本発明者らがトナー消費量について鋭意検討した結果、1)ラインのエッジ部のトナーの現像量が少なく、2)ライン中央部の単位面積あたりのトナー現像量と、ベタ画像の単位面積あたりのトナー現像量がほぼ同等のトナーに特定の画像処理方法を用いる事によって、トナー消費量を大幅に削減できるとの知見を得、本発明に至った。
まず1)のラインのエッジ部のトナーの現像量についてであるが、一般に磁性トナーはトナー担持体上で磁力によりトナーの穂を形成する。そして、像担持体上の静電潜像はトナー担持体に印加された現像バイアスの作用で現像され、可視像となる。
ここで現像について考えると、磁性トナーを用いたジャンピング現像方法によって静電潜像を現像した場合、エッジ部の現像量が増える現象(所謂エッジ効果)が生じる事が一般的に知られており、文字や細線などのエッジを多く含む画像においては、トナーの現像量が画像露光強度に対して増加してしまう傾向にある。この点について本発明者らが検討した結果、ラインのエッジ部でのトナーの現像量の増加はトナー担持体上のトナーの「穂」がそのまま現像し、現像バイアス中での往復運動においても引き戻しが出来ないために生じている事が分かった。
そこで、現像領域において「穂」としてトナーを挙動させるのではなく、トナーが一粒一粒の粒子として挙動させる(=クラウド状態で現像する)事によりラインのエッジ部でのトナーの現像量の増加を抑制できる事を見出した。
本発明者等が鋭意検討した結果、クラウド状態で現像するためにはトナーの数平均粒径をD(μm)、磁場79.6kA/mにおけるトナーの残留磁化をσr(Am2/kg)とすると、D×σrが3.2〜38.0である事が重要であり、好ましくは4.5〜29.0、より好ましくは4.5〜16.0である。
クラウド状態で現像するためにはトナー担持体上のトナーの穂が崩れ易い事、トナーの現像バイアスへの追従性が高い事が必要であり、トナーの残留磁化が小さい程現像バイアス中での往復運動において「穂」が崩れ易く、トナー粒径が小さいほど現像バイアス追従性が良好なものとなる。また、トナー粒径が小さいほどトナー一粒あたりの残留磁化は小さくなるので、よりクラウド現像しやすくなる。
このような理由からD×σrが3.2〜38.0であるとクラウド現像になりやすく、エッジ部でのトナー現像量が削減出来る。
一方、D×σrが38.0より大きい場合、トナーは現像領域にて「穂」として挙動してしまい好ましくない。また、D×σrが3.2未満の場合、現像領域ではトナーはクラウド状態で現像するもののカブリが増加してしまい好ましくない。さらに、ライン部でのトナー現像量は増加しないものの、非画像部でのトナー消費量が増加して結果的にトナー消費量が増加してしまう。
次に、トナー形状とクラウド現像の関係を調べたところ、トナーの平均円形度が0.950以上、好ましくは0.960以上、より好ましくは0.970以上であるとクラウドになり易い事が分かった。
この理由は定かではないが、球形に近い形状を有しているために密で細い穂を形成し易く、このためにクラウド現像になり易いものと考えている。
以上のことから、D×σrが3.2〜38.0であり、トナーの平均円形度が0.950以上であることの相乗効果により、トナーは現像領域中で一粒一粒の粒子として挙動し(=クラウド状態で現像され)、エッジ部においてもトナーがきちんとトナー担持体に引き戻される事によりトナー消費量が削減できる。
更に、トナーの平均円形度とベタ画像のトナー現像量の関係を調べたところ、両者の間にはある程度の相関関係があり、平均円形度が高いトナーはベタ画像でのトナーの現像量が多い事が分かった。これは、平均円形度が高くなる事によりトナーの流動性が向上する事、トナー担持体との鏡映力が減少する事により現像性が向上し、さらに転写効率が上がる事により高い濃度が得られるものと考えている。
これらの効果はトナーの円形度標準偏差は0.045以下であるとより顕著になり非常に好ましい。円形度標準偏差とはトナー形状のばらつきを表すものであり、値が小さいもの程形状がそろっている事を表し、円形度標準偏差が0.045以下であれば、多くの粒子の形状が十分にそろっている事を意味する。
このようにベタ画像でのトナー現像量が多いトナーは、ベタ画像部での単位面積あたりのトナー現像量と、ライン中央部での単位面積あたりのトナー現像量がほぼ等しい事から、本発明に係る画像露光量変調処理(後述)を適用する事により画素が集中している部分の画像露光強度を落とす事が可能となり、その結果必要なベタ濃度を維持したままトナー消費量を削減できる。
これまで述べてきたように、エッジ部の現像量を削減し、ライン中央部の単位面積あたりのトナー現像量と、ベタ画像の単位面積あたりのトナー現像量がほぼ同等のトナーに特定の画像処理方法を用いる事の相乗効果により、ライン画像の再現性が良好で必要十分な画像濃度が得られると共にトナー消費量を大幅に削減する事が可能となった。
本発明のトナーにおいては、より微小な潜像ドットを忠実に現像するため、トナーの数平均粒径(D)は3〜9μmである事が好ましく、より好ましくは4〜9μmである。
本発明においては、画像処理としてベタ画像部などの広い画像域に対する画像露光量を減少させている為、トナー自体の着色力が高い方が好ましく、隠ぺい力が高い9μm以下のトナーであることが望まれる。このようなトナーを用いるとベタ画像部などへの画像露光量を大きく減少させる事が出来るので、トナー消費量をより多く削減する事が出来る。
上記の理由から、数平均粒径はある程度小さい方が好ましいが、数平均粒径が3μm未満の場合、粉体としての流動性及び攪拌性が低下し、個々のトナー粒子を均一に帯電させることが困難となる事に加え、カブリの増大、ひいてはトナー消費量の増加を招き易くなり好ましくない。よって、本発明の磁性トナーの数平均粒径は3〜9μmであることが好ましく、より好ましくは4〜9μmである。
本発明の磁性トナーは、個数分布における変動係数が40以下であることが好ましく、より好ましくは30以下である。個数分布における変動係数が40よりも大きいという事は、トナーの粒度分布が広いという事を意味し、選択現像が生じたり、トナー帯電の均一性が劣るものとなり、トナー消費量も多くなったりしてしまう。
ここで、個数分布の変動係数とは下式(4)により求められる値である。
変動係数=(個数分布における粒径の標準偏差)/(数平均粒径)×100 (4)
本発明に係るトナーは、磁場79.6kA/mにおける残留磁化が0.93〜4.5(Am2/kg)であることが好ましく、1.1〜3.5(Am2/kg)であることがより好ましい。
トナーの残留磁化が4.5(Am2/kg)よりも大きい場合、トナーは「穂」として挙動しやすくなるので好ましくない。一方、トナーの残留磁化が0.93(Am2/kg)未満ではカブリの増大を招き易く好ましくない。
また、本発明の磁性トナーは、磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが10〜50Am2/kg(emu/g)である事が好ましい。これは、現像部におけるトナーの漏れを防止でき、トナーの搬送性或いは攪拌性を高められるばかりでなく、トナーの飛散を防止することが容易となるためである。トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが10Am2/kg未満である場合には、上記の効果が十分に得られず、トナー担持体上に磁力を作用させるとトナーの穂立ちが不安定となり、画像濃度ムラを生じ易くなると共に、トナーへの帯電付与が均一に行えないことにより、カブリの増大、消費量の増加が生じる傾向にある。一方、トナーの磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが50Am2/kgである場合には、トナーに磁力を作用させると磁気凝集によりトナーの流動性が著しく低下し現像性が低下すると共に、トナー劣化が著しくなるために好ましくない。なお、トナーの残留磁化及び飽和磁化は、含有する磁性粉体の種類、量等により任意に調整することが可能である。
本発明のトナーは、電荷的に正規の極性と逆極性になった反転成分(例えばネガトナーの場合、ネガトナー中に存在するポジに帯電しているトナー)が25個数%以下である事が好ましく、より好ましくは15個数%以下である。先に述べた様に、トナーの消費量を削減するためには、必要量以上のトナーを現像させない事が重要であるが、反転成分は静電的に像担持体上に飛翔しやすく、さらに一旦飛翔したトナーは像担持体上に戻りにくい為、反転成分が多量に存在した場合にはトナー消費量が増えてしまう。また、反転成分が多いトナーはトナーの帯電量分布が広くなりやすく、現像バイアスの追従性に劣るようになりやすいという点からも、トナー消費量が増加してしまう傾向にある。なお、反転成分とは、例えばネガトナーの場合、全粒子におけるポジに帯電しているトナーの割合を示したものである。
反転成分の割合は外添剤等により変化する事もあるが、主にトナーが含有する帯電制御剤の種類、量、そして、特に磁性トナーにおいては、含有する鉄及び鉄化合物の遊離率に大きく依存する。
本発明において、荷電制御剤としては、特に制限されること無く公知のものを用いることができるが、有機金属化合物や荷電制御性物質を有する樹脂(以下、「荷電制御樹脂」と称す)を用いることが好ましく、均一な帯電を行うという観点から、有機金属化合物を用いるよりも荷電制御樹脂を用いる事がより好ましい。特に本発明のトナーの好適な製造方法(後述)である懸濁重合を行う場合は、トナー消費量を低減させるという観点からも、荷電制御樹脂を用いることが非常に有利である。これは、荷電制御樹脂を用い懸濁重合を行った場合、荷電制御樹脂中に含まれる親水基により荷電制御樹脂が油液表面に局在化しやすく、これにより荷電制御樹脂がトナー表層を均一に覆うためにトナーの帯電が迅速に行われると共に、正規の帯電が行われ易くなる為に反転成分が少なくなるからである。また、粉砕法によってトナーを製造する場合であっても、混練工程において結着樹脂と荷電制御樹脂とが良く混ざり合う為、均一な帯電を持つようになりやすく、消費量の削減の効果がある。
本発明に用いられる荷電制御樹脂とは例えば含硫黄重合体であり、含硫黄重合体を製造するための硫黄元素を有する単量体としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸等が挙げられる。
本発明に用いる事が出来る含硫黄重合体は、上記単量体の単重合体であってもよく、上記単量体と他の単量体との共重合体であっても構わない。その中でもスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド系単量体とスチレンとの共重合体が、トナーの帯電性の観点から特に好ましい。
硫黄元素を有する単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系重合性単量体があり、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。
単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
含硫黄重合体の製造方法は、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、イオン重合等があるが、操作性などの面から溶液重合が好ましい。
スルホン酸基を有する重合体は、
X(SO3 −)n・mYk+
(X:前記重合性単量体に由来する重合体部位を表し、Y+:カウンターイオンを表し、kはカウンターイオンの価数であり、m及びnは整数であり、n=k×mである。)の如き構造を有する。カウンターイオンとしては、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオンなどであることが良く、より好ましくは水素イオンである。
一方、他の荷電制御剤としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体の如き有機金属化合物;ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられ、中でもジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物が好ましく用いられる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
電荷制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法と、懸濁重合を行う場合には、水中での油液滴の形成時、あるいは水中で油液滴を形成し、重合を行っている最中、または、重合後に荷電制御剤を溶解、懸濁させた重合性単量体を加える事によりシード重合を行う事も可能である。また、荷電制御剤として有機金属化合物を用いる場合は、トナー粒子にこれら化合物を外部添加し、シェアをかけ混合・攪拌する事により導入する事も可能である。
これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、内部添加する場合は、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。また、外部添加する場合、トナー100質量部に対し、好ましくは0.005〜1.0質量部、より好ましくは0.01〜0.3質量部である。
次に、磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離率であるが、これは0.05〜2.00%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜1.50%である。この場合には、トナーの帯電量分布がシャープになり、反転成分が減少し好ましい。
本発明において、磁性トナーの鉄及び鉄化合物の遊離率とは、パーティクルアナライザー(PT1000:横河電機(株)製)により測定されたものである。パーティクルアナライザーはJapan Hardcopy97論文集の65〜68ページに記載の原理で測定を行う。該装置は、トナー等の微粒子を一個づつプラズマへ導入し、微粒子の発光スペクトルから発光物の元素、粒子数、粒子の粒径を知る事が出来る。
この中で、遊離率とは、結着樹脂の構成元素である炭素原子の発光と、鉄原子の発光の同時性から次式(5)により求めたものと定義する。
鉄及び鉄化合物の遊離率(%)
=100×鉄原子のみの発光回数/(炭素原子と同時に発光した鉄原子の発光回数+鉄原子のみの発光回数) 式(5)
ここで、炭素原子と鉄原子の同時発光とは、炭素原子の発光から2.6msec以内に発光した鉄原子の発光を同時発光とし、それ以降の鉄原子の発光は鉄原子のみの発光とする。炭素原子と鉄原子の同時発光は、トナー中に分散した磁性粉体からの発光と考えられ、鉄原子のみの発光は、トナーから遊離した状態にある磁性粉体からの発光と考えられる。
具体的な測定方法は以下の通りである。0.1%酸素含有のヘリウムガスを用い、23℃で湿度60%の環境にて測定を行い、トナーサンプルは同環境下にて1晩放置し、調湿したものを測定に用いる。また、チャンネル1で炭素原子(測定波長247.860nm、Kファクターは推奨値を使用)、チャンネル2で鉄原子(測定波長239.56nm、Kファクターは3.3764を使用)を測定し、一回のスキャンで炭素原子の発光数が1000〜1400個となるようにサンプリングを行い、炭素原子の発光数が総数で10000以上となるまでスキャンを繰り返し、発光数を積算する。この時、炭素元素の発光個数を縦軸に、元素の三乗根電圧を横軸にとった分布において、該分布が極大を一つ有し、更に、谷が存在しない分布となるようにサンプリングし、測定を行う。そして、このデータを元に、全元素のノイズカットレベルを1.50Vとし、上記計算式を用い、鉄及び鉄化合物の遊離率を算出する。後述の実施例においても同様に測定した。
又、荷電制御剤であるアゾ系の鉄化合物等といった、鉄原子を含有する無機化合物以外の材料もトナー中に含まれている場合があるが、こういった化合物は鉄原子と同時に有機化合物中の炭素も同時に発光するため、遊離の鉄原子としてはカウントされない。
鉄及び鉄化合物の遊離率2.0%を超えるトナーは、トナーの帯電量が低くなる上に、遊離の磁性粉体がトナー担持体上に不規則に蓄積してしまい、トナーの均一帯電性が妨げられたり、帯電量分布がブロードになり易く好ましくない。一方、鉄及び鉄化合物の遊離率が0.05%より少ないと、実質的に磁性粉体はトナーから遊離していない事を意味する。このように鉄及び鉄化合物の遊離率が低いトナーは高い帯電量を有するものの、帯電のリークサイトが存在しないためにチャージアップしやすくなり、均一帯電し難くなってしまう。その為、反転カブリが増加する傾向にあり好ましくない。
なお、鉄及び鉄化合物の遊離率は、トナーが含有する磁性粉体の量、及び、磁性粉体の粒度、粒度分布、トナーの製造方法等に依存し、本発明の好適な製造方法である懸濁重合法(後述)においては、磁性体の疎水化度、処理の均一性、及び、造粒条件等に依存するものであるが、一例として、磁性粉体の表面処理が不均一である場合、表面処理が充分に施されていない(親水性が強い)磁性粉体はその一部あるいは全てが遊離してしまう。
本発明の磁性トナーは、公知のいずれの方法によっても製造する事が可能である。まず、粉砕法により製造する場合は、例えば、結着樹脂、磁性粉体、離型剤、荷電制御剤、更に必要に応じて着色剤等の磁性トナーとして必要な成分及びその他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類をお互いに相溶させた中に磁性粉体等の他の磁性トナー材料を分散又は溶解させ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得ることが出来る。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。本発明に係わる特定の円形度(0.950以上)を有するトナーを得るためには、さらに熱をかけて粉砕したり、あるいは補助的に機械的衝撃を加える処理をしたりすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法などを用いても良い。
機械的衝撃力を加える手段としては、例えば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法、また、ホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、高速回転する羽根によりトナーをケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力、摩擦力等の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
機械的衝撃法を用いる場合においては、処理温度をトナーのガラス転移点(Tg)付近の温度(Tg±10℃)を加える熱機械的衝撃が、凝集防止、生産性の観点から好ましい。さらに好ましくは、トナーのTg±5℃の範囲の温度で行うことが、転写効率を向上させるのに特に有効である。
本発明に関わるトナーを粉砕法により製造する場合の結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックスなどが単独或いは混合して使用できる。特に、スチレン系共重合体及びポリエステル樹脂が現像特性、定着性等の点で好ましい。
トナーのガラス転移点温度(Tg)は、40〜80℃であることが好ましく、より好ましくは45〜70℃である。Tgが40℃よりも低いとトナーの保存性が低下し、80℃よりも高いと定着性に劣る。トナーのガラス転移点の測定には例えば、パーキンエルマー社製DSC−7のような示差走査熱量計で測定を行う。測定方法は、ASTM D 3418−8に準じて行う。なお、本発明においては、試料を1回昇温させ履歴をとった後、急冷し、再度昇温速度10℃/min、温度30〜200℃の範囲で昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。
本発明の磁性トナーは、上述のように粉砕法によって製造することも可能であるが、この粉砕法で得られるトナー粒子は一般に不定形のものであり、本発明に係わるトナーの必須条件である平均円形度が0.950以上という物性を得る為には、機械的・熱的あるいは何らかの特殊な処理を行う事が必要となり、生産性が劣るものとなる。そこで、本発明のトナーは分散重合法、会合凝集法、懸濁重合法等、湿式媒体中でトナーを製造する事が好ましく、特に懸濁重合法は、本発明の好ましい条件を満たしやすく、非常に好ましい。懸濁重合法とは、重合性単量体および着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散させて重合性単量体組成物とした後、この重合性単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナーを得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー(以後重合トナー)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、平均円形度が0.970以上、円形度標準偏差が0.045以下という本発明に好適とされる物性要件を満たすトナーが得られやすく、さらにこういったトナーは帯電量の分布も比較的均一となるため消費量の削減にも効果が有る。
しかしながら前述の如く、重合トナー中に通常の磁性粉体を含有させても、遊離の磁性粉体が多数存在し、トナー粒子の帯電特性が著しく低下することがある。また、磁性粉体の分散も悪くなる傾向にあり、さらに、懸濁重合トナーの製造時に分散媒体である水と磁性粉体との相互作用が強いことにより、所望の円形度を有するトナーが得られ難く、トナーの粒度分布も広くなる傾向にある。
これは、i)磁性粉体は一般的に親水性であるためにトナー表面に存在しやすいこと、ii)水溶媒撹拌時に磁性粉体が乱雑に動き、それに単量体から成る懸濁粒子表面が引きずられ、形状が歪んで円形になりにくいこと等が原因と考えられる。こういった問題を解決するためには磁性粉体の有する表面特性の改質が重要である。
そこで、本発明の磁性トナーに使用される磁性粉体は、カップリング剤で疎水化処理されていることが好ましく、磁性粉体表面を疎水化する際、水系媒体中で、磁性粉体を一次粒径となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法を用いることがより好ましく、さらには、水溶液中で製造した磁性体を洗浄後、乾燥させずに疎水化処理する事が非常に好ましい。水中での疎水化処理方法は気相中で処理するより、磁性粉体同士の合一が生じにくくより均一な処理が行える。また、乾燥工程を経ずに疎水化処理するものは、乾燥時に生じる凝集が起こらないので、処理時にはほぼ一次粒径に分散されているので非常に均一な表面処理をすることが出来る。
カップリング剤を水系媒体中で加水分解しながら磁性粉体表面を処理する方法は、クロロシラン類やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリング剤を使用する必要もなく、さらに、これまで気相中では磁性粉体同士が合一しやすくて、良好な処理が困難であった高粘性のカップリング剤も使用できるようになり、疎水化の効果は絶大である。
本発明に係わる磁性粉体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、一般式で示されるものである。
RmSiYn
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。ただし、m+n=4である。]
上記一般式で表されるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
特にこの中で、十分な疎水性を得る為に下記式で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を用いる事が好ましい。
CpH2p+1−Si−(OCqH2q+1)3
[式中、pは2〜20の整数を示し、qは1〜3の整数を示す。]
上記式におけるpが2より小さいと、疎水化処理は容易となるが、疎水性を十分に付与することが困難であり、遊離の磁性粉体を抑制する事が難しくなる。またpが20より大きいと、疎水性は十分になるが、磁性粉体同士の合一が多くなり、トナー中へ磁性粉体を十分に分散性させることが困難になり好ましくない。
また、qが、3より大きいとシランカップリング剤の反応性が低下して疎水化が十分に行われにくくなる。特に、式中のpが2〜20の整数(より好ましくは、3〜15の整数)を示し、qが1〜3の整数(より好ましくは、1又は2の整数)を示すアルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用するのが良い。
その処理量は磁性粉体100質量部に対して、シランカップリング剤の総量が0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部であり、磁性粉体の表面積、カップリング剤の反応性等に応じて処理剤の量を調整することが好ましい。
磁性粉体の表面処理として水系媒体中でカップリング剤で処理するには、水系媒体中で適量の磁性粉体およびカップリング剤を撹拌する方法が挙げられる。撹拌は、例えば撹拌羽根を有する混合機で、磁性粉体が水系媒体中で、一次粒子になるように充分におこなうのが良い。
ここで、水系媒体とは、水を主要成分としている媒体である。具体的には、水系媒体として水、或いは、水に少量の界面活性剤を添加したもの、水にpH調整剤を添加したもの、水に有機溶剤を添加したものが挙げられる。界面活性剤としては、ポリビニルアルコールの如きノンイオン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、水に対して0.1〜5質量%添加するのが良い。pH調整剤としては、塩酸等無機酸が挙げられる。有機溶剤としてはアルコール類等が挙げられる。
なお、上記シランカップリング剤を用いる場合、単独で処理する、あるいは複数の種類を併用して処理する事が可能であり、併用する場合、それぞれのカップリング剤を同時、あるいは時間差をもって投入し、磁性粉体の処理を行う。こうして得られる磁性粉体は粒子の凝集が見られず、個々の粒子表面が均一に疎水化処理されているため、重合トナー用の材料として用いた場合、トナー粒子の均一性が良好なものとなる。
また、本発明の磁性トナーに用いられる磁性粉体は、四三酸化鉄、γ−酸化鉄の如き酸化鉄を主成分とするものであり、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよい。これら磁性粉体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2〜30m2/gであることが好ましく、特に3〜28m2/gであることがより好ましい。また、モース硬度が5〜7のものが好ましい。磁性粉体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、燐片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが画像濃度を高める上で好ましい。
また、本発明の磁性粉体は、上述した如く磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における残留磁化(σr)が小さい方が好ましく、形状としては球形、多面体、六面体等がσrが小さく好適である。さらに、磁性粉体のσrを小さくするために磁性粉体にリン、珪素等の元素を有させることが有効である。なお、磁性粉体の形状はSEMあるいはTEMなどによって確認することが出来、形状に分布がある場合は、存在する形状の内、最も多い形状をもって該磁性粉体の形状とする。
磁性粉体の体積平均粒径としては0.05〜0.40μmが好ましい。体積平均粒径が0.05μm未満の場合、黒色度の低下が顕著となり、白黒用トナーの着色剤としては着色力が不十分となるうえに、複合酸化物粒子どうしの凝集が強くなるため、分散性が低下する傾向となる。また、磁性粉体の表面積が増える事により磁性粉体の残留磁化が大きなものとなり、結果としてトナーの残留磁化も大きくなるので好ましくない。一方、体積平均粒径が0.40μmを超えると残留磁化は小さくなるものの、着色力が不足するようになる。加えて、特に小粒径トナー用の着色剤として使用する場合、個々のトナー粒子に均一に磁性粉体を分散させることが確率的に困難となり、分散性が低下しやすくなるため、好ましくない。
なお、磁性粉体の体積平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定できる。具体的には、エポキシ樹脂中へ観察すべきトナー粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を、ミクロトームにより薄片上のサンプルとして、透過型電子顕微鏡(TEM)において1万倍ないしは4万倍の拡大倍率の写真で視野中の100個の磁性粉体粒子径を測定する。そして、磁性粉体の投影面積に等しい円の相当径をもとに、体積平均粒径の算出を行った。また、画像解析装置により粒径を測定することも可能である。
本発明では、磁性粉体以外に他の着色剤を併用しても良い。併用し得る着色剤としては、磁性あるいは非磁性無機化合物、公知の染料及び顔料が挙げられる。具体的には、例えば、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属粒子、またはこれらにクロム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウム、希土類元素などを加えた合金、ヘマタイトなどの粒子、チタンブラック、ニグロシン染料/顔料、カーボンブラック、フタロシアニン等が挙げられる。これらもまた、表面を処理して用いる事が好ましい。
本発明に用いる磁性粉体の疎水化度は35〜95%である事が好ましく、より好ましくは45〜95%である。疎水化度は磁性粉体表面の処理剤の種類、量、及び処理方法により任意に変える事が可能である。疎水化度とは磁性粉体の疎水性を示しており、疎水化度が低いものは親水性が高い事を意味する。そのため、疎水化度が低い磁性粉体を用いた場合、本発明のトナーを製造する際に好適に用いられる懸濁重合法では、造粒中に磁性粉体が水系に移行してしまい、粒度分布がブロードになると共に、遊離の磁性粉体として存在する事になり好ましくない。さらに、磁性粉体の分散性も低下する傾向にある。また、疎水化度を95%より高くするためには磁性粉体表面の処理材を多量に使用しなければならず、この様な状態では磁性粉体の合一が生じ易く、処理の均一性が損なわれてしまう。
なお、本発明における疎水化度とは以下の方法により測定されたものである。
磁性粉体の疎水化度の測定は、メタノール滴定試験により行う。メタノール滴定試験は、疎水化された表面を有する磁性粉体の疎水化度を確認する実験的試験である。
メタノールを用いた疎水化度測定は次のように行う。磁性粉体0.1gを容量500mlのビーカーの水50mlに添加する。その後メタノールを液中に徐々に添加し滴定を行う。この際メタノールは液底部より供給し、緩やかに攪拌しながら行う。磁性粉体の沈降終了は、液面に磁性粉体の浮遊物が確認されなくなった時点とし、疎水化度は、沈降終了時点に達した際のメタノール及び水混合液中のメタノールの体積百分率としてあらわされる。後述の実施例においても同様に測定した。
本発明の磁性トナーに用いられる磁性粉体は、結着樹脂100質量部に対して、10〜200質量部を用いることが好ましい。さらに好ましくは20〜180質量部を用いることが良い。10質量部未満ではトナーの着色力が乏しく、カブリの抑制も困難である。一方、200質量部を超えると、トナー担持体への磁力による保持力が強まり現像性が低下し、個々のトナー粒子への磁性粉体の均一な分散が難しくなるだけでなく、トナー一粒当りの残留磁化も増えるので好ましくない。
なお、トナー中の磁性粉体の含有量の測定は、パーキンエルマー社製熱分析装置:TGA7を用いて測定することができる。測定方法は、窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃まで、トナーを加熱し、100℃から750℃まで間の減量質量%を結着樹脂量とし、残存重量を近似的に磁性粉体量とする。
本発明の磁性トナーに用いられる磁性粉体は、例えばマグネタイトの場合、下記方法で製造される。
第一鉄塩水溶液に、鉄成分に対して当量または当量以上の水酸化ナトリウム等のアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHをpH7以上(好ましくはpH8〜14)に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応をおこない、磁性酸化鉄粉体の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを6〜14に維持しながら空気を吹込みながら水酸化第一鉄の反応をすすめ種晶を芯にして磁性酸化鉄粉体を成長させる。この時、任意のpHを選択することにより、磁性粉体の形状をコントロールすることが可能である。酸化反応がすすむにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは6未満にしない方が好ましい。酸化反応終了後、そのままpH等を調整してカップリング処理することも可能であるが、酸反応終了後、洗浄、濾過して得られた酸化鉄粉体を、乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを酸性領域にし、十分攪拌しながらシランカップリング剤を添加し、加水分解後、温度を上げる、あるいは、アルカリ域にpHをする事でカップリング処理を行うことが好ましい。いずれにせよ、酸化反応終了後に乾燥工程を経ずに表面処理を行うことが肝要であり、カップリング処理前に乾燥させてしまうと、磁性粉体を均一に水系媒体中に分散させることが難しく、均一な処理が困難となる。
第一鉄塩としては、一般的に硫酸法チタン製造に副生する硫酸鉄、鋼板の表面洗浄に伴って副生する硫酸鉄の利用が可能であり、更に塩化鉄等が可能である。
水溶液法による磁性酸化鉄の製造方法は一般に反応時の粘度の上昇を防ぐこと、及び、硫酸鉄の溶解度から鉄濃度0.5〜2mol/lが用いられる。硫酸鉄の濃度は一般に薄いほど製品の粒度が細かくなる傾向を有する。又、反応に際しては、空気量が多い程、そして反応温度が低いほど微粒化しやすい。
このようにして製造された疎水性磁性粉体を材料とした磁性トナーを使用することにより、安定したトナーの帯電性が得られ、高画質及び高安定性が可能となる。
本発明の磁性トナーは定着性向上の為、離型剤を含有しても良く、結着樹脂100質量部に対し1〜30質量部を含有することが好ましく、より好ましくは、3〜25質量部である。離型剤の含有量が1質量部未満では低温オフセット抑制効果に乏しく、30質量部を超えてしまうと長期間の保存性が悪化すると共に、トナー表面へのしみ出し等によりトナーの帯電均一性が劣るものとなり、トナー消費量の増大を招きやすくなるので好ましくない。さらに多量のワックスを内包するために、トナー形状がいびつになりやすくなる。
本発明に係わる磁性トナーに使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスなども使用できる。
これらの離型剤成分の内でも、示差走差熱量計により測定されるDSC曲線において昇温時に40〜140℃の領域に最大吸熱ピークを有するものが好ましく、さらには45〜135℃の領域に有するものがより好ましい。上記温度領域に最大吸熱ピークを有することにより、良好な定着性をトナーに付与することができると共に、離型剤成分のしみ出し等を抑制出来るので好ましい。最大吸熱ピークが40℃未満であると離型剤成分の自己凝集力が弱くなり、結果として離型剤成分のしみ出しが生じ易くなり、トナーの帯電均一性が低下する。一方、該最大吸熱ピークが140℃を越えると、本発明の好適な製造方法である懸濁重合法において、離型剤の重合性単量体への溶解性が極めて悪くなるため、離型剤の分散性が低下し、好ましくない。
離型剤の最大吸熱ピーク温度の測定は、「ASTM D 3418−99」および「ASTM D 3417−99」に準じて行う。測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、試料を一回200℃まで昇温させ熱履歴を除いた後、急冷し、再度、昇温速度10℃/minにて温度30〜200℃の範囲で昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。後述の実施例においても同様に測定した。
次に本発明の磁性トナーを好適に製造出来る懸濁重合法による製造方法を説明する。本発明に係わる重合トナーは、一般にトナー組成物、すなわち結着樹脂となる重合性単量体中に、磁性粉体、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤、場合によって着色剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例えば、高分子重合体、分散剤等を適宜加えて、分散機等に依って均一に溶解または分散させた重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁して製造できる。
本発明に関わる重合トナーの製造において、重合性単量体組成物を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。これらの単量体は単独、または混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいは他の単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
本発明に係わる重合トナーの製造においては、重合性単量体組成物に樹脂を添加して重合しても良い。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルホン酸基、グリシジル基、ニトリル基等親水性官能基含有の重合性単量体成分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体等、共重合体の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体の形で使用が可能となる。こうした極性官能基を含む高分子重合体をトナー中に共存させると、前述のワックス成分を相分離させ、より内包化が強力となり、耐ブロッキング性、現像性の良好なトナーを得ることができる。
これらの樹脂の中でも特にポリエステル樹脂を含有することにより、その効果は大きな物となる。これは次に述べる理由からと考えている。ポリエステル樹脂は比較的極性の高い官能基であるエステル結合を数多く含む為、樹脂自身の極性が高くなる。その極性の為、水系分散媒中では液滴表面にポリエステルが偏在する傾向が強くなり、その状態を保ちながら重合が進行し、トナーとなる。この為、トナー表面にポリエステル樹脂が偏在することで表面状態や、表面組成が均一な物となり、その結果、均一な帯電性と離型剤の良好な内包との相乗効果により非常に良好な現像性を得る事が出来る。
本発明に使用されるポリエステル樹脂は、例えばトナーの帯電性、耐久性および定着性などの物性をコントロールする上で、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはその両者を適宜選択して使用することが可能である。
本発明に使用されるポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分から構成される通常のものが使用でき、両成分については以下に例示する。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、また下記式で表されるビスフェノール誘導体;
[式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。]、或いは上記化合物の水添物、または、下記式で示されるジオール;
[式中R’は
又は
を表す。]、或いは、上記化合物の水添物のジオールが挙げられる。
2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸またはその無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキルまたはアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
さらに、アルコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコールが挙げられ、酸成分としてトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸が挙げられる。
上記ポリエステル樹脂の中では、帯電特性、環境安定性が優れておりその他の電子写真特性においてバランスのとれた前記のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましく使用される。この化合物の場合には、定着性やトナーの耐久性の点においてアルキレンオキサイドの平均付加モル数は2〜10が好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂は全成分中45〜55モル%がアルコール成分であり、55〜45モル%が酸成分であることが好ましい。
本発明の磁性トナーにおいてトナー粒子表面に存在し、得られるトナー粒子の帯電安定性を高めるために、ポリエステル樹脂は0.1〜50mgKOH/樹脂1gの酸価を有していることが好ましい。0.1mgKOH/樹脂1g未満だとトナー表面への存在量が絶対的に不足し、50mgKOH/樹脂1gを越えるとトナーの帯電性に悪影響を及ぼす。さらに本発明では、5〜35mgKOH/樹脂1gの酸価の範囲がより好ましい。
本発明においては、得られるトナー粒子の物性に悪影響を及ぼさない限り2種以上のポリエステル樹脂を併用したり、例えば、シリコーンやフルオロアルキル基含有化合物により変性したりして物性を調整することも好適に行われる。
また、このような極性官能基を含む高分子重合体を使用する場合、その平均分子量は3000以上が好ましく用いられる。このような極性官能基を含む樹脂は表面付近に集中し易いので、数平均分子量が3000未満の場合は現像性、耐ブロッキング性、耐久性が低下する傾向にあるので好ましくない。
また、材料の分散性や定着性、あるいは画像特性の改良等を目的として上記以外の樹脂を単量体組成物中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独或いは混合して使用できる。これら樹脂の添加量としては、重合性単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方、20質量部以上添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなる。
さらに、重合性単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性の高いトナーを得ることが出来る。
本発明の磁性トナーの製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行うと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることが出来る。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
本発明の磁性トナーを製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001〜15質量%である。
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
本発明の磁性トナーを重合法で製造する方法では、一般に上述のトナー組成物等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解または分散させた重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。又、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加える事も出来る。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
本発明の磁性トナーを製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸三カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛、ヒドロキシアパタイト等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物が挙げられる。これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部使用する事が望ましい。また、上記分散安定剤は単独で用いても良いし、複数種併用してもよい。さらに、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させて用いることが出来る。例えば、燐酸三カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることが出来、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好ましい。
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤やワックス類が、相分離によりトナー粒子の内側に析出して内包化がより良好となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げる事は可能である。
重合トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、必要により無機微粉体を混合し表面に付着させることで、本発明の磁性トナーを得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも可能である。
さらに、本発明においてトナーは、流動化剤として個数平均1次粒径4〜80nm、より好ましくは6〜40nmの無機微粉体が添加されることも好ましい形態である。無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。
無機微粉体の個数平均1次粒径が80nmよりも大きい場合、或いは80nm以下の無機微粉体が添加されていない場合には良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、カブリの増大、画像濃度の低下、消費量の増大等の問題を避けられない。一方、無機微粉体の個数平均1次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉体の凝集性が強まり、1次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、凝集体の現像、像担持体或いは磁性トナー担持体等を傷つけるなどによる画像欠陥を生じ易くなり好ましくない。
本発明において、無機微粉体の個数平均1次粒径の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粉体の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照しつつ、トナー表面に付着或いは遊離して存在している無機微粉体の1次粒子を100個以上測定し、個数基準の平均1次粒径を求めることで測定出来る。
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ、酸化チタン、アルミナなどが使用できる。
シリカとしては、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2−等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
個数平均1次粒径が4〜80nmの無機微粉体の添加量は、トナー粒子に対して0.1〜3.0質量%であることが好ましく、添加量が0.1質量%未満ではその効果が十分ではなく、3.0質量%を超える場合には定着性が低下する傾向にある。
また、無機微粉体の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
本発明において無機微粉体は、疎水化処理された物であることが、環境安定性の観点から好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナー粒子の帯電量が著しく低下し、帯電量が不均一になり易く、トナー飛散が起こり易くなる。
疎水化処理に用いる処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物等の処理剤を単独で或いは併用して処理しても良い。
その中でも、シリコーンオイルにより処理したものが好ましく、より好ましくは、無機微粉体をシラン化合物で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したものが高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、トナー飛散を防止する上でよい。
そのような無機微粉体の処理方法としては、例えば第一段反応として、シラン化合物でシリル化反応を行い、シラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することができる。
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが、さらには3,000〜80,000mm2/sのものが好ましい。10mm2/s未満では、無機微粉体に安定性が無く、熱および機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
使用されるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。
無機微粉体をシリコーンオイルで処理する方法としては、例えば、シラン化合物で処理された無機微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散させた後、無機微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉体の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
シリコーンオイルの処理量は、無機微粉体100質量部に対し1〜40質量部、好ましくは3〜35質量部が良い。シリコーンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとカブリ発生等の不具合が生ずる傾向がある。
本発明で用いられる無機微粉体は、トナーに良好な流動性を付与させる為に、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積が20〜350m2/g範囲内のものが好ましく、より好ましくは25〜300m2/gのものが更に良い。
比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出す本発明の磁性トナーは、クリーニング性向上等の目的で、一次粒径30nmを超える無機又は有機の球状に近い微粒子をさらに添加することが好ましく、より好ましくは一次粒径50nm以上の微粒子を添加することである。また、該微粒子は、比表面積が50m2/g未満であることが好ましく、30m2/g未満であることがより好ましい。該微粒子としては、例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
本発明に用いられる磁性トナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末、あるいは酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤、あるいは例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤、ケーキング防止剤、また、逆極性の有機微粒子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いる事もできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
次に、本発明に係る各物性の測定方法に関して記載する。
(1)平均円形度
本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東亞医用電子製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」を用いて測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)を下式(6)によりそれぞれ求め、さらに下式(7)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数(m)で除した値を平均円形度(C)と定義する。
本発明で用いている測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及びモード円形度の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.40〜1.00を0.01毎に61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及びモード円形度の各値との誤差は、非常に少なく、実質的には無視出来る程度のものであり、本発明においては、算出時間の短絡化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。測定手順としては、以下の通りである。界面活性剤約0.1mgを溶解している水10mlに、磁性トナー約5mgを分散させて分散液を調製し、超音波(20kHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5000〜2万個/μlとして、前記装置により測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群の平均円形度を求める。
本発明における平均円形度とは、磁性トナーの凹凸の度合いの指標であり、磁性トナーが完全な球形の場合1.000を示し、磁性トナーの表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
なお、本測定において3μm以上の円相当径の粒子群についてのみ円形度を測定する理由は、3μm未満の円相当径の粒子群にはトナー粒子とは独立して存在する外部添加剤の粒子群の影響を排除し、より正確にトナー粒子の円形度を求めるためである。
(2)磁気特性
本発明において磁性トナーの飽和磁化及び残留磁化の強さは、振動型磁力計VSM P−1−10(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場79.6kA/mで測定する。これは、トナー担持体中に固定されているマグネットローラーの現像極の磁力が、一般的には1000エルステッド(約79.6kA/m)前後である事から、外部磁場79.6kA/mで残留磁化を測定する事により現像領域でのトナー挙動を捉える事が出来るためである。
(3)平均粒径及び粒度分布
トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能であるが、本発明においてはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続した。電解液としては、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製したものを用いることができ、例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を使用できる。
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5mlを加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の個数を測定して個数分布とを算出し、それから数平均粒径(D)を求める。
(4)反転成分
反転成分の測定はE−SPARTアナライザー(ホソカワミクロン社製)を用い測定を行った。具体的には、常温常湿環境下(23℃、60%RH)にて像担持体上にベタ黒像を形成し、装置付随のマニュアルに則り像担持体上のトナーについて測定を行った。なお、測定時のField Voltageは1000V、測定個数は3000個とした。
次に本発明のトナーを好適に用いる事の出来る画像形成装置(図1)、及び、画像処理について説明する。
(帯電工程)
1は、像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体である。本実施例の画像形成装置は反転現像を用いており、ネガ感光体を用いている。本実施例では直径30mmのOPC感光体を用い、矢印方向に94mm/secの周速度をもって回転駆動した。2は、感光体1に当接させた接触帯電部材としての帯電ローラである。感光体1の外周面がほぼ−600Vに一様に帯電処理されるように、帯電ローラ2に帯電バイアス電源S1から帯電バイアスを印加する。
(露光工程)
本発明では、P201、P301の工程からなる露光補正処理を行っている。これらの工程の動作の詳細については後述する。また、潜像形成を行うために、感光体1の帯電面に対して、レーザーダイオードおよびポリゴンミラー等を含む6のイメージ露光装置からレーザービームによる走査露光Lが出力される。走査露光Lは強度変調されているため、感光体1の外周面に対して目的の画像情報に対応した電荷分布が形成され、感光ドラム1表面における任意の箇所の電荷量を制御することにより、静電潜像が形成される。なお、本実施例では1200dpiの画像解像度でイメージ露光を行っている。
(現像工程)
上記により形成された静電潜像は、反転非接触現像装置3により本発明の磁性トナーを用いて現像剤像として現像される。トナーの現像量は感光体表面の電荷量に対応するため、前記露光過程の画像露光量に対応した量のトナーが現像されることになる。
32はマグネット33を内包する直径16mmの非磁性現像スリーブであり、この現像スリーブ32に上記の現像剤31をコートし、感光体1表面との距離を280μmに固定した状態で、感光体1と等速で回転させ、現像スリーブ32に現像バイアス電源S2より現像バイアス電圧を印加する。現像剤31は弾性ブレード34との摺擦により、摩擦帯電し、電荷を持つ。現像スリーブ32に所定の現像バイアスを印加して、先の画像電荷分布により生じた電界に重畳されることにより、「トナー粒子を現像するための現像電界」が形成され、現像スリーブ32と感光体1の間で1成分ジャンピング現像が行なわれる。なお、本実施例では、現像バイアスとして1.6kVpp、2.4kHzの矩形波を用いた。
(転写工程)
感光体1と、感光体1に所定の押圧力で当接させた接触転写手段としての中抵抗の転写ローラ4との圧接部(転写部)Tに、不図示の給紙部から記録材としての転写材Pが所定のタイミングにて供給される。転写ローラ4には転写バイアス印加電源S3から所定の転写バイアス電源が印加される。転写部Tに導入された転写材Pは感光体1と転写ローラとにより挟持搬送され、その表面側にトナー像が静電気力と押圧力にて転写される。また、転写されずに感光体上に残存するトナー(転写残トナー)は不図示のクリーニング装置により回収される。
(定着工程)
転写工程後、転写材Pは感光体1の面から分離されて熱定着方式等の定着装置5へ導入され、トナー像が転写材上に定着される。そして、画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
(露光強度補正)
画像の露光強度の補正処理についてであるが、出力画像データに対して、注目画素の周辺の画素の画像状況(周辺画素が画像部であるか、或いは非画像部であるかという画像状況)に応じて、該画素に対して強弱の差をつけた露光を行うことを特徴としている。
以下、各画素の画像データとして、8bit画像データ(0〜255の256値)を用いる場合で説明する。1画素の画素値pを、8bit画像データで扱う場合には、最高濃度の黒部をp=255と設定し、白部をp=0と設定し、その中間調を濃い灰色から薄い灰色にかけて254〜1と設定する。該当画素(注目画素)がp=255の濃度の孤立黒ドットを形成する際の注目画素に対する画像露光強度としては、画像露光最高強度I_dotが用いられる。また、ベタ黒部を形成しており、注目画素の近傍の画素が全てp=255であるような画素に対する画像露光強度としては、最低画像露光強度I_solidが用いられる。尚、I_solidは、ベタ画像として十分な画像濃度と判断される最低限の濃度である画像濃度(具体的には、画像濃度1.4程度)を出力するような画像露光強度に設定される。また、各画素の画像データとして、8bitデータである必要はなく、4bitデータ(0〜15の16値)や16bitデータ(0〜65535)であっても良い。
孤立ドットを形成する場合には、その画素が単独で画像を形成しているために、その画素自身が十分な濃度を有している必要があるが、ベタ黒部を形成する場合には、ベタ黒部全体として十分な濃度を有しているように見えれば良いため、孤立黒ドットの場合に比べて、各画素の濃度としてはある程度低くなっていても良い。そのために孤立ドットを形成する場合の画像露光強度は、入力データどおりに調整されるか、或いはより強く調整され、ベタ黒部を形成する場合の画像露光強度は入力データよりも弱く調整される。
即ち、本実施例においては、画像露光としては、以下の画像露光強度が設定される。
・孤立ドット部には露光強度I_dot
・ベタ部には露光強度I_solid
・それらの中間部にはI_dotに露光補正係数Bを乗じた露光強度I(さらにレーザー・感光体の特性に合わせた補正カーブを乗じても良い)
また、画素値pが255未満であるハーフトーン画像部においては、p/255をI_dot或いはI_solidに乗じたもの、或いは、さらにレーザー・感光体の特性に合わせた補正カーブを乗じたものを画像露光強度として用いる。
以下、具体的な処理について述べる。
本発明における露光補正処理は、出力画像データに対して、所定のマトリクス(下記の説明では、注目画素の近傍3×3画素を考慮した露光補正処理を行っているため、3×3のマトリクスを用いているが、近傍3×3画素の考慮に限定されるものではなく、近傍5×5画素を考慮した露光補正処理であっても良い。)を用いて近傍の画素値の演算を行う工程(P201)と、この工程で得られた合計値が所定の値よりも大きい場合、すなわち注目画素周囲に画像部となる画素が所定量以上多い個所においては、該画素の画像露光強度を弱める工程(P301)を有している。以下、この露光補正処理について述べる。
なお、本実施例において、外部から0〜255の範囲のn×mの画素サイズからなる8bit画像データPが、画像入力ユニットP101を経由して入力される。ここで、8bit画像データは黒を255とし、白を0としたものであるが、これに限るものではない。
・P201
画像データPは、画像データバッファP202に一旦、一部或いは全部が保持される。保持された画像データは、画素値演算部P201において、画像データ内の各画素について、近傍3×3画素に対するマトリクス演算が行われ、各画素に対して、各画素周辺の画素値合計値Aを得る。本実施例で用いた3×3マトリクス〔(1,1,1)、(1,0(注目画素),1)、(1,1,1)〕の場合(図2参照)、即ち画素の重み付けを行わない場合には、単純に注目画素の周辺画素中の画像部となる画素の画素値に応じてAは増加し、0〜255×(1×8)(=2040)まで増加することになる。
また、画素値の重み付けを行った3×3マトリクス〔(0.5,1,0.5)、(1,0(注目画素),1)、(0.5,1,0.5))を用いた場合(図3参照)、各画素周辺の画素値合計値Aは0〜255×(0.5×4+1×4)=1530まで増加することになる。なお、ここで「1」や「0.5」は8bitの周辺画素データに乗ずる任意の係数である。
また、ここで用いた3×3のマトリクスの値は上記値に限るものではなく、各現像装置特性・感光体特性・耐久変動などに応じて、それぞれ異なる値を用いたり、適時変化させたりしても良い。
・P301
データ補正処理P301において、画像データバッファP202内の画像データPおよび、画素値演算部P201により処理された注目画素周囲における画素値合計値Aを用いて、イメージ露光装置を主とする画像出力ユニットへ送られる画像データP’を作成する。この処理段では、前段で得られた画素値合計値Aを変換テーブルRに通すことで得られた画素値補正係数BをI_dotと乗算することで、画像露光出力値Cが得られる。図4に変換テーブルRの一例を示す。
本実施例で用いられた変換テーブルRは画素値合計値A=0、即ち孤立ドットの場合は画素補正係数B=1.0であり、その後は徐々にBは減少し、最終的にはA=2040、即ち注目画素の周囲全てがp=255の画像部の個所において、B=0.5まで減少するような変換テーブルとなっている。すなわち、注目画素の近傍周辺画素において画像部となる画素が存在しない画素(孤立ドット)の場合には、画像露光強度CはI_dotと等しく、周囲近傍に画像部となる画素が存在する場合には徐々に画像露光強度Cは減少し、最終的に周囲近傍が全て画像部(ベタ部)となる画素であるような場合、CはI_dotの半分の強度になる。すなわち、注目画素の周辺画素に画像部となる画素が存在しない場合には、画像露光強度を減少させる処理を行わず、画像部となる画素が存在する場合には周囲に存在する該画素数に応じて画像露光強度を弱める処理を行う。
本実施例では、このような画像露光強度を弱める処理を行い、その弱めた量に応じてトナー現像量を減少させている。なお、本実施例では変換テーブルRはトナーのベタ濃度に応じて、A=2040でのBの値を変化させている。これは、画像露光強度処理後のベタ濃度が1.4となるように調整する為である。また、A=2040でのBの値を変えた場合には、それに応じてA=0〜2039におけるBの値も、同じ割合で変化させる。
また、一般にライン画像において、像担持体に印加する現像バイアスが一定の場合、ラインの太さはラインエッジ部の露光量に比例する。本発明においてはラインエッジ部の露光強度はさほど大きく減少しない事から、ライン幅が細くなる事は無く、ライン幅を維持したままトナー現像量を減少させる事が可能となる。
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
<1>磁性粉体の製造
<表面処理磁性粉体1の製造>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対しリン元素換算で1.5質量%のヘキサメタリン酸ソーダ、鉄元素に対してケイ素元素換算で1.5質量%のケイ酸ソーダを混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
水溶液をpH9に維持しながら、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。濾過、洗浄した後、この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを約4.5に調製し、十分攪拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を磁性酸化鉄に対し2.0質量部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、加水分解を行った。その後、分散液のpHを約10にし、縮合反応を行い、カップリング処理を行った。生成した疎水性磁性粉体を常法により洗浄、濾過、乾燥し、得られた粒子を十分解砕処理し、体積平均粒径が0.18μmの球形の表面処理磁性粉体1を得た。得られた表面処理磁性粉体1の物性を表1に示す。なお、表中の磁性体のσrは外部磁場79.6kA/m(1000エルステッド)にて測定した値である。
<表面処理磁性粉体2、3の製造>
表面処理磁性粉体1の製造において、反応条件を変えて粒径が異なるマグネタイトをそれぞれ製造した。得られた表面処理磁性粉体2及び3の物性を表1に示す。
<表面処理磁性粉体4の製造>
表面処理磁性粉体1の製造において、ケイ酸ソーダを用いなかったこと以外は表面処理磁性粉体1の製造と同様にして表面処理磁性粉体4を得た。得られた表面処理磁性粉体4の物性を表1に示す。
<表面処理磁性粉体5、6の製造>
表面処理磁性粉体1の製造において、反応時のpH及び反応条件を変えて表面処理磁性粉体5、6を得た。得られた表面処理磁性粉体5、6の物性を表1に示す。
<表面処理磁性粉体7の製造>
表面処理磁性粉体1の製造において、n−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤2.0質量部を1.1質量部としたこと以外は表面処理磁性粉体1と同様にして、表面処理磁性粉体7を製造した。得られた表面処理磁性粉体7の物性を表1に示す。
<表面処理磁性粉体8の製造>
表面処理磁性粉体1の製造において、n−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤2.0質量部を0.8質量部としたこと以外は表面処理磁性粉体1と同様にして、表面処理磁性粉体8を製造した。得られた表面処理磁性粉体8の物性を表1に示す。
<未処理磁性粉体1の製造>
表面処理磁性粉体1の製造と同様に酸化反応を進め、酸化反応終了後に生成した磁性酸化鉄粉体を洗浄、濾過、乾燥し、凝集している粒子を十分に解砕処理し、未処理磁性粉体1を得た。得られた磁性粉体の物性を表1に示す。
<2>荷電制御樹脂の製造
還流管,撹拌機,温度計,窒素導入管,滴下装置及び減圧装置を備えた加圧可能な反応容器に、溶媒としてメタノール250部、2−ブタノン150部及び2−プロパノール100部、モノマーとしてスチレン83部、2−エチルヘキシルアクリレート12部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸4部を添加して撹拌しながら還流温度まで加熱した。重合開始剤であるt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.45部を2−ブタノン20部で希釈した溶液を30分かけて滴下して5時間撹拌を継続し、更にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.28部を2−ブタノン20部で希釈した溶液を30分かけて滴下して、更に5時間撹拌して重合を終了した。重合溶媒を減圧留去した後に得られた重合体を150メッシュのスクリーンを装着したカッターミルを用いて100μm程度に粗粉砕し荷電制御樹脂1を得た。この荷電制御樹脂の数平均分子量は8000、重量平均分子量は26000、ガラス転移温度(Tg)は76℃であった。
<3>磁性トナーの製造
<磁性トナー1の製造>
イオン交換水720質量部に0.1モル/l−Na3PO4水溶液450質量部を投入し60℃に加温した後、1.0モル/l−CaCl2水溶液67.7質量部を添加して分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 83質量部
・n−ブチルアクリレート 17質量部
・飽和ポリエステル樹脂 3質量部
(Mn=10000、Mw/Mn=2.6、酸価=12mgKOH/g、Tg=72℃)
・荷電制御樹脂1 1質量部
・表面処理磁性粉体1 90質量部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、そこにエステルワックス(DSCにおける最大吸熱ピーク72℃)10質量部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5質量部を溶解した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃で8時間反応させた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えてpH=2以下で分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥してトナー粒子1を得た。
このトナー粒子1を100質量部と、BET比表面積が120m2/gの疎水性シリカ微粉体(数平均1次粒径12nmのシリカをヘキサメチルジシラザンで処理後にシリコーンオイルで処理したもの)1.0質量部と数平均粒径が0.15μmのPMMA樹脂粒子0.1質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、数平均粒径が5.0μmの磁性トナー1を調製した。磁性トナー1の物性を表2に示す。
<磁性トナー2の製造>
磁性トナー1の製造において、分散安定剤の量を調整すると共に、表面処理磁性粉体1に変えて表面処理磁性粉体2を用いたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にし、磁性トナー2を製造した。磁性トナー2の物性を表2に示す。
<磁性トナー3の製造>
磁性トナー1の製造において、分散安定剤の量を調整すると共に、表面処理磁性粉体1に変えて表面処理磁性粉体3を用いたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にし、磁性トナー3を製造した。磁性トナー3の物性を表2に示す。
<磁性トナー4の製造>
表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体5に変えたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にして、磁性トナー4を製造した。磁性トナー4の物性を表2に示す。
<磁性トナー5の製造>
磁性トナー1の製造において、分散安定剤の量を調整すると共に、表面処理磁性粉体1に変えて表面処理磁性粉体4を用いたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にし、磁性トナー5を製造した。磁性トナー5の物性を表2に示す。
<磁性トナー6の製造>
磁性トナー1の製造において、分散安定剤の量を調整すると共に、表面処理磁性粉体1に変えて表面処理磁性粉体5を用いたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にし、磁性トナー6を製造した。磁性トナー6の物性を表2に示す。
<磁性トナー7の製造>
磁性トナー1の製造において、分散安定剤の量を調整すると共に表面処理磁性粉体1に変えて表面処理磁性粉体6を用いたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にし、磁性トナー7を製造した。磁性トナー7の物性を表2に示す。
<実施例1>
<画像形成装置>
画像形成装置として、レーザービームプリンターLBP−1760(キヤノン製)を1200dpiにすると共に、図1に示す如き構造に改造した。像担持体(感光体)1に、帯電部材として導電性カーボンを分散しナイロン樹脂で被覆したゴムローラ帯電器2を当接させ(当接圧60g/cm)、直流電圧−620Vに交流電圧1.8kVppを重畳したバイアスを印加して、感光体上を一様に帯電する。帯電に次いで、レーザー光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成する。感光体と現像スリーブとの間隙は280μmとし、磁性トナー担持体として、表面をブラストした直径16mmのアルミニウム円筒上に、下記の構成の層厚約7μm、JIS中心線平均粗さ(Ra)1.0μmの樹脂層を形成した現像スリーブ102を使用し、現像磁極95mT(950ガウス)、トナー規制部材として厚み1.0mm、自由長0.70mmのウレタン製ブレードを39.2N/m(40g/cm)の線圧で当接させた。
・フェノール樹脂 100質量部
・グラファイト(粒径約7μm) 90質量部
・カーボンブラック 10質量部
次いで、現像バイアスとして直流電圧Vdcは潜像(200μmの8dot−Line)を忠実に再現するように調整し(得られる画像のライン幅が190〜200μmとなるように調整)、重畳する交番電界として1.6kVpp、周波数2400Hzを用いた。
また、ベタ黒濃度が1.40〜1.45となるように画像部となる画素が集中している部分の画像露光強度を調整した。画像露光強度の調整には、図4の変換テーブルR(A=2040の箇所ではB=0.5)を用いた。
この条件において、磁性トナー1を使用し、常温常湿環境下(23℃、60%RH)において、8ポイントのA文字を用い印字率を4%とした画像を出力し、2000枚の画出し試験を行った。なお、記録媒体としては75g/m2の紙を使用した。その結果、磁性トナー1では、耐久前後で非画像部へのカブリが無く、画像濃度が1.4以上、ライン幅は195〜200μmであり、トナー消費量(トナー消費量は4%印字時に消費したトナー量を印刷枚数で割った値)は21.1mg/pageであった。評価結果を表4に示す。この事から、従来のトナー消費量(50〜55mg/page)に比べ大幅にトナー消費量が削減できた事が分かる。
本発明の実施例並びに比較例中に記載の評価項目とその判断基準について以下に述べる。
・画像濃度
画像濃度はベタ画像部を形成し、このベタ画像をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定を行った。
・カブリ
白画像を出力し紙上カブリの測定を行い、以下の基準で判断した。なお、カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、カブリは下式(6)より算出した。
カブリ(反射率)(%)=標準紙の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%) (6)
なお、カブリの判断基準は以下の通りである。
A:非常に良好(1.5%未満)
B:良好(1.5%以上、2.5%未満)
C:普通(2.5%以上、4.0%未満)
D:悪い(4.0%以上)
<実施例2〜5>
磁性トナー2、4、5、6を用い実施例1と同様に画出し試験を行った。その結果を表4に示す。
ただし、各実施例においてベタ黒濃度が1.40〜1.45となるように画像部となる画素が集中している部分の画像露光強度を変換テーブルRを用いて調整した。また、それに応じてA=0〜2039におけるBの値も変わっている。各実施例にて用いたA=2040でのB値を表3に示す。
<比較例1、2>
磁性トナー3、7を用い磁性トナー1と同様に画出し試験を行った。また、使用したトナー量からトナー消費量を求めた。
その結果、磁性トナー3においては、消費量は少ないもののカブリがひどく、実用上好ましいものではなかった。
また、磁性トナー7では、トナーの着色力が低いために画像部となる画素が集中している画素の画像露光量をほとんど落とす事が出来なかった。また、σr×Dの値が高い事もありトナー消費量は51.6mg/pageと従来の消費量と大差無かった。結果を表3に示す。
ただし、各比較例においてベタ黒濃度が1.40〜1.45となるように画像部となる画素が集中している部分の画像露光強度を変換テーブルRを用いて調整した。また、それに応じてA=0〜2039におけるBの値も変わっている。各比較例において調整したA=2040でのB値を表3に示す。
<磁性トナー8の製造>
磁性トナー1の製造にて用いた荷電制御樹脂1をモノアゾ系の鉄錯体:T−77(保土ヶ谷化学工業(株)製)に変えたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にして、磁性トナー8を製造した。磁性トナー8の物性を表5に示す。
<磁性トナー9の製造>
磁性トナー1の製造にて用いた荷電制御樹脂1をアゾ系のクロム錯体:S−34(保土ヶ谷化学工業(株)製)に変えたこと以外は磁性トナー1の製造と同様にして、磁性トナー9を製造した。磁性トナー9の物性を表5に示す。
<磁性トナー10の製造>
磁性トナー1の製造にて用いた表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体7に変え、分散安定剤の量を調整したこと以外は磁性トナー1の製造と同様にして、磁性トナー10を製造した。磁性トナー10の物性を表5に示す。
<磁性トナー11の製造>
磁性トナー1の製造にて用いた表面処理磁性粉体1を表面処理磁性粉体8に変え、分散安定剤の量を調整したこと以外は磁性トナー1の製造と同様にして、磁性トナー11を製造した。磁性トナー11の物性を表5に示す。
<磁性トナー12の製造>
・スチレン 65.0質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート 35.0質量部
・ジビニルベンゼン 0.5質量部
・表面処理磁性粉体1 100.0質量部
・磁性トナー1の製造で用いた飽和ポリエステル 3.0質量部
(Mn=10000、Mw/Mn=2.6、酸価=12mgKOH/g、Tg=72℃)
上記処方をアトライターを用い均一に分散混合した。その後、60℃に加温し、エステルワックス10質量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.5質量部を添加し、溶解した。
次いで、リン酸三カルシウム4質量%の水性コロイド溶液650質量部を60℃に加温した後、上記の重合性単量体組成物222.3質量部を添加し、TKホモミキサーを用いて室温にて、回転数10000rpmで3分間乳化分散させた。
その後、窒素雰囲気下にて攪拌を続けながら、85℃で10時間反応を行った後、室温まで冷却し、磁性トナー粒子分散液を得た。
次に、別途、スチレン13.0質量部、2−エチルヘキシルアクリレート7.0質量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部、ジビニルベンゼン0.2質量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1質量部を水20質量部に投入し、超音波ホモジナイザーを用い分散させた。
これを、前記磁性トナー粒子分散液中に滴下し、粒子を膨潤させた。その後、窒素雰囲気下にて攪拌を行い、85℃で10時間反応を行った。その後、懸濁液を冷却し、磁性トナー1と同様に洗浄、濾過、乾燥し、次いで風力分級を行い磁性トナー粒子12を得た。
この磁性トナー粒子12を100質量部と、磁性トナー1の製造で使用した疎水性シリカ微粉体1.0質量部、数平均粒径が0.15μmのPMMA樹脂粒子0.1質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、数平均粒径が5.2μmの磁性トナー12を調製した。磁性トナー12の物性を表5に示す。
<磁性トナー13の製造>
(樹脂微粒子分散液の調製)
・スチレン 330質量部
・n−ブチルアクリレート 80質量部
・アクリル酸 6質量部
・ジビニルベンゼン 2.3質量部
・ドデカンチオール 6質量部
・四臭化炭素 4質量部
前記成分を混合溶解して溶液を調製した。
また、非イオン性界面活性剤6質量部、及びアニオン性界面活性剤10質量部をイオン交換水550質量部に溶解し、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化して10分間ゆっくり攪拌・混合しながら、過硫酸アンモニウム5質量部を溶解したイオン交換水50質量部を投入した。次いで、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを攪拌しながらオイルバスで70℃まで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続して、平均粒径150nm、ガラス転移温度59℃、Mw50000の樹脂微粒子を含有するアニオン性樹脂微粒子分散液1を得た。
(磁性体分散液の調製)
・未処理磁性粉体1 150質量部
・非イオン性界面活性剤 10質量部
・イオン交換水 400質量部
前記成分を混合溶解し、ホモジナイザーにより10分間分散し、磁性体分散液1を得た。
(離型剤分散液の調製)
・パラフィンワックス(融点ピーク温度90℃) 50質量部
・カチオン性界面活性剤 5.5質量部
・イオン交換水 200質量部
前記成分を加圧下98℃に加熱して十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理を施し、中心径0.16μmの離型剤粒子を含有する離型剤分散液1を得た。
(トナーの製造)
・樹脂微粒子分散液1 200質量部
・磁性体分散液1 283質量部
・離型剤分散液1 64質量部
・ポリ塩化アルミニウム 1.23質量部
前記成分をホモジナイザーで十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら凝集温度58℃まで加熱した。その後、58℃で60分間保持した後、さらに樹脂微粒子分散液1を30質量部追加して緩やかに攪拌した。その後、0.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを7.0に調整した後、フラスコを密閉し、攪拌を継続しながら80℃まで加熱した。その後、pHを4.0まで低下して6時間保持した。反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水による十分な洗浄を行った後、濾過、洗浄、乾燥を行い磁性トナー粒子13を得た。得られた磁性トナー粒子13を100質量部と、磁性トナー1の製造で使用した疎水性シリカ微粉末1.0質量部、数平均粒径が0.15μmのPMMA樹脂0.1質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、数平均粒径が5.1μmの磁性トナー13を調製した。磁性トナー13の物性を表5に示す。
<磁性トナー14の製造>
・スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体(質量比83/17) 100質量部
・磁性トナー1の製造で用いた飽和ポリエステル樹脂 3質量部
・荷電制御樹脂1 1質量部
・表面処理磁性粉体1 90質量部
・磁性トナー1の製造で用いたエステルワックス 10質量部
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕後、得られた微粉砕物を風力分級して磁性トナー粒子14を得た。この磁性トナー粒子14を100質量部に対して磁性トナー1の製造で使用したシリカ1.0質量部、数平均粒径が0.15μmのPMMA樹脂0.1質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、数平均粒径が5.2μmの磁性トナー14を調製した。磁性トナー14の物性を表5に示す。
<磁性トナー15の製造>
磁性トナー14の製造で得た磁性トナー粒子14をハイブリタイザー(奈良機械社製)を用い、6000回転で3分間の処理を1回行い磁性トナー粒子15を得た。この磁性トナー粒子100質量部に対して磁性トナー1の製造で使用したシリカ1.0質量部、数平均粒径が0.15μmのPMMA樹脂0.1質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、磁性トナー15を調製した。磁性トナー15の物性を表5に示す。
<磁性トナー16の製造>
磁性トナー14の製造で得た磁性トナー粒子14をハイブリタイザー(奈良機械社製)を用い、6000回転で3分間の処理を3回行い磁性トナー粒子16を得た。この磁性トナー粒子100質量部に対して磁性トナー1の製造で使用したシリカ1.0質量部、数平均粒径が0.15μmのPMMA樹脂0.1質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、磁性トナー16を調製した。磁性トナー16の物性を表5に示す。
<実施例6〜13>
磁性トナー8〜13、15、16を用いて実施例1と同様に画出し評価を行った。その結果を表7に示すが、いずれも画像濃度が高く、潜像を忠実に再現していると共に消費量が減っている事が分かる。
ただし、各実施例においてベタ黒濃度が1.40〜1.45となるように画像部となる画素が集中している部分の画像露光強度を変換テーブルRを用いて調整した。また、それに応じてA=0〜2039におけるBの値も変わっている。各実施例にて用いたA=2040でのB値を表6に示す。
<比較例3>
磁性トナー14を用いて画出し評価を行ったところ、ベタ部の画像濃度が低かったため(画像濃度1.4未満)、画像処理を行うに至らなかった。また、ベタがやや薄い状態で画出しを行い、トナー消費量を求めると50.9mg/pageであり、トナー消費量が減っていない事が分かる。評価結果を表7に示す。
<比較例4>
磁性トナー16を用いて、画像処理を行わずに画出し評価を行ったところ、トナー消費量は52.4mg/pageであり、トナー消費量が減っていない事が分かる。評価結果を表7に示す。
<比較例5>
磁性トナー16を用いて、画像処理を行わずにベタ濃度が1.4となるようにVdc(トナー担持体に印加する直流電圧)を設定し画出し試験を行った。その結果、トナー消費量は36.4mg/pageであったがライン幅が細く、潜像の再現性が不十分であった。評価結果を表7に示す。