JPH09314714A - 機能性膜およびそれを有する物品 - Google Patents

機能性膜およびそれを有する物品

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JPH09314714A
JPH09314714A JP8152950A JP15295096A JPH09314714A JP H09314714 A JPH09314714 A JP H09314714A JP 8152950 A JP8152950 A JP 8152950A JP 15295096 A JP15295096 A JP 15295096A JP H09314714 A JPH09314714 A JP H09314714A
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functional
film
resin layer
layer
substance powder
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JP8152950A
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Tokumitsu Kurihara
得光 栗原
Koichi Morimitsu
廣一 森光
Hideki Busaka
秀樹 部坂
Tatsuo Saito
辰夫 斎藤
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Titan Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機能性物質自体の活性を維持し、かつ基体上
に強固に担持できるように改良した機能性膜、およびそ
れを有する物品の提供。 【解決手段】 樹脂層及び前記樹脂層上に固定された機
能性物質粉末を含有する層を有し、その表面が溝により
1×10-5から0.1cm2の面積を有する部分に画分
されている機能性膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は日常生活において発
生するNOX、SOX、ハイドロカーボンおよびホルマリ
ンなどの有害ガスや各種悪臭ガス、水中の有害化合物等
の分解、除去及び殺菌等に有用な機能性膜を有する物品
に関する。具体的には紫外線照射によって、各種有機物
及び無機物の分解効果を示す二酸化チタンや酸化亜鉛な
どの機能性物質を基体上に担持させた機能性膜に関し、
機能性物質自体の活性を維持し、かつ基体上に強固に担
持できるように改良した機能性膜を有する物品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】二酸化チタンなどの光触媒は紫外線を照
射すると、光励起により価電子帯から伝導帯に電子が移
行して、n型半導体となり、各種化合物の分解及び殺菌
効果を示すことは広く知られており、水中有機物の分解
(『用水と廃水』、vol.30 No.10(1988)p943-948)、
有機物分解や脱臭、殺菌(『表面』、vol.25 No.8(198
7)p477-495、『セラミックス』、21(1986)No.4,p326-33
3)などに使用できることが報告されている。しかし、
実際にその光触媒活性を、排気ガス中の有害ガスやタバ
コ、トイレ等の悪臭ガス、農薬などの有害物質、環境汚
染物質の分解除去及び殺菌等の目的で使用する場合、そ
の使用勝手から、何らかの基体上に担持、固定すること
が必要である。その他、近年、開発されている脱臭剤な
どの各種機能性物質粉末についても、粉末の形態で使用
されるものは僅かである。
【0003】機能性物質粉末の例として、光触媒用二酸
化チタンを基体に担持させる方法が例えば以下に提案さ
れている。 (1)ニトロセルロース、ガラス、ポリ塩化ビニル、ナ
イロン、メタクリル樹脂、ポリプロピレン等の光透過性
物質材料からなるフィルム状、ビーズ状、ボード状、繊
維状等の形状の基体に酸化チタン微粉末を付着させる方
法(特開昭62−66861) (2)多孔性ガラス支持体にチタン(IV)テトラブト
キシオキサイドのアルコール溶液を含浸し、加熱して、
アナターゼ型の酸化チタンにすることによって多孔性ガ
ラス支持体に保持・固定する方法(特開平2−5015
4) (3)色素又は金属錯体などの光増感剤を側鎖として持
つ多孔性高分子膜(例えばポリフッ化エチレン樹脂)中
に圧入、含浸、付着等の方法により、半導体触媒粉末を
保持・固定する方法(特開昭58−125602) (4)ポリプロピレン繊維あるいはセラミックスからな
る濾過フィルターに酸化チタンを担持する方法(特開平
2−68190) (5)石英、ガラス、プラスチックの繊維のからみの中
に酸化チタン粉末を保持・固定しその両面を光透過性の
ガラスでおさえつける方法(アメリカ特許488810
1) (6)アルミナ基板に白金をスパッタリング法により固
着させ、その上にアナターゼ型の酸化チタン粉末とメチ
ルメタクリレートの有機溶媒溶液との混合分散液をスピ
ンコーティング法により塗着し、しかるのちに結着剤と
してのメチルメタクリレートを加熱分解するとともに、
アナターゼ型の酸化チタンをルチル型の酸化チタンにす
る方法(Robert E.Hetric,Applied PhysicsCommunica
tions,5,(3),177-187(1985)) (7)ポリエステル布の表面に酸化チタンを低温溶射方
法で溶射担持する方法(桜田司、表面技術41巻、10
号、P60(1990))
【0004】上記の公知の光触媒二酸化チタンの基体へ
の担持方法には、それぞれ以下の欠点があった。
(1),(3),(4),(5)などの有機物をバイン
ダ−とする固定では、二酸化チタンの光触媒作用で大部
分の有機物が分解されるので、長期使用時の固定は信頼
性が無い。(2)の方法は、高価な有機チタン化合物を
原料とする上に、破損し易いガラスに直接担持させてい
るため、強度の信頼性が無い。また(6),(7)の方
法は固定の際に非常に高温になり、二酸化チタンの高い
光触媒活性が失われるので好ましくない。その他、よく
使用される方法として、単に無機多孔質体または繊維に
スラリ状の二酸化チタンを含浸、担持させる方法、及び
シリカ系、アルミナ系等のアルカリ塩を加水分解や加熱
溶融させたバインダ−を使用する方法等があるが、前者
では二酸化チタン粒子が固定されていないために、振
動、衝撃で容易に脱落するし、後者では触媒を固定する
ためのバインダ−によって、触媒表面が被覆されて活性
が大部分失われるという問題があった。更にこれらの方
法では耐熱性等が必要とされるため、使用できる基体の
種類も制限され、広い面への固定や加工が困難なため
に、コストがかさむ一方、光エネルギ−を充分に利用で
きないという問題があった。この問題は二酸化チタン以
外の光触媒や、更に吸着剤、殺菌剤等の高活性物質全て
に共通のものである。これら高活性物質を実用化するに
際して、活性を低下させること無く、強度に優れ、安価
で、取り扱いが容易な固定方法が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の課題を
解決することを目的とし、脱臭剤の脱臭効果、抗菌剤の
殺菌効果、二酸化チタンの光触媒活性などによる、アセ
トアルデヒド、メルカプタン等の悪臭ガス、NOX、S
X、ハイドロカーボン、ホルマリン等の有害ガス、農
薬等の有害物質、環境汚染物質の分解除去及び殺菌、殺
黴、殺藻効果等、機能性物質自体の活性能力を維持し、
かつ、加工性及び耐久性、耐候性に優れた機能性膜を有
する物品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の実施の形態】
本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意研究を行
った結果、特定の表面構造を有する機能性膜を利用する
ことにより上記の目的を達成することができることを見
いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】本発明は、その第1の態様として、樹脂層
及び前記樹脂層上に固定された機能性物質粉末を含有す
る層を有し、その表面が溝により1×10-5から0.1
cm2の面積を有する部分に画分されている機能性膜を
提供する。
【0008】本発明は、その第2の態様として、樹脂層
及び前記樹脂層上に固定された機能性物質粉末を含有す
る層を有し、表面の1mm角の区域が溝により0.1か
ら1000個の部分に画分されている機能性膜を提供す
る。
【0009】さらに本発明は、その第3の態様として、
樹脂層及び前記樹脂層上に固定された機能性物質粉末を
含有する層を有し、表面の1mm角の区域における固体
−気体接触面積が、少なくとも2mm2である機能性膜
を提供する。
【0010】本発明において、樹脂層としては、基体の
付着性及びケイ酸エステル溶液等の溶媒として使用され
る溶剤への溶解性があれば、シリコーン、エポキシ、ア
クリル、ウレタン樹脂等の、塗料用樹脂として通常使用
される樹脂をはじめとして任意の樹脂を使用できるが、
比較的耐久性が大きいのでシリコーン樹脂が好ましい。
シリコーン樹脂のタイプ、及び硬化剤の種類は使用する
基体の種類および要求性能に応じて適宜選択できる。ま
た樹脂に顔料を入れて着色させたり、紫外線吸収剤を添
加して耐光性を向上させることも可能である。樹脂層は
その表面部分のみが接着層として作用するので厚みに制
限はないが、1μm以上であることが好ましい。樹脂の
種類、層の厚み、溶剤の種類、量、乾燥条件などによっ
て、膜の表面状態は変化するが、これらの条件を適当に
選択することにより、要求に応じた所望の表面構造を得
ることができる。
【0011】前記のいずれの態様においても、機能性物
質粉末を含有する層はシリカ層であることが好ましい。
なお、シリカ層とは、SiO2を主成分とする層をい
う。かかるシリカ層は、後述するようにケイ酸エステル
の他、無機ケイ酸塩、および無機ケイ酸塩とアルミニウ
ム化合物との組み合わせから調製することができる。
【0012】本発明において使用される機能性物質粉末
とは、光触媒、脱臭および抗菌等の機能を有する粉末を
いう。また、本発明において機能性膜とは、かかる機能
性物質粉末を含む膜をいう。
【0013】本発明において、好ましい機能性物質粉末
は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウ
ム、酸化珪素、およびこれらを担持する物質からなる群
より選択される1種以上の物質である。
【0014】光触媒機能を有するものとしては二酸化チ
タン、酸化亜鉛、酸化鉄、チタン酸塩、酸化錫、酸化ジ
ルコニウム、および酸化タンタル、脱臭機能を有するも
のとしては二酸化チタン、酸化鉄および酸化亜鉛、吸着
機能を有するものとしては酸化アルミニウムおよび酸化
珪素、抗菌機能を有するものとしては銀、銅、亜鉛等の
化合物が挙げられる。また、これらを担持させた物質の
例としては、多孔質体や薬剤を包含したマイクロカプセ
ル等があげられる。
【0015】これらは高活性を有するものの、固定化の
際に、表面が被覆されたり、加熱などで活性を失い易
く、更に樹脂などで塗料化して固定した場合には、その
活性のために樹脂が劣化されるなど問題の多いものであ
る。本発明による固定は、比較的低温で、これら高活性
物質を均一に層中に固定し、これを基体表面に作製され
た樹脂層上に固定することで、樹脂層を劣化させる恐れ
なく、樹脂層を強力な結合材として基体への固定を可能
にするものである。機能性物質粉末の粒子径は塗膜強度
のためには5μm以下が好ましく、さらに好ましくは
0.5μm以下であり、最も好ましくは0.1μm以下
である。
【0016】機能性物質粉末として、光触媒用二酸化チ
タンを使用する場合には、アナタ−ゼ型が好ましく、比
表面積が20m2 /g以上のものが好ましく、50m2
/g以上のものがさらに好ましい。二酸化チタンは通常
無処理のものを使用するが、PtやAuなどの貴金属、
W、Sn、S、Mo、V、Mn及びZn等の触媒活性を
向上させる金属酸化物を担持したものも使用することが
できる。更には、銀、銅、亜鉛等の抗菌物質や他の機能
性物質を併用することもでき、さらに顔料などを添加す
ることもできる。
【0017】機能性物質粉末を含有する層は、樹脂層を
介して基体に固定されている。層の厚さが大きくなる
と、強度が下がる傾向にあるので、膜厚は100μm以
下であることが好ましい。膜中の機能性物質粉末の割合
は、10〜90重量%が好ましく、より好ましくは20
〜85重量%、最も好ましくは40〜80重量%であ
る。
【0018】溝は層の表面を画分できればよく、樹脂層
まで達していなくてもよい。本発明においては、層の表
面は1×10-5から0.1cm2の面積に画分される。
【0019】本発明の第2の態様においては、表面の1
mm角の区域が溝により0.1から1000個の部分に
画分されている機能性膜が提供される。表面の1mm角
の区域とは、膜を平滑面と仮定したときの1mm角の区
域をいう。すなわち、表面のうねりや凹凸はないものと
して1mm角の区域を画定する。
【0020】本発明の第3の態様においては、表面の1
mm角の区域における固体−気体接触面積が、少なくと
も2mm2、好ましくは少なくとも5mm2である機能性
膜が提供される。
【0021】本発明にかかる機能性膜は、外部から基体
に加えられる曲げ、引っ張り、圧縮、切断など力や、基
体の膨張、収縮などの変形にともなう膜の剥離を大幅に
改善する。例えば機能性膜を固定した金属板を曲げて加
工したり、機能性膜を固定した布を畳む等の変形をさせ
ても、その変形を吸収できるので、剥離が起こりにくい
という特徴がある。また、機能性を有する面が大幅に増
大するので、NOX、SOX、ハイドロカーボンやホルマ
リンなどの有害ガスや各種悪臭ガス、水中の有害化合物
等の分解、除去及び殺菌等に著しく優れている。さらに
大量の液状、固体状の物質の付着による汚染の可能性の
ある場合に、活性の劣化が防止されるという効果を有す
る。
【0022】本発明の機能性膜に特有の表面構造は、ま
ず機能性物質粉末を含む膜を形成させた後、レ−ザ−や
イオンビ−ムなどによって表面層を適度な幅で規則的ま
たは不規則的に切断する方法、酸、アルカリによるエッ
チング、研磨、或いは膜形成時に揮発性、可溶性物質を
予め添加しておき、膜形成後、これを除去する方法、始
めから基体に島状に機能性物質粉末を含む膜を作製する
方法として、シリカ、チタニア、アルミナ等のゾルに機
能性物質粉末を分散させたものを島状に塗布する方法、
および塗布条件、塗布方法を選択することによるゾルの
ゲル化の際に生じる体積収縮により膜に亀裂を入れる等
の方法が採用されうる。レ−ザ−やイオンビ−ムによる
切断の場合、膜上に適度な間隔、幅及び深さで欠陥を均
一に設けることができるが、他の方法でも膜活性、強度
の改良は同様に可能で、特にゾルゲル法によるものは少
ない工程で容易に目的の膜が得られるので好ましい。
【0023】以下、ゾルゲル法によるシリカ層機能性膜
の製造方法について説明する。ゾルゲル法は、典型的に
はケイ酸エステル、水及び任意の有機溶剤に、機能性物
質粉末を分散させた塗料を基体表面に作製された樹脂層
上に成膜後、400℃以下で加熱処理するという製造方
法である。ケイ酸エステルとしては公知のいずれのもの
も使用できるが、ケイ酸メチル、ケイ酸エチル、ケイ酸
ブチルが好ましく、ケイ酸エチルが最も好ましい。有機
溶剤は、ケイ酸エステルの加水分解で生成するシリカゾ
ルと親和し易く、アルコ−ルと混和し、かつシリカ膜を
基体に良好に接着させるために樹脂層を溶解できること
が必要である。またケイ酸エステルの加水分解で生じる
アルコールが樹脂層を溶解できる性質を有し、かつその
量が充分である場合には溶剤は加える必要はない。
【0024】溶剤の種類は使用する樹脂層の種類に応じ
て、適当な溶解性を有するものを適宜選択できるが、代
表的なものとしては、セロソルブ類、カルビト−ル等、
アルコール類が挙げられる。セロソルブ類ではアルキル
基を有するものが好ましく、特にブチル基を有するブチ
ルセロソルブが好ましい。カルビトール類では、カルビ
トールおよび酢酸カルビトールが好ましい。アルコール
類ではエタノール、ブタノールが好ましい。ケイ酸エス
テルを加水分解するために塗料に水が加えられるが、塗
料中での機能性物質粉末の分散性、塗膜強度を上げるた
めには塗料pHは酸性が好ましく、pH4以下がより好
ましく、pH2以下が特に好ましい。塗料pHを低下さ
せるためには、少量の酸を添加すればよく、塩酸、硫
酸、硝酸等いずれも使用できる。また機能性物質粉末を
含まないシリカ膜の原料となる混合液においてもpHは
酸性が好ましい。
【0025】樹脂上に固定させる機能性物質粉末を含有
したシリカ膜を作製するための塗料の配合割合は、機能
性物質粉末100重量部に対し、ケイ酸エステルとして
ケイ酸エチルを使用した場合、ケイ酸エチルは30〜3
200重量部、好ましくは60〜1400重量部、更に
好ましくは80〜520重量部であり、ケイ酸エステル
としてケイ酸メチル、ケイ酸ブチルを使用した場合、好
ましい量はそれぞれの分子量の比に対応した係数、0.
73、1.54をケイ酸エチルでの数値に乗じた値とな
る。溶剤は0〜1000重量部、好ましくは0〜500
重量部、また水は10〜1100重量部、好ましくは2
0〜500重量部、更に好ましくは30〜200重量部
である。上記の配合割合において、機能性物質粉末が該
配合割合より少なくなると、膜としての活性が低くな
り、該配合割合より多くなるとシリカ膜の付着性、強度
が劣るので好ましくない。
【0026】さらに、シリカ層を調製するためには無機
ケイ酸塩、並びに無機ケイ酸塩とアルミニウム化合物の
混合物を使用することもできる。無機ケイ酸塩として
は、水可溶性のものが好ましく、特にケイ酸ナトリウ
ム、およびケイ酸カリウムが水溶性が大きいので好まし
い。アルミニウム化合物ではアルミン酸のナトリウム
塩、カリウム塩、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩が好
ましく使用できる。また、市販の水酸化ケイ素、水酸化
アルミニウムのゾルも使用することができる。無機ケイ
酸塩、およびアルミニウム化合物の量は、得られる機能
性物質粉末を固定する膜の膜強度等の、所望の膜特性に
応じて決定される。たとえば、無機ケイ酸塩としてメタ
ケイ酸ナトリウムを使用した場合、機能性物質粉末10
0重量部に対し、メタケイ酸ナトリウム2〜2000重
量部、好ましくは10〜800重量部、最も好ましくは
20〜200重量部の範囲で使用できる。また、無機ケ
イ酸塩としてメタケイ酸ナトリウムを使用し、アルミニ
ウム化合物としてアルミン酸ナトリウムを使用した場合
には、機能性物質粉末100重量部に対し、メタケイ酸
ナトリウムとアルミン酸ナトリウムを合計で2〜200
0重量部、好ましくは10〜800重量部、最も好まし
くは20〜200重量部の範囲で使用できる。
【0027】塗布した後の加熱処理は樹脂層及び基体の
酸化、変質及び変形が生じない温度範囲で行うことが好
ましい。一般的には400℃以下が好ましいが、100
℃以下ではシリカゾルのゲル化に長時間を要し、膜強度
を得にくいため、100〜400℃が更に好ましい。
尚、塗膜を60℃以上の温水で洗浄して、遊離シリカ、
樹脂等を除去した後、紫外線を照射して二酸化チタン粒
子表面に付着した樹脂を分解しておくと触媒活性が一段
と強くなる。機能性物質粉末は、効率を上げる為に微粒
子を薄く広げて固定するのが好ましいため、塗料として
塗布し、塗膜として固定するのがよい。
【0028】本発明にかかる製造方法においては、ケイ
酸エステルと水の混合液に有機溶剤を加えることで、混
合液としての安定性、粘度、分散性、乾燥速度が改善さ
れるばかりでなく、基体表面に作製された樹脂層表面に
塗布することで樹脂を溶解させ、シリカと樹脂が混ざり
あった層を作ることでシリカ層を樹脂層上に強固に固定
させることに成功した。しかも、機能性物質粉末自体は
シリカ膜中に固定され樹脂と直接接触しないので、樹脂
を劣化させないという効果が得られる。更に樹脂が紫外
線に弱いものであっても、樹脂層上に固定されたシリカ
膜及び機能性物質が紫外線を遮蔽するため、樹脂の劣化
を防ぐ長所も合わせ持つ。
【0029】さらに本発明はその好ましい態様として、
前記機能性物質粉末を含有する層と樹脂層との間に、樹
脂層上に固定された機能性物質粉末非含有層を有する機
能性膜を提供する。さらに好ましい態様においては、前
記機能性物質粉末を含有する層、および前記機能性物質
粉末非含有層のいずれもシリカ層である。
【0030】この態様においては、樹脂層と機能性物質
粉末を含むシリカ膜の間に固定された機能性物質粉末を
含まないシリカ膜が存在するために、機能性物質粉末に
よる樹脂の劣化の危険性がより少なくなるという優れた
特徴を有する。本発明にかかる、樹脂層と機能性物質粉
末を含有するシリカ層の間に、樹脂層上に固定されたシ
リカ層を有する機能性膜は、代表的にはケイ酸エステ
ル、水及び任意の有機溶剤の混合液を基体表面に作製さ
れた樹脂層上に成膜し、さらにその上にケイ酸エステ
ル、水及び任意の有機溶剤に、機能性物質粉末を分散さ
せた塗料を成膜後、400℃以下で加熱処理することに
より製造される。
【0031】樹脂上に固定させるシリカ膜の原料となる
混合液の配合割合はケイ酸エステル100重量部に対し
て水は25〜100重量部、好ましくは50〜100重
量部であり、有機溶剤は0〜200重量部、好ましくは
0〜500重量部である。ケイ酸エステル、水及び任意
の有機溶剤の混合液を作製後、長時間経過した後に樹脂
層上に塗布して得られるシリカ膜は剥離しやすく、特に
混合液の酸濃度、液温が高い場合にはその傾向が強いの
で、該混合液は90℃以下、好ましくは60℃以下で1
週間以内に塗布するのがよい。
【0032】ケイ酸エステル、水及び任意の有機溶剤の
混合液を塗布した直後に、機能性物質粉末を含有するシ
リカ膜を作成するための塗料を塗布した場合は、両者が
完全に混ざり合って機能性物質粉末の割合の少ないシリ
カ膜を塗布したのと同じことになるので好ましくない。
ケイ酸エステル、有機溶剤、水、機能性物質粉末を含有
したシリカ膜を作製させるための配合割合及び塗布後の
加熱処理については前記の場合と同様である。
【0033】樹脂上に固定されるシリカ膜と前記シリカ
膜上に固定される機能性物質粉末を含有したシリカ膜を
接着面で一体化させるためには、ケイ酸エステル、水及
び任意の有機溶剤の混合液を基体上に作成された樹脂層
上に塗布後、90℃以下、好ましくは60℃以下で1週
間以内、好ましくは3日以内、特に好ましくは1日以内
に機能性物質粉末を含有した塗料を塗布するのがよい。
なお、基体表面に樹脂層を設ける方法、および樹脂層上
にシリカ層を設ける方法、更にはシリカ膜上に機能性物
質粉末を含有したシリカ膜を設ける方法としては公知の
方法が使用できるが、基体の形状に応じて、塗布、吹き
付け、浸漬等の適当な塗装方法を選択できる。
【0034】本発明の機能性膜は上記シリカ膜の例で言
えば、ケイ酸エステルの加水分解で生じたアルコールの
蒸発、シリカゾルの脱水、溶剤の蒸発によって本発明の
機能性膜に特有の表面構造をとることで、無数の活性点
が形成される。機能性膜の活性をさらに大きくするため
には、機能性物質粉末を分散させた塗料にホウ酸等の可
溶性物質を添加しておき、シリカ膜を固定化させた後、
塗膜を温水で洗浄して可溶性物質を除去することも可能
である。また塗料に可溶性物質を添加しない場合でも、
塗膜を洗浄することで、遊離シリカ、付着物等が除去さ
れるので、機能性膜の活性が向上する。更に紫外線を照
射して機能性物質粉末表面の有機物を分解することで、
活性を一段と強くすることができる。
【0035】本発明の機能性膜は物品の基体表面に施さ
れて使用される。すなわち、本発明はその一態様とし
て、基体表面に前述の本発明にかかる機能性膜を有する
物品を提供する。基体はその表面に樹脂層を形成させる
ことができるものであればどのようなものでも良いが、
好ましくは、アルミニウム、鉄、ニッケル及び銅からな
る群より選ばれた少なくとも1種を主成分とする金属材
料、ガラス、セメント、セラミックス、木材、合成樹
脂、布、繊維、紙またはこれらの組み合わせから選択さ
れる。
【0036】本発明にかかる物品は、脱臭剤または有害
ガス除去剤として好適に使用され、有害ガス除去剤とし
て使用された場合には、NOx、SOx、ハイドロカーボ
ンおよびホルマリン等の除去に効果的である。なお、二
酸化チタンなどの光触媒については、アルデヒド、メル
カプタンなどの脱臭効果以外にもNOX、アンモニア、
硫化水素等の無機ガスや農薬等の有害物質、環境汚染物
質の分解除去及び菌類、藻類に対する殺菌、除去など
が、光触媒効果として公知であり、脱臭効果が得られる
場合には、光触媒効果として知られているその他の効果
も同時に得られることは明かである。以下に実施例を挙
げて、本発明の内容を詳細に説明するが、これら実施例
はあくまでも例示であり、本発明の範囲はこれに限定さ
れるものではない。
【0037】
【実施例】 実施例1 光触媒用二酸化チタン(比表面積320m2/g、平均
粒子径0.8μm)6g、ケイ酸エチル9g、塩酸1.
0モル濃度の塩酸水溶液3g、ホウ酸0.12g及びブ
チルセロソルブ6gを、3mmのガラスビーズ90gと
ともに120mlのマヨネーズ瓶に仕込み、レッドデビ
ル社製のペイントコンディショナーで20分間分散、混
合して、光触媒用二酸化チタンとシリカゾルを含有する
塗料とした。アルカリ洗浄して脱脂処理したアルミニウ
ム板(60mm×150mm×0.5mm)に、東芝シ
リコーン(株)製アクリル変性シリコーン樹脂を塗布、
乾燥した面に、上記の塗料を2ミルのドクターブレード
で塗布した。一昼夜風乾後、170℃で焼き付けしてシ
リカ膜を作製した後、90℃の温水で洗浄して、ホウ酸
を除去した。アルミ基体表面には乳白色の膜が形成され
て、JIS−K5400の方法により塗膜の付着性、硬
さを調べたところ付着性は評価点10で、鉛筆硬度3H
以上であった。また塗膜面を外側にして、アルミニウム
板を180度折り曲げたが、膜の剥離は生じなかった。
光学顕微鏡による観察により、膜表面は平滑ではなく、
約20μmの幅の溝によって、1mm2当たり10から
100個の、10-4から10-3cm2の面積を有する部
分に画分されていることが確認された。走査型電子顕微
鏡観察より、二酸化チタン粒子を包含する厚さ約20μ
mの膜が、樹脂によってアルミ基体上に固定されている
ことが確認された。膜の塗布された基板を2cm×2c
mに切りだしたものを25枚、合計100cm2につい
て、窒素ガス吸着による表面積を測定したところ、50
0cm2であった。この塗膜をスガ試験機(株)製デュ
ーパネル光コントロールウェザーメーターを使用して、
500時間の紫外線照射を行ったが、塗膜の変色、強度
劣化は生じなかった。
【0038】実施例2 光触媒用二酸化チタン(比表面積320m2/g、平均
粒子径0.8μm)6g、ケイ酸エチル9g、塩酸1.
0モル濃度の塩酸水溶液3g、ホウ酸0.12g及びエ
チルアルコール6gを、3mmのガラスビーズ90gと
ともに120mlのマヨネーズ瓶に仕込み、レッドデビ
ル社製のペイントコンディショナーで20分間分散、混
合して、光触媒用二酸化チタンとシリカゾルを含有する
塗料とした。また、ケイ酸エチル6g、塩酸0.1モル
濃度の塩酸水溶液2g、及びエチルアルコール4gを、
120mlのマヨネーズ瓶に仕込み、レッドデビル社製
のペイントコンディショナーで10分間分散、均一混合
して、シリカゾルを作成した。アルカリ洗浄して脱脂処
理したアルミニウム板(60mm×150mm×0.5
mm)に、大日本インキ化学工業(株)製アクリル樹
脂、アクリディック47−712を塗布、乾燥した面
に、上記のシリカゾルを2ミルのドクターブレードで塗
布して5分後、上記の塗料を2ミルのドクターブレード
で塗布した。一昼夜風乾後、170℃で焼き付けしてシ
リカ膜を作製した後、90℃の温水で洗浄して、ホウ酸
を除去した。アルミ基体表面には乳白色の膜が形成さ
れ、JIS−K5400の方法により塗膜の付着性、硬
さを調べたところ付着性は評価点10で、鉛筆硬度3H
以上であった。また塗膜面を外側にして、アルミニウム
板を180度折り曲げたが、膜の剥離は生じなかった。
光学顕微鏡による観察により、膜表面は平滑ではなく、
約50μmの幅の溝によって、編み目状に10-4から1
-3cm2の面積を有する部分に画分されていることが
確認された。走査型電子顕微鏡観察より、二酸化チタン
粒子を包含する厚さ約20μmの膜が、二酸化チタン粒
子を包含しない厚さ約20μmの膜上に密接して形成さ
れ、さらに二酸化チタン粒子を包含しない膜が樹脂によ
ってアルミ基体上に固定されていることが確認された。
この塗膜をスガ試験機(株)製デューパネル光コントロ
ールウェザーメーターを使用して、500時間の紫外線
照射を行ったが、塗膜の変色、強度劣化は生じなかっ
た。
【0039】実施例3 脱イオン水に350g/lのケイ酸ナトリウム溶液と5
0%塩酸とを5対4の比率で同時に滴下、混合してシリ
カゾルを調製した。光触媒用二酸化チタン(比表面積1
00m2/g、平均粒子径0.6μm)6g、上記のシ
リカゾルをSiO2として2g、ホウ酸0.12g、及
びブチルセロソルブ15gを、3mmのガラスビーズ9
0gとともに120mlのマヨネーズ瓶に仕込み、レッ
ドデビル社製のペイントコンディショナーで10分間分
散、混合して、光触媒用二酸化チタンとシリカゾルを含
有する塗料とした。アルカリ洗浄して脱脂処理したアル
ミニウム板(60mm×150mm×0.5mm)に、
東芝シリコーン(株)製アクリル変性シリコーン樹脂を
塗布、乾燥した面に、上記の塗料を2ミルのドクターブ
レードで塗布した。一昼夜風乾後、170℃で焼き付け
してシリカ膜を作製した後、90℃の温水で洗浄して、
ホウ酸を除去した。アルミ基体表面には乳白色の膜が形
成され、JIS−K5400の方法により塗膜の付着
性、硬さを調べたところ、付着性は評価点10で、鉛筆
硬度3H以上であった。また塗膜面を外側にして、アル
ミニウム板を180度折り曲げたが、膜の剥離は生じな
かった。光学顕微鏡による観察により、膜表面は平滑で
はなく、約20μmの幅の溝によって、1mm2当たり
10から100個の、10-4から10-3cm2の面積を
有する部分に画分されていることが確認された。走査型
電子顕微鏡観察より、二酸化チタン粒子を包含する厚さ
約20μmの膜が、樹脂によってアルミ基体上に固定さ
れていることが確認された。この塗膜をスガ試験機
(株)製デューパネル光コントロールウェザーメーター
を使用して、500時間の紫外線照射を行ったが、塗膜
の変色、強度劣化は生じなかった。
【0040】実施例4 脱イオン水に350g/lのケイ酸ナトリウム溶液、ア
ルミン酸ナトリウム溶液、および50%塩酸を4対1対
4の比率で同時に滴下、混合してシリカ−アルミナゾル
を調製した。光触媒用二酸化チタン(比表面積100m
2/g、平均粒子径0.6μm)6g、上記のシリカ−
アルミナゾルをSiO2+Al23として2g、ホウ酸
0.12g、及びブチルセロソルブ15gを、3mmの
ガラスビーズ90gとともに120mlのマヨネーズ瓶
に仕込み、レッドデビル社製のペイントコンディショナ
ーで10分間分散、混合して、光触媒用二酸化チタン、
シリカゾル、およびアルミナゾルを含有する塗料とし
た。アルカリ洗浄して脱脂処理したアルミニウム板(6
0mm×150mm×0.5mm)に、東芝シリコーン
(株)製アクリル変性シリコーン樹脂を塗布、乾燥した
面に、上記の塗料を2ミルのドクターブレードで塗布し
た。一昼夜風乾後、170℃で焼き付けしてシリカ膜を
作製した後、90℃の温水で洗浄して、ホウ酸を除去し
た。アルミ基体表面には乳白色の膜が形成され、JIS
−K5400の方法により塗膜の付着性、硬さを調べた
ところ、付着性は評価点10で、鉛筆硬度3H以上であ
った。また塗膜面を外側にして、アルミニウム板を18
0度折り曲げたが、膜の剥離は生じなかった。光学顕微
鏡による観察により、膜表面は平滑ではなく、約20μ
mの幅の溝によって、1mm2当たり10から100個
の、10-4から10-3cm2の面積を有する部分に画分
されていることが確認された。走査型電子顕微鏡観察よ
り、二酸化チタン粒子を包含する厚さ約20μmの膜
が、樹脂によってアルミ基体上に固定されていることが
確認された。この塗膜をスガ試験機(株)製デューパネ
ル光コントロールウェザーメーターを使用して、500
時間の紫外線照射を行ったが、塗膜の変色、強度劣化は
生じなかった。
【0041】実施例5 実施例1と同様にして、アルミニウム板に東芝シリコー
ン(株)製アクリル変性シリコーン樹脂を下塗りした面
上にシリカゾルに分散させた光触媒膜を作製し、0.2
Nの苛性ソーダ溶液で裏面から洗浄してアルミニウム板
を溶解し、光触媒を担持したシリコーン樹脂膜を得た。
これをウレタン系接着剤を塗布したポリエステル布片上
に貼り付けることにより、光触媒を担持したポリエステ
ル布を得た。この膜はポリエステル布の10回の折り曲
げに対しても剥離は生じなかった。
【0042】実施例6 特公平3−33022号公報に開示されている、二酸化
チタンと酸化亜鉛の緊密結合体粒子からなる脱臭剤を以
下のようにして製造した。25℃の純水2リットルに、
攪拌下、苛性ソーダ5モル/リットルの溶液を滴下して
混合液のpHを7から8の範囲に保ちつつ、硫酸チタン
1モル及び硫酸亜鉛1モルを溶解させた液1リットルを
10ミリリットル/分で滴下した。沈澱物を濾過洗浄し
た後、180℃で乾燥して、脱臭剤を得た。得られた脱
臭剤(比表面積220m2/g、平均粒子径0.4μ
m)6g、ケイ酸エチル9g、ジエタノールアミン3
g、水3g、ホウ酸0.12g、及びブチルセロソルブ
6gを、3mmのガラスビーズ90gとともに120m
lのマヨネーズ瓶に仕込み、レッドデビル社製のペイン
トコンディショナーで10分間分散、混合して、脱臭剤
とシリカゾルを含有する塗料とした。スカイアルミニウ
ム(株)製スカイコートのフッ素樹脂塗布面(60mm
×150mm×0.5mm)に、上記の塗料を2ミルの
ドクターブレードで塗布した。一昼夜風乾後、150℃
で焼き付けしてシリカ膜を作製した後、90℃の温水で
洗浄してホウ酸を除去し、次いで紫外線を照射して脱臭
剤粒子表面に付着した有機物を分解、除去した。アルミ
基体表面には乳白色の膜が形成され、JIS−K540
0の方法により塗膜の付着性、硬さを調べたところ、付
着性は評価点10で、鉛筆硬度3H以上であった。また
塗膜面を外側にして、アルミニウム板を180度折り曲
げたが、膜の剥離は生じなかった。光学顕微鏡による観
察により、膜表面は平滑ではなく、約50μmの幅の溝
によって、編み目状に10-4から10-3cm2の面積を
有する部分に画分されていることが確認された。走査型
電子顕微鏡観察より、二酸化チタン粒子を包含する厚さ
約20μmの膜が、樹脂によってアルミ基体上に固定さ
れていることが確認された。この塗膜をスガ試験機
(株)製デューパネル光コントロールウェザーメーター
を使用して、500時間の紫外線照射を行ったが、塗膜
の変色、強度劣化は生じなかった。
【0043】実施例7 特公平3−33022号公報に開示されている、二酸化
チタンと酸化亜鉛の緊密結合体粒子からなる脱臭剤を担
持させたY型ゼオライトを以下のようにして製造した。
25℃の純水2リットルにY型ゼオライト粉末(比表面
積30m2/g、平均粒子径1.0μm)を加え、これ
に攪拌下、苛性ソーダ0.5モル/リットルの溶液を滴
下して混合液のpHを7から8の範囲に保ちつつ、硫酸
チタン0.06モル及び硫酸亜鉛0.06モルを溶解さ
せた液0.2リットルを5ミリリットル/分で滴下し
た。生成物を濾過洗浄した後、180℃で乾燥して、脱
臭剤を10重量%担持させたY型ゼオライトを得た。得
られた脱臭剤を10重量%担持させたY型ゼオライト6
g、ケイ酸エチル9g、ジエタノールアミン3g、水3
g、ホウ酸0.12g、及びブチルセロソルブ6gを、
3mmのガラスビーズ90gとともに120mlのマヨ
ネーズ瓶に仕込み、レッドデビル社製のペイントコンデ
ィショナーで10分間分散、混合して、脱臭剤とシリカ
ゾルを含有する塗料とした。スカイアルミニウム(株)
製スカイコートのフッ素樹脂塗布面(60mm×150
mm×0.5mm)に、上記の塗料を2ミルのドクター
ブレードで塗布した。一昼夜風乾後、150℃で焼き付
けしてシリカ膜を作製した後、90℃の温水で洗浄して
ホウ酸を除去し、次いで紫外線を照射して脱臭剤粒子表
面に付着した有機物を分解、除去した。アルミ基体表面
には乳白色の膜が形成され、JIS−K5400の方法
により塗膜の付着性、硬さを調べたところ、付着性は評
価点10で、鉛筆硬度3H以上であった。また塗膜面を
外側にして、アルミニウム板を180度折り曲げたが、
膜の剥離は生じなかった。光学顕微鏡による観察によ
り、膜表面は平滑ではなく、約50μmの幅の溝によっ
て、編み目状に10-4から10-3cm2の面積を有する
部分に画分されていることが確認された。走査型電子顕
微鏡観察より、二酸化チタン粒子を包含する厚さ約20
μmの膜が、樹脂によってアルミ基体上に固定されてい
ることが確認された。
【0044】比較例1 光触媒用二酸化チタン(比表面積320m2/g、平均
粒子径0.6μm)1g、ケイ酸エチル9g、エチルア
ルコール100g、0.1モル濃度の塩酸水溶液3g、
ホウ酸0.02gを250mlのガラスビーカーに入れ
て、緩やかに攪拌し、光触媒用二酸化チタンを分散させ
たシリカゾルを含む液とした。この中にアルカリ洗浄し
て脱脂処理したステンレス板(3cm×4cm、厚さ
0.2mm)を浸漬して1cm/分の速さで引き上げ、
30分間風乾後、170℃で2時間焼き付けしてシリカ
膜を作製した後、90℃の温水で洗浄して、ホウ酸を除
去した。光学顕微鏡観察により、膜面は平滑であること
が確認された。JIS−K5400の方法による塗膜の
付着性は評価点10で、鉛筆硬度3H以上であった。し
かしステンレス板を90度折り曲げたところ、曲げた部
分で膜面が一部剥離し、全体に伝播した。スガ試験機
(株)製デューパネル光コントロールウェザーメーター
を使用した500時間の紫外線照射による剥離は生じな
かった。
【0045】比較例2 実施例1において、二酸化チタン粒子を分散させた塗料
の配合を、二酸化チタン、ケイ酸エチル、塩酸0.5モ
ルを添加した水及びブチルセロソルブの割合が、6/3
/1/6となるようにした以外は同様にして膜を作成し
た。光学顕微鏡観察により、膜面は平滑であることが確
認された。走査型電子顕微鏡観察より、二酸化チタン粒
子を包含する厚さ約20μmの膜が、樹脂によってアル
ミ基体上に固定されていることが確認された。この膜
は、JIS−K5400の方法により測定した付着性は
殆ど無く、鉛筆硬度は1H以下であった。
【0046】比較例3 特公平3−33022号公報に開示されている、二酸化
チタンと酸化亜鉛の緊密結合体粒子からなる脱臭剤(比
表面積220m2/g、平均粒子径0.4μm)6g
と、大日本インキ化学工業(株)製アクリル樹脂、アク
リディック47−712、15gとを、3mmのガラス
ビーズ90gとともに120mlのマヨネーズ瓶に仕込
み、レッドデビル社製のペイントコンディショナーで1
0分間分散、混合して、脱臭剤を含有する塗料とした。
アルカリ洗浄して脱脂処理したアルミニウム板(60m
m×150mm×0.5mm)に、上記の塗料を2ミル
のドクターブレードで塗布した。一昼夜風乾後、150
℃で焼き付けた。アルミ基体表面には白色半透明の膜が
形成され、JIS−K5400の方法により塗膜の付着
性、硬さを測定したところ、付着性は評価点10で、鉛
筆硬度3H以上であった。しかし塗膜面を外側にして、
アルミニウム板を180度折り曲げたところ、膜は一部
剥離し、全体に伝播した。光学顕微鏡観察により、膜面
は平滑であり、溝のないことが確認された。走査型電子
顕微鏡観察より、二酸化チタン粒子を包含する厚さ約2
0μmの膜が、樹脂によってアルミ基体上に固定されて
いることが確認された。
【0047】機能性膜の特性評価 各実施例および比較例で作成された機能性膜について、
悪臭ガス、有害ガス、および大気中の窒素酸化物、硫黄
酸化物等の除去性能を以下の方法により測定した。実施
例1、2、3、及び比較例1の方法で作製した機能性膜
を各々5cm2切り出し、各々120mlのガラス製瓶
に入れてゴム栓をし、試験ガスを所定量注入した。瓶の
外から波長350nmの紫外線を4.0−4.4mW/
cm2で1時間照射した後、瓶内の空気を柳本製作所製
ガスクロマトグラフG3800(検出器FID)で測定
し、ガスの除去能を調べた。その結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】実施例1、2、3、及び比較例1の方法で
作製した機能性膜を各々5cm2切り出し、各々120
mlのガラス製瓶に入れてゴム栓をし、試験ガスを所定
量注入した。瓶の外から波長350nmの紫外線を4.
0−4.4mW/cm2で1時間照射した後、瓶内の空
気を柳本製作所製ガスクロマトグラフG3800(検出
器FID)で測定し、ガスの除去能を調べた。その結果
を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】実施例2の方法で作製した機能性膜(5c
m×10cm)10枚、及び比較例1の方法で作製した
機能性膜(3cm×4cm)を、40cm×60cmの
硝子板上に並べ、30cmの高さに紫外線透過性フッ素
樹脂フィルムを張ったものを、自動車の通行する道路脇
に水平に置いた。一週間後、各々塗膜を取り出して蒸留
水で洗浄し、洗浄水中の硝酸イオン量を測定した。(大
気中の窒素酸化物は光触媒効果で酸化され、硝酸イオン
として回収される。)その結果を表3に示す。
【0052】
【表3】
【0053】実施例6、7、及び比較例3の方法で作製
した機能性膜を各々5cm2切り出し、各々120ml
のガラス製瓶に入れてゴム栓をし、試験ガスを所定量注
入した。1時間静置後、瓶内の空気を柳本製作所製ガス
クロマトグラフG3800(検出器FID)で測定し、
ガスの除去能を調べた。その結果を表4に示す。
【0054】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A01N 59/20 A01N 59/20 Z B01D 53/86 B01J 19/00 K 53/94 21/04 A B01J 19/00 21/06 ZABA 21/04 23/06 A 21/06 ZAB B32B 3/30 23/06 9/00 A 23/745 B01D 53/36 D B32B 3/30 G 9/00 H 101Z B01J 23/74 301 (72)発明者 斎藤 辰夫 山口県宇部市大字小串1978番地の25 チタ ン工業株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂層及び前記樹脂層上に固定された機
    能性物質粉末を含有する層を有し、その表面が溝により
    1×10-5から0.1cm2の面積を有する部分に画分
    されている機能性膜。
  2. 【請求項2】 樹脂層及び前記樹脂層上に固定された機
    能性物質粉末を含有する層を有し、表面の1mm角の区
    域が溝により0.1から1000個の部分に画分されて
    いる機能性膜。
  3. 【請求項3】 樹脂層及び前記樹脂層上に固定された機
    能性物質粉末を含有する層を有し、表面の1mm角の区
    域における固体−気体接触面積が、少なくとも2mm2
    である機能性膜。
  4. 【請求項4】 前記機能性物質粉末を含有する層がシリ
    カ層である、請求項1ないし3のいずれか1項記載の機
    能性膜。
  5. 【請求項5】 前記機能性物質粉末を含有する層と樹脂
    層との間に、樹脂層上に固定された機能性物質粉末非含
    有層を有する、請求項1から3のいずれか1項記載の機
    能性膜。
  6. 【請求項6】 前記機能性物質粉末を含有する層、およ
    び前記機能性物質粉末非含有層のいずれもシリカ層であ
    る、請求項5記載の機能性膜。
  7. 【請求項7】 前記機能性物質粉末が、二酸化チタン、
    酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化珪素、およ
    びこれらを担持する物質からなる群より選択される1種
    以上の物質である請求項1から6のいずれか1項記載の
    機能性膜。
  8. 【請求項8】 基体表面に請求項1から7のいずれか1
    項記載の機能性膜を有する物品。
  9. 【請求項9】 前記基体がアルミニウム、鉄、チタン、
    ニッケル及び銅からなる群より選ばれる少なくとも1種
    を主成分とする金属材料、ガラス、セラミックス、セメ
    ント、木材、合成樹脂、布、繊維、紙またはこれらの組
    み合わせから選択される請求項8記載の物品。
  10. 【請求項10】 脱臭剤である請求項8または9記載の
    物品。
  11. 【請求項11】 有害ガス除去剤である請求項8または
    9記載の物品。
  12. 【請求項12】 有害ガスが、NOx、SOx、ハイドロ
    カーボンおよびホルマリンからなる群から選択される1
    種以上のガスである、請求項11記載の物品。
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