JP3901307B2 - 給湯器およびその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通水の無い状態でバーナーを燃焼させて熱交換器内の湯を次回の出湯に備えて保温する機能を有するとともに熱交換器で加熱された後の湯と加熱前の給水とを混合して出湯し得る給湯器およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から使用されている給湯器には、その快適性をより向上させるため、出湯当初からほぼ設定温度の湯を出すべく、次回の出湯に備えて、通水の無い状態で熱交換器内の湯を所定温度範囲に保温する機能を備えたものがある。このような給湯器では、通常、熱交換器で加熱された湯と加熱前の給水とを混合して出湯し得るようになっており、その混合比を調整することによって出湯開始時における湯温を設定温度に合わせるようになっている。
【0003】
また、通常は熱交換器内の湯を、予め固定的に定めた1つの保温温度範囲に保温しており、その保温温度範囲を、出湯の設定温度が高い場合や給水温度が低い場合あるいは出湯される流量が多い場合であっても出湯開始後に設定温度よりも低い温度の湯が出ないよう高めに設定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術では、どのような条件下でも設定温度を下回る湯が出湯されないよう常に熱交換器内の湯を高い温度に保温するので、保温のために消費するガス量が多く、不経済であるという問題があった。
【0005】
また出湯を停止した際に給湯器の出湯口と水栓とを結ぶ水管内にある湯の温度は、出湯停止後の時間の経過に従って徐々に低下する。このため出湯を停止してから次回の出湯が行われるまでに長い時間が経過すると、熱交換器内の湯を高温に保温しても、水管内に停留する冷えた湯が開栓当初出てしまうので、保温の効果が十分に発揮されずガスを無駄に消費してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、次回の出湯に備えて熱交換器内の湯を保温するために消費されるガス量を少なく抑えることのできる給湯器およびその制御方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。[1]通水の無い状態でバーナー(12)を燃焼させて熱交換器(13)内の湯を次回の出湯に備えて保温する機能を有する給湯器(10)であって前記熱交換器(13)で加熱された後の湯と加熱前の給水とを混合して出湯し得るものにおいて、
前記熱交換器(13)内の湯を保温する際の保温温度を設定変更する保温温度設定手段(52)と、通水の無い状態で前記バーナー(12)の燃焼を制御して前記熱交換器(13)内の湯を前記保温温度に保温する保温制御手段(51)とを有し、
前記保温温度設定手段(52)は、前記熱交換器(13)に供給される給水の温度と出湯すべき湯温として操作者から指示された設定温度と次回の出湯当初に要求される湯の予測流量の3つの要因に基づいて前記保温温度を変更することを特徴とする給湯器(10)。
【0008】
[2]通水の無い状態でバーナー(12)を燃焼させて熱交換器(13)内の湯を次回の出湯に備えて保温する機能を有する給湯器(10)であって前記熱交換器(13)で加熱された後の湯と加熱前の給水とを混合して出湯し得るものにおいて、
前記熱交換器(13)内の湯を保温する際の保温温度を設定変更する保温温度設定手段(52)と、通水の無い状態で前記バーナー(12)の燃焼を制御して前記熱交換器(13)内の湯を前記保温温度に保温する保温制御手段(51)と、前記熱交換器(13)に供給される給水の温度を検知する給水温検知手段(27)と、出湯される湯の設定温度を操作者から受け付ける設定温度受付手段(61)と、出湯される湯の単位時間当たりの流量を検知する流量検知手段(26)と、前記流量検知手段(26)によって検知された流量を基にして次回の出湯当初に要求される湯の予測流量を求める流量予測手段(54)とを備え、
前記保温温度設定手段(52)は、前記給水温検知手段(27)の検知する給水温度と前記設定温度受付手段(61)を通じて受け付けた設定温度と前記流量予測手段(54)の求めた前記予測流量とに基づいて前記保温温度を変更することを特徴とする給湯器(10)。
【0009】
[3]前記保温温度設定手段(52)は、次回の開栓当初から前記設定温度の湯を前記予測流量で継続して出湯し得る範囲内で前記保温温度を低く設定することを特徴とする[1]または[2]記載の給湯器(10)。
【0010】
[4]前回の出湯が停止する直前における流量を次回の出湯当初に要求される前記予測流量として前記保温温度を設定することを特徴とする[1]、[2]または[3]記載の給湯器(10)。
【0011】
[5]熱交換器(13)で加熱された後の湯と加熱前の給水とを混合して出湯し得る給湯器(10)であって通水の無い状態でバーナー(12)を燃焼させて前記熱交換器(13)内の湯を次回の出湯に備えて保温する機能を有するものの保温動作を制御する給湯器制御方法において、
前記熱交換器(13)内の湯を保温する際の保温温度を、前記熱交換器(13)に供給される給水の温度と、次回の出湯当初に要求される湯の予測流量と、出湯すべき湯温として操作者から指示された設定温度とを基にして前記熱交換器(13)内の湯を次回の出湯に備えて保温する際の保温温度を変更することを特徴とする給湯器制御方法。
【0012】
[6]通水の無い状態でバーナー(12)を燃焼させて熱交換器(13)内の湯を次回の出湯に備えて保温する機能を有する給湯器(10)において、
前記熱交換器(13)内の湯を保温する際の保温温度を設定変更する保温温度設定手段(52)と、通水の無い状態で前記バーナー(12)の燃焼を制御して前記熱交換器(13)内の湯を前記保温温度に保温する保温制御手段(51)とを備え、
前記保温温度設定手段(52)は、出湯を停止した際に給湯器(10)の出湯口と水栓とを結ぶ水管内にある湯の出湯停止後の時間経過に伴う温度低下に応じて前記保温温度を下げることを特徴とする給湯器(10)。
【0013】
[7]前記保温温度設定手段(52)は、出湯停止後の時間の経過に応じて前記保温温度を下げることを特徴とする[6]記載の給湯器(10)。
【0014】
[8]通水の無い状態でバーナー(12)を燃焼させて熱交換器(13)内の湯を次回の出湯に備えて所定温度範囲内に保温する機能を有する給湯器(10)の当該保温動作を制御する給湯器制御方法において、
出湯を停止した際に給湯器(10)の出湯口と水栓とを結ぶ水管内にある湯の出湯停止後の時間経過に伴う温度低下に応じて前記熱交換器(13)内の湯を次回の出湯に備えて保温する際の保温温度を下げることを特徴とする給湯器制御方法。
【0015】
前記本発明は次のように作用する。
保温温度設定手段(52)は、熱交換器(13)内の湯を保温する際の保温温度を設定変更し、保温制御手段(51)は、通水の無い状態でバーナー(12)の燃焼を制御して熱交換器(13)内の湯を保温温度設定手段(52)によって設定された保温温度に保温する。
【0016】
また保温温度設定手段(52)は、熱交換器(13)に供給される給水の温度と出湯すべき湯温として操作者から指示された設定温度と次回の出湯当初に要求される湯の予測流量の3つの要因に基づいて保温温度を変更する。
【0017】
たとえば、設定温度が高い場合には、当該設定温度に応じて熱交換器(13)内の湯を高い温度に保温し、設定温度が低い場合にはこれに対応した低い温度に熱交換器(13)内の湯を保温する。また給水温度が低い場合には、バイパスミキシング後の湯温の低下幅が大きくなるので、その分、保温温度を高めに設定し、給水温度が比較的高い場合には、バイパスミキシングによる温度の低下幅が小さいので、その分、保温温度を低く設定する。
【0018】
さらに、通水が開始されてからバーナー(12)が点火するまでにはある程度の時間を要するので、熱交換器(13)内で保温されていた湯がその間に全て消費されないよう、予測流量が多い場合には、給水の混合率を高くする必要がある。そこで、予測流量が多い場合には、給水の混合率が高くなることに対応して、その分、保温温度を高めに設定し、予測流量が少ない場合は給水の混合率が低いので保温温度を下げるようにする。
【0019】
このように、設定温度と給水温度と次回の予測流量の3つの要因を基にして保温温度を変更することで、熱交換器(13)内の湯を必要以上の高温に保温することを回避でき、保温のために消費されるガス量を低減することができる。
【0020】
また、給水温検知手段(27)は、熱交換器(13)に供給される給水の温度を検知し、設定温度受付手段(61)は、出湯される湯の設定温度を操作者から受け付ける。流量検知手段(26)は、出湯される湯の単位時間当たりの流量を検知し、流量予測手段(54)は、流量検知手段(26)によって検知された流量を基にして次回の出湯当初に要求される湯の予測流量を求める。
【0021】
そして保温温度設定手段(52)は、給水温検知手段(27)の検知する給水温度と設定温度受付手段(61)を通じて受け付けた設定温度と流量予測手段(54)の求めた予測流量とに基づいて熱交換器(13)内の湯を保温する際の保温温度を変更する。
【0022】
このように給水温度と設定温度と次回の予測流量の3つの要因全てに基づいて保温温度を設定変更することで、より的確な温度に熱交換器(13)内の湯を保温することができる。また、次回の開栓当初から設定温度の湯を予測流量で継続して出湯し得る範囲内で保温温度を低く設定することで、保温機能を満足しつつガスの消費量を最小限に抑えることができる。なお、前回の出湯が停止する直前における流量を次回の出湯当初に要求される予測流量とすることで、容易に予測流量を求めることができる。
【0023】
また、保温温度設定手段(52)は、出湯を停止した際に給湯器(10)の出湯口と水栓とを結ぶ水管内にある湯の出湯停止後の時間経過に伴う温度低下に応じて保温温度を下げる。通常、水栓は給湯器から数m程度延びた水管の先に設けられているので、出湯を停止した後、当該水管内に停留する湯の温度は出湯停止後の時間の経過とともに低下する。出湯を再開した際に当初水栓から出る湯は水管内に停留していた湯なので、熱交換器(13)内の湯を高温に保温しても、前回の出湯を停止してからの経過時間が長くなると、出湯開始当初から設定温度の湯を出湯することができなくなる。
【0024】
すなわち、次回の出湯開始当初に給湯器の出口部から出る湯の温度は、その時点で水管内に停留している湯の温度より低くなければ十分なので、出湯停止後における水管内の湯温の低下に従って、熱交換器(13)内の湯の保温温度を低下させることで、保温のために費やされるガス量をより一層低減することができる。
【0025】
保温温度は、たとえば、水管内の湯温を直接検知して下げるようにしても良いが、出湯停止後における経過時間を基に予め定めた基準に従って保温温度を下げるようにすれば、水管内の湯温を検知するセンサの設置する必要がなく、装置構成および設置作業の簡略化を図ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の一実施の形態を説明する。
各図は本発明の一実施の形態を示している。
本発明にかかる給湯器10は、水栓あるいは風呂の浴槽40内へ給湯する機能と、浴槽内の湯を追い焚きする機能とを備え、追い焚き経路と給湯経路の双方を1つの熱交換器で加熱する、いわゆる1缶2水路型を成している。図2に示すように、給湯器10は、燃焼室11を備えており、当該燃焼室11の下部には、バーナー12が、燃焼室11の上部には、バーナー12からの熱を給水等に伝える熱交換器13がそれぞれ配置されている。
【0027】
熱交換器13には、給湯用の水を流すための給湯用パイプ21と、追い焚き用に浴槽40内の水を循環させる追い焚き用循環パイプ31の双方が通っており、熱交換器13はバーナー12からの熱をこれら双方のパイプ21、31内の流体へ伝えて加熱する機能を備えている。
【0028】
給湯用パイプ21のうち熱交換器13の入側に通じる給水側流路21aと、熱交換器13の出側から延びる出湯側流路21bとの間には、固定バイパス路22および流量制御弁23の介挿されたバイパス路24の2つのバイパス路が接続されている。熱交換器13で加熱された湯に、固定バイパス路22、バイパス路24を通じて給水を混合するとともに、バイパス比を流量制御弁23によって制御し得るようになっている。また、給湯用パイプ21の出湯側流路21b側には、出湯される総流量やバイパス比を制御するための流量制御弁25が設けられている。
【0029】
給湯用パイプ21の入口部および出口部の近傍にはそれぞれ、通水の有無や通水量を検知するためのフローセンサ26a、26bが設けられている。また、給湯用パイプ21の入口部近傍には、給水の温度を検知するための入水サーミスタ27が、給湯用パイプ21の出口部近傍には、出湯温度を検知するための出湯サーミスタ28がそれぞれ取り付けられている。熱交換器13の出口部近傍の水管には熱交換器13を出た直後の湯温を検知するための熱交サーミスタ29aが、また熱交換器13の給湯フィンパイプのUベント部には水管サーミスタ29bがそれぞれ設けられている。
【0030】
追い焚き用循環パイプ31は、浴槽40内の水を熱交換器13まで戻す風呂戻パイプ部31aと、熱交換器13で加熱後の湯を浴槽40へ送り出す風呂往パイプ部31bとから構成されている。風呂戻パイプ部31aの途中には循環ポンプ32と、風呂戻パイプ部31a内の通水の有無を検知する風呂流水スイッチ33が設けられている。また、風呂流水スイッチ33の近傍には、浴槽40側から流入する湯の温度を検知するための風呂温度サーミスタ34が取り付けてある。
【0031】
給湯用パイプ21の出湯側流路21bと、風呂戻パイプ部31aとは、注湯電磁弁35を備えた注湯パイプ36で接続されており、熱交換器13で加熱された給水を注湯パイプ36を介して浴槽40へ注湯することができるようになっている。
【0032】
給排気は、燃焼ファン14によって燃焼室11の下方側から給気を送風することによって強制的に行われ、排気は燃焼室11の上部から排出されるようになっている。バーナー12近傍には、点火装置15が設けてある。またバーナー12へ供給される燃焼ガスは、ガス電磁弁16、元ガス電磁弁17、ガス切替弁18によってオンオフ制御される。さらにバーナー12へ供給される燃焼ガスのガス量は、ガス比例弁19によって調整される。
【0033】
図1は、給湯器10の有する制御基盤50とその周辺回路の構成を示している。制御基盤50は、保温制御部51と、保温温度設定部52と、経過時間計測部53と、流量予測部54とを備えている。先に説明したフローセンサ26a、26bから成る流量検知部の出力信号は、経過時間計測部53および流量予測部54へ入力され、入水サーミスタ27から成る給水温検知部の出力信号は保温温度設定部52に入力されている。また熱交換器13内の湯温を検知する水管サーミスタ29bの出力信号が保温制御部51に入力されている。
【0034】
操作部60は、出湯される湯の設定温度を操作者から受け付けるための設定温度受付部61を備えている。操作部60は、いわゆるメインリモコン、風呂リモコン等であって、設定温度のほか、自動運転のオンオフ指示や保温機能のオンオフ指示等を受け付けるための各種スイッチを備えている。また操作部60は、図示しない液晶ディスプレイを有し、設定温度など現在の運転状態を表示するほか、異常が発生した際に各種のエラー表示を行う機能を備えている。
【0035】
給湯器10は、ほぼ設定温度の湯が開栓当初から出湯されるように、開栓されない状態の下でバーナー12を燃焼させ、熱交換器13内の湯温を目標保温温度範囲内に保温する機能(保温機能)を備えている。保温温度設定部52は、給水温度と設定温度と次回出湯当初の予測流量とを基にしてその目標保温温度範囲を設定変更する回路部分である。保温制御部51は、熱交換器13内の湯を保温温度設定部52の設定した目標保温温度範囲内に保温するためにバーナー12の燃焼制御を行う回路部分である。
【0036】
より具体的には、保温温度設定部52は、バーナー12を点火すべき湯の温度を表す点火温度とバーナー12を消火すべき湯の温度を表す消火温度とを給水温度や設定温度等を基に設定するようになっている。保温制御部51は水管サーミスタ29bの検知する湯温が設定された点火温度あるいはそれ以下のときバーナー12を点火し、水管サーミスタ29bの検知する湯温が設定された消火温度に達したときバーナー12を消火する機能を備えている。
【0037】
経過時間計測部53は、通水が停止してからの経過時間を計測する回路部分であり、ここでは、通水停止後そのまま5分間が経過した時点で、その旨を示す計時信号を出力するようになっている。流量予測部54は、次回の出湯当初における湯の単位時間当たり流量を予測する回路部分である。ここでは、前回の出湯を停止する直前における湯の流量を、そのまま次回の出湯開始当初における湯の予測流量として取り扱っている。流量予測部54は、内部に図示しないメモリを有しており、当該メモリに、前回の出湯が停止する直前の流量を記憶するようになっている。
【0038】
なお、制御基盤50は、各種制御の中枢的機能を果たすCPU(中央処理装置)と、CPUの実行するプログラムや各種の固定的データを記憶するROMと、プログラムを実行する上で一時的に必要になるデータを記憶するためのRAM等を主要部とする回路により構成されている。
【0039】
次に作用を説明する。
図3は、給湯器10が行う保温動作の流れを示している。操作部60から保温機能のオンが入力されたり、予めタイマー設定された予約時間が到来することで保温機能がオフ状態からオン状態へ移行すると(ステップS101;Y)、保温温度設定部52は、入水サーミスタ27の検知する給水温度やその時点における設定温度等を基にして目標保温温度範囲を設定する(ステップS102)。より具体的には、給水温度等を基にしてバーナー12の点火温度と消火温度を設定する。
【0040】
すなわち、給水温度および予測流量が同一の場合には、設定温度が高いほど、目標保温温度を全体的に高い温度に設定し、設定温度が低い場合には低く設定する。ただし、目標保温温度範囲の下限は少なくとも設定温度より高い値に設定される。また、設定温度および流量が同一の場合には、給水温度が低いほど、バイパスミキシング後の湯温の低下幅が大きくなるので、その分、目標保温温度範囲を全体的に高めに設定し、給水温度が比較的高い場合には、混合による温度低下の幅が小さくなるので、その分、低く設定している。
【0041】
さらに、給水温度および設定温度が同一の場合には、予測流量が多い場合ほど目標保温温度範囲を全体的に高めに設定し、予測流量が少ない場合は低く設定する。通水が開始されてからバーナーが点火するまでにはある程度の時間を要するので、熱交換器13内の保温されていた湯が通水開始後バーナー12が点火する前に全て流出してしまうことを防止する必要がある。
【0042】
すなわち、蛇口が開かれると、リモコン設定温度と、熱交換器13内の湯温と、給水温度とから流量制御弁23と流量制御弁25の開度(分配比)が求められ、出湯される。このとき、熱交換器13内の湯温が低ければ、分配比で熱交換器13内の湯が多く出るような形になる。熱交換器13内には予め、たとえば250cc程度しか入っていないので、予測流量が多い場合であるにもかかわらず、熱交換器13内の湯温が低い場合には、点火するまで(約1秒)に熱交換器13内に保温してある湯を使いきって出湯温度が下がってから点火する事態となってしまう。したがって、予測流量が多い場合にはその分、目標保温温度範囲を全体として高めに設定する必要があり、逆に予測流量が少ない場合には、給水の混合率が下がるので、その分、目標保温温度範囲を全体として下げることになる。
【0043】
保温温度設定部52は、上述のような基準に従って給水温度と設定温度と予測流量(出湯開始時における給水の混合率)とを総合的に判断し、目標保温温度範囲、すなわち点火温度と消火温度とを設定している。
【0044】
図4は、予測流量と給水温度と設定温度とを基にして設定される目標保温温度範囲(点火温度と消火温度)の一例を示したものである。たとえば、予測流量が1分間当たり10リットルで、給水温度が10℃で、設定温度が48℃の場合(71)には、点火温度を78℃に、消火温度を80℃にそれぞれ設定している。また予測流量が1分間当たり6リットルで、給水温度が20℃で、設定温度が40℃の場合(72)には、点火温度を38℃、消火温度を40℃に設定している。
【0045】
なお、ここでは、次回の出湯開始時に、設定温度の湯を予測流量で継続して出湯することが可能な範囲内で極力低い温度に目標保温温度範囲を設定し、必要以上の高温に保温することを回避し保温のために消費されるガス量を低減している。
【0046】
保温制御部51は、保温機能がオン状態へ移行したとき、保温温度設定部52の設定した目標保温温度範囲に至るまで熱交換器13内の湯を急速に加熱する(ステップS103)。たとえば、朝一番に保温機能がオンされた場合などは、熱交換器13内の水温が給水温度とほぼ等しい程度に冷えているので、このような場合には、保温制御部51は、熱交換器13内の湯を目標保温温度範囲に達するまで急速に加熱するコールドスタートを行うようになっている。
【0047】
また目標保温温度範囲に達した後は、保温温度設定部52によって設定された目標保温温度範囲内に湯温を維持するよう動作する(ステップS104)。すなわち、水管サーミスタ29bによって検知される湯温が保温温度設定部52によって設定された点火温度まで低下したときバーナー12を点火し所定の最小燃焼量で燃焼させる。また、水管サーミスタ29bの検知する湯温が保温温度設定部52の設定した消火温度に達したときバーナー12を消火する。このような動作を繰り返し行うことで、熱交換器13内の湯は目標保温温度範囲内に保温される。
【0048】
図5は、保温機能がオン状態へ移行した後における熱交換器13内の湯温の変化を示している。図5の上側の実線73は、熱交換器13内の湯を図4の条件71で示した目標保温温度範囲75に保温する場合における湯温の変化を示し、下側の実線74は、図4の条件72に示した目標保温温度範囲76に保温する場合の湯温の変化を示している。
【0049】
目標保温温度範囲が低い場合(73)には、目標保温温度範囲が高い場合(74)に比べて短時間のうちに急速加熱の状態(コールドスタート)を脱して目標保温温度範囲76に湯温が到達している。このように給水温度や設定温度等を基にして次回の出湯開始時に設定温度の湯を出湯し得る範囲内で目標保温温度範囲を低く設定することで、コールドスタートの際に湯温が目標保温温度範囲へ達するまでの時間が短くなり、保温機能をオンした後、出湯開始当初から設定温度の湯を出し得る状態まで短時間のうちに到達することができる。
【0050】
また、目標保温温度範囲に入った後におけるバーナー12の点火周期は、目標保温温度範囲が低い場合(74)の周期77の方が、目標保温温度範囲が高い場合(73)の周期78に比べて長くなっている。これは、保温温度が低い方が外気温との差が少なく放熱量が減少するからである。このように次回の出湯開始時に、設定温度の湯を予測流量で継続して出湯し得る範囲内で、目標保温温度範囲をできるだけ低い温度に設定することで、保温中におけるバーナー12の点火回数が少なくなり、電磁弁等の耐久上有利になる。
【0051】
図3に戻って説明を続ける。熱交換器13内の湯を目標保温温度範囲内に保温している間に通水があると(ステップS105;Y)、次回の出湯時における流量の予測値が変化するほか、設定温度が変更される場合もあるので、その通水が停止した後に(ステップS106;Y)目標保温温度範囲を再設定する(ステップS107)。また通水がない状態のままで(ステップS105;N)設定温度が変更される場合もあり得るので、設定温度等が変更された場合には(ステップS108;Y)、目標保温温度範囲を再設定する(ステップS107)。
【0052】
前回の通水(出湯)が停止してから5分間が経過しても通水が再開されない場合には(ステップS109;Y)、保温温度設定部52は、目標保温温度範囲を現時点の値から所定温度だけ全体的に下げて、保温制御部51での保温動作を予備モードに切り替える(ステップS110)。
【0053】
図6に示すように、通常、水栓81は給湯器10から数m程度延びた水管82の先に設けられるので、出湯を停止した後、当該水管82内に停留する湯の温度は出湯停止後の時間の経過とともに低下する。出湯を再開した際に当初水栓81から出る湯は水管82内に停留していた湯なので、熱交換器13内の湯を高温に保温しても、前回の出湯を停止した後の経過時間が長くなると、出湯開始当初から設定温度の湯を水栓81から出すことができなくなる。
【0054】
すなわち、次回の出湯開始当初に給湯器10の出口部から出る湯の温度は、その時点で水管82内に停留している湯の温度よりも低くなければ十分であり、水管82内に停留する湯よりも高い温度の湯を出湯開始当初に給湯器10の出口部から出しても、水栓81から出る湯の温度が設定温度に達するまでに要する時間がわずかに短くなるだけの効果しか得られない。そこで、出湯停止後に5分間経過しても通水がないときは、水管82内の湯温の低下に見合うよう熱交換器13内の湯を保温する際の目標保温温度範囲を下げている。
【0055】
図7は、出湯停止後における熱交換器13内の湯温変化や水管82内の湯温の変化等を示したものである。図中の上方に示した実線91は、熱交換器13内の湯温の変化を示し、図中の点線92は、水管82内の位置83に停留する湯の温度変化を示している。時刻T1に出湯が停止すると、水管82内の湯温は、時間の経過とともに徐々に低下する。出湯停止後、5分間が経過するまでは、給水温度と設定温度と予測流量とも基づいて設定された目標保温温度範囲に熱交換器13内の湯を保温する本番モードにて保温制御部51が動作している。矢印93はこの際の点火温度と消火温度を示している。
【0056】
出湯停止後、5分間が経過すると、経過時間計測部53から計時信号が出力され、これを受けた保温温度設定部52は、現時点での目標保温温度範囲を予め定めた温度だけ全体的に下げて予備モードに移行する。すなわち、保温温度設定部52は点火温度、消火温度を、矢印94で示すように低下させる。これにより次回の点火は、熱交換器13内の湯温が点火温度94aまで低下した時刻T2まで行われず、また予備モードに移行した後は、保温温度が全体に低くなって放熱量が少なくなるので、バーナー12の点火周期95が、本番モードの点火周期96よりも短くなっている。
【0057】
このように、出湯停止後における時間の経過(水管82内の湯温の低下)に従って目標保温温度範囲を下げるので、水管82内の湯温に対し、必要以上の高温に熱交換器13内の湯を保温することが無く、消費されるガス量をより一層低減することができる。
【0058】
予備モードへ移行した後、次回の通水が行われるまでの間は、当該予備モードで保温が行われ、通水が有ったときは、当該通水の終了後、その際の給水温度、設定温度、予測流量に応じて設定された目標保温温度範囲に従い本番モードで保温が行われる。
【0059】
以上説明した実施の形態では、前回の出湯が停止する直前における流量を次回の開栓当初における予測流量としたが、予測流量を前回あるいは過去数回の通水における平均流量として求めても良い。また、使用される時間帯、あるいは風呂優先モードか否か等に基づいて予測流量を変更するようにしてもよい。
【0061】
また出湯停止後、予備モードへ移行するまでの時間の長さや、予備モードへ移行する際の保温温度の下げ幅を、水栓までの水管の長さや、前回出湯された際の湯温と外気温との差(水管での放熱の程度)などに応じて変更するようにしてもよい。さらに、実施の形態では、本番モードと予備モードの2つの保温状態を設けたが、水管内の湯温の低下にしたがって、複数段階に目標保温温度範囲を下げたり、出湯停止後の時間の経過に従って徐々に目標保温温度範囲を下げるようにしても良い。
【0062】
【発明の効果】
本発明にかかる給湯器およびその制御方法によれば、次回の出湯に備えて熱交換器内の湯を保温する際の保温温度を、設定温度と給水温度と次回出湯時における予測流量の3つの要因を基にして設定変更するので、熱交換器内の湯の保温温度を次回の出湯に必要な範囲で低く設定することができ、消費されるガス量を低減することができる。
【0063】
また、出湯を停止した際に給湯器の出湯口と水栓とを結ぶ水管内にある湯の出湯停止後の時間経過に伴う温度低下に応じて熱交換器内の湯の保温温度を下げるので、次回の出湯開始時に水栓から当初出る湯の温度に対して熱交換器内の湯が必要以上の高温に保温されず、ガスの消費量をより一層低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る給湯器の回路構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る給湯器を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る給湯器が熱交換器内の湯を保温する際における動作の流れを示す流れ図である。
【図4】給水温度と設定温度と予測流量とに基づいて設定されるバーナーの点火温度および消火温度の一例を示す説明図である。
【図5】保温動作開始後における熱交換器内の湯温の変化を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る給湯器の設置状態を示す説明図である。
【図7】出湯停止後における熱交換器内の湯温と水栓まで延びる水管内の湯温の変化等を示す説明図である。
【符号の説明】
10…給湯器
12…バーナー
13…熱交換器
21…給湯用パイプ
22…固定バイパス路
23、25…流量制御弁
24…バイパス路
26a、26b…フローセンサ
27…入水サーミスタ
28…出湯サーミスタ
29a…熱交サーミスタ
29b…水管サーミスタ
31…追い焚き用循環パイプ
40…浴槽
50…制御基盤
51…保温制御部
52…保温温度設定部
53…経過時間計測部
54…流量予測部
60…操作部
61…設定温度受付部
81…水栓
82…水管
Claims (8)
- 通水の無い状態でバーナーを燃焼させて熱交換器内の湯を次回の出湯に備えて保温する機能を有する給湯器であって前記熱交換器で加熱された後の湯と加熱前の給水とを混合して出湯し得るものにおいて、
前記熱交換器内の湯を保温する際の保温温度を設定変更する保温温度設定手段と、通水の無い状態で前記バーナーの燃焼を制御して前記熱交換器内の湯を前記保温温度に保温する保温制御手段とを有し、
前記保温温度設定手段は、前記熱交換器に供給される給水の温度と出湯すべき湯温として操作者から指示された設定温度と次回の出湯当初に要求される湯の予測流量の3つの要因に基づいて前記保温温度を変更することを特徴とする給湯器。 - 通水の無い状態でバーナーを燃焼させて熱交換器内の湯を次回の出湯に備えて保温する機能を有する給湯器であって前記熱交換器で加熱された後の湯と加熱前の給水とを混合して出湯し得るものにおいて、
前記熱交換器内の湯を保温する際の保温温度を設定変更する保温温度設定手段と、通水の無い状態で前記バーナーの燃焼を制御して前記熱交換器内の湯を前記保温温度に保温する保温制御手段と、前記熱交換器に供給される給水の温度を検知する給水温検知手段と、出湯される湯の設定温度を操作者から受け付ける設定温度受付手段と、出湯される湯の単位時間当たりの流量を検知する流量検知手段と、前記流量検知手段によって検知された流量を基にして次回の出湯当初に要求される湯の予測流量を求める流量予測手段とを備え、
前記保温温度設定手段は、前記給水温検知手段の検知する給水温度と前記設定温度受付手段を通じて受け付けた設定温度と前記流量予測手段の求めた前記予測流量とに基づいて前記保温温度を変更することを特徴とする給湯器。 - 前記保温温度設定手段は、次回の開栓当初から前記設定温度の湯を前記予測流量で継続して出湯し得る範囲内で前記保温温度を低く設定することを特徴とする請求項1または2記載の給湯器。
- 前回の出湯が停止する直前における流量を次回の出湯当初に要求される前記予測流量として前記保温温度を設定することを特徴とする請求項1、2または3記載の給湯器。
- 熱交換器で加熱された後の湯と加熱前の給水とを混合して出湯し得る給湯器であって通水の無い状態でバーナーを燃焼させて前記熱交換器内の湯を次回の出湯に備えて保温する機能を有するものの保温動作を制御する給湯器制御方法において、
前記熱交換器内の湯を保温する際の保温温度を、前記熱交換器に供給される給水の温度と、次回の出湯当初に要求される湯の予測流量と、出湯すべき湯温として操作者から指示された設定温度とを基にして前記熱交換器内の湯を次回の出湯に備えて保温する際の保温温度を変更することを特徴とする給湯器制御方法。 - 通水の無い状態でバーナーを燃焼させて熱交換器内の湯を次回の出湯に備えて保温する機能を有する給湯器において、
前記熱交換器内の湯を保温する際の保温温度を設定変更する保温温度設定手段と、通水の無い状態で前記バーナーの燃焼を制御して前記熱交換器内の湯を前記保温温度に保温する保温制御手段とを備え、
前記保温温度設定手段は、出湯を停止した際に給湯器の出湯口と水栓とを結ぶ水管内にある湯の出湯停止後の時間経過に伴う温度低下に応じて前記保温温度を下げることを特徴とする給湯器。 - 前記保温温度設定手段は、出湯停止後の時間の経過に応じて前記保温温度を下げることを特徴とする請求項6記載の給湯器。
- 通水の無い状態でバーナーを燃焼させて熱交換器内の湯を次回の出湯に備えて所定温度範囲内に保温する機能を有する給湯器の当該保温動作を制御する給湯器制御方法において、
出湯を停止した際に給湯器の出湯口と水栓とを結ぶ水管内にある湯の出湯停止後の時間経過に伴う温度低下に応じて前記熱交換器内の湯を次回の出湯に備えて保温する際の保温温度を下げることを特徴とする給湯器制御方法。
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