう。本発
明では、工業的に入手可能であるという点で燐酸マグネ
シウム、燐酸アルミニウムが好ましい。燐酸マグネシウ
ム塩の中で好ましいものとしては、第1燐酸マグネシウ
ム(燐酸2水素マグネシウム)がある。これは、水溶性
であり、液体系薬剤の原料として使用できる。同様に第
1燐酸アルミニウムも好ましい。本発明で使用される第
1燐酸マグネシウム、第1燐酸アルミニウムは、液体、
粉体として工業的に入手可能なものならば使用可能であ
るが、液体が取り扱い容易であるのでより好ましい。ま
た、本発明で使用される第1燐酸マグネシウム、第1燐
酸アルミニウムには不可避的な不純物を含んでいても構
わない。
ネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸カルシウム、燐酸
鉄、燐酸亜鉛、燐酸銀など多数のものが知られている
が、本発明の処理材に使用される多価金属燐酸塩は可溶
性である。ここで、可溶性とは25℃〜30℃において
水に対する溶解度が5重量%以上である性質をいい、ま
た難溶性とは同じく溶解度が5重量%未満をいう。本発
明では、工業的に入手可能であるという点で燐酸マグネ
シウム、燐酸アルミニウムが好ましい。燐酸マグネシウ
ム塩の中で好ましいものとしては、第1燐酸マグネシウ
ム(燐酸2水素マグネシウム)がある。これは、水溶性
であり、液体系薬剤の原料として使用できる。同様に第
1燐酸アルミニウムも好ましい。本発明で使用される第
1燐酸マグネシウム、第1燐酸アルミニウムは、液体、
粉体として工業的に入手可能なものならば使用可能であ
るが、液体が取り扱い容易であるのでより好ましい。ま
た、本発明で使用される第1燐酸マグネシウム、第1燐
酸アルミニウムには不可避的な不純物を含んでいても構
わない。
【0013】燐酸塩には、燐酸、燐酸2水素ナトリウ
ム、燐酸1水素ナトリウムなど1価のカチオンの塩があ
るが、燐固形分が同じ場合には、多価金属塩の方が、重
金属の安定化能力が向上する。この作用機構は明確では
ないが、燐酸アルミニウムのアルミニウムが、廃棄物と
の混練時に遊離して、アルミ水和物を形成する。この水
和物が、プロトンを放出することで、中和作用を起こ
す。さらに、アルミ水和物は、水酸化アルミニウムに変
化して不溶化して重金属を包含する。同様のことが、第
1燐酸マグネシウムの場合にも起こると考えられる。従
って、高アルカリ性の飛灰に適用した場合には、1価の
カチオンが結合した燐酸塩よりも優れた重金属安定化性
能を有する。燐酸アルミニウムは、市販品を利用しても
よいが、アルミサッシ工場のアルミニウム加工工程で、
本来廃棄される水酸化アルミニウムを回収したアルミス
ラッジと燐酸を混合することで、安価に製造できる点で
好ましい。
ム、燐酸1水素ナトリウムなど1価のカチオンの塩があ
るが、燐固形分が同じ場合には、多価金属塩の方が、重
金属の安定化能力が向上する。この作用機構は明確では
ないが、燐酸アルミニウムのアルミニウムが、廃棄物と
の混練時に遊離して、アルミ水和物を形成する。この水
和物が、プロトンを放出することで、中和作用を起こ
す。さらに、アルミ水和物は、水酸化アルミニウムに変
化して不溶化して重金属を包含する。同様のことが、第
1燐酸マグネシウムの場合にも起こると考えられる。従
って、高アルカリ性の飛灰に適用した場合には、1価の
カチオンが結合した燐酸塩よりも優れた重金属安定化性
能を有する。燐酸アルミニウムは、市販品を利用しても
よいが、アルミサッシ工場のアルミニウム加工工程で、
本来廃棄される水酸化アルミニウムを回収したアルミス
ラッジと燐酸を混合することで、安価に製造できる点で
好ましい。
【0014】更に、前記燐酸塩に、硫酸アルミニウムも
しくは鉄から選択される少なくとも一方を添加すること
も本発明の範疇である。本発明に使用される鉄は、粉末
状、粒子状であることが好ましい。これは、粉末や粒子
の大きさが小さい程、活性は大きくなるので、還元作用
の点で好ましい。例えば、還元粉、噴霧粉、電解粉、粉
砕粉、急冷凝固粉、合金粉、複合粉、被覆粉などがあ
る。また、金属の精練工程や金属の加工工程で得られる
副産物(例えば、鉄の精練工程や加工工程で得られる製
鋼くずについては、吹練中に発生するスラグの発散流出
つまりスロッピングによって飛散したくず、バグハウス
中のダスト、金属鉄を含むスラグ、ショットブラスター
からの副産物など、粗粒ダストなど)のように一般には
製品にならない不純物を含んでいるものもよい。
しくは鉄から選択される少なくとも一方を添加すること
も本発明の範疇である。本発明に使用される鉄は、粉末
状、粒子状であることが好ましい。これは、粉末や粒子
の大きさが小さい程、活性は大きくなるので、還元作用
の点で好ましい。例えば、還元粉、噴霧粉、電解粉、粉
砕粉、急冷凝固粉、合金粉、複合粉、被覆粉などがあ
る。また、金属の精練工程や金属の加工工程で得られる
副産物(例えば、鉄の精練工程や加工工程で得られる製
鋼くずについては、吹練中に発生するスラグの発散流出
つまりスロッピングによって飛散したくず、バグハウス
中のダスト、金属鉄を含むスラグ、ショットブラスター
からの副産物など、粗粒ダストなど)のように一般には
製品にならない不純物を含んでいるものもよい。
【0015】第1燐酸アルミニウムや第1燐酸マグネシ
ウムは、50%固形分溶液として市販されている。この
燐酸塩は、酸性溶液である。例えば、第1燐酸アルミニ
ウム溶液を100倍希釈してpHを測定すると、pH
2.25である。このようにpHが低いと、この溶液
が、混練装置の鉄を腐食させる原因となる。従って、添
加量を低減するのがよい。鉄は、それよりも卑なものを
還元するので、重金属を安定化可能である。従って、鉄
と組み合わせると、燐酸塩の添加量を低減可能である。
また、硫酸アルミニウムは、鉛を若干安定化させる能力
があるので、これと燐酸アルミニウムを組み合わせるこ
とで、性能が向上するので、特に高アルカリ性飛灰に好
ましい。
ウムは、50%固形分溶液として市販されている。この
燐酸塩は、酸性溶液である。例えば、第1燐酸アルミニ
ウム溶液を100倍希釈してpHを測定すると、pH
2.25である。このようにpHが低いと、この溶液
が、混練装置の鉄を腐食させる原因となる。従って、添
加量を低減するのがよい。鉄は、それよりも卑なものを
還元するので、重金属を安定化可能である。従って、鉄
と組み合わせると、燐酸塩の添加量を低減可能である。
また、硫酸アルミニウムは、鉛を若干安定化させる能力
があるので、これと燐酸アルミニウムを組み合わせるこ
とで、性能が向上するので、特に高アルカリ性飛灰に好
ましい。
【0016】本発明の廃棄物処理材は、鉛、カドミウ
ム、水銀、クロム、銅、ニッケルからなる群より選ばれ
た少なくとも1つの有害物質を含有する廃棄物とともに
混合し、必要に応じて水を添加したものを混練し、養生
固化させることが好ましい。本発明を適用し得るこのよ
うな廃棄物としては、特に焼却灰、鉱さい、土壌、汚泥
が好適である。焼却灰には、主灰と飛灰がある。飛灰
は、都市ごみや産業廃棄物などの焼却に伴って発生する
粉状のばいじんや、溶融炉から発生するばいじんを集塵
したものであり、電気集塵器で集塵したEP灰や、バグ
フィルターなどで集塵したバグ灰などがあげられる。一
方、主灰は、都市ごみや産業廃棄物の焼却場で、焼却炉
下部より排出される灰であり、有害な重金属を含むもの
が対象となる。本発明では、鉱山より排出される鉱さ
い、重金属などで汚染された土壌中の重金属の安定化、
廃水処理にともない発生する重金属を含んだ汚泥につい
ても対象となる。
ム、水銀、クロム、銅、ニッケルからなる群より選ばれ
た少なくとも1つの有害物質を含有する廃棄物とともに
混合し、必要に応じて水を添加したものを混練し、養生
固化させることが好ましい。本発明を適用し得るこのよ
うな廃棄物としては、特に焼却灰、鉱さい、土壌、汚泥
が好適である。焼却灰には、主灰と飛灰がある。飛灰
は、都市ごみや産業廃棄物などの焼却に伴って発生する
粉状のばいじんや、溶融炉から発生するばいじんを集塵
したものであり、電気集塵器で集塵したEP灰や、バグ
フィルターなどで集塵したバグ灰などがあげられる。一
方、主灰は、都市ごみや産業廃棄物の焼却場で、焼却炉
下部より排出される灰であり、有害な重金属を含むもの
が対象となる。本発明では、鉱山より排出される鉱さ
い、重金属などで汚染された土壌中の重金属の安定化、
廃水処理にともない発生する重金属を含んだ汚泥につい
ても対象となる。
【0017】本発明の好ましい実施態様としては、ホッ
パーに集められた廃棄物と、別の薬液注入タンクもしく
はホッパーからの前記の廃棄物処理材とを混合し、必要
に応じてこれに水を加え賦型装置内で十分に練り合わせ
て押し出す。一般に、従来のセメントによる処理方法で
は廃棄物100重量部に対して10〜30重量部のセメ
ントを加えて混練を行う。本発明の処理材を用いる場合
には、セメントを同量加えた場合よりも優れた性能が得
られる。そのために、例えば、セメントと同等の重金属
の長期安定化能を希望する場合には、セメントよりも少
量の添加でよく、固化物の減容化が期待できる。また、
従来のセメントでは重金属の長期安定化が不十分な場合
には、セメントと同量の処理材を加えることで強力な重
金属安定化効果が期待できる。なお、本発明の処理材の
添加率は、燐酸塩が廃棄物に対して1〜30重量%にな
るように廃棄物とともに混合させることが好ましい。
パーに集められた廃棄物と、別の薬液注入タンクもしく
はホッパーからの前記の廃棄物処理材とを混合し、必要
に応じてこれに水を加え賦型装置内で十分に練り合わせ
て押し出す。一般に、従来のセメントによる処理方法で
は廃棄物100重量部に対して10〜30重量部のセメ
ントを加えて混練を行う。本発明の処理材を用いる場合
には、セメントを同量加えた場合よりも優れた性能が得
られる。そのために、例えば、セメントと同等の重金属
の長期安定化能を希望する場合には、セメントよりも少
量の添加でよく、固化物の減容化が期待できる。また、
従来のセメントでは重金属の長期安定化が不十分な場合
には、セメントと同量の処理材を加えることで強力な重
金属安定化効果が期待できる。なお、本発明の処理材の
添加率は、燐酸塩が廃棄物に対して1〜30重量%にな
るように廃棄物とともに混合させることが好ましい。
【0018】
【発明の効果】本発明の廃棄物処理材を用いて、有害重
金属を含有する産業廃棄物や都市ごみの焼却炉から排出
されるEP灰やバグ灰(特に、消石灰や生石灰を吹き込
んだEP灰やバグ灰)といった飛灰を処理した場合に
は、重金属安定化性能に優れ、臭いもなく、安価で、な
おかつ廃棄物中の有害な重金属が長期間にわたって再溶
出しないよう強力に安定化しうる。従って、本発明の廃
棄物処理材は、産業廃棄物や都市ごみ焼却炉から排出さ
れるEP灰やバグ灰などの飛灰の安定化処理に非常に有
効なものである。
金属を含有する産業廃棄物や都市ごみの焼却炉から排出
されるEP灰やバグ灰(特に、消石灰や生石灰を吹き込
んだEP灰やバグ灰)といった飛灰を処理した場合に
は、重金属安定化性能に優れ、臭いもなく、安価で、な
おかつ廃棄物中の有害な重金属が長期間にわたって再溶
出しないよう強力に安定化しうる。従って、本発明の廃
棄物処理材は、産業廃棄物や都市ごみ焼却炉から排出さ
れるEP灰やバグ灰などの飛灰の安定化処理に非常に有
効なものである。
【0019】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
【0020】(実施例1)処理材として、第1燐酸アル
ミニウム(太平化学製、固形分50%)を用いた。比較
処理材としては、有機液体薬剤スミキレートAC20N
(住友化学製)を用いた。都市ごみ焼却工場から排出さ
れた、鉛およびカドミウムを大量に含有する中性飛灰
(Pb含有量20000mg/Kg、無処理時のpH
6.6(環境庁告示13号法での抽出液のpH、以下、
同じ。))30gに対して、0.9gの上記処理材およ
び17.1gの水を添加して混練を行い、20℃で1日
間養生させた。その後、これらの処理材を用いた場合の
無害化効果を調べるために、米国のTCLP法に準じた
方法で、処理物20gを400ml酢酸溶液で3時間振
とうを行ない、鉛の溶出濃度を測定した。この時の実験
結果を以下の表1に示す。なお抽出溶媒のpHは2.9
(実施例1−1、比較例1−1、比較例1−2)、もし
くは4.9(実施例1−2、比較例1−3、比較例1−
4)とした。
ミニウム(太平化学製、固形分50%)を用いた。比較
処理材としては、有機液体薬剤スミキレートAC20N
(住友化学製)を用いた。都市ごみ焼却工場から排出さ
れた、鉛およびカドミウムを大量に含有する中性飛灰
(Pb含有量20000mg/Kg、無処理時のpH
6.6(環境庁告示13号法での抽出液のpH、以下、
同じ。))30gに対して、0.9gの上記処理材およ
び17.1gの水を添加して混練を行い、20℃で1日
間養生させた。その後、これらの処理材を用いた場合の
無害化効果を調べるために、米国のTCLP法に準じた
方法で、処理物20gを400ml酢酸溶液で3時間振
とうを行ない、鉛の溶出濃度を測定した。この時の実験
結果を以下の表1に示す。なお抽出溶媒のpHは2.9
(実施例1−1、比較例1−1、比較例1−2)、もし
くは4.9(実施例1−2、比較例1−3、比較例1−
4)とした。
【0021】
【表1】
【0022】表1の結果から、実施例1−1と比較例1
−1、1−2とを比較すると、実施例1−1の鉛の溶出
濃度が下がっている。同様のことが実施例1−2と比較
例1−3、1−4を比較しても分かる。つまり、第1燐
酸アルミニウムが、有機液体薬剤よりも優れていること
が分かる。
−1、1−2とを比較すると、実施例1−1の鉛の溶出
濃度が下がっている。同様のことが実施例1−2と比較
例1−3、1−4を比較しても分かる。つまり、第1燐
酸アルミニウムが、有機液体薬剤よりも優れていること
が分かる。
【0023】(実施例2)処理材として、第1燐酸アル
ミニウム(太平化学製、固形分50%)、第1燐酸マグ
ネシウム(太平化学製、固形分50%)を用いた。都市
ごみ焼却工場から排出された、鉛およびカドミウムを大
量に含有する中性飛灰(Pb含有量20000mg/K
g、無処理時のpH6.6)30gに対して、0.9g
の上記処理材および17.1gの水を添加して混練を行
い、20℃で3日間養生固化させた。その後、これらの
処理材を用いた場合の無害化効果を調べるために、米国
のTCLP法に準じた方法で、処理物20gを400m
l酢酸溶液で3時間振とうを行ない、鉛の溶出濃度を測
定した。この時の実験結果を以下の表2に示す。なお、
抽出溶媒のpHは4.9とした。
ミニウム(太平化学製、固形分50%)、第1燐酸マグ
ネシウム(太平化学製、固形分50%)を用いた。都市
ごみ焼却工場から排出された、鉛およびカドミウムを大
量に含有する中性飛灰(Pb含有量20000mg/K
g、無処理時のpH6.6)30gに対して、0.9g
の上記処理材および17.1gの水を添加して混練を行
い、20℃で3日間養生固化させた。その後、これらの
処理材を用いた場合の無害化効果を調べるために、米国
のTCLP法に準じた方法で、処理物20gを400m
l酢酸溶液で3時間振とうを行ない、鉛の溶出濃度を測
定した。この時の実験結果を以下の表2に示す。なお、
抽出溶媒のpHは4.9とした。
【0024】
【表2】
【0025】(実施例3)処理材として、第1燐酸アル
ミニウム(太平化学製、固形分50%)を用いた。比較
処理材としては、有機液体薬剤ニューエポルバ800
(ミヨシ油脂製)を用いた。都市ごみ焼却工場から排出
された、鉛を大量に含有する中性飛灰(Pb含有量20
000mg/Kg、無処理時のpH6.6)30gに対
して、1.8gの上記処理材および16.2gの水を添
加して混練を行い、20℃で1日間養生固化させた。そ
の後、これらの処理材を用いた場合の無害化効果を調べ
るために、米国のTCLP法に準じた方法で、処理物2
0gを400ml酢酸溶液で3時間振とうを行ない、鉛
の溶出濃度を測定した。この時の実験結果を以下の表3
に示す。なお、抽出溶媒のpHは4.9とした。表3の
結果より、実施例3の第1燐酸アルミニウムが、有機液
体薬剤よりも優れていることが分かる。
ミニウム(太平化学製、固形分50%)を用いた。比較
処理材としては、有機液体薬剤ニューエポルバ800
(ミヨシ油脂製)を用いた。都市ごみ焼却工場から排出
された、鉛を大量に含有する中性飛灰(Pb含有量20
000mg/Kg、無処理時のpH6.6)30gに対
して、1.8gの上記処理材および16.2gの水を添
加して混練を行い、20℃で1日間養生固化させた。そ
の後、これらの処理材を用いた場合の無害化効果を調べ
るために、米国のTCLP法に準じた方法で、処理物2
0gを400ml酢酸溶液で3時間振とうを行ない、鉛
の溶出濃度を測定した。この時の実験結果を以下の表3
に示す。なお、抽出溶媒のpHは4.9とした。表3の
結果より、実施例3の第1燐酸アルミニウムが、有機液
体薬剤よりも優れていることが分かる。
【0026】
【表3】
【0027】(実施例4)処理材として第1燐酸マグネ
シウム(粉体;太平化学製)、比較処理材としては、キ
レート系薬剤ニューエポルバ500(ミヨシ油脂製)を
用いた。都市ごみ焼却工場から排出された、鉛を大量に
含有するアルカリ性飛灰(環境庁13号法による無処理
における鉛溶出量、100mg/L)50gに対して、
5gの上記処理材および30gの水を添加して混練を行
い、7日間養生固化させた。なお、比較例で用いたキレ
ート系薬剤の添加率は、廃棄物処理場で一般的に使用さ
れている3%とした。その後、これらの処理材を用いた
場合の無害化効果を調べるために、アベイラビリティー
法で鉛の溶出試験を行った。この時の実験結果を以下の
表4に示す。また、環境庁告示13号法による鉛溶出量
も測定して表4に示した。表4の結果から、比較例であ
るキレート系薬剤は、少量の添加で鉛の規制値(0.3
mg/l)に達する。しかし、アベイラビリティー試験
では、相対溶出可能量は20%以上であった。これか
ら、第1燐酸マグネシウムが優れていることが分かる。
シウム(粉体;太平化学製)、比較処理材としては、キ
レート系薬剤ニューエポルバ500(ミヨシ油脂製)を
用いた。都市ごみ焼却工場から排出された、鉛を大量に
含有するアルカリ性飛灰(環境庁13号法による無処理
における鉛溶出量、100mg/L)50gに対して、
5gの上記処理材および30gの水を添加して混練を行
い、7日間養生固化させた。なお、比較例で用いたキレ
ート系薬剤の添加率は、廃棄物処理場で一般的に使用さ
れている3%とした。その後、これらの処理材を用いた
場合の無害化効果を調べるために、アベイラビリティー
法で鉛の溶出試験を行った。この時の実験結果を以下の
表4に示す。また、環境庁告示13号法による鉛溶出量
も測定して表4に示した。表4の結果から、比較例であ
るキレート系薬剤は、少量の添加で鉛の規制値(0.3
mg/l)に達する。しかし、アベイラビリティー試験
では、相対溶出可能量は20%以上であった。これか
ら、第1燐酸マグネシウムが優れていることが分かる。
【0028】
【表4】
【0029】(実施例5)処理材として、第1燐酸アル
ミニウム(太平化学製、固形分50%)、鉄粉(和光純
薬製)を各種混合して以下の表5に示す処理材を得た。
都市ごみ焼却工場から排出された中性飛灰30gに対し
て、1.2gの上記処理材および18gの水を添加して
混練を行い、20℃で1日間養生固化させた。その後、
これらの処理材を用いた場合の無害化効果を調べるため
に、TCLP法に準じた方法で、処理物20gを400
ml酢酸溶液で3時間振とうを行い、鉛の溶出濃度を測
定した。この時の実験結果を以下の表5に示す。なお、
抽出溶媒のpHは4.9であった。
ミニウム(太平化学製、固形分50%)、鉄粉(和光純
薬製)を各種混合して以下の表5に示す処理材を得た。
都市ごみ焼却工場から排出された中性飛灰30gに対し
て、1.2gの上記処理材および18gの水を添加して
混練を行い、20℃で1日間養生固化させた。その後、
これらの処理材を用いた場合の無害化効果を調べるため
に、TCLP法に準じた方法で、処理物20gを400
ml酢酸溶液で3時間振とうを行い、鉛の溶出濃度を測
定した。この時の実験結果を以下の表5に示す。なお、
抽出溶媒のpHは4.9であった。
【0030】
【表5】
【0031】表5の実験結果から明らかなように、実施
例5−2、5−3のように、鉄粉と燐酸塩を組み合わせ
ることで、燐酸塩の添加量を少なくして、性能を維持で
き、かつ、pHを抑えることができる。
例5−2、5−3のように、鉄粉と燐酸塩を組み合わせ
ることで、燐酸塩の添加量を少なくして、性能を維持で
き、かつ、pHを抑えることができる。
【0032】(実施例6)処理材として、第1燐酸アル
ミニウム(太平化学製、固形分50%、P2 O5換算燐
分34%)、燐酸(燐化学工業製、燐酸分85%)、硫
酸バンド(浅田化学製、酸化アルミニウム分8%、50
倍希釈時のpH3.68)を各種混合して、以下の表6
に示す処理材を得た。都市ごみ焼却工場から排出された
高アルカリ性飛灰(環境庁告示13号法での無処理にお
ける鉛溶出量32mg/L、pH12.42)30gに
対して、9g(30重量部)の硫酸バンドおよび燐酸も
しくは第1燐酸アルミニウムを所定の濃度になるように
加えて、水で総量を21g(70重量部)に調整した希
釈薬剤を添加して混練を行い、20℃で1日間養生固化
させた。燐分は、P2 O5 固形分が、飛灰に対して1.
8、3.7、6.1、もしくは12.2重量部になるよ
うに、燐酸もしくは第1燐酸アルミウニムを調整した。
その後、これらの処理材を用いた場合の無害化効果を調
べるために、環境庁告示13号法で鉛の溶出濃度を測定
した。この時の実験結果を以下の表6に示す。
ミニウム(太平化学製、固形分50%、P2 O5換算燐
分34%)、燐酸(燐化学工業製、燐酸分85%)、硫
酸バンド(浅田化学製、酸化アルミニウム分8%、50
倍希釈時のpH3.68)を各種混合して、以下の表6
に示す処理材を得た。都市ごみ焼却工場から排出された
高アルカリ性飛灰(環境庁告示13号法での無処理にお
ける鉛溶出量32mg/L、pH12.42)30gに
対して、9g(30重量部)の硫酸バンドおよび燐酸も
しくは第1燐酸アルミニウムを所定の濃度になるように
加えて、水で総量を21g(70重量部)に調整した希
釈薬剤を添加して混練を行い、20℃で1日間養生固化
させた。燐分は、P2 O5 固形分が、飛灰に対して1.
8、3.7、6.1、もしくは12.2重量部になるよ
うに、燐酸もしくは第1燐酸アルミウニムを調整した。
その後、これらの処理材を用いた場合の無害化効果を調
べるために、環境庁告示13号法で鉛の溶出濃度を測定
した。この時の実験結果を以下の表6に示す。
【0033】
【表6】
【0034】表6の実験結果を見ると、比較例6−5と
比較例6−6とを比較すると、硫酸バンドの添加で、鉛
溶出量が低下する。また、比較例6−1から比較例6−
4までと、比較例6−5とを比較すると、燐酸の添加で
性能が向上する。さらに、比較例6−1から比較例6−
4までと、実施例6−1から実施例6−4までとを比較
すると、燐酸をアルミニウム塩にすると鉛溶出量がさら
に低下している。以上の結果は、燐酸アルミニウムが燐
酸と比較して鉛安定化性能に優れること、および硫酸バ
ンドと組み合わせることで鉛溶出量の低下が可能なこと
を示している。
比較例6−6とを比較すると、硫酸バンドの添加で、鉛
溶出量が低下する。また、比較例6−1から比較例6−
4までと、比較例6−5とを比較すると、燐酸の添加で
性能が向上する。さらに、比較例6−1から比較例6−
4までと、実施例6−1から実施例6−4までとを比較
すると、燐酸をアルミニウム塩にすると鉛溶出量がさら
に低下している。以上の結果は、燐酸アルミニウムが燐
酸と比較して鉛安定化性能に優れること、および硫酸バ
ンドと組み合わせることで鉛溶出量の低下が可能なこと
を示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C02F 11/00 ZAB B09B 3/00 304A 101 304K
Claims (6)
- 【請求項1】 少なくとも1種の可溶性の多価金属燐酸
塩を構成成分とすることを特徴とする廃棄物処理材。 - 【請求項2】 前記多価金属燐酸塩が、第1燐酸マグネ
シウム、第1燐酸アルミニウムの少なくとも一方である
請求項1記載の廃棄物処理材。 - 【請求項3】 多価金属燐酸塩に、硫酸アルミニウムも
しくは鉄の少なくとも一方を更に加えてなる請求項1記
載の廃棄物処理材。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の廃棄物
処理材を、鉛、カドミウム、水銀、クロム、銅、ニッケ
ルからなる群より選ばれた少なくとも1つの有害物質を
含有する廃棄物とともに混合し、必要に応じて水を添加
したものを混練し、養生固化させることを特徴とする廃
棄物処理方法。 - 【請求項5】 前記廃棄物が、焼却灰、鉱さい、土壌、
または汚泥である請求項4記載の廃棄物処理方法。 - 【請求項6】 第1燐酸マグネシウム、第1燐酸アルミ
ニウムの少なくとも一方を、廃棄物に対して1重量%〜
30重量%になるように添加してなる請求項4記載の廃
棄物処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8048863A JPH09239340A (ja) | 1996-03-06 | 1996-03-06 | 廃棄物処理材および廃棄物処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8048863A JPH09239340A (ja) | 1996-03-06 | 1996-03-06 | 廃棄物処理材および廃棄物処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09239340A true JPH09239340A (ja) | 1997-09-16 |
Family
ID=12815125
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8048863A Pending JPH09239340A (ja) | 1996-03-06 | 1996-03-06 | 廃棄物処理材および廃棄物処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09239340A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100442924B1 (ko) * | 2001-12-03 | 2004-08-02 | 장영옥 | 중금속 안정화제 및 이를 이용하여 중금속 함유 폐기물을안정화하는 방법 |
JP2005509517A (ja) * | 2001-11-21 | 2005-04-14 | ソルヴェイ | 鉱物残査を不活性化する方法 |
JP2010089003A (ja) * | 2008-10-07 | 2010-04-22 | Ryoko Lime Industry Co Ltd | 重金属安定化組成物の製造方法 |
JP2011162795A (ja) * | 2011-05-16 | 2011-08-25 | Panasonic Corp | ポリウレタン組成物およびポリウレタンのリサイクル方法 |
CN116375450A (zh) * | 2022-09-08 | 2023-07-04 | 南方科技大学 | 一种固化飞灰的方法及其烧结产物 |
-
1996
- 1996-03-06 JP JP8048863A patent/JPH09239340A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005509517A (ja) * | 2001-11-21 | 2005-04-14 | ソルヴェイ | 鉱物残査を不活性化する方法 |
KR100442924B1 (ko) * | 2001-12-03 | 2004-08-02 | 장영옥 | 중금속 안정화제 및 이를 이용하여 중금속 함유 폐기물을안정화하는 방법 |
JP2010089003A (ja) * | 2008-10-07 | 2010-04-22 | Ryoko Lime Industry Co Ltd | 重金属安定化組成物の製造方法 |
JP4573893B2 (ja) * | 2008-10-07 | 2010-11-04 | 菱光石灰工業株式会社 | 重金属安定化組成物の製造方法 |
JP2011162795A (ja) * | 2011-05-16 | 2011-08-25 | Panasonic Corp | ポリウレタン組成物およびポリウレタンのリサイクル方法 |
CN116375450A (zh) * | 2022-09-08 | 2023-07-04 | 南方科技大学 | 一种固化飞灰的方法及其烧结产物 |
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