JP4408226B2 - 鉛を含む土壌の処理方法 - Google Patents

鉛を含む土壌の処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4408226B2
JP4408226B2 JP2004030143A JP2004030143A JP4408226B2 JP 4408226 B2 JP4408226 B2 JP 4408226B2 JP 2004030143 A JP2004030143 A JP 2004030143A JP 2004030143 A JP2004030143 A JP 2004030143A JP 4408226 B2 JP4408226 B2 JP 4408226B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lead
soil
calcium source
substance
containing lead
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004030143A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005218973A (ja
Inventor
信彦 阿部
泰史 山本
忠士 末岡
久範 青山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Taiheiyo Cement Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiheiyo Cement Corp filed Critical Taiheiyo Cement Corp
Priority to JP2004030143A priority Critical patent/JP4408226B2/ja
Publication of JP2005218973A publication Critical patent/JP2005218973A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4408226B2 publication Critical patent/JP4408226B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は、鉛を含む土壌を加熱処理して鉛を除去し、セメント原料等として用い得る焼成物を得るための処理方法に関する。
近年、工場跡地等を宅地化あるいは商業施設化するに伴い、土壌汚染の問題が顕在化している。土壌環境センターの調査報告によると、土壌の浄化作業が必要な場所は、全国で数十万箇所に及ぶとの試算もある。さらに、2003年2月には土壌汚染対策法が施行され、土壌汚染への対策が急務となっている。
土壌汚染対策法によると、有害物質を使用する特定施設を廃止するなどした場合、事業者または土地所有者は、指定調査機関に依頼して、特定施設の跡地の土壌を調査することが義務付けられている。この調査の結果、判定基準を満たさずに不合格となった場合、都道府県知事は、この跡地を「指定区域」として指定するとともに、人の健康に被害が生ずるおそれがある場合には、土地所有者に対して汚染の除去等の措置を命ずることとなっている。
「指定区域」を解除するためには、指定区域内の土壌をその場で無害化するか、あるいは、指定区域内の土壌を他の場所に搬出して処理することが必要である。
このうち、指定区域内の土壌をその場で無害化するための方法としては、例えば、セメント、薬剤等を用いて有害物質を土壌中に封じ込めて不溶出化する方法等が挙げられる。
また、指定区域内の土壌を他の場所に搬出して処理する方法としては、例えば、管理型処分場で処分する方法や、浄化施設で浄化する方法や、セメント工場で処理する方法等が挙げられる。これらの方法によれば、短期間に大量かつ確実に指定区域内の汚染を除去することができる。
特に、セメント工場で処理する方法は、一度に大量の土壌を処理することができ、しかも、処理に伴って発生する焼成物をセメント原料として利用することができることから、今後の主流になると予測される。
しかし、鉛等の重金属を含む土壌をセメント工場で処理した場合、処理後に得られる焼成物の中に重金属が残存し、この焼成物を原料として製造されるセメントが重金属を含むことになるという問題がある。
この問題を解消するには、例えば、処理対象の土壌に塩化カルシウム等の塩化物を加えて、加熱炉内で加熱し、重金属を塩化揮発させる方法が考えられる。しかし、この場合、焼成物中の塩素の含有量が大きくなり、セメントの品質を低下させるなどの不都合がある。
そのため、鉛を含む土壌を加熱処理して、セメント原料となる焼成物を得るに際して、鉛及び塩素を焼成物中に残存させない方法が求められている。
一方、重金属を含む物質を無害化する方法として、従来、以下に述べるような種々の方法が提案されている。
一例として、1,000〜1,100℃に予熱したロータリーキルンに汚染土壌を投入し、空気を通じながら加熱し、揮発しやすい重金属を揮発させ、汚染土壌から除去する方法が知られている(非特許文献1)。この方法において、揮発せずに残留する重金属は、加熱処理によって水に溶けにくい酸化物に変化する。
しかし、この方法は、汚染土壌中に鉛が含まれている場合、鉛の不溶化をなし得る反面、汚染土壌からの鉛の除去性能については土壌の性状によってバラツキがみられることから、セメント原料の調整法として必ずしも適当ではなかった。
他の例として、工場現場から出る土壌の如き汚染された鉱物物質を、ロータリーキルン内で熱処理する方法であって、熱処理をロータリーキルンの装填物がペースト状ないし液状のスラグ相に変わる温度(例えば、1,150〜1,400℃)で行い、その際、装填物の組成を調整してマトリックスを構成する主要成分が、SiO+Al+CaO+MgOの合計%を100%とした場合にSiO 60〜72%、Al 10〜30%及びCaO+MgO 5〜25%の範囲にあるスラグ相を生成させるなどした方法が知られている(特許文献1)。この方法において、生成するスラグ相は、有害物質を確実に閉じ込めることができる。
しかし、この方法で得られる処理後の鉱物物質は、スラグ相中に鉛を含むものであり、埋め立て処分用としては問題ないが、セメント原料としては不適当である。
他の例として、重金属汚染土壌の如き重金属含有廃棄物に対して、都市ゴミ焼却場等の飛灰の如き塩素含有廃棄物を混合して、塩素含有量が少なくとも2重量%である混合物を得た後、この混合物を750℃以上の温度で熱処理して、混合物中の重金属分を塩化揮発させると共に、残留重金属分を不溶安定化することを特徴とする重金属含有廃棄物の処理方法が知られている(特許文献2)。
しかし、この方法で得られる焼成物は、塩素を含むことがあり、セメント原料として用いるには不適当である。また、熱処理に伴って発生する排ガス中に塩素ガスが含まれているため、塩素ガスを除去するための装置が必要となるなど、設備面での負担が大きい。
他の例として、汚染土壌に水を添加して洗浄する方法(土壌洗浄法)が知られている。
しかし、この方法は、粗い粒子からなる土壌に対しては有効であるが、日本の国内で広く見られる粘土分を多く含む土壌に対しては効果的でないという問題がある。
環境省環境管理局水環境部土壌環境課、"重金属の加熱処理技術"、[online]、[2003年10月14日検索]、インターネット<URL: http://nett21.gec.jp/SGC_DATA/JP/html/sgcj-052.html> 特開昭63−310691号公報 特開平8−182983号公報
本発明は、上述の従来の問題点に鑑みて、鉛を含む土壌を無害化処理して、セメント原料として用い得る固体分を回収するに際して、該固体分に含まれる鉛及び塩素の含有率を小さくすることのできる処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、鉛を含む土壌に対し、高温雰囲気下でも溶融が生じ難くなるような所定の処理を行なった後、高温雰囲気を有する加熱炉内で、前記の処理で得られたものを溶融させずに加熱処理し、鉛を揮発させるようにすれば、鉛の含有率が小さい焼成物が得られること、及び、鉛の揮発を促進させるための塩化物を添加する必要がないことから、得られる焼成物が、鉛のみならず塩素も含まず、セメント原料として好適に用い得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の鉛を含む土壌の処理方法は、(A)鉛を含む土壌に対し、1,100℃以上の温度下でも溶融が生じないように、石灰石、生石灰及び消石灰からなる群より選ばれる一種以上であるカルシウム源を加える工程と、(B)前記工程(A)で得られた鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質を、加熱炉内で、1,100℃以上の温度下で溶融させずに加熱処理して、鉛を揮発させる工程とを含み、かつ、前記工程(A)で得られた鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質におけるCaO/(SiO +Al )のモル比が0.7以上となるように、前記工程(A)において、前記カルシウム源を添加することを特徴とする。
前記のCaO/(SiO +Al )のモル比は、好ましくは1.5以下である。
前記工程(B)における加熱炉の具体例としては、例えば、ロータリーキルンが挙げられる。この場合、前記鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質は、ロータリーキルンの窯尻側に直接投入することが好ましい。
本発明の方法は、必要に応じて、前記工程(B)の前に、前記鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質をペレット状の粒状物に形成する工程を含むこともできる。
前記工程(B)における加熱処理で得られた焼成物は、セメント原料として用いることができる。
本発明の鉛を含む土壌の処理方法によれば、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質の溶融を生じさせないため、焼成物の中に鉛が封じ込められることがなく、鉛を高い除去率で除去することができる。
また、鉛の揮発を促進させるための塩化物を添加する必要がないため、セメント原料として好適に用い得る、鉛及び塩素の含有率が小さい焼成物を得ることができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の鉛を含む土壌の処理方法は、(A)鉛を含む土壌に対し、1,100℃以上の温度下でも溶融が生じないように、石灰石、生石灰及び消石灰からなる群より選ばれる一種以上であるカルシウム源を加える工程と、(B)工程(A)で得られた鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質を、加熱炉内で、1,100℃以上の温度下で溶融させずに加熱処理して、鉛を揮発させる工程とを含み、かつ、工程(A)で得られた鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質におけるCaO/(SiO +Al )のモル比が0.7以上となるように、工程(A)において、前記カルシウム源を添加することを特徴とするものである
また、本発明において、必要に応じて、工程(A)と工程(B)の間に、鉛を含む物質をペレット状の粒状物に形成する工程を設けることもできる。
[工程(A)]
本工程は、鉛を含む土壌に対し、1,100℃以上、好ましくは1,150℃以上の温度下でも溶融が生じないように、石灰石、生石灰及び消石灰からなる群より選ばれる一種以上であるカルシウム源を加える工程である。
鉛を含む土壌としては、鉛を含む汚染物が水を介して土中に拡散して生じる汚染土壌の他、飛灰やスラグ等の鉛を含む物質が外部から加えられて生じる汚染土壌等が挙げられる。
鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質の溶融が生じない温度として「1,100℃以上」と定めた理由は、工程(B)における鉛の揮発量を大きくするためである。つまり、1,100℃未満で鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質の溶融が生じる場合には、工程(B)において、1,100℃以上の温度に昇温して鉛を揮発させようとすると、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質が溶融して鉛が封じ込められてしまうからである。
カルシウム源の添加量は、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質におけるCaO/(SiO+Al)のモル比が0.7以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上となる量に定められる。該モル比が0.7未満では、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質が1,100℃未満で溶融するおそれがあり、工程(B)における鉛の除去率が小さくなることがある。
カルシウム源の添加量の上限は、特に制約を受けるものではない。ただし、CaO/(SiO+Al)のモル比が1.5を超えても、鉛の除去性能が大きく向上することはない。逆に、この場合は、処理対象物である鉛を含む土壌について、単位体積当たりのカルシウムの添加量が過大となり、処理の効率や処理に要するコストが増大するので、好ましくない。
なお、一般的な土壌の成分組成は、SiO:30〜65質量%、Al:5〜30質量%、Fe:3〜20質量%、CaO:5質量%以下、MgO:1質量%以下、NaO:1質量%以下である。つまり、一般的な土壌において、CaO/(SiO+Al)のモル比は、0.2以下である。
本発明においては、石灰石等のカルシウム源のみを加えればよく、鉛の揮発を促進させるための塩化物(塩素源)は、加える必要がない。そのため、本発明で得られる焼成物は、塩素の含有率が小さく、セメント原料として好適に用いることができる。
工程(A)で得られた鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質は、工程(B)で加熱処理する前にペレット状の粒状物に形成しておくことが好ましい。ペレット状であれば、工程(B)において、加熱炉からの排ガス中のダスト量を減少させることができる。
すなわち、図1に示す装置(後で詳述する)を使用する場合、キルン1内では、鉛等の揮発性重金属が揮発すると同時に、飛散ダストが発生する。そして、飛散ダストの粗粒分がサイクロン6で回収されて再度焼成工程に戻される一方、鉛等の重金属が凝集した微粒分は、バグフィルター9で回収されて系外に排出される。この飛散ダストの発生量が多いと、揮発した重金属の一部が飛散ダストに凝集し、この重金属を含む飛散ダストの相当量が、サイクロン6によって捕集され再度キルン1に戻される。そのため、鉛の除去率を向上させるには、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質2からの飛散ダストの発生量を減らすことが効果的である。一方、飛散ダストの発生量は、キルン1に供給される鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質2の性状に大きく依存する。この観点から、飛散ダストの発生量を減らすには、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質2をペレット化しておくことが好ましいのである。
鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質2をペレット化した場合、このペレット状の粒状物の粒度は、好ましくは1〜20mm、より好ましくは2〜15mmである。該粒度が1mm未満では、飛散ダストの発生量が大きくなり、該粒度が20mmを超えると、該粒状物に対する熱の伝達が不十分となり、鉛の揮発を阻害するおそれがある。
ペレット状に形成する方法としては、例えば、所定の形状の空洞部分を有する型の中に鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質を充填した後、所定の圧力(例えば、100〜150MPa)でプレス成形し、次いで、脱型して得られる鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質からなる成形体を砕いて、所定の大きさの粒度を有する粒状物を得る方法や、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質と、水を適当な割合で混合し、パン型のペレタイザー等で成型する方法等が挙げられる。
[工程(B)]
本工程は、工程(A)で得られた鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質を、加熱炉内で、1,100℃以上、好ましくは1,150℃以上の温度下で溶融させずに加熱処理して、鉛を揮発させる工程である。
ここで、「溶融させず」とは、半溶融のような部分的な溶融をも生じさせないことをいう。
また、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質は、少なくとも鉛の揮発が完了するまで溶融しない状態を保つことができれば十分であり、鉛の揮発の完了後に加熱炉内で溶融しても差し支えない。
加熱処理の温度が1,100℃未満では、酸化鉛の蒸気圧が小さいため、鉛を十分に揮発させることができず、焼成物中の鉛の含有率が大きくなる。
加熱処理の温度の上限値は、好ましくは1,700℃以下、より好ましくは1,600℃以下である。該値が1,700℃を超えると、CaO/(SiO+Al)のモル比を調整しても溶融が生じ易くなり、鉛の揮発を阻害するおそれがあると共に、キルンの運転上も好ましくない。
本工程において、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質を加熱処理して生成する酸化鉛は、1,200℃で100hPa(0.1atm)程度の蒸気圧を生じるものであり、十分な通風及び揮発のための時間が確保されれば、揮発して炉内のガス中に蒸散する。
加熱炉の具体例としては、例えば、ロータリーキルンが挙げられる。ロータリーキルンは、本体である胴部が回転し、かつ炉内に空気等の酸素含有ガスが所定の速度で流通する焼成炉である。鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質は、ロータリーキルン内を転動しながら一方向に徐々に移動していく過程で、炉内を一方向に流通する酸素含有ガスと満遍なく接触し、鉛を酸化鉛等の揮発成分に変えて放出する。なお、鉛の揮発成分には、酸化鉛以外に硫化鉛、塩化鉛等が含まれることがある。
ロータリーキルンの種類としては、酸化鉛の生成のために十分な量の酸素を供給することができる限りにおいて、内熱式と外熱式のいずれも用いることができる。特に、内熱式のロータリーキルンは、炉内で燃料を直接燃焼させるものであるため、酸素含有ガスの供給が十分に行なわれ、かつ炉内を適度の速度で流れるガス流が存在するものであり、本発明の加熱炉として好ましく用いられる。
ロータリーキルン等の加熱炉内を流れる酸素含有ガスの流速は、好ましくは1m/秒以上であり、より好ましくは2m/秒以上である。該流速が1m/秒未満では、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質中の鉛を酸化鉛として十分に揮発させることができなくなる。なお、内熱式のロータリーキルンを用いる場合、酸素含有ガスの流速は、ロータリーキルンの窯尻で測定される値として定められる。
内熱式のロータリーキルンを用いる場合、ロータリーキルン内における鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質の移動方向は、酸素含有ガスの流通方向(具体的には、バーナを設けた窯前側から、排ガス排出口を設けた窯尻側に向かう方向)とは反対の方向(向流)であることが好ましい。その理由は次のとおりである。
鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質と、酸素含有ガスの移動方向が同じ(並流)である場合には、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質は、バーナが設けられた窯前側に投入されるので、投入と同時に、最も高温の雰囲気下に置かれることになる。この場合、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質において、水分の除去(乾燥)と、鉛の揮発と、焼結(クリンカリング)が一時に進行するため、鉛の揮発が十分に行なわれないうちに焼結が完了し、キルンから排出される焼成物中の鉛の含有率が大きくなるおそれがある。
これに対し、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質と、酸素含有ガスの移動方向が反対(向流)である場合には、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質は、バーナから最も遠く温度が低い窯尻側に投入され、ロータリーキルン内で徐々に高温の位置へと移動していくことになる。この場合、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質において、水分の除去と、鉛の揮発と、焼結がこの順で行なわれるので、焼結前に鉛を十分に揮発させることができる。なお、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質がペレット状ではなく粉状である場合、焼結は、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質が塊状になるまで行なうことが望ましい。粉状の焼成物は、保管の際に粉塵を発生させ易く、扱いづらいからである。
鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質の溶融性は、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質中のSiO等の各成分の含有割合や、これら各成分の偏在性や、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質を構成する粒状物の粒度等によって変動する。そのため、鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質を溶融しない状態に保持し得る最高限界温度は、処理対象となる鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質の種類によって異なる。
次に、本発明の方法を実施するための設備について説明する。図1は、本発明の鉛を含む土壌の処理方法を実施するための設備を概念的に示す図である。
図1中、ロータリーキルン1の窯尻側から投入された鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質2は、ロータリーキルン1内を転動しながらバーナ3のある窯前側に向かって徐々に移動していき、その過程で乾燥(水分の除去)、鉛の揮発、焼結が順次行なわれる。焼結して生じる焼成物4は、ロータリーキルン1の窯前側から排出され、クーラ(図示せず)内で冷却された後、セメント原料として用いられる。
なお、本発明において、セメントクリンカ製造装置のようにロータリーキルンの窯尻側の上部に配設した仮焼炉に焼成原料(鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質)を投入した場合には、ロータリーキルンからの排ガスに含まれる酸化鉛を主成分とする鉛含有物質が、仮焼炉内の焼成原料(鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質)に付着して再度キルン内に戻されてしまうので、好ましくない。鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質は、ロータリーキルン1の窯尻側から直接キルン内に投入することが好ましい。
一方、ロータリーキルン1の窯尻側から排出された排ガス5は、サイクロン6に導かれ、粗粒分7と、粗粒分が除去された排ガス8とに分離される。このうち、粗粒分7は、鉛の含有率が小さいので、ロータリーキルン1に投入される前の鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質2に加えることが望ましい。
排ガス8は、バグフィルター9に導かれ、細粒分(鉛含有ダスト)10と、細粒分が除去された排ガス11とに分離される。なお、バグフィルター9に代えて、湿式集塵機等の他の細粒分捕集手段を用いてもよい。
排ガス11は、酸性ガス除去装置12にて酸性ガスを除去される。浄化された排ガス13は、ファン14によって煙突15に導かれ、大気中に排出される。
なお、排ガス中にダイオキシンを生成し得る物質が含まれている場合には、サイクロン6の前に二次燃焼バーナ及び冷却塔を設けて、ダイオキシンの生成を防止することが望ましい。
以下、本発明を実施例により説明する。
[実施例1]
乾燥処理した土壌100質量部に対し、酸化鉛0.3質量部を添加して混合し、試験用土壌とした。なお、乾燥処理した土壌の成分組成は、SiO:60.0質量%、Al:16.5質量%、Fe:7.9質量%、CaO:5.5質量%、MgO:2.2質量%、NaO:1.6質量%であった。
この試験用土壌100質量部に対し、石灰石粉末を100質量部添加して混合し、焼成用原料(本発明の鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質;試料)とした。この焼成用原料におけるCaO/(SiO+Al)のモル比は、0.8であった。
得られた粉状の試料(鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質)を図1に示す設備を用いて、次の手順で処理した。まず、試料をロータリーキルン1の窯尻側から投入した。ロータリーキルン1は、胴部の内径が270mm、胴部の長さが4,500mm、胴部の傾斜が0度、胴部の回転速度が40回/時、焼点温度(バーナ付近の最高温度)が1,240℃、窯尻ガス温度が845℃、被処理物(試料)の滞留時間が40分、窯尻における炉内ガスの流速が4m/秒、胴部の空洞部分の全体積に占める被処理物(試料)の体積の割合(充填率)が1.7%であった。
ロータリーキルンから排出された焼成物中の鉛の含有率は、0.024質量%であった。鉛を含む土壌中の鉛の除去率は、93.3%と算出された。
[実施例2]
実施例1と同様な配合で得られた粉体試料100質量部に対し、水15質量部を加え、パン型のペレタイザーを用いて成型し、ペレット状の粒状物(粒度:3〜10mm)を得た。
このペレット状の粒状物を実施例1と同様の条件で処理した。
ロータリーキルンから排出された焼成物中の鉛の含有率は、0.001質量%であった。鉛を含む土壌中の鉛の除去率は、99.5%と算出された。
[比較例1]
石灰石粉末の添加量を50質量部とし、焼成用原料におけるCaO/(SiO+Al)のモル比を0.4とした以外は実施例1と同様にして実験した。
その結果、焼成物中の鉛の含有率は、0.2質量%であった。鉛を含む土壌中の鉛の除去率は、10.1%と算出された。
本発明の鉛を含む土壌の処理方法を実施するための設備の一例を概念的に示す図である。
符号の説明
1 ロータリーキルン
鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質
3 バーナ
4 焼成物(セメント原料)
5,8,11,13 排ガス
6 サイクロン
7 粗粒分
9 バグフィルター
10 細粒分(鉛含有ダスト)
12 酸性ガス除去装置
14 ファン
15 煙突

Claims (6)

  1. (A)鉛を含む土壌に対し、1,100℃以上の温度下でも溶融が生じないように、石灰石、生石灰及び消石灰からなる群より選ばれる一種以上であるカルシウム源を加える工程と、
    (B)前記工程(A)で得られた鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質を、加熱炉内で1,100℃以上の温度下で溶融させずに加熱処理して、鉛を揮発させる工程と、
    を含み、かつ、
    前記工程(A)で得られた鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質におけるCaO/(SiO +Al )のモル比が0.7以上となるように、前記工程(A)において、前記カルシウム源を添加することを特徴とする鉛を含む土壌の処理方法。
  2. 前記のCaO/(SiO +Al )のモル比が1.5以下である請求項1に記載の鉛を含む土壌の処理方法。
  3. 前記工程(B)における加熱炉がロータリーキルンである請求項1又は2に記載の鉛を含む土壌の処理方法。
  4. 前記ロータリーキルンの窯尻側に前記鉛を含む物質を直接投入する請求項に記載の鉛を含む土壌の処理方法。
  5. 前記工程(B)の前に、前記鉛を含む土壌とカルシウム源とからなる物質をペレット状の粒状物に形成する工程を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の鉛を含む土壌の処理方法。
  6. 前記工程(B)における加熱処理で得られた焼成物を、セメント原料として用いる請求項1〜5のいずれか1項に記載の鉛を含む土壌の処理方法。
JP2004030143A 2004-02-06 2004-02-06 鉛を含む土壌の処理方法 Expired - Fee Related JP4408226B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004030143A JP4408226B2 (ja) 2004-02-06 2004-02-06 鉛を含む土壌の処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004030143A JP4408226B2 (ja) 2004-02-06 2004-02-06 鉛を含む土壌の処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005218973A JP2005218973A (ja) 2005-08-18
JP4408226B2 true JP4408226B2 (ja) 2010-02-03

Family

ID=34995034

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004030143A Expired - Fee Related JP4408226B2 (ja) 2004-02-06 2004-02-06 鉛を含む土壌の処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4408226B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013019734A (ja) * 2011-07-11 2013-01-31 Taiheiyo Cement Corp 汚染土壌の処理システム及び処理方法
US9653190B2 (en) * 2012-06-29 2017-05-16 Taiheiyo Cement Corporation Removal device for radioactive cesium
JP6091183B2 (ja) * 2012-11-26 2017-03-08 太平洋セメント株式会社 放射性セシウムの除去方法、及び、焼成物の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005218973A (ja) 2005-08-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4833093B2 (ja) ごみ焼却飛灰処理方法
CN106964637B (zh) 一种垃圾飞灰与冶金粉尘资源化清洁处理工艺
JP3910132B2 (ja) 重金属含有土壌の再資源化方法
JP3703111B2 (ja) セメント製造方法及び製造装置
JP4408226B2 (ja) 鉛を含む土壌の処理方法
JP6091183B2 (ja) 放射性セシウムの除去方法、及び、焼成物の製造方法
JP3948967B2 (ja) 人工骨材の製造方法
JP2006263530A (ja) 硫酸ピッチの処理方法
JP4949713B2 (ja) 重金属含有原料の焼成方法
JP4889925B2 (ja) 硫酸ピッチの処理方法及び処理装置
JP2006003013A (ja) 下水汚泥の処理方法および装置
JP4236733B2 (ja) ダイオキシンの熱分解方法および装置
JP2003245642A (ja) 重金属含有物質の無害化方法及び加熱炉
JPH08301641A (ja) 人工軽量骨材の製造方法
JP4467998B2 (ja) 重金属を含む土壌の処理方法
JPH1029882A (ja) 汚泥焼却時に発生する飛灰から溶融固化体を製造する方法
JP2007160223A (ja) 溶融スラグを利用した排ガス中和剤
JPH1029841A (ja) 人工骨材の製造方法
JPH07138054A (ja) ダイオキシン含有ダストの処理方法及び処理装置
JP4133352B2 (ja) 廃棄物、廃棄物を焼却した灰、あるいは汚泥の溶融処理方法
CN114315100B (zh) 一种飞灰处理工艺
JPH10226547A (ja) 人工骨材の製造方法
JP2004131755A (ja) 煤燼を製鉄原料とするための再資源化方法
JP4354554B2 (ja) アンモニア・尿素除去方法
JP4894806B2 (ja) アスベスト含有物の無害化処理方法およびセメントの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060316

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080516

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080527

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080718

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091104

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091106

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4408226

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121120

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121120

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131120

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees