JPH0938191A

JPH0938191A - 抗菌脱臭シート

Info

Publication number: JPH0938191A
Application number: JP7195572A
Authority: JP
Inventors: Osamu Yamanaka; 修山中; Tadanobu Iwasa; 忠信岩佐; Masato Tamaki; 真人田牧; Kazuhiro Sakai; 和宏酒井; Toshio Yamaguchi; 寿夫山口
Original assignee: Toyoda Gosei Co Ltd
Current assignee: Toyoda Gosei Co Ltd
Priority date: 1995-07-31
Filing date: 1995-07-31
Publication date: 1997-02-10

Abstract

(57)【要約】【課題】手軽に利用できかつ空気の浄化、黴等の微生物
の繁殖を抑える二酸化チタンの光触媒作用を利用した抗
菌脱臭シートを提供する。【解決手段】この抗菌脱臭シートは、表面に二酸化チタ
ンが表出したシート本体１０とシート本体１０の裏面に
積層された粘着層３とからなる。また、シート本体１０
を基材シート１と表層２とで形成できる。この抗菌脱臭
シートは、手軽に壁、家具等に張りつけて使用できる。
そして紫外線の照射を受けて強力な酸化作用をする。こ
のため空気中に含まれている臭い成分、煙草等の煙成分
を分解除去する。また、強い酸化作用により微生物の活
動を抑える。このため本発明の抗菌脱臭シートが張りつ
けられた所は悪臭が無くなり、空気が浄化され、付近の
微生物も少なくなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の技術分野】本発明は二酸化チタンの薄膜からな
る光触媒反応を利用した抗菌脱臭シートに関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】近年、二酸化チタンＴｉＯ₂に代表され
る光半導体の微粒子による光触媒作用、特にその強い酸
化触媒作用に高い注目が集められている。即ち、二酸化
チタン等の光半導性を有する粒子状物質をそのバンドキ
ャップエネルギ以上の光（二酸化チタンの場合は４００
ｎｍ以下の光、即ち、紫外線）で照射すると、価電子帯
の電子が光励起されて伝導帯に移り、伝導帯には自由電
子が生成すると共に、価電子帯には正の電荷を帯びた粒
子（正孔）が生成する。これらの正孔と電子とは半導体
粒子内部を運動し、時間の経過と共に再結合して消滅す
る。しかしその粒子表面に空気または水、或いはそれら
の正孔や電子よりもエネルギの低い空順位を有する化合
物やイオンが存在すると、その粒子表面を通してそれら
の正孔と電子が化合物やイオンに移動し、その結果、正
孔は粒子表面に接触する化合物やイオンを直接酸化し、
或いは活性酸素の１つである水酸基ラジカルを生成す
る。

【０００３】また、電子による還元反応は主に酸素の還
元であり、電子が付加された酸化性のある酸素種が生成
される。こうして、光半導体微粒子は光が照射されるこ
とによって酸化性の活性表面を形成し、有機化合物の分
解等に触媒として作用する（「季刊化学総説『光が
関わる触媒化学』Ｎｏ．２３，１９９４）。このような
光半導体微粒子による酸化触媒作用は、光半導体の中で
も二酸化チタンが特に高い。また、二酸化チタンは安定
性や安全性にも優れている。そして、この二酸化チタン
の微粉末を薄膜として基体表面に担持して光触媒を形成
し、紫外線照射時のその高い酸化力を有機化合物等の分
解に利用した種々の応用が既に知られている。

【０００４】例えば、二酸化チタンの薄膜からなる光触
媒をコーティングした中空のガラスビーズは海上に流出
した原油の分解剤として知られている。すなわち、ガラ
スビーズ表面に付着した原油は太陽光中の紫外線によっ
て活性化された二酸化チタンの強い酸化触媒作用によっ
て分解される。また最近では、室内空気の脱臭または消
臭、殺菌（抗菌）、タバコのヤニや油膜等の汚れの分解
にもその応用が試みられ、自然光または蛍光灯の光に含
まれる紫外線を利用してその光触媒を活性化させ、それ
の酸触媒反応によって接触するメルカブタン等の臭気化
合物、或いはタバコのヤニ等の有機物を分解し、また
は、細菌等の微生物を死滅させ、またはその繁殖を抑え
るものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】空調が一般化したこと
もあり、事務所、公共施設さらには個人住宅においても
外気から隔離された空間が増えている。このような隔離
された空間では、空気の入れ替えが少なく、煙草の煙、
食物の臭気等が壁等に付着して残ったり、湿気のあると
ころで黴が発生したりする。

【０００６】本発明はかかる不都合を解消するもので、
手軽に利用できかつ空気の浄化、黴等の微生物の繁殖を
抑える二酸化チタンの光触媒作用を利用した抗菌脱臭シ
ートを提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の抗菌脱臭シート
は、表面に二酸化チタンが表出したシート本体と、該シ
ート本体の裏面に積層された粘着層と、を具備すること
を特徴とする。本発明の抗菌脱臭シートは、紫外線照射
を受ける炊事場、風呂場、洗面所等の壁とか、家具に張
り付け、周囲の空気を浄化するとともに、黴等の発生を
抑えるものである。

【０００８】本発明の抗菌脱臭シートは、シート本体と
粘着層とで構成されている。シート本体はその表面に二
酸化チタンが表出している。二酸化チタンは強力な酸化
触媒として機能する。このため二酸化チタンの近くにあ
る有機物は強力な酸化作用を被る。この二酸化チタンに
よる酸化作用に耐えるため、二酸化チタンを保持結合す
るマトリックス、バインダーは高耐酸化性の物質である
ことが望ましい。かかる見地から、二酸化チタンを保持
する物質としては、フッ素樹脂、シリコン樹脂等の合成
樹脂、シリケート、フォスフェート等の無機接着剤が好
ましい。従って、シート本体を二酸化チタンが混入され
たフッ素樹脂、シリコン樹脂等の合成樹脂、シリケー
ト、フォスフェート等の無機接着剤で構成するのが好ま
しい。

【０００９】抗菌脱臭機能を期待するのはシート本体の
表面のみであることを考慮すると、シート本体を基材シ
ートとこの基材シートの表面に積層される二酸化チタン
の粉末を含むシリコン樹脂あるいはフッ素樹脂さらには
無機物の表層とから構成することも可能である。この場
合には、基材シートには二酸化チタンの強い酸化作用が
作用しない。このため基材シートとして通常のシート材
として知られている、ポリエステルフィルム、塩化ビニ
ルフィルム、ポリオレフィンフィルム等の通常のフィル
ムを採用できる。

【００１０】表層は、二酸化チタンの粉末を練り混んだ
フッ素樹脂、シリコン樹脂等の合成樹脂で、基材シート
の表面に一体的に薄い層として形成できる。また、基材
シートの上に、二酸化チタンの粉末を無機バインダーで
固定したものでも良い。二酸化チタンは物理的蒸着法あ
るいは化学的蒸着法で薄いフィルム状とすることができ
る。かかる場合には、バインダーを必要としない。しか
し、二酸化チタンの蒸着膜を保持する基材シートには高
い耐酸化性を必要とする。このような場合には、基材シ
ートをフッ素樹脂あるいはシリコン樹脂で形成し、その
表面に二酸化チタンの蒸着膜を形成することによりシー
ト本体を得ることができる。また、特に強い耐酸化性を
必要とする場合には、ガラス繊維等の無機繊維で編んだ
り織ったりした無機繊維布を基材シートとして使用でき
る。この基材シートに二酸化チタンの蒸着膜とか二酸化
チタンの粉末を練り混んだフッ素樹脂、シリコン樹脂の
表層を形成することにより、シート本体を得ることがで
きる。

【００１１】粘着層はシート本体の裏面に設けられるも
のである。粘着層としては、従来より知られている粘着
物質で粘着層を形成できる。具体的には、未加硫のゴム
材料、熱可塑性エラストマー、酢酸ビニル樹脂等で粘着
層を形成できる。なお、使用していない時の粘着層の機
能を抑えるために、粘着層に離型紙を張り付け、使用時
に離型紙を分離して本発明の抗菌脱臭シートを所定表面
に粘着させるのが好ましい。

【００１２】なお二酸化チタンはその粒子径が十分に小
さいほど「量子サイズ効果」等によって光触媒作用が高
い。そのため、二酸化チタンはコロイド状とするのがこ
のましい。そして二酸化チタンは、一般に０．３μｍ以
下、好ましくは０．２μｍ以下の膜厚の透明な薄膜とし
て、またはそのような薄膜を多層化した薄膜として形成
するのが好ましい。また、物理的蒸着法（ＰＶＤ）や化
学的蒸着法（ＣＶＤ）等の方法によって形成することも
できる。

【００１３】本発明の抗菌脱臭シートを有効に機能させ
るためには、紫外線を必要とする。太陽光線中にも本発
明の抗菌脱臭シートに有効な紫外線が含まれている。ま
た、紫外線を放射する殺菌灯のような蛍光灯にも紫外線
が含まれている。また、最近開発された発光ダイオード
にも紫外線を照射するものもある。例えば、ｐｎ接合さ
れた窒化ガリウム（ＧａＮ）系光半導体の結晶体で構成
した発光ダイオードは、波長３６０〜４００ｎｍの光
（電磁波）、即ち、紫外線を放射する。したがって、他
に適当な紫外線光源存在しない場合、ｐｎ接合された窒
化ガリウム（ＧａＮ）系光半導体の結晶体で構成した発
光ダイオードを使用することができる。

【００１４】本発明の抗菌脱臭シートは部屋の壁、家具
の表面、扇風機のファンの表面等に張りつけて使用する
ことができる。

【００１５】

【作用】本発明の抗菌脱臭シートは、手軽に壁、家具等
に張りつけて使用できる。そして紫外線の照射を受けて
強力な酸化作用をする。このため空気中に含まれている
臭い成分、煙草等の煙成分を分解除去する。また、強い
酸化作用により微生物の活動を抑える。このため本発明
の抗菌脱臭シートが張りつけられた所は悪臭が無くな
り、空気が浄化され、付近の微生物も少なくなる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。（第一実施例）図１は本発明の第一実施例の抗菌脱臭シ
ートの断面を示す。この抗菌脱臭シートは、フッ素樹脂
フィルム出形成された基材シート１と、フッ素樹脂エマ
ルジョンに二酸化チタン粉末を混合し、基材シート１の
表面に塗布、乾燥して形成した表層２と、基材シート１
の裏面に設けられた未加硫ゴムからなる粘着層３とで構
成されている。基材シート１と表層２シート本体１０が
形成される。

【００１７】この抗菌脱臭シートは表層２に含まれる二
酸化チタンの光触媒作用により、抗菌および脱臭機能を
もつ。また、基材シート１を採用しているため機械的強
度が高く、破損しにくいため使用に便利である。（第二実施例）図２は本発明の第二実施例の抗菌脱臭シ
ートの断面を示す。この抗菌脱臭シートは、フッ素樹脂
フィルム出形成された基材シート１および基材シート１
の表面に物理的蒸着法により形成された二酸化チタンの
薄膜５で形成されたシート本体１０と、基材シート１の
裏面に設けられた未加硫ゴムからなる粘着層３とで構成
されている。

【００１８】この抗菌脱臭シートは表層２の二酸化チタ
ン薄膜の光触媒作用により、抗菌および脱臭機能をも
つ。表層２が二酸化チタン薄膜からなる蒸着膜であるた
め、光沢に富む綺麗な表面を持ち、装飾的効果もある。（第三実施例）図３は本発明の第三実施例の抗菌脱臭シ
ートの断面を示す。この抗菌脱臭シートは、フッ素樹脂
エマルジョンに二酸化チタン粉末を混合して厚く成形し
て形成したシート本体１０と、シート本体１０の裏面に
設けられた未加硫ゴムからなる粘着層３とで構成されて
いる。

【００１９】この抗菌脱臭シートは実施例１の抗菌脱臭
シートよりシートとしての性能は低いが、抗菌および脱
臭機能については同じように高い性能をもつ。

【００２０】

【発明の効果】本発明の抗菌脱臭シートは貼付して紫外
線に当てるだけで強い酸化作用をする。このためこの抗
菌脱臭シートが貼付された所は、空気が浄化され、付近
の微生物の活動を抑制する。このため環境が良くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の第一実施例の抗菌脱臭シート
の断面図である。

【図２】図２は本発明の第二実施例の抗菌脱臭シート
の断面図である。

【図３】図３は本発明の第三実施例の抗菌脱臭シート
の断面図である。

【符号の説明】

１：基材シート２：表層３：粘着層５：二酸化チタンの薄膜１０：シート本体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者田牧真人愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑１番地豊田合成株式会社内 (72)発明者酒井和宏愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑１番地豊田合成株式会社内 (72)発明者山口寿夫愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑１番地豊田合成株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】表面に二酸化チタンが表出したシート本体
と、該シート本体の裏面に積層された粘着層と、を具備することを特徴とする抗菌脱臭シート。
【請求項２】前記シート本体は基材シートと該基材シー
トの表面に積層された前記二酸化チタンの粉末を含むシ
リコン樹脂あるいはフッ素樹脂の表層とからなる請求項
１記載の抗菌脱臭シート。
【請求項３】前記シート本体は基材シートと該基材シー
トの表面に積層された前記二酸化チタンの粉末を無機接
着剤で固めた表層とからなる請求項１記載の抗菌脱臭シ
ート。
【請求項４】前記シート本体はシリコン樹脂あるいはフ
ッ素樹脂で形成された基材シートと該基材シートの表面
に蒸着して形成された前記二酸化チタンの薄膜からなる
請求項１記載の抗菌脱臭シート。