JP3909091B2 - 回転衝撃を緩衝する装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、緩衝装置の作用に抗して転がり軸受けにより相対回動可能な少なくとも2つのはずみ車質量体を用いて、特に内燃機関のトルク変動による回転衝撃を緩衝する装置において、これらのはずみ車質量体のうち、一方の、つまり第1のはずみ車質量体が内燃機関に結合可能であって、他方の、つまり第2のはずみ車質量体が、伝動装置の入力部分に結合可能である形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】
このように分割されたはずみ車または二質量体はずみ車は、車両運転において一般に有効であることが分かっており、比較的多くのコストがかかるにもかかわらず、従来のはずみ車に比べて有利であることにより、ますます広く普及している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、このような形式の二質量体はずみ車を、拡大された使用範囲に提供可能にし、しかも、二質量体はずみ車における一次はずみ車質量体と二次はずみ車質量体との質量慣性モーメントの分布を、必要に応じて簡単に適合できるようにすることである。
【0004】
さらに、このような二質量体はずみ車が経済的かつコスト的に有利に製造可能かつ組付け可能であって、出来るだけ少ない材料費によって製造できるのが望ましく、これにより、使用する原料使用量を可能な限り小さくすることができる。さらに、分割されたはずみ車の本発明による構成が、全ユニットに付加的な機能を組み込むことを可能にするのが望ましい。同様に、本発明の目的は、耐用寿命全体にわたるユニット全体の機能と耐久性とを保証することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の構成では、軸方向で見て内燃機関側から離れる方向で延びるフランジ範囲が、第1のはずみ車質量体に結合されていて、フランジ範囲が、摩擦クラッチのクラッチディスクに用いられる、第2のはずみ車質量体に設けられた摩擦面を超えて軸方向に突出していて、少なくとも1つの発信器マークを備えているようにした。
【0006】
【発明の効果】
発信器マークが切欠きによって形成されていると、特に有利であることが分かっている。この場合、発信器マークが、周方向で見て、壁厚さ全体を部分的に取り除くことによって形成されていると有利であることが分かっている。さらに、発信器マークが切除部として、つまり、内燃機関とは反対側で軸方向に開いた切除部として構成されていると有利であることが分かっている。これにより、発信器マークの容易な製造が可能となり、さらに、このような発信器マークは、必要な工具をコスト的に有利に構成可能にする。
【0007】
本発明による、回転衝撃を緩衝する装置の特に有利な構成では、フランジ範囲が、金属製の成形部分の一部として形成されている。この場合、この金属製の成形部分がほぼL字形の断面を有していると有利である。
【0008】
本発明の別の有利な構成によれば、金属製の成形部分が、薄板から製造された変形部分として形成されている。この場合、この金属製の成形部分が、深絞りされたカップ体、つまり前成形体から製造されていると有利であることが分かっている。
【0009】
さらに、軸方向に向いたフランジ範囲が、異なる直径範囲を有していると有利であることが分かっている。さらに、本発明による二質量体はずみ車の製造および機能のために、フランジ範囲が、第1のはずみ車質量体または一次はずみ車質量体の、軸方向に延びる区分に結合されていると有利であることが分かっている。さらにこの場合、第1のはずみ車質量体の軸方向の区分が、フランジ範囲を半径方向で取り囲んでいて、このフランジ範囲に部分的に軸方向に被さっていると有利であることが分かっている。
【0010】
フランジ範囲と、第1のはずみ車質量体の軸方向の区分とが互いにセンタリングされていると、本発明による装置のために特に有利である。特に、ユニット全体の組付けもしくは組立てのために、フランジ範囲と、第1のはずみ車質量体または一次はずみ車質量体の軸方向の区分とが、軸方向運動によってまとめられるようになっており、この軸方向運動を制限するストッパが設けられていると有利であることが分かっている。これにより、例えばこれらの部分を簡単にかつ繰返し可能に、正確な位置にもたらすことが保証される。
【0011】
フランジ範囲と軸方向区分とが軸方向で重なる範囲で、互いに固くかつ密に結合されていると、例えばユニットの耐用寿命に特に有利に作用する。この場合、フランジ範囲と軸方向の区分とが溶接継ぎ目によって結合されていると特に有利である。ここではレーザ溶接法が使用されると有利である。
【0012】
本発明による、回転衝撃を緩衝する装置の別の特に有利な構成によれば、軸方向の区分が第1のはずみ車質量体と一体に構成されている。さらに、この軸方向の区分を備えた第1のはずみ車質量体が薄板変形部分によって形成されていると特に有利である。この場合、薄板変形部分が深絞り加工されたカップ体であると有利である。
【0013】
本発明による装置の別の有利な構成によれば、半径方向内側に向いた金属製の成形部分の脚部が、周方向に作用する蓄力器のための負荷範囲を支持している。さらに、金属製の成形部分が半径方向で見て蓄力器の内方に、シール範囲を有していると、例えばユニット全体の耐用寿命を高めるために有利である。この場合、このシール範囲が、シールダイヤフラムのような接触シール部材のための接触範囲によって形成できると特に有利である。
【0014】
周方向で作用する蓄力器が、少なくともほぼシールされて、かつ粘性の媒体を少なくとも部分的に充填された環状の室内に配置されていると、本発明のよる装置のために特に有利であることが分かっている。この環状の室は、金属製の成形部分の区分から利用されて形成されている。
【0015】
本発明による別の基本思想は、第1のはずみ車の2つの薄板成形部分が、蓄力器を収容する環状の室を形成して、部分的には、軸方向で見て内燃機関側から離れる方向で同軸的に延びていることに見られる。2つの薄板部分の、軸方向に延びる部分が、半径方向で見て蓄力器の外方に配置されていると有利である。
【0016】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0017】
図1には、分割された二質量体はずみ車1が示されており、このはずみ車は、内燃機関のクランク軸(図示せず)に固定可能な第一はずみ車質量体または一次はずみ車質量体2と、第二はずみ車質量体または二次はずみ車質量体3とを有している。この二次はずみ車質量体3には摩擦クラッチが、クラッチディスクをはさんで固定可能であり、このクラッチディスクを介して、伝動装置(図示せず)が連結または遮断できる。このクラッチディスクは剛性的に構成されていてもよいが、しかし、緩衝部材および/または摩擦部材を有する別の構造か、またはライニング弾性体を備えた別の構造を有していてもよい。
【0018】
一次はずみ車質量体2および二次はずみ車質量体3は、支承装置4を介して相対回動可能に支承されていて、この支承装置は、この実施例では半径方向で見て孔5の外方に配置されている。この孔は、内燃機関の出力軸に一次はずみ車質量体2を組付けるための固定用ねじが貫通するために役立つ。ここでは単列のボールベアリングとして図示した支承装置4は、2つのシールキャップ6a,6bを有している。これらのシールキャップ6a,6bは、同時に両はずみ車質量体の間の断熱部材としても役立つことができる。この場合、これらの両質量体は、存在する熱伝達路を中断する。両シールキャップ6a,6bと、支承装置4の外レースの半径方向外側の範囲との間には、Oリング7a,7bが配置されている。半径方向内側では、シールキャップ6a,6bが皿ばね8a,8bによって、軸方向にばね弾性的に負荷されている。
【0019】
一次はずみ車質量体2と二次はずみ車質量体3との間には緩衝装置9が作用している。この緩衝装置はコイル圧縮ばね10を有していて、このコイル圧縮ばねは、円環状の範囲12を形成する環状の室11に配置されている。この場合、この環状の室11には、例えばオイルまたはグリースのような粘性の媒体が少なくとも部分的に充填されている。
【0020】
一次はずみ車質量体2は専ら、有利には薄板材料から製造されるかまたは深絞り加工された部材によって形成されている。この薄板成形部材13は、内燃機関の出力軸に、一次はずみ車質量体2、もしくは分割された二質量体はずみ車1全体を固定するために役立ち、半径方向外側の範囲で環状の室11を支持している。さらにこの薄板成形部材13は、ほぼ半径方向に延びるフランジ状の範囲14を有している。このフランジ状の範囲には、半径方向内側に支持フランジ15が配置されていて、この支持フランジは、固定用ねじを収容する孔または切欠き7の範囲を共に取り囲んでいる。支承装置4の単列転がり軸受けの内レース16は、支持フランジ15の端区分15aに設けられた外側の支持ショルダに収容されている。支承装置4の単列転がり軸受けの外レース17は二次はずみ車質量体3を支持していて、この二次はずみ車質量体3は、図示の実施例以外に、ほぼ平らなディスク体として形成することもできる。このために、二次はずみ車質量体3は中央の切欠きを有していて、この切欠きは、シールキャップ6a,6bと共に、転がり軸受けとして形成された支承装置4を収容するのに役立つ。
【0021】
ほぼ半径方向に延びる範囲14は、半径方向外側で、内燃機関側から離れる方向で延びる範囲18に移行していて、この範囲18は蓄力器10を、少なくともこの蓄力器の外周に被さるように少なくとも部分的に取り囲んで、案内するかもしくは支持している。薄板成形部材13の、半径方向外側に配置された範囲18は、軸方向に延びる外側の区分で、コイル圧縮ばねとして形成された蓄力器10に少なくとも部分的に被さって係合しており、環状の室11もしくはこの室の円環状の範囲12を半径方向外側に向かって制限している。この円環状の範囲の、内燃機関とは反対側の端部には、薄板成形部材13の範囲が次のような区分18aを有している。すなわち、まずほぼ半径方向外側に向かって延び、範囲18への移行範囲において、環状の室11またはこの室の円環状の範囲12を形成もしくは制限するために役立つような区分18aを有している。この実施例では、範囲18は、蓄力器10の軸方向長さの大部分にわたって延びている。この区分18aに続いて、ほぼ軸方向に内燃機関から離れる方向に延びる区分、もしくはスリーブ状の壁区分19が設けられていて、この壁区分は、薄板から深絞り加工されたほぼ断面L字形のカバー20を取り囲んで、センタリングしている。この壁区分19とカバー20(別にさらに詳しく触れる)とは、周面で閉じられた溶接継ぎ目20aを介してシールされるように結合されている。カバー20と、薄板成形部材13の範囲18とによって形成された円環状の範囲12は、周方向で見て個々の収容部に分割され、これらの収容部には、蓄力器10が設けられている。これらの個々の収容部は、やはり周方向で見て、蓄力器のための負荷範囲によって互いに分離されている。これらの負荷範囲は、それぞれ薄板成形部材13とカバー20とを軸方向に変形させることによって形成された変形部またはポケットによって形成できる。ばね10のための収容部は、薄板部分として形成された範囲18とカバー20とに設けられた湾曲部によって形成されている。
【0022】
二次はずみ車質量体3に設けられた、蓄力器10のための負荷範囲21は、例えばリベット23を介して二次はずみ車質量体3に結合された少なくとも1つの負荷手段22によって形成されている。この負荷手段は、蓄力器10と二次はずみ車質量体3との間のトルク伝達部材として働く。この負荷手段22は半径方向の負荷範囲21を有している。これらの負荷範囲は、ばね機構に相応して、全周にわたって分配されて配置されている。これらの負荷範囲21は、二質量体はずみ車1の休止状態において、つまりトルクが伝達されない場合、半径方向外側に向かって、各蓄力器10の端部の間に延びていて、薄板成形部材13に設けられた負荷範囲もしくはポケットと、カバー20に設けられた負荷範囲もしくはポケットとの間で軸方向に直接位置している。これらの負荷手段22は、二次はずみ車質量体3、またはこの二次はずみ車質量体に結合された別の部分に枢着された別個の部分によって形成されてもよい。
【0023】
二次はずみ車質量体3の熱排出もしくは冷却を改善するために、二次はずみ車質量体3の、摩擦面3aとは反対側の面の表面積が増大されている。面積増大のために、例えば鋼から打ち抜かれたはずみ車ディスクの背面に、例えばコイニング加工の過程で、菱形パターンなどが圧印されてよい。さらに、冷却作用を改善するために、機械的な加工により渦巻き形の凹部を設けるか、または円環フライスにより多重の偏心的な凹部を設けることが可能である。鋳造されたはずみ車ディスクの場合には、表面積増大は成形時に、つまり鋳造時に既に簡単に考慮することができる。
【0024】
粘性の媒体が充填された環状の室11をシールするために、シールダイヤフラム24が設けられている。図示の実施例では、このシールダイヤフラムは環状に構成されていて、一体に製造されている。このシールダイヤフラム24は、フランジまたは負荷手段22と二次はずみ車質量体3との間の半径方向内側の範囲に保持されて、この場所から半径方向外側に向かって、軸方向の中間室に延びている。この中間室は、二次はずみ車質量体3の、摩擦面3aとは反対側の面と、負荷手段22の範囲とによって軸方向で制限されている。このシールダイヤフラム24は、半径方向長さの範囲で、軸方向の変形部分を有していて、一次はずみ車質量体2の、薄板成形部分として構成されたカバー20のシール範囲に、軸方向にばね弾性的に当て付けられている。
【0025】
一次はずみ車質量体の内室には、粘性の媒体、例えば、潤滑グリースまたはこれに類似のもののようなペースト状の媒体が、部分的にしか充填されていないので、このようなシール部材は事実上、汚染物の侵入に対する所定のシール作用を行なえばよい。さらに、このグリースが液状であるのが望ましく、したがってこのグリースが付加的に半径方向にシール縁部にまで達してしまうような、極めて稀に生じるケースにおいては、シール部材はグリースの流出に対する所定のシール作用を確実に行なうことを必要とする。
【0026】
さらに一次はずみ車質量体2は、薄板成形部材13の範囲18と共に、リングギア26を支持している。このリングギアは一次はずみ車質量体2に、締り嵌めされるか、溶接されるか、または他の形式で一次はずみ車質量体2に固く結合されていてよい。
【0027】
クラッチとクラッチディスクとから成るクラッチユニットと共に、二質量体はずみ車1は構成ユニットを形成してもよい。この構成ユニット自体は、前組付けされているので、発送され、ストックされて、内燃機関のクランク軸に特に容易かつ合理的に組付けることができる。それというのは、このような構造により、種々の作業過程を行なわずにすむからである。さもなければ、クラッチディスクのためのセンタリング過程や、クラッチディスクの挿入のための作業過程や、クラッチの装着や、センタリング心棒の導入や、クラッチディスク自体のセンタリングや、場合によっては、ねじの差込みや、クラッチのねじ締結や、センタリング心棒の取外しが必要とされる。
【0028】
さらに、このような構成ユニットは既に支承装置4を組み込んだ状態で有していてもよい。このベアリングは支持フランジ15の端区分15aに位置決めされており、この支持フランジは、第1のはずみ車質量体または一次はずみ車質量体2に、この質量体に固定するために設けられている。さらに、フランジ状の範囲14および支持フランジ15に設けられた孔には、クランク軸にユニットを固定するための固定用ねじが既に前組付けされるか、もしくは設けられている。この場合、六角孔付きねじが使用されると有利である。これらのねじは、例えば従動性の手段によって、この位置で紛失不能にユニットに保持することができる。この場合この従動性の手段は、この手段の保持力がねじを締め付けた時に克服されるように設計されている。
【0029】
このような組付けユニットの場合、クラッチディスクは、プレッシャプレートと、二次はずみ車質量体3の摩擦面3aとの間で、クランク軸の回転軸線に対して予めセンタリングされた位置で緊締されている。さらに、クラッチディスクは次のような位置を占めている。すなわちこの場合、クラッチディスクに設けられた開口が、次のような位置、すなわち、内燃機関の被駆動軸にこの装置もしくは構成ユニットを固定する際に用いられるねじ回しを、前記開口を通して運動させることができるような位置を占めている。さらに、これらの開口は、固定用ねじのヘッドよりも小さくてよく、これにより、この装置内部におけるねじの申し分のない、紛失不能な保持作用が保証される。
【0030】
クラッチの圧着力を形成する皿ばねにも、その舌片の範囲に切欠きもしくは開口が、ねじ回しを貫通させるために設けられている。この場合、これらの切欠きは、各舌片の間に設けられた、スリットの拡張部または拡大部を形成している。皿ばねおよびクラッチディスクに設けられた開口は、軸方向で互いに重なっていて、これらが軸方向で整合一致するように配置されていることに基づき、ねじ締め付けのための、ひいては内燃機関のクランク軸にこの装置を固定するための組付け工具を貫通させるのを可能にする。
【0031】
さらに、二次はずみ車質量体3には、ユニット全体を冷却するための開口27が設けられていて、これらの開口は、周方向で見て長孔状に構成されている。ユニット全体を充分に冷却することによって、特に、円環状の範囲12に含まれたグリースのようなペースト状の媒体が許容されないほど加熱されて、これにより媒体の粘性が減じられて、媒体が液状になってしまうのが阻止されるようになっている。さらに、高められた熱負荷は、構成ユニットの耐用寿命全体に不都合に作用する。
【0032】
この構成ユニットは、例えば支持フランジ15の半径方向内側の範囲にパイロットベアリングを既に前組付けされた状態で有していてもよい。しかし、このことはこれ以上詳しくは説明しない。さらに、一次側と二次側との間に作用的に異なって構成された摩擦装置、つまり、例えば両質量体が所定の分だけ相対回動した後で初めて作用するような摩擦装置を設けることも可能である。
【0033】
以下に、カバー20の構成と、このカバーの位置と組付けとについて詳しく説明する。このカバー20は薄板変形部分、例えば深絞り加工部分として製造されてよい。深絞り加工過程後または変形過程後に、底部区分の半径方向内側範囲が取り除かれる。深絞り加工時に達成可能な精度によって、または例えばコイニング加工の過程のような別の変形ステップによって、軸方向の壁区分19の内周面と協働するカバー20の外周面は、軸方向の壁区分19の内周面に結合でき、これにより別の後加工なしにカバー20がセンタリングされることが保証される。
【0034】
図1から分かるように、カバー20はほぼL字形の断面を有している。このカバーの一方の脚部28は、軸方向で見て、内燃機関側から離れる方向に延びていて、カバーの他方の脚部29はほぼ半径方向内方に向かって、二質量体はずみ車1の回転軸線に向いている。半径方向内側に向いたこの脚部29は、半径方向内周面にシール範囲25を有している。このシール範囲はシールダイヤフラム24と協働する。このシール範囲25とシールダイヤフラム24とは互いに相対的に回動可能であり、この場合接触シール部材を形成している。この接触シールは、円環状の範囲12もしくは環状の室11を周囲に対してシールするために役立つ。
【0035】
半径方向外側には、脚部29に、傾いた区分または傾斜部30が設けられていて、この傾斜部30は、続いて軸方向の脚部28に移行している。この傾斜部30は、この実施例では次のように構成されている。すなわち、この傾斜部に接触した円錐体の頂点が、二質量体はずみ車1の回転軸線に位置するようになっていて、内燃機関に向くように構成されている。傾斜部30は、薄板成形部材13の、対応して加工成形された区分18aと協働して、軸方向に延びる壁区分19によって取り囲まれた室にカバー20を組付ける時に、軸方向におけるストッパとして働く。
【0036】
シール範囲25と傾斜部30との間の半径方向に、脚部29は軸方向の変形部を有していて、この変形部は、周方向で作用する蓄力器10のための負荷範囲31として働く。この場合蓄力器10は、対応する軸方向の湾曲部32に収容されている。これらの湾曲部32と負荷範囲31とは、薄板成形部材13の負荷範囲と湾曲部に対応して、周方向に配置されている。つまり負荷範囲31と湾曲部32とは、内燃機関から離れる軸方向で円環状の範囲12を制限している。湾曲部32は少なくともほぼ蓄力器の輪郭に適合させられていて、この蓄力器を部分的に取り囲んでいる。
【0037】
カバー20の軸方向の脚部28、つまり、内燃機関に向いた側で、湾曲して傾斜部30に結合された脚部は、まず円筒状のセンタリング範囲33を有していて、このセンタリング範囲の外周面は、薄板成形部材13の、軸方向で延びる範囲19の内周面に合わせて調和されていて、一次はずみ車質量体2の薄板成形部材13に対してカバー20をセンタリングしている。このセンタリング範囲33の軸方向長さの範囲で、カバー20と薄板成形部材13との溶接は、周面で閉じられた溶接継ぎ目20aによって行なわれる。このような溶接継ぎ目の形成に特に適しているのは、レーザ溶接法である。この溶接条件を改善するためにこの実施例では、溶接継ぎ目の範囲における軸方向の壁区分19の壁厚さが減じられていて、これにより、溶接継ぎ目は、軸方向の壁区分19に設けられた環状の溝34に埋め込まれている。
【0038】
カバーの、内燃機関とは反対側では、カバー20のセンタリング範囲33に続いて移行範囲35が設けられている。この移行範囲は区分36に移行しており、この区分の直径は、センタリング範囲33に比べて増大されるように構成されている。図1に示した実施例において、移行範囲35の範囲では、軸方向の壁区分19の壁厚さが減じられるか、もしくはこの軸方向範囲の内径が増大されているので、移行範囲35、ならびに場合によっては、直径が増大した区分36を備えた範囲の一部を、壁区分19によって形成された鉢状の内室内部に配置することができる。
【0039】
増大した直径を有する脚部の区分36の大部分は、軸方向で見て内燃機関から離れる方向で、薄板成形部材13の軸方向の壁区分19を超えて突出して、この軸方向範囲において、二質量体はずみ車1の半径方向外側の制限部を形成している。さらに、軸方向の壁区分19と、鉢状のカバー20の脚部28との一部は、二次はずみ車質量体の摩擦面3aを超えて軸方向に突出している。ここで図示した実施例においては、区分36のほぼ全体が、二次はずみ車質量体3の軸方向全長を超えて突出していて、摩擦クラッチに向かって突出している。
【0040】
範囲19を超えて軸方向に突出した前記区分36の部分には、少なくとも1つの切欠き37が設けられている。図2から分かるようにこの実施例では、2種類の切欠き37または切除部が設けられていて、これら切欠きまたは切除部は、例えば機関コントロールのための発信器部分として利用可能である。この場合、切欠き37は切除部から成っていて、これらの切除部において、カバー20の材料厚さ全体が、脚部28の範囲で取り除かれて、軸方向で見てクラッチに向かって開いている。すなわち、カバー20のクラッチ側の軸方向の制限面は、周方向で見て、切欠き37の個所で中断されている。しかし図示の実施例とは異なって、発信器マークを他の形の切欠き37または切除部から形成することも可能である。例えば、半径方向外側から区分36に押込み成形部を設けることも可能である。これにより材料厚さまたはカバー20の壁厚さは、この範囲で減じられる。しかしまた、カバーの軸方向制限部の環状面を中断せずに残すような孔または凹部が加工成形されてもよい。
【0041】
カバーの、特に軸方向に延びる脚部28がこのように配置されていることにより、そして、薄板成形部材13の軸方向の範囲19が軸方向に長く延ばされて構成されていることにより、一次はずみ車質量体2の全質量を必要性に応じて設計することが可能であり、さらに、質量が大きな直径範囲に配置されていることにより、一次はずみ車質量体2の質量慣性モーメントに影響を与えることが可能である。例えば、一次側と二次側との質量慣性モーメントの比は1:0.6の範囲にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】二質量体はずみ車を簡略化して示した断面図である。
【図2】二質量体はずみ車を部分的に示した概略図である。
【符号の説明】
1 二質量体はずみ車、 2 一次はずみ車質量体、 3 二次はずみ車質量体、 4 支承装置、 5 孔、 6a,6b シールキャップ、 7 切欠き、 7a,7b Oリング、 8a,8b 皿ばね、 9 緩衝装置、 10 蓄力器、 11 環状の室、 12 円環状の範囲、 13 薄板成形部材、 14 範囲、 15 支持フランジ、 15a 端区分、 16 内レース、 17 外レース、 18 範囲、 18a 区分、 19 壁区分、20 カバー、 20a 溶接継ぎ目、 21 負荷範囲、 22 負荷手段、 23 リベット、 24 シールダイヤフラム、 25 シール範囲、 26 リングギア、 27 開口、 28,29 脚部、 30 傾斜部、 31 負荷範囲、32 湾曲部、 33 センタリング範囲、 34 溝、 35 移行範囲、
36 区分、 37 切欠き

Claims (15)

  1. 緩衝装置の作用に抗して転がり軸受けにより相対回動可能な少なくとも2つのはずみ車質量体を用いて、回転衝撃を緩衝する装置において、これらのはずみ車質量体のうち、一方の、つまり第1のはずみ車質量体が内燃機関に結合可能であって、他方の、つまり第2のはずみ車質量体が、伝動装置の入力部分に結合可能であり、第1のはずみ車質量体の2つの構成部分が、緩衝装置の蓄力器を収容する環状の室を形成していて、軸方向に延びる範囲で内燃機関側から離れる方向に同軸的に延びており、前記構成部分のいずれか一方の構成部分の前記軸方向に延びる範囲が、摩擦クラッチのクラッチディスクに用いられる、第2のはずみ車質量体に設けられた摩擦面を超えて軸方向に突出していて、少なくとも1つの発信器マークを備えている端範囲を有していることを特徴とする、回転衝撃を緩衝する装置。
  2. 発信器マークが切欠きによって形成されている、請求項1記載の装置。
  3. 発信器マークが、周方向で見て、前記軸方向に延びる範囲の壁厚さ全体を部分的に除去することによって形成されている、請求項1または2記載の装置。
  4. 発信器マークが切除部として構成されていて、該切除部が、内燃機関とは反対側で軸方向に開いている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
  5. 発信器マークを備えた前記構成部分が、ほぼL字形の横断面を有する金属製の薄板成形部分である、請求項4記載の装置。
  6. 発信器マークを備えた前記軸方向に延びる範囲が、互いに異なる直径範囲を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
  7. 前記2つの構成部分の軸方向に延びる範囲が、直接に互いに結合されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
  8. 前記2つの軸方向に延びる範囲が、半径方向で互いに取り囲んでいて、かつ部分的に軸方向で互いに被さり合っている、請求項7記載の装置。
  9. 前記2つの軸方向に延びる範囲が、互いにセンタリングされている、請求項7または8記載の装置。
  10. 前記軸方向に延びる範囲が、軸方向の制限ストッパにまで軸方向でまとめ合わされている、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
  11. 前記軸方向に延びる範囲が、軸方向における重なり部分で、固くかつ密に互いに結合されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
  12. 前記軸方向に延びる範囲が、溶接継ぎ目によって結合されている、請求項11記載の装置。
  13. 前記金属製の薄板成形部分の半径方向内側に向いた脚部が、周方向に作用する前記緩衝装置の蓄力器に用いられる負荷範囲を支持している、請求項5から12までのいずれか1項記載の装置。
  14. 前記室を仕切る前記両構成部分がポット形に形成されており、両構成部分の軸方向に延びる範囲が互いに異なる長さを有している、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置。
  15. 小さな直径を有する方の前記軸方向に延びる範囲が、該範囲を取り囲む第2の軸方向に延びる範囲に対して軸方向に突出した区分を有しており、該区分に発信器マークが設けられている、請求項14記載の装置。
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