JP3961100B2 - 給湯器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通水の無い状態でバーナーを燃焼させて熱交換器内の水を次回の出湯に備えて所定の保温温度範囲内に保温する保温機能を備えた給湯器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から使用されている給湯器には、開栓当初からできるだけ設定温度に近い温度の湯を出湯するため、通水の無い状態で熱交換器内の湯を所定温度範囲に保温する機能を備えたものがある。かかる給湯器では、通常、通水が停止したときから、5分間等の一定時間が経過するまでの間、保温状態を維持するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術では、前回の出湯から5分間等の一定時間以上が経過してから出湯する場合には、既に保温状態にないので、開栓当初、設定温度から大きく外れた冷たい湯が出てしまう。たとえば、前回の出湯から長い時間が経過した後に、浴室でシャワーを使い始めたときなど、当初、冷たい水が出て不快感を与えてしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、通水の無い状態でバーナーを燃焼させて熱交換器内の水を次回の出湯に備えて所定の保温温度範囲内に保温する保温機能を適切なタイミングでオンオフすることのできる給湯器を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]通水の無い状態でバーナー(12)を燃焼させて熱交換器(13)内の水を次回の出湯に備えて所定の保温温度範囲内に保温する保温機能を備えた給湯器において、
各種の操作を受け付けるための操作受付部(60)と、前記保温機能を実施するための保温動作を制御する保温制御手段(51)とを有し、
前記保温制御手段(51)は、前記操作受付部(60)が所定の操作を受け付けたことを契機に前記保温動作を開始し、前記所定の操作が風呂の自動運転を開始する旨の操作であるときは、注湯動作が終了するまで待機してから、前記保温動作を開始することを特徴とする給湯器。
【0006】
[2]通水の無い状態でバーナー(12)を燃焼させて熱交換器(13)内の水を次回の出湯に備えて所定の保温温度範囲内に保温する保温機能を備えた給湯器において、
各種の操作を受け付けるための操作受付部(60)と、前記保温機能を実施するための保温動作を制御する保温制御手段(51)とを有し、
前記保温制御手段(51)は、前記操作受付部(60)が所定の操作を受け付けたことを契機に前記保温動作を開始し、前記操作を受け付けた時点から今回の操作内容に対応する予め定めた準備動作が必要なときは当該準備動作が完了するまでの間待機した後に前記保温動作を開始し、前記所定の操作が風呂の自動運転を開始する旨の操作であるときは、注湯動作が終了するまで前記保温動作の待機をすることを特徴とする給湯器。
【0007】
[3]前記保温制御手段(51)は、前記保温動作の開始以外の他の目的のための操作であって予め定めた1または2以上の操作のうちのいずれかの操作を受け付けたことを契機に前記保温動作を開始することを特徴とする[1]または[2]記載の給湯器。
【0008】
[4]前記保温動作を開始してから所定時間が経過したとき、当該保温動作を停止することを特徴とする[1],[2]または[3]記載の給湯器。
【0009】
[5]前記保温動作を開始してから所定の操作を受け付けたとき、当該保温動作を停止することを特徴とする[1],[2]または[3]記載の給湯器。
【0010】
[6]通水の無い状態でバーナー(12)を燃焼させて熱交換器(13)内の水を次回の出湯に備えて所定の保温温度範囲内に保温する保温機能を備えた給湯器において、
各種の操作を受け付けるための操作受付部(60)と、前記保温機能を実施するための保温動作を制御する保温制御手段(51)とを有し、
前記保温制御手段(51)は、前記操作受付部(60)が所定の操作を受け付けたことを契機に前記保温動作を開始し、前記所定の操作が浴槽(40)内の湯温を所定温度低下させるための操作である場合には、浴槽(40)内の温度が所定温度下がるまで非加熱の給水を前記浴槽(40)に注ぎ終えるまでの間、待機した後に保温機能をオンすることを特徴とする給湯器。
【0011】
[7]前記保温機能をオンした当初は、バーナー(12)を最小燃焼量よりも大きい所定の火力で燃焼させて保温温度範囲内に入るまで急速に湯温を上昇させた後、通常の保温動作に入ることを特徴とする[6]記載の給湯器。
【0012】
[8]前記保温制御手段(51)は、所定時間が経過してから前記保温機能をオフすることを特徴とする[6]または[7]記載の給湯器。
【0013】
[9]通水の無い状態でバーナー(12)を燃焼させて熱交換器(13)内の水を次回の出湯に備えて所定の保温温度範囲内に保温する保温機能を備えた給湯器において、
各種の操作を受け付けるための操作受付部(60)と、前記保温機能を実施するための保温動作を制御する保温制御手段(51)とを有し、
前記保温制御手段(51)は、風呂の保温動作の開始と同時に前記保温機能の保温動作を開始することを特徴とする給湯器。
[10]前記保温制御手段(51)は、風呂の保温動作が停止した後、所定時間が経過してから前記保温機能をオフすることを特徴とする[9]記載の給湯器。
[11]前記保温動作を停止すべきか否かの判定の基礎になる所定の状態を検知するセンサー(37,72,73,74)を有し、前記保温制御手段(51)は当該センサー(37,72,73,74)の出力を基にして前記保温動作を停止すべきか否かを判定し、その判定結果に従って前記保温動作を停止することを特徴とする[1],[2],[3],[6],[7]または[9]記載の給湯器。
[12]前記センサー(37,72,73,74)として浴槽(40)の水位を検知するための水位センサー(37)を有し、前記浴槽(40)の水位が一旦上がった後、低下したときにその後所定時間が経過してから前記保温機能をオフにすることを特徴とする[11]記載の給湯器。
【0014】
前記本発明は次のように作用する。
通水の無い状態でバーナー(12)を燃焼させて熱交換器(13)内の水を次回の出湯に備えて所定の保温温度範囲内に保温する保温機能を実施するための保温動作を制御する保温制御手段(51)は、操作受付部(60)が所定の操作を受け付けたことを契機に保温動作を開始する。
【0015】
たとえば、出湯温度の設定など各種の操作を受け付けるリモコン操作部からの操作や、通信回線を通じて遠隔からの操作を受け付けたとき、保温動作を開始する。これにより、出湯を開始する前に該当する操作を行っておけば、初回の出湯の当初から設定温度の湯を出すことができる。
【0016】
保温動作開始の契機となる操作として、それ専用の操作を設けてもよい。たとえば、リモコン操作部に専用のスイッチを設け、当該スイッチの操作を契機に保温動作を開始してもよい。また、他の目的で設けた2以上のスイッチを同時に押下するような特別な操作を保温動作開始の操作として専用に設定してもよい。
【0017】
さらに、保温動作の開始以外の他の目的のための操作であって予め定めた1または2以上の操作のうちのいずれかの操作を受け付けたことを契機に保温動作を開始するようにしてもよい。たとえば、設定温度の変更操作を契機として、保温動作を開始するようにする。設定温度の変更など何らかの操作が成されたときは、その後に出湯される可能性が高い。そこで、何らかの操作が成されたことを契機に保温動作を開始することで、操作後に行われる出湯の当初から設定温度の湯を出すことができる。
【0018】
また保温制御手段(51)は、操作受付部(60)が操作を受け付けた時点から今回の操作内容に対応する予め定めた準備動作が完了するまでの間待機した後に保温動作を開始する。たとえば、風呂の自動運転を開始する旨の操作を受け付けた場合には、浴槽内に湯を張り、これを設定温度で保温する状態になるまで待機した後に、保温動作を開始する。浴槽内の湯を保温する状態になった後は、誰かが入浴を始め、シャワー等を使用する可能性が強いので、かかる状態に入った時点から保温動作を開始することで、シャワー等の初回の使用当初から、設定温度の湯を出湯することができる。
【0019】
このようにして開始した保温動作を、たとえば、保温動作開始後、所定時間が経過したときに停止するようにする。設定温度を変更する操作が行われた場合などは、その操作の後の数十分の間に湯の使用が終了すると考えられるので、操作後、所定時間が経過した時点で、保温動作を停止することで、必要なときだけ保温動作を稼動させることができる。
【0020】
また、保温動作を開始してから所定の操作を受け付けたとき、当該保温動作を停止するようにしても良い。たとえば、保温動作を停止するための専用の操作を受け付けたときに保温動作を停止する。また、運転状態を脱する操作が行われたときや風呂優先の状態を解除するための操作等が行われたときに、保温動作を停止する。これらの操作は、以後、浴室での出湯や一切の出湯が行われないことを意味するので、当該操作によって保温動作を停止することで、無駄に保温動作を継続するようなことがない。
【0021】
さらに、所定のセンサーの検知する情報を、保温動作を停止すべきか否かの判定基準として用いるようにしてもよい。たとえば、浴室に人感センサーを配置し、浴室から人がいなくなったとき、以後、シャワーの使用がないと判断して、保温動作を停止する。このほか、外気温度や給水温度等を検知するセンサーからの情報を基にして、保温動作を停止させるようにしてもよい。また、給湯器の電源がオンしている間、保温動作を行ってもよい。これにより、いつでも出湯の当初から設定温度の湯を出すことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の一実施の形態を説明する。
各図は本発明の一実施の形態を示している。
本発明にかかる給湯器10は、水栓あるいは風呂の浴槽内へ給湯する機能と、浴槽内の湯を追い焚きする機能とを備え、追い焚き経路と給湯経路の双方を1つの熱交換器で加熱する、いわゆる1缶2水路型を成している。図1に示すように、給湯器10は、燃焼室11を備えており、当該燃焼室11の下部には、バーナー12が、燃焼室11の上部には、バーナー12からの熱を給水等に伝える熱交換器13がそれぞれ配置されている。
【0023】
熱交換器13には、給湯用の水を流すための給湯用パイプ21と、追い焚き用に浴槽内の水を循環させる追い焚き用循環パイプ31の双方が通っており、熱交換器13はバーナー12からの熱をこれら双方のパイプ21、31内の流体へ伝えて加熱する機能を備えている。
【0024】
給湯用パイプ21のうち熱交換器13の入側と接続された給水側流路21aと、熱交換器13の出側から延びる出湯側流路21bとの間には、固定バイパス路22および流量制御弁23の介挿されたバイパス路24の2つのバイパス路が接続されている。熱交換器13で加熱された湯に、固定バイパス路22、バイパス路24を通じて給水を混合するとともに、バイパス比を流量制御弁23によって制御し得るようになっている。また、給湯用パイプ21の出湯側流路21b側には、出湯される総流量やバイパス比を制御するための流量制御弁25が設けられている。
【0025】
給湯用パイプ21の入口部および出口部の近傍にはそれぞれ、通水の有無や通水量を検知するためのフローセンサ26a、26bが設けられている。また、給湯用パイプ21の入口部近傍には、給水の温度を検知するための入水サーミスタ27が、給湯用パイプ21の出口部近傍には、出湯温度を検知するための出湯サーミスタ28がそれぞれ取り付けられている。また熱交換器13の出口部近傍の出湯側流路21bには熱交換器13を出た直後の湯温を検知するための熱交サーミスタ29が設けてある。
【0026】
追い焚き用循環パイプ31は、浴槽40内の水を熱交換器13まで戻す風呂戻パイプ部31aと、熱交換器13で加熱後の湯を浴槽40へ送り出す風呂往パイプ部31bとから構成されている。風呂戻パイプ部31aの途中には循環ポンプ32と、風呂戻パイプ部31a内の通水の有無を検知する風呂流水スイッチ33が設けられている。また、風呂流水スイッチ33の近傍には、浴槽40側から流入する湯の温度を検知するための風呂温度サーミスタ34が取り付けてある。さらに、風呂温度サーミスタ34の近傍には、浴槽40内の水位(水圧)を検知するための水位センサー37が配置されている。
【0027】
給湯用パイプ21の出湯側流路21bと、風呂戻パイプ部31aとは、注湯電磁弁35を備えた注湯パイプ36で接続されており、熱交換器13で加熱された給水を注湯パイプ36を介して浴槽40へ注湯することができるようになっている。
【0028】
給排気は、燃焼ファン14によって燃焼室11の下方側から給気を送風することによって強制的に行われ、排気は燃焼室11の上部から排出されるようになっている。バーナー12近傍には、点火装置15が設けてある。またバーナー12へ供給される燃焼ガスは、ガス電磁弁16、元ガス電磁弁17、ガス切替弁18によってオンオフ制御される。さらにバーナー12へ供給される燃焼ガスのガス量は、ガス比例弁19によって調整される。
【0029】
給湯器10は、出湯や風呂への湯張りなど各種の動作を統括制御するための制御基盤50を有している。制御基盤50は、保温制御部51と、通常燃焼制御部52と、通信部53とを有している。このうち保温制御部51は、通水の無い状態でバーナー12を点火して熱交換器13内の湯を所定温度範囲内に保温する保温機能を果たすための動作(出湯用保温動作)を司る回路部分である。通常燃焼制御部52は、通水に応じて出湯する場合や風呂への注湯や追い焚きを行う際にバーナー12の燃焼を制御する回路部分である。通信部53は、電話回線71を通じて遠隔からの操作を受け付けるための回路部分であり、いわゆるテレコントロールを実現するものである。
【0030】
制御基盤50は、より具体的には、各種制御の中枢的機能を果たすCPU(中央処理装置)と、CPUの実行するプログラムや各種の固定的データを記憶するROMと、プログラムを実行する上で一時的に必要になるデータを記憶するためのRAM等を主要部とする回路により構成されている。
【0031】
制御基盤50には、湯温の設定や、自動運転のオンオフなど各種の操作を受け付けるための操作部61や液晶ディスプレイから成る表示部62を備えたリモコンユニット60が接続されている。このほか、制御基盤50には、浴室内に人が居るか否かを検知する人感センサー72や、外気温を検知するための外気温センサー73、さらに、夜間か昼間かを判別するための光センサー74等が接続されている。このほか、制御基盤50には、入水サーミスタ27、水位センサー37、ガス比例弁19、流量制御弁23等の各種の制御部品やセンサー類が配線75を通じて接続されている。
【0032】
図2は、リモコンユニット60を示している。表示部62上には、設定温度の表示62aや、バーナー12が燃焼中であることを炎の絵柄によって示した燃焼表示62b等の各種表示が行われる。このほか表示部62には、異常が発生したときその内容を示したエラーコード等が表示される。表示部62の下方には、操作部61として各種の操作スイッチが配置されている。このうち、上向き矢印の絵柄の付されたスイッチは、設定温度を上げるためのアップスイッチ63aであり、下向き矢印の絵柄の付されたスイッチは、設定温度を下げるためのダウンスイッチ63bである。
【0033】
「優先」の文字の記された優先スイッチ64aは、メインリモコンとふろリモコンなど2以上のリモコンユニットを取り付けた場合に、出湯される湯温が自ユニット側で設定した温度に従うように優先設定するためのスイッチである。優先スイッチ64aのすぐ上方に配置された優先ランプ64bは、自ユニット側が優先されていることを表示するためのランプである。
【0034】
「運転」の文字の記された運転スイッチ65は、給湯器10を、出湯、浴槽40への湯張り、追い焚き等の動作が可能な稼働状態と、これらを行わない非稼働状態とを切り替えるためのスイッチである。「自動」の文字の記された自動スイッチ66は、風呂の自動運転を行う際に押下するスイッチである。自動スイッチ66が押下されると、給湯器10は、浴槽40内に設定温度の湯が設定水位まで満たされるように、注湯や追い焚きを行うようになっている。
【0035】
「呼出」の文字の記された呼出スイッチ67は、浴室内等から台所に居る人に向けて、話をするためのスイッチである。すなわち、呼出スイッチ67を押下すると、風呂リモコンに配置された図示しないマイクロフォンで拾った音を、台所等に設置されたメインリモコンに設けたこれまた図示しないスピーカーから流し、浴室内の人から「タオルを持ってきてほしい」等のメッセージを台所等に居る人に伝えることができるようになっている。
【0036】
「あつめ」の文字の記されたあつめスイッチ68aは、浴槽40内の湯温を追い焚きによって現在よりも2℃上昇させるためのスイッチである。一方、「うめる」の文字の記されたうめるスイッチ68bは、浴槽40内の湯温を2℃ほど低下させる際に用いるスイッチである。うめるスイッチ68bが押下されると、バーナー12を点火させずに注湯電磁弁35が開かれ、加熱されない給水が浴槽40内に注がれるようになっている。「快適」の文字の記された快適スイッチ69は、保温機能をオンオフするための専用のスイッチである。
【0037】
次に作用を説明する。
保温機能がオンしている間、保温制御部51は、熱交換器13内の湯を所定の保温温度範囲内に維持するように、バーナー12の燃焼を制御する。ここでは、保温温度範囲の下限値よりも熱交換器13内の湯温が低下したとき、バーナー12を所定の最小燃焼量で2秒程燃焼させる。これにより、出湯用保温動作が稼働している間(保温機能がオンの間)は、2秒程度の短い燃焼が間欠的に行われることになる。また、保温温度範囲は、出湯の設定温度よりも、かなり高めの温度に設定されており、流量制御弁23、25によって給水の混合量を調整することで設定温度まで湯温を下げて出湯するようになっている。
【0038】
給湯器10は、このような保温機能をどのようなタイミングでオンオフするかによって各種の動作モードを備えている。なお、動作モードにかかわらず、保温制御部51は、前回の出湯が停止した後、5分間は、保温機能を自動的にオンにし、熱交換器13内の湯を次回の出湯に備えて保温するようになっている。
【0039】
まず、電源連動モードについて説明する。電源連動モードは、給湯器10の電源がオンしたときから電源がオフするまでの間、終始、保温機能をオンさせるものである。これにより、どのようなタイミングで出湯が開始されても、常に設定温度の湯を出湯することができる。
【0040】
次に、キー操作連動モードについて説明する。キー操作連動モードは、リモコンユニット60を通じて何らかの操作を受けたとき、保温機能をオンするモードである。なお、保温機能のオフについては、別途各種の終了モードを設定し得るようになっている。
【0041】
図3は、キー操作連動モードにおける基本的な動作の流れを示したものである。リモコンユニット60の有する各種スイッチのうちのいずれかが操作されると(ステップS101;Y)、保温制御部51は、今回の操作が、優先をオフする操作、または運転をオフする操作であったか否かを判別する(ステップS102)。今回の操作が優先オフあるいは運転オフ以外の操作のときは(ステップS102;N)、さらに今回の操作が保温機能を即座にオンさせる種類の操作であるか否かを判別する(ステップS103)。
【0042】
すなわち、今回の操作がアップスイッチ63a、ダウンスイッチ63bの押下による設定温度の上げ下げ操作、呼出スイッチ67の操作、あつめスイッチ68a、あるいは優先オンのいずれかの操作のとき(ステップS103;Y)、保温制御部51は、即座に保温機能をオンし出湯用保温動作を開始する(ステップS105)。設定温度の変更操作等が行われたすぐ後に出湯される確率が高いので、このような操作の行われた後、すぐに保温機能をオンさせている。
【0043】
一方、今回の操作が、自動スイッチ66による風呂の自動運転のオン操作、または、うめるスイッチ68bの操作であったときは、各操作に対応して予め定められた準備動作を完了してから(ステップS104;Y)、保温機能をオンさせる(ステップS105)。
【0044】
たとえば、風呂の自動運転オンの場合には、設定された水位まで設定された温度の湯を浴槽40内に満たし、これを保温する状態に移行した後に、保温機能をオンさせる。また、うめるスイッチ68bが操作された場合には、浴槽40内の湯温が2℃下がるまで、非加熱の給水を注湯電磁弁35を開いて注ぎ終えた後に保温機能をオンする。
【0045】
なお、うめるスイッチ68bによる準備動作を行った場合は、熱交換器13内の給湯経路側が低温の水で満たされた状態になるので、保温機能をオンした当初は、バーナー12を最小燃焼量よりも大きい所定の火力で燃焼させて保温温度範囲内に入るまで急速に湯温を上昇させた後、通常の保温動作(最小燃焼量による2秒間の燃焼を間欠的に繰り返すもの)に入るようになっている。
【0046】
今回の操作が優先オフ、あるいは運転オフであった場合には(ステップS102;Y)、現在、保温機能がオンしているか否かを調べ(ステップS106)、保温機能が稼働中の場合には、一定時間経過後に(ステップS107;Y)、保温機能をオフし、出湯用保温動作を停止させる(ステップS108)。
【0047】
ただし、図3には示していないが、優先オフの操作に基づいて保温機能を停止させるのは、当該優先オフの操作がふろリモコン側で行われたときに限られる。ふろリモコン側で優先オフの操作があったときは、少なくとも当該操作を行った者によって、以後、出湯が行われない状態、すなわち、シャワー等が使用されないと考えられるので、優先オフの操作に基づいて保温機能をオフさせている。
【0048】
また図3には示していないが、運転オフの操作の場合には、所定時間の経過を待つことなく、操作後すぐに出湯用保温動作を停止させている。運転オフ操作の場合には、以後、出湯を行わない意志を明確に確認することができるので、当該操作のあったときは、すぐに保温機能をオフさせている。
【0049】
図4は、自動スイッチ66の操作が行われた場合における動作の流れを示したものである。ふろの自動運転をオンする操作が自動スイッチ66を介して行われたとき(ステップS201;Y)、通常燃焼制御部52は、設定水位まで設定温度の湯で浴槽40が満たされるように注湯および追い焚きを行う(ステップS201)。その後(ステップS203;Y)、通常燃焼制御部52は、浴槽40内の湯が設定温度に維持されるように適宜のタイミングで追い焚きを行う、ふろ保温動作を開始する(ステップS204)。
【0050】
ふろ保温動作の開始と同時に、保温制御部51は、保温機能をオンする(ステップS205)。ふろの保温動作に入った後は、シャワー等の使用される可能性が高いので、ふろ保温動作に入ったとき保温機能をオンしている。これにより、浴室に入った後、初めてシャワーを使用したときにもその当初からほぼ設定温度の湯を出すことができる。
【0051】
ふろの保温動作は、当該動作の開始後、4時間でオフするようになっており、当該継続時間が経過したとき(ステップS206;Y)、または継続時間の経過前にふろの自動運転をオフする操作がなされたとき(ステップS207;Y)、通常燃焼制御部51は、ふろ保温動作を停止する(ステップS208)。
【0052】
保温制御部51は、ふろの保温動作が停止した後、20分間等の所定時間が経過してから(ステップS209;Y)、保温機能をオフする(ステップS210)。これは、ふろ保温動作を停止してもすぐに浴槽40内の湯温は低下しないので入浴されることもあり、またシャワー等の使用可能性がある。そこで、ふろ保温動作の停止後、所定時間が経過した後に、保温機能をオフするようにしている。
【0053】
次に、保温機能をオフさせる各種のタイミングについて説明する。まず、保温機能をオフする終了モードには、図4に示したように保温機能がオンしてから、所定時間の経過後にオフする時間終了モードがある。すなわち、うめるスイッチ68bの押下等によって所定の準備動作の完了後に保温機能をオンした場合、あるいは、あつめスイッチ68aや呼出スイッチ67等が押下されて即座に保温機能をオンさせた場合などは、オンの後、予め定めた時間が経過したときに保温機能がオフされる。さらに所定の動作が完了した後、一定時間の経過を待ってから保温機能をオフするモードもある。たとえば、風呂保温動作の停止後、所定時間が経過してから保温機能をオフするような場合である。
【0054】
なお、保温機能をオフすべき時間が到来する直前に、出湯があった場合には、当該出湯動作の終了後、これに基づく5分間の保温動作が行われる。したがって、当該5分間が経過するまでの間、保温機能の稼動時間が延長されることになる。
【0055】
このほか、所定のスイッチ操作に基づいてオフする操作終了モードがある。たとえば、運転スイッチ65によって運転オフの操作が成されたときや優先スイッチ64aによって優先オフの操作が成されたときに保温機能をオフにする。さらに、各種のセンサーの検知する情報に基づいて保温機能をオフさせる、センサー終了モードも備えている。
【0056】
たとえば、人感センサー72によって浴室から人が出て居なくなったことが検知されたとき、保温機能をオフにする。また外気温センサー73によって検知される外気温や給水温度が一定以上あるとき保温機能をオフにする。外気温や給水温度が高ければ、保温機能をオフにしても、出湯開始当初に、極端に冷たい水の出る恐れがない。そこで、外気温等を基にして保温機能をオフにすることで省エネルギー化を図ることができる。
【0057】
また、シャワーは夜の使用が多いと考えられることと、夜は外気温や給水温が低下する傾向にあること等から、光センサー74によって夜でないことを検知し、夜以外の時間帯に入った時点で保温機能をオフにする。また、水位センサー37によって浴槽40の水位を監視し、水位が一旦上がった後、低下したときに保温機能をオフにするようにしてもよい。すなわち、人が浴槽40に入ると水位が上昇し、浴槽40から出ると水位は低下するので、この特性を利用して人が浴槽40から出た後、所定時間(たとえば20分)の経過した後に、保温機能をオフにする。所定時間の経過を待つのは、浴槽40から出てもまだ浴室内に人が居て、シャワー等を使用する可能性を考慮したものである。
【0058】
なお、上述の保温機能のオン・オフを定める各種の動作モードは適宜のものを組み合わせて設定し得るようになっている。すなわち、上述したオン条件とオフ条件とはそれぞれ独立に任意のものを選択して設定し得るとともに、オン条件、オフ条件としてそれぞれ2以上の条件の論理和および論理積として組み合わせることもできるようになっている。たとえば、ふろ保温動作の開始、および設定温度の変更操作の双方をオン条件として設定しておけば、いずれか一方の操作が行われたときに保温機能がオンされる。終了条件についても同様である。
【0059】
以上説明した実施の形態では、運転スイッチ65やアップスイッチ63a、ダウンスイッチ63bなど保温機能のオンオフ以外を目的として設けたスイッチの操作を基にして、保温機能のオンオフを行うようにしたが、リモコンユニット60に保温機能のオンオフ専用に設けた快適スイッチ69の操作に基づいて保温機能をオンオフするようにしてもよい。
【0060】
また快適スイッチ69を設ける代わりに、アップスイッチ63aとダウンスイッチ63bとを同時に押下するなど通常の操作と異なる特殊な操作を、保温機能をオンオフするための操作として設定してもよい。快適スイッチ69等の専用スイッチの場合、当該スイッチが押下されてから、次の出湯があるまでの間のみ保温機能をオンにしてもよく、また所定回数の出湯があるまで、保温機能をオンにしてもよい。もちろん、専用スイッチから保温機能のオフ操作があるまで保温機能を継続しても良く、また他の操作の場合と同様にオンしてから所定時間の経過したときにオフするようにしてもよい。
【0061】
また、特別な操作の1つとしてタイマー設定を設けてもよい。すなわち、タイマー設定の操作に基づき、設定された時刻の到来まで待つという準備動作を完了してから、保温機能をオンにするようにしてよい。
【0062】
さらに実施の形態では、保温機能をオンオフするための動作モードを各種備え、それらの中から適宜のものを選択して設定し得るようにしたが、上述した全ての動作モードを備える必要はなく、1または2以上のいずれかの動作モードのみを有するものであってもよい。
【0063】
また実施の形態では、リモコンユニット60から入力された各種の操作に基づいて保温機能をオンオフさせたが、リモコンユニット60からの直接の操作に代えて、電話回線から遠隔操作するようにしてもよい。すなわち、通信回線を通じた遠隔操作に基づいて保温機能をオンオフさせるようにしてもよい。
【0064】
このほか、実施の形態では、バーナー12を最小燃焼量で2秒間燃焼させることを間欠的に行って熱交換器13内の湯を保温するようにしたが、熱交換器13内の湯を保温温度範囲に維持できれば、燃焼制御の形態はこれに限るものではない。また、出湯動作の停止後、保温機能を5分間、強制的にオンするようにしたが、その際のオン時間は5分に限るものではない。また所定の操作によって、出湯停止後、5分間の保温動作を有効とするか否かを選択できるようにしてもよいし、当該5分間の保温機能を必ずしも備える必要はない。
【0065】
さらに、実施の形態では、熱交換器13での保温温度を高めに設定し、バイパスミキシングによって設定温度まで湯温を下げて出湯するようにしたが、バイパスミキシング無し、あるいはミキシング比が固定のものであってもよい。ただし、これらの場合には、ミキシング量によって出湯温度を任意に調整できないので、設定温度に応じた的確な温度に熱交換器13の湯を保温しなければならない。なお、給湯器は、実施の形態で示したような1缶2水路型のものに限るものではない。
【0066】
【発明の効果】
本発明にかかる給湯器によれば、通水の無い状態でバーナーを燃焼させて熱交換器内の水を次回の出湯に備えて所定の保温温度範囲内に保温する保温機能を、操作受付部が所定の操作を受け付けたことを契機にオンするようにしたので、出湯前に該当する操作を行っておけば、初回の出湯の当初から設定温度の湯を出すことができ、特に所定の操作が風呂の自動運転を開始する旨の操作であるときは、注湯動作が終了するまで待機してから、前記保温動作を開始するようにしたので、シャワー等の初回の使用当初から、設定温度の湯を出湯することができる。
【0067】
また保温動作の開始以外の他の目的のために用意された何らかの操作が成されたことを契機に保温動作を開始するものでは、出湯される可能性の高いときに的確に保温動作をオンすることができるとともに、専用の操作を必要としないので高い利便性を得ることができる。さらに、操作に対応した準備動作が完了してから保温機能のオンするものでは、操作に応じた適切なタイミングから保温機能をオンすることができる。
【0068】
保温動作開始後、所定時間が経過したときや所定の操作を受け付けたときに保温機能をオフにしたり、各種のセンサーの検知情報に基づいて保温機能をオフにするようにしたので、保温機能が必要とされなくなった適切なタイミングで当該機能を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る給湯器を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る給湯器の有するリモコンユニットを示す正面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る給湯器がキー操作連動モードによって保温機能をオンオフする際の基本的な動作の流れを示す流れ図である。
【図4】自動スイッチの操作が行われた場合に給湯器10の行う動作の流れを示す流れ図である。
【符号の説明】
10…給湯器
12…バーナー
13…熱交換器
21…給湯用パイプ
27…入水サーミスタ
28…出湯サーミスタ
29…熱交サーミスタ
31…追い焚き用循環パイプ
37…水位センサー
40…浴槽
50…制御基盤
51…保温制御部
52…通常燃焼制御部
53…通信部
60…リモコンユニット
61…操作部
62…表示部
63a…アップスイッチ
63b…ダウンスイッチ
64a…優先スイッチ
65…運転スイッチ
66…自動スイッチ
67…呼出スイッチ
68a…あつめスイッチ
68b…うめるスイッチ
69…快適スイッチ
71…電話回線
72…人感センサー
73…外気温センサー
74…光センサー
Claims (12)
- 通水の無い状態でバーナーを燃焼させて熱交換器内の水を次回の出湯に備えて所定の保温温度範囲内に保温する保温機能を備えた給湯器において、
各種の操作を受け付けるための操作受付部と、前記保温機能を実施するための保温動作を制御する保温制御手段とを有し、
前記保温制御手段は、前記操作受付部が所定の操作を受け付けたことを契機に前記保温動作を開始し、前記所定の操作が風呂の自動運転を開始する旨の操作であるときは、注湯動作が終了するまで待機してから、前記保温動作を開始することを特徴とする給湯器。 - 通水の無い状態でバーナーを燃焼させて熱交換器内の水を次回の出湯に備えて所定の保温温度範囲内に保温する保温機能を備えた給湯器において、
各種の操作を受け付けるための操作受付部と、前記保温機能を実施するための保温動作を制御する保温制御手段とを有し、
前記保温制御手段は、前記操作受付部が所定の操作を受け付けたことを契機に前記保温動作を開始し、前記操作を受け付けた時点から今回の操作内容に対応する予め定めた準備動作が必要なときは当該準備動作が完了するまでの間待機した後に前記保温動作を開始し、前記所定の操作が風呂の自動運転を開始する旨の操作であるときは、注湯動作が終了するまで前記保温動作の待機をすることを特徴とする給湯器。 - 前記保温制御手段は、前記保温動作の開始以外の他の目的のための操作であって予め定めた1または2以上の操作のうちのいずれかの操作を受け付けたことを契機に前記保温動作を開始することを特徴とする請求項1または2記載の給湯器。
- 前記保温動作を開始してから所定時間が経過したとき、当該保温動作を停止することを特徴とする請求項1,2または3記載の給湯器。
- 前記保温動作を開始してから所定の操作を受け付けたとき、当該保温動作を停止することを特徴とする請求項1,2または3記載の給湯器。
- 通水の無い状態でバーナーを燃焼させて熱交換器内の水を次回の出湯に備えて所定の保温温度範囲内に保温する保温機能を備えた給湯器において、
各種の操作を受け付けるための操作受付部と、前記保温機能を実施するための保温動作を制御する保温制御手段とを有し、
前記保温制御手段は、前記操作受付部が所定の操作を受け付けたことを契機に前記保温動作を開始し、前記所定の操作が浴槽内の湯温を所定温度低下させるための操作である場合には、浴槽内の温度が所定温度下がるまで非加熱の給水を前記浴槽に注ぎ終えるまでの間、待機した後に保温機能をオンすることを特徴とする給湯器。 - 前記保温機能をオンした当初は、バーナーを最小燃焼量よりも大きい所定の火力で燃焼させて保温温度範囲内に入るまで急速に湯温を上昇させた後、通常の保温動作に入ることを特徴とする請求項6記載の給湯器。
- 前記保温制御手段は、所定時間が経過してから前記保温機能をオフすることを特徴とする請求項6または7記載の給湯器。
- 通水の無い状態でバーナーを燃焼させて熱交換器内の水を次回の出湯に備えて所定の保温温度範囲内に保温する保温機能を備えた給湯器において、
各種の操作を受け付けるための操作受付部と、前記保温機能を実施するための保温動作を制御する保温制御手段とを有し、
前記保温制御手段は、風呂の保温動作の開始と同時に前記保温機能の保温動作を開始することを特徴とする給湯器。 - 前記保温制御手段は、風呂の保温動作が停止した後、所定時間が経過してから前記保温機能をオフすることを特徴とする請求項9記載の給湯器。
- 前記保温動作を停止すべきか否かの判定の基礎になる所定の状態を検知するセンサーを有し、前記保温制御手段は当該センサーの出力を基にして前記保温動作を停止すべきか否かを判定し、その判定結果に従って前記保温動作を停止することを特徴とする請求項1,2,3,6,7または9記載の給湯器。
- 前記センサーとして浴槽の水位を検知するための水位センサーを有し、前記浴槽の水位が一旦上がった後、低下したときにその後所定時間が経過してから前記保温機能をオフにすることを特徴とする請求項11記載の給湯器。
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