JP4291923B2 - 駐車支援装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動軌跡設定手段で設定した移動軌跡に基づいて車両を目標位置まで移動させて駐車を行うための駐車支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる駐車支援装置は特開平4−55168号公報、特開平10−114274号公報により既に知られている。これらの駐車支援装置は、従来周知の電動パワーステアリング装置のステアリングアクチュエータを利用し、予め記憶した車両の移動距離と転舵角との関係に基づいて前記ステアリングアクチュエータを制御することにより、バック駐車や縦列駐車を自動で行うようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特開平10−114274号公報に記載されたものは、スピーカ等の報知手段が自動駐車の各過程でドライバーに現在の自車の状況の報知やドライバーが実行すべき操作の内容を報知することにより、ドライバーの操作を支援してスムーズな駐車を可能にしている。
【0004】
しかしながら上記従来のものは、報知すべき複数の教示コメントが同時に発生した場合に、それら複数の教示コメントの重要度が不明確であるため、重要度が低い教示コメントが先に報知されて重要度が高い教示コメントの報知が遅れる可能性があった。またドライバーに操作を促す教示コメントが発生して報知が開始された場合、ドライバーが既に前記操作を開始しているために報知の必要がなくなっても、その報知が最後まで実行されてドライバーが煩わしさを感じる問題があった。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、移動軌跡設定手段で設定した移動軌跡に基づいて車両を目標位置まで移動させる駐車支援装置において、ドライバーに対する情報の報知を的確に行うことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、目標位置までの車両の移動軌跡を記憶または算出する移動軌跡設定手段と、移動軌跡設定手段で設定した移動軌跡に基づいて車両が目標位置まで移動する間にドライバーに報知すべき複数の情報を、ドライバーに対する報知の優先度に応じて予め優先順位を付して記憶する情報記憶手段と、車両の実際の状態を検出する車両状態検出手段と、移動軌跡設定手段が出力する移動軌跡、車両状態検出手段が出力する車両の状態および情報記憶手段に記憶した優先順位に基づいて前記複数の情報から報知すべき情報を選択する情報選択手段と、情報選択手段が選択した情報を報知する情報報知手段とを備えたことを特徴とする駐車支援装置が提案される。
【0007】
上記構成によれば、情報記憶手段に予め優先順位を付して記憶したドライバーに報知すべき複数の情報のうち、移動軌跡設定手段で設定した目標位置までの移動軌跡上の自車の位置や、そのときの自車の状況に応じた適切な情報を選択してドライバーに報知し、車庫入れ操作を効果的に支援することができる。
【0008】
尚、実施例の記憶部23は本発明の移動軌跡設定手段に対応し、実施例の教示コメント記憶部11aは本発明の情報記憶手段に対応し、実施例の教示コメント選択部11bは本発明の情報選択手段に対応し、実施例の教示コメント報知部11cは本発明の情報報知手段に対応し、実施例の転舵角検出手段S1 、操舵トルク検出手段S2 、前輪回転角検出手段S3 、ブレーキ操作量検出手段S4 およびシフトレンジ検出手段S5 は本発明の車両状態検出手段に対応する。
【0009】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、情報選択手段は情報記憶手段に記憶した優先順位に基づいて優先順位が高い情報を選択することを特徴とする駐車支援装置が提案される。
【0010】
上記構成によれば、情報記憶手段に記憶した複数の情報のうち優先順位が高い情報が選択されるので、ドライバーはその時点で最も必要な情報を確実に得ることができる。
【0011】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、情報選択手段が報知すべき情報を選択したとき、車両状態検出手段が前記情報と同内容の状態を検出すれば、情報報知手段は前記情報の報知を中止することを特徴とする駐車支援装置が提案される。
【0012】
上記構成によれば、報知すべき情報が選択されたときに、既に車両が前記情報と同内容の状態になっていれば前記情報の報知が中止されるので、不必要な情報が報知されてドライバーが煩わしさを感じることが防止される。
【0013】
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜3の何れかの構成に加えて、車輪を転舵するステアリングアクチュエータと、移動軌跡設定手段で設定した移動軌跡に基づいて前記ステアリングアクチュエータを制御するアクチュエータ制御手段とを備えたことを特徴とする駐車支援装置が提案される。
【0014】
上記構成によれば、移動軌跡設定手段で設定した移動軌跡に基づいてステアリングアクチュエータを制御して車輪を転舵するので、ドライバーがステアリングホイールを操作することなく車両を自動的に目標位置に導くことが可能になり、ドライバーの操作負担が軽減される。
【0015】
尚、実施例の制御部22は本発明のアクチュエータ制御手段に対応し、実施例の前輪Wfは本発明の車輪に対応する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。 図1〜図6は本発明の一実施例を示すもので、図1は駐車支援装置を備えた車両の全体構成図、図2はバック駐車/左モードの作用説明図、図3はモード選択スイッチおよび自動駐車スタートスイッチを示す図、図4は操作段階教示装置のブロック図、図5は教示コメント記憶部の記憶内容を示す図、図8は作用を説明するフローチャートである。
【0017】
図1に示すように、車両Vは一対の前輪Wf,Wfおよび一対の後輪Wr,Wrを備える。ステアリングホイール1と操舵輪である前輪Wf,Wfとが、ステアリングホイール1と一体に回転するステアリングシャフト2と、ステアリングシャフト2の下端に設けたピニオン3と、ピニオン3に噛み合うラック4と、ラック4の両端に設けた左右のタイロッド5,5と、タイロッド5,5に連結された左右のナックル6,6とによって接続される。ドライバーによるステアリングホイール1の操作をアシストすべく、あるいは後述する車庫入れのための自動操舵を行うべく、電気モータよりなるステアリングアクチュエータ7がウオームギヤ機構8を介してステアリングシャフト2に接続される。
【0018】
操舵制御装置21は制御部22と記憶部23とから構成されており、制御部22には、ステアリングホイール1の回転角である転舵角θを検出する転舵角検出手段S1 と、ステアリングホイール1の操舵トルクTを検出する操舵トルク検出手段S2 と、左右の前輪Wf,Wfの回転角を検出する前輪回転角検出手段S3 ,S3 と、ブレーキペダル9の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段S4 と、セレクトレバー10により選択されたシフトレンジ(「D」レンジ、「R」レンジ、「N」レンジ、「P」レンジ等)を検出するシフトレンジ検出手段S5 とからの信号が入力される。
【0019】
図3を併せて参照すると明らかなように、ドライバーにより操作されるモード選択スイッチS6 および自動駐車スタートスイッチS7 が制御部22に接続される。モード選択スイッチS6 は、後述する4種類の駐車モード、即ちバック駐車/右モード、バック駐車/左モード、縦列駐車/右モードおよび縦列駐車/左モードの何れかを選択する際に操作される4個のボタンを備える。自動駐車スタートスイッチS7 は、モード選択スイッチS6 で選択した何れかのモードによる自動駐車を開始する際に操作される。
【0020】
記憶部23には、前記4種類の駐車モードのデータ、即ち車両Vの移動距離Xに対する規範転舵角θrefの関係が、予めテーブルとして記憶されている。車両Vの移動距離Xは、既知である前輪Wfの周長に前輪回転角検出手段S3 ,S3 で検出した前輪Wfの回転角を乗算することにより求められる。尚、前記移動距離Xの算出には、左右一対の前輪回転角検出手段S3 ,S3 の出力のハイセレクト値、ローセレクト値、あるいは平均値が使用される。
【0021】
制御部22は、前記各検出手段S1 〜S5 およびスイッチS6 ,S7 からの信号と、記憶部23に記憶された駐車モードのデータとに基づいて、前記ステアリングアクチュエータ7の作動と、操作段階教示装置11の作動とを制御する。
【0022】
図4に示すように、制御部22に接続された操作段階教示装置11は、教示コメント記憶部11aと、教示コメント選択部11bと、教示コメント報知部11cとから構成される。図5に示すように、教示コメント記憶部11aは自動操舵制御中にドライバーに報知すべき教示コメントを優先ランク別に記憶しており、その中から教示コメント選択部11bが選択した教示コメントを、スピーカよりなる教示コメント報知部11cが音声でドライバーに報知する。教示コメント選択部11bは、記憶部23に記憶された移動軌跡と、前記各検出手段S1 〜S5 で検出した車両Vの状況と、教示コメント記憶部11aに記憶された教示コメントの優先ランクとに基づいて、報知すべき所定の教示コメントを選択する。
【0023】
教示コメントは4段階の優先ランク別に分類されており、最も優先ランクが高い「ランク1」の教示コメントはドライバーにシステムの終了や駐車モードを報知するもので、
○オートパーキング終了します
○途中終了します
○左バック駐車です
○右バック駐車です
○左縦列駐車です
○右縦列駐車です
から成る。これらの教示コメントによって、自動操舵制御が終了したことにドライバーが気づかない事態や、ドライバーの意図しない駐車モードの自動操舵制御が実行される事態を回避することができる。
【0024】
2番目に優先ランクが高い「ランク2」の教示コメントは、
○オートパーキング開始します
であって、この教示コメントによって、自動操舵制御が開始されたことにドライバーが気づかない事態を回避することができる。
【0025】
3番目に優先ランクが高い「ランク3」の教示コメントは、車両Vを停車あるいは減速させるためのもので
●停車してください
●減速してください
●停車してシフトチェンジをしてしてください
からなる。これらの教示コメントによって、車両Vを折り返し位置(2) や目標位置(3) に正しく停車させてオーバーランを防止し、かつ安全な車速を維持して過剰な車速により自動操舵制御が中止されるのを防止することができる。
【0026】
最も優先ランクが低い「ランク4」の教示コメントは、ドライバーに車両Vを移動させる操作を促すためのもので、
●ゆっくり前進してください
●ゆっくりバックしてください
からなる。これらの教示コメントは、ドライバーがその操作の実行を忘れることが起こり難く、またドライバーの操作が遅れても自動操舵制御の続行に特に支障を来さないために、優先ランクが低く設定される。
【0027】
尚、上記各教示コメントのうち、○印の付いたものはドライバーに必要な情報を報知するための情報教示コメントであり、●印の付いたものはドライバーに所定の運転操作を促すための操作教示コメントである。
【0028】
次に、前述の構成を備えた本発明の実施例の作用について説明する。
【0029】
自動駐車を行わない通常時(前記モード選択スイッチS6 が操作されていないとき)には、操舵制御装置21は一般的なパワーステアリング制御装置として機能する。具体的には、ドライバーが車両Vを旋回させるべくステアリングホイール1を操作すると、操舵トルク検出手段S2 がステアリングホイール1に入力された操舵トルクTを検出し、制御部22は前記操舵トルクTに基づいてステアリングアクチュエータ7の駆動を制御する。その結果、ステアリングアクチュエータ7の駆動力によって左右の前輪Wf,Wfが転舵され、ドライバーのステアリング操作がアシストされる。
【0030】
次に、バック駐車/左モード(車両Vの左側にある駐車位置にバックしながら駐車するモード)を例にとって自動操舵制御の内容を説明する。
【0031】
先ず、図2(A)に示すように、ドライバー自身のステアリング操作により車両Vを駐車しようとする車庫の近傍に移動させ、車体の左側面を車庫入口線にできるだけ近づけた状態で、予め決められた基準(例えば、ドアの内側に設けられたマークやサイドミラー)が車庫の中心線に一致する位置(スタート位置(1) )に車両Vを停止させる。そして、モード選択スイッチS6 を操作してバック駐車/左モードを選択すると、教示コメント報知部11cが音声で「左バック駐車です」と報知する。続いてドライバーが自動駐車スタートスイッチS7 をONすると、教示コメント報知部11cが音声で「オートパーキング開始します」と報知して自動操舵制御が開始される。
【0032】
続いて教示コメント報知部11cが「ゆっくり前進してください」と報知する。ドライバーがブレーキペダル9を緩めて車両Vをクリープ走行させると、制御部22からの指令でステアリングアクチュエータ7が自動的に作動し、ドライバーがステアリングホイール1を操作しなくても、モード選択スイッチS6 により選択されたバック駐車/左モードのデータに基づいて前輪Wf,Wfが自動操舵される。即ち、スタート位置(1) から折り返し位置(2) まで車両Vが前進する間は前輪Wf,Wfは右に自動操舵され、折り返し位置(2) から目標位置(3) まで車両Vが後進する間は前輪Wf,Wfは左に自動操舵される。 車両Vが折り返し位置(2) に接近すると教示コメント報知部11cが「減速してください」と報知し、車両Vが折り返し位置(2) に達する「停車してシフトチェンジをしてください」と報知する。この報知に従ってドライバーが車両Vを停止させてシフトチェンジすると、教示コメント報知部11cが「ゆっくりバックしてください」と報知する。この報知に従ってドライバーが車両Vを後進させて目標位置(3) に接近すると教示コメント報知部11cが「減速してください」と報知し、車両Vが目標位置(3) に達する「停車してください」と報知する。そして車両Vが目標位置(3) に停車すると、教示コメント報知部11cが「オートパーキング終了します」と報知して自動操舵制御が終了する。
【0033】
図2(B)から明らかなように、自動操舵が行われている間、制御部22は記憶部23から読み出したバック駐車/左モードの規範転舵角θrefと、転舵角検出手段S1 から入力された転舵角θとに基づいて偏差E(=θref−θ)を算出し、その偏差Eが0になるようにステアリングアクチュエータ7の作動を制御する。このとき、規範転舵角θrefのデータは車両Vの移動距離Xに対応して設定されているため、クリープ走行の車速に多少の変動があっても車両Vは常に前記移動軌跡上を移動することになる。
【0034】
上記自動操舵制御はドライバーがブレーキペダル9を踏んで車両Vがクリープ走行する間に実行されるため、ドライバーが障害物を発見したときに速やかにブレーキペダル9を踏み込んで車両Vを停止させることができる。
【0035】
更に、上記自動操舵制御は、ドライバーがモード選択スイッチS6 をOFFした場合に中止されるが、それ以外にもドライバーがブレーキペダル9から足を離した場合、ドライバーがステアリングホイール1を操作した場合に中止され、通常のパワーステアリング制御に復帰する。これらの場合には、教示コメント報知部11cが「途中終了します」と報知する。
【0036】
次に、操作段階教示装置11の作用を図6のフローチャートに基づいて更に説明する。 先ず、ステップS1で新たな教示コメントが発生したとき、ステップS2で現在他の教示コメントの報知中であれば、ステップS3で新たな教示コメントおよび現在の教示コメントの優先ランクを比較する。比較の結果、ステップS4で新たな教示コメントの方が優先ランクが上であれば、ステップS8で現在の教示コメントに代えて新たな教示コメントを選択する。また前記ステップS2で現在他の教示コメントの報知中でない場合にも、ステップS8で新たな教示コメントを選択する。
【0037】
一方、前記ステップS4で新たな教示コメントの方が優先ランクが上でなく、かつステップS5で新たな教示コメントの方が優先ランクが下であれば、ステップS9で現在の教示コメントを選択してそのまま報知を続行する。前記ステップS5で新たな教示コメントの方が優先ランクが下でなく、つまり両方の教示コメントの優先ランクが同一であり、かつステップS6で新たな教示コメントおよび現在の教示コメントが同一教示コメントであれば、前記ステップS9で現在の教示コメントを選択してそのまま報知を続行する。また前記ステップS6で新たな教示コメントおよび現在の教示コメントが異なる教示コメントであれば、ステップS7で新たな教示コメントを選択する。前記ステップS1で新たな教示コメントが発生しておらず、ステップS10で現在報知中である場合には、勿論ステップS9で現在の教示コメントを選択してそのまま報知を続行する。
【0038】
このようにして選択された教示コメントはステップS13でドライバーに報知されるが、ステップS11で前記選択された教示コメントが操作教示コメント(図4の●印の教示コメント)であり、かつステップS12で前記教示コメントの教示内容がドライバーによって既に実行されていれば、その教示コメントの報知は始めから実行されない。また教示コメントの報知が既に始まった後に、ドライバーによる教示内容の実行が開始されれば、その時点で教示コメントの報知が中止される。
【0039】
以下、4つの具体例を順次説明する。
第1の具体例
ドライバーがモード選択スイッチS6 を押してバック駐車左モードを選択し、「左バック駐車です」の報知がなされている途中でドライバーがスイッチの押し間違いに気づき、新たにモード選択スイッチS6 を押して縦列駐車左モードを選択した場合を考える。この場合、新たに縦列駐車左モードを選択したことによりステップS1の答えがYESになり、「左バック駐車です」の報知が実行されているのでステップS2の答えがYESになり、ステップS3で「左バック駐車です」の教示コメントの優先ランクと「左縦列駐車です」の教示コメントの優先ランクとを比較した結果、両教示コメントの優先ランクが共に「ランク1」で同一ランクであるため、ステップS4,S5の答えが共にNO,NOになる。そして両教示コメントの内容が異なるため、ステップS7で新しい方の「左縦列駐車です」の教示コメントが選択される。
【0040】
このように、第1の教示コメントが報知されている途中で同一優先ランクの第2の教示コメントが発生すると、現在の第1の教示コメントの報知が中止されて新たな第2の教示コメントが選択されるため、ドライバーに最新の教示コメントを報知することができる。第2の具体例
ドライバーがモード選択スイッチS6 を押してバック駐車左モードを選択し、「左バック駐車です」の報知がなされている途中で自動駐車スタートスイッチS7 を押した場合を考える。この場合、ステップS3で「左バック駐車です」の教示コメントの優先ランクと「オートパーキング開始します」の教示コメントの優先ランクとを比較した結果、ステップS5で新たな教示コメントである「オートパーキング開始します」の方が優先ランクが低いため、ステップS9で現在の教示コメントである「左バック駐車です」の教示コメントの報知がそのまま続行される。そして「左バック駐車です」の教示コメントの報知が終了すると、ステップS2で現在報知中の教示コメントがなくなるため、ステップS8で新たな教示コメントである「オートパーキング開始します」が選択されて報知される。
【0041】
このように、優先ランクが高い教示コメントは優先ランクが低い教示コメントによって途中で中止されることなく最後まで報知されるため、ドライバーは重要な教示コメントを最後まで聞くことができ、それが終了した後に優先ランクが低い新たな教示コメントを聞くことができる。
第3の具体例
「ゆっくり前進してください」の報知がなされている最中に、ドライバーが自発的にステアリングホイール1を操作したために自動操舵制御が中止される場合を考える。この場合、ステップS3で「ゆっくり前進してください」の教示コメントの優先ランクと「途中終了します」の教示コメントの優先ランクとを比較した結果、ステップS4で新たな教示コメントである「途中終了します」の方が優先ランクが高いため、ステップS8で新たな教示コメントである「途中終了します」の教示コメントが選択される。その結果、現在報知中の教示コメントである「ゆっくり前進してください」が中断され、新たな教示コメントである「途中終了します」が選択される。
【0042】
このように、優先ランクが低い教示コメントの報知中に優先ランクが高い教示コメントが発生すると、優先ランクが低い教示コメントの報知が中止されて優先ランクが高い教示コメントの報知が実行されるため、その時点で最も重要な教示コメントをドライバーに報知することができる。
第4の具体例
「ゆっくり前進してください」の報知がなされている最中に、ドライバーが車両Vを前進させた場合を考える。この場合、ステップS1の答えがNO、ステップS10の答えがYESになって、ステップS9で「ゆっくり前進してください」の教示コメントが継続されるが、その教示コメントはドライバーの操作を促す操作教示コメント示コメントであるためにステップS11の答えがYESになり、かつ既にドライバーが車両Vを前進させているのでステップS12の答えもYESになる。その結果、ステップS13のドライバーへの報知がスキップされてしまい、その時点で「ゆっくり前進してください」の教示コメントの報知は中止される。
【0043】
このように、操作教示コメントの報知中に対応する操作が開始されると、その時点で前記操作教示コメントの報知が中止されるので、不必要な教示コメントの報知が実行されてドライバーが煩わしく感じることが防止される。
【0044】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0045】
例えば、実施例では目標位置までの車両Vの移動軌跡が予め記憶部23に記憶されているが、車両Vの現在位置および目標位置から前記移動軌跡を算出することも可能である。 また実施例ではステアリングアクチュエータ7で前輪Wf,Wfを自動操舵する駐車支援装置を例示したが、本発明は操作段階教示装置11からの報知に基づいてドライバーが自発的にステアリング操作を行いながら駐車する駐車支援装置に対しても適用することができる。
【0046】
また教示コメント報知部11cは音声で報知するものに限定されず、例えば液晶パネル上に文字を表示することにより教示コメントを報知するものであっても良い。
【0047】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、情報記憶手段に予め優先順位を付して記憶したドライバーに報知すべき複数の情報のうち、移動軌跡設定手段で設定した目標位置までの移動軌跡上の自車の位置や、そのときの自車の状況に応じた適切な情報を選択してドライバーに報知し、車庫入れ操作を効果的に支援することができる。
【0048】
また請求項2に記載された発明によれば、情報記憶手段に記憶した複数の情報のうち優先順位が高い情報が選択されるので、ドライバーはその時点で最も必要な情報を確実に得ることができる。
【0049】
また請求項3に記載された発明によれば、報知すべき情報が選択されたときに、既に車両が前記情報と同内容の状態になっていれば前記情報の報知が中止されるので、不必要な情報が報知されてドライバーが煩わしさを感じることが防止される。
【0050】
また請求項4に記載された発明によれば、移動軌跡設定手段で設定した移動軌跡に基づいてステアリングアクチュエータを制御して車輪を転舵するので、ドライバーがステアリングホイールを操作することなく車両を自動的に目標位置に導くことが可能になり、ドライバーの操作負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 駐車支援装置を備えた車両の全体構成図
【図2】 バック駐車/左モードの作用説明図
【図3】 モード選択スイッチおよび自動駐車スタートスイッチを示す図
【図4】 操作段階教示装置のブロック図
【図5】 教示コメント記憶部の記憶内容を示す図
【図6】 作用を説明するフローチャート
【符号の説明】
7 ステアリングアクチュエータ
11a 教示コメント記憶部(情報記憶手段)
11b 教示コメント選択部(情報選択手段)
11c 教示コメント報知部(情報報知手段)
22 制御部(アクチュエータ制御手段)
23 記憶部(移動軌跡設定手段)
S1 転舵角検出手段(車両状態検出手段)
S2 操舵トルク検出手段(車両状態検出手段)
S3 前輪回転角検出手段(車両状態検出手段)
S4 ブレーキ操作量検出手段(車両状態検出手段)
S5 シフトレンジ検出手段(車両状態検出手段)
V 車両
Wf 前輪(車輪)
Claims (4)
- 目標位置までの車両(V)の移動軌跡を記憶または算出する移動軌跡設定手段(23)と、
移動軌跡設定手段(23)で設定した移動軌跡に基づいて車両(V)が目標位置まで移動する間にドライバーに報知すべき複数の情報を、ドライバーに対する報知の優先度に応じて予め優先順位を付して記憶する情報記憶手段(11a)と、
車両(V)の実際の状態を検出する車両状態検出手段(S1 〜S5 )と、
移動軌跡設定手段(23)が出力する移動軌跡、車両状態検出手段(S1 〜S5 )が出力する車両(V)の状態および情報記憶手段(11a)に記憶した優先順位に基づいて前記複数の情報から報知すべき情報を選択する情報選択手段(11b)と、
情報選択手段(11b)が選択した情報を報知する情報報知手段(11c)と、
を備えたことを特徴とする駐車支援装置。 - 情報選択手段(11b)は情報記憶手段(11a)に記憶した優先順位に基づいて優先順位が高い情報を選択することを特徴とする、請求項1に記載の駐車支援装置。
- 情報選択手段(11b)が報知すべき情報を選択したとき、車両状態検出手段(S1 〜S5 )が前記情報と同内容の状態を検出すれば、情報報知手段(11c)は前記情報の報知を中止することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の駐車支援装置。
- 車輪(Wf)を転舵するステアリングアクチュエータ(7)と、移動軌跡設定手段(23)で設定した移動軌跡に基づいて前記ステアリングアクチュエータ(7)を制御するアクチュエータ制御手段(22)とを備えたことを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の駐車支援装置。
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