JP3899973B2 - 駐車支援装置及び駐車支援装置付き車両 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライバに対して並列駐車や縦列駐車等の際の駐車操作の支援を行なう駐車支援装置及びこの駐車支援装置をそなえた車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両を縦列駐車又は車庫入れする際には、一旦、折り返し位置や目標位置等の所定の停止位置で停止した後、所望の駐車位置まで後退走行する必要がある。このような停止位置付近では、複雑且つ正確な運転操作が必要とされるため、近年、このような駐車時のドライバの運転操作を支援する駐車支援装置が開発されている。
【0003】
例えば、特開2000−118334号公報には、ドライバが駐車支援スイッチを操作した際の車両の位置に対して、所定の位置関係にある位置を駐車位置とみなして現在位置から駐車位置までの推奨経路を演算し、この推奨経路に沿って走行するために必要な情報をドライバにスピーカから音声で教示する技術が開示されている。そして、ドライバはこのような教示に従ってハンドル操作やブレーキ操作を行なうことにより、所望の駐車位置に容易に駐車することができる。
【0004】
ところで、このような推奨経路上を走行するためには、教示された所定の停止位置に正確に停止する必要があるが、教示を受けてからブレーキ操作を行なうまでの時間はドライバによってばらつきがあり、演算で得られた所定の停止位置と実際の停止位置との間にずれが生じる場合がある。このようなずれは車速が大きい場合には大きくなるため、ブレーキ操作が遅れた場合には推奨経路上を通ることができず、所望の駐車位置にうまく駐車できないことがある。
【0005】
このため、特開2001−1931号公報に開示されるように、ドライバのブレーキ操作によらずに所定の停止位置で車両を自動的に停止させる技術が開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、パーキングエリア等で走行しながら駐車場所を探す場合、一旦空車場所を見つけて駐車支援を開始したものの、他の場所にもっと駐車し易い場所を見つけることがある。このような場合、上記従来の駐車支援装置ではドライバのブレーキ操作によらずに最初に見つけた空車場所付近で自動的に停止してしまうため、一旦駐車支援を解除してから所望の空車場所付近で再度駐車支援を開始する必要があり、操作が煩雑になる。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、ドライバの制動意思に基づいて所定の停止位置で正確に停止できるようにし、更には、煩雑な操作を伴うことなく上記停止位置での停止を解除し推奨経路を再設定できるようにした、駐車支援装置及びこの駐車支援装置をそなえた車両を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の駐車支援装置は、駐車区画に駐車する際に、移動軌跡設定手段によって停止位置を含む車両の移動軌跡を設定し、この移動軌跡に沿うように運転者に対して操舵操作及び運転操作を教示する。
このとき、制動意思検出手段によって上記停止位置付近で運転者の制動意思が検出された場合には、この停止位置で車両が停止するように、制動制御手段によって制動操作の支援が行ない、上記制動意思検出手段によって上記停止位置付近で運転者の制動意思が検出されない場合には、制動操作の支援が行なわない(請求項1)。
また、変速段を検出するための変速位置検出手段をさらにそなえ、上記変速位置検出手段による検出結果に基づいて、上記変速段が前進変速段のときには、上記制動意思検出手段によって上記停止位置付近で運転者の制動意思が検出された場合には、上記停止位置で停止するように制動操作の支援を行ない、上記制動意思検出手段によって上記停止位置付近で運転者の制動意思が検出されない場合には、制動操作の支援を行なわないとともに、上記変速段が後退変速段のときには、上制動意思検出手段によって運転者の制動意思が検出されなくても、上記停止位置で停止するように制動操作の支援を行なう(請求項2)。
【0009】
このとき、制動意思は、運転者のブレーキ操作によるブレーキの踏み込みの有無から検出されるようにしてもよい(請求項)。
また、制動操作の支援として、車両の制動力を増減させて車両を停止位置に停車させるようにしてもよい(請求項)。
さらに、ブレーキの踏み込みによって発揮される制動力が上記停止位置で停止するために必要な所定の制動力よりも小さい場合に、車両の制動力をこの所定の制動力まで高めるようにすることで、制動操作の支援を行なうようにしてもよい(請求項)。
【0010】
なお、上記制動意思検出手段によって上記停止位置の手前で上記所定の制動力を発揮させるブレーキの踏み込み以上のブレーキの踏み込みが検出された場合には、制動制御手段は運転者の制動操作を優先するようにすることが望ましい(請求項
【0011】
また、本発明の駐車支援装置付き車両は、上述の請求項1〜6のいずれか項に記載の駐車支援装置をそなえたことを特徴としている(請求項7)。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図14は本発明の一実施形態としての駐車支援装置を示すもので、図1はその構成を示すブロック図、図2はその物体位置検出手段の検出範囲を示す模式図、図3はそのディスプレイを説明するための模式図、図4はその案内手段を説明するための模式図、図5はその縦列駐車の駐車支援を説明するための模式図、図6及び図7はその縦列駐車の駐車支援を説明するためのフローチャート、図8及び図9はその縦列駐車の駐車支援を説明するための模式図、図10はその並列駐車の駐車支援を説明するための模式図、図11及び図12はその並列駐車の駐車支援を説明するためのフローチャート、図13及び図14はその並列駐車の駐車支援を説明するための模式図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の駐車支援装置は、入力部として、物体位置検出手段としての超音波センサ2と、操舵角検出手段としてのハンドル角センサ3と、車輪速センサ4と、変速位置検出手段としてのシフトポジションセンサ5と、指示手段としての駐車ガイドスイッチ6と、リヤビューカメラ7と、ブレーキセンサ40とをそなえ、入力部からの入力信号に基づいてECU(電子制御ユニット)8が種々の制御を行なうことで、ドライバ(運転者)の駐車操作の支援が行なわれるようになっている。
【0014】
超音波センサ2は、図2に示すように、車両1の前端に設けられ、車両1の側方に存在する物体の車両1に対する位置を検出するようになっている。つまり、超音波センサ2では、発信した超音波に対する応答を検知することで、車両側方に存在する物体の有無を検出するとともに、車両1と物体との距離を検出するようになっている。ここで、物体とは、車両や建物を含み、この超音波センサ2を用いて駐車時に接近し過ぎてはいけない車両や建物などの存在を認識できるようになっている。
【0015】
なお、ここで、図2に示す符号16はコーナーセンサであり、このコーナーセンサ16は、車両1の四隅に設けられ、例えば、超音波センサ2と同様に、超音波により物体の有無及び物体までの距離を検出するセンサであって、図2に領域Bで示すような検出範囲を有している。これらのコーナーセンサ16は、何れかのコーナーセンサ16が物体を検出した場合に、その旨をドライバに知らせて注意を促すというコーナーセンサシステムの一部として構成されている。
【0016】
超音波センサ2は、図2中領域Aで示すような検出範囲を有しており、上記のコーナーセンサ16よりも指向性が強く、また、コーナーセンサ16の車両1からの検出距離に比べて長く(例えば、1.5m程度)、より遠くに存在する物体まで検出できるようになっている。
ハンドル角センサ3は、ハンドルの操舵角を検出するもので、これにより、車両1の舵角が所定の舵角になったかどうかを教示するための舵角位置情報を提供できるようになっている。
【0017】
車輪速センサ4は、車輪(図示省略)の回転速度を検出するもので、この回転速度と車輪の円周とに基づいて車両の移動距離情報を提供できるようになっている。
シフトポジションセンサ5は、選択されている変速段を検出するもので、車輪速センサ4で検出された速度が前進又は後進のどちらに相当するかを判断するとともに、ドライバが案内に対して正しい操作をしているかを確認するために用いることや、変速機19の変速段の制御に用いることができる。
【0018】
駐車ガイドスイッチ6は、ドライバが操作しやすい運転席近傍に設けられており、ドライバがこの駐車ガイドスイッチ6を操作することにより、駐車支援装置をオン状態にしたり(即ち、駐車支援の開始を指示したり)、駐車支援装置をオフ状態にしたりすることができるようになっている。
また、駐車ガイドスイッチ6により、駐車支援の選択ができるようになっており、例えば、「左側縦列駐車」,「右側縦列駐車」,「左側並列駐車」,「右側並列駐車」の中から必要とする駐車支援を選択できるようになっている。
【0019】
リヤビューカメラ7は、車両1の後端に設けられ、車両1後方の状況を撮像するもので、このリヤビューカメラ7によって撮像された映像が車室内に装備されたディスプレイ15に映し出されることにより、ドライバが車両後方の状況を認識することができるようになっている。
ブレーキセンサ40は、ドライバによるブレーキ踏み込みの有無及びブレーキ踏み込み量を検出するためのもので、ブレーキ踏み込みの有無によってドライバの制動意思を検出しうるようになっている。
【0020】
ECU8は、上記入力部からの入力信号に基づいてドライバの運転を支援するようになっており、移動距離推定手段9、現在位置推定手段10、目標駐車位置設定手段11、変速位置制御手段12、教示タイミング学習手段17、教示制御手段18、制動制御手段40、移動軌跡設定手段50が機能的に設けられている。
【0021】
移動距離推定手段9は、車輪速センサ4が検出する車輪の回転速度と車輪の円周とから車両1の移動距離を推定するようになっている。
現在位置推定手段10は、移動距離推定手段9の出力及びハンドル角センサ3の出力に基づいて駐車支援開始後の車両1の挙動を積算して車両1が基準位置(例えば、目標駐車位置)に対して現在どのような位置にあるのかを推定するようになっている。なお、移動距離推定手段9及びハンドル角センサ3に代えて、ヨーレートセンサを設け、ヨーレートセンサの検出値を積分することにより、車両のヨー角を算出し、基準位置に対する車両のヨー角から現在位置を推定するようにしても良い。
【0022】
目標駐車位置設定手段11は、超音波センサ2の出力に基づいて車両1の目標駐車位置を設定するようになっている。つまり、超音波センサ2により物体の有無及び車両に対する位置がわかるので、例えば、駐車車両を検出した位置を基点として、車両1の目標駐車位置を設定し、この目標駐車位置までの推奨経路を算出するようになっている。
【0023】
また、目標駐車位置設定手段11は、移動距離推定手段9により推定された車両1の移動距離も考慮して車両1の目標駐車位置を設定できるようになっている。従って、超音波センサ2により駐車車両が検出された位置から車両1がどのくらいの距離を移動したのかがわかるので、例えば、目標とする駐車領域の両隣に駐車車両が存在している場合には、これら駐車車両の間に駐車可能なスペースがあるかどうかがわかり、この駐車スペースに応じて車両1の目標駐車位置を設定できるようになっている。
【0024】
さらに、目標駐車位置設定手段11は、現在位置推定手段10により推定された車両1の現在位置も考慮して車両1の目標駐車位置を設定できるようになっている。従って、現在車両1が存在する位置と相対的な位置に目標駐車位置を設定できるようになっている。
また、目標駐車位置設定手段11は、車両1が後述する教示手段13により初期停止位置へ誘導されている間、車両1の目標駐車位置を設定するようになっている。
【0025】
移動軌跡設定手段50は、現在位置推定手段10によって推定された車両1の現在位置から目標駐車位置設定手段11によって設定された目標駐車位置までの走行ルート(推奨経路)と、その走行ルートを走行するためのハンドル操作及び操作タイミング等とを設定するようになっている。
この走行ルートには、車両1姿勢を目標駐車位置の方向に向けるための前進操作による前進ルートと、後退操作により目標駐車位置へ移動する後退ルートとに分けることができ、ハンドルの切り替え操作やシフト切り替え操作等を行なうために、切り替え操作ごとに停止位置が設定されている。すなわち、ドライバはシフト(変速段)をドライブ位置(前進位置)に設定してから前進ルートを走行した後、初期停止位置で一旦停止する。そして、シフトをリア位置(後退位置)に設定し直してから、初期停止位置から目標駐車位置まで後退ルートを走行することで駐車が完了する。
【0026】
変速位置制御手段12は、駐車支援のための運転操作の教示が行なわれている間、変速段を1速に限定するように機能している。これにより、車両1は低速を保ちながら走行でき、走行下で安全且つ容易に縦列駐車又は並列駐車ができるようになっている。
教示タイミング学習手段17は、後述する教示手段13による停止の教示タイミングを、ドライバの反応時間に基づいて学習するようになっている。
【0027】
教示制御手段18は、移動軌跡設定手段50によって設定されたハンドル操作及びそのタイミング等に基づいて、後述する教示手段13による教示の内容や教示のタイミングを制御するもので、駐車操作中に適切な教示内容を適切なタイミングでドライバに提供するようになっている。
教示手段13は、図3及び図4に示すように、ディスプレイ15及びスピーカ14a,14bから構成されており、目標駐車位置設定手段11により設定された目標駐車位置に向かって車両1が走行するようにドライバの操作を案内するために、ドライバに対して車両1の前進、後進や停止、さらには、ハンドルを切る方向を教示するようになっている。
【0028】
具体的には、図4に示すスピーカ14a,14bを通して、「ピポン」という案内音や、「ゆっくり、1メーターほど、前進してください」,「ハンドルを左いっぱいに切ってください」等の音声メッセージが発せられるようになっている。
また、図3に示すように、ディスプレイ15には、リヤビューカメラ7により撮像される映像と一緒に、例えば、画面の右上あたりにハンドルのアイコン30が表示されるとともに、どちら側にハンドルを切ればよいのかがわかるようにハンドルのアイコン30の上に右矢印(ハンドルを右へ切る)又は左矢印(ハンドルを左へ切る)が表示されるようになっている。
【0029】
したがって、ドライバは、スピーカ14a,14b及びディスプレイ15の両方からの教示により、ハンドルを操作したり、前進又は後退等の操作をしたりして的確に目標駐車位置に車両1をもっていくことができるようになっている。もちろん、ドライバは、スピーカ14だけでも十分な教示を受けることができるので、ディスプレイ15を凝視しながらハンドルを操作する必要がなく、より安全に運転操作を行なうことができるようになっている。
【0030】
案内手段20は、駐車操作中に必要とされる側のサイドミラー近傍にドライバが着目するようにドライバに対して注意を促すようになっている。この案内手段20としては、ここでは、車室内の運転席側及び助手席側のドアに装備されたスピーカ14a,14b、及び、車室内又は車室外の両側サイドミラー近傍に装備された光を発生する発光体(LED)24a,24bを用いている。例えば、スピーカ14a,14bでは、駐車操作中にドライバが注意しなければならない側のスピーカ14からドライバに対して後退音等の警告音を発生するようになっている。また、駐車操作中にドライバが注意しなければならない側のLED24が発光(点灯や点滅)することにより、ドライバに注意を促すようになっている。
【0031】
したがって、例えば、教示手段13により、ドライバに対して「ハンドルを左にいっぱいに切って後退してください」との教示がなされた場合には、ドライバが左側のサイドミラーを注意して見るように、左側のスピーカ14bからのみ後退音が鳴るとともに左側のLED24bが点滅して、ドライバに注意を促すようになっている。なお、スピーカ14及びLED24のうちどちらか一方のみ作動するようにしても良い。
【0032】
制動制御手段41は、ブレーキセンサ40の出力に基づいてブレーキ42の制動力を制御するためのもので、通常走行時にはブレーキ踏み込み量に比例して制動力を発揮させる一方、駐車支援装置がオン状態の時に移動軌跡設定手段50によって設定された走行ルート中の停止位置付近でブレーキが踏み込まれたことが検出されると、この停止位置で停止できるように制動力を増減させるようになっている。つまり、ドライバのブレーキ踏み込み量が少なく、設定された停止位置で停止できないと判断した場合には、ブレーキ42の制動力を上記停止位置で停止するために必要な所定の制動力まで高めるようにしている。これにより、ブレーキ踏み込み量を誤ったりブレーキ操作が遅れた場合でも、ドライバの制動意思を汲んで、設定された停止位置に正確に停止できるようになっている。
【0033】
なお、制動制御手段41は、停止位置手前で上記所定の制動力を発揮させるブレーキ踏み込み量以上のブレーキ踏み込み量が検出された場合には、ドライバの制動操作に従って大きな制動力を発揮させるようになっている。これにより、駐車操作中の事故を防止できるようになっている。
本実施形態における駐車支援装置は、上述のように構成されているので、縦列駐車のための駐車支援は以下の手順で行なわれる。なお、本実施形態の駐車支援装置では、縦列駐車するのに必要な駐車スペースを例えば7.5m、並列駐車するのに必要な駐車スペースを例えば2.5mとして設定している。なお、駐車スペースは、車種の全長,全幅に応じて設定されるものである。
【0034】
〔A〕縦列駐車の駐車支援
図5,図6及び図7に示すように、例えば、左側縦列駐車を行なう場合、まず、駐車したい領域の手前右側(図5中に2点鎖線で示す車両1の位置)で駐車ガイドスイッチ6をオンにして「左側縦列駐車」を選択すると、「ゆっくり前進して駐車したい位置の横に止まってください」という音声メッセージが流れる(ステップS2)。
【0035】
そして、ドライバは、着座位置から横を見て駐車したい領域の横(図5中に実線で示す車両1の位置)にきたら、車両1を停車させる。なお、このとき、図5に示すように、駐車したい領域の手前側(図5中下側)にすでに駐車している車両(以下、後方車という)21が存在する場合は、超音波センサ2がこの後方車21を確実に検出できるように、後方車21から所定の距離X1(例えば、1m)の近傍位置を走行させる。
【0036】
図5中に示す超音波センサ2の出力は、車両1の前端の進行方向位置に対応させて示している。以後、図8,図10,図13にも、同様に超音波センサ2の出力が表示されているが、これらも同様に車両1の前端位置に対応している。
その後、一時停止が完了したかどうかを判定し(ステップS4)、一時停止が完了したら、この時点で、超音波センサ2により、駐車したい領域の後方に駐車している後方車21の有無が検出されており、場合によっては、駐車したい領域の前方に駐車している車両(以下、前方車という)22の有無も検出されている。この検出結果に応じて次の駐車支援が異なってくる。
【0037】
例えば、超音波センサ2の検出結果により、ステップS6において、「後方車信号あり及び前方車信号なし」と判定した場合、タイプBのフラグを立て(ステップS8)、目標駐車位置設定手段11が、後方車21の前端から所定の距離L2離れた位置に目標駐車位置を設定する(ステップS10)。
つまり、図8(b)に示すように、ドライバが、駐車ガイドスイッチ6をオンにしてから車両1を位置b1に停止させた場合、超音波センサ2は、一般には、後方車21のみを検出する。即ち、目標とする駐車領域の前方に前方車22が実際に存在しているとしても、車両1の停止位置b1では通常、超音波センサ2で前方車22を検出できる位置まで進んでいないので、前方車22を検出することができない。従って、この場合、目標駐車位置設定手段11は、超音波センサ2の検出結果に基づき、後方車21のみ存在しているものと仮定して、車両1の目標駐車位置を設定する。
【0038】
具体的には、図9(b)に示すように、車両1前端が後方車21の前端から前方に所定距離M2離れた位置にくるように初期停止位置b2を設定する。なお、この所定距離M2は、縦列駐車が可能な駐車スペース長Sp(例えば、7.5m)に車両1の全長Nを足したものに、さらに、余裕分α(例えば、1m)を足したものである。つまり、(Sp+N)よりも少し大きい値に設定することで、駐車完了後の車両1後端と後方車21前端との間に多少余裕をもって(即ち、所定量以上のスペースを確保して)駐車できるようにしている。
【0039】
また、超音波センサ2の検出結果により、ステップS12において、「後方車信号なし及び前方車信号あり」と判定した場合、タイプCのフラグを立て(ステップS14)、目標駐車位置設定手段11が、車両1前端が前方車の後端から所定距離L3だけ離れた位置にくるように目標駐車位置を設定する(ステップS16)。
【0040】
つまり、図8(c)に示すように、ドライバが、駐車ガイドスイッチ6をオンにしてから車両1を位置c1に停止させた場合、超音波センサ2は、前方車22を検出する。即ち、ドライバが車両1を駐車させるために空き領域を見つけて、この空き領域の横に停車したつもりが、自車両1の先端が前方車22の後端位置まで進んでしまった場合、超音波センサ2が前方車22後端を検出する。
【0041】
したがって、このような場合、図9(c)に示すように、目標とする領域の前方に前方車22が実際に存在しており、この前方車22の後端から前方に所定距離M3(例えば、3.5m)離れた位置に車両1前端がくるように初期停止位置c2を設定する。なお、超音波センサ2により後方車21が存在しないとわかっているので、駐車完了後の車両1前端と前方車22後端との間に多少余裕をもって(即ち、所定量以上のスペースを確保して)駐車できるように所定距離M3を設定する。
【0042】
また、超音波センサ2の検出結果により、ステップS18において、「後方車信号あり及び前方車信号あり」と判定した場合、タイプAのフラグを立て(ステップS20)、目標駐車位置設定手段11が、後方車21前端と前方車22後端との間の駐車スペースSp1を算出する(ステップS22)。
つまり、図8(a)に示すように、車両1が後方車21よりも後方にある時点で、ドライバが駐車ガイドスイッチ6をオンにしてから車両1を前進させて前方車22の後端を検出しうる位置a1に停止させた場合、超音波センサ2は、後方車21と前方車22とを検出する。前方車22を検出する状況は上述と同様に、ドライバが車両1を駐車させるために空き領域を見つけて、この空き領域の横に停車したつもりが、自車両1の先端が前方車22の後端位置まで進んでしまった場合、超音波センサ2が前方車22後端を検出する。
【0043】
このような場合、図9(a)に示すように、駐車したい領域の前方に前方車22が実際に存在しているので、この前方車22と後方車21との間に駐車できるだけのスペースがあるかどうかを判定する必要がある。
したがって、駐車スペース長Sp1が所定長Sp(例えば、7.5m)以上あるかどうかを判定し(ステップS24)、駐車スペース長Sp1が所定長Sp以上の場合、前方車22後端と後方車21前端との中間の直線L1上に車両1の前後中心がくるように目標駐車位置a3を設定する(ステップS26)。
【0044】
具体的には、車両1前端が現在位置から前方に所定距離M1(例えば、4m)離れた位置にくるように初期停止位置a2を設定する。なお、所定距離M1は、後述する駐車支援にしたがって駐車操作を行なった場合、前方車22後端と後方車21前端との中間(即ち、目標駐車位置a3)に車両1を駐車させるのを可能にする距離である。
【0045】
一方、駐車スペース長Sp1が所定長Sp未満の場合、図7に示すJ1へ進み、「駐車スペースが足りません。駐車ガイドを終了します」という音声メッセージにより、駐車できるくらいのスペースがないことをドライバに教示した後、駐車支援を終了する。これにより、ドライバは、駐車しようとする空きスペースには駐車が困難なことがわかり、ドライバが難しい駐車操作を回避して他の駐車スペースを探すように案内することができる。
【0046】
さらに、超音波センサ2の検出結果により、「後方車信号なし及び前方車信号なし」と判定した場合(ステップS28)、タイプDのフラグを立て(ステップS30)、目標駐車位置設定手段11が、車両1が現在停車している位置の真横に目標駐車位置を設定する(ステップS32)。
つまり、図8(d)に示すように、ドライバが、駐車ガイドスイッチ6をオンにしてから車両1を位置d1に停止させた場合、超音波センサ2は、何も検出しない。即ち、目標とする駐車領域の前方に前方車22が実際に存在しているとしても、車両1の停止位置d1では通常、超音波センサ2で前方車22を検出できる位置まで進んでいないので前方車22を検出することができない。従って、この場合、目標駐車位置設定手段11は、超音波センサ2の検出結果に基づき、駐車しようとするスペースの前後に駐車車両が存在していないものと仮定して、車両1の目標駐車位置を設定する。
【0047】
具体的には、図9(d)に示すように、車両1前端が現在位置から前方に所定距離M4(例えば、6m)離れた位置にくるように初期停止位置d2を設定する。なお、所定距離M4は、次に説明する駐車支援にしたがって駐車操作を行なった場合、現在車両1が存在している位置の真横(即ち、目標駐車位置d3)に車両1を駐車させることを可能にする距離である。
【0048】
上述のように、目標駐車位置設定手段11によって目標駐車位置が設定されると、移動軌跡設定手段50が、この目標駐車位置への車両1の走行ルートを算出する(ステップS40)。
つまり、縦列駐車を行なう場合、まず、目標駐車位置の側方(ここでは、略真横)から所定距離だけ車両1を前進させ、その後、車両1を目標駐車位置へ向けて後退させる。この後退時には、はじめに、車両1後方が目標駐車位置の方向に向くように操舵操作を行ない、次いで、この状態で後退し車両1後方が所要方向を向いたら(第1後退旋回)、操舵を中立状態にして、さらに後退し(中立後退)、最後に、逆方向に操舵操作して車両1の方向も合わせるように目標駐車位置まで後退させる(第2後退旋回)。
【0049】
このため、車両1の現在位置から前進位置(初期停止位置)a2,b2,c2,d2までの必要移動距離D1、さらに、初期停止位置a2,b2,c2,d2から目標駐車位置a3,b3,c3,d3までの第1後退旋回距離Db1,中立後退距離Dc,第2後退旋回距離Db2を演算する(ステップS40)。
ここで、車両1が後方車21から所定距離(幅方向車間距離)X1離れた位置を走行している時の走行ラインを基準とした場合、車両1がこの基準に沿って走行している時は、第1後退旋回距離Db1,中立後退距離Dc,第2後退旋回距離Db2を一定値に固定し、車両1がこの基準から幅方向へずれて走行している時には、この幅方向車間距離に応じて、第1後退旋回距離Db1,中立後退距離Dc,第2後退旋回距離Db2を演算する。
【0050】
なお、目標駐車位置a3,b3,c3,d3と初期停止位置a2,b2,c2,d2との間には所定距離X1に応じて相対的な位置関係があり、目標駐車位置a3,b3,c3,d3が決まると、所定距離X1に応じて初期停止位置a2,b2,c2,d2が必然的に決まるのである。
各距離が算出されたら、ステップS42において、現在位置推定手段10の推定結果に基づいて、現在車両1が初期停止位置に到達しているかどうかを判定し、初期停止位置に到達していない場合、初期停止位置への誘導を行なう(ステップS44)。このとき、例えば、車両1の現在位置から初期停止位置までの必要移動距離D1が「+5m」である場合、教示手段13は、「ゆっくり、5メーターほど、前進してください」という音声メッセージによりドライバに前進を教示する。
【0051】
また、教示を受けたドライバが前進又は後退操作を行なっている間、超音波センサ2が前方車22を検出したかどうかを判定し(ステップS46)、前方車22を検出しなかった場合はステップS42へ戻る。
一方、前方車22を検出した場合、タイプBかどうかを判定し(ステップS48)、タイプBである場合は図6に示すJ2へ移る。
【0052】
つまり、超音波センサ2により、「後方車信号あり及び前方車信号なし」(タイプB)と検出されたので、「後方車21が存在し、前方車22は存在しない」と判定したのだが、実際は、超音波センサ2では検出できない位置に前方車22が存在していたことになる。従って、タイプBを「後方車信号あり及び前方車信号あり」のタイプAに修正し、後方車21と前方車22との間の駐車スペース長Sp1を算出して、駐車可能なスペースがあるかどうかを判定するとともに、駐車可能なスペースが存在する場合には、再度、タイプAの目標駐車位置a3を設定する。そして、その後はタイプAとしての手順を行なう。
【0053】
一方、ステップS48において、タイプBでないと判定した場合、タイプDであるかどうかを判定し(ステップS50)、タイプDでない場合はステップS42へ戻り、タイプDである場合は、図6中のJ3へ移る。
つまり、超音波センサ2により、「後方車信号なし及び前方車信号なし」(タイプD)と検出されたので、「後方車21も前方車22も存在しない」と判定したのだが、実際は、超音波センサ2では検出できない位置に前方車22が存在していたことになる。従って、タイプDを「後方車信号なし及び前方車信号あり」のタイプCに修正し、再度、タイプCの初期停止位置c2を設定する。そして、その後はタイプCとしての手順を行なう。
【0054】
車両1が初期停止位置付近に到達した場合、案内音(例えば、「ピポン」という音)によりドライバに停止を教示する(ステップS50)。このとき、ステップS52で、ブレーキセンサ40によってブレーキ踏み込みが検出された場合には、制動制御手段41により制動力が増され、初期停止位置で正確に停止する。一方、初期停止位置付近でブレーキ踏み込みが検出されない場合には、駐車支援を開始したもののドライバが他に駐車し易い空車場所を見つけたり、目標駐車位置での駐車を断念したりしたと判断し、J10へ移って、一旦駐車支援を終了する。
【0055】
初期停止位置での停止が完了したら、図7に示すステップS56へ進み、「ハンドルを左いっぱいに切ってください」という音声メッセージによりドライバにハンドル操作の教示を行なうとともに、ディスプレイ15に左矢印を表示し、ドライバにハンドル操作の教示を行なう。
そして、ハンドルが左最大舵角になったかどうかを判定し(ステップS58)、左最大舵角になったら、案内音と、「Db1メーターほど、バックしてください」という音声メッセージとによりドライバに後退の教示を行なう(ステップS60)。
【0056】
その後、Db1後退したかどうかを判定し(ステップS62)、Db1後退が完了する前に、案内音によりドライバに停止の教示を行なう(ステップS64)とともに、ドライバのブレーキ踏み込みに呼応して制動制御手段41が制動力を増減し、移動軌跡設定手段50で設定された後退ルート中の停止位置で正確に停止する。
【0057】
そして、停止が完了したかどうかを判定し(ステップS66)、停止が完了したら、「ハンドルを中立にしてください」という音声メッセージによりドライバにハンドル操作の教示を行なう(ステップS68)。
ハンドルが中立舵角になったかどうかを判定し(ステップS70)、中立舵角になったら、案内音と、「Dcメーターほど、バックしてください」という音声メッセージとによりドライバに後退の教示を行なう(ステップS72)。
【0058】
その後、Dc後退したかどうかを判定し(ステップS74)、Dc後退が完了する前に、案内音によりドライバに停止の教示を行なう(ステップS76)とともに、ドライバのブレーキ踏み込みに呼応して制動制御手段41が制動力を増減し、停止位置で正確に停止する。
停止が完了したかどうかを判定し(ステップS78)、停止が完了したら、「ハンドルを右いっぱいに切ってください」という音声メッセージによりドライバにハンドル操作の教示を行なう(ステップS80)。
【0059】
そして、ハンドルが右最大舵角になったかどうかを判定し(ステップS82)、右最大舵角になったら、案内音と、「安全を確認して、Db2メーターほど、バックしてください」という音声メッセージとによりドライバに後退の教示を行なう(ステップS84)。
その後、Db2後退したかどうかを判定し(ステップS86)、Db2後退が完了する前に、案内音によりドライバに停止の教示を行なう(ステップS88)とともに、ドライバのブレーキ踏み込みに呼応して制動制御手段41が制動力を増減し、停止位置で正確に停止する。
【0060】
そして、停止が完了したかどうかを判定し(ステップS90)、停止が完了したら、駐車支援を終了する。このようにして、車両1は、目標駐車位置設定手段11によって設定された駐車位置に停車することができる。
なお、このとき、車両1が目標駐車位置に到達する前に停止してしまったとしても、目標駐車位置の前後中心点と車両1の前後中心点との距離が所定距離(例えば、50cm)以内であれば、駐車を完了したとみなして駐車支援を終了する。
【0061】
また、上記の駐車支援中には、教示タイミング学習手段17により、ドライバの反応時間に基づいて停止の教示タイミングを学習する。そして、教示制御手段18では、この教示タイミング学習手段13の学習に基づいてその後の停止の教示タイミングを補正する。例えば、「停止」の教示がされてからドライバがブレーキを踏んで車両1が停止するまでの応答時間を累積して評価し、ドライバの応答時間に応じた教示タイミングで教示を行なう。最も単純には、累積時間を単純平均した平均応答時間分に応じたタイミング、又は、最新の応答時間ほど重視した加重平均で得られた応答時間分に応じたタイミングで「停止」の教示を行なう。これにより、ドライバが、教示に応じて操作すれば、所定の軌跡で車両が移動し、確実に目標駐車位置に駐車される。
【0062】
さらに、例えば、左側に旋回後退を行なっている時、ドライバは車両1の左側に注意しながら運転操作する必要があり、この場合、車室内の左側スピーカ14bから後退音を鳴らしたり、LED24bを点滅させたりして、ドライバに対して、どこに着目して操作をすれば良いかを案内する。これにより、より安全な駐車支援を行なうことができる。
【0063】
また、ここでは、駐車支援中、変速位置制御手段12により、変速段を1速に限定している。従って、運転操作中、ドライバが不意にアクセルペダルを踏んでしまったとしても、極低速により安全な縦列駐車又は並列駐車をすることができる。
そして、ディスプレイ15には、リヤビューカメラ7により撮像された映像及びハンドル操作を教示するアイコンが表示されるので、特に、車両1後退時、ドライバは、車両1後方の映像と模式的な操作表示を確認しながら運転操作を行なうことができる。従って、ドライバは、安全且つ適切な運転操作を行なうことができる。
【0064】
上記の手順により、左側縦列駐車の駐車支援が行なわれるが、右側縦列駐車の駐車支援は、左側縦列駐車の場合とはハンドルを切る方向が逆になるだけで、それ以外の駐車支援の手順は左側縦列駐車の手順と同様である。
なお、本実施形態では、縦列駐車するのに可能な車長方向駐車スペースを7.5mに設定して説明したが、もちろん、それ以外の数値に設定することも可能である。
【0065】
〔B〕並列駐車の駐車支援
図10,図11及び図12に示すように、例えば、左側並列駐車を行なう場合、まず、駐車したい領域の手前右側(図10中に2点鎖線で示す車両1の位置)でドライバが駐車ガイドスイッチ6をオンにして「左側並列駐車」を選択すると、「ゆっくり前進して駐車したい位置の横に止まってください」という音声メッセージが流れる(ステップT2)。
【0066】
そして、ドライバは、着座位置から横を見て駐車したい領域の横(図10中に実線で示す車両1の位置)にきたら、車両1を停止させる。なお、このとき、図10に示すように、駐車したい領域の手前側(図10中右側)にすでに駐車している車両(以下、右隣接車という)31が存在する場合は、超音波センサ2がこの右隣接車31を確実に検出できるように、右隣接車31から所定の距離X1の近傍位置を走行させる。
【0067】
その後、一時停止が完了したかどうかを判定し(ステップT4)、一時停止が完了したら、この時点で、超音波センサ2により、駐車したい領域の右側に駐車している右隣接車31の有無が検出されており、場合によっては、駐車したい領域の左側に駐車している車両(以下、左隣接車という)32の有無も検出されている。この検出結果に応じて次の駐車支援が異なってくる。
【0068】
したがって、超音波センサ2の検出結果により、ステップT6において、「右隣接車信号あり及び左隣接車信号なし」と判定した場合、タイプBのフラグを立て(ステップT8)、目標駐車位置設定手段11が、車両1が右隣接車31の左側部からL20(例えば、1.5m)離れた位置にくるように目標駐車位置を設定する(ステップT10)。
【0069】
つまり、図13(b)に示すように、ドライバが、駐車ガイドスイッチ6をオンにしてから車両1を位置b10に停止させた場合、超音波センサ2は、一般には、右隣接車31については確実に検出する。しかし、駐車したい領域の左側に左隣接車32が実際に存在しているとしても、車両1が停止位置b10に停止した場合には、超音波センサ2で左隣接車32を検出できる位置まで進んでいないので左隣接車32を検出することができない。従って、この場合、目標駐車位置設定手段11は、超音波センサ2の検出結果に基づき、右隣接車31のみ存在しているものと仮定して、車両1の目標駐車位置を設定する。
【0070】
具体的には、図14(b)に示すように、右隣接車31のみ存在している場合、この右隣接車31から左側へ所定距離L20だけ離れた位置に駐車できるように目標駐車位置b30を設定する。なお、この所定距離L20は、右隣接車31及び左隣接車32が存在している場合の車両1と隣接車31,32との一般的な車両間隔よりもやや大きく設定される。即ち、右隣接車31のみ存在する場合、右隣接車31から所定量以上の余裕をもったスペースを確保して車両1を駐車することができる。
【0071】
また、目標駐車位置設定手段11は、この目標駐車位置b30と相対的な位置に初期停止位置b20を設定する。即ち、この初期停止位置b20をスタート地点として、予め決められた運転操作をすれば車両1を目標駐車位置b30に駐車することができる。
また、超音波センサ2の検出結果により、ステップT12において、「右隣接車信号なし及び左隣接車信号あり」と判定した場合、タイプCのフラグを立て(ステップT14)、目標駐車位置設定手段11が、左隣接車端から所定距離L30(例えば、1.5m)だけ離れた位置に目標駐車位置を設定する(ステップT16)。
【0072】
つまり、図13(c)に示すように、ドライバが、駐車ガイドスイッチ6をオンにしてから車両1を位置c10に停止させた場合、超音波センサ2は、左隣接車32のみを検出する。即ち、ドライバが車両1を駐車させるために空き領域を見つけて、この空き領域の横に停車したところ、自車両1の先端が左隣接車32の右端位置まで進めば、超音波センサ2が左隣接車32の右端を検出する。
【0073】
したがって、このような場合、目標駐車位置設定手段11は、超音波センサ2の検出結果に基づき、左隣接車32のみ存在しているものとして、車両1の目標駐車位置を設定する。
具体的には、図14(c)に示すように、左隣接車32のみ存在している場合、この左隣接車32から右側へ所定距離L30離れた位置に駐車できるように目標駐車位置c30を設定する。なお、この所定距離L30は、上記所定距離L20と同様に、右隣接車31及び左隣接車32が存在している場合の車両1と右隣接車31,32との一般的な車両間隔よりもやや大きく設定される。即ち、左隣接車32のみ存在する場合、左隣接車32から所定量以上の余裕をもったスペースを確保して車両1を駐車することができる。
【0074】
また、目標駐車位置設定手段11は、この目標駐車位置c30と相対的な位置に初期停止位置c20を設定する。即ち、この初期停止位置c20をスタート地点として、予め決められた運転操作をすれば車両1を目標駐車位置c30に駐車することができる。
また、超音波センサ2の検出結果により、ステップT18において、「右隣接車信号あり及び左隣接車信号あり」と判定した場合、タイプAのフラグを立て(ステップT20)、目標駐車位置設定手段11が、左隣接車32と右隣接車31との間の駐車スペースSp2を算出する(ステップT22)。
【0075】
つまり、図13(a)に示すように、車両1が右隣接車32の右側にある時点で、ドライバが駐車ガイドスイッチ6をオンにしてから車両1を前進させて左隣接車32の右端を検出しうる位置a10に停止させた場合、超音波センサ2は、右隣接車31と左隣接車32とを検出する。左隣接車32を検出する状況は上述と同様に、ドライバが車両1を駐車させるために空き領域を見つけて、この空き領域の横に停車したところ、自車両1の先端が左隣接車32の右端位置まで進んだ場合である。
【0076】
このような場合、図14(a)に示すように、駐車したい領域の左側に左隣接車32が実際に存在しているので、この左隣接車32と右隣接車31との間に駐車できるだけのスペースがあるかどうかを判定する必要がある。
したがって、駐車スペース長Sp2が所定長Sp′(例えば、2.5m)以上かどうかを判定し(ステップT24)、駐車スペース長Sp2が所定長Sp′以上の場合、左隣接車32と右隣接車31との中間のL10上に車両1の前後中心がくるように目標駐車位置a30を設定する(ステップT26)。
【0077】
また、目標駐車位置設定手段11は、この目標駐車位置a30と相対的な位置に初期停止位置a20を設定する。即ち、この初期停止位置a20をスタート地点として、予め決められた運転操作をすれば車両1を目標駐車位置a30に駐車することができる。
一方、駐車スペースSp2が所定長Sp′未満の場合、図12に示すK1へ進み、「駐車スペースが足りません。駐車ガイドを終了します」という音声メッセージにより、駐車できるくらいのスペースがないことをドライバに教示した後、駐車支援を終了する。これにより、ドライバは、駐車しようとする空きスペースには駐車が困難なことがわかり、ドライバが難しい駐車支援操作を回避して、他の駐車スペースを探すように案内することができる。
【0078】
さらに、超音波センサ2の検出結果により、「右隣接車信号なし及び左隣接車信号なし」と判定した場合(ステップT28)、タイプDのフラグを立て(ステップT30)、目標駐車位置設定手段11が、現在車両1が停止している位置の真横に目標駐車位置を設定する(ステップT32)。
つまり、図13(d)に示すように、ドライバが、駐車ガイドスイッチ6をオンにしてから車両1を位置d10に停止させた場合、超音波センサ2は、駐車車両を検出しない。即ち、目標とする駐車領域の左側に左隣接車32が実際に存在しているとしても、車両1の停止位置d10では通常、超音波センサ2で左隣接車32を検出できる位置まで進んでいないので左隣接車32を検出することができない。従って、この場合、目標駐車位置設定手段11は、超音波センサ2の検出結果に基づき、駐車しようとするスペースの左右に駐車車両が存在していないものと仮定して、車両1の目標駐車位置を設定する。
【0079】
具体的には、図14(d)に示すように、目標駐車位置設定手段11は、現在車両1が停止している位置の真横に目標駐車位置d30を設定するとともに、この目標駐車位置d30と相対的な位置に初期停止位置d20を設定する。即ち、この初期停止位置d20をスタート地点として、予め決められた運転操作をすれば車両1を目標駐車位置d30に駐車することができる。
【0080】
上述のように目標駐車位置設定手段11によって目標駐車位置が設定されると、移動軌跡設定手段50がこの目標駐車位置への車両1の走行ルートを算出する(ステップT40)。
つまり、並列駐車を行なう場合、まず、現在位置から所定距離だけ車両1を前進又は後退させて初期停止位置に案内する。
【0081】
そして、この初期停止位置から目標駐車位置までの前進又は後退時には、はじめに車両1後方が目標駐車位置の方向に向くように操舵操作を行ない、この状態で車両1が所定位置まで旋回前進したら、次いで、逆方向に操舵操作して車両1を目標駐車位置まで旋回後退させる。
このため、車両1の現在位置から前進又は後退位置(初期停止位置)a20,b20,c20,d20までの必要移動距離D2,さらに、初期停止位置a20,b20,c20,d20から目標駐車位置a30,b30,c30,d30までの前進旋回距離Df,後退旋回距離Db3を演算する(ステップT40)。
【0082】
ここで、車両1が右隣接車31から所定距離(幅方向車間距離)X1離れた位置を走行している時の走行ラインを基準とした場合、車両1がこの基準に沿って走行している時は、前進旋回距離Df,後退旋回距離Db3を一定値に固定し、車両1がこの基準から幅方向へずれて走行している時には、この幅方向車間距離に応じて、前進旋回距離Df,後退旋回距離Db3を演算する。
【0083】
なお、目標駐車位置a30,b30,c30,d30と初期停止位置a20,b20,c20,d20との間には所定距離X1に応じて相対的な位置関係があり、目標駐車位置a30,b30,c30,d30が決まると、所定距離X1に応じて初期停止位置a20,b20,c20,d20が必然的に決まるのである。
【0084】
各距離が算出されたら、現在位置推定手段10の推定結果に基づいて、現在車両1が初期停止位置に到達しているかどうかを判定し(ステップT42)、初期停止位置に到達していない場合、初期停止位置への誘導を行なう。このとき、例えば、必要移動距離D1が「+0.5m」である場合、教示手段13は、「ゆっくり、50センチほど、前進してください」という音声メッセージによりドライバに前進の教示をする(ステップT44)。
【0085】
また、教示を受けたドライバが前進又は後退操作を行なっている最中、超音波センサ2が左隣接車32を検出したかどうかを判定し(ステップT46)、左隣接車32を検出しなかった場合はステップT42へ戻る。
一方、左隣接車32を検出した場合、タイプBかどうかを判定し(ステップT48)、タイプBである場合は図11に示すK2へ移る。
【0086】
つまり、超音波センサ2により、「右隣接車信号あり及び左隣接車信号なし」(タイプB)と検出されたので、「右隣接車31が存在し、左隣接車32は存在しない」と判定したのだが、実際は、超音波センサ2では検出できない位置に左隣接車32が存在していたことになる。従って、タイプBを「右隣接車信号あり及び左隣接車信号あり」のタイプAに修正し、再度、タイプAの初期停止位置a2を設定する。そして、その後はタイプAとしての手順を行なう。
【0087】
一方、ステップT48において、タイプBでないと判定した場合、タイプDかどうかを判定し(ステップT50)、タイプDでない場合はステップT42へ戻り、タイプDである場合は、図11中のK3へ移る。
つまり、超音波センサ2により、「右隣接車信号なし及び左隣接車信号なし」(タイプD)と検出されたので、「右隣接車31も左隣接車32も存在しない」と判定したのだが、実際は、超音波センサ2では検出できない位置に左隣接車32が存在していたことになる。従って、タイプDを「右隣接車信号なし及び左隣接車信号あり」のタイプCに修正し、再度、タイプCの目標駐車位置c30を設定する。そして、その後はタイプCとしての手順を行なう。
【0088】
車両1が初期停止位置付近に到達した場合、案内音(例えば、「ピポン」という音)によりドライバに停止を教示する(ステップT50)。このとき、ステップT52で、ブレーキセンサ40によってブレーキ踏み込みが検出された場合には、制動制御手段41により制動力が増され、初期停止位置で正確に停止する。一方、初期停止位置付近でブレーキ踏み込みが検出されない場合には、駐車支援を開始したもののドライバが他に駐車し易い空車場所を見つけたり、目標駐車位置での駐車を断念したりしたと判断し、K10に移って、一旦駐車支援を終了する。
【0089】
初期停止位置での停止が完了したら、図12に示すステップT56へ進み、「ハンドルを右いっぱいに切ってください」という音声メッセージによりドライバにハンドル操作の教示を行なうとともに、ディスプレイ15に右矢印を表示し、ドライバにハンドル操作の教示を行なう。
そして、ハンドルが右最大舵角になったかどうかを判定し(ステップT58)、右最大舵角になったら、案内音と、「Dfメーターほど、前進してください」という音声メッセージとによりドライバに前進の教示が行なわれる(ステップT60)。
【0090】
その後、Df前進したかどうかを判定し(ステップT62)、Df前進が完了する前に、案内音によりドライバに停止の教示を行なう(ステップT64)とともに、ドライバのブレーキ踏み込みに呼応して制動制御手段41が制動力を増減し、移動軌跡設定手段50で設定された後退ルート中の停止位置で正確に停止する。
【0091】
そして、停止が完了したかどうかを判定し(ステップT66)、停止が完了したら、「ハンドルを左いっぱいに切ってください」という音声メッセージによりドライバにハンドル操作の教示を行なう(ステップT68)。
ハンドルが左最大舵角になったかどうかを判定し(ステップT70)、左最大舵角になったら、案内音と、「Db3メーターほど、バックしてください」という音声メッセージとによりドライバに後退の教示を行なう(ステップT72)。
【0092】
その後、Db3後退したかどうかを判定し(ステップT74)、Db3後退が完了する前に、案内音によりドライバに停止の教示を行なう(ステップT76)とともに、ドライバのブレーキ踏み込みに呼応して制動制御手段41が制動力を増減し、停止位置で正確に停止する。
そして、停止が完了したかどうかを判定し(ステップT78)、停止が完了したら、駐車支援を終了する。このようにして、車両1は、目標駐車位置設定手段11によって設定された駐車位置に停車することができる。
【0093】
なお、このとき、車両1が目標駐車位置に到達する前に停止してしまったとしても、目標駐車位置の中心点と車両1の前後中心点との距離が所定距離(例えば、50cm)以内であれば、駐車を完了したとみなして駐車支援を終了する。
また、上記の駐車支援中には、教示タイミング学習手段17により、ドライバの反応時間に基づいて停止の教示タイミングを学習する。そして、教示制御手段18では、この教示タイミング学習手段13の学習に基づいてその後の停止の教示タイミングを補正する。例えば、「停止」の教示がされてからドライバがブレーキを踏んで車両1が停止するまでの応答時間を累積して評価し、ドライバの応答時間に応じた教示タイミングで教示を行なう。最も単純には、累積時間を単純平均した平均応答時間分に応じたタイミング、又は、最新の応答時間ほど重視した加重平均で得られた応答時間分に応じたタイミングで「停止」の教示を行なう。これにより、ドライバが、教示に応じて操作すれば、所定の軌跡で車両が移動し、確実に目標駐車位置に駐車される。
【0094】
さらに、例えば、左側に旋回後退を行なっている時、ドライバは車両1の左側に注意しながら運転操作する必要があり、この場合、車室内の左側スピーカ14bから後退音を鳴らしたり、LED24bを点滅させたりして、ドライバに対して、どこに着目して操作をすれば良いかを案内する。これにより、より安全な駐車支援を行なうことができる。
【0095】
また、ここでは、駐車支援中は、変速位置制御手段12により、変速段を1速に限定している。従って、運転操作中、ドライバが不意にアクセルペダルを踏んでしまったとしても、極低速により安全な縦列駐車又は並列駐車をすることができる。
そして、ディスプレイ15には、リヤビューカメラ7により撮像された映像及びハンドル操作を教示するアイコンが表示されるので、特に、車両1後退時、ドライバは、車両1後方の映像と模式的な操作表示を確認しながら運転操作を行なうことができる。従って、ドライバは、安全且つ適切な運転操作を行なうことができる。
【0096】
上記の手順により、左側並列駐車の駐車支援が行なわれるが、右側並列駐車の駐車支援は、左側並列駐車の場合とはハンドルを切る方向が逆になるだけで、それ以外の駐車支援の手順は左側並列駐車の手順と同様である。
なお、本実施形態では、並列駐車するのに可能な車幅方向駐車スペースを2.5mに設定して説明したが、もちろん、それ以外の数値に設定することも可能である。
【0097】
上述したように、本実施形態の駐車支援装置によれば、停止位置付近でドライバによるブレーキ操作が行なわれた場合に、制動力の増減によって制動支援が行なわれ、停止位置に正確に停止できるため、操作ミス等で停止位置がずれて推奨経路を走行できなくなる事態を回避することができる。
また、ドライバのブレーキ踏み込みがあった場合にのみこのような制動支援が行なわれるため、駐車支援の最中に他に駐車し易い空車場所を見つけた場合には、設定された停止位置で停止することなくそのまま空車場所付近まで走行し、推奨経路を再設定することができるため、使い勝手を向上させることができる。
【0098】
このとき、ドライバの制動意思がドライバのブレーキ操作(即ち、正のブレーキ踏み込み量)の有無から検出されるようになっているため、ドライバにとってわかり易く、自然な感覚で停止又は停止解除による推奨経路の再設定を行なうことができる。
また、ブレーキ踏み込み量が少なく、設定された停止位置で停止できない場合に制動制御手段41が停止位置で停止できる大きさにまで自動的に制動力を高めるようにしているため、ドライバの操作ミスやブレーキ操作の遅れ等が生じた場合にも、設定された停止位置に正確に停止することができ、利便性を向上させることができる。
【0099】
なお、駐車時には接触事故等を防止するためにドライバが敢えて大きな制動力によって急停止する場合があるが、本実施形態にかかる駐車支援装置では、停止位置手前で大きなブレーキ踏み込みが検出された場合(即ち、設定された停止位置で正確に停止するために必要な所定の制動力よりも大きな制動力が発揮された場合)に、ドライバのブレーキ操作を優先させているため、安全性を考慮したドライバの意思を十分反映させることができる。
【0100】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、単に、超音波センサ2が物体を検出した時点を基点として、目標駐車位置設定手段11により目標駐車位置を設定するようにしても良い。そして、この目標駐車位置に基づいて、教示手段13により、ドライバに対して必要な運転操作を教示することもできる。従って、簡単な構成により、目標駐車位置の設定を機械的に適切に設定でき、ドライバに対してより適切な駐車支援を行なうことができる。
【0101】
また、物体位置検出手段としての超音波センサ2は、駐車車両を検出するものとして説明したが、もちろん、駐車車両だけでなく、壁やその他の物体も検出可能であり、超音波センサ2がこれらのものを検出することによっても駐車支援を行なうことができる。
さらに、本実施形態では、変速機19が有段の場合において、変速位置制御手段12により変速段を1速に限定することを説明したが、特に、有段の変速機19でなくても良く、例えば、CVTの場合には、低速段に相当する変速比領域に限定しても良い。
【0102】
駐車支援中、現在位置推定手段10の推定結果に基づいて、自車両の位置が所要の軌跡からずれた場合に、第1後退旋回距離Db1,中立後退距離Dc,第2後退旋回距離Db2や前進旋回距離Df,後退旋回距離Db3を自車両の現在位置(方向も含む)に応じてずれを修正するようにしても良い。
また、上記実施形態では、前進ルートでの停止位置付近(初期停止位置)のみならず後退ルート(即ち、シフトがリア位置)での停止位置付近でも、ドライバのブレーキ踏み込みに呼応して制動制御手段41によって制動力を変化させているが、後退ルートでの停止位置付近では、ドライバのブレーキ踏み込みがない場合でも自動的に制動力を発揮させて停止位置で正確に停止するようにしてもよい。
【0103】
つまり、前進ルートを走行する際には、ドライバはより駐車し易い空車場所を見つけることがあり、ブレーキを踏まずに前進走行によりそのまま他の空車場所付近まで走行することができる。このため、ブレーキ踏み込みを検出した場合にのみ制動力を制御して初期停止位置で停止するように構成することは、ドライバの意思を反映した設計といえる。
【0104】
これに対して、後退ルートを走行する場合、ドライバは駐車場所を一旦設定された目標駐車位置を変更しないものと推定されるため、ブレーキ踏み込みを検出しない場合にも制動力を制御して停止位置で正確に停止するようにすることは、ドライバの意思を無視した設計とはならず、かえって接触事故等を防止できるため、親切な設計といえる。
【0105】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の駐車支援装置によれば、運転者の制動意思がある場合には制動制御手段によって、設定された停止位置で停止するように制動支援が行なわれ、設定された停止位置に正確に停止できるため、停止位置のずれによって設定された推奨経路を走行できなくなる事態を回避することができる。
【0106】
また、設定された停止位置付近で運転者の制御意思が検出された場合にのみこのような制動支援が行なわれるため、駐車支援の最中に他に駐車しやすい空車場所を見つけた場合には、停止位置で停止することなくそのまま空車場所付近まで走行して推奨経路を再設定することができるため、使い勝手を向上させることができる(請求項1,,7)。
【0107】
このとき、運転者の制動意思が、運転者のブレーキ操作によるブレーキの踏み込みの有無から検出されるようにすることで、運転者にとってわかり易く、自然な感覚で停止又は停止解除を行なうことができる(請求項)。
また、ブレーキの踏み込みによって発揮される制動力が上記停止位置で停止するために必要な所定の制動力よりも小さい場合に、車両の制動力をこの所定の制動力まで高めるようにすることで制動操作の支援を行なう場合、運転者の操作ミスやブレーキ操作が遅れた場合にも制動力が的確に制御されて停止位置に正確に停止できるため、利便性が向上する(請求項)。
【0108】
なお、安全性を確保するために運転者が停止位置の手前で敢えて大きな制動力を発揮させる場合があるため、停止位置の手前でこの所定の制動力を発揮させるブレーキの踏み込み以上のブレーキの踏み込みが検出された場合に、制動制御手段は運転者の制動操作を優先するようにすることで、このような運転者の意思を反映させて走行安全性を確保することができる(請求項)。
【0109】
また、変速位置検出手段によって変速段を検出し、変速段が前進変速段で前進走行しているときには、設定された停止位置付近で運転者の制御意思が検出された場合にのみ、設定された停止位置で停止するように制動支援が行なわれ、変速段が後退変速段のときには制動意思が検出されない場合でも、設定された停止位置で停止するように制動力を増減させるようにすることで、利便性を更に向上させることができる。つまり、変速段が前進変速段で前進走行しているときには、運転者の制動意思がある場合には、制動制御手段によって、設定された停止位置で停止するように制動支援が行なわれ、設定された停止位置に正確に停止できるため、停止位置のずれによって設定された推奨経路を走行できなくなる事態を回避することができる。また、変速段が前進変速段で前進走行しているときには、運転者はより駐車し易い空車場所を見つけることがあり、ブレーキを踏まずに前進走行によりそのまま他の空車場所付近まで走行することで、推奨経路を再設定することができる。また、変速段が後退変速段で後退走行しているときには、運転者は一旦設定された目標駐車位置を変更しないものと推定されるため、ブレーキ踏み込みを検出しない場合にも制動力を制御して停止位置で正確に停止するようにすることで、運転ミス等に基づく接触事故等を防止できる(請求項)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての駐車支援装置を示すもので、その構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態としての駐車支援装置を示すもので、その物体位置検出手段の検出範囲を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態としての駐車支援装置を示すもので、そのディスプレイを説明するための模式図である。
【図4】本発明の一実施形態としての駐車支援装置を示すもので、その案内手段を説明するための模式図である。
【図5】本発明の一実施形態としての駐車支援装置を示すもので、その縦列駐車の駐車支援を説明するための模式図である。
【図6】本発明の一実施形態としての駐車支援装置を示すもので、その縦列駐車の駐車支援を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態としての駐車支援装置を示すもので、その縦列駐車の駐車支援を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態としての駐車支援装置を示すもので、その縦列駐車の駐車支援を説明するための模式図である。
【図9】本発明の一実施形態としての駐車支援装置を示すもので、その縦列駐車の駐車支援を説明するための模式図である。
【図10】本発明の一実施形態としての駐車支援装置を示すもので、その並列駐車の駐車支援を説明するための模式図である。
【図11】本発明の一実施形態としての駐車支援装置を示すもので、その並列駐車の駐車支援を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態としての駐車支援装置を示すもので、その並列駐車の駐車支援を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態としての駐車支援装置を示すもので、その並列駐車の駐車支援を説明するための模式図である。
【図14】本発明の一実施形態としての駐車支援装置を示すもので、その並列駐車の駐車支援を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 車両
3 ハンドル角センサ(操舵角検出手段)
5 シフトポジションセンサ(変速位置検出手段)
13 教示手段
40 ブレーキセンサ(制動意思検出手段)
41 制動制御手段
50 移動軌跡設定手段

Claims (7)

  1. 駐車区画に駐車する際に、停止位置を含む車両の移動軌跡を設定する移動軌跡設定手段と、
    上記移動軌跡設定手段によって設定された移動軌跡に沿うように運転者に対して操舵操作及び運転操作を教示する教示手段と、
    運転者の制動意思を検出する制動意思検出手段と、
    上記制動意思検出手段によって上記停止位置付近で運転者の制動意思が検出された場合には、上記停止位置で停止するように制動操作の支援を行ない、上記制動意思検出手段によって上記停止位置付近で運転者の制動意思が検出されない場合には、制動操作の支援を行なわない制動制御手段とをそなえたことを特徴とする、駐車支援装置。
  2. 駐車区画に駐車する際に、停止位置を含む車両の移動軌跡を設定する移動軌跡設定手段と、
    上記移動軌跡設定手段によって設定された移動軌跡に沿うように運転者に対して操舵操作及び運転操作を教示する教示手段と、
    運転者の制動意思を検出する制動意思検出手段と、
    変速段を検出するための変速位置検出手段と、
    上記変速位置検出手段による検出結果に基づいて、
    上記変速段が前進変速段のときには、上記制動意思検出手段によって上記停止位置付近で運転者の制動意思が検出された場合には、上記停止位置で停止するように制動操作の支援を行ない、上記制動意思検出手段によって上記停止位置付近で運転者の制動意思が検出されない場合には、制動操作の支援を行なわないとともに、
    上記変速段が後退変速段のときには、上制動意思検出手段によって運転者の制動意思が検出されなくても、上記停止位置で停止するように制動操作の支援を行なう制動制御手段とをそなえたことを特徴とする、駐車支援装置。
  3. 上記制動意思検出手段は、運転者のブレーキ操作によブレーキの踏み込みの有無から上記制動意思を検出することを特徴とする、請求項1又は2記載の駐車支援装置。
  4. 上記制動制御装置は、上記制動意思検出手段によって運転者の制動意思が検出されると、上記車両の制動力を増減させて上記車両を上記停止位置に停車させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
  5. 上記制動制御手段は、上記ブレーキの踏み込みによって発揮される制動力が上記停止位置で停止するために必要な所定の制動力よりも小さい場合には、上記車両の制動力を上記所定の制動力まで高めることを特徴とする、請求項記載の駐車支援装置。
  6. 上記制動制御手段は、上記制動意思検出手段によって上記停止位置の手前で上記所定の制動力を発揮させるブレーキの踏み込み以上のブレーキの踏み込みが検出された場合には、運転者の制動操作を優先することを特徴とする、請求項記載の駐車支援装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか項に記載の駐車支援装置をそなえたことを特徴とする、駐車支援装置付き車両。
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