JP3909608B2 - 真空処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は成膜用、エッチング用、又はイオン注入用の真空処理装置に関するものであり、更に詳しくは基板周辺の治具・装置部品を真空中で交換し得る真空処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】
例えば成膜用の真空処理装置においては、成膜させるべき基板にのみ成膜させ、基板以外には可及的に膜が付着しないように各種の工夫が行われている。これは膜の原材料の無駄な消費を抑制することのほかに、不必要な個所に付着した膜が厚膜化し、その内部応力が大になって、又、熱サイクルを受けることによって成膜プロセスの途中で剥離脱落してダストを発生させ、基板上の膜の品質を低下させることを防ぐためである。
【0003】
蒸着やスパッタリングによる成膜においては、基板の周辺に防着板を設けたり、蒸発源やスパッタターゲットと基板との間の距離を小さくし、成膜粒子の基板への入射角度を制限して、不必要な個所へ膜が付着しないようしている。又、プラズマCVDによる成膜ではプラズマ発生空間を最小にすることにより、熱CVDによる成膜では基板周辺の治具・装置部品を冷却することにより、不必要な個所への膜の付着を抑制することが行われている。
【0004】
これらの手段によって基板以外の個所への膜の付着は抑制されるが、付着が全く防止される訳ではない。そして、一般的には基板に距離的に近い治具・装置部品ほど膜の付着は多く、かつ基板に近い治具・装置部品に付着した膜は基板の汚染源となる可能性が最も大きい。
【0005】
蒸着やスパッタリングによる成膜では、現在のところ、蒸着材料やスパッタターゲットの交換が必要であるために、処理室を大気開放する交換時を利用して治具・装置部品の交換又は再生を行なうこともできるが、CVDによる成膜は、基本的には原料ガスボンベの交換を行なうだけで処理室を大気開放することなく連続成膜できるので、治具・装置部品の交換再生のために処理室を大気開放することは生産性を低下させコスト高を招くことになる。
【0006】
従って、処理室を大気開放しない方法として、円板状のウエハ基板に対しCVDによって成膜させる枚葉式の真空処理装置においては、成膜の完了した基板を処理室から取り出し、次の基板を処理室へ装填するまでの間に、処理室の内部をドライエッチングする、所謂、in situ(その場での)クリーニングによって治具・装置部品に付着した膜を除去する方法が検討されている。しかし、in situ クリーニングを行なう間は当然のことながら成膜できないし、又そのエッチングによって治具・装置部品が損傷し劣化してダスト源となる恐れもある。例えばW(タングステン)の熱CVDにおいて、治具・装置部品に付着したWを除去するのに、F(弗素)イオンやFラジカルを発生するSF6 (6弗化硫黄)ガス、NF3(3弗化窒素)ガス等が使用されるが、治具・装置部品がAl(アルミニウム)材であればAl弗化物が、又、ステンレス鋼材であればFe弗化物、Cr弗化物、Ni弗化物が表面に生成し、これらがフレーク状となってダスト源となる可能性が大きく、問題点の十分な解決策とはなっていない。又、現状では処理室の大気開放は不可避とした蒸着やスパッタリングにおいても、蒸着材料やスパッタターゲットを真空中で交換補充する方法が考案されつつあり、近い将来においては、処理室内に載置される治具・装置部品を交換するための処理室の大気開放は生産性を低下させる大きい要因になるものと思われる。
【0007】
さらには、基板をエッチングしたり、基板にイオン注入を行なう真空処理装置においても、エッチングガスや注入イオンによって基板周辺の治具・装置部品が損傷を受け、副生物を生成して基板の汚染源となり得るが、その交換再生のために処理室を大気開放することは生産性の点で好ましくない。しかし現在のところ、処理室を真空に維持したまま処理室内の治具・装置部品を交換し得る真空処理装置は知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする問題点】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、処理室の大気開放やin situクリーニングを必要とせず、処理室を真空維持したまま基板周辺の治具・装置部品を交換再生し得て、生産性を低下させない真空処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【問題点を解決するための手段】
以上の目的は、基板に成膜、エッチング、またはイオン注入を行なうための処理室を有する真空処理装置において、前記処理室内の下方に配置される基板の周辺、或いは上方に配置される基板と対向する下方に載置され昇降機構上において自重で保持される構造とした防着板、チムニ、カバーリング、基板ホールダ、マスク、アースシールド、前記処理室内に反応ガスを導入するためのシャワープレートに設けた外装プレートの中の少なくとも1つである治具・装置部品を、前記真空処理装置から系外へ取り出し、また前記系外から前記真空処理装置へ搬入するための独立して真空排気の可能な取出搬入室が前記処理室とは搬送室を挟んで、または前記処理室に隣設して配置され、前記各室間は開閉可能なゲート弁を介して接続されており、かつ前記搬送室又は前記処理室に隣設した前記取出搬入室には前記治具・装置部品を前記処理室から前記取出搬入室へ、及び前記取出搬入室から前記処理室へ搬送するために前記処理室内へ挿入される先端部を備えた搬送機器が設けられており、前記処理室は前記治具・装置部品の取出時、搬入時において真空に維持される真空処理装置であって、前記治具・装置部品は下面に環状U字溝が形成されており、前記治具・装置部品の昇降機構として、前記環状U字溝内に嵌合される上端部を丸めた少なくとも3本の治具・装置部品昇降ピンが前記処理室内へ挿入される前記搬送機器の先端部とは干渉しない位置に配置されていることを特徴とする真空処理装置、によって達成される。
【0010】
【作用】
処理室内の下方に配置される基板の周辺、或いは上方に配置される基板と対向する下方に配置され、成膜時に膜の付着した治具・装置部品、又はエッチング時、イオン注入時に損傷を受け劣化した治具・装置部品の系外への取り出しは、昇降ピンを上昇させ昇降ピンの上端部を治具・装置部品の下面の環状U字溝内に嵌合させて位置精度高く持ち上げ、その下方へ搬送機器の先端部を挿入した後、昇降ピンを下降させることによって治具・装置部品を搬送機器の先端部に乗せ、次いで治具・装置部品を搬送機器の先端部と共に処理室から取り出して取出搬入室へ収容し、然る後に取出搬入室のみを大気開放することによって行われ、治具・装置部品の系外から処理室への搬入は上記の取出と逆の手順によって行われる。そして、これらの間、処理室を大気開放することなく治具・装置部品の交換を行い得る。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例による真空処理装置について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は熱CVDによる成膜を行なうための第1実施例としてのマルチチャンバ方式の真空処理装置10の配置平面図である。中央部に搬送室2が設けられ、その内部には搬送機器として、中心点Oの回りに回動可能とされ伸縮可能なフロッグレッグアーム21が設けられている。搬送室2の外周の1面にはゲート弁6を介して処理室1が設けられ、ここにおいて基板への成膜が行われる。この処理室1と搬送室2とはそれぞれ図示しない真空排気装置によって常に真空に維持される。又、搬送室2の外面にはゲート弁7を介して取出搬入室3が設けられており、この取出搬入室3は独立して真空排気が可能となっている。そして、ゲート弁7を閉として大気開放し、治具・装置部品を系外へ取り出す時、又は系外から搬入する時に使用される。更には、搬送室2の外面には未成膜の基板を収容するローディング室4と、成膜ずみの基板を収容するアンローディング室5とがそれぞれのゲート弁8、9を介して設けられている。ローディング室4、アンローディング室5もそれぞれ独立して真空排気可能となっている。
【0013】
本発明の第1実施例の真空処理装置10は以上のように構成されるが、次にその作用について説明する。なお、ローディング室4には十分な枚数の未成膜の基板が収容され、各ゲート弁6、7、8、9は閉とされ、処理室1、搬送室2、取出搬入室3、ローディング室4、アンローディング室5は全て所定の真空度にあるものとする。
【0014】
ゲート弁6、8が開とされて、ローディング室4から所定の枚数の基板が搬送機器によって取り出され、搬送室2を経由して処理室1内へ搬送し装填してから、ゲート弁6、8を閉として熱CVDによる成膜が行われる。成膜の終了後、ゲート弁6、9を開として成膜ずみの基板は搬送機器によって処理室1から取り出され搬送室2を経由してアンローディング室5へ搬送して収容され、ゲート弁9は閉とされる。同時にゲート弁8が開とされ、前述と同様にして未成膜の基板が処理室1へ装填されてゲート弁6が閉とされ、成膜が行われる。
【0015】
上記のような操作を繰り返すことにより、処理室1内における基板周辺の治具・装置部品には膜が付着し厚膜化してくるが、所定の厚みとなった時点で、ゲート弁6、7を開とした状態で、治具・装置部品は搬送機器によって取り外され、処理室1から搬送室2を経由して取出搬入室3へ搬送して収容される。ゲート弁7を閉とした後、取出搬入室3を大気開放して治具・装置部品は図示しないゲートから取り出され、例えばウエットエッチングによって付着膜を除去して再生される。再生された、又は新しい治具・装置部品は取出搬入室3へ搬入し、密閉して所定の圧力に真空排気した後、ゲート弁6、7を開とした状態で取出搬入室3から搬送室2を経由して処理室1へ搬送して取り付けられる。そしてゲート弁6、7を閉として熱CVDによる成膜が再開される。以上述べたように、第1実施例の真空処理装置10は治具・装置部品の交換時においても処理室1が真空に維持されるので、装置としてのダウンタイムは短い。
【0016】
図2は、第1実施例と同様な熱CVDによる成膜を行なうための、第2実施例としてのマルチチャンバ方式の真空処理装置20の配置平面図である。取出搬入室3’がゲート弁7を介し処理室1に隣設して配置されていることが、第1実施例の配置と異なるが、処理室1、搬送室2、取出搬入室3’、ローディング室4、アンローディング室5は基本的には第1実施例の真空処理装置10と同様に構成され作用するので、それらの説明は省略する。ただ、取出搬入室3’には治具・装置部品を搬送するための搬送機器としてのフロッグレッグアーム21’が設けられており、処理室1と取出搬入室3’との間を搬送するようになっている。従って、搬送室2内の搬送機器としてのフロッグレッグアーム21”は基板のみを搬送することになるので、従来のマルチチャンバ方式の真空処理装置で使用されている搬送室、搬送機器をそのまま変更なしに使用できるという利点がある。
【0017】
図3は図1の第1実施例、図2の第2実施例の配置平面図に示されている処理室1の破断側面図である。処理室1内において、底板上に固定したホットプレート12上にウエハ基板13が載置され、ホットプレート12の中心部を貫通し上端にホットプレート12と同一面の支持板14pを備えた基板昇降ピン14が設けられている。又、ホットプレート12の外周に近接してリング状の水冷ブロック15が設けられており、その上面にカバーリング17が載置され自重で保持されている。更に、カバーリング17の下面には環状のU字溝17aが形成されている更にまた、後述の図4、図5も参照して、水冷ブロック15には、環状U字溝17aの直下となる位置で、かつ挿入される伸縮型アーム21の先端部の載置プレート22と干渉しない位置において上下方向に貫通し、上端部を丸めた3本の治具・装置部品昇降ピンとしてのカバーリング昇降ピン16が、上端をホットプレート12の面に揃えて、設けられているそして、カバーリング昇降ピン16を上昇させると、該昇降ピン16の上端部がカバーリング17の環状U字溝17aに嵌合されてカバーリング17を支持し上昇させ、また下降させるそのほか、処理室1の天板には、反応ガスを矢印aで示すような均一な流れとして導入するためのシャワープレート18が固定されており、底板には真空排気のためのノズル19が取り付けられている。このような構造において、成膜時にはウエハ基板13以外にはカバーリング17に最も膜が付着し、他の部分は水冷ブロック15にガードされていることもあり膜の付着は殆ど観察されない。図3に示す状態で熱CVDによる成膜が行われた後、成膜されたウエハ基板13の取り出しと、未成膜のウエハ基板13の装填とが行われて成膜が繰り返される。そして、カバーリング17に所定の厚さに膜が付着した時点で、カバーリング17の交換が行われる。
【0018】
ウエハ基板13の交換については図4、図5に示した。図4、図5は図3におけるウエハ基板13の周辺を示す図であり、図4はその破断側面図、図5は図4における[5]−[5]線方向の矢視図であるが、カバーリング昇降ピン16によってカバーリング17をリフトさせた後、更に基板昇降ピン14によってウエハ基板13をリフトさせ、かつホットプレート12とウエハ基板13との間に、搬送機器としての伸縮型アーム21の先端の載置プレート22を挿入した状態を示している。図状態から基板昇降ピン14を下降させることにより、ウエハ基板13は載置プレート22上に残り、その座ぐり23内に係止される。この後、伸縮型アーム21を縮めて載置プレート22を矢印bで示す水平方向に引き出すことにより、成膜されたウエハ基板13を処理室1から搬送室2内へ取り出せる。この後、カバーリング昇降ピン16を元の位置に戻す。未成膜のウエハ基板13の装填はこれとは逆の手順で行われる。
【0019】
カバーリング17の交換については図6、図7に示した。図6、図7は図4、図5と同様 図3におけるウエハ基板13の周辺を示し、図6はその破断側面図、図7は平面図であるが、カバーリング昇降ピン16によってカバーリング17のみをリフトさせ、かつホットプレート12とカバーリング17との間に、搬送機器としての伸縮型アーム21の先端の載置プレート22を挿入した状態を示している。図の状態から、カバーリング昇降ピン16を下降させることにより自重でのみ保持されているカバーリング17は載置プレート22上に残り、座ぐり24内に係止されるので、伸縮型アーム21を縮めて載置プレート22を矢印bで示す水平方向に引き出すことにより、膜の付着したカバーリング17を処理室1から、図1に示す真空処理装置10においては搬送室2内へ取り出せる。この後、ゲート弁6を閉、ゲート弁7を開としてカバープレート17を取出搬送室3へ収容し、次いでゲート弁7を閉としてから取出搬入室3のみを大気開放することによりカバーリング17を系外へ取り出せる。
【0020】
付着している膜を除去して再生されたカバーリング17は上記とは逆の経路を辿って、すなわち、取出搬入室3へ収容し、取出搬入室3を真空排気してから、搬送室2を経由して処理室1へ戻すことができる。処理室1が別のカバーリング17’を用いて成膜中である場合には、次の交換に備えて取出搬入室3内に収容しておくこともできる。
【0021】
図1に示す真空処理装置10の場合、ウエハ基板13とカバーリング17とを同一の伸縮型アーム21によって搬送するために、ウエハ基板13のみを搬送する従来の伸縮型アーム21'よりは強度を大にする必要がある。
【0022】
上記は真空処理装置10の場合を示したが、図2に示す真空処理装置20の場合には、膜の付着したカバーリング17は取出搬入室3'に設けられている伸縮型アーム21’によって処理室1から直接に取出搬入室3'へ搬送され、ゲート弁7を閉として大気開放した取出搬入室3'から系外へ取り出される。再生されたカバーリング17を処理室1へ戻す場合は逆の手順で行われる。なお、搬送室2を経由するウエハ基板13の搬送は搬送室2内の従来の伸縮型アーム21”で行われる。
【0023】
上記のように第1実施例の真空処理装置10、第2実施例の真空処理装置20の何れの場合も、カバーリング17の交換は処理室1を真空に維持したまま行なうことができる。
【0024】
次に成膜プロセスの途中においてカバーリング17を交換することの効果を示す。すなわち、第1実施例の真空処理装置10によってTiN付き8inφのSi(シリコン)ウエハ基板13に対してブランケットW(タングステン)CVDを行なった。TiN(窒化チタン)付きSiウエハとは成膜させるWとSi上にパターニングされているSiO2 膜との密着性をとるためにSiウエハの表面にTiNの薄膜を形成させたものである。又、ブランケットWCVDとはSiウエハ基板の表面全面に配線材料としてのWを成膜させるCVDを指す。この成膜に当たり、図3に示す処理室1内カバーリング17にはWと熱膨張係数の近いステンレス鋼SUS430材のものを使用した。熱膨張係数の近似した材料としてはこの他にMo(モリブデン)、Ti(チタン)があり、W材によるものとすることもできる。
【0025】
処理室1内の圧力40Torr、ウエハ基板13の温度450℃とし、反応ガスWF6 (6弗化タングステン)を100sccm(1分間当たりの標準状態立方センチメートル)、H2 (水素)ガスを1000sccmの流量で流した。Wと近い熱膨張係数のカバーリング17を用いることにより、付着したWの剥離を長時間抑えることはできたが、50μm以上の厚みになると剥離が観察され、ダストが発生し始めた。従って、厚さ20μm相当のWが付着する時間毎に、処理室1の真空を維持したままカバーリング17の交換を行った。
【0026】
成膜時間と8inφウエハ基板13上に検出された粒径0.3μm以上のダストの個数との関係を図8に○印で示した。又、比較のために、カバーリング17の交換を行わずに成膜させた場合についても、成膜時間とダストの個数の関係を図8に△印で示した。図8に見られるように、カバーリング17の交換を行った場合にはダストの個数は5〜10個と安定していた。これに対し交換を行わない場合には、成膜時間の経過と共にダスト個数は著しく増大したが、従来はこれを避けるために成膜を中断し、処理室1を大気開放してカバーリング17を交換するか、in situクリーニングをせねばならなかった。その点、本実施例の真空処理装置10において、処理室1の真空を維持したままカバーリング17を交換し得る効果は極めて大きい。このことは第2実施例の真空処理装置20においても同様である。
【0027】
上記実施例ではCVDによる成膜時におけるカバーリング17の交換について説明したが、これ以外の蒸着、スパッタリング、又はイオンオプレーティングによって成膜を行なう枚葉式の真空処理装置においても基板周辺の治具・装置部品を上記カバーリング17と同様に交換することができ、同様な効果が得られる。特にCVD、スパッタリングによる枚葉式の成膜においては、ウエハ基板13を下方に配置してウエハ基板13の成膜面を上向きとするフェイスアップ方式が一般的になっているので、ウエハ基板13の周辺の治具・装置部品を支持体に自重で保持する形状に作製して、上記実施例で説明した交換方法を広く採用し得る。
【0028】
上記の実施例のほか、図9はウエハ基板13を上方とするスパッタリングによる成膜のための処理室31内のアースシールド32、防着板33、ターゲット34の位置関係を示す破断側面図であり、アースシールド32および防着板33は処理室31の底板を支持体として載置されている。この場合においてターゲット34からのスパッタ粒子はアースシールド32、防着板33に付着し易いが、それぞれを図示しない昇降ピンで矢印のように上下させ、実施例で使用した伸縮型アームとその先端載置プレートを用いて真空中で交換することができる。
【0029】
又、図10はウエハ基板13を下方とするスパッタリング成膜のための処理室41内における部分成膜用のマスク42、基板ホールダ43、ターゲット34の位置関係を示す破断側面図であり、マスク42および基板ホールダ43はウエハ基板13上へ直接に載置されている。この場合にはターゲット34からのスパッタ粒子はマスク42は勿論、基板ホールダ43にも膜が付着し易いが、これらのマスク42、基板ホールダ43も、それぞれを図示しない昇降ピンで矢印のように上下させ、実施例における伸縮型アームの載置プレートそれらの下方に挿入する方式で真空中の交換が可能である。
【0030】
更には、図11はウエハ基板13を上方とするプラズマCVD成膜のための処理室51の破断側面図であり、反応ガスを矢印cのように導入するためのシャワープレート52と、上端がシャワープレート52の下面の外周縁部に接し、下端が処理室51の底板に接して載置されるように設けた外装プレート53と、ウエハ基板13との位置関係を示す。この場合において、外装プレート53には膜が最も付着し易いが、このようなシャワープレート52に設けた外装プレート53も図示を省略した昇降ピンで矢印のように上下させ、実施例における伸縮型アームの載置プレートを外装プレート53の下方へ挿入しての交換が可能である。
【0031】
なお、図9において防着板33としたものはウエハ基板13以外の部分へのスパッタ粒子の付着を可及的に抑制するものであるが、ターゲット34からのスパッタ粒子の飛散方向を規制することにも働いており、その観点に立てばチムニ(煙突)とも言える。更には、図10に示した基板ホールダ43はカバーリングであるとすることもできる。このように治具・装置部品はその構造、設置の状態、機能の解釈によって別の名称で呼ばれることがあり、一つの名称で一つの治具・装置部品を定義し得ないことが多い。
【0032】
以上は成膜を行なうための真空処理装置を例として説明したが、ドライエッチング行なう真空処理装置においても、基板周辺の治具・装置部品がエッチングガスによって損傷を受け劣化してダスト源となるので、所定時間のエッチング後には上述したと同様に真空中で交換することにより、基板の汚染を防ぎ得るし、基板へイオン注入を行なう真空処理装置においても、注入イオンによって基板周辺の治具・装置部品が損傷を受けてダスト源となる場合には、これらを真空中で交換することが好ましい。
【0033】
なお、上記で説明した交換はウエハ基板13のアンローディング室5を経由させて、系外へ取り出し、系外から搬入することもできるが、大気開放等によって膜が剥離して、アンローディング室5を汚すので、この方法は採用されるべきでない。
【0034】
以上、本発明の実施例について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基いて種々の変形が可能である。
【0035】
例えば、各実施例においては、取出搬入室3を1室のみ設けたが、図1の第1実施例において搬送室2に隣設して別な取出搬入室を設けて2室とし、一方は膜の付着した治具・装置部品の系外への取り出しに使用し、他方は既に再生の完了した治具・装置部品を収容しておくことに使用するようにしてもよい。又、取出搬入室3を上下2段に分離して上述の2室とすることも可能である。
【0036】
又、各実施例においては、治具・装置部品は着脱を容易とするために、支持体に載置して自重で保持させたが、これ以外の保持の方法、例えば治具・装置部品に係合用の突起を設け、支持体に形成させた係合孔へ挿入して保持することもできるし、治具・装置部品と支持体とをオン・オフ可能な磁気吸着または真空、減圧吸着等によって保持させることもできる。
【0037】
又、各実施例はウエハ基板13を処理する枚葉式の真空処理装置について述べたが、基板がロール状のスチール板、プラスチックフィルム等である連続式の真空処理装置においても、処理の途中において治具・装置部品を真空中で交換することは、真空処理装置のダウンタイムを短縮させ、コストを著しく低減させる。勿論、この場合は一端で基板としてのコイルを巻き戻し、他端でコイルを巻き取って、その中間で真空処理されることが多く、基板の搬送方法と治具・装置部品を交換するための搬送方法とは全く異なるが、取出搬入室を経由させて治具・装置部品を取り出し、搬入するという点では共通する。又、同様にインラインCVD、スパッタ装置でも可能である。
【0038】
【発明の効果】
本発明の請求項1の真空処理装置によれば、治具・装置部品は下面に環状U字溝が形成されており、処理室内に載置される治具・装置部品の昇降機構として、環状U字溝内に嵌合される上端部を丸めた少なくとも3本の治具・装置部品昇降ピンが処理室内へ挿入される搬送機器の先端部とは干渉しない位置に配置されているので、交換されるべき治具・装置部品は上昇される昇降ピンの上端部に自動的に位置合わせして正確な位置に保持され、挿入されている搬送機器の先端部へ位置精度高く下降されて搬送される。そして、処理室と搬送室を介して接続された独立して真空排気の可能な取出搬入室、又は処理室と直接に接続された独立して真空排気の可能な取出搬入室によって、処理室を大気開放することなく、処理室内の下方に配置される基板の周辺、或いは上方に配置される基板と対向する下方に載置される治具・装置部品を交換し得るので、これらの治具・装置部品に基づくダストの発生を抑制して基板の汚染を防ぐことができ、更には処理室を大気開放しないことにより真空処理装置のダウンタイムを短縮し生産性を大巾に向上させる。
また、請求項2の真空処理装置によれば、搬送機器の先端部に治具・装置部品に対する係止部と基板に対する係止部とが形成されているので、搬送中において治具・装置部品または基板は搬送機器の先端部において位置ズレ、落下を生ずることなく、安定かつ確実に搬送される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例によるマルチチャンバ方式の真空処理装置の配置平面図である。
【図2】本発明の第2実施例によるマルチチャンバ方式の真空処理装置の配置平面図である。
【図3】本発明の第1実施例、第2実施例に共通するCVD成膜のための処理室の破断側面図である。
【図4】 図3におけるウエハ基板周辺の破断側面図であり、図5と共にウエハ基板の交換を示す
【図5】 図4における[5]−[5]線方向の矢視図である
【図6】 図3におけるウエハ基板周辺の破断側面図であり、図7と共にカバーリングの交換を示す
【図7】 図6に対応する平面図である
【図8】カバーリングを交換した場合と交換しない場合について、成膜時間とウエハ基板上のダストの個数との関連を示す図である。
【図9】スパッタリングによる成膜のための処理室内における基板とターゲット、アースシールド、防着板との位置関係を示す破断側面図である。
【図10】スパッタリングによる成膜のための処理室内における基板とターゲット、マスク、基板ホールダとの位置関係を示す破断側面図である。
【図11】CVDによる成膜のための処理室内における基板とシャワープレート、外装プレートとの位置関係を示す破断側面図である。
【符号の説明】
1 処理室
2 搬送室
3 取出搬入室
3’ 取出搬入室
4 ローディング室
5 アンローディング室
12 ホットプレート
13 ウエハ基板
14 基板昇降ピン
15 水冷ブロック
16 カバーリング昇降ピン
17 カバーリング
17a カバーリングの環状U字溝
18 シャワープレート
21 伸縮型アーム
21’ 伸縮型アーム
22 載置プレート

Claims (2)

  1. 基板に成膜、エッチング、またはイオン注入を行なうための処理室を有する真空処理装置において、
    前記処理室内の下方に配置される基板の周辺、或いは上方に配置される基板と対向する下方に載置され昇降機構上において自重で保持される構造とした防着板、チムニ、カバーリング、基板ホールダ、マスク、アースシールド、前記処理室内に反応ガスを導入するためのシャワープレートに設けた外装プレートの中の少なくとも1つである治具・装置部品を、前記真空処理装置から系外へ取り出し、また前記系外から前記真空処理装置へ搬入するための独立して真空排気の可能な取出搬入室が前記処理室と前記搬送室を挟んで、または前記処理室に隣設して配置され、前記各室間は開閉可能なゲート弁を介して接続されており、かつ前記搬送室又は前記処理室に隣設した前記取出搬入室には前記治具・装置部品を前記処理室から前記取出搬入室へ、及び前記取出搬入室から前記処理室へ搬送するために前記処理室内へ挿入される先端部を備えた搬送機器が設けられており、前記処理室は前記治具・装置部品の取出時、搬入時において真空に維持される真空処理装置であって、
    前記治具・装置部品は下面に環状U字溝が形成されており、前記治具・装置部品の昇降機構として、前記環状U字溝内に嵌合される上端部を丸めた少なくとも3本の治具・装置部品昇降ピンが、前記処理室内へ挿入される前記搬送機器の先端部とは干渉しない位置に配置されていることを特徴とする真空処理装置。
  2. 前記搬送室に設けられ前記治具・装置部品を搬送する前記搬送機器が前記基板の搬送に兼用され、前記搬送機器の先端部に前記治具・装置部品に対する係止部と前記基板に対する係止部とが形成されている請求項1に記載の真空処理装置。
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