JP3900862B2 - プリント基板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁基材に形成されたビアホール内に充填された導電ペーストにより、複数の導体パターン層の層間接続を行なうプリント基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、絶縁基材に形成されたビアホール内に、例えば、金属粒子と有機溶剤とにバインダ樹脂成分を添加した導電ペーストを充填し、このビアホール内に充填された導電ペーストにより、複数の導体パターン層の層間接続を行なうプリント基板の製造方法がある。
【0003】
このようなプリント基板の製造方法においては、導電ペーストをビアホールに充填するときに、導電ペーストがビアホール以外の絶縁基材表面に付着しないように、ビアホールの導電ペースト充填入口側となる絶縁基材の表面に保護フィルムを形成し、ビアホール内に導電ペーストを充填して有機溶剤を乾燥した後に、絶縁基材から保護フィルムを剥離する方法が知られている。
【0004】
また、この方法に用いる保護フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂等からなるフィルムの片面に、熱硬化性もしくは紫外線硬化性の粘着剤層が設けられたものがある。これらの保護フィルムは、加熱もしくは紫外線照射により粘着剤層の粘着力を低下させることにより、絶縁基材への保護フィルム形成時には強力に粘着し、保護フィルム剥離前に加熱もしくは紫外線照射することにより、剥離時には容易に剥離できるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術では、層間接続の信頼性を向上するために、バインダ樹脂成分を含有しない金属含有率が極めて高い導電ペースト(例えば、金属粒子と有機溶剤のみからなる導電ペースト、もしくはこれらに僅かな樹脂成分のみを添加した導電ペースト)を採用した場合には、保護フィルム剥離時に、有機溶剤を乾燥した導電ペーストの保形性が不充分であり、導電ペーストが崩れ易いという問題がある。
【0006】
例えば、図5(a)に示すように、まず、絶縁基材である樹脂フィルム123の表面に、樹脂フィルム182の片面に熱硬化性の粘着剤層183を有する保護フィルム181を貼着した後ビアホール124を形成し、このビアホール124内に金属粒子と有機溶剤のみからなる導電ペースト150を印刷充填する。次に、これを加熱して粘着剤層183を硬化するとともに、導電ペースト150中の有機溶剤を乾燥する。
【0007】
そして、図5(b)に示すように、粘着剤層183の粘着力が低下した保護フィルム181を樹脂フィルム123から剥離するときに、金属粒子間の有機溶剤が乾燥することで脆くなった導電ペースト150は、一部が保護フィルム181とともに持ち去られたり、崩壊して樹脂フィルム123上に落下したりする。
【0008】
樹脂フィルム上に落下した導電ペースト150aは、落下位置によっては導体パターンの絶縁不良という不具合を引き起こす場合がある。
【0009】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、保護フィルムを用いてビアホール内に充填する導電ペーストの金属含有率が極めて高い場合に、保護フィルムを剥離するときに導電ペーストが崩壊することを防止することが可能なプリント基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的つまり層間接続の信頼性を向上しながら導電ペーストの崩れを防止するために、請求項1に記載の発明では、紫外線の照射により粘着力が低下する粘着剤層(83)を有する保護フィルム(81)を、導体パターン(22)が貼着された絶縁基材(23)の表面に形成する保護フィルム形成工程と、
前記保護フィルム(81)および前記絶縁基材(23)を穴あけして前記導体パターン(22)を底とする有底のビアホール(24)を形成するビアホール形成工程と、
錫粒子および銀粒子からなる金属粒子と有機溶剤とを有する導電ペースト(50)を、前記絶縁基材(23)に形成された前記ビアホール(24)内に充填する充填工程と、
前記保護フィルム(81)に紫外線を照射して前記粘着剤層(83)の粘着力を低下させた後で、かつ前記有機溶剤が乾燥する前に、前記保護フィルム(81)を前記絶縁基材(23)より剥離して導体パターンフィルム(21)を形成する剥離工程と、
前記導体パターンフィルム(21)を複数積層したのち、前記ビアホール(24)に充填された導電ペースト(50)を加熱して錫と銀との合金を形成し、前記ビアホール内に、焼結により一体化した前記合金からなる導電性組成物を形成し、該導電性組成物中の成分と、前記導体パターンを構成する導体とを相互に固相拡散させ、前記導電性組成物と前記導体パターンとの界面に固相拡散層を形成して電気的に接続することによって複数の前記導体パターン(22)層の層間接続を行なう接続工程とを備えることを特徴としている。
【0011】
これによると、ビアホール(24)内に、金属粒子と有機溶剤とを有し、選択的に金属粒子の1.5重量%以下のバインダー成分を含む導電ペースト(50)を充填した場合であっても、導電ペースト(50)中の有機溶剤が乾燥する前に、保護フィルム(81)が剥離される。また、保護フィルム(81)は、粘着剤層(83)が所謂紫外線硬化型であるため、剥離前に粘着力を低下させるために紫外線が照射されるが、熱硬化型のように加熱する必要がないので、導電ペースト(50)中の有機溶剤の乾燥を抑制することができる。
【0012】
従って、保護フィルム(81)剥離時に導電ペースト(50)が脆くなることはない。このようにして、保護フィルム(81)剥離時の導電ペースト(50)の崩壊を防止することが可能となる。
【0013】
なお、導体パターンを底とする有底のビアホール(24)に導電ペーストを充填しているから導電ペーストが乾燥しにくく、充分に余裕を持って有機溶剤が乾燥する前に、保護フィルム(81)を絶縁基材(23)より剥離して導体パターンフィルムを形成できる。
た、金属粒子の平均粒径が0.5μmから20μmであり、前記金属粒子の比表面積が0.1m2/gから1.5m2/gであると、均一な焼結された合金が形成できる。加えて、多量の有機溶剤を必要としない導電ペーストにすることが出来るから、乾燥に長時間を要せず、ビアホール内にボイドが発生せず、層間接続の信頼性を維持できる。
【0030】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0032】
図1および図2は、本実施形態におけるプリント基板の製造工程を示す工程別断面図である。
【0033】
図1(a)において、21は絶縁基材である樹脂フィルム23の片面に貼着された導体箔(本例では厚さ18μmの銅箔)をエッチングによりパターン形成した導体パターン22を有する片面導体パターンフィルムである。本例では、樹脂フィルム23としてポリエーテルエーテルケトン樹脂65〜35重量%とポリエーテルイミド樹脂35〜65重量%とからなる厚さ25〜75μmの熱可塑性樹脂フィルムを用いている。
【0034】
図1(a)に示すように、導体パターン22の形成が完了すると、次に、図1(b)に示すように、片面導体パターンフィルム21の導体パターン22が形成された面と対向する面に保護フィルム81をラミネータ等を用いて貼着する。
【0035】
図1(b)には図示していないが、保護フィルム81は、図3(a)に示すように、樹脂フィルム82と、この樹脂フィルム82の樹脂フィルム23への貼着面側にコーティングされた粘着剤層83とからなる。粘着剤層83を形成する粘着剤は、アクリレート樹脂を主成分とする所謂紫外線硬化型の粘着剤であり、紫外線が照射されると架橋反応が進行し、粘着力が低下する特性を有するものである。
【0036】
本例では、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート樹脂からなる樹脂フィルム82に厚さ5μmの粘着剤層をコーティングした保護フィルム81を採用している。樹脂フィルムの厚さが8μm未満であると、保護フィルムのハンドリング性が悪化する。また、樹脂フィルムの厚さが50μmを超えると、後述する保護フィルム剥離時に保護フィルム81と導電ペースト50との接触面積が増大し、導電ペースト50に過大な応力が加わり好ましくない。上記両要因を考慮すると、樹脂フィルム82の厚さは12μm前後が特に好ましい。
【0037】
図1(b)に示すように、保護フィルム81の貼着が完了すると、次に、図1(c)に示すように、保護フィルム81側から炭酸ガスレーザを照射して、樹脂フィルム23に導体パターン22を底面とする有底ビアホールであるビアホール24を形成する。導体パターン22のビアホール24の底面となる部位は、後述する導体パターン22の層間接続時に電極となる部位である。なお、ビアホールの形成は、炭酸ガスレーザの出力と照射時間等を調整することで、導体パターン22に穴を開けないようにしている。
【0038】
このとき、当然ではあるが、保護フィルム81にも、ビアホール24と略同径の開口81aが形成される。
【0039】
ビアホール24の形成には、炭酸ガスレーザ以外にエキシマレーザ等が使用可能である。レーザ以外のドリル加工等のビアホール形成方法も可能であるが、レーザビームで穴あけ加工すると、微細な径で穴あけでき、導体パターン22にダメージを与えることが少ないため好ましい。
【0040】
図1(c)に示すように、ビアホール24の形成が完了すると、次に、図1(d)に示すように、ビアホール24内に層間接続材料である導電ペースト50を充填する。導電ペースト50は、平均粒径5μm、比表面積0.5m2/gの錫粒子300gと、平均粒径1μm、比表面積1.2m2/gの銀粒子300gとに、有機溶剤であるテルピネオール60gを加え、これをミキサーによって混練しペースト化したものである。
【0041】
導電ペースト50は、スクリーン印刷機により、保護フィルム81の開口81a側から片面導体パターンフィルム21のビアホール24内に印刷充填される。ビアホール24内への導電ペースト50の充填は、本例ではスクリーン印刷機を用いたが、確実に充填ができるのであれば、ディスペンサ等を用いる他の方法も可能である。なお、本例では、ビアホール24は有底ビアホールであるため、導電ペースト50を確実に充填することが容易である。
【0042】
ここで、ペースト化のために添加する有機溶剤として、テルピネオール以外を用いることも可能であるが、沸点が150〜300℃の有機溶剤を用いることが好ましい。沸点が150℃未満の有機溶剤は乾燥し易く好ましくない。また、ビアホール24内への印刷充填前において導電ペースト50の粘度の経時変化が大きくなるという不具合を発生し易い。一方、沸点が300℃を超える有機溶剤では、乾燥に要する時間が長くなり、後述する層間接続時の真空加熱プレス工程において有機溶剤が残留する場合があり好ましくない。
【0043】
また、本例では、導電ペースト50を構成する金属粒子として、平均粒径5μm、比表面積0.5m2/gの錫粒子と、平均粒径1μm、比表面積1.2m2/gの銀粒子とを用いたが、これらの金属粒子は、平均粒径が0.5〜20μmであるとともに、比表面積が0.1〜1.5m2/gであることが好ましい。
【0044】
金属粒子の平均粒径が0.5μm未満であったり、比表面積が1.5m2/gを超える場合には、ビアホール充填に適した粘度にペースト化するために多量の有機溶剤を必要とする。多量の有機溶剤を含んだ導電ペーストは乾燥に時間を要し、層間接続時の真空加熱プレス工程において有機溶剤が残留し、ビアホール24内にボイドが発生し易く、層間接続信頼性を低下させる。
【0045】
一方、金属粒子の平均粒径が20μmを超えたり、比表面積が0.1m2/g未満の場合には、ビアホール24内に充填し難くなるとともに、金属粒子が偏在し易くなり、加熱しても均一な合金からなる後述する導電性組成物51を形成し難く、層間接続信頼性を確保し難いという問題があり好ましくない。
【0046】
また、ビアホール24内へ導電ペースト50を充填する前に、導体パターン22のビアホール24に面する部位を薄くエッチング処理したり還元処理してもよい。これによると、後述するビア接続が一層良好に行なわれる。
【0047】
ビアホール24内への導電ペースト50の充填が完了すると、紫外線ランプを用い保護フィルム81側から紫外線を照射する。これにより、図3(a)に図示した保護フィルム81の粘着剤層83が硬化され粘着剤層83の粘着力が低下する。本例では、紫外線照射前の樹脂フィルム23からの剥離強度が3N/25mmであるものが、紫外線照射後には0.2N/25mmに低下する保護フィルム81を採用した。
【0048】
保護フィルム81への紫外線照射が完了すると、片面導体パターンフィルム21から保護フィルム81を剥離除去し、図1(e)に示すようなビアホール24内に導電ペースト24を充填配置した片面導体パターンフィルム21を得る。保護フィルム81を剥離除去するとき、図3(b)に示す粘着剤層83は粘着力が低下しているので、樹脂フィルム23に大きなストレスを加えることなく容易に保護フィルム81を剥離することができる。
【0049】
粘着剤層83を形成する粘着剤は熱硬化型ではないので、粘着剤層83の粘着力低下のために加熱する必要もない。また、導電ペースト50を乾燥する工程も設けていない。従って、保護フィルム81を片面導体パターンフィルム21から剥離するときには、導電ペースト50中の有機溶剤は乾燥しておらず、導電ペースト50は脆くなっていない。
【0050】
また、本例のビアホール24は有底ビアホールであるため、貫通状のビアホールの場合よりも充填した導電ペースト(50)の露出面積が小さいく、充填した導電ペースト(50)が乾燥し難い。
【0051】
このように、導電ペースト50の有機溶剤が乾燥していない保形性が良好な状態で片面導体パターンフィルム21から保護フィルム81を剥離するので、図3(b)に示すように、導電ペースト50の一部が崩壊し、樹脂フィルム23上に落下する等の不具合は発生しない。
【0052】
なお、導電ペースト50が良好な保形性を有するためには、導電ペースト50中に、金属粒子(本例では、錫粒子と銀粒子)に対し6重量%以上の有機溶剤が含まれていることが好ましい。
【0053】
図4は、本発明者らが行なった導電ペースト50の保形性評価結果を示す表である。評価方法は、本実施形態において、厚さ75μmの樹脂フィルム23に直径100μmのビアホール24を形成し、このビアホール24内に、前述の導電ペースト50(金属粒子600gに対し有機溶剤60g添加したペースト)や導電ペースト50よりも有機溶剤含有率の低い導電ペーストを充填し、保護フィルム81を剥離したときの導電ペーストの保形性を確認した。
【0054】
図4に示すように、金属粒子に対し有機溶剤の含有率が6重量%以上であれば、保護フィルム81剥離時に導電ペーストが崩れ、樹脂フィルム23上に落下することはなかった。ちなみに、ビアホール24内への導電ペースト50充填時(金属粒子に対する有機溶剤含有率10重量%)から、有機溶剤含有率が6重量%となるまでの時間は、約25℃に温度管理され換気を充分に行なった製造工程においては約15分であることを確認している。
【0055】
図1(e)に示すようなビアホール24内に導電ペースト50を充填した片面導体パターンフィルム21が得られると、図2(f)に示すように、片面導体パターンフィルム21を複数枚(本例では4枚)積層する。このとき、下方側の2枚の片面導体パターンフィルム21は導体パターン22が設けられた側を下側として、上方側の2枚の片面導体パターンフィルム21は導体パターン22が設けられた側を上側として積層する。
【0056】
すなわち、中央の2枚の片面導体パターンフィルム21を導体パターン22が形成されていない面同士を向かい合わせて積層し、残りの2枚の片面導体パターンフィルム21は、導体パターン22が形成された面と導体パターン22が形成されていない面とが向かい合うように積層する。
【0057】
そしてさらに、積層された複数層の片面導体パターンフィルム21の上方側には、最上層の導体パターン22を覆うようにレジスト膜であるカバーレイヤー36aを積層し、積層された複数層の片面導体パターンフィルム21の下方側には、最下層の導体パターン22を覆うようにレジスト膜であるカバーレイヤー36bを積層する。
【0058】
カバーレイヤー36aには、最上層の導体パターン22の電極となるべき位置に対応して、開口39aが穴あけ加工されている。また、カバーレイヤー36bには、最下層の導体パターン22の電極となるべき位置に対応して、開口39bが穴あけ加工されている。本例では、カバーレイヤー36a、36bには、樹脂フィルム23と同じ熱可塑性樹脂材料であるポリエーテルエーテルケトン樹脂65〜35重量%とポリエーテルイミド樹脂35〜65重量%とからなる樹脂フィルムを用いている。
【0059】
図2(f)に示すように片面導体パターンフィルム21およびカバーレイヤー36a、36bを積層したら、これらの上下両面から真空加熱プレス機により加熱しながら加圧する。本例では、250〜350℃の温度に加熱し1〜10MPaの圧力で10〜20分間加圧した。
【0060】
これにより、図2(g)に示すように、各片面導体パターンフィルム21およびカバーレイヤー36a、36b相互が接着される。樹脂フィルム23およびカバーレイヤー36a、36bが熱融着して一体化するとともに、ビアホール24内の導電ペースト50が焼結して一体化した導電性組成物51となり、隣接する導体パターン22間を層間接続した多層のプリント基板100が得られる。
【0061】
ここで、導体パターン22の層間接続のメカニズムを簡単に説明する。ビアホール24内に充填された導電ペースト50は、真空加熱プレス機により減圧されることにより有機溶剤であるテルピネオールが蒸発乾燥し、錫粒子と銀粒子とが混合された状態にある。そして、このペースト50が250〜350℃に加熱されると、錫粒子の融点は232℃であり、銀粒子の融点は961℃であるため、錫粒子は融解し、銀粒子の外周を覆うように付着する。
【0062】
この状態で加熱が継続すると、融解した錫は、銀粒子の表面から拡散を始め、錫と銀との合金(融点480℃)を形成する。このとき、導電ペースト50には1〜10MPaの圧力が加えられているため、錫と銀との合金形成に伴い、ビアホール24内には、焼結により一体化した合金からなる導電性組成物51が形成される。
【0063】
ビアホール24内で導電性組成物51が形成されているときには、この導電性組成物51は加圧されているため、導体パターン22のビアホール24の底部を構成している面に圧接される。これにより、導電性組成物51中の錫成分と、導体パターン22を構成する銅箔の銅成分とが相互に固相拡散し、導電性組成物51と導体パターン22との界面に固相拡散層を形成して電気的に接続する。
【0064】
すなわち、導体パターン22の層間では、焼結一体化した導電性組成物51と固相拡散層とにより、接触導通によらない確実な層間接続が行なわれる。
【0065】
樹脂フィルム23とカバーレイヤー36a、36bとは同じ熱可塑性樹脂材料によって形成されており、真空加熱プレス機により加圧しつつ加熱されているとき、樹脂フィルム23とカバーレイヤー36a、36bの弾性率は約5〜40MPaに低下している。また、導体パターン22および導電性組成物51は、250℃以上に加熱されることで表面の活性度が向上している。従って、各樹脂フィルム23相互を確実に接着できるとともに、導体パターン22および導電性組成物51と樹脂フィルム23とを確実に接着することができる。
【0066】
なお、加熱プレス時の樹脂フィルム23とカバーレイヤー36a、36bの弾性率は1〜1000MPaであることが好ましい。弾性率が1000MPaより大きいと樹脂フィルム23間等が熱融着し難く、加圧により導体パターン22に大きな応力が加わり断線等の不具合が発生し易い。また、弾性率が1MPaより小さいと加圧により樹脂フィルム等が流れ易く、導体パターン22が移動したりしてプリント基板100を形成し難い。
【0067】
上述の製造方法によれば、図3(b)に示す片面導体パターンフィルム21からの保護フィルム81を剥離する時に、導電ペースト50が崩壊し樹脂フィルム23上に落下することを防止できる。従って、片面導体パターンフィルム21を積層してプリント基板100を形成しても、絶縁不良等の不具合が発生することを防止できる。
【0068】
また、粘着剤層83が紫外線で硬化する所謂紫外線硬化型の保護フィルム81を採用しているので、所謂熱硬化型の保護フィルムのように加熱する必要がない。従って、導電ペースト50中の有機溶剤の蒸発乾燥を抑制することができる。
【0069】
ここで、粘着剤層に粘着力が変化しないタイプの保護フィルムもあるが、このタイプの保護フィルムは剥離時の粘着力も強力であり、剥離時に絶縁基材だけでなく導電ペーストにも過大な応力が加わりやすく、導電ペーストの崩壊を招き易いという問題があり好ましくない。
【0070】
また、1回の真空加熱プレスにより各片面導体パターンフィルム21およびカバーレイヤー36a、36b相互の接着と、導体パターン22の層間接続とを一括して行なうことができる。従って、プリント基板100の製造工程を簡素化することができる。
【0071】
(他の実施形態)
上記一実施形態において、導電ペースト50は、金属粒子(錫粒子と銀粒子)と有機溶剤(テルピネオール)のみからなるものであったが、例えば、導電ペースト50中に金属粒子を均一分散させ易くするための分散剤等の樹脂成分を金属粒子に対し0.01〜1.5重量%添加したものであってもよい。分散剤等の樹脂成分は、金属粒子全体の形状を保持するバインダー成分としても機能するものである。
【0072】
なお、導電ペースト50に金属粒子および有機溶剤以外に添加されるものとしては、分散剤以外の樹脂成分であってバインダー成分として機能するものであってもよいし、樹脂以外のバインダー成分であってもかまわない。
【0073】
なお、樹脂成分の添加量は、0.01重量%未満では添加効果が得られ難く、1.5重量%を超えると焼結により導電性組成物51が一体化することを妨げ易い。なお、上記のように導電ペースト50に樹脂成分を添加した場合であっても、ビアホール24内に充填された導電ペースト50が乾燥する前に、保護フィルム81を剥離すれば、導電ペースト50の崩壊を防止することが可能である。
【0074】
発明者らは、導電ペースト50に樹脂成分を添加した場合においても、保護フィルム81を剥離したときの導電ペースト50の保形性評価を行なっている。樹脂成分が添加された場合には、樹脂成分がバインダー成分として機能するため、金属粒子に対し有機溶剤の含有率が2重量%以上であれば、保護フィルム81剥離時に導電ペーストが崩れて樹脂フィルム23上に落下することはなく、含有率が1重量%以下では導電ペーストが崩れることを確認している。
【0075】
また、上記一実施形態において、保護フィルム81の樹脂フィルム82には、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いたが、穴あけ加工が容易に行なえるものであれば、ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム等を採用することもできる。
【0076】
また、上記一実施形態において、保護フィルム81を剥離した後、真空加熱プレスを行なうまで導電ペースト50の乾燥を行なわなかったが、図2(f)に示すように片面導体パターンフィルム21等を積層した後に、必要に応じて導電ペーストの乾燥を行ない、真空加熱プレス工程における溶剤乾燥量を低減するものであってもよい。
【0077】
また、上記一実施形態において、樹脂フィルム23およびカバーレイヤー36a、36bとしてポリエーテルエーテルケトン樹脂65〜35重量%とポリエーテルイミド樹脂35〜65重量%とからなる樹脂フィルムを用いたが、これに限らず、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂に非導電性フィラを充填したフィルムであってもよいし、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)もしくはポリエーテルイミド(PEI)を単独で使用することも可能である。
【0078】
さらに、熱可塑性ポリイミド、または所謂液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂を用いてもよい。加熱プレス時の加熱温度において弾性率が1〜1000MPaであり、後工程である半田付け工程等で必要な耐熱性を有する樹脂フィルムであれば好適に用いることができる。
【0079】
また、上記一実施形態において、プリント基板製造時に、図2(f)に示すように片面導体パターンフィルム21を積層したが、層間接続が必要な多層プリント基板もしくは両面プリント基板を得るための構成であれば、この積層パターンに限定されるものではない。
【0080】
また、上記一実施形態において、プリント基板100は4層基板であったが、複数の導体パターン層を有するものであれば、層数が限定されるものではないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における一実施形態のプリント基板の概略の製造工程の一部を示す工程別断面図である。
【図2】本発明における一実施形態のプリント基板の概略の製造工程の一部(図1に示した工程に続く工程)を示す工程別断面図である。
【図3】本発明における一実施形態のプリント基板の製造工程において、(a)は保護フィルムの剥離前の状態、(b)は保護フィルムの剥離後の状態を示す要部断面図である。
【図4】本発明における一実施形態の導電ペーストの保形性評価結果を示す表である。
【図5】従来のプリント基板の製造工程において、(a)は保護フィルムの剥離前の状態、(b)は保護フィルムの剥離後の状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
21 片面導体パターンフィルム
22 導体パターン
23 樹脂フィルム(絶縁基材)
24 ビアホール(有底ビアホール)
50 導電ペースト(層間接続材料)
51 導電性組成物(層間接続材料)
81 保護フィルム
82 樹脂フィルム
83 粘着剤層
100 プリント基板

Claims (5)

  1. 紫外線の照射により粘着力が低下する粘着剤層(83)を有する保護フィルム(81)を、導体パターン(22)が貼着された絶縁基材(23)の表面に形成する保護フィルム形成工程と、
    前記保護フィルム(81)および前記絶縁基材(23)を穴あけして前記導体パターン(22)を底とする有底のビアホール(24)を形成するビアホール形成工程と、
    錫粒子および銀粒子からなる金属粒子と有機溶剤とを有する導電ペースト(50)を、前記絶縁基材(23)に形成された前記ビアホール(24)内に充填する充填工程と、
    前記保護フィルム(81)に紫外線を照射して前記粘着剤層(83)の粘着力を低下させた後で、かつ前記有機溶剤が乾燥する前に、前記保護フィルム(81)を前記絶縁基材(23)より剥離して導体パターンフィルム(21)を形成する剥離工程と、
    前記導体パターンフィルム(21)を複数積層したのち、前記ビアホール(24)に充填された導電ペースト(50)を加熱して錫と銀との合金を形成し、前記ビアホール内に、焼結により一体化した前記合金からなる導電性組成物を形成し、該導電性組成物中の成分と、前記導体パターンを構成する導体とを相互に固相拡散させ、前記導電性組成物と前記導体パターンとの界面に固相拡散層を形成して電気的に接続することによって複数の前記導体パターン(22)層の層間接続を行なう接続工程と
    を備えることを特徴とするプリント基板の製造方法。
  2. 前記導電ペースト(50)は、さらに前記金属粒子全体の形状を保持するバインダー成分を前記金属粒子に対し0.01〜1.5重量%添加したものであることを特徴とする請求項1記載のプリント基板の製造方法。
  3. 前記保護フィルム(81)を前記絶縁基材(23)より剥離するときに、前記導電ペースト(50)は、前記金属粒子に対し2重量%以上の前記有機溶剤を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント基板の製造方法。
  4. 前記保護フィルム(81)を前記絶縁基材(23)より剥離するときに、前記導電ペースト(50)は、前記金属粒子に対し6重量%以上の前記有機溶剤を含有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプリント基板の製造方法。
  5. 前記金属粒子の平均粒径が0.5μmから20μmであり、前記金属粒子の比表面積が0.1m2/gから1.5m2/gであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプリント基板の製造方法。
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