JP3638158B2 - 高温差湯機能付給湯器 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、シャワーや洗面台等に使用する一般給湯と、浴槽への自動給湯および高温の湯を供給して浴槽水を昇温させる高温差湯とを行う高温差湯機能付給湯器に関し、更に詳しくは、浴槽への高温差湯を行っている途中に一般給湯を行う場合には燃焼を制御して湯温が下がってからシャワーや洗面台等へ湯を供給するようにした高温差湯機能付給湯器に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、家庭のシャワーや洗面台、台所、浴槽等に湯を供給すると共に、浴槽に既に溜っている水又はぬるま湯を昇温させる役割をも有する給湯器が使用されている。かかる浴槽水の昇温の方法としては、浴槽水を熱交換器に循環させ加熱して浴槽に戻す、いわゆる追い焚きによるものの他、８０℃程度の高温の湯を新たに浴槽に供給し、浴槽水と混合させて昇温させるものもある。後者の方法による昇温操作を高温差湯と呼び、そのような機能を備えた給湯器を高温差湯機能付給湯器という。高温差湯機能付給湯器では、浴槽水の循環加熱を行わないので、追い焚き用燃焼器や循環ポンプの備えを要しないという利点を有している。
【０００３】
従来の高温差湯機能付給湯器の一例を図５に示す。図５に示すものは、基本的に、ガスバーナ６１により加熱される熱交換器６２に、水の供給を受ける入水管６３と出湯管６４とを配し、出湯管６４から分岐して、浴槽６５へ向かう浴槽管６６と蛇口６７へ向かう蛇口管６８とを設けたものである。そして、浴槽管６６と蛇口管６８とにはそれぞれ、水路の開閉及び流量調整を行う水電磁弁７４、７５が設けられている。
また、入水管６３には熱交換器６２への水の流量を検知する流量センサ７１が、出湯管６４には湯の温度を検知する湯温センサ７２が、蛇口管６８には流れの有無を検知するフローセンサ８０が、それぞれ備えられている。更に、ガスバーナ６１に燃料ガスを供給する給ガス管７７には、ガス流量を調節する比例弁７８が設けられている。
【０００４】
この高温差湯機能付給湯器で蛇口６７を開いて一般給湯を使う場合には、水電磁弁７４を閉じ水電磁弁７５を開いて、４０℃程度の湯が蛇口６７に供給されるように比例弁７８が制御される。また、浴槽６５への自動給湯を行うときには、水電磁弁７４を開いて、４２℃程度の湯が浴槽６５に供給されるように比例弁７８が制御される。
【０００５】
浴槽６５の残り湯を昇温させるときには、８０℃程度の高温差湯を行う。即ち、水電磁弁７４を開いて、ガスバーナ６１が最大火力を発生するように比例弁７８が制御される。このとき供給流量が５リットル／分程度の小流量となるように水電磁弁７４の開度が絞られる。流量が大きいとガスバーナ６１の火力との関係で湯温が十分上がらないからである。８０℃程度の湯が残り湯と混合されることにより、浴槽６５の湯温が上昇する。
かかる高温差湯を行っている途中で一般給湯を使う場合、フローセンサ８０が流水を検出すると、まず比例弁７８の開度が絞られガスバーナ６１の火力が弱められ、そして水電磁弁７４が閉じられる。かくして、一般給湯の状態となる。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した従来の高温差湯機能付給湯器には、以下のような問題点があった。
即ち、高温差湯を行っている途中で一般給湯を使うと一般給湯状態に切り替えられるが、熱交換器６２からの出湯温度は直ちに８０℃から４０℃までは下がらない。このため、蛇口６７から最初に、高温の湯が出る場合がある。従って、一般給湯を使用するユーザーが火傷をするおそれがあり、安全性に欠けている。
【０００７】
本発明は、前記従来技術のこのような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、高温差湯使用中に一般給湯を使う場合に、ガス燃焼量を制御し、熱交換器からの出湯温度が一般給湯適温まで下がってから、弁操作して給湯先を切り替えるようにして、一般給湯系への高温の湯の流入を防止し安全性を高めた高温差湯機能付給湯器を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明（１）は、水を加熱する加熱手段と、加熱手段の火力調整をする火力調整手段と、加熱手段からの湯を出力する出湯管と、出湯管に接続された第１給湯配管と、出湯管に接続された第２給湯配管と、出湯管に接続された第３給湯配管とを有する高温差湯機能付給湯器において、前記第１給湯配管に設けられた第１水開閉弁と、前記第２給湯配管に設けられた、前記第１水開閉弁より大流量の第２水開閉弁と、前記第３給湯配管に設けられた通常時開弁されている第３水開閉弁と、前記第３給湯配管に設けられた水流スイッチと、前記第１水開閉弁を開き、前記第２水開閉弁を閉じ、前記火力調整手段に加熱手段の火力を最大にすることを所定時間指示する高温差湯手段と、前記第２水開閉弁を開き、浴槽に入浴適温の湯を自動湯張りする自動湯張り手段と、前記高温差湯手段による給湯制御がなされているときに前記水流スイッチがオンされると、前記第３水開閉弁を閉じ、前記第２水開閉弁を開き、前記火力調整手段に加熱手段の加熱を弱めまたは停止することを指示し、その後に前記第３水開閉弁を開き、前記第２水開閉弁を閉じることを指示する給湯切換手段とを有することを特徴とする高温差湯機能付給湯器。
【０００９】
また、本発明の高温差湯機能付給湯器（２）は、前記給湯切換手段が、前記第３水開閉弁を閉じ、前記第２水開閉弁を開き、前記火力調整手段に加熱手段の加熱を弱めまたは停止することを指示した後、一定時間経過後に前記第３水開閉弁を開き、前記第２水開閉弁を閉じることを指示することを特徴とする前記（１）の構成とされる。
また、本発明の高温差湯機能付給湯器（３）は、前記出湯管に設けられた、前記加熱手段からの出湯温度を検知する出湯温度検知手段を有し、前記給湯切換手段が、前記第３水開閉弁を閉じ、前記第２水開閉弁を開き、前記火力調整手段に加熱手段の加熱を弱めまたは停止することを指示した後、前記出湯温度検知手段の検知温度が所定の値まで下がったときに前記第３水開閉弁を開き、前記第２水開閉弁を閉じることを指示することを特徴とする前記（１）の構成とされる。
【００１０】
また、本発明の高温差湯機能付給湯器（４）は、前記第３給湯配管に設けられた、所定の反転圧以上の水圧を印加されたときにのみ開弁するスナップ弁を有し、そのスナップ弁の反転圧により前記第３給湯配管に流れる流量が、前記水流スイッチがオンされる下限流量以上であることを特徴とする前記（１）乃至（３）のいずれかの構成とされる。
【００１１】
【作用】
このような構成を有する本発明の高温差湯機能付給湯器（１）によれば、高温差湯手段により、第１水開閉弁を開き、第２水開閉弁を閉じ、火力調整手段に加熱手段の火力を最大にすることが指示されると、加熱手段で加熱され高温となった湯が出湯管から第１給湯配管を経て供給される。このときに水流スイッチがオンされると、給湯切換手段が第３水開閉弁を閉じて高温の湯が第３給湯配管に流入するのを防ぎ、第２水開閉弁を開いて高温の湯を第２給湯配管に逃がす。そして火力調整手段に加熱手段の加熱を弱めまたは停止することを指示する。そしてその後に第３水開閉弁を開き、第２水開閉弁を閉じて第３給湯配管に適温の湯を流す。
【００１２】
また、本発明の高温差湯機能付給湯器（２）によれば、給湯切換手段は、第３水開閉弁を閉じ、第２水開閉弁を開き、火力調整手段に加熱手段の加熱を弱めまたは停止することを指示した後、一定時間経過後に第３水開閉弁を開き、第２水開閉弁を閉じることを指示する。
また、本発明の高温差湯機能付給湯器（３）によれば、給湯切換手段は、第３水開閉弁を閉じ、第２水開閉弁を開き、火力調整手段に加熱手段の加熱を弱めまたは停止することを指示した後、出湯温度検知手段の検知温度が所定の値まで下がったときに第３水開閉弁を開き、第２水開閉弁を閉じることを指示する。
また、本発明の高温差湯機能付給湯器（４）によれば、第３給湯配管に設けられたスナップ弁が通常時は閉じており、水圧が所定の反転圧以上となったときにのみスナップ弁が開く。このときには所定の下限流量以上の流量が第３給湯配管に流れ、水流スイッチがオンされる。
【００１３】
【実施例】
以下に、本発明を具体化した実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図１に、本実施例に係る高温差湯機能付給湯器の構成を示す。
図１に示す高温差湯機能付給湯器は、給水管１と出湯管２とが配管される熱交換器３と、この熱交換器３を流れる水を加熱するためのガスバーナ４と、出湯管２から浴槽４１へ高温の湯を供給する差湯配管５と、出湯管２から浴槽４１へ入浴適温の湯を供給する自動給湯配管６と、出湯管２から台所の蛇口や浴室のシャワー等へ湯を供給する一般給湯配管７とを有している。差湯配管５と自動給湯配管６とは、ともに浴槽４１に連通されている。
【００１４】
そして、ガスバーナ４には燃料ガスの流量調整をするガス比例弁８と消火時にガス供給を遮断するガス電磁弁９と燃焼用空気を供給する送風ファン２０とが、給水管１には水流の有無を検知する水流センサ１０と水の最大流量を決定する水ガバナ１１とが、それぞれ設けられている。また、出湯管２には熱交換器３からの出湯温度を測定する出湯サーミスタ１２が、差湯配管５には浴槽４１へ高温差湯するときに開弁される第１水電磁弁１３が、自動給湯配管６には浴槽４１へ自動給湯するときに開弁される第２水電磁弁１４が、それぞれ設けられている。第２水電磁弁１４の開弁時の流量容量は、第１水電磁弁１３の開弁時の流量容量より大きい。そして一般給湯配管７には、所定の反転圧以上の水圧が掛かったときにのみ開弁するスナップ弁１５と、水流の有無を検知する水流スイッチ１６と、蛇口等から高温の湯が出るのを防ぐための第３水電磁弁１７とが設けられている。
【００１５】
更に、水流センサ１０と出湯サーミスタ１２と水流スイッチ１６とから信号を受け、ガス比例弁８、ガス電磁弁９、送風ファン２０、及び第１、第２、第３水電磁弁１３、１４、１７を制御するコントローラ１８を有している。コントローラ１８は、公知のＣＰＵ、ＲＯＭ、ＲＡＭ等により構成される。コントローラ１８のＲＯＭには、後述する給湯切換制御等を行うための種々のプログラムが格納されている。
また、コントローラ１８は、リモコン１９を備えている。リモコン１９により、浴室内や台所等から高温差湯機能付給湯器を遠隔操作することができる。またリモコン１９は、高温差湯機能付給湯器の運転状況を表示するための表示機能や警報機能も有している。
【００１６】
ここで、一般給湯配管７に設けられるスナップ弁１５の構造を図２の断面図を参照して説明する。スナップ弁１５は、入力ポート２２及び出力ポート２３を形成された中空のボディ２１に、底体２４を固定して取り付け、ボディ２１と底体２４とにより弁室２５を区画してなるものである。弁室２５における入力ポート２２の周縁には、弁座２８が形成されている。弁室２５内には、弁体２６が移動可能に設けられている。弁体２６は、底体２４に摺動可能に保持されている。弁体２６には、弁座２８と当接するパッキン２９が取り付けられている。弁体２６と底体２４との間には、板バネ２７が挟持されており、弁体２６を弁座２８に向けて付勢している。
【００１７】
スナップ弁１５は、通常時は板バネ２７の付勢により弁体２６のパッキン２９が弁座２８に当接して閉状態となっている。図２はこの状態を示している。入力ポート２２に印加される水圧と出力ポート２３の背圧との差が所定の値より大きくなると、板バネ２７の付勢に抗して弁体２６が移動し、開状態となる。開状態のスナップ弁１５の断面図を図３に示す。スナップ弁１５が開弁するような圧力差が掛かったときに一般給湯配管７に流れる水量は、水流スイッチ１６をオンされる下限値より大きい。従ってスナップ弁１５が開弁したときには水流スイッチ１６はオンされる。
かかるスナップ弁１５は、入力ポート２２が熱交換器３からの出湯管２に接続され、一方出力ポート２３は、蛇口やシャワー等に至る一般給湯配管７に接続される。
【００１８】
次に、前記の構成を有する高温差湯機能付給湯器の作用を説明する。この高温差湯機能付給湯器の基本的な作用は、給水管１から供給される水を、熱交換器３においてガスバーナ４の熱で加熱して湯とし、差湯配管５又は自動給湯配管６を経て浴槽４１へ、若しくは一般給湯配管７を経て蛇口やシャワー等へ供給することである。かかる湯の供給の切換は、コントローラ１８により、ガス比例弁８、ガス電磁弁９、送風ファン２０、及び第１、第２、第３水電磁弁１３、１４、１７を制御して行われる。ここで、第１、第２水電磁弁１３、１４は、通常時は閉とされ、特定の給湯動作の際にコントローラ１８の指令を受けて開弁される。一方第３水電磁弁１７は、通常時は開とされ、特定の給湯動作の際にコントローラ１８の指令を受けて閉弁される。
【００１９】
まず、空の浴槽４１に入浴適温の湯を自動湯張りする場合を説明する。自動湯張りは、蛇口やシャワー等を閉じた状態でリモコン１９によりコントローラ１８にその旨を指令して行う。この場合には、第２水電磁弁１４を開き水流センサ１０がオンすると、ガスバーナ４の緩点火処理がなされる。そして、出湯サーミスタ１２の検知水温がリモコン１９で設定された入浴適温、例えば４２℃程度となるようにガス比例弁８や送風ファン２０を制御する。かくして、給水管１から供給された水は熱交換器３で４２℃程度に加熱され、自動給湯配管６を経て浴槽４１へ供給される。
【００２０】
このとき第１水電磁弁１３は、閉でも開でもよい。また、第３水電磁弁１７は開とされているが、蛇口等が閉じられておりまたスナップ弁１５が閉であることから、一般給湯配管７には湯は流れない。
かかる自動湯張りは、浴槽４１を満たすのに必要十分なように、予め定められた所定時間が経過するまで、又は予め定められた所定の積算流量に達するまで行われる。自動湯張りが終了すると、第２水電磁弁１４等を閉じて湯の供給を停止し、ガス電磁弁９を閉じてガスバーナ４を消火する。また、自動湯張りの開始時と終了時とには、リモコン１９の表示機能及び警報機能を利用して、その旨が知らされる。
【００２１】
次に、浴槽４１に残り湯があり、高温差湯を行って残り湯を昇温させる場合を説明する。高温差湯は、前記した自動湯張りと同様に蛇口やシャワー等を閉じた状態でリモコン１９によりコントローラ１８にその旨を指令して行う。この場合には、第２水電磁弁１４を閉じ第１水電磁弁１３を開いて水流センサ１０がオンすると、自動湯張りの場合と同様にガスバーナ４の緩点火処理が行われる。そして、出湯サーミスタ１２の検知水温が高温、例えば８０℃程度となるようにガス比例弁８や送風ファン２０を制御する。かくして、給水管１から供給された水は熱交換器３で８０℃程度に加熱され、差湯配管５を経て浴槽４１へ供給される。
【００２２】
ここで第２水電磁弁１４を閉じ、流量の小さい第１水電磁弁１３のみを開いた理由は、熱交換器３に大流量の水が流れると、ガスバーナ４の加熱能力が不足して湯温が十分上がらないからである。また、自動湯張りの場合と同様の理由により、一般給湯配管７には湯は流れない。かかる高温差湯は、予め定められた所定時間行われる。高温差湯が終了すると、第１水電磁弁１３を閉じて湯の供給を停止し、自動湯張りが終了したときと同様にガス電磁弁９を閉じてガスバーナ４を消火する。また、高温差湯の開始時と終了時とには、自動湯張りの場合と同様、リモコン１９の表示機能及び警報機能を利用して、その旨が知らされる。
【００２３】
次に、蛇口等の一般給湯を使用する場合を説明する。一般給湯は、台所の蛇口や浴室のシャワー等を開栓することにより行う。蛇口等を開栓する前は、スナップ弁１５における出力ポート２３の背圧が大きく、入力ポート２２への印加圧との差が小さいので、スナップ弁１５は図２に示す閉状態となっている。蛇口等を開栓すると、出力ポート２３の背圧が消滅し、入力ポート２２への印加圧との差が大きくなり、スナップ弁１５は図３に示す開状態となる。このため給水管１から供給された水は、熱交換器３を経由して一般給湯配管７に供給され、開栓された蛇口等から流出する。
【００２４】
このとき水流センサ１０がオンされるので、コントローラ１８の指令により、ガスバーナ４の緩点火処理が行われ、出湯サーミスタ１２の検知水温が給湯適温、例えば４０℃程度となるようにガス比例弁８や送風ファン２０を制御する。かくして、開栓された蛇口等へ給湯適温の湯が供給される。蛇口等を閉栓すると、水流センサ１０がオフされ、コントローラ１８の指令によりガス電磁弁９を閉じてガスバーナ４を消火する。また、スナップ弁１５の出力ポート２３に背圧が掛かるので、スナップ弁１５は閉状態となる。
【００２５】
かかる高温差湯機能付給湯器においては、高温差湯を行っている途中で蛇口等を開いた場合には、一般給湯を優先して高温差湯を中断する。このため、一旦自動的に第３水電磁弁１７を閉じ、第２水電磁弁１４を開いて熱交換器３における流量を大きくし、ガス燃焼量を制御して、熱交換器３の出湯温度を下げてから第３水電磁弁１７を開く給湯切換ルーチンをコントローラ１８により行う。高温差湯のための高温の湯がそのまま一般給湯配管７に流入し、蛇口等から出て火傷等を起こすのを防ぐためである。この制御を図４のフローチャートを参照して説明する。
【００２６】
この高温差湯機能付給湯器で高温差湯を行っているときには常に、水流スイッチ１６がオンされたか否かが監視されている（Ｓ１）。蛇口等がわずかに開栓された場合には、スナップ弁１５の出力ポート２３の背圧低下が不十分なのでスナップ弁１５が開弁しない。このため蛇口等から高温差湯用の高温の湯が出ることはない。蛇口等が大きく開栓されスナップ弁１５が開弁すると前記のように水流スイッチ１６がオンされる（Ｓ１：Ｙｅｓ）。従ってＳ２に進む。
【００２７】
Ｓ２では、第３水電磁弁１７を閉じ、第２水電磁弁１４を開き、ガス比例弁８でガス量を調整して出湯温度を給湯の設定温度まで下げる。第３水電磁弁１７を閉じるのは、高温差湯のために熱交換器３で高温に加熱された湯がそのまま蛇口等から出るのを防ぐためである。第２水電磁弁１４を開くのは、熱交換器３からの高温の湯を浴槽４１側へ逃がすとともに、熱交換器３を通過する水の流量を増やして温度の低下を速めるためである。なお、蛇口等を開栓してから第３水電磁弁１７が閉じられるまでに若干の水が出るが、これは一般給湯配管７に滞留していたものであり、さほど高温でないので危険はない。またこのとき、高温差湯のための時間のカウントは停止される。また、リモコン１９の表示機能を利用して、高温差湯が中断中である旨が表示される。
【００２８】
Ｓ３では、出湯サーミスタ１２の検知する出湯温度（Ｔ１）が、予め定められた切換温度（Ｔ２）まで下がったか否かを判断する。切換温度Ｔ２は、給湯適温（４０℃程度）又は蛇口等から出湯しても支障のない温度（例えば４３℃程度）であり、コントローラ１８のＲＯＭに記憶された値である。また、リモコン１９により設定することもできる。
出湯温度Ｔ１が切換温度Ｔ２まで下がると（Ｓ３：Ｙｅｓ）、Ｓ４に進む。Ｓ４では、第３水電磁弁１７を開き、第２、第１水電磁弁１４、１３を閉じる。第３水電磁弁１７を開くのは、給湯適温又は支障のない温度となった湯を蛇口等に供給するためである。第２、第１水電磁弁１４、１３を閉じるのは、温度の下がった湯が浴槽４１に流入し続けると高温差湯の目的に反するからである。
【００２９】
そしてＳ５で湯温調整がなされる。湯温調整は、出湯サーミスタ１２の検知水温が給湯適温となるようにガス比例弁８や送風ファン２０を制御して行う。この状態で、水流スイッチ１６がオフされるまで、一般給湯が続けられる。
蛇口等を閉栓すると、水流スイッチ１６がオフされ、Ｓ６でＹｅｓと判断される。このためＳ７に進む。Ｓ７では、中断した高温差湯に残り時間があるか否かを判断する。
残り時間がある場合には（Ｓ７：Ｙｅｓ）、高温差湯の状態に復帰する。このため第１水電磁弁１４を開き、ガス比例弁８を調整して出湯温度を高温にする。このとき、リモコン１９の表示機能及び警報機能を利用して、高温差湯の再開が表示される。残り時間がない場合には（Ｓ７：Ｎｏ）、Ｓ８へ進み、ガス電磁弁９を閉じてガスバーナ４を消火する。
【００３０】
以上でこのルーチンは終了する。このルーチンは、高温差湯の途中で一般給湯を使用した場合のものであるが、自動湯張り給湯の途中で一般給湯を使用した場合にも同様の制御が実行される。
また、このルーチンと逆に一般給湯の使用中にリモコン１９で高温差湯又は自動湯張りを指令した場合には、一般給湯優先のため指令を受け付けないようになっている。若しくは、指令を保留しておき、一般給湯終了後に指令を実行するようにしてもよい。この場合にはリモコン１９の表示機能及び警報機能を利用して、指令が保留されている旨、及び実行される旨を知らせるようにする。
【００３１】
次に、第２の実施例について説明する。第２の実施例は、前記第１実施例とほぼ同様の構成及び作用を有するものであるが、図４で説明した給湯切換ルーチンにおけるＳ３の部分を変更したものである。
即ち、第１実施例のＳ３では出湯サーミスタ１２の検知水温が所定の温度まで下がったときにＳ４へ進むこととしたが、この実施例では予め定められた所定時間待機してＳ４へ進む。待機時間は熱交換器３の出湯温度が、給湯適温（４０℃程度）又は蛇口等から出湯しても支障のない温度（例えば４３℃程度）まで下がるのに必要な時間である。この時間の値は、予めコントローラ１８のＲＯＭに記憶されており、例えば２秒程度である。
【００３２】
以上詳細に説明したように、前記各実施例に係る高温差湯機能付給湯器では、熱交換器３で水を高温に加熱し第１水電磁弁１３を開いて浴槽４１に高温差湯を行なっているときに蛇口やシャワー等の一般給湯が使用されると、一旦第３水電磁弁１７を閉じることとしたので、高温の湯が一般給湯配管７に流入して蛇口等から出ることが防止される。またこのとき、一旦第２水電磁弁１４が開かれるので、高温の湯が浴槽４１に逃がされるとともに、流量が増大して早期に出湯温度が低下する。
【００３３】
そして、出湯サーミスタ１２の検知水温が所定の温度まで下がってから、若しくは所定時間経過してから第１水電磁弁１３及び第２水電磁弁１４を閉じ、第３水電磁弁１７を開くようにしたので、蛇口等からは適温の湯が供給される。また、一般給湯配管７にスナップ弁１５を備えたので、蛇口等を微開状態にした場合でも、高温の湯が出ることはない。かくして、使いやすく、高温差湯等の使用途中に一般給湯を使用したような場合でも安全な高温差湯機能付給湯器が実現されている。
【００３４】
尚、前記実施例は本発明を何ら限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲にいて種々の変形・改良が可能であることはもちろんである。
例えば前記各実施例では、図４のフローにおいて、水流スイッチがオンされたときに（Ｓ１：Ｙｅｓ）、出湯温度を下げるためにガス比例弁８を制御することとしたが、早い応答を望む場合には、一旦ガス電磁弁を閉じて消火し、Ｓ４の後で再点火することとしてもよい。
【００３５】
【発明の効果】
以上説明したことから明かなように、本発明の高温差湯機能付給湯器では、第１水開閉弁を開き、第２水開閉弁を閉じ、火力調整手段により加熱手段の火力を最大にして高温差湯を行なっているときに水流スイッチがオンされると、給湯切換手段が第３水開閉弁を閉じ、第２水開閉弁を開き、火力調整手段に加熱手段の加熱を弱めまたは停止することを指示することとしたので、高温差湯用の高温の湯が蛇口等に出ることはなく安全である。
【００３６】
また、出湯温度検知手段の検知温度が所定の値まで下がってから、又は所定時間経過してから第３水開閉弁を開き、第２水開閉弁を閉じるようにしたので、適温又は支障のない温度まで下がった湯が蛇口等に供給される。また、第３給湯配管に所定の反転圧以上の水圧を印加されたときにのみ開弁するスナップ弁を設けたので、蛇口等を微開状態にした場合でも、高温の湯が出ることはない。
従って、一般給湯系への高温の湯の流入を防止し安全性を高めた高温差湯機能付給湯器を提供でき、その産業上奏する効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例に係る高温差湯機能付給湯器の構成図である。
【図２】スナップ弁の構造を閉状態で説明する断面図である。
【図３】スナップ弁の開状態を説明する断面図である。
【図４】高温差湯機能付給湯器における高温差湯から一般給湯への切換のフローチャートである。
【図５】従来の高温差湯機能付給湯器の概略構成図である。
【符号の説明】
２ 出湯管
３ 熱交換器
４ ガスバーナ
５ 差湯配管
６ 自動給湯配管
７ 一般給湯配管
８ ガス電磁弁
９ ガス比例弁
１２ 出湯サーミスタ
１３ 第１水電磁弁
１４ 第２水電磁弁
１５ スナップ弁
１６ 水流スイッチ
１７ 第３水電磁弁
１８ コントローラ

Claims (4)

1. 水を加熱する加熱手段と、加熱手段の火力調整をする火力調整手段と、加熱手段からの湯を出力する出湯管と、出湯管に接続された第１給湯配管と、出湯管に接続された第２給湯配管と、出湯管に接続された第３給湯配管とを有する高温差湯機能付給湯器において、
   前記第１給湯配管に設けられた第１水開閉弁と、
   前記第２給湯配管に設けられた、前記第１水開閉弁より大流量の第２水開閉弁と、
   前記第３給湯配管に設けられた通常時開弁されている第３水開閉弁と、
   前記第３給湯配管に設けられた水流スイッチと、
   前記第１水開閉弁を開き、前記第２水開閉弁を閉じ、前記火力調整手段に加熱手段の火力を最大にすることを所定時間指示する高温差湯手段と、
   前記第２水開閉弁を開き、浴槽に入浴適温の湯を自動湯張りする自動湯張り手段と、
   前記高温差湯手段による給湯制御がなされているときに前記水流スイッチがオンされると、前記第３水開閉弁を閉じ、前記第２水開閉弁を開き、前記火力調整手段に加熱手段の加熱を弱めまたは停止することを指示し、その後に前記第３水開閉弁を開き、前記第２水開閉弁を閉じることを指示する給湯切換手段とを有することを特徴とする高温差湯機能付給湯器。
2. 前記給湯切換手段が、前記第３水開閉弁を閉じ、前記第２水開閉弁を開き、前記火力調整手段に加熱手段の加熱を弱めまたは停止することを指示した後、一定時間経過後に前記第３水開閉弁を開き、前記第２水開閉弁を閉じることを指示することを特徴とする請求項１に記載の高温差湯機能付給湯器。
3. 前記出湯管に設けられた、前記加熱手段からの出湯温度を検知する出湯温度検知手段を有し、
   前記給湯切換手段が、前記第３水開閉弁を閉じ、前記第２水開閉弁を開き、前記火力調整手段に加熱手段の加熱を弱めまたは停止することを指示した後、前記出湯温度検知手段の検知温度が所定の値まで下がったときに前記第３水開閉弁を開き、前記第２水開閉弁を閉じることを指示することを特徴とする請求項１に記載の高温差湯機能付給湯器。
4. 前記第３給湯配管に設けられた、所定の反転圧以上の水圧を印加されたときにのみ開弁するスナップ弁を有し、
   そのスナップ弁の反転圧により前記第３給湯配管に流れる流量が、前記水流スイッチがオンされる下限流量以上であることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載の高温差湯機能付給湯器。

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