JP3773618B2 - 給湯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所謂瞬間式湯沸器等の給湯装置に関し、特に出湯停止後間もなく再出湯を行う断続使用の際の出湯温度の低下を抑制することのできる給湯装置の燃焼制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱交換器で加熱された通水管中の湯を直接給湯栓に導出して使用する給湯装置においては、一旦出湯を終了して熱交換器部の加熱燃焼を停止した後、すぐ再出湯する断続使用の場合、再出湯時の初期に出湯温度が低下する問題があった。かかる出湯温度の低下現象は、止水直前に通水管に入った冷水が燃焼が停止しているため加熱されず、熱交換器の予熱によっても充分に加熱されないために、冷水のまま通水管内に滞留し、再出湯時に流出する、所謂冷水サンドイッチ現象による。近来、一般家庭において使用する給湯装置は、台所や洗面所の給湯のみではなく浴槽の湯張り等にも使用するため容量の大きい熱交換器を備えており、熱交換器を加熱するバーナの燃焼面積も大きいものを用いざるを得ない。一方、大量の湯を要する浴槽の湯張りから小量の湯量で済む台所の使用まで出湯量の可変領域が拡大するため、従来のガス比例弁による燃焼ガス量の制御のみでは、出湯量に応じて適切な出湯温度の制御を行うことが困難である。
【0003】
従って、複数の燃焼部に分割されたバーナを熱交換器に備え、分割された燃焼部を選択的に燃焼させることによりバーナの燃焼面積を制御して出湯量に応じた出湯温度の制御を行う熱交換器が採用されている。このような熱交換器においては、例えばシャワーを使用する場合、バーナの分割燃焼部の一部のみを燃焼させて使用することとなる。このような一部燃焼の状態のまま、出湯を停止すると、熱交換器に加熱されていない冷却部分が存在したまま燃焼が停止されるため、前述した冷水サンドイッチ現象が顕著となる。しかも、シャワーの場合は使用を中断してすぐ再使用する断続使用の頻度が多く、出湯温度の低下現象は使用者に不快感を与えていた。
【0004】
特開平5−215399号公報には、再出湯時の出湯温度低下防止のため、給湯装置の熱交換器の通水管に近接して凍結防止用に設けられた電気ヒータを利用して、出湯停止後該電気ヒータに通電して、給湯動作を再開するか否かの判定ステップに入り、該ステップで給湯動作を再開しない場合は該電気ヒータを一定時間作動させる制御手段を備える技術が開示されている。しかし、屋内等で使用する給湯装置では凍結防止のヒータを特に設ける必要のない場合も多く、出湯温度低下防止のための電気ヒータは、かなりの容量のヒータを必要とし、コスト的に不利である。更に、電気ヒータの場合は、ヒータ温度が所定温度になるまでの時間が長く応答性が悪いので、出湯停止直後に再出湯する場合は出湯温度の低下を防止できない不都合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の上記不都合に鑑み、複数の燃焼部に分割されたバーナを有する熱交換器を備える給湯装置において、何ら特別な装置を付加することなく、簡単な燃焼制御により再出湯時の冷水サンドイッチ現象による出湯温度低下を防止することのできる給湯装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明においては、複数の燃焼部に分割され、その一部で燃焼可能なバーナを備え、該バーナで加熱された熱交換器を介して湯を直接給湯栓に導出する給湯装置において、給湯を停止する際、バーナの一部での燃焼が定められた時間継続したかを判定し、バーナの一部での燃焼が定められた時間継続したときは、バーナの燃焼を所定時間継続した後に、燃焼を停止する制御手段を備えることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、貯湯タンク等を備えず、熱交換器により加熱された湯を直接給湯栓に導出して使用に供する給湯装置において、バーナの一部燃焼が一定時間継続したかを判定することにより、燃焼停止時の熱交換器の加熱されない冷却部分の存在を判断して、熱交換器の不足の熱量を補うために所定時間燃焼を継続し、断続使用時の冷水サンドイッチ現象を防止することができ、再出湯時の出湯温度が低下することを防止できる。
【0008】
更に、本発明においては、燃焼を継続する前記所定時間は、一部燃焼しているバーナの燃焼面積に応じて決定されることを特徴とする。従って、燃焼を継続する所定時間は、熱交換器の加熱されない冷却部分の大きさに応じて決定されるため、出湯温度の低下を適切に防止できる。
【0009】
更に、本発明においては、前記バーナの一部燃焼は、バーナの全燃焼面積の少なくとも1/2以下の燃焼であることを特徴とする。即ち、熱交換器の1/2以上が加熱されないで冷却状態のまま燃焼を停止した場合に、再出湯時の出湯温度の低下が著しい。従って、少なくともこの状態においては、出湯停止後の燃焼を継続して熱量を補うことにより出湯温度低下の防止を図る。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明を適用する従来公知の給湯装置を模式的に示す説明図、図2は本発明の燃焼制御を示すフローチャートである。
【0011】
図1において、給湯装置1は、熱交換器2と、該熱交換器2によりその一部が加熱される通水管3と、該熱交換器2を加熱する燃焼部を構成するガスバーナ10、燃焼ガスを供給するガス管12、燃焼用空気を供給する燃焼ファン11と、これらを制御する制御手段20とを備える。通水管3は、その上流端から図示しないフィルタ等を介して上水道に接続されて給水され、水量センサ6、止水弁付水量サーボ7を備える。水量センサ6は通水管3の流量を検知して検知信号を制御手段20に送出する。止水弁付水量サーボ7は、電磁開閉弁を備え、浴槽の湯張り時等に通水管3を流れる水の累積水量を計測する機能を有する。通水管3の下流端は図示しない給湯栓に接続され、出湯サーミスタ4を備える。出湯サーミスタ4は出湯温度を検知して検知信号を制御手段20に送出する。8はバイパス路、9はバイパス路8を開閉するバイパス弁である。
【0012】
本実施形態における給湯装置1のガスバーナ10は複数のバーナ部A、B、Cに分割されている。都市ガスまたはガスボンベ等のガス源に接続されるガス管12は、元ガス電磁弁13、ガス比例弁14を介して燃焼ガスを導入し、ガス比例弁14の下流において、分割バーナA、B、Cに燃焼ガスをそれぞれ供給する分岐路12a、12b、12cに分岐する。ガス管12は、まず分割バーナCの分岐路12cと分割バーナA、Bへの分岐路12aに分岐する。分岐路12a、12cはそれぞれ開閉電磁弁15、17を備える。更に、分岐路12aは、開閉電磁弁15の下流において、分割バーナA、Bへの分岐路12a、12bに分岐し、分岐路12bは電磁弁16を備える。18はガスバーナ10の点火を行うスパーカ、19はガスバーナの燃焼を検知するフレームロッドである。
【0013】
制御手段20はマイクロコンピュータを有し、操作手段であるリモコン21のスイッチ等による指示と、水量センサ6や出湯サーミスタ4等センサの検知信号とに基づいて、ガス比例弁14や電磁弁15、16、17等アクチュエータを駆動して出湯温度を制御するためにガスバーナ10の燃焼量を制御する。リモコン21は、使用者が給湯装置に運転を指示し、運転条件を設定する時に用いるリモートコントロール装置で、運転開始と運転停止とを指示する運転スイッチや給湯温度設定スイッチ等のスイッチと、スイッチ操作による設定条件等を表示する表示部とを備える。
【0014】
図2は本実施形態の燃焼制御を示すフローチャートである。図を参照して、燃焼制御に関する給湯装置の作動について説明する。
【0015】
リモコン21の運転スイッチを操作して、出湯温度を設定し給湯装置の運転を開始すると、制御手段20が初期化され、止水弁付水量サーボ7が開弁して給湯の準備が完了する(ステップ1)。水量センサ6の検知信号が所定の点火水量以上かを判定する(ステップ2)。NOの場合はそのまま待機する。給湯栓が開かれて、所定以上の水量が流入すると、ステップ2の判定がYESとなり、給湯点火シーケンスが実行されて、ガスバーナ10が点火される(ステップ3)。リモコン21で設定された出湯設定温度と出湯サーミスタの検知温度の温度差に応じて、ガスバーナ10の燃焼が制御される(ステップ4)。燃焼制御はガス比例弁14及び各分岐路の電磁弁15、16、17の開閉による燃焼ガス量の制御と、燃焼ファン11の回転制御による燃焼空気制御とにより実行される。
【0016】
即ち、ガス比例弁14は、ガス管12に導入する燃焼ガス量を前記温度差に応じて比例制御し、更に、各分岐路の電磁弁15〜17の開閉により分割バーナA〜Cを選択的に燃焼して、ガスバーナ10の燃焼面積を制御する。本実施形態の給湯装置のガスバーナ10の制御は、最小の燃焼量の場合は、電磁弁15を開弁し、電磁弁16、17を閉弁して、ガスバーナ10のほぼ1/4の燃焼面積を占める分割バーナAを点火燃焼させ、ガス比例弁14により導入燃焼ガスを増加した時点で、電磁弁16を開弁して、分割バーナAとほぼ同燃焼面積の分割バーナBに燃焼を拡大する。最大燃焼量を得る場合は、電磁弁17をも開弁して、燃焼面積のほぼ1/2を占める分割バーナCに燃焼を拡大する。逆に燃焼量を減少制御する場合は、ガス比例弁14により導入燃焼ガス量を制御すると共に、まず電磁弁17を閉弁して、ガスバーナ10の燃焼面積をほぼ1/2とし、更に電磁弁16を閉弁して、分割バーナAのみが燃焼する状態となる。
【0017】
かかる燃焼制御は、水量センサ6の検知信号が所定の消火水量以下かを判定する、ステップ5において、NOの間は制御が継続され、給湯栓が閉じられて、判定がYESになると次のステップへ移行する。ステップ6において、電磁弁Cが閉弁かを判定する。即ち、ガスバーナ10が一部燃焼中かが判定される。NOの場合は、ステップ9へ進んで元ガス電磁弁が閉弁されて、燃焼は停止され、燃焼ファンも所定のポストパージの後停止される(ステップ10)。出湯量の少ないシャワー等を使用していた場合は、YESとなり、一部燃焼が定められた時間(例えば30秒)以上継続しているかが判定される(ステップ7)。NOの場合は、ステップ9に移行して燃焼は停止される。YESの場合は、所定時間(例えば、0.5〜1秒間)一部燃焼を継続し(ステップ8)、その後燃焼を停止する(ステップ9、10)。
【0018】
本実施形態の給湯装置の如く、ガスバーナ10が分割バーナA〜Cにより構成されている燃焼部を備えるものにおいては、給湯栓を閉弁して燃焼を停止する直前に分割バーナA〜Cの一部が選択されて燃焼を行う一部燃焼が定められた時間継続した場合、熱交換器2の一部は直接加熱されず、むしろ燃焼ファンの空気流により冷却された状態で燃焼が停止されるため、熱交換器2の一部が冷却されたままとなり、燃焼停止直前に進入する水は、充分に加熱されないまま熱交換器2の冷却部に滞留して、再出湯時に流出するため著しい温度低下の原因となる。常に全面燃焼を行う通常のバーナを有する熱交換器の場合は、燃焼停止時における残存熱量を考慮にいれた熱交換器の設計を行うことにより冷水サンドイッチ現象の対策を行えるが、本実施形態の分割バーナを用いる場合はかかる対策では解決できない。
【0019】
本発明による燃焼制御によれば、給湯栓の止水により給湯装置の加熱燃焼を停止する際、ガスバーナ10の一部燃焼が定められた時間継続したかを判定して、定められた時間一部燃焼が継続した場合は、燃焼を所定時間継続して、ガスバーナ10の全面燃焼時における熱交換器2の残存熱量と同等になるよう熱量を供給するので、燃焼停止直前に進入する水も加熱され、再出湯時冷水のまま流出することがない。
【0020】
また、燃焼を継続する所定時間は、燃焼停止時における一部燃焼の燃焼面積により熱交換器の冷却部面積が変化するので、定められた時間継続したバーナの燃焼面積に応じて決定することが望ましい。更に、本発明によれば、出湯温度と出湯設定温度又は給水温度との差異を検知して、燃焼をフィードバック制御する際、出湯温度の一時的低下に起因する過大燃焼による出湯温度のオーバシュート現象も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の給湯装置を模式的に示す説明図。
【図2】本発明の燃焼制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
2─熱交換器、3─通水路、10─ガスバーナ、11─燃焼ファン、12─ガス管、 20─制御部、21─リモコン。
Claims (3)
- 複数の燃焼部に分割され、その一部で燃焼可能なバーナを備え、該バーナで加熱された熱交換器を介して湯を直接給湯栓に導出する給湯装置において、給湯を停止する際、バーナの一部での燃焼が定められた時間継続したかを判定し、バーナの一部での燃焼が定められた時間継続したときは、バーナの燃焼を所定時間継続した後に、燃焼を停止する制御手段を備えることを特徴とする給湯装置。
- 燃焼を継続する前記所定時間は、一部燃焼しているバーナの燃焼面積に応じて決定されることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
- 前記バーナの一部燃焼は、バーナの全燃焼面積の少なくとも1/2以下の燃焼であることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
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