JP3902135B2 - トナー用流動性改良助剤、それを含有してなる流動性改良剤、及び現像剤 - Google Patents
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Description
本発明は、トナー用流動性改良助剤及びそれを配合してなる流動性改良剤、ならびにその流動性改良剤を用いた現像剤に関する。更に詳細には、無機粉体の粒径、比表面積、疎水性等の物性を厳しく制御した粒子を流動性改良助剤として使用することにより、流動性改良剤の機能をより効果的に発揮させ、例えば、現像剤に最適な流動性と電気特性を付与する流動性改良助剤及びそれを添加してなる流動性改良剤、並びに該流動性改良剤を用いた現像剤に関する。
背景技術
電子写真技術は複写機、ファクシミリ、プリンターに幅広く使用され
現在のオフィスを取り巻く環境に必要不可欠の技術となっている。
該技術は、原稿読み取り工程、露光(書込み)工程、現像工程、転写工程からなり、現像、転写工程でトナーを現像剤として用いることにより画像を作成しており、その画像は、現像剤の物性によって品質が大きく左右される。
現像剤は、その主成分が粉末状の乾式トナーと液体状の湿式トナーに大別されるが、現在、使用されているトナーの殆どは乾式で、5〜15μmの平均粒径を有している。
乾式トナーは、トナーそのものが現像剤である一成分現像剤と、キャリアーと称されるトナーよりも大粒径の帯電付与機能を有する粒子とトナーを混合して得る二成分現像剤に大別される。
一成分現像剤は、現像器中の現像ローラーと接触するブレード等を通過する際に、現像ローラー上でトナーを薄層化すると同時に所定の帯電を与え、その帯電によってトナーを感光体に搬送して感光体上の潜像に現像を行う。
二成分現像剤は、トナーに混合するキャリアーに帯電を行い、その帯電により感光体に搬送して感光体上の潜像に現像を行う。
湿式現像剤は、分散性、帯電制御性、定着性等を有する樹脂成分を吸着させた微粒子からなるトナー粒子を、高絶縁性の分散媒中に分散させ、そのトナー粒子を帯電させることによって感光体まで電気泳動することにより現像に寄与している。
画像性能の向上を目的としてトナーの小粒径化や、トナー中に離型材料を配合すること等がこれまで検討されてきたが、その反面、それらが原因で現像剤の流動性が低下する問題が発生している。
それ故、トナーの表面に疎水性シリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化セリウム等の無機微粉末や、脂肪酸金属塩、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン等の微粉末を付着させて流動性を向上させることが行われており、更に上記の各種微粉末は、流動性向上の他にクリーニング性や帯電性に影響を与えることが明らかになっている。
乾式現像剤を使用する複写機やプリンター場合、感光体を帯電させた後に露光を行う。これまでの帯電は、現像時の画像性能から低速から高速までの全てコロナ帯電方式が主流であった。
しかし、現在最も多く使用されている(有機)感光体が、構成上、負帯電極性が主流であるため、コロナ放電によるオゾンの発生量の多いことが問題になっている。
高級機である中高速複写機はオゾンフィルターを装着して対処しているが、トナーを使用する画像形成装置の内、比較的低価格のプリンター、複写機、ファクシミリ等は、オゾンフィルターの装着がコスト高になるため、オゾン発生量の少ないローラ帯電方式やブラシ帯電方式等の接触帯電方式が主流になっている。
しかし、接触帯電方式は感光体への帯電に均一性が得にくいこと、デバイスの環境依存性が大きく帯電性の環境変動が大きいこと、更に流動性改良剤として使用されている上記の疎水性シリカ等の帯電性が、粒子種だけでなく、それらの生成条件によって変動することから、帯電性能の偏りやバラツキ等の問題が生じており、その解決が望まれている。
上記の流動性と帯電性の問題解決を目的として、トナーやキャリアー等として使用する各種粉末に対して様々な検討がなされてきた。
例えば特許第2704784号では、構成成分がジオール成分とジカルボン酸成分を主成分とし、かつ−COOH基の少なくとも一部がNを含む官能基に置換されたポリエステル樹脂に、正摩擦帯電性部位及び負摩擦帯電性部位を有するシランカップリング剤で処理した上に、シリコーンオイルで表面処理した疎水性シリカを使用することを提案している。
また、例えば特開平04−93953号公報では、構成成分がジオール成分とジカルボン酸成分を主成分とし、酸価が特定値以下の負帯電性ポリエステル樹脂に、飽和含水量とBET法による比表面積を厳しく規定したアルミナ粒子を流動性改良剤として使用することを提案している。
更に、例えば特開平05−61260号公報では、キャリアと流動性改良剤との相関に着目し、酸化チタンやアルミナにシリコンオイルやシリコンワニスで表面処理を行うことにより、キャリアに対するトリボ性を厳しく規定することを提案している。
しかし、昨今の高度かつ急速な技術進歩と、その恩恵を享受する消費者の要望により、画像の更なる向上が望まれており、更に、上記の提案は何れも特定のトナーやキャリアーと、流動性改良剤の組み合わせで使用されるため、汎用性について制限があり、この点についての改良が望まれていた。また、高価なシランカップリング剤を、流動性改良剤であるシリカや酸化チタンに表面処理剤として使用することや、粒度特性を厳しく制限した高価なアルミナ粒子を、流動性改良剤として使用することは経済的にも好ましくなく、環境への負荷の点でも改良が望まれていた。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討の結果、特定の範囲の平均粒子径、分散係数、粒度のシャープネス、比表面積を持つ粒子からなる分散性改良助剤、及びそれを配合してなる流動性改良剤が上記問題を解決し得ることを見出し、更に該流動性改良剤を使用することにより、これまでの問題点を解決し得る現像剤を提供できることを見出し本発明を完成した。
発明の開示
すなわち本発明の第一(請求項1)は、花弁状多孔質構造を有し、Ca/Pの原子比が1.67以上16.7以下の燐酸カルシウム系化合物からなり、下記の式(a)〜(e)を満足する粒子に、脂肪酸、脂環族カルボン酸、芳香族カルボン酸、それらのスルホン酸、樹脂酸ならびにそれらの金属塩、アンモニウム塩、エステル、カップリング剤、シリコーンオイル、パラフィンより選択された少なくとも1種の表面処理剤で表面処理したことを特徴とするトナー用流動性改良助剤を内容とする。
(a)0.1≦dx1≦5(μm)
(b)1≦α≦5 但し α=d50/dx1
(c)0≦β≦2 但し β=(d90−d10)/d50
(d)0.01≦dx2≦1(μm)
(e)15≦Sw≦200(m2/g)
但し、
dx1:電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径(μm)。
α :分散係数
d50:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した粒子の50%平均粒子径(μm)。
β :シャープネス。
d90:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した粒子のふるい通過側累計90%粒子径(μm)。
d10:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した粒子のふるい通過側累計10%粒子径(μm)。
dx2:水銀圧入法により測定した細孔分布から求めた平均細孔径(μm)
Sw :窒素吸着法によるBET比表面積(m2/g)
本発明の好ましい態様としての請求項2は、表面処理剤の表面処理剤量Z(重量%)が下記式(f)を満足することを特徴とする請求項1記載のトナー用流動性改良助剤である。
(f)1≦Z≦50(重量%)
本発明の第二(請求項3)は、請求項1又は2記載の流動性改良助剤を含有したことを特徴とするトナー用流動性改良剤を内容とする。
好ましい態様としての請求項4は、流動性改良剤が疎水性シリカであることを特徴とする請求項3記載のトナー用流動性改良剤である。
好ましい態様としての請求項5は、流動性改良助剤の量が0.1〜20重量%であることを特徴とする請求項3又は4記載のトナー用流動性改良剤である。
本発明の第三(請求項6)は、請求項3又は4記載の流動性改良剤を用いたことを特徴とする現像剤を内容とする。
好ましい態様としての請求項7は、流動性改良剤の量が0.01〜5重量%であることを特徴とする請求項6記載の現像剤である。
発明を実施するための最良の形態
本発明の第一である流動性改良助剤の特徴は粒子形状にあり、単なる燐酸カルシウム系化合物でなく、花弁状多孔質構造を有する多孔質燐酸カルシウム系化合物で構成されていることにある。
すなわち、本発明の流動性改良助剤である燐酸カルシウム系化合物粒子は、花弁状構造であることから高い比表面積を有し、表面活性が大きいため帯電面での効果が高いだけでなく、粒子径が均一であり分散性に優れていることから現像剤の流動性を妨げることがなく、表面活性と分散性の相反する作用効果を同時に発揮することが可能である。
この様な特性は、小判状の形状の0.1μm程度の微細な通常のアパタイトでは得ることが出来ず、本発明の流動性改良助剤が、燐酸類と炭酸カルシウムを反応させて、燐酸カルシウム系化合物と炭酸カルシウムの複合体、または燐酸カルシウム系化合物を得ていることに起因するものと考えられる。
本発明の流動性改良助剤を構成する花弁状多孔質燐酸カルシウム系化合物としては特に制限はないが、非晶質燐酸カルシウム[略号ACP:Ca3(PO4)2・nH2O]、フッ素アパタイト[略号FCP:Ca10(PO4)6F2]、塩素アパタイト[略号FCP:Ca10(PO4)6Cl2]、ヒドロキシアパタイト[略号HAP:Ca10(PO4)6(OH)2]、燐酸八カルシウム[略号OCP:Ca8(PO4)2・5H2O]、燐酸三カルシウム[略号TCP:Ca3(PO4)2]、燐酸水素カルシウム[略号DCP:Ca8HPO4]、燐酸水素カルシウム二水和物[略号DCPD:Ca8HPO4・2H2O]等が例示できる。
これらは単独、または2種以上の混合物でもよく、中でも組成物の安定性の点からHAP、OCP、TCP、DCPが好ましく、特にHAPが好ましい。
また、安定性が最も高いHAPの含有率は、全燐酸カルシウム系化合物に対して10重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、90重量%が最も好ましい。
本発明の流動性改良助剤である燐酸カルシウム系化合物粒子中のCa/Pの原子比は、粒子自体の分散性と安定性の点から、1.67≦Ca/P≦16.7である必要があり、1.67≦Ca/P≦5.56が好ましく、1.67≦Ca/P≦3.33がより好ましく、1.67≦Ca/P≦1.85が最も好ましい。Ca/Pが16.7を超えると粒子の分散性が低下し、一方、1.67未満だと燐酸カルシウム系化合物粒子の安定性が乏しくなる。
本発明の流動性改良助剤を構成する燐酸カルシウム系化合物粒子の平均粒子径dx1は、0.1≦dx1≦5(μm)である必要があり、0.2≦dx1≦3(μm)が好ましく、0.3≦dx1≦1.5(μm)が更に好ましい。dx1が0.1μm未満の場合は粒子の凝集が多くなり、現像剤中での流動性改良剤の機能を妨げる。また、dx1が5μmを超えると、流動性改良助剤としての添加量に対して決定的な個数不足になり、現像剤中での疎水性シリカ等の流動性改良剤の帯電量をコントロールする機能が失われる。
本発明における平均粒子径dx1は、走査型電子顕微鏡を用いて、互いに異なった複数の視野から得られた約1,000個の粒子各々について、定方向径を測定して得られた粒子径の個数平均径である。
本発明の流動性改良助剤を構成する燐酸カルシウム系化合物粒子の分散性α、及びシャープネスβは、各々1≦α≦5,0≦β≦2である必要があり、1≦α≦1.5,0≦β≦1が好ましい。αが5を超えると粗大な粒子の凝集が多くなり、現像剤中での流動性改良剤としての機能を妨げ、また、αが1未満の場合は、微小な粒子の凝集体が多くなり、結果的に帯電量コントロールに必要な粒子の個数が得られない。一方、βが2を超えると粗大な粒子の凝集が多くなり、現像剤中での流動性改良剤としての機能を妨げる。なお、βが0より小さい値を示すことはありえない。
本発明の流動性改良助剤を構成する燐酸カルシウム系化合物粒子の平均細孔径dx2は、0.01≦dx2≦1(μm)である必要があり、0.01≦dx2≦0.5(μm)が好ましい。dx2が0.01μm未満の場合は、本発明の帯電コントロールに必要以上の比表面積を有することになるため、水分の吸着や環境からの帯電を受けやすくなり、それが最終的な製品である現像剤に悪影響を及ぼす。また、dx2が1μmを超える場合は、細孔が大きくなり過ぎ十分な比表面積が得られず、帯電量コントロールが不可能になる。
本発明の流動性改良助剤を構成する燐酸カルシウム系化合物粒子の窒素吸着法によるBET比表面積Swは、15≦Sw≦200(m2/g)である必要があり、15≦Sw≦100(m2/g)が好ましく、15≦Sw≦50(m2/g)が更に好ましい。Swが15m2/g未満の場合は、十分な比表面積が得られず、帯電量コントロールが不可能になる。また、Swが200m2/gを超える場合は、本発明の帯電コントロールに必要以上の比表面積を有することになるため、水分の吸着や環境からの帯電を受けやすくなり、それが最終的な製品である現像剤に悪影響を及ぼす。
本発明の流動性改良助剤を構成する燐酸カルシウム系化合物粒子の調製方法には特別な制限はないが、例えば、炭酸カルシウムを分散した水系に、水可溶性燐酸または水可溶性燐酸塩を徐々に加えて炭酸カルシウムと反応させ、核剤となる炭酸カルシウム表面に花弁状燐酸カルシウム系化合物を生成させることにより調製される。
具体的には、核剤となる特定の炭酸カルシウムの水懸濁液と、燐酸の希釈水溶液及び/または特定の燐酸水素カルシウム2水塩を特定の割合で、特定の混合条件において混合し、特定の熟成条件で熟成する方法が例示される。
本発明の流動性改良助剤を構成する燐酸カルシウム系化合物粒子は、例えば国際公開番号WO97/03119、WO98/29490、WO00/50510、等に記載の方法で製造することが出来、該方法によると燐酸カルシウム系化合物粒子は水懸濁液の状態で得られるが、常法に従い脱水、乾燥、粉砕により得られる乾粉を本発明の流動性改良助剤として使用することが出来る。
国際公開番号WO97/03119及び国際公開番号WO98/29490の粒子は、下記の反応条件の範囲で調製される。
例えば基体としての炭酸カルシウムの水懸濁液とリン酸の希釈水溶液をCa/Pの原子比率が33.3以下となる割合で水中で下記の混合条件で混合反応させた後、更に下記の熟成条件で熟成してリン酸カルシウム系化合物の水スラリーを得、脱水を行うか又は脱水せずに700℃以下の乾燥雰囲気下で乾燥後、解砕仕上げを行うことにより製造される。
(混合条件)
炭酸カルシウムの水懸濁液固形分濃度 1〜15重量%
燐酸の希釈水溶液濃度 1〜50重量%
混合攪拌羽根の周速 0.5〜50m/秒
混合時間 0.1〜150時間
混合系水懸濁液温度 0〜80℃
混合系の水懸濁液pH 5〜9
(熟成条件)
熟成系のCa濃度 0.4〜5重量%
熟成時間 0.1〜100時間
熟成系水懸濁液温度 20〜80℃
熟成系水懸濁液pH 6〜9
攪拌羽根の周速 0.5〜50m/秒
また、国際公開番号WO00/50510の粒子は、例えば、上記国際公開番号WO97/03119又は国際公開番号WO98/29490の粒子から選択された粒子を担体粒子(M)とし、この担体(M)の水懸濁液とアルカリ性カルシウム化合物水懸濁液を混合し、水溶性リン酸塩水溶液を滴下混合するか、もしくは担体粒子(M)水懸濁液中に、アルカリ性カルシウム化合物と水溶性リン酸塩水溶液を別々に滴下混合することにより、合成されたリン酸カルシウム系化合物(R)が、担体粒子(M)に担持された複合体(MR)が調製される。
複合体(MR)の好ましい調製条件は、下記のとおりである。
具体的には、担体粒子(M)水懸濁液中に、あらかじめ所定量のアルカリ性カルシウム化合物を添加しておき、水溶性リン酸塩を所定量滴下混合し、リン酸カルシウム系化合物(R)を合成させ、本発明の複合体(MR)を調製する方法、担体粒子(M)水懸濁液中に、水溶性リン酸塩とアルカリ性化合物とを別々に、所定時間で滴下混合し、リン酸カルシウム系化合物を合成し、複合体(MR)を調製する方法等が挙げられる。
なお、水懸濁液の状態から乾粉を得る工程において、必要に応じて脱水、希釈を繰り返して燐酸カルシウム系化合物粒子の洗浄を行い、系内に溶存する不純物を除去することも可能である。
本発明の流動性改良助剤を構成する燐酸カルシウム系化合物粒子は、粒子の安定性、分散性、疎水性、帯電特性付与を目的として、脂肪酸、脂環族カルボン酸、芳香族カルボン酸、それらのスルホン酸、樹脂酸ならびにそれらの金属塩、アンモニウム塩、エステル、カップリング剤、シリコーンオイル、パラフィンより選択された少なくとも1種の表面処理剤で表面処理する必要がある。
なお、上記の表面処理剤で燐酸カルシウム系化合物粒子の表面処理を行わない場合は、粒子の安定性、分散性、疎水性、帯電特性等が十分でなく、本発明の流動性改良助剤を用いた流動性改良剤が、例えば現像剤に用いられた場合は十分な効能が得られないだけでなく、燐酸カルシウム系化合物粒子の表面を疎水化出来ない。
上記の表面処理剤について、粒子の安定性、分散性、疎水性、帯電特性等の特性や、環境への影響、ハンドリング性、コストの観点から脂肪酸の金属塩が好ましく用いられる。
本発明に使用する脂肪酸、脂環族カルボン酸、芳香族カルボン酸、樹脂酸として例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸等の飽和脂肪酸、ソルビン酸、エライジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、セトレイン酸、エルカ酸、リシノール酸等の不飽和脂肪酸、シクロペンタン環やシクロヘキサン環を持つナフテン酸等の脂環族カルボン酸、酢酸、酪酸、安息香酸、フタル酸等に代表されるベンゼンカルボン酸類、ナフトエ酸やナフタル酸等のナフタレンのカルボン酸等の芳香族カルボン酸、アビエチン酸、ピマル酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸等の樹脂酸が挙げられ、中でも燐酸カルシウムとの反応性や、流動性改良助剤として流動性改良剤に添加されて現像剤に使用された場合の粒子の安定性、分散性、疎水性、帯電特性付与の点でミリスチン酸ないしラウリン酸の使用が好ましい。
脂肪酸、脂環族カルボン酸、芳香族カルボン酸、樹脂酸の金属塩、アミン塩として例えば、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸コバルト(II)、ステアリン酸錫(IV)、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸鉛(II)等の飽和脂肪酸塩、オレイン酸亜鉛、オレイン酸カリウム、オレイン酸コバルト(II)、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムジエタノールアミン塩等の不飽和脂肪酸塩、ナフテン酸鉛、シクロヘキシル酪酸鉛等の脂環族カルボン酸塩、安息香酸ナトリウムやサリチル酸ナトリウム等の芳香族カルボン酸塩が挙げられる。
また、本発明の燐酸カルシウム系化合物粒子の表面処理時または以前に、既述の脂肪酸、脂環族カルボン酸、芳香族カルボン酸、樹脂酸にリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、鉛、コバルト、錫、アシル基を持つ化合物を混合、反応させて脂肪酸、脂環族カルボン酸、芳香族カルボン酸、樹脂酸の各金属塩、アミン塩を適宜作成してもよい。
以上の脂肪酸、脂環族カルボン酸、芳香族カルボン酸、樹脂酸の金属塩の中でも燐酸カルシウムとの反応性や、流動性改良助剤として流動性改良剤に添加されて現像剤に使用された場合の粒子の安定性、分散性、疎水性、帯電特性付与の点でミリスチン酸カリウムないしラウリン酸カリウムの使用が好ましい。
脂肪酸、脂環族カルボン酸、芳香族カルボン酸、樹脂酸の各エステルとして例えば、カプロン酸エチル、カプロン酸ビニル、アジピン酸ジイソプロピル、カプリル酸エチル、カプリン酸アリル、カプリン酸エチル、カプリン酸ビニル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、イソオクタン酸セチル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸ラウリル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸イソセチル、ベヘニン酸メチル、ベヘニル等の飽和脂肪酸エステル、オレイン酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オリーブオレイン酸エチル、エルカ酸メチル等の不飽和脂肪酸エステル、その他、長鎖脂肪酸高級アルコールエステル、ネオペンチルポリオール(長鎖、中鎖を含む)脂肪酸系エステルおよび部分エステル化合物、ジペンタエリスリトール長鎖脂肪酸エステル、コンプレックス中鎖脂肪酸エステル、12−ステアロイルステアリン酸イソセチル、イソステアリル、ステアリル、牛脂脂肪酸オクチルエステル、多価アルコール脂肪酸エステル/アルキルグリセリルエーテルの脂肪酸エステル等の耐熱性特殊脂肪酸エステル、安息香酸エステル系に代表される芳香族エステルが挙げられ、中でも燐酸カルシウムとの反応性や、流動性改良助剤として流動性改良剤に添加されて現像剤に使用された場合の粒子の安定性、分散性、疎水性、帯電特性付与の点で多価アルコール脂肪酸エステルの多価アルコールステアリン酸またはパルミチン酸ないし、ステアリン酸ステアリルの使用が好ましい。
脂肪酸、脂環族カルボン酸、芳香族カルボン酸の各スルホン酸の例として、スルホ琥珀酸、ジオクチルスルホ琥珀酸、ラウリルスルホ酢酸、テトラデセンスルホン酸等のスルホン酸、ラウリル、ミリスチル、パルミチン、ステアリン、オレイン、セチル等のアルキル基からなるアルキル硫酸、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル硫酸、ポリオキシエチレン(3)アルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレン(4)ノニルフェニルエーテル硫酸等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、直鎖(C10,C12,C14)アルキルベンゼンスルホン酸、分岐アルキルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン酸等が挙げられ、中でも燐酸カルシウムとの反応性や、流動性改良助剤として流動性改良剤に添加されて現像剤に使用された場合の粒子の安定性、分散性、疎水性、帯電特性付与の点でドデシルベンゼンスルホン酸の使用が好ましい。
脂肪酸、脂環族カルボン酸、芳香族カルボン酸の各スルホン酸の金属塩の例として、上記の脂肪族、脂環族、芳香族のスルホン酸のナトリウム塩が一般的であるが、本発明の炭酸カルシウムの表面処理時または以前に、既述の脂肪族、脂環族、芳香族スルホン酸にリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、鉛、コバルト、錫、各種アミン等の化合物を混合、反応させて脂肪族、脂環族、芳香族の金属塩を適宜作成しても良いが、中でも燐酸カルシウムとの反応性や、流動性改良助剤として流動性改良剤に添加されて現像剤に使用された場合の粒子の安定性、分散性、疎水性、帯電特性付与の点でドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの使用が好ましい。
カップリング剤の例として、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリテトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル、トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、燐酸カルシウム粒子自体の疎水性、帯電特性、流動性付与の点で、ビニルトリメトキシシラン、及びβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの使用が好ましい。
本発明の好ましい態様として、脂肪酸、脂環族カルボン酸、それらのスルホン酸、樹脂酸ならびにそれらの金属塩、アンモニウム塩、エステルに、トルエン、ミネラルターペン、メタノール、エタノールのアルコール類、パラフィン類、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等の可塑剤や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ガソリン、軽油等の石油系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、セロソルブアセテート等のエーテル、エステル溶剤、シリコーンオイル、脂肪酸エステル変性シリコーンオイル等のパラフィンとして総称される添加剤等を1種ないし2種以上を選択して添加する事が挙げられ、中でも表面処理後の燐酸カルシウム化合物粒子自体の流動性及び疎水性向上の点でミネラルターペンないし、流動性パラフィンが好ましい。これらの添加量は表面処理剤に対して5重量%程度以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは50重量%以上が好ましい。これらの添加量が100重量%を超えるとコスト的に不利であり、また1重量%未満では添加効果が小さく好ましくない。
本発明の流動性改良助剤を構成する燐酸カルシウム系化合物粒子に表面処理を行う表面処理剤量Z(重量%)は、粒子自体の分散性、安定性、現像剤に使用される場合の疎水性や帯電性の点から、燐酸カルシウム系化合物粒子に対して1≦Z≦50(重量%)が好ましく、5≦Z≦40(重量%)がより好ましく、10≦Z≦30(重量%)が更に好ましい。
Zが1重量%未満であると、粒子自体の分散性、安定性、現像剤に使用される場合の疎水性付与や帯電性を十分に付与することが出来ず好ましくない。また、Zが50重量%を超えると、流動性改良助剤を構成する燐酸カルシウム系化合物粒子と化学的、物理的に反応して該粒子の表面に処理されない遊離した処理剤が生じ、それらが最終的な製品である現像剤の効能に悪影響を与えるため好ましくない。
本発明の流動性改良助剤を構成する燐酸カルシウム系化合物粒子に対する表面処理剤の表面処理方法は、湿式方法と乾式方法が挙げられる。
本発明の流動性改良助剤を構成する燐酸カルシウム系化合物粒子が、水懸濁剤の状態で生成されるため、水溶性ないし界面活性剤等で乳化が可能な表面処理剤の場合は、それらを燐酸カルシウム系化合物粒子の水懸濁液に添加して表面処理する湿式方法が使用される。
しかし、非水溶性または乳化が不可能な条件にある表面処理剤の場合は、燐酸カルシウム粒子の水懸濁液を濃縮、乾燥、粉砕後に、ヘンシェルミキサー等の乾式表面処理剤を用いて表面処理する乾式方法が使用できる。
上記の表面処理方法は、得られる流動性改良助剤の物性は当然であるが、ハンドリング、コスト、排水等によって生じる環境への負荷等を考慮の上で選択されるが、脂肪酸の金属塩を表面処理剤に用いて湿式法で表面処理する方法が好ましく用いられる。
本発明の第二は、本発明の第一で得られた流動性改良助剤を含有したトナー用流動性改良剤に関する。
本発明の流動性改良剤は、現在使用されている疎水性シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、窒化硼素、炭化珪素等の無機微粉末や、脂肪酸金属塩、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン等の微粉末の何れでも良く、更に2種以上の併用でも問題ないが、ハンドリング、コストの点で疎水性シリカの単独使用が好ましい。
本発明の流動性改良剤は、所望する帯電量と流動性改良剤の差違から、添加する本発明の第一で得られた流動性改良助剤である表面処理燐酸カルシウム系化合物粒子のBET比表面積、粒径、表面処理剤、表面処理量、流動性改良剤への添加量等が適宜選択される。
特に流動性改良剤への配合量Y(重量%)は、流動性改良剤に対して、通常0.1≦Y≦20(重量%)、好ましくは0.5≦Y≦10(重量%)、より好ましくは1≦Y≦5(重量%)の範囲である。流動性改良剤中の流動性改良助剤の配合量Yが0.1重量%未満の場合、流動性改良助剤の機能が十分に発揮されず、得られた流動性改良剤の耐電量を所望の値にコントロールすることが難しくなるため好ましくない。一方、配合量Yが20重量%を超えると、本発明の流動性改良剤をトナーに混合した時に、本発明の流動性改良助剤自体の粒径がトナーの流動性を悪化させるため好ましくない。
本発明の流動性改良剤は、疎水性シリカ等の従来の流動性改良剤に、本発明の第一で得られた流動性改良助剤を混合機で混合することにより得られる。
その際に使用する機器には特に制限はなく、ヘンシェルミキサー等の市販の混合機で混合でき、その後に粒子間の簡単な凝集を除去する目的で、アトマイザー、コロフレックス等の解砕機で解砕することが望ましい。
本発明の第三は、本発明の第二で得られた流動性改良剤を用いた現像剤に関する。
本発明で得られた流動性改良剤は、現像剤の環境安定性を改善し、良好な流動性と現像、転写性能を現像剤に付与する。中でも乾式現像剤に特に有効であり、一成分系、二成分系の何れにも効能を発揮する。
本発明の現像剤は、結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、離型剤、表面処理剤(一成分系の場合は磁性体微粒子が加わる場合もある)等で構成されるトナー材料を、熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機で混練した後に、機械的な粉砕、分級を重ねる粉砕トナー、あるいは、結着樹脂溶液中に各種構成材料を分散し噴霧乾燥する懸濁重合トナー、あるいは、結着樹脂を構成すべき単量体に所定の構成材料を混合した後に、得られた乳化懸濁液を重合する乳化重合トナー、あるいは、結着樹脂のモノマーと重合開始剤を、分散剤を含む非水系の分散媒に溶解させ、重合と共に粒子を析出させる析出重合トナーの何れを原料としても良いが、得られるトナーの粒度分布、平均粒径の点で、現在の技術では粉砕トナーが好ましい。
なお、二成分系の現像剤を得る場合は、本発明の流動性改良剤を添加、混合して得られたトナーにキャリアーを添加し、ユニバーサルミキサー等の混合機を用いて作成する。
本発明に使用されるトナーは、平均粒径が5〜10μmで、粒度分布が可能な限りシャープであることが望ましい。
その理由としては、5μm程度のトナー粒子のみが、感光体上に形成された潜像を忠実に再現することが可能であり、網点やデジタル画像の様な微小なドット潜像の再現性に優れ、特にハイライト部の階調性及び解像性の優れた画像を与えることが挙げられる。
更に、コピーまたはプリントアウトを連続した場合でも高画質を保持し、高濃度の画像の場合でも従来より少ないトナー消費量で良好な現像が可能であり、経済性と複写機またはプリンターの小型化に寄与することが可能である。
しかし、例えば平均粒径が3μm程度の5μm未満のトナー粒子は、帯電量のコントロールが困難で、トナーとしての流動性も損ないやすく、更にトナー飛散を起こして装置本体を汚す原因になりやすく、加えて画像のカブリを生じる成分になりやすく好ましくない。また、平均粒径が10μmを超えるトナーは、網点やデジタル画像の様な微小なドット潜像の再現性に劣り、特にハイライト部の階調性及び解像性の優れた画像を与えることが困難であること挙げられる。
本発明の流動性改良剤のトナーに対する添加量は、トナーに対して通常0.01≦X≦5(重量%)、好ましくは0.05≦X≦2(重量%)の範囲である。添加量Xが0.01重量%未満の場合、流動性改良剤の効能が発揮されず、現像剤自体に有効な流動性を付与できず、更に環境安定性もなく好ましくない。一方、添加量Xが5重量%を超えると、現像剤が本来要求される現像、転写性が低下し、要求される高レベルの画像が得られなくなり好ましくない。
なお、ハンドリング上、本発明において流動性改良助剤を流動性改良剤に添加して流動性改良剤を得ているが、トナーに添加するタイミング等の条件が可能であれば、トナーに各々を別個または同時に添加しても良く、添加順序が異なっても良い。
本発明の第一の流動性助剤がトナーの流動性改良剤、または現像剤の流動性改良に上述の如き効果をもたらす理由は、必ずしも明らかでない。
しかし、特定の形状、Ca/P比、粒度分布、平均粒径、細孔径、比表面積を持つ燐酸カルシウム系化合物粒子に、脂肪酸、脂環族カルボン酸、芳香族カルボン酸、それらのスルホン酸、樹脂酸ならびにそれらの金属塩、アンモニウム塩、エステル、カップリング剤、シリコーンオイル、パラフィンより選択された少なくとも1種の表面処理剤で表面処理することにより、特異な帯電性能を表面処理燐酸カルシウム系化合物粒子へ付与することが可能となり、更に該表面処理燐酸カルシウム系化合物粒子を流動性改良助剤としてトナーに配合することにより、これまで帯電量のコントロールが困難であった5μm程度のトナー粒子の帯電量のコントロールが可能になり、その結果、現像剤の流動性が改善され、カブリのない優れた画像が得られるものと思われる。
以下に本発明の実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらになんら限定されるものではない。
本発明の流動性改良助剤及びそれを配合した流動性改良剤、ならびにそれを含有した現像剤の実施例、比較例を以下に示す。
<燐酸カルシウム粒子(種粒子)の作成>
本発明の流動性改良助剤を構成する燐酸カルシウム粒子の作成を目的に、基材となる燐酸カルシウム粒子を国際公開番号WO97/03119号及びWO98/29490号記載の方法に従い、炭酸カルシウムの水懸濁液とリン酸の希釈水溶液を表1記載の処方、方法で混合、熟成等を行い燐酸カルシウムの水懸濁液P1〜P7を作成した。
また、市販のヒドロキシアパタイト(商品名:燐酸三カルシウム;米山化学工業(株)製)の水懸濁液をP8とした。
該燐酸カルシウム粒子の水懸濁液P1〜P8の物性を表1に示す。
実施例1〜11、14、15、比較例1〜6
国際公開番号WO 00/50510号公報に記載の方法に従い、P1〜P4の水懸濁液の何れかを原料として用い、表2記載の炭酸カルシウム水懸濁液、及び水溶性リン酸塩を別々に滴下混合し、表2に記載の熟成を行い、P1〜P4の燐酸カルシウム粒子(種粒子)に反応生成物である燐酸カルシウムを担持させた。
その後、該懸濁液に表2記載の処方で水溶性表面処理剤、ないし界面活性剤により乳化した表面処理剤で湿式表面処理を行い、脱水、水洗後、700℃以下の乾燥雰囲気下で乾燥し、解砕仕上げを行い流動性改良助剤である燐酸カルシウムの乾粉を得た。
得られた表面処理燐酸カルシウムの物性を表2に示す。
実施例12
表面処理剤に非水溶性表面処理剤であるステアリン酸を選択し、脱水、水洗、乾燥後に燐酸カルシウムに対して28重量%の添加量で乾式表面処理を行う以外は、実施例2と同じ処方で流動性改良助剤である表面処理燐酸カルシウムの乾粉を得た。
得られた表面処理燐酸カルシウムの物性を表2に示す。
実施例13
水懸濁液P4に、ラウリン酸カリウムを表面処理剤として選択し、燐酸カルシウムに対して2重量%の添加量で湿式表面処理を行い、脱水、水洗後、700℃以下の乾燥雰囲気下で乾燥し、解砕仕上げを行い流動性改良助剤である燐酸カルシウムの乾粉を得た。
得られた表面処理燐酸カルシウムの物性を表2に示す。
比較例7
市販のヒドロキシアパタイト(商品名:燐酸三カルシウム;米山化学工業製)を表2記載の処方で水溶性表面処理剤、ないし界面活性剤により乳化した表面処理剤で湿式表面処理を行い、脱水、水洗後、700℃以下の乾燥雰囲気下で乾燥し、解砕仕上げを行い流動性改良助剤である燐酸カルシウムの乾粉を得た。
得られた表面処理燐酸カルシウムの物性を表2に示す。
実施例16〜30、比較例8〜14
乾式法で作成したBET比表面積が約140m2/gの親水性シリカにシリコンオイル処理を行い、気流式粉砕機で解砕、回収を繰り返して体積基準粒径で5.04μm以下の粒子の割合が67.2体積%、同20.2μm以下の粒子の割合が95.1体積%の疎水性シリカを得た。
該疎水性シリカに実施例1〜15、比較例1〜7で得た流動性改良助剤を、目的とする流動性改良剤中の割合が3.5重量%となるように添加し、ヘンシェルミキサーで混合して流動性改良剤を得た。
実施例31〜45、比較例15〜21
下記処方の原料をヘンシェルミキサーで予備混合後、120℃に設定した二軸混練機で溶融混練し、ジェット粉砕、気流分級で平均粒径5.2μmのトナー粒子を得た。
次に、得られたトナー粒子に実施例16〜30、比較例8〜14で得た流動性改良剤を目的とする現像剤中の割合が1.55重量%となるように添加し、ヘンシェルミキサーで混合して負帯電性磁性現像剤を得た。
(原料ならびに組成)
スチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂 100重量部
(商品名:P−511 積水化学工業(株)製)
磁性粉 70重量部
(飽和磁化66emu/g(1 kOe)チタン工業(株)製)
クロム合金染料 2重量部
(商品名:ボントロンS34オリエント化学工業(株)製)
天然ガス系フィッシャートロプワックス 5重量部
(商品名:FT−100 シェルMSD製)
比較例22
本発明の流動性改良助剤を含有しない、実施例16〜30、比較例8〜14記載の疎水性シリカを使用し、実施例31と同一の方法で磁性現像剤を得た。
上記の実施例31〜45、比較例15〜22で得られた磁性現像剤を負帯電磁性一成分トナーとして使用し、耐電装置、有機感光体、ウレタンゴムによるブレードクリーニング方式を有する、電子写真方式で画像を出力する普通紙を用いたプロセス70mm/sのファクシミリ装置(市販のPPF)を用いて、以下の印字、耐刷テストを行った。結果を表4に示す。
(1)画像濃度
N/N環境下(20℃、50%RH)、H/H環境下(35℃、80%RH)、およびL/L環境下(10℃、20%RH)で印刷を2000枚行い、印刷1枚目と2000枚目の定着画像の画像濃度をマクベス反射濃度計(商品名:RD−914、A division Kollmorgen Corp.製)で測定した。
また、非画像部のかぶりを白色度計(商品名:ハンター白色度計、日本電色工業社製)で測定した。
(2)フィルミングならびに定着画像の評価
各条件での感光体の状態を目視確認し、フィルミングの発生の有無を確認した。
同時に定着画像の状態を目視確認し、画像黒部の白抜けの発生を確認した。
産業上の利用可能性
叙上のとおり、本発明のトナー用流動性改良助剤は、流動性改良剤とともに現像剤に配合することにより、現像剤の流動性が改善され、カブリのない優れた画像を得ることができる。
Claims (7)
- 花弁状多孔質構造を有し、Ca/Pの原子比が1.67以上16.7以下の燐酸カルシウム系化合物からなり、下記の式(a)〜(e)を満足する粒子に、脂肪酸、脂環族カルボン酸、芳香族カルボン酸、それらのスルホン酸、樹脂酸ならびにそれらの金属塩、アンモニウム塩、エステル、カップリング剤、シリコーンオイル、パラフィンより選択された少なくとも1種の表面処理剤で表面処理したことを特徴とするトナー用流動性改良助剤。
(a)0.1≦dx1≦5(μm)
(b)1≦α≦5 但し α=d50/dx1
(c)0≦β≦2 但し β=(d90−d10)/d50
(d)0.01≦dx2≦1(μm)
(e)15≦Sw≦200(m2/g)
但し、
dx1:電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径(μm)。
α :分散係数
d50:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した粒子の50%平均粒子径(μm)。
β :シャープネス。
d90:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した粒子のふるい通過側累計90%粒子径(μm)。
d10:マイクロトラックFRAレーザー式粒度分布計により測定した粒子のふるい通過側累計10%粒子径(μm)。
dx2:水銀圧入法により測定した細孔分布から求めた平均細孔径(μm)
Sw :窒素吸着法によるBET比表面積(m2/g) - 表面処理剤の表面処理剤量が、燐酸カルシウム系化合物に対して1〜50重量%であることを特徴とする流動性改良助剤。
- 請求項1又は2記載の流動性改良助剤を含有したことを特徴とするトナー用流動性改良剤。
- 流動性改良剤が疎水性シリカであることを特徴とする請求項3記載のトナー用流動性改良剤。
- 流動性改良助剤の量が流動性改良剤に対して0.1〜20重量%であることを特徴とする請求項3又は4記載のトナー用流動性改良剤。
- 請求項3又は4記載の流動性改良剤を用いたことを特徴とする現像剤。
- 流動性改良剤の量がトナーに対して0.01〜5重量%であることを特徴とする請求項6記載の現像剤。
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