JPH10230559A - 耐水性光反射シート - Google Patents

耐水性光反射シート

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JPH10230559A
JPH10230559A JP9036678A JP3667897A JPH10230559A JP H10230559 A JPH10230559 A JP H10230559A JP 9036678 A JP9036678 A JP 9036678A JP 3667897 A JP3667897 A JP 3667897A JP H10230559 A JPH10230559 A JP H10230559A
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JP
Japan
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titanium oxide
active layer
colloidal silica
sheet
support
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JP9036678A
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English (en)
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Katsushi Ogami
勝志 大上
Shinya Hioki
信也 火置
Yoichiro Azuma
洋一郎 東
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Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】酸化チタンの光触媒能および無機吸着剤の吸着
能により防汚脱臭効果に優れ、且つ貼り替え可能で耐水
性を有する光反射シート、およびそれを用いた照明装
置、ブラインドを提供する。 【解決手段】透気性のない可撓性の支持体上に、酸化チ
タンおよびコロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマル
ジョン、またはそれらと無機吸着剤を含有する活性層を
有し、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤
層を設けたことを特徴とする防汚脱臭効果を有する貼り
替え型耐水性光反射シート、およびそれを用いた照明装
置、ブラインド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光灯などの照明
器具に装備された反射板などに貼り付けて使用できる取
り替え可能な防汚効果を有する耐水性光反射シート、お
よびそれを用いた照明装置、ブラインドに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】最近、住環境におけるタバコの弊害に対
する関心の高まりに伴い、日常生活の中においても、嫌
煙、タバコ臭除去、防汚染などの要求が増加している。
公共施設おける禁煙領域は確保され、民間のレストラ
ン、飛行機、列車やタクシーなどにおいても禁煙領域が
増えつつある。タバコ臭の除去についても、脱臭性繊維
の開発や、活性炭、シリカ、アルミナ、金属酸化物など
の複合化された無機吸着剤による吸着型や分解型の空気
清浄装置の開発などにより住環境の中からその影響を取
り去る方向に進みつつある。
【0003】しかしながら、タバコによる住環境への直
接の汚染、すなわちタバコのヤニに代表されるようなタ
ール状の物質が壁、床、天井、家具、照明器具などに付
着してしまう汚れについては解決できる手段がなかっ
た。中でも照明器具に関してはその反射板がヤニで一度
汚れてしまうと非常に取れ難く、結果として光の反射効
率が低下してしまい、有効な光量が少なくなるばかりで
なく、エネルギー的にも大きな損失であった。
【0004】反射板に付着したタバコのヤニが取れ難い
原因としては、反射板が光源に非常に近い所で使用され
るため、光源からの光および熱によって、付着したヤニ
の酸化反応あるいは架橋反応が進行してヤニが化学的に
変質し、水や洗剤では膨潤、溶解し難くなることが考え
られる。反射板の汚れを防ぐ手段としては、透明なプラ
スチックシートを保護シートとして反射板に貼り合わ
せ、該シートが汚れれば交換するという方法も考えられ
るが、反射板を有効に活用しようとすると保護シートを
頻繁に交換するしかないという無駄が生じ、省資源的に
も好ましいものではない。
【0005】汚染物質の除去方法として、光触媒を用い
た汚染物質の除去方法が知られている。例えば、Cun
dallらは、J.Oil.Chem.Assoc.1
978,61,351において、酸化チタンに紫外光を
照射した場合、水とアルコールの混合系でアルコールが
分解されることを報告している。さらに特開昭61−1
35669号公報においては、酸化亜鉛などの光触媒に
紫外光を照射すると、悪臭物質である硫黄化合物が分解
することが報告されている。これら光触媒による分解反
応においては、反応の進行に伴って光触媒が消費される
ことはなく、光が曝露されている限りその分解能力は半
永久的である。光触媒反応は界面反応であり、光触媒と
分解対象物との接触機会が多いほど効率的に進行する。
従って、光触媒の形状としては、比表面積を大きくとれ
る粉体であることが好ましいが、光触媒を粉体のまま使
用することは難しく、取り扱いには何らかの工夫が必要
となる。
【0006】光触媒粉体の固定方法としては、特開昭6
3−127760号公報において、電灯へ直接焼き付け
る方法が考案され、特開平3−233100号公報にお
いては、ガラス管の外周壁面に接着剤を塗布し、その上
にサブミクロンオーダーに粉砕した酸化チタン、活性
炭、酸化第二鉄の混合粉体をまぶすように付着させて構
成した自動車道トンネルの有害ガスを除去する設備が考
案されてる。しかしながら、このような光触媒の固定方
法では、光触媒の露出表面が減少してしまい、分解対象
物との接触が阻害され、十分な特性を発揮することがで
きないという問題があった。加えて、ガラスなどの支持
体では、支持体自体の重量が重くて取り扱い難く、かつ
破損し易く危険であるという問題もあって、分解特性、
ハンドリング、安全性の点において、反射板として使用
するには問題があった。
【0007】光触媒の機能を阻害しない有効な固定方法
があれば、反射板に光触媒を直接固定することも考えら
れる。しかしながら、蛍光灯などの反射板の防汚を考え
た場合、反射板としての機能が第一であり、防汚、すな
わち汚れにくいということは付帯する条件に過ぎず、何
らかの障害、例えば分解できない物質の付着、分解した
酸化生成物(硝酸、硫酸など)の蓄積などによって分解
能が低下、防汚効果が減じた場合に、製品寿命のきてい
ない反射板までをも取り替えるというのではあまりに非
経済的である。
【0008】本発明者らは、かかる問題点を解決するべ
く、貼り替え可能な光反射シートとして、特願平8−3
28981号において、透気性のない可撓性の支持体上
に少なくとも酸化チタンを含有する白色コーティング層
を有し、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着
剤層を設けた貼り替え型光反射シートを、特願平9−8
136号において、透気性のない可撓性の支持体上に少
なくとも酸化チタンおよび無機吸着剤を含有する白色吸
着分解層を有し、該支持体の反対面に剥離可能に接着で
きる粘着剤層を設けた貼り替え型吸着分解性光反射シー
トを提案している。これらの光反射シートは、酸化チタ
ンの光触媒能、さらには無機吸着剤の吸着能によって、
タバコのヤニなどの汚染物質、悪臭や細菌などの有害物
質を効果的に分解除去、あるいは吸着分解除去可能なも
のである。
【0009】該光反射シートにおいては、酸化チタンお
よび無機吸着剤を支持体上に固定するための結着剤とし
て、サポナイト、ヘクトライト、モンモリロナイトなど
のスメクタイト群、バーミキュライト群、カオリナイ
ト、ハロサイトなどのカオリナイト−蛇紋石群、セピオ
ライトなどの天然粘土鉱物の他、コロイダルシリカ、コ
ロイダルアルミナおよびこれらの変性物、合成無機高分
子化合物などの無機バインダーが用いられている。しか
しながら、該無機バインダーによる皮膜には耐水性がな
く、浴室や梅雨時の室内などの高湿度環境下での使用に
おいて、皮膜強度の耐久性の点で幾分不安視されるもの
であった。仮に該皮膜に耐水性を付与しようとしても、
皮膜形成後の焼結などの後処理が必要となり、可撓性の
支持体として一般に用いられる合成樹脂フィルムが使用
できないなど、支持体の素材選択の範囲が限定されてし
まうという問題がある。
【0010】特開平3−75062号公報においては、
酸化チタンなどの光反応性半導体をラテックスを用いて
シートに担持させた光反応性半導体担持シートが開示さ
れている。ラテックスは高い皮膜形成能および耐水性を
有し、かつ水分散性にも優れるので取り扱いが容易であ
るなどの利点があるが、ラテックスを結着剤として酸化
チタンを固定した場合、酸化チタンの光触媒活性によっ
てラテックスが分解されてしまい、耐久性の点で問題が
あるばかりでなく、ラテックスが酸化チタンの表面を被
覆してしまい、酸化チタンによる光防汚、脱臭、抗菌作
用が阻害されるという問題もあった。
【0011】また、特開平6−315614号公報にお
いては、耐久性に優れるポリテトラフルオロエチレンな
どのフッ素樹脂粒子と酸化チタンとを混合・圧延処理し
て得られるシート材やパネル材、あるいはシート上に接
着剤を塗布した後、酸化チタンの粉末を振りかけて担持
させたシート材やパネル材が開示されている。しかしな
がら、前者のシート材やパネル材においては、高価なフ
ッ素樹脂の使用は経済的なデメリットが大きい、酸化チ
タンのシート表面への露出が不十分なものとなり、その
光触媒能を十分に発揮し難いなどの問題点がある。一
方、後者のシート材やパネル材においても、シート表面
に酸化チタンを強固に固定することが困難である、酸化
チタンの光触媒活性により接着剤の劣化が懸念されるな
ど耐久性の点で不安視されるものがある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
欠点を克服した効率的な防汚・脱臭・抗菌作用を有し、
かつ貼り替え可能な耐水性光反射シート、およびそれを
用いた照明装置、ブラインドを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく検討した結果、以下の発明に至った。
【0014】透気性のない可撓性の支持体上に酸化チタ
ンおよびコロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジ
ョンを含有する活性層を設け、該支持体の反対面に剥離
可能に接着できる粘着剤層を設けたことを特徴とする防
汚効果を有する貼り替え型耐水性光反射シート。
【0015】透気性のない可撓性の支持体上にバリヤー
層、酸化チタンおよびコロイダルシリカ複合熱可塑性高
分子エマルジョンを含有する活性層を順次設け、該支持
体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けたこ
とを特徴とする防汚効果を有する貼り替え型耐水性光反
射シート。
【0016】透気性のない可撓性の支持体上に紫外線吸
収剤を含有する保護層、酸化チタンおよびコロイダルシ
リカ複合熱可塑性高分子エマルジョンを含有する活性層
を順次設け、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる
粘着剤層を設けたことを特徴とする防汚効果を有する貼
り替え型耐水性光反射シート。
【0017】透気性のない可撓性の支持体上に少なくと
も酸化チタンおよびコロイダルシリカ複合熱可塑性高分
子エマルジョンを含有する活性層を有し、該支持体の反
対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けた防汚効果
を有する貼り替え型耐水性光反射シートにおいて、該活
性層上に通気性のトップコート層を設けたことを特徴と
する防汚効果を有する貼り替え型耐水性光反射シート。
【0018】透気性のない可撓性の支持体上に少なくと
も酸化チタン、無機吸着剤並びにコロイダルシリカ複合
熱可塑性高分子エマルジョンを含有する活性層を有し、
該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設
けた防汚脱臭効果を有する貼り替え型耐水性光反射シー
ト。
【0019】透気性のない可撓性の支持体上に少なくと
も酸化チタンおよびコロイダルシリカ複合熱可塑性高分
子エマルジョンを含有する活性層を有し、該支持体の反
対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けた防汚効果
を有する貼り替え型耐水性光反射シートが、反射率50
以上であることを特徴とする防汚効果を有する貼り替え
型耐水性光反射シート。
【0020】透気性のない可撓性の支持体上に少なくと
も酸化チタンおよびコロイダルシリカ複合熱可塑性高分
子エマルジョンを含有する活性層を有し、該支持体の反
対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けた防汚効果
を有する貼り替え型耐水性光反射シートを光源周囲に装
備した照明装置。
【0021】透気性のない可撓性の支持体上に少なくと
も酸化チタンおよびコロイダルシリカ複合熱可塑性高分
子エマルジョンを含有する活性層を有し、該支持体の反
対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けた防汚効果
を有する貼り替え型耐水性光反射シートを装備したブラ
インド。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に本発明の耐水性光反射シー
トに係わる構成要素を詳細に説明する。第一の本発明に
係わる耐水性光反射シートは、少なくとも酸化チタンお
よびコロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン
を含有する活性層、透気性のない可撓性の支持体並びに
剥離可能に接着できる粘着剤層から構成される。
【0023】まず、活性層について、以下に具体的に説
明する。本発明の活性層は、少なくとも酸化チタンおよ
びコロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョンを
含有してなり、汚染物質、悪臭、細菌などの有害物質を
分解除去することのできる耐水性を有する活性層であ
る。活性層の必須成分である酸化チタンおよびコロイダ
ルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョンの具体的な説
明を通じて活性層を説明する。
【0024】本発明に係わる酸化チタンとしては、従来
汎用の酸化チタンの他、含水酸化チタン、水和酸化チタ
ン、メタチタン酸、オルソチタン酸、水酸化チタンと呼
称されているチタン酸化物または水酸化物を全て包含す
る。酸化チタンの製造方法としては、硫酸チタニル、塩
化チタン、有機チタン化合物などを必要に応じて核形成
用種子の共存下で加水分解する方法(加水分解法)、必
要に応じて核形成用種子を共存させながら、硫酸チタニ
ル、塩化チタン、有機チタン化合物などにアルカリ剤を
添加して中和する方法(中和法)、塩化チタン、有機チ
タン化合物などを気相酸化する方法(気相酸化法)、加
水分解および中和法で得られた酸化チタンを焼成する方
法(焼成法)などが挙げられる。何れの製法によって得
られた酸化チタンでも用いることができるが、本発明に
係わる酸化チタンは、その表面に水酸基を多く有するも
のであることが好ましい。
【0025】本発明に係わる酸化チタンは、光を照射す
るとその表面にフリーラジカルを生成する。タバコのヤ
ニなどの汚染性の物質が酸化チタン表面に吸着している
際に光を照射すると、生成したフリーラジカルが汚染物
質を攻撃し、一般的には酸化分解する。このプロセスは
「酸化チタン」(清野学著、技報堂出版)に記載されて
いる通り、酸化チタンの表面水酸基がフリーラジカルの
生成点となっている。このため、酸化チタンに要求され
る性能としては光の吸収、電荷分離の他に、表面水酸基
のフリーラジカルの生成、再生などの各種性能が求めら
れる。これらのプロセスを十分に発揮させるのには、酸
化チタンの比表面積を大きくし、フリーラジカルの生成
点である表面水酸基を増加させることが効果的である。
また、酸化チタンの比表面積を大きくすると、汚染物質
との接触面積が増大し、該汚染物質を分解、除去する効
率が向上する点でも好ましい。本発明の耐水性光反射シ
ートに用いられる酸化チタンの比表面積は、50m2/g
以上であることが好ましく、さらに好ましくは100m
2/g以上である。また、このような比表面積を持つ酸化
チタンの粒径は30nm以下が好ましく、さらに好まし
くは10nm以下である。粒子の状態は一次粒子の状態
でもよいし、凝集した粒子状態となっていても汚染物質
の除去性能には影響はない。
【0026】酸化チタンのような光触媒作用を有する半
導体としては、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化セ
リウムなどの金属酸化物を挙げることもできるが、光反
射シートに必要な白色度、構造安定性や光触媒能力、さ
らには取扱い上の安全性などから、本発明において使用
するには酸化チタンが最も適している。
【0027】次に、コロイダルシリカ複合熱可塑性高分
子エマルジョンについて、以下に具体的に説明する。
【0028】本発明に係わるコロイダルシリカ複合熱可
塑性高分子エマルジョンは、酸化チタンを後述の可撓性
の支持体上に固定するための結着剤として使用されるも
のであって、熱可塑性高分子エマルジョン表面をコロイ
ダルシリカが被覆している形状を有し、皮膜を形成した
後も高分子成分とコロイダルシリカ成分が分離して海島
構造を保つ特性を有するものである。
【0029】ここで云う熱可塑性高分子エマルジョンと
は、主に水中で分散された熱可塑性高分子のことであっ
て、高分子成分としては、アクリル樹脂、スチレン−ア
クリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、
ポリプロピレン、ポリエステル、フェノキシ樹脂、フェ
ノール樹脂、ブチラール樹脂などが挙げられる。
【0030】また、ここで云うコロイダルシリカとは、
コロイドケイ酸とも呼ばれ、一般には水化物として水中
に懸濁している二酸化ケイ素のことであるが、非水懸濁
液や微粉状のものもある。製造方法としては、四ハロゲ
ン化ケイ素を水中に加えるか、あるいはケイ酸アルカリ
の水溶液を徐々に中和しながらアルカリイオンなどのイ
オンを除去して得られる。
【0031】コロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマ
ルジョンは、特開昭59−71316号公報や、特開昭
60−127371号公報に開示されているように、共
重合性単量体、分子内に重合性不飽和二重結合およびア
ルコキシシラン基を有する単量体やビニルシラン、コロ
イダルシリカを混合し、高分子成分を乳化重合して製造
する過程において、シリカ成分をエマルジョン表面に固
定する方法によって得られる。その他の方法としては、
例えばInternational Symposiu
m on Polymeric Microspher
es Prints,1991,181に記載されてい
るように、オルソケイ酸エチルなどの水に相溶しない加
水分解性のアルコキシシランを用いて、あらかじめ形成
されているエマルジョンの表面にシリカ成分を析出、固
定させる方法が挙げられる。
【0032】酸化チタンとコロイダルシリカ複合熱可塑
性高分子エマルジョンとを混合して支持体上に塗工した
場合、酸化チタンの集合部と高分子成分との間にコロイ
ダルシリカ層が形成され、高分子成分と酸化チタンとの
接触部分が減少するために、高分子成分の被覆による酸
化チタンの光触媒能の低下や、酸化チタンの光触媒能に
よる酸化分解に起因した高分子成分の劣化を抑制するこ
とができる。
【0033】従って、コロイダルシリカ複合熱可塑性高
分子エマルジョンは、サポナイト、ヘクトライト、モン
モリロナイトなどのスメクタイト群、バーミキュライト
群、カオリナイト、ハロサイトなどのカオリナイト−蛇
紋石群、セピオライトなどの天然粘土鉱物の他、コロイ
ダルシリカ、コロイダルアルミナおよびこれらの変性
物、合成無機高分子化合物などに代表される無機バイン
ダーに匹敵する耐光性を有する結着剤として有効に活用
することができる。
【0034】無機バインダーは大きな比表面積および高
度の水和力を有し、水中で著しく膨潤・分散して容易に
安定な水系コロイドを形成する性質があるため、結着剤
として無機バインダーを使用した場合、形成された皮膜
の耐光性には極めて優れるが耐水性には劣るという問題
があり、浴室や台所などの水廻りでの使用、梅雨時の室
内などの高湿度環境下での使用に幾分不安視されるもの
があった。しかしながら、無機バインダーからなる皮膜
と比較した場合、コロイダルシリカ複合熱可塑性高分子
エマルジョンからなる皮膜の吸湿性あるいは吸水性はず
っと小さく、実用上十分な耐水性を得ることができる。
【0035】また、コロイダルシリカ複合熱可塑性高分
子エマルジョンからなる皮膜は多孔質であり、酸化チタ
ンや後述する無機吸着剤の表面を過度に被覆しないばか
りでなく、有害物質の透過性を損なうこともない。従っ
て、酸化チタンの光触媒能や無機吸着剤の吸着能を十分
に発揮することができるため、有害物質を効率良く除去
することが可能である。
【0036】加えて、コロイダルシリカ複合熱可塑性高
分子エマルジョンからなる皮膜は柔軟性に富み、後述す
る可撓性のある支持体上に塗工した場合においても、該
支持体の様々な変形(曲がりなど)に対して該皮膜が極
めて柔軟に動くため、本発明の耐水性光反射シートは優
れた折り適性を有する。
【0037】更に驚いたことには、コロイダルシリカ複
合熱可塑性高分子エマルジョンからなる皮膜は独特の光
沢感を有し、無機バインダーからなる皮膜と比較した場
合、光反射シートとして一層有効に活用することができ
るという当初期待していなかった予想外の効果があるこ
とも判った。
【0038】本発明の耐水性光反射シートにおける酸化
チタンの含有量は、活性層の総重量の0.5〜80重量
%であることが好ましく、更に好ましくは2〜70重量
%である。0.5重量%未満では、酸化チタンの含有量
に不足し、有害物質の分解効果に劣るものとなるので好
ましくない。一方、80重量%を越えて多いと、コロイ
ダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョンの含有量に
不足し、皮膜強度に劣るものとなり、酸化チタンを活性
層中に強固に保持することができず、粉落ちなどのトラ
ブルの原因となる。なお、活性層内において、その厚み
方向に酸化チタン濃度に勾配を持たせる、例えば表面の
酸化チタン濃度が高くなるように活性層を作製すると、
活性層に含有される酸化チタンの絶対量は少なくても相
応の効果を期待できる。
【0039】本発明に係わる酸化チタンを含有する活性
層を支持体上に設けるに当たって、支持体表面が水濡れ
性に劣るようであれば、活性層の塗液調製時に適当な界
面活性剤や有機溶媒を使用したり、活性層の塗工に先立
って、支持体表面をコロナ処理、グロー放電処理、フレ
ーム処理、プラズマ処理、電子線照射処理、遠紫外線照
射処理、オゾン処理、界面活性剤等で物理的化学的処理
し、支持体表面の水濡れ性を向上させておくことが好ま
しい。
【0040】本発明の耐水性光反射シートは、酸化チタ
ンをコロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン
を用いて可撓性のある支持体上に設けたものであり、該
支持体としては好ましくはポリエチレン、ポリプロピレ
ン、TPXなどのポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル、スチレン酢酸ビ
ニル共重合体樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルエーテ
ル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリビニルアル
コール系樹脂、ジエン系樹脂、ポリウレタン系樹脂など
の合成樹脂材料を用いることができる。これらの合成樹
脂材料は単体のまま使用しても良いし、ブレンドして使
用しても良く、また顔料を練り込んで、例えば白色プラ
スチックシートのようにして用いることも可能である。
【0041】しかしながら、本発明において特に留意し
なければならないのは、本発明の耐水性光反射シートで
は裏面に粘着剤層を設けるために、活性層側の光反応生
成物(反応活性種)が裏面に移動することがあってはな
らないということである。このことは、粘着剤が剥離可
能に接着するタイプであれ、剥離不能に接着するタイプ
であれ、光触媒による粘着剤層の劣化を防止するために
必要な要因である。当然のことながら上記の合成樹脂を
素材とした可撓性の支持体は、多かれ少なかれアモルフ
ァス領域を有する高分子物質であり、活性種は多くの場
合気体に近い形状であることから高分子内に溶解/拡散
/移動が可能であり、非常に長時間(例えば10年など
の)を経過した後では粘着剤層が活性種の影響を受ける
ことは有り得るが、少なくとも本発明の耐水性光反射シ
ートの支持体となる物質の形状としては、積極的に通気
性を有する形状、すなわち合成樹脂繊維、天然繊維、レ
ーヨン繊維およびアセテート繊維などの再生および半合
成繊維、活性炭繊維、ガラス繊維およびアルミナ繊維な
どの無機繊維、ステンレス繊維などの金属繊維などから
なる不織布や、あるいは多孔性などの処理がなされたも
のなどであってはならない。
【0042】酸化チタンおよびコロイダルシリカ複合熱
可塑性高分子エマルジョンを含有する活性層の厚みは、
光効率、白色度、塗膜強度、可撓性、酸化チタン、コロ
イダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン並びに他
の含有粒子の粒径などから決まるものであって特に制限
はないが、十分な量の酸化チタンを含有させ、経済的に
も不利とならないという条件の下で1〜100μmの範
囲にあることが好ましい。活性層の厚みがこの範囲より
も薄いと、酸化チタンの含有量が不十分なものとなり、
有害物質の除去能に劣るものとなったり、あるいは塗膜
強度が小さく、実用に耐え得るものとならない場合があ
る。一方、この範囲より厚くても、活性層の下部まで光
が届かずに無駄であったり、耐水性光反射シートとして
必要な可撓性を失って取り扱い難くなったりする場合が
ある。
【0043】本発明の可撓性の支持体上に酸化チタンお
よびコロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン
を含有する活性層を塗工するに当たって、各種ブレード
コーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バ
ーコーター、ロッドブレードコーター、ショートドウェ
ルコーター、コンマコーター、ダイコーター、リバース
ロールコーター、キスコーター、ディップコーター、カ
ーテンコーター、エクストルージョンコーター、グラビ
アコーター、マイクログラビアコーター、サイズプレス
などの各種塗工装置を用いることができる。また、塗工
後には、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパー
カレンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダーを用い
て平坦化、つや出し仕上げを行なったり、エンボス装置
を用いて型付けを行なっても良い。
【0044】本発明において、可撓性の支持体の酸化チ
タンおよびコロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマル
ジョンを含有する活性層の塗設面と反対側の面には、剥
離可能に接着できる(再剥離可能な)粘着剤層を設ける
ことを特徴とする。再剥離可能な粘着剤として有効に機
能するためには、支持体と粘着剤との接着性(投錨性)
が強い一方で、粘着剤の凝集力が強く、かつ被接着体と
粘着剤との接着性が弱いという特性が要求される。これ
らの要求特性の内、投錨性を向上させるためには粘着剤
ポリマーの分子量が低いことが好ましく、他2者を満足
させるためには逆に粘着剤ポリマーの分子量が高いこと
が好ましいというジレンマがあり、これをクリアする手
段としては、例えば2液系の再剥離型粘着剤がある。こ
れは主剤となる低分子量の粘着剤ポリマーで支持体との
投錨性を確保した後、適当な架橋剤でポリマーを架橋、
高分子量化させることで粘着剤と被接着体との接着力を
調整するものであり、主剤としてはアクリル共重合樹脂
など、架橋剤としてはエポキシ樹脂などが用いられるの
が一般的である。あるいは、微球体粘着剤による物理的
ソケット効果によって被接着体との接着力を調整した
り、被接着体と粘着剤の表面極性に起因する両者間の電
気的結合を緩和するような官能基を粘着剤に共重合する
ことによって接着力を調整したりする方法もある。
【0045】第二の本発明に係わる耐水性光反射シート
は、少なくとも酸化チタンおよびコロイダルシリカ複合
熱可塑性高分子エマルジョンを含有する活性層、透気性
のない可撓性の支持体、バリヤー層並びに剥離可能に接
着できる粘着剤層から構成される。本発明においては、
活性層側の光反応生成物(反応活性種)が支持体に達
し、該活性層側と反対側の支持体面に設けられた粘着剤
層の劣化を引き起こすことを防止する目的で、先述の通
り透気性のない支持体を用いることを特徴としている
が、支持体と活性層との間に酸化チタンを含有しないバ
リヤー層を設けることによって、粘着剤層の劣化を一層
抑制することができるばかりでなく、支持体そのものの
劣化をも抑制することができる。
【0046】本発明に係わるバリヤー層を構成する成分
としては、サポナイト、ヘクトライト、モンモリロナイ
トなどのスメクタイト群、バーミキュライト群、カオリ
ナイト、ハロサイトなどのカオリナイト−蛇紋石群、セ
ピオライトなどの天然粘土鉱物の他、コロイダルシリ
カ、コロイダルアルミナおよびこれらの変性物、合成無
機高分子化合物などに代表される無機バインダーや、先
述のコロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン
を用いることができる。この際、無機バインダーおよび
コロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョンは、
各々単独で使用しても構わないし、必要に応じて両者を
適宜組み合わせて使用しても構わない。
【0047】本発明で云う上記変性物における変性と
は、天然鉱物中より不純物や特定の原子団を除去した
り、天然鉱物構成元素中の特定の元素を適当な方法で処
理して他の元素と交換したり、別の化合物(特に有機化
合物)と共に化学処理して特に鉱物表面の物性を改変す
ることにより、元来の天然鉱物固有の特性を伸張した
り、あるいは新たなる特性を付与することであり、本発
明で云う変性物の具体例としては、Ca−モンモリロナ
イトを水の存在下で炭酸ナトリウムなどと処理してイオ
ン交換を行なったNa−モンモリロナイトや、カチオン
界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤と処理し
たものなどが挙げられる。
【0048】また、本発明で云う合成無機高分子化合物
とは、天然鉱物と同等の組成を得るべく、あるいは新た
な特性を付与するべく同等組成の特定の元素を他の元素
で置換したもので、2種類以上の化合物を反応させて得
られるものであって、天然雲母族の構造中の水酸基をフ
ッ素で置換したフッ素雲母や、合成スメクタイトなどが
挙げられる。フッ素雲母の代表例としては、フッ素金雲
母[KMg3(AlSi310)F2]、フッ素四ケイ素雲
母[KMg2.5(Si410)F2]、テニオライト[KM
2Li(Si410)F2]などが挙げられる。
【0049】バリヤー層の厚みには特に制限はないが、
好ましくは1〜100μmの範囲内であって、支持体の
可撓性を阻害しない範囲で設けられる。
【0050】第三の本発明に係わる耐水性光反射シート
は、少なくとも酸化チタンおよびコロイダルシリカ複合
熱可塑性高分子エマルジョンを含有する活性層、透気性
のない可撓性の支持体、紫外線吸収剤を含有する保護層
並びに剥離可能に接着できる粘着剤層から構成される。
本発明においては、光反応生成物(反応活性種)の支持
体内への溶解/拡散/移動による支持体の劣化を防止す
るだけでなく、支持体と活性層との間に紫外線吸収剤を
含有する保護層を設けることにより蛍光灯などの光源か
ら発生する紫外線および紫外線により引き起こされる化
学反応による支持体の劣化を防止している。該保護層を
構成する成分は、先述の無機バインダーやコロイダルシ
リカ複合熱可塑性高分子エマルジョンを主成分とし、紫
外線吸収剤として以下に示す物質を適当な濃度で混合し
て用いることができる。
【0051】本発明で用いる紫外線吸収剤とは、300
〜400μmの紫外線を吸収し、吸収したエネルギーを
熱エネルギーとして再輻射する素材であり、一般に紫外
線吸収剤として用いられるものであれば如何なるもので
もよく、具体的には例えば以下のものが挙げられるが、
これらに限定されるものではない。
【0052】サリチル酸系紫外線吸収剤として、フェニ
ルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシ
レート、p−オクチルフェニルサリシレートなど。
【0053】ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデ
シルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−
4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ
−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス
(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェ
ニル)メタンなど。
【0054】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とし
て、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−
tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロ
キシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒ
ドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒ
ドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”
−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフ
ェニル]ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス
[4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)−6
−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノー
ル]など。
【0055】シアノアクリレート系紫外線吸収剤とし
て、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフ
ェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−
ジフェニルアクリレートなど。
【0056】これらは、単独で用いることもできるし、
2種以上併用することもできる。
【0057】該紫外線吸収剤を含有する保護層は、酸化
チタンおよびコロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマ
ルジョンを含有する活性層の塗設前に支持体に塗設して
も構わないし、あるいは多層塗布コーターを用いて活性
層と同時に支持体に塗設しても構わない。
【0058】上記の如く本発明において、活性層側の光
反応生成物(反応活性種)が支持体に移動することに起
因した支持体や粘着剤層の劣化を防止する目的で、支持
体と活性層の間にバリヤー層や保護層を設けることが可
能であるが、単体の金属(アルミニウム、銀など)を蒸
着やイオンプレーティングで設けたり、あるいは金属箔
を活性層の下に貼合せることは、支持体の劣化や剥離可
能な粘着剤層の劣化を防止する上では効果があるが、酸
化チタンおよびコロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エ
マルジョンからなる活性層との接着性が低下、長期間の
光の曝露で活性層が剥離、脱落する場合があるため、該
金属層は設けない方が好ましい。
【0059】第四の本発明に係わる耐水性光反射シート
は、少なくとも酸化チタンおよびコロイダルシリカ複合
熱可塑性高分子エマルジョンを含有する活性層、通気性
のトップコート層、透気性のない可撓性の支持体、並び
に剥離可能に接着できる粘着剤層から構成される。
【0060】本発明の耐水性光反射シートの表面に存在
する通気性のトップコート層は、本発明の耐水性光反射
シートの防汚効果をほとんど阻害することなく、活性層
の耐擦性を向上させ、光反射シートとしての実用性を高
めるばかりでなく、光反射シートとしての寿命をも向上
させている。通気性のトップコート層を形成する材料と
しては、先述のコロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エ
マルジョンが好ましいが、トップコート層の耐水性を阻
害しない範囲内で先述の無機バインダーを適宜混合して
使用することも可能である。トップコート層の厚みにつ
いては、必要以上に厚いと活性層による防汚効果を阻害
するため、耐擦性を満足できる範囲内でより薄いことが
望ましく、好ましくは5μm以下である。
【0061】第五の本発明に係わる耐水性光反射シート
は、少なくとも酸化チタン、無機吸着剤、並びにコロイ
ダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョンを含有する
活性層、透気性のない可撓性の支持体、並びに剥離可能
に接着できる粘着剤層から構成される。
【0062】本発明に係わる無機吸着剤としては、活性
白土、天然および合成ゼオライト、セピオライト、酸化
亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、シリカ、
シリカ−酸化亜鉛複合物、シリカ−アルミナ−酸化亜鉛
複合物、複合フィロケイ酸塩などが挙げられる。これら
は単独で使用しても構わないし、目的に応じて複数混合
して使用しても構わない。なお、光反射シートとして用
いる場合、反射率が重要な因子となるため、白色の無機
吸着剤が好適であるが、該因子を阻害しない範囲内であ
れば、活性炭などの着色顔料を混合して使用しても何ら
差し支えない。これら無機吸着剤の形状は特に限定され
るものではないが、酸化チタンおよびコロイダルシリカ
複合熱可塑性高分子エマルジョンとの混合を考慮した場
合、粒子状のものが好ましく、比表面積が50〜200
0m2/gのものを適宜選択して用いることができる。
【0063】無機吸着剤を使用することによって、蛍光
灯などの光源消灯時、暗所、夜間などの紫外線量の少な
い状況下においてさえも、吸着剤による汚染物質、悪
臭、細菌などの有害物質を吸着除去できるばかりでな
く、光源の点灯時における酸化チタンによる光分解反応
を効率的なものとすることができる。これは恐らく、無
機吸着剤に吸着された有害物質が、酸化チタンによって
徐々に分解されるためであると考えられる。
【0064】本発明の耐水性光反射シートにおける酸化
チタンおよび無機吸着剤の含有量としては、活性層の総
重量の0.5〜80重量%が好ましく、さらに好ましく
は2〜70重量%であって、酸化チタン/無機吸着剤の
重量比は1:10〜10:1程度が適当である。0.5
重量%未満では、実質的に有害物質の除去効果が期待で
きず、80重量%を越えて多いと、酸化チタンおよび無
機吸着剤を活性層中に強固に保持することができなくな
り、粉落ちの原因となる。なお、活性層内において、そ
の厚み方向に酸化チタンおよび無機吸着剤の濃度に勾配
を持たせる、例えば表面の酸化チタンおよび無機吸着剤
の濃度が高くなるように活性層を作製すると、活性層に
含有される酸化チタンおよび無機吸着剤の絶対量は少な
くても相応の効果を期待できる。
【0065】本発明の耐水性光反射シートを装着した照
明装置やブラインドを用いると、活性層中の酸化チタン
の優れた光触媒能により、照明装置やブラインド自体が
汚染物質などで汚れ難いばかりでなく、照明装置やブラ
インド周辺の悪臭や細菌が分解され、優れた脱臭性およ
び抗菌性を有することが明らかとなった。
【0066】さらには、活性層中に無機吸着剤を含有せ
しめることによって、無機吸着剤の優れた吸着能によ
り、蛍光灯などの光源消灯時、暗所、夜間などの紫外線
量の少ない状況下においてさえも、吸着剤による汚染物
質、悪臭、細菌などの有害物質を吸着除去できるばかり
でなく、光源の点灯時における酸化チタンによる光分解
反応を一層効率的なものとすることができることが明ら
かとなった。
【0067】本発明の耐水性光反射シートを用いた照明
装置に用いられる照明用光源としては、蛍光灯、ハロゲ
ン球、HID、TLT、水銀灯、ブラックライト、捕虫
灯、カラー蛍光灯、白熱灯、殺菌灯など一般の照明装置
に用いられる光源を全て使用することができる。当然の
ことながら、本発明の防汚効果を有する耐水性光反射シ
ートを用いた照明装置においては、その防汚性能は光に
より発現する為、光源の消灯時においても耐水性光反射
シートを用いた照明装置が、太陽光や他の照明装置など
からの光に晒されている条件下であれば、光防汚を行な
うことが可能である。
【0068】太陽光を積極的に用いた使い方として、本
発明の耐水性光反射シートを窓部に装着されているブラ
インドに用いる方法が挙げられる。本発明の耐水性光反
射シートをブラインドに用いることにより、太陽光を防
汚や脱臭に用いることが可能であるばかりでなく、必要
に応じて太陽光の室内への侵入を制御することも可能で
ある。ブラインドの種類としては、縦型ブラインド、横
型ブラインド、ロール状ブラインドなど如何なる種類で
も用いることができ、被接着体としてのブラインドの素
材も合成樹脂板、塗装金属板など如何なる素材でも差し
支えない。
【0069】本発明の酸化チタン(および無機吸着剤)
およびコロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョ
ンを担持した耐水性光反射シートは、通常の反射板やブ
ラインドに貼り付けて使用できる他、通常の反射板やブ
ラインドに用いられている加工形態は全て使用すること
ができる。すなわち、耐水性光反射シートを反射板やブ
ラインドにそのまま貼り合せる方法、ひだ折り加工され
た状態で用いる方法、あるいは型押し状態で用いる方法
など如何なる加工方法を用いても差し支えない。また、
耐水性光反射シートに貫孔して用いることも差し支えな
い。
【0070】本発明の耐水性光反射シートは、透気性の
ない可撓性の支持体上に少なくとも酸化チタン(および
無機吸着剤)およびコロイダルシリカ複合熱可塑性高分
子エマルジョンを含有する活性層を有し、該支持体の反
対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けた耐水性光
反射シートであって、既存の照明器具の反射板やブライ
ンドに貼り合わせて用いることができる。特に該耐水性
光反射シートを用いた照明装置においては、その優れた
防汚効果によって光反射の効率が長期持続するばかりで
なく、照明装置として使用しつつ、タバコなどの臭気物
質や細菌などの有害物質を分解することも可能であり、
周囲環境を良好に保つこともできる。
【0071】本発明に用いられる耐水性光反射シートに
おいて、特に照明装置の反射板として用いる場合には、
その反射率は50以上であることが好ましい。ここで云
う反射率とは拡散反射率のことで、JIS Z 8722
に準じて測定した拡散反射率(%)の値である。反射率
が50未満の場合、光源からの光の反射性が低下し、反
射板としての機能が低下するばかりか、光の反射が少な
くなり効率的な光触媒防汚ができなくなるので好ましく
ない。
【0072】
【実施例】以下、実施例により更に本発明を詳細に説明
するが、本発明はその主旨を越えない限りこれらに限定
されるものではない。
【0073】予備操作1 実施例に用いる透気性のない可撓性の支持体として、軟
質透明ツヤ塩ビフィルム(80μm)に剥離可能なアク
リル系粘着剤を加工した支持体(大日本インキ化学工業
製、ソフタック軟質透明80AER)を用いた。支持体
の表面に活性層を設けるために、事前にコロナ処理を施
し、活性層の塗設時には裏面に剥離紙を接着させたまま
用いた。この支持体を支持体1とした。
【0074】予備操作2 実施例に用いる透気性のない可撓性の支持体として、軟
質白塩ビフィルム(80μm)に剥離可能なアクリル系
粘着剤を加工した支持体(大日本インキ化学工業製、ソ
フタック軟質白消80AER)を用いた。支持体の表面
に活性層を設けるために、事前にコロナ処理を施し、活
性層の塗設時には裏面に剥離紙を接着させたまま用い
た。この支持体を支持体2とした。
【0075】予備操作3 フェノキシ樹脂エマルジョン(東都化成製、KE−31
6、有効成分=48重量%)100重量部に水70重量
部を加え、撹拌しながら60℃に加熱し、エタノールで
希釈したオルソケイ酸エチル(有効成分=40重量%)
180重量部を徐々に滴下した。更に加熱を続けて系内
よりエタノールを除去し、実施例に用いるコロイダルシ
リカ複合熱可塑性高分子エマルジョン1を作製した。
【0076】予備操作4 75℃に加熱した共重合ポリエステル樹脂の乳化重合液
(東洋紡績製、バイロナール、有効成分=26重量%)
100重量部に、エタノールで希釈したオルソケイ酸エ
チル(有効成分=40重量%)120重量部を徐々に滴
下した。更に加熱を続けて系内よりエタノールを除去
し、実施例に用いるコロイダルシリカ複合熱可塑性高分
子エマルジョン2を作製した。
【0077】実施例1 光触媒として、酸化チタン(日本アエロジル製、P25
S6)を60重量%、コロイダルシリカ複合熱可塑性高
分子エマルジョン1を40重量%(有効成分)含有する
活性層を支持体1上に10μmの厚みになるように塗
布、乾燥した後、カレンダー処理を行ない、実施例1の
貼り替え型耐水性光反射シートを得た。
【0078】実施例2 光触媒として、酸化チタン(日本アエロジル製、P25
S6)を60重量%、コロイダルシリカ複合熱可塑性高
分子エマルジョン2を40重量%(有効成分)含有する
活性層を支持体2上に10μmの厚みになるように塗
布、乾燥した後、カレンダー処理を行ない、実施例2の
貼り替え型耐水性光反射シートを得た。
【0079】実施例3 支持体1の表面にバリヤー層として、合成スメクタイト
(クニミネ工業製、スメクトンSA)の塗工層を5μm
の厚みで設け、その上に実施例1記載の活性層を5μm
の厚みになるように塗布、乾燥した後、カレンダー処理
を行ない実施例3の貼り替え型耐水性光反射シートを得
た。
【0080】実施例4 支持体2の表面にバリヤー層として、コロイダルシリカ
複合熱可塑性高分子エマルジョン1の塗工層を5μmの
厚みで設け、その上に実施例2記載の活性層を5μmの
厚みになるように塗布、乾燥した後、カレンダー処理を
行ない実施例4の貼り替え型耐水性光反射シートを得
た。
【0081】実施例5 支持体1の表面に保護層として、2−ヒドロキシ−4−
オクトキシベンゾフェノンを5重量%含有する合成スメ
クタイト(クニミネ工業製、スメクトンSA)の塗工層
を5μmの厚みで設け、その上に実施例1記載の活性層
を5μmの厚みになるように塗布、乾燥した後、カレン
ダー処理を行ない実施例5の貼り替え型耐水性光反射シ
ートを得た。
【0082】実施例6 支持体2の表面に保護層として、2−ヒドロキシ−4−
オクトキシベンゾフェノンを5重量%含有するコロイダ
ルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン1の塗工層を
5μmの厚みで設け、その上に実施例2記載の活性層を
5μmの厚みになるように塗布、乾燥した後、カレンダ
ー処理を行ない実施例6の貼り替え型耐水性光反射シー
トを得た。
【0083】実施例7 実施例1記載の貼り替え型耐水性光反射シートの表面
に、コロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン
1からなる通気性のトップコート層を2μmの厚みで設
け、実施例7の貼り替え型耐水性光反射シートを得た。
【0084】実施例8 実施例1記載の貼り替え型耐水性光反射シートの表面
に、コロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン
2からなる通気性のトップコート層を2μmの厚みで設
け、実施例8の貼り替え型耐水性光反射シートを得た。
【0085】実施例9 光触媒として、酸化チタン(日本アエロジル製、P25
S6)を30重量%、無機吸着剤として、複合フィロケ
イ酸塩(水澤化学工業製、ミズカナイトAP)を30重
量%、コロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョ
ン1を40重量%(有効成分)含有する活性層を支持体
1上に10μmの厚みになるように塗布、乾燥した後、
カレンダー処理を行ない、実施例9の貼り替え型耐水性
光反射シートを得た。
【0086】実施例10 光触媒として、酸化チタン(日本アエロジル製、P25
S6)を30重量%、無機吸着剤として、合成ゼオライ
ト(東ソー製、ゼオラムF−9)を30重量%、コロイ
ダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン2を40重
量%(有効成分)含有する活性層を支持体2上に10μ
mの厚みになるように塗布、乾燥した後、カレンダー処
理を行ない、実施例10の貼り替え型耐水性光反射シー
トを得た。
【0087】以上の実施例により得られた貼り替え型耐
水性光反射シートは、いずれも反射率50%以上であ
り、かつ剥離紙を取り去ることにより粘着性を発揮で
き、光源の周辺や従来の反射板、ブラインドなどに接着
することが可能であった。また、必要に応じて貼り替え
型耐水性光反射シートを再び取り去ることも可能で、そ
の際に粘着剤が反射板上に残ることはなかった。
【0088】比較例1 コロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン1の
代わりに合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクト
ンSA)を使用した活性層とした点を除いて、実施例1
と同様の方法で比較例1の貼り替え型光反射シートを得
た。
【0089】比較例2 コロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン2の
代わりに合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクト
ンSA)を使用した活性層とした点を除いて、実施例2
と同様の方法で比較例2の貼り替え型光反射シートを得
た。
【0090】比較例3 コロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン1の
代わりに合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクト
ンSA)を使用した活性層とした点を除いて、実施例3
と同様の方法で比較例3の貼り替え型光反射シートを得
た。
【0091】比較例4 コロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン2の
代わりに合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクト
ンSA)を使用した活性層とした点を除いて、実施例4
と同様の方法で比較例4の貼り替え型光反射シートを得
た。
【0092】比較例5 コロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン1の
代わりに合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクト
ンSA)を使用した活性層とした点を除いて、実施例5
と同様の方法で比較例5の貼り替え型光反射シートを得
た。
【0093】比較例6 コロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン2の
代わりに合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクト
ンSA)を使用した活性層とした点を除いて、実施例6
と同様の方法で比較例6の貼り替え型光反射シートを得
た。
【0094】比較例7 コロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン1の
代わりに合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクト
ンSA)を使用した活性層とした点を除いて、実施例9
と同様の方法で比較例7の貼り替え型光反射シートを得
た。
【0095】比較例8 コロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン2の
代わりに合成スメクタイト(クニミネ工業製、スメクト
ンSA)を使用した活性層とした点を除いて、実施例1
0と同様の方法で比較例8の貼り替え型光反射シートを
得た。
【0096】比較例9 コロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマルジョン1の
代わりにアクリル樹脂エマルジョン(カネボウNSC
製、2V−5011、有効成分=50重量%)を使用し
た活性層とした点を除いて、実施例1と同様の方法で比
較例9の貼り替え型耐水性光反射シートを得た。
【0097】比較例10 透気性のない可撓性の支持体として、ポリエステルフィ
ルム(テイジン製、厚み50μm)を使用し、該支持体
上にアクリル系粘着剤(日本合成ゴム製、AE230)
を10μmの厚みで設け、剥離紙を貼り合わせて粘着剤
層を保護した。粘着剤層と反対側の面にコロナ処理を施
した後、該表面に光触媒として、酸化チタン(日本アエ
ロジル製、P25S6)を60重量%、コロイダルシリ
カ複合熱可塑性高分子エマルジョン1を40重量%(有
効成分)含有する活性層を10μmの厚みになるように
塗布、乾燥した後、カレンダー処理を行ない比較例10
の耐水性光反射シートを得た。
【0098】実施例および比較例の光反射シートを市販
の20Wの蛍光灯の反射板に貼り付けて試験用の照明装
置とした。
【0099】実施例および比較例の光反射シートを市販
の横型ブラインドに貼り付けて試験用のブラインドとし
た。
【0100】以上、実施例および比較例で得られた光反
射シート、照明装置、並びにブラインドは、以下の方法
で試験を行ない、その結果を表1および表2に示した。
【0101】[防汚性1]防汚性1の試験は以下のよう
に行なった。まず、防汚性1の試験に先立って実施例お
よび比較例の光反射シートの色差を色差計(ミノルタ
製、Lab型)で測定した。次に、0.1m3の密閉容器
中に、実施例および比較例の光反射シートを装着した照
明装置を各1個ずつ設置し、タバコ(マイルドセブン)
10本分の煙をポンプを用いて容器内に導入した。照明
装置を取り出し、タバコ煙導入直後の光反射シートの色
差を色差計で測定した後、容器内に照明装置を戻して蛍
光灯を50時間点灯、点灯後の光反射シートの色差を色
差計で測定した。各光反射シートの色差計の測定値の
内、黄色みを示すb値の変動で防汚性を判定した。すな
わち、防汚性1の試験前の光反射シートのb値をb0、
タバコ煙導入直後の光反射シートのb値をb1、蛍光灯
50時間点灯後の光反射シートのb値をb2とし、b0
〜b1までの汚染負荷を与えた場合、b2の時に汚染負
荷がどの程度除去されているのかを百分率で表示した。
該値が0%では汚染負荷が全く低減していない状態を、
100%では汚染負荷が完全に取り除かれている状態を
示す。但し、100%を越える値や、0%より小さな値
となる場合には、便宜上それぞれ100%、0%と表示
した。
【0102】[防汚性2]防汚性2の試験は以下のよう
に行なった。0.1m3の密閉容器中に実施例および比較
例の光反射シートを装着した照明装置を各1個ずつ設置
し、タバコ(マイルドセブン)10本分の煙をポンプを
用いて容器内に導入した。照明装置を取り出し、タバコ
煙導入直後の光反射シートの色差を色差計で測定した
後、容器内に照明装置を戻し、蛍光灯を点灯させずに5
0時間放置した後、再び光反射シートの色差を色差計で
測定した。防汚性の判定は防汚性1の判定と同じく各光
反射シートにおける色差計のb値の変動率で判定した。
【0103】[防汚性3][防汚性2]の試験後に蛍光
灯を50時間点灯し、再び光反射シートの色差を測定し
た。防汚性の判定は防汚性1の判定と同じく各光反射シ
ートにおける色差計のb値の変動率で判定した。
【0104】[防汚性4]防汚性4の試験は以下のよう
に行なった。0.1m3の密閉容器中に実施例および比較
例の光反射シートを装着したブラインドを各1個ずつ設
置し、タバコ(マイルドセブン)10本分の煙をポンプ
を用いて導入した。ブラインドを取り出し、タバコ煙導
入直後の光反射シートの色差を色差計で測定した後、容
器内にブラインドを戻し、防汚性1〜3で使用した蛍光
灯を50時間点灯、点灯後の光反射シートの色差を色差
計で測定した。防汚性の判定は防汚性1の判定と同じく
各光反射シートにおける色差計のb値の変動率で判定し
た。
【0105】[脱臭性1]脱臭性1の試験は以下のよう
に行なった。0.1m3の密閉容器中に、実施例および比
較例の光反射シートを装着した照明装置を各1個ずつ設
置し、タバコ臭の主成分の一つであるアセトアルデヒド
を初濃度10ppmで封入した後、蛍光灯を点灯した。
試験を開始してから20分後の容器内のアセトアルデヒ
ド濃度(C20)をガスクロマトグラフで測定し、C2
0<2ppmの場合を脱臭性が優、2ppm≦C20≦
5ppmの場合を脱臭性が良、5ppm<C20≦7p
pmの場合を脱臭性が並、C20>7ppmの場合を脱
臭性が劣で判定した。
【0106】[脱臭性2]脱臭性2の試験は以下のよう
に行なった。0.1m3の密閉容器中に、実施例および比
較例の光反射シートを装着した照明装置を各1個ずつ設
置し、タバコ臭の主成分の一つであるアセトアルデヒド
を初濃度10ppmで封入した後、蛍光灯を点灯させず
に20分間放置した後、容器内のアセトアルデヒド濃度
(C20)をガスクロマトグラフで測定した。脱臭性の
判定は脱臭性1の判定同様、C20の値で判定した。
【0107】[脱臭性3][脱臭性2]の試験後に蛍光
灯を20分間点灯し、容器内のアセトアルデヒド濃度
(C20)を測定した。脱臭性の判定は脱臭性1の判定
同様、C20の値で判定した。
【0108】[耐水性]実施例および比較例の光反射シ
ートの表面を水で十分に濡らした綿棒で擦って皮膜の耐
水性を観察した。50往復より少ない回数の擦りで皮膜
表面に傷が生じたり、皮膜が剥がれる場合を耐水性が
劣、50〜199往復の回数の擦りで皮膜表面に傷が生
じたり、皮膜が剥がれる場合を耐水性が並、200〜5
00往復の擦りでを皮膜表面に傷が生じたり、皮膜が剥
がれる場合を耐水性が良、それよりも多い回数で皮膜表
面に傷が生じたり、皮膜が剥がれる場合、あるいは皮膜
に該損傷が何ら見られない場合を耐水性が優として判定
した。
【0109】[折り適性]実施例および比較例の光反射
シートを同じ位置で10回繰り返して折り曲げ、折り曲
げ位置の皮膜を観察した。皮膜に亀裂、割れ、剥がれな
どの損傷が確認される場合を折り適性が劣、皮膜に該損
傷が見られない場合を折り適性が優として判定した。
【0110】[照明性]実施例および比較例の光反射シ
ートを装着した照明装置を点灯し、その照明効果を目視
により判定した。光源より50cmの距離で本が十分に
読めるほど明るい場合を照明性が優、やや暗いと感じる
場合を照明性が並、本が読み難いほど暗い場合を照明性
が劣で判定した。
【0111】[貼り替え性][防汚性3]で使用した照
明装置から光反射シートを剥がした。光反射シートが抵
抗無くきれいに剥がせ、基材に粘着剤の残らない場合を
貼り替え性が優、剥がす際に抵抗はあるが粘着剤が残ら
ない場合を貼り替え性が並、剥がれないか剥がした後に
粘着剤が残って基材を汚す場合を貼り替え性が劣で判定
した。貼り替えることを念頭において光反射シートを用
いた場合、貼り替え性が優あるいは並であれば貼り替え
可能であるが、劣では光反射シートが破損した場合など
に貼り替えることができない。
【0112】[耐久性]実施例および比較例の光反射シ
ートを2cm四方に断裁して1ピースとし、市販の20
Wの蛍光灯の反射板に100ピース貼り付けて耐久性試
験用の照明装置とし、1ヶ月毎に蛍光灯を取り替えなが
ら1年間の露光試験を行なった。露光前後の光反射シー
トを比較し、反射板と光反射シートとの接着性、光反射
シート表面(活性層他)の皮膜の状態を観察した。反射
板からの光反射シートの剥離が見られたピースの個数、
光反射シート表面の皮膜の剥がれが見られたピースの個
数の総和で耐久性を判定した。前記総和が0の場合を耐
久性が優、1〜2までを耐久性が良、3〜5を耐久性が
並、6〜10を耐久性が劣、11以上を耐久性が悪で判
定した。
【0113】[抗菌性]実施例および比較例の光反射シ
ートを装着した照明装置を温度36℃、湿度80%の環
境下に設置し、光反射シート上に緑膿菌(100万個レ
ベル)を培養した寒天培地を塗り込んだ。寒天培地が乾
かないように石英ガラス製のシャーレで覆い、蛍光灯を
点灯させて5時間後の寒天培地の緑膿菌の繁殖状態を観
察した。生存菌が10個以下(観測下限)の場合を抗菌
性が優、生存菌が10個よりも多く100個までを抗菌
性が良、生存菌が100個よりも多く1000個までを
抗菌性が並、生存菌が1000個よりも多く1万個まで
を抗菌性が劣、生存菌が1万個以上の場合を抗菌性が悪
で判定した。
【0114】
【表1】
【0115】
【表2】
【0116】
【発明の効果】以上の如く、本発明の耐水性光反射シー
トは、透気性のない可撓性の支持体上に少なくとも酸化
チタン(および無機吸着剤)およびコロイダルシリカ複
合熱可塑性高分子エマルジョンを含有する耐水性の活性
層を有し、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘
着剤層を設けた耐水性光反射シートであって、浴室や台
所などの水廻りでの使用や、梅雨時の室内などの高湿度
環境下での使用においても十分な耐久性を有するもので
あり、既存の照明器具の反射板やブラインドに貼り合わ
せて用いることができる。とりわけ該耐水性光反射シー
トを用いた照明装置は、酸化チタンの光触媒能(活性層
中に無機吸着剤を含有する場合には、無機吸着剤の吸着
能のダブル効果)によって優れた防汚脱臭効果を有する
ばかりでなく、光が照射されている限りその効果が長期
持続するために、タバコのヤニや料理の油などが付着す
る機会の多い蛍光灯などの反射板に好ましく用いられる
と共に、通常の照明装置として使用しつつ周囲環境を良
好に保つことも可能である。さらには、本発明の耐水性
光反射シートは構造的に貼り替えが可能で、反射板等の
被接着体を接着剤で汚したり、あるいは被接着体から剥
がれなくなったりすることがなく、通常の反射板のよう
に付着した汚れを無理に拭き取ったりする必要もなく取
り扱い易い。また、耐水性光反射シートは光源の上部で
用いられるため、光源の発熱による対流によって周囲環
境の効率的な光防汚、脱臭、抗菌が可能であり、その工
業的価値は非常に高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02B 5/08 B01J 35/02 J // B01J 35/02 G02B 1/10 Z

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透気性のない可撓性の支持体上に酸化チ
    タンおよびコロイダルシリカ複合熱可塑性高分子エマル
    ジョンを含有する活性層を設け、該支持体の反対面に剥
    離可能に接着できる粘着剤層を設けたことを特徴とする
    防汚効果を有する貼り替え型耐水性光反射シート。
  2. 【請求項2】 透気性のない可撓性の支持体上にバリヤ
    ー層、酸化チタンおよびコロイダルシリカ複合熱可塑性
    高分子エマルジョンを含有する活性層を順次設け、該支
    持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けた
    ことを特徴とする防汚効果を有する貼り替え型耐水性光
    反射シート。
  3. 【請求項3】 透気性のない可撓性の支持体上に紫外線
    吸収剤を含有する保護層、酸化チタンおよびコロイダル
    シリカ複合熱可塑性高分子エマルジョンを含有する活性
    層を順次設け、該支持体の反対面に剥離可能に接着でき
    る粘着剤層を設けたことを特徴とする防汚効果を有する
    貼り替え型耐水性光反射シート。
  4. 【請求項4】 透気性のない可撓性の支持体上に少なく
    とも酸化チタンおよびコロイダルシリカ複合熱可塑性高
    分子エマルジョンを含有する活性層を有し、該支持体の
    反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けた防汚効
    果を有する貼り替え型耐水性光反射シートにおいて、該
    活性層上に通気性のトップコート層を設けたことを特徴
    とする防汚効果を有する貼り替え型耐水性光反射シー
    ト。
  5. 【請求項5】 透気性のない可撓性の支持体上に少なく
    とも酸化チタン、無機吸着剤並びにコロイダルシリカ複
    合熱可塑性高分子エマルジョンを含有する活性層を有
    し、該支持体の反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層
    を設けた防汚脱臭効果を有する貼り替え型耐水性光反射
    シート。
  6. 【請求項6】 透気性のない可撓性の支持体上に少なく
    とも酸化チタンおよびコロイダルシリカ複合熱可塑性高
    分子エマルジョンを含有する活性層を有し、該支持体の
    反対面に剥離可能に接着できる粘着剤層を設けた防汚効
    果を有する貼り替え型耐水性光反射シートが、反射率5
    0以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    1項に記載の防汚効果を有する貼り替え型耐水性光反射
    シート。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6記載の防汚効果を有する貼
    り替え型耐水性光反射シートを光源周囲に装備した照明
    装置。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5記載の防汚効果を有する貼
    り替え型耐水性光反射シートを装備したブラインド。
JP9036678A 1997-02-20 1997-02-20 耐水性光反射シート Pending JPH10230559A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000290534A (ja) * 1999-04-12 2000-10-17 Tao:Kk 光触媒関連被膜用コーティング剤の造膜施工方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000290534A (ja) * 1999-04-12 2000-10-17 Tao:Kk 光触媒関連被膜用コーティング剤の造膜施工方法

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