保温加熱制御が要求されるときとしては、台所にて湯を消費するときや浴用のために湯を消費するときが考えられ、そして、台所にて湯を消費するときには、熱交換器への通水が開始される頻度が高い時間帯となるが、浴用のために湯を消費するときには、必ずしも熱交換器への通水が開始される頻度が高い時間帯とならないため、従来の給湯装置においては、使用勝手の向上を図り難いものであった。
説明を加えると、浴用のために湯を消費するときとして、浴室にてシャワーを使用する場合においては、一旦通水を開始すると、その通水を長時間に亘って継続する傾向にあるため、そのようにシャワーを使用する時間帯は、熱交換器への通水が開始される頻度が少ない時間帯となり、保温加熱制御が行われない時間帯となる虞があった。
そして、浴室にてシャワーを使用するときには、冬季等において入浴者が寒さを感じるのを抑制する等のために、温かい湯によるシャワー浴を迅速に開始できることが望まれるものの、非加熱状態の水が長い時間に亘って給湯されることになって、快適なシャワー浴を行うことができないものとなる虞があった。
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、保温加熱制御を行うことによるエネルギー消費量の削減化を図るようにしながらも、使用勝手の向上を図る点にある。
本発明にかかる給湯装置は、入水路を通して供給される水を加熱手段により加熱して出湯路より給湯する水加熱用の熱交換器と、前記出湯路又は前記熱交換器内の湯水の温度を検出する湯温検出手段と、前記熱交換器への通水が停止している状態において、前記湯温検出手段の検出値が保温用の設定温度範囲内に維持されるように前記加熱手段の作動を制御する保温加熱制御を実行する制御手段とが設けられている給湯装置であって、
前記制御手段が、過去に前記出湯路により実際に給湯された給湯量に対応する時系列的な過去給湯量情報を運転管理用の周期に区分けして管理し、この運転管理用の周期のうち、前記過去給湯量情報に基づいて予測される予測給湯量が予め設定された基準給湯量以上である許可期間において、前記熱交換器への通水が停止している状態で前記保温加熱制御を実行し、かつ、前記運転管理用の周期のうち、前記予測給湯量が前記基準給湯量より小さい牽制期間においては前記保温加熱制御を実行しないように構成されている点にある。
本発明の第1特徴によると、出湯路により実際に給湯された給湯量に対応する時系列的な情報である過去給湯量情報が、例えば、1日を運転管理用の周期として、その運転管理用の周期に区分けして管理され、その管理された過去給湯量情報から予測される予測給湯量に基いて、保温加熱制御を実行する許容期間と実行しない禁止期間とが設定される。つまり、運転管理用の周期のうち予測給湯量が基準給湯量以上である時間帯が許容期間となり、運転管理用の周期のうち予測給湯量が基準給湯量より小さい時間帯が禁止期間となり、許可期間として設定された時間帯おいては保温加熱制御が実行され、禁止期間として設定された時間帯においては保温加熱制御が実行されないことになる。
そして、例えば、台所にて湯を消費するときのように給湯の開始と停止を頻繁に繰り返すことが行われる場合には、夫々の給湯により給湯される給湯量は小さくても、これらの各給湯による給湯量の総量は大きくなり、また、浴用のために湯を消費するときのように一旦給湯が開始されるとしばらくの間給湯が継続する場合には、その1回の給湯による給湯量が大きくなるので、基準給湯量を、これらの給湯量より小さく設定しておくことにより、台所における給湯であっても、浴用による給湯であっても、給湯量が予測給湯量以上となる許可期間であると判断されるので、これらの給湯が行われる時間帯には保温加熱制御が実行されることになる。
このように、本発明の第1特徴構成によると、給湯の開始と停止を頻繁に繰り返すことが行われる時間帯であるか、給湯が長時間継続して行われる時間帯であるかを問わず、予測給湯量が基準給湯量以上である時間帯であれば保温加熱制御を行わせるようにして使用勝手の向上を図ることができ、そして、予測給湯量が基準給湯量より小さいことから保温加熱制御を行う必要がないとされる時間帯には保温加熱制御を行わないようにしてエネルギー消費量の削減化を図ることができるものとなるのであり、要するに、保温加熱制御を行うことによるエネルギー消費量の削減化を図るようにしながらも、使用勝手の向上を図ることができる給湯装置を得るに至った。
本発明の第2特徴構成は、本発明の第1特徴構成において、前記基準給湯量が、変更設定自在に構成されている点にある。
本発明の第2特徴構成によると、基準給湯量を変更設定することができるので、基準給湯量を小さな値に設定して、予測給湯量が少なくても保温加熱制御を行うようにしたり、基準給湯量を大きな値に設定して、予測給湯量が多くても保温加熱制御を行わないようにすることができる。
したがって、例えば、気温が高いため冷水感を受け難い場合には、基準給湯量を大きな値に設定して保温加熱制御をできるだけ実行しないようにしてランニングコストの低減を図ったり、気温が低いため冷水感を受け易い場合には、基準給湯量を小さな値に設定して保温加熱制御をできるだけ実行するようにして、使用者が冷水感を受けることを極力回避させることを図ったりする等、給湯装置の設置環境、使用環境、及び、使用者の好み等、状況に応じた適切な保温加熱制御をすることができる使い勝手の良いものとなる。
このように、本発明の第2特徴構成によると、保温加熱制御を行うことによるエネルギー消費量の削減化を図るようにしながらも、状況に応じた適切な保温加熱制御を行うことができる点で使用勝手よい給湯装置を得るに至った。
本発明の第3特徴構成は、本発明の第2特徴構成において、寒冷期と温暖期とを判別する季節判別手段が設けられ、前記制御手段が、前記季節判別手段により寒冷期であると判別されたときは前記基準給湯量を寒冷期用基準量とし、前記季節判別手段により温暖期であると判別されたときは前記基準給湯量を前記寒冷期用基準量より大きい温暖期用基準量とするように構成されている点にある。
本発明の第3特徴構成によると、使用者が冷水感を受け易い寒冷期には、予測給湯量が寒冷期用基準量以上であるか否かで保温加熱制御を行うか否かが決定され、使用者が冷水感を受け難い温暖期には、予測給湯量が寒冷期用基準量より大きい温暖期用基準量以上であるか否かで保温加熱制御を行うか否かが決定される。
そして、寒冷期には、冷水感を受け易い点を考慮して予測給湯量が温暖期用基準量より小さい寒冷期用基準量以上であれば保温加熱制御を行うので、冷水感を受け易い寒冷期において使用者が冷水感を受けることを極力回避させることができる。また、温暖期には、冷水感を受け難い点を考慮して予測給湯量が寒冷期用基準量より大きい温暖期用基準量以上でなければ保温加熱制御を行わないので、冷水感を受け易い寒冷期では必要であっても冷水感を受け難い温暖期においては必要とされない保温加熱制御を実行しないことにより、無駄なエネルギーが保温加熱制御により消費されること極力回避させることができる。
つまり、寒冷期と温暖期とにおける保温加熱制御の必要度の違いに応じて基準給湯量を異ならせることにより、季節の変化による保温加熱制御の必要度の違いに対応して保温加熱制御を実行させることができ、年間を通して使用者が冷水感を受けることを極力回避して快適性を維持しながら、年間を通して不要なランニングコストを抑制して経済性を向上させることができる。
このように、本発明の第3特徴構成によると、保温加熱制御を行うことによるエネルギー消費量の削減化を図るようにしながらも、使用勝手の向上を図ることができ、しかも、年間を通して冷水感を回避できる快適さを維持しながら一層経済的な運転を行うことができる給湯装置を得るに至った。
本発明の第4特徴構成は、本発明の第1〜第3特徴構成において、前記制御手段が、前記運転管理用の周期を複数の給湯量管理用時間帯に区分けした各時間帯夫々の過去給湯量データを、各給湯量管理用時間帯において設定サンプリング時間毎にサンプリングした前記出湯路より実際に給湯された給湯量についての複数の給湯量データの平均値又は積算値とする形態で、前記運転管理用の周期における前記過去給湯量情報を管理して、各給湯量管理用時間帯について予測される前記予測給湯量が前記基準給湯量以上である給湯量管理用時間帯を前記許可期間とし、且つ、予測される前記予測給湯量が前記基準給湯量よりも少ない給湯量管理用時間帯を前記牽制期間とするように構成されている点にある。
本発明の第4特徴構成によると、運転管理用の周期における管理すべき情報の個数は、運転管理用の周期における給湯管理用時間帯の数となるので、設定サンプリング時間毎にサンプリングした給湯量データの全てのデータを個別に管理する場合よりも少ない個数の過去給湯量データを管理することにより、運転管理用の周期における過去給湯量情報を管理することができるとともに、各給湯量管理用時間帯についての予測給湯量を、個数の少ない過去給湯量データに基づいて予測することができる。
したがって、制御手段の一部を構成する記憶手段が記憶する情報量が少なくなり、記憶手段の効率的な使用ができ、また、予測給湯量を予測するための情報処理量が少なくなり、制御手段における情報処理についての負荷が低減できる等、制御手段が有するリソースの有効利用を図ることができる。
このように、本発明の第4特徴構成によると、保温加熱制御を行うことによるエネルギー消費量の削減化を図るようにしながらも、使用勝手の向上を図ることができ、しかも、制御手段のリソースの有効利用を図ることができる給湯装置を得るに至った。
本発明の第5特徴構成は、本発明の第1〜第4特徴構成において、前記制御手段が、前記運転管理用の周期を複数の給湯頻度管理用時間帯に区分けした各時間帯夫々の過去給湯頻度情報を、各給湯頻度管理用時間帯において前記出湯路より実際に給湯された給湯回数に基づいて管理して、各給湯頻度管理用時間帯について前記過去給湯頻度情報に基いて予測される予測給湯頻度が基準給湯頻度以上である給湯頻度管理用時間帯においては、前記牽制期間においても前記保温加熱制御を実行するように構成されている点にある。
本発明の第5特徴構成によると、各給湯頻度管理用時間帯において前記出湯路より実際に給湯された給湯回数に基づいて管理される過去給湯頻度情報に基づいて予測給湯頻度が予測され、予測給湯頻度が基準給湯頻度以上である給湯頻度が高いと予測される給湯頻度管理用時間帯には、予測給湯量が基準給湯量に満たないため牽制期間となる場合でも、保温加熱制御が実行されるので、予測される給湯量が少なくても予測される給湯頻度が高い時間帯には、保温加熱制御を行うようにすることができる。
したがって、例えば、極少量の給湯量による給湯が繰り返し行われる場合のように、僅かな出湯量しか予測されない期間であっても、予測される給湯の回数が多い時間帯には、保温加熱制御を行うことができる。つまり、保温加熱制御が要求される時期をできるだけ適確に把握して、保温加熱制御が要求される時期に確実に保温加熱制御を行うことができる。
このように、本発明の第5特徴構成によると、保温加熱制御を行うことによるエネルギー消費量の削減化を図るようにしながらも、使用勝手の向上を図ることができ、しかも、予測給湯量に加えて予測給湯頻度に基づいて保温加熱制御を行うか否かを決定することで、保温加熱制御が要求される時期に確実に保温加熱制御を行うことができる給湯装置を得るに至った。
本発明の給湯装置の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、給湯装置は、供給される水を加熱して図示しない温水供給箇所(例えば、台所、浴室、洗面所等)に配設された給湯栓に給湯する給湯部K、この給湯部Kの動作を制御する制御手段としての制御部H、この制御部Hに動作情報を指令するリモコン操作部R等を備えて構成されている。
給湯部Kは、燃焼室1内に、水加熱用の熱交換器2、この熱交換器2を加熱する加熱手段としてのガス燃焼式のバーナ3、このバーナ3に燃焼用空気を通風するとともに、その通風量を変更調整自在なファン4等が備えられ、前記熱交換器2には、例えば家庭用の水道等から水が供給される入水路5、加熱後の湯を給湯栓に出湯する出湯路6が夫々接続され、入水路5には、熱交換器2への通水量を検出する通水量検出手段としての通水量センサ7、入水温度を検出する水温検出手段としての入水温サーミスタ8が夫々備えられ、出湯路6には出湯温度を検出する出湯温サーミスタ9が備えられている。また、熱交換器2内の湯水の温度を検出する湯温検出手段としての保温用湯温サーミスタ20が設けられている。
通水量センサ7は、給湯が開始されて熱交換器2に通水が行われると、入水路5を熱交換器2へ流れる水の単位時間当たりの流量(例えば[cm3/s])に比例した正の値を示す電圧信号(例えば[mV])が出力される電圧出力式のアナログセンサである。なお、給湯が行われずに入水路5における通水が停止している状態であれば、通水量センサ7の出力電圧は0[mV]である。
バーナ3に対する燃料供給路10には、燃料供給を断続する電磁操作式の断続弁11、燃料供給量(バーナ3の燃焼量)を変更調節自在な燃焼量調節手段としての電磁操作式のガス量調節弁12が備えられ、また、バーナ3の近くには、バーナ3に対する点火動作を行うイグナイタ13と、バーナ3に着火されたか否かを検出するフレームロッド14とが夫々備えられている。
リモコン操作部Rは、給湯部Kの運転の開始及び停止を指令する運転スイッチ15、出湯用の目標温度を変更設定自在な目標温度設定手段としての温度設定スイッチ16、出湯温度や目標温度等を表示する表示部17、運転状態であることを表示する運転ランプ18、バーナ3が燃焼状態であることを表示する燃焼ランプ19等を備えて構成されている。
制御部Hは、マイクロコンピュータを備えて構成され、給湯中において通常燃焼制御を実行する通常燃焼制御手段100、給湯待機中において保温燃焼制御(本発明の保温加熱制御に相当)を実行する保温燃焼制御手段101、前記保温燃焼制御による制御動作の実行を牽制する保温制御牽制手段102の夫々がプログラム形式で備えられており、各プログラムは、記憶手段103に設けられたプログラムメモリMPに格納されている。
制御部Hは、図6のフローチャートに示すような制御動作を行う。まず、ステップ#B1のデータ管理処理では、過去の給湯実績についての情報に基づいて、後述する予測給湯量Q(1)〜Q(24)及び予測給湯頻度F(1)〜(48)を算出し、これらに基づいて、一日における各時間帯(詳しくは後述するが、本実施形態では1日を48分割した連続するTf(1)〜Tf(48)の48個の時間帯がある。)に対応する保温牽制フラグFLG(1)〜FLG(48)の値を設定する。このデータ管理処理は、1日に1回だけ実行され、その実行時に上述のように1日分の保温牽制フラグFLG(1)〜FLG(48)の値を設定する。
ステップ#B2及びステップ#B3で、運転スイッチ15のON/OFF状態及び通水量センサ7の検出情報に基づいて、運転状態であるか否か、さらに、運転状態であれば、通水状態であるか否かがチェックされる。そして、運転状態において通水が行われていれば、ステップ#B4の通常燃焼制御が実行され、運転状態において通水が行われていなければ、ステップ#B5の保温燃焼制御が行われる。
通常燃焼制御手段100は、給湯部Kが運転状態に設定されている状態で、熱交換器2への通水が開始されるに伴ってバーナ3の燃焼を開始して、熱交換器2への通水が停止されるに伴ってバーナ3の燃焼を停止させるように制御するとともに、熱交換器2への通水が検出されているときには、出湯温度が目標温度になるようにバーナ3の燃焼量を調節する通常燃焼制御を実行するように構成されている。
具体的には、通常燃焼制御において制御部Hは次のような制御動作を実行する。つまり、給湯栓の開操作に伴って通水量センサ7にて検出される通水量が設定量を超えて熱交換器2への通水状態が検出されると、ファン4による通風作動を開始し、且つ、断続弁11を開弁させてガス量調節弁12を点火用ガス量になるように開弁調整するとともに、イグナイタ13によってスパークを発生してバーナ3への点火動作を開始し、フレームロッド14によって着火状態が検出されるとイグナイタ13による点火動作を終了する。そして、入水温サーミスタ8、出湯温サーミスタ9、通水量センサ7夫々の検出情報、及び、温度設定スイッチ16にて設定されている目標温度の情報に基づいて、出湯温度を目標温度にするために必要なバーナ3の燃焼量を演算にて求め、求められた燃焼量に対応するガス量になるようにガス量調節弁12を調整制御するとともに、ファン4の通風量が調整ガス量に対して適正燃焼状態になるようにファン4の通風量を調整制御するのである。このようにして、出湯路6からは目標温度の湯が給湯されることになる。
また、保温燃焼制御手段101は、給湯が停止されている待機状態、つまり、熱交換器2への通水が停止している状態において、保温燃焼開始用の設定条件が満たされるとバーナ3の燃焼を開始させ、保温燃焼停止用の設定条件が満たされるとバーナ3の燃焼を停止させる保温燃焼制御を実行するように構成されている。
具体的には、保温燃焼制御において制御部Hは次のような制御動作を実行する。つまり、図2のフローチャートに示すように、熱交換器2への通水が停止している状態において、ステップ#A1において、保温制御牽制手段102により値が制御される保温牽制フラグFLG(1)〜FLG(48)のうち、現在時刻が属する時間帯(後述する時間帯パラメータjにより指定される。)に対応する保温牽制フラグFLG(j)値がチェックされる。保温牽制フラグFLG(j)の値が「1」である時間帯においては、ステップ#A2〜ステップ#A5の処理は実行されない。
保温牽制フラグFLG(j)の値が「0」である時間帯においては、ステップ#A1でNoと判別されるので、ステップ#A2の処理が実行される。保温用湯温サーミスタ20の検出値が保温燃焼開始用の設定下限値(例えば、55℃)以下になると、ステップ#A2でYesと判別されステップ#A3へ移行し、バーナ3の燃焼が開始される。そして、保温用湯温サーミスタ20の検出値が保温燃焼停止用の設定上限値(例えば、60℃)以上になると、ステップ#A4で保温燃焼停止用の条件が満たされたものと判別されて、ステップ#A5で燃焼が停止される。
なお、以下の説明では、フラグの値が「1」となっている状態を「フラグが立っている」といい、フラグの値が「0」となっている状態を「フラグが立っていない」ということがある。また、フラグの値を「0」から「1」に変更設定することを「フラグを立てる」といい、フラグの値を「1」から「0」に変更設定することを「フラグを消す」ということがある。
このように、保温燃焼制御手段101は、保温用湯温サーミスタ20の検出値が保温用の設定温度範囲(例えば、55℃〜60℃)内に維持されるようにバーナ3の作動を制御する保温燃焼制御を実行するように構成されており、給湯待機状態において給湯装置内部の湯路における湯温が低下するのを防止して、再出湯時に、極力、早く目標温度の湯を出湯させることができるように構成されている。
次に、保温制御牽制手段102について説明する。保温制御牽制手段102は、直近21日(3週間)分の給湯実績についての時系列的な情報(本発明の「過去給湯量情報」及び「過去給湯頻度情報」に相当)を運転管理用の周期としての1日ずつに区分けして管理し、日付が切換わると、つまり、午前零時になると、日付が切換わった後の日の1週間前の日、2週間前の日、3週間前の日(いずれの日も、日付が切換わった後の日と同一曜日となる)の給湯実績についての時系列的な情報に基づいて、日付が切換わった後の日における各給湯量管理用時間帯Tq(1)〜Tq(24)についての予測給湯量Q(1)〜Q(24)(以下、各予測給湯量Q(i)ともいう。「i」は各給湯量管理用時間帯Tq(1)〜Tq(24)に対応した値として1〜24の整数値を取るパラメータである。)、及び、日付が切換わった後の日における各給湯頻度管理用時間帯Tf(1)〜Tf(48)についての予測給湯頻度F(1)〜F(48)(以下、予測給湯頻度F(j)ともいう。「j」は各給湯量管理用時間帯Tf(1)〜Tf(48)に対応した値として1〜48の整数値を取るパラメータである。)を予測し、予測した予測給湯量Q(i)が基準給湯量Qs以上となる時間帯(本発明の「許容期間」に相当)、及び、予測した予測給湯量Q(i)が基準給湯量Qs未満となる時間帯(本発明の「牽制期間」に相当)であっても予測した予測給湯頻度F(j)が基準給湯頻度Fs以上となる時間帯だけ保温燃焼制御による制御動作の実行を許容し、それ以外の時間帯は保温燃焼制御による制御動作の実行を牽制するべく、上記給湯頻度管理用時間帯Tf(1)〜Tf(48)のそれぞれに対応して設けられた各保温牽制フラグFLG(1)〜FLG(48)(以下、各保温牽制フラグFLG(j)ともいう。各保温牽制フラグFLG(j)の初期値は「0」である。)の値を制御するように構成されている。
なお、図3に示すように、各給湯量管理用時間帯Tq(1)〜Tq(24)(以下、各給湯量管理用時間帯Tq(i)ともいう。)の長さは、本実施形態では1時間に設定されており、例えば、給湯量管理用時間帯Tq(1)は午前0時〜午前1時の1時間、給湯量管理用時間帯Tq(2)は午前1時〜午前2時の1時間、給湯量管理用時間帯Tq(24)は午後11時〜午後12時(午前0時)の1時間を示す。また、各給湯頻度管理用時間帯Tf(1)〜Tf(48)(以下、各給湯頻度管理用時間帯Tf(j)ともいう。)の長さは、本実施形態では30分に設定されており、例えば、給湯頻度管理用時間帯Tf(1)は午前0時〜午前0時30分の30分間、給湯頻度管理用時間帯Tf(2)は午前0時30分〜午前1時の1時間、給湯頻度管理用時間帯Tf(48)は午後11時30分〜午後12時(午前0時)の1時間を示す。
各給湯量管理用時間帯Tq(i)は、上記のように、各給湯頻度管理用時間帯Tf(j)の倍の長さに設定されているため、ある給湯量管理用時間帯Tq(i)には、給湯頻度管理用時間帯Tq(j)及び給湯頻度管理用時間帯Tq(j+1)の2つの時間帯が対応し、保温牽制フラグFLG(j)及び保温牽制フラグFLG(j+1)の2つのフラグが対応する。例えば、午前2時〜午前3時の時間帯を示す給湯量管理用時間帯Tq(3)には、午前2時〜午前2時30分の時間帯を示す給湯頻度管理用時間帯Tq(5)及び午前2時30分〜午前3時の時間帯を示す給湯頻度管理用時間帯Tq(6)の2つの時間帯が対応し、保温牽制フラグFLG(5)及び保温牽制フラグFLG(6)の2つのフラグが対応する。このように、給湯量管理用時間帯Tq(i)と給湯頻度管理用時間帯Tf(j)とが、j=2i―1の関係となる時間帯は同じ時刻に開始される時間帯を指すことになる。
つまり、保温制御牽制手段102は、出湯路6により実際に給湯された給湯量に対応する時系列的な過去給湯量情報を1日ずつに区分けして管理し、1日のうち、過去給湯量情報に基づいて予測される、各給湯量管理用時間帯Tq(i)における予測給湯量Q(i)が、予め設定された基準給湯量Qs以上である許可期間において保温燃焼制御が実行され、かつ、1日のうち、各給湯量管理用時間帯Tq(i)における予測給湯量Q(i)が基準給湯量Qsより小さい牽制期間においては保温燃焼制御が実行されないように、対応する時間帯の保温牽制フラグFLG(j)及び保温牽制フラグFLG(j+1)の値を制御するように構成され、さらに、保温制御牽制手段102は、過去給湯量情報に基づいて予測される、各給湯頻度管理用時間帯Tf(j)における予測給湯頻度F(j)が基準給湯頻度Fs以上である時間帯においては、予測給湯量Q(i)が基準給湯量Qsより小さいために牽制期間とされた給湯量管理用時間帯Tq(i)においても、保温燃焼制御が実行されるように各保温牽制フラグFLG(j)の値を制御するように構成されている。
説明を加えると、保温制御牽制手段102は、各給湯量管理用時間帯Tq(i)において通水量センサ7の検出情報を図3に示すサンプリング周期Ts(本発明の設定サンプリング周期に相当。本実施形態ではTs=1[秒]に設定されている。)ごとにサンプリングして取得されるd(1)〜d(3600)からなる3600個の給湯量データd(n)の積算値とする形態で、毎日の給湯量管理用時間帯Tq(i)夫々についての過去給湯量データDq(1)〜Dq(24)(以下、過去給湯量データDq(i)ともいう。)を管理して、過去給湯量データDq(i)に基づいて予測される各給湯量管理用時間帯Tq(i)における予測給湯量Q(i)が基準給湯量Qs以上である給湯量管理用時間帯Tq(i)に対応する保温牽制フラグFLG(j)及びFLG(j+1)を立てないことで許可期間とし、且つ、予測される予測給湯量Q(i)が基準給湯量Qsよりも少ない給湯量管理用時間帯Tq(i)についての保温牽制フラグFLG(j)及びFLG(j+1)を立てることで牽制期間とするように構成されている。
そして、保温制御牽制手段102は、サンプリング周期Ts毎に取得する給湯量データd(n)の値が「0」から「0」でない値に変化した場合に給湯が開始されたと判別することにより、毎日の給湯頻度管理用時間帯Tq(j)における給湯開始回数を、時系列的な過去給湯頻度データDf(1)〜Df(48)(以下、過去給湯頻度データDf(j)ともいう。)として1日ずつに区分けして管理し、過去給湯頻度データDf(j)に基づいて予測される各給湯頻度管理用時間帯Tf(j)における予測給湯頻度F(j)が基準給湯頻度Fs以上である給湯頻度管理用時間帯Tf(j)に対応する保温牽制フラグFLG(j)を消すことで、予測給湯量Q(i)が基準給湯量Qsより小さいために牽制期間とされた給湯量管理用時間帯Tq(i)においても、当該給湯頻度管理用時間帯Tf(j)においては例外的に保温燃焼制御を許可するように構成されている。
記憶手段103は、図1に示すように、上記したプログラム形式の保温燃焼制御手段101及び保温制御牽制手段102を格納するプログラムメモリMPの他、演算対象のデータや各種フラグを格納するデータメモリMDを備えている。データメモリMDには、図4及び図5に示すように、21日分の給湯量情報を日別に区分けして記憶するための21個のメモリ空間Mq(1)〜Mq(21)、及び、21日分の給湯頻度情報を日別に区分けして記憶するための21個のメモリ空間Mf(1)〜Mf(21)が確保されている。
そして、給湯量情報を記憶するための各メモリ空間Mq(1)〜Mq(21)の夫々は、給湯量管理用時間帯Tq(i)の数、即ち、24個のアドレスを備えており、各給湯量管理用時間帯Tq(i)に対応させて時系列に過去給湯量データDq(i)を記憶するように構成されている。また、給湯頻度情報を記憶するための各メモリ空間Mf(1)〜Mf(21)の夫々は、給湯頻度管理用時間帯Tf(i)の数、即ち、48個のアドレスを備えており、各給湯頻度管理用時間帯Tf(i)に対応させて時系列に過去給湯頻度データDf(i)を記憶するように構成されている。
過去給湯量データDq(i)及び過去給湯頻度データDf(i)が記憶されるメモリ空間は、メモリ空間ポインタPwの値により指定される。メモリ空間ポインタPwの値は、現実的には、各過去給湯量データ用メモリ空間Mq(1)〜Mq(21)の先頭アドレス値の値や、各過去給湯頻度データ用メモリ空間Mf(1)〜Mf(21)の先頭アドレス値の値を指定するものであるから、2つの異なる値が必要になるが、説明の便宜のため、メモリ空間ポインタPwの値は具体的なアドレス値を指すものではなく、各過去給湯量データ用メモリ空間Mq(1)〜Mq(21)及びこれと同じ日の過去給湯頻度データ用メモリ空間Mf(1)〜Mf(21)といった、複数アドレス(24個及び48個)からなるメモリ空間の全体を指すものとして1〜21の値をとるものとする。
例えば、図5に示すように、Pw=12であるときに指定されるメモリ空間は、過去給湯量データ用メモリ空間Mq(12)及び過去給湯頻度データ用メモリ空間Mq(12)であるといったように、両メモリ空間の大きさによらず、同じメモリ空間ポインタPwの値は、同じ日の過去給湯量データDq(i)及び過去給湯頻度データDf(i)の夫々についてのメモリ空間を指すものとする。
そして、メモリ空間ポインタPwの値は、図6のステップ#B1のデータ管理処理において毎日インクリメントされる。これにより、日付が切換わった後の日についての過去給湯量データDq(i)及び過去給湯頻度データDf(i)が格納される過去給湯量データ用メモリ空間Mq(Pw)及び過去給湯頻度データ用メモリ空間Mf(Pw)は、更新前、つまり、前日のメモリ空間ポインタPwにより指定されるものから異なるメモリ空間に変更される。
なお、メモリ空間ポインタPwの値は21日毎に同じ値となるように周期的に変化するようになっており、給湯装置の運転が最初に開始されてから十分な日数(具体的には21日)が経過した後には、更新された後のメモリ空間ポインタPwが示す過去給湯量データ用メモリ空間Mq(Pw)及び過去給湯頻度データ用メモリ空間Mf(Pw)の夫々には、21日前の1日分の過去給湯量データDq(i)及び過去給湯頻度データDf(i)が格納されていることになる。
このため、更新された後のメモリ空間ポインタPwが示す過去給湯量データ用メモリ空間Mq(Pw)及び過去給湯頻度データ用メモリ空間Mf(Pw)に格納された3週間前の日についてのデータが当日の過去給湯量データDq(i)及び過去給湯頻度データDf(j)により上書きされる形態で、日々の過去給湯量データDq(i)及び過去給湯頻度データDf(j)が記録される。
したがって、少なくとも、日付が切換わって最初の30分が経過した時点で生成されるデータである過去給湯頻度データDf(1)が生成されるまでに、データ管理処理による牽制フラグFLG(1)〜FLG(48)の設定を完了させることが好ましい。なお、本実施形態では、テータ管理処理は、給湯量管理用時間帯Tq(1)、つまり、日付が変わって最初の1時間である午前0時〜午前1時の時間帯において最初にサンプリングされた給湯量データd(1)についての給湯実績記録処理が完了した後に、次のサンプリングまでのアイドル時間を利用して実行される。
以上説明したように、保温制御牽制手段102により制御される保温牽制フラグFLG(j)により、保温燃焼制御手段101による保温燃焼制御における制御動作が牽制されるので、過去3週間の同一曜日における1時間毎の給湯量データDq(i)に基づいて予測される予測給湯量Q(i)が基準給湯量Qsより少ない時間帯は、保温燃焼制御の必要性が少ない牽制期間であるとして、保温燃焼制御手段101による保温燃焼制御の制御動作は行われず、また、そのような牽制期間においても、過去3週間の同一曜日における30分毎の給湯頻度データDf(j)に基づいて予測される予測給湯頻度F(j)が基準給湯頻度Fsより多い時間帯は、保温燃焼制御の必要性が有るとして保温燃焼制御手段101による保温燃焼制御の制御動作が許容されるようになっている。
このように、本実施形態では、制御装置Hは、1日のうち、各給湯量管理用時間帯Tq(i)について予測される予測給湯量Q(i)が基準給湯量Qs以上である給湯量管理用時間帯Tq(i)において保温燃焼制御を実行し、かつ、前記予測給湯量Q(i)が基準給湯量Qsより小さい給湯量管理用時間帯Tq(i)においては、保温燃焼制御を実行しないように構成されており、さらに、牽制期間においても、各給湯頻度管理用時間帯Tf(j)について予測される予測給湯頻度F(j)が基準給湯頻度Fs以上である給湯頻度管理用時間帯Tf(j)においては、保温燃焼制御を実行するように構成されており、これにより、保温加熱制御を行うことによるエネルギー消費量の削減化を図るようにしながらも、使用勝手の向上を図っている。
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、基準給湯量Qs及び基準給湯頻度Fsの値が予め設定された値としたものを例示したが、これに代えて、基準給湯量Qs又は基準給湯頻度Fsが、変更設定自在に構成されているものでもよい。
(2)上記(1)の例として、例えば、入水温サーミスタ8が検出する入水路5内の水温や、マイクロコンピュータが備えるカレンダー情報等に基づいて、寒冷期と温暖期とを判別する季節判別手段が設けられ、制御装置Hが、季節判別手段により寒冷期であると判別されたときは基準給湯量Qsを寒冷期用基準量Qscとし、季節判別手段により温暖期であると判別されたときは基準給湯量Qsを寒冷期用基準量Qscより大きい温暖期用基準量Qswとする基準給湯量修正処理を実行するように構成されたものでもよい。
(3)上記実施形態では、湯温検出手段が保温用湯温サーミスタ20で構成されたものを例示したが、これに限らず、例えば、保温用湯温サーミスタ20を設けず、湯温検出手段を出湯温サーミスタ9で構成したものでもよい。
(4)上記実施形態では、制御装置Hが、給湯量管理用時間帯Tq(i)における給湯量データd(1)〜d(3600)の値の積算値を過去給湯量データDq(i)として管理するものを例示したが、これに代えて、給湯量データd(1)〜d(3600)の平均値を過去給湯量データDq(i)として管理するものでもよい。
(5)上記実施形態では、実際に給湯された給湯量に対応する時系列的な過去給湯量情報が、出湯路6から実際に給湯された給湯量についての1秒ごとにサンプリングした給湯量データd(n)から得られるものを例示したが、これに代えて、前記過去給湯量情報が、燃料供給路10から実際にバーナ3に供給された燃料供給量についての設定サンプリング時間ごとにサンプリングした燃料供給量データから得られるものでもよい。
(6)上記実施形態では、保温制御牽制手段102が、日付が切換わったときに、つまり、毎日午前零時に、日付が切換わった後の日の曜日と同一の曜日である過去3日分の給湯量情報及び給湯頻度情報に基づいて、その日の各給湯量管理用時間帯Tq(i)における予測給湯量Q(i)及び各給湯頻度管理用時間帯Tf(j)における予測給湯頻度F(j)を予測して、保温燃焼制御の必要性を保温牽制フラグFLG(j)に反映させるように構成されたものを例示したが、これに代えて、日付が切換わる前に、次の日の各給湯量管理用時間帯Tq(i)における予測給湯量Q(i)及び各給湯頻度管理用時間帯Tf(j)における予測給湯頻度F(j)を予測して、データメモリMDの所定のメモリ空間に翌日用の保温牽制フラグFLG(i)を記憶させるように構成されたものでもよい。
また、各給湯量管理用時間帯Tq(i)における予測給湯量Q(i)及び各給湯頻度管理用時間帯Tf(j)における予測給湯頻度F(j)を、夫々に対応する時間帯が開始される直前に予測して、当該給湯量管理用時間帯Tq(i)時間帯及び給湯頻度管理用時間帯Tf(j)における保温燃焼制御の制御動作の可否について判断するように構成されたものでもよい。
さらに、各給湯量管理用時間帯Tq(i)についての予測給湯量Q(i)や、各給湯頻度管理用時間帯Tf(j)についての予測給湯頻度F(j)を、直近5日の夫々の日についての各過去給湯量データDq(i)や各過去給湯頻度データDf(j)のように、連続する過去日についての過去給湯量データDq(i)や過去給湯頻度データDf(j)に基づいて予測するように構成されたものでもよいし、単純に前日の過去給湯量データDq(i)や過去給湯頻度データDf(j)に基づいて予測するように構成されたものでもよい。
(7)上記実施形態では、運転管理用の周期が1日であるものを例示したが、これに代えて、運転管理用の周期が1週間であるものや4週間であるものでもよい。
(8)上記実施形態では、給湯量管理用時間帯Tq(i)の長さが1時間、給湯頻度管理用時間帯Tf(j)の長さが30分であるものを例示したが、これに限らず、例えば、給湯量管理用時間帯Tq(i)及び給湯頻度管理用時間帯Tf(j)の長さがいずれも1時間であってもよく、給湯量管理用時間帯Tq(i)及び給湯頻度管理用時間帯Tf(j)の長さは適宜変更可能である。
(9)上記実施形態では、設定サンプリング時間としてのサンプリング周期Tsが1秒であるものを例示したが、例えば、1分毎にサンプリングする等、設定サンプリング時間の長さは適宜変更可能である。
(10)上記実施形態では、加熱手段がバーナ3で構成されたものを例示したが、これに代えて、加熱手段を電熱ヒータで構成する等、加熱手段の構成は適宜変更可能である。