JP3901775B2 - 光反射シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光灯等の照明器具に装備された反射板等に貼り付けて使用できる取り替え可能な防汚効果を有する光反射シートに関するものである
【0002】
【従来の技術】
最近、住環境におけるタバコの弊害に対する関心の高まりに伴い、日常生活の中においても、嫌煙、タバコ臭除去、防汚染などの要求が増加している。公共施設おける禁煙領域は確保され、民間のレストラン、飛行機、列車やタクシーなどにおいても禁煙領域が増えつつある。タバコ臭の除去についても、脱臭性繊維の開発や、活性炭、シリカ、アルミナ、金属酸化物等の複合化された無機吸着剤による吸着型や分解型の空気清浄装置の開発等により住環境の中からその影響を取り去る方向に進みつつある。
【0003】
しかしながら、タバコによる住環境への直接の汚染、すなわちタバコのヤニに代表されるようなタール状の物質が壁、床、天井、家具、照明器具などに付着してしまう汚れについては解決できる手段がなかった。中でも照明器具に関してはその反射板がヤニで一度汚れてしまうと非常に取れ難く、結果として光の反射効率が低下してしまい、有効な光量が少なくなるばかりでなくエネルギー的にも大きな損失であった。
【0004】
反射板に付着したタバコのヤニが取れ難い原因としては、反射板が光源に非常に近い所で使用されるため、光源からの光及び熱によって、付着したヤニの酸化反応あるいは架橋反応が進行してヤニが化学的に変質し、水や洗剤では膨潤、溶解し難くなることが考えられる。反射板の汚れを防ぐ手段としては、透明なプラスチックシートを保護シートとして反射板に貼り合わせ、該シートが汚れれば交換するという方法も考えられるが、反射板を有効に活用しようとすると保護シートを頻繁に交換するしかないという無駄が生じ、省資源的にも好ましいものではない。
【0005】
汚染物質の除去方法として、光触媒を用いた汚染物質の除去方法が知られている。例えば、Cundallらは、J.Oil.Chem.Assoc.1978,61,351において、酸化チタンに紫外光を照射した場合、水とアルコールの混合系でアルコールが分解されることを報告している。さらに特開昭61−135669号公報においては、酸化亜鉛等の光触媒に紫外光を照射すると、悪臭物質である硫黄化合物が分解することが報告されている。これら光触媒による分解反応においては、反応の進行に伴って光触媒が消費されることはなく、光が曝露されている限りその分解能力は半永久的である。光触媒反応は界面反応であり、光触媒と分解対象物との接触機会が多い程効率的に進行する。従って、光触媒の形状としては比表面積を大きくとれる粉体であることが好ましいが、光触媒を粉体のまま使用することは難しく、取り扱いには何らかの工夫が必要となる。
【0006】
光触媒粉体の固定方法としては、特開昭63−127760号公報において、電灯へ直接焼き付ける方法が考案され、特開平3−233100号公報においては、ガラス管の外周壁面に接着剤を塗布し、その上にサブミクロンオーダーに粉砕した酸化チタン、活性炭、酸化第二鉄の混合粉体をまぶすように付着させて構成した自動車道トンネルの有害ガスを除去する設備が考案されてる。しかしながら、このような光触媒の固定方法では、光触媒の露出表面が減少してしまい、分解対象物との接触が阻害され、十分な特性を発揮することができないという問題があった。加えて、ガラス等の支持体では、支持体自身の重量が重くて取り扱い難く、かつ破損し易く危険であるという問題もあり、分解特性、ハンドリング、安全性の点において、反射板として使用するには問題があった。
【0007】
光触媒の機能を阻害しない有効な固定方法があれば、反射板に光触媒を直接固定することも考えられる。しかしながら、蛍光灯などの反射板の防汚を考えた場合、反射板としての機能が第一であり、防汚、すなわち汚れにくいということは付帯する条件に過ぎず、何らかの障害、例えば分解できない物質の付着、分解した酸化生成物(硝酸、硫酸など)の蓄積などによって分解能が低下、防汚効果が減じた場合に、製品寿命のきていない反射板までをも取り替えるというのではあまりに非経済的である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記欠点を克服した効率的な防汚作用を有し、かつ貼り替え可能な光反射シートを提供することにある
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく検討した結果、以下の発明に至った。すなわち、本発明は、透気性のない可撓性の支持体上に、光触媒としての酸化チタンと天然粘土鉱物及びその変性物、合成無機高分子化合物から選ばれる無機バインダーとを含有する白色コーティング層を設け、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けたことを特徴とする防汚効果を有する貼り替え型光反射シートである。
【0011】
可撓性の合成樹脂支持体上に無機バインダーを主成分とするバリヤー層、光触媒としての酸化チタン及び無機バインダーを含有する白色コーティング層を順次設け、該白色コーティング層が塗工装置により設けられ、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けたことを特徴とする防汚効果を有する貼り替え型光反射シート。
【0012】
可撓性の合成樹脂支持体上に紫外線吸収剤を含有する保護層、光触媒としての酸化チタン及び無機バインダーを含有する白色コーティング層を順次設け、該白色コーティング層が塗工装置により設けられ、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けたことを特徴とする防汚効果を有する貼り替え型光反射シート。
【0013】
可撓性の合成樹脂支持体上に少なくとも光触媒としての酸化チタン及び無機バインダーを含有する白色コーティング層を有し、該白色コーティング層が塗工装置により設けられ、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けた貼り替え型光反射シートにおいて、該白色コーティング層上に通気性の無機バインダーを主成分とするトップコート層を設けたことを特徴とする貼り替え型光反射シート。
【0014】
可撓性の合成樹脂支持体上に少なくとも光触媒としての酸化チタン及び無機バインダーを含有する白色コーティング層を有し、該白色コーティング層が塗工装置により設けられ、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けた貼り替え型光反射シートが、反射率50以上であることを特徴とする貼り替え型光反射シート。
【0015】
可撓性の合成樹脂支持体上に少なくとも光触媒としての酸化チタン及び無機バインダーを含有する白色コーティング層を有し、該白色コーティング層が塗工装置により設けられ、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けた貼り替え型光反射シートを光源周囲に装備した照明装置。
【0016】
可撓性の合成樹脂支持体上に少なくとも光触媒としての酸化チタン及び無機バインダーを含有する白色コーティング層を有し、該白色コーティング層が塗工装置により設けられ、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けた貼り替え型光反射シートを光源周囲に装備したブラインド。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の光反射シートに係わる構成要素を詳細に説明する。
本発明に係わる光反射シートは、少なくとも光触媒としての酸化チタンと無機バインダーを含有する白色コーティング層、可撓性の合成樹脂支持体、並びに剥離可能に接着できる粘着剤層から構成され、更に、該支持体上に無機バインダーを主成分とするバリヤー層、該支持体上に無機バインダーを主成分とした紫外線吸収剤を含有する保護層、該白色コーティング層上に通気性のトップコート層の何れか一層を設けたものである。
【0018】
本発明に係わる光触媒としての酸化チタンとしては、従来汎用の酸化チタンの他、含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸、水酸化チタンと呼称されているチタン酸化物又は水酸化物を全て包含する。酸化チタンの製造方法としては、硫酸チタニル、塩化チタン、有機チタン化合物等を必要に応じて核形成用種子の共存下で加水分解する方法(加水分解法)、必要に応じて核形成用種子を共存させながら、硫酸チタニル、塩化チタン、有機チタン化合物等にアルカリ剤を添加して中和する方法(中和法)、塩化チタン、有機チタン化合物等を気相酸化する方法(気相酸化法)、加水分解及び中和法で得られた酸化チタンを焼成する方法(焼成法)等が挙げられる。何れの製法によって得られた酸化チタンでも用いることができるが、本発明に係わる酸化チタンは、その表面に水酸基を多く有するものであることが好ましい。
【0019】
本発明に係わる光触媒としての酸化チタンは、光を照射するとその表面にフリーラジカルを生成する。タバコのヤニ等の汚染性の物質が酸化チタン表面に吸着している際に光を照射すると、生成したフリーラジカルが汚染物質を攻撃し一般的には酸化分解する。このプロセスは「酸化チタン」(清野学著、技報堂出版)に記載されている通り、酸化チタンの表面水酸基がフリーラジカルの生成点となっている。この為、酸化チタンに要求される性能としては光の吸収、電荷分離の他に、表面水酸基のフリーラジカルの生成、再生等の各種性能が求められる。これらのプロセスを十分に発揮させるのには、酸化チタンの比表面積を大きくし、フリーラジカルの生成点である表面水酸基を増加させることが効果的である。又、酸化チタンの比表面積を大きくすると、汚染物質との接触面積が増大し、該汚染物質を分解、除去する効率が向上する点でも好ましい。本発明の光反射シートに用いられる酸化チタンの比表面積は、50m2/g以上であることが好ましく、さらに好ましくは100m2/g以上である。また、このような比表面積を持つ酸化チタンの粒径は30nm以下が好ましく、更に好ましくは10nm以下である。粒子の状態は一次粒子の状態でもよいし、凝集した粒子状態となっていても汚染物質の除去性能には影響はない。
【0020】
酸化チタンのような光触媒作用を有する半導体としては、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化セリウムなどの金属酸化物を挙げることもできるが、光反射シートに必要な白色度、構造安定性や光触媒能力、更には取扱い上の安全性等から本発明において使用するには酸化チタンが最も適している。
【0021】
本発明の光反射シートにおける光触媒としての酸化チタンの含有量は、白色コーティング層の総重量の0.5〜80重量%が好ましく、更に好ましくは2〜70重量%である。0.5重量%未満では、実質的に汚染物質の分解効果が期待できず、一方、80重量%を越えて多いと、酸化チタンを白色コーティング層中に強固に保持することができなくなり、粉落ちの原因となる。なお、白色コーティング層内において、その厚み方向に酸化チタン濃度に勾配を持たせる、例えば表面の光触媒としての酸化チタン濃度が高くなるように白色コーティング層を作製すると、白色コーティング層に含有される酸化チタンの絶対量は少なくても相応の効果を期待できる。
【0022】
本発明に係わる光触媒としての酸化チタンを含有する白色コーティング層を支持体上に設けるに当たり、結着剤として無機バインダーを用いる。無機バインダーの具体例としては、サポナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト等のスメクタイト群、バーミキュライト群、カオリナイト、ハロイサイト等のカオリナイト−蛇紋石群、セピオライト等の天然粘土鉱物の他、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、及びこれらの変性物や合成無機高分子化合物等が挙げられる。
【0023】
本発明で云う上記変性物に於ける変性とは、天然鉱物中より不純物や特定の原子団を除去したり、天然鉱物構成元素中の特定の元素を適当な方法で処理して他の元素と交換したり、別の化合物(特に有機化合物)と共に化学処理して特に鉱物表面の物性を改変することにより、元来の天然鉱物固有の特性を伸張したり、あるいは新たなる特性を付与することであり、本発明で云う変性物の具体例としては、Ca−モンモリロナイトを水の存在下で炭酸ナトリウム等と処理してイオン交換を行なったNa−モンモリロナイトや、カチオン界面活性剤及び/またはノニオン界面活性剤と処理したものなどが挙げられる。
【0024】
また、本発明で云う合成無機高分子化合物とは、天然鉱物と同等の組成を得るべく、あるいは新たなる特性を付与するべく同等組成の特定の元素を他の元素で置換したもので、2種類以上の化合物を反応させて得られるものであって、天然雲母族の構造中の水酸基をフッ素で置換したフッ素雲母や、合成スメクタイト等が挙げられる。フッ素雲母の代表例としては、フッ素金雲母[KMg3(AlSi310)F2]、フッ素四ケイ素雲母[KMg2.5(Si410)F2]、テニオライト[KMg2Li(Si410)F2]が挙げられる。
【0025】
本発明に係わる上記無機物は、少なくとも塗液中でコロイドを呈するものが好ましく、故にこれらを用いる場合には、特に天然鉱物については微粒子状に粉砕し、かつ非コロイド分は予め適当な方法で除去しておく必要がある。本発明で好ましく用いられる無機バインダーとしては、皮膜の機械的強度及び耐候性に優れるコロイダルアルミナ、フッ素雲母、合成スメクタイト等の合成無機高分子化合物が挙げられる。
【0026】
本発明に係わる光触媒としての酸化チタンと無機バインダーを含有する白色コーティング層を塗設するに当り、支持体表面が水濡れ性に劣るようであれば、白色コーティング層の塗液作製時に適当な界面活性剤や有機溶媒を使用したり、白色コーティング層の塗設に先立って、支持体表面をコロナ処理、グロー放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、電子線照射処理、遠紫外線照射処理、オゾン処理、界面活性剤等で物理的化学的処理し、支持体表面の水濡れ性を向上させておくことが好ましい。
【0027】
本発明の光反射シートは、光触媒としての酸化チタン無機バインダーを用いて可撓性のある支持体上に設けた物であり、該支持体としては好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、TPXなどのポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル、スチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリビニルアルコール系樹脂、ジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の合成樹脂材料を用いることができる。これらの合成樹脂材料は単体のまま使用しても良いし、ブレンドして使用しても良く、また顔料を練り込んで、例えば白色プラスチックシートのようにして用いることも可能である。
【0028】
しかしながら、本発明において特に留意しなければならないのは、本発明の光反射シートは裏面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けることから、白色コーティング層側の光反応生成物(反応活性種)が裏面に移動することがあってはならないということである。当然ながら上記の合成樹脂を素材とした可撓性の支持体は、多かれ少なかれアモルファス領域を有する高分子物質であり、活性種は多くの場合気体に近い形状であることから高分子内に溶解/拡散/移動が可能であり、非常に長時間(例えば10年などの)を経過した後では粘着剤層が活性種の影響を受けることは有り得るが、少なくとも本発明の光反射シートの支持体となる物質の形状は積極的に通気性を有する形状、すなわち合成樹脂繊維、天然繊維、レーヨン繊維及びアセテート繊維等の再生及び半合成繊維、活性炭繊維、ガラス繊維及びアルミナ繊維等の無機繊維、ステンレス繊維等の金属繊維等よりなる不織布や、あるいは多孔性などの処理がなされたものなどであってはならない。
【0029】
光触媒としての酸化チタンと無機バインダーを含有する白色コーティング層の厚みは、光効率、白色度、塗膜強度、可撓性、酸化チタン及び他の含有粒子の粒径などから決まるもので特に制限はないが、十分な量の酸化チタンを含有させ、経済的にも不利とならないという条件の下で1〜100μmの範囲にあることが好ましい。白色コーティング層の厚みがこの範囲より薄いと、酸化チタンの含有量が不十分で光効率が良くなかったり、あるいは塗膜強度が弱すぎたりする場合があり、十分に防汚の効果を発揮できない場合がある。またこの範囲より厚くても、層の下の方まで光が届かず無駄であったり、光反射シートとして必要な可撓性を失って取り扱い難くなったりする場合がある。
【0030】
本発明の可撓性の合成樹脂支持体上に酸化チタンを含有する白色コーティング層を塗工するに当たって、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、ショートドウェルコーター、コンマコーター、ダイコーター、リバースロールコーター、キスコーター、ディップコーター、カーテンコーター、エクストルージョンコーター、グライアコーター、マイクログラビアコーター、サイズプレスなどの各種塗工装置を用いることができる。また、塗工後には、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダーを用いて平坦化、つや出し仕上げを行ったり、エンボス装置を用いて型付けを行っても良い。
【0031】
本発明において、可撓性の合成樹脂支持体の、光触媒としての酸化チタンと無機バインダー酸化チタンを含有する白色コーティング層塗設面と反対側の面には、剥離可能に接着できる(再剥離可能な)粘着剤層を設けることを特徴とする。再剥離可能な粘着剤として有効に機能する為には、支持体と粘着剤との接着性(投錨性)が強い一方で、粘着剤の凝集力が強く、かつ被接着体と粘着剤との接着性が弱いという特性が要求される。これらの要求特性の内、投錨性を向上させる為には粘着剤ポリマーの分子量が低いことが好ましく、他2者を満足させる為には逆に粘着剤ポリマーの分子量が高いことが好ましいというジレンマがあり、これをクリアする手段としては、例えば2液系の再剥離型粘着剤がある。これは主剤となる低分子量の粘着剤ポリマーで支持体との投錨性を確保した後、適当な架橋剤でポリマーを架橋、高分子量化させることで粘着剤と被接着体との接着力を調整するものであり、主剤としてはアクリル共重合樹脂等、架橋剤としてはエポキシ樹脂等が用いられるのが一般的である。あるいは、微球体粘着剤による物理的ソケット効果によって被接着体との接着力を調整したり、被接着体と粘着剤の表面極性に起因する両者間の電気的結合を緩和するような官能基を粘着剤に共重合することによって接着力を調整したりする方法もある。
【0032】
第二の本発明に係わる光反射シートは、少なくとも光触媒としての酸化チタンと無機バインダー酸化チタンを含有する白色コーティング層、可撓性の合成樹脂支持体、バリヤー層、並びに剥離可能に接着できる粘着剤層から構成される。本発明においては、白色コーティング層側の光反応生成物(反応活性種)が支持体に達し、該白色コーティング層側と反対側の支持体面に設けられた粘着剤層の劣化を引き起こすことを防止する目的で、先述の通り透気性のない支持体を用いることを特徴としているが、支持体と白色コーティング層との間に光触媒としての酸化チタンを含有しないバリヤー層を設けることによって、粘着剤層の劣化を一層抑制可能なばかりでなく、支持体そのものの劣化をも抑制している。バリヤー層を構成する成分は、前述の無機バインダーを主成分としたもので、無機吸着剤あるいは無機顔料を含有しても良い。バリヤー層の厚みは特に規制されるものではないが、好ましくは1〜100μmの範囲内であって、支持体の可撓性を阻碍しない範囲で用いられる。
【0033】
第三の本発明に係わる光反射シートは、少なくと光触媒としての酸化チタンと無機バインダーも酸化チタンを含有する白色コーティング層、可撓性の合成樹脂支持体、紫外線吸収剤を含有する保護層、並びに剥離可能に接着できる粘着剤層から構成される。本発明においては光反応生成物(反応活性種)の支持体内への溶解/拡散/移動による支持体の劣化を防止するだけでなく、支持体と白色コーティング層との間に紫外線吸収剤を含有する保護層を設けることにより蛍光灯などの光源から発生する紫外線および紫外線により引き起こされる化学反応による支持体の劣化を防止している。該保護層を構成する成分は、前述の無機バインダーを主成分とし、紫外線吸収剤として以下に示す物質を適当な濃度で混合して用いることができる。
【0034】
本発明で用いる紫外線吸収剤とは、300〜400mμの紫外線を吸収し、吸収したエネルギーを熱エネルギーとして再輻射する素材であり、一般に紫外線吸収剤として用いられるものであれば如何なるものでもよく、具体的には例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
サリチル酸系紫外線吸収剤として、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等。
【0036】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等。
【0037】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等。
【0038】
シアノアクリレート系紫外線吸収剤として、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等。
【0039】
これらは、単独で用いることもできるし、2種以上併用することもできる。
【0040】
該紫外線吸収剤を含有する保護層は、光触媒としての酸化チタンと無機バインダーを含有する白色コーティング層の塗設前に支持体に塗設しても構わないし、あるいは多層塗布コーターを用いて白色コーティング層と同時に支持体に塗設しても構わない。
【0041】
上記の如く本発明において、白色コーティング層側の光反応生成物(反応活性種)が支持体に移動することに起因した支持体や粘着剤層の劣化を防止する目的で、支持体と白色コーティング層の間にバリヤー層や保護層を設けることが可能であるが、単体の金属(アルミニウム、銀など)を蒸着やイオンプレーティングで設けたり、あるいは金属箔を白色コーティング層の下に貼合せることは、支持体の劣化や剥離可能な粘着剤層の劣化を防止する上では効果があるが、光触媒としての酸化チタンと無機バインダーからなる白色コーティング層との接着性が低下、長期間の光の曝露で白色コーティング層が剥離、脱落する場合があるため、用いない方が好ましい。
【0042】
第四の本発明に係わる光反射シートは、少なくとも酸化チタンを含有する白色コーティング層、通気性のトップコート層、可撓性の合成樹脂支持体、並びに剥離可能に接着できる粘着剤層から構成される。本発明の光反射シートの表面に存在する通気性のトップコート層は、本発明の光反射シートの防汚効果をほとんど阻害することなく白色コーティング層の耐擦性を向上させ、光触媒シートとしての実用性を高めるばかりでなく、光反射シートとしての寿命も長持ちさせている。通気性のトップコート層を形成する材料としては、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等が好ましく、必要に応じて先述の無機バインダーを混合して使用することが可能である。トップコート層の厚みについては、必要以上に厚いと光触媒能を阻害する為、耐擦性を満足できる範囲でより薄いことが望ましく、好ましくは5μm以下である。
【0043】
当初予期しなかったことであるが、本発明の光反射シートを用いた照明装置やブラインドを用いると、光触媒としての酸化チタンの高い酸化力の為か照明装置やブラインド周囲の雑菌が死滅し、故に照明装置やブラインドの下などに埃と共に雑菌が落ちてくることがないなど、優れた抗菌性があることが明らかとなった。
【0044】
また、驚くべき事に本発明の防汚効果を有する光反射シートを用いた照明装置やブラインドを用いると、光触媒としての酸化チタンの高い酸化力の為か照明装置やブラインド周囲の悪臭が分解され、高い脱臭性を有することが明らかとなった。
【0045】
本発明の光反射シートを用いた照明装置に用いられる照明用光源としては、蛍光灯、ハロゲン球、HID、TLT、水銀灯、ブラックライト、捕虫灯、カラー蛍光灯、白熱灯、殺菌灯など一般の照明装置に用いられる光源を全て使用することができる。当然のことながら、本発明の防汚効果を有する光反射シートを用いた照明装置においては、その防汚性能は光により発現する為、光源の消灯時においても光反射シートを用いた照明装置が、太陽光や他の照明装置などからの光に晒されている条件下であれば、光防汚を行うことが可能である。
【0046】
太陽光を積極的に用いた使い方として、本発明の光反射シートを窓部に装着されているブラインドに用いる方法が挙げられる。本発明の光反射シートをブラインドに用いることにより、太陽光を防汚や脱臭に用いることが可能であるばかりでなく、必要に応じて太陽光の室内への侵入を制御することが可能である。ブラインドの種類としては、縦型ブラインド、横型ブラインド、ロール状ブラインドなど如何なる種類でも用いることができ、被接着体としてのブラインドの素材も合成樹脂板、塗装金属板など如何なる素材でも差し支えない。
【0047】
本発明の光触媒としての酸化チタンを担持した光反射シートは、通常の反射板やブラインドに貼り付けて使用できる他、通常の反射板やブラインドに用いられている加工形態は全て使用することができる。すなわち、光反射シートを反射板やブラインドにそのまま貼り合せる方法、ひだ折り加工された状態で用いる方法、あるいは型押し状態で用いる方法など如何なる加工方法を用いても差し支えない。また、光反射シートに貫孔して用いることも差し支えない。
【0048】
本発明の光反射シートは、可撓性の合成樹脂支持体上に少なくとも光触媒としての酸化チタンと無機バインダー酸化チタンを含有する白色コーティング層を有し、該白色コーティング層が塗工装置により設けられ、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けた光反射シートであって、既存の照明器具の反射板やブラインドに貼り合わせて用いることができる。特に該光反射シートを用いた照明装置においては、その優れた防汚効果によって光反射の効率が長期持続するばかりでなく、照明装置として使用しつつ酸化チタンの光触媒能によってタバコ等の臭気物質を分解することも可能であり、周囲環境を良好に保つこともできる。
【0049】
本発明に用いられる光反射シートにおいて、特に照明装置の反射板として用いる場合には、その反射率は50以上であることが好ましい。ここで云う反射率とは拡散反射率のことで、JIS Z 8722に準じて測定した拡散反射率(%)の値である。反射率が50より低いと光源からの光の反射性が低下し、反射板としての機能が低下するばかりか、光の反射が少なくなり効率的な光触媒防汚ができなくなるので好ましくない。
【0050】
【実施例】
以下、実施例により更に本発明を詳細に説明するが、本発明はその主旨を越えない限りこれらに限定されるものではない。
【0051】
予備操作1
実施例に用いる可撓性の合成樹脂支持体として、軟質透明ツヤ塩ビフィルム(80μm)に剥離可能なアクリル系粘着剤を加工した支持体(大日本インキ化学工業製、ソフタック軟質透明80AER)を用いた。支持体の表面に白色コーティング層を設ける為に、事前にコロナ処理を施し、白色コーティング層の塗設時には裏面に剥離紙を接着させたまま用いた。この支持体を支持体1とした。
【0052】
予備操作2
実施例に用いる可撓性の合成樹脂支持体として、軟質白塩ビフィルム(80μm)に剥離可能なアクリル系粘着剤を加工した支持体(大日本インキ化学工業製、ソフタック軟質白消80AER)を用いた。支持体の表面に白色コーティング層を設ける為に、事前にコロナ処理を施し、白色コーティング層の塗設時には裏面に剥離紙を接着させたまま用いた。この支持体を支持体2とした。
【0053】
参考例1
光触媒として、酸化チタン(日本アエロジル製、P25S6)を60重量%、無機バインダーとして、合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクトンSA)を40重量%含有してなる白色コーティング層を支持体1上に10μmの厚みになるように塗布、乾燥した後、カレンダー処理を行い、参考例1の光反射シートを得た。
【0054】
参考例2
光触媒として、酸化チタン(石原産業製、ST−31)を60重量%、無機バインダーとして、合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクトンSA)を40重量%含有してなる白色コーティング層を支持体2上に10μmの厚みになるように塗布、乾燥した後、カレンダー処理を行い、参考例2の光反射シートを得た。
【0055】
実施例
支持体1の表面にバリヤー層として、合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクトンSA)の塗工層を5μmの厚みで設け、その上に光触媒として、酸化チタン(日本アエロジル製、P25S6)を60重量%、無機バインダーとして、合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクトンSA)を40重量%含有してなる白色コーティング層を5μmの厚みになるように塗布、乾燥した後、カレンダー処理を行い実施例の光反射シートを得た。
【0056】
実施例
支持体2の表面に保護層として、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノンを5重量%含有する合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクトンSA)の塗工層を5μmの厚みで設け、その上に光触媒として、酸化チタン(石原産業製、ST−31)を60重量%、無機バインダーとして、合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクトンSA)を40重量%含有してなる白色コーティング層を5μmの厚みになるように塗布、乾燥した後、カレンダー処理を行い実施例の光反射シートを得た。
【0057】
実施例
参考例1の光反射シートの表面に、コロイダルシリカ(日産化学工業製、スノーテックス−AK)を70重量%、合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクトンSA)を30重量%含有してなる通気性のトップコート層を2μmの厚みで設け、実施例の光反射シートを得た。
【0058】
実施例
参考例2の光反射シートの表面に、コロイダルアルミナ(触媒化成工業製、カタロイドAS−2)を70重量%、合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクトンSA)を30重量%含有してなる通気性のトップコート層を2μmの厚みで設け、実施例の光反射シートを得た。
【0059】
以上の実施例により得られた光反射シートは、いずれも反射率50%以上であり、かつ剥離紙を取り去ることにより粘着性を発揮でき、光源の周辺や従来の反射板、ブラインド等に接着することが可能であった。また、必要に応じて光反射シートを再び取り去ることも可能で、その際に粘着剤が反射板上に残ることはなかった。
【0060】
比較例1
光触媒である酸化チタンを含有させなかった点を除いて、参考例1と同様の方法で比較例1の光反射シートを得た。
【0061】
比較例2
光触媒である酸化チタンを含有させなかった点を除いて、参考例2と同様の方法で比較例2の光反射シートを得た。
【0062】
比較例3
光触媒である酸化チタンを含有させなかった点を除いて、実施例と同様の方法で比較例3の光反射シートを得た。
【0063】
比較例4
光触媒である酸化チタンを含有させなかった点を除いて、実施例と同様の方法で比較例4の光反射シートを得た。
【0064】
比較例5
光触媒である酸化チタンを含有させなかった点を除いて、実施例と同様の方法で比較例5の光反射シートを得た。
【0065】
比較例6
光触媒である酸化チタンを含有させなかった点を除いて、実施例と同様の方法で比較例6の光反射シートを得た。
【0066】
比較例7
可撓性の合成樹脂支持体として、ポリエステルフィルム(テイジン製、厚み50μm)を使用し、該支持体上にアクリル系粘着剤(日本合成ゴム製、AE230)を10μmの厚みで設け、剥離紙を貼り合わせて粘着剤層を保護した。粘着剤層と反対側の面にコロナ処理を施した後、該表面に光触媒として、酸化チタン(日本アエロジル製、P25S6)を60重量%、無機バインダーとして合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクトンSA)を40重量%含有してなる白色コーティング層を10μmの厚みになるように塗布、乾燥した後、カレンダー処理を行ない比較例7の光反射シートを得た。
【0067】
参考例、実施例及び比較例で得た光反射シートを市販の20Wの蛍光灯の反射板に貼り付けて試験用の照明装置とした。
【0068】
参考例、実施例及び比較例で得た光反射シートを市販の横型ブラインドに貼り付けて試験用のブラインドとした。
【0069】
以上、参考例、実施例及び比較例で得られた照明装置及びブラインドは、以下の方法で試験を行い、その結果を表1に示した。
【0070】
[防汚性1]
防汚性1の試験は以下のようにして行った。まず、防汚性1試験前の光反射シートの色差を色差計(ミノルタ製、Lab型)で測定した。次に、0.1m3の密閉容器中に、参考例、実施例及び比較例の光反射シートを装着した照明装置を各1個ずつ設置し、ポンプを用いてタバコ(マイルドセブン)10本分の煙を容器内に導入した。照明装置を取り出し、タバコ煙導入直後の光反射シートの色差を色差計で測定した後、容器内に照明装置を戻して蛍光灯を50時間点灯、点灯後の光反射シートの色差を色差計で測定した。各光反射シートの色差計の測定値の内、黄色みを示すb値の変動で防汚性を判定した。すなわち、防汚性1試験前の光反射シートのb値をb0、タバコ煙導入直後の光反射シートのb値をb1、蛍光灯50時間点灯後の光反射シートのb値をb2とし、b0〜b1までの汚染負荷を与えた場合、b2の時に汚染負荷がどの程度除去されているのかを百分率で表示した。該値が0%では汚染負荷が全く低減していない状態を示し、100%では汚染負荷が完全に取り除かれている状態を示す。但し、100%よりも大きな値となる場合や0%より小さな値となる場合には、便宜上それぞれ100%、0%と表示した。
【0071】
[防汚性2]
防汚性2の試験は以下のようにして行った。0.1m3の密閉容器中に参考例、実施例及び比較例の光反射シートを装着した照明装置を各1個ずつ設置し、ポンプを用いてタバコ(マイルドセブン)10本分の煙を導入した。照明装置を取り出し、タバコ煙導入直後の光反射シートの色差を色差計で測定した後、容器内に照明装置を戻し、蛍光灯を点灯させずに50時間放置した後、再び光反射シートの色差を色差計で測定した。防汚性の判定は防汚性1の判定と同じく各光反射シートにおける色差計のb値の変動率で判定した。
【0072】
[防汚性3]
[防汚性2]の試験後に蛍光灯を50時間点灯し、再び光反射シートの色差を測定した。防汚性の判定は防汚性1の判定と同じく各光反射シートにおける色差計のb値の変動率で判定した。
【0073】
[防汚性4]
防汚性4の試験は以下のようにして行った。0.1m3の密閉容器中に参考例、実施例及び比較例の光反射シートを装着したブラインドを各1個ずつ設置し、ポンプを用いてタバコ(マイルドセブン)10本分の煙を導入した。ブラインドを取り出し、タバコ煙導入直後の光反射シートの色差を色差計で測定した後、容器内にブラインドを戻し、防汚性1〜3で使用した蛍光灯を50時間点灯、点灯後の光反射シートの色差を色差計で測定した。防汚性の判定は防汚性1の判定と同じく各光反射シートにおける色差計のb値の変動率で判定した。
【0074】
[照明性]
参考例、実施例及び比較例の光反射シートを装着した照明装置を点灯し、その照明効果を目視により判定した。光源より50cmの距離で本が十分に読めるほど明るい場合を照明性が優、やや暗いと感じる場合を照明性が並、本が読み難いほど暗い場合を照明性が劣で判定した。
【0075】
[貼り替え性]
[防汚性3]で使用した照明装置から光反射シートを剥がした。光触媒シートが抵抗無くきれいに剥がせ、基材に粘着剤の残らない場合を貼り替え性が優、剥がす際に抵抗はあるが粘着剤が残らない場合を貼り替え性が並、剥がれないか剥がした後に粘着剤が残って基材を汚す場合を貼り替え性が劣で判定した。貼り替えることを念頭において光反射シートを用いた場合、貼り替え性が優あるいは並であれば貼り替え可能であるが、劣では光反射シートが破損した場合などに貼り替えることができない。
【0076】
[耐擦性]
参考例、実施例及び比較例で得られた光反射シートの表面を綿棒で擦って耐擦性を観察した。50往復より少ない回数の擦りで表面に傷が生じる場合を耐擦性が劣、50〜199往復の回数の擦りで表面に傷が生じる場合を耐擦性が並、200〜500往復の擦りで表面に傷が生じる場合を耐擦性が良、それよりも多い回数で表面に傷が生じる場合や傷が生じない場合を耐擦性が優として判定した。
【0077】
[耐久性]
参考例、実施例及び比較例で得た光反射シートを2cm四方に断裁して1ピースとし、市販の20Wの蛍光灯の反射板に100ピース貼り付けて耐久性試験用の照明装置とし、1ヶ月毎に蛍光灯を取り替えながら1年間の露光試験を行った。露光前後の光反射シートを比較し、反射板と光反射シートとの接着性、光反射シート表面(白色コーティング層他)の塗層の状態を観察した。反射板からの光反射シートの剥離が見られたピースの個数、光反射シート表面の塗層の剥がれが見られたピースの個数の総和で耐久性を判定した。前記総和が0の場合を耐久性が優、1〜2までを耐久性が良、3〜5を耐久性が並、6〜10を耐久性が劣、11以上を耐久性が悪で判定した。
【0078】
[脱臭性]
0.1m3の密閉容器中に参考例、実施例及び比較例の光反射シートを装着した照明装置を各1個ずつ設置し、ポンプを用いてタバコ(マイルドセブン)10本分の煙を導入した後、蛍光灯を点灯した。タバコ煙導入直後より、容器内のアセトアルデヒド(タバコの臭気の主成分の一つ)濃度をガスクロマトグラフで測定、20分後のアセトアルデヒド減少量が、ブランク(光反射シートを装着せずに蛍光灯を点灯した場合の20分後)のアセトアルデヒド減少量の5倍よりも大である場合を脱臭性が優、2〜5倍の場合を脱臭性が良、2倍より小さく1倍以上の場合を脱臭性が並、1倍より小さい場合を脱臭性が劣で判定した。
【0079】
[抗菌性]
参考例、実施例及び比較例で得られた光反射シートを装着した照明装置を温度36℃、湿度80%の環境下に設置し、光反射シート上に緑膿菌(100万個レベル)を培養した寒天培地を塗り込んだ。寒天培地が乾かないように石英ガラス製のシャーレで覆い、蛍光灯を点灯させて5時間後の寒天培地の緑膿菌の繁殖状態を観察した。生存菌が10個以下(観測下限)の場合を抗菌性が優、生存菌が10個よりも多く100個までを抗菌性が良、生存菌が100個よりも多く1000個までを抗菌性が良、生存菌が1000個よりも多く1万個までを抗菌性が並、生存菌が1万個以上の場合を抗菌性が劣で判定した。
【0080】
以上の試験項目の結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
Figure 0003901775
【0082】
【発明の効果】
以上の如く、本発明の光反射シートは、可撓性の合成樹脂支持体上に少なくとも光触媒としての酸化チタンと無機バインダー酸化チタンを含有する白色コーティング層を有し、該白色コーティング層が塗工装置により設けられ、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けた光反射シートであって、既存の照明器具の反射板やブラインドに貼り合わせて用いることができる。特に該光反射シートを用いた照明装置は、光が照射されている限り、酸化チタンの光触媒能による優れた防汚効果によって光反射の効率が長期持続し、タバコのヤニや料理の油などが付着する機会の多い蛍光灯等の反射板に好ましく用いられる。加えて、このような防汚効果のみならず、脱臭及び抗菌作用をも示し、通常の照明装置として使用しつつ周囲環境を良好に保つことも可能である。更には、本発明の光反射シートは構造的に貼り替えが可能で、反射板等の被接着体を接着剤で汚したり、あるいは被接着体から剥がれなくなったりすることがなく、通常の反射板のように付着した汚れを無理に拭き取ったりする必要も無く取り扱い易い。また、光反射シートは光源の上部で用いられる為、光源の発熱による対流によって周囲環境の効率的な光防汚、脱臭、抗菌が可能であり、その工業的価値は非常に高いものである。

Claims (6)

  1. 可撓性の合成樹脂支持体上に無機バインダーを主成分とするバリヤー層、光触媒としての酸化チタン及び無機バインダーを含有する白色コーティング層を順次設け、該白色コーティング層が塗工装置により設けられ、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けたことを特徴とする貼り替え型光反射シート。
  2. 可撓性の合成樹脂支持体上に紫外線吸収剤を含有する保護層、光触媒としての酸化チタン及び無機バインダーを含有する白色コーティング層を順次設け、該白色コーティング層が塗工装置により設けられ、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けたことを特徴とする貼り替え型光反射シート。
  3. 可撓性の合成樹脂支持体上に少なくとも光触媒としての酸化チタン及び無機バインダーを含有する白色コーティング層を有し、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けた貼り替え型光反射シートにおいて、該白色コーティング層が塗工装置により設けられ、該白色コーティング層上に通気性の無機バインダーを主成分とするトップコート層を設けたことを特徴とする貼り替え型光反射シート。
  4. 可撓性の合成樹脂支持体上に少なくとも光触媒としての酸化チタン及び無機バインダーを含有する白色コーティング層を有し、該白色コーティング層が塗工装置により設けられ、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けた貼り替え型光反射シートが、反射率50以上であることを特徴とする貼り替え型光反射シート。
  5. 請求項1〜4記載の貼り替え型光反射シートを光源周囲に装備した照明装置。
  6. 請求項1〜3記載の貼り替え型光反射シートを装備したブラインド。
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