JP3898451B2 - 受枠部材に対するグレーチングの取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は鉄筋コンクリート製U字形側溝ならびに横断溝(以下、一部を除き横断溝の記載を省略する)の受枠部材に対するグレーチング(側溝蓋)の取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、側溝のU字溝ブロックの上面にコンクリート製の蓋や金属製(亜鉛メッキの鋼鉄製、ステンレス製)あるいはFRP製のグレーチングが設けられているが、一般に水はけ性が求められるので、その構造上機械的強度のある金属製のグレーチングが多く使用されている。そのグレーチングを支えるため、U字溝ブロックのコンクリート側板の内側に段面が設けられているが、グレーチングの上を走行する車輛等の重量が直接作用する段面周辺部の強度を充分確保する必要から、内側に突出する内フランジを形成しているものが多い。
【0003】
ところで、U字溝ブロックはコンクリート製であるため、成形誤差が避けられないので、段面にグレーチングが均一に載置されるとは限らない。このような場合、車輛の走行や人の歩行にともない、グレーチングにかかる荷重の位置が変化しグレーチングが段面上で騒音を発しやすい。
【0004】
この騒音発生を防止ないしは軽減するために、段面とグレーチング間にゴムパッキング等の緩衝材を介在させたものがあるが、絶えず荷重がかかるのでそれらの耐久性に問題がある。このため、段面を下側に傾斜したうえ種々の形状にし、グレーチングの下面両側辺部をそれらとそれぞれ密着するよう各種形状にしたものが多く提案されている。
【0005】
しかしながら、騒音発生を防止ないし軽減するため各種の工夫がなされても、鉄鋼製のグレーチングでは、荷重に応じ金属が撓み、復元により金属音を発生するということが避けられないので、グレーチングが受枠部材に固定されるようになった。すなわち、グレーチングに升状の凹陥部(くぼみ)を設けて解決せんとするのが一般的であるが、そのためにメインバーが切欠かれて強度が弱められるということがある。以下、各例について問題点をあげることにする。
【0006】
例えば、コンクリート側板上部の内側をL型に切欠いた面を被覆する金属板の水平面に対し、グレーチングの所定位置の凹陥部底板をコイルを介したボルトで固定したもの(実用新案登録第3056418 号)があるが、ボルト孔が浅く強度上不安定で、掃除の際ボルト孔が詰まりやすくその回復が容易でないという欠点がある。また、この固定にボルトと袋ナットで固定したものも使用されている(特開平6-257193号)。ほかに、グレーチングの所定位置に凹陥部を設け、U字溝のL型に切欠いた水平面とグレーチングの凹陥部下面をクッション材を介しボルトと袋ナットにより固定したものも使用されているが(実用新案登録第3056490 号)、クッション材が荷重に長期間耐えないという欠点がある。
【0007】
さらに、図14および図15に示すごとくコンクリート側板の頂部と上部の内外側ならびに内側をL型に切欠いた面を被覆する金属板がアンカーを介してコンクリート側板と一体になってかさ上げ角パイプを両側下部に有するグレーチング用の段面を設けているコンクリート製U字溝ブロックに対し、そのL型に切欠いた垂直面に接するグレーチングの所定位置に升状の金属板からなる凹陥部を設け、グレーチング本体と一体のかさ上げ角パイプを介してU字溝ブロックのL型に切欠いた水平面とグレーチングの凹陥部下面をボルトと袋ナットにより固定したものが使用されている。なお、このU字溝ブロックのほか図16に示すごとく、コンクリート部分の側板上部の内側をL型に切欠き段面を形成したうえ、さらに段面とともに内側に突出する内フランジを形成しているものも使用されている。
【0008】
また、図17に示すごとくコンクリート部分の側板上部の内側をL型に切欠き、段面を下側に傾斜し、傾斜面の断面を凸曲面にして内側に突出する内フランジを形成し、コンクリート部分の頂面と側板上部の外面ならびに段面にいたる内面を金属板で被覆しアンカーを介してコンクリート部分と一体にし、コンクリート部分の内面を被覆する金属板に袋ナットを溶接固定してあるコンクリート製U字溝ブロックの段面に係合するよう、グレーチングのエンドプレートの下方に断面がL字型のプレートの一辺を水平に固定し、他辺を途中で内側に曲折し、その先端から水平辺に直交する補強片を介在させて、U字溝ブロックの袋ナット対応位置に升状の金属板からなる凹陥部を設け、袋ナットにボルトで固定してある防音性側溝用グレーチングも使用されている。
【0009】
これら図14〜図17のものは金属のグレーチングが撓んでも、その移動がないので金属音の発生が避けられ、かつグレーチングの盗難防止効果もあるが、グレーチングを外して持ち上げ側溝内のごみ掃除をし元に戻す際、袋ナットが下方(図14、図16)あるいは側方(図17)にある場合は、袋ナット内にごみが付着し掃除しにくく、ボルト取付けの妨げになることが多い。また、ボルトが下方(図15)にある場合は、掃除でグレーチングを外して持ち上げる際、ボルトのネジ山がかさ上げ角パイプのネジ孔で削られやすく、袋ナットでの固定の妨げになりやすいという欠点がある。また、ボルトで締める場合はボルトが比較的長いので操作が煩雑であるほか、緊締後振動によりゆるみが生じて飛散したり金属疲労で破損するおそれがある。ほかに、かさ上げ角パイプを使用する図14〜図16ではボルト孔が大きいためその強度がそがれるという欠点もある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上における欠点を改善し、防音性と耐久性を目的にした鉄筋コンクリート製U字形側溝ならびに横断溝の受枠部材に対するグレーチングの取付構造を提供せんとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
ここにおいて本発明者は、(イ)コンクリート製U字形側溝ならびに横断溝におけるグレーチングの受枠部材のコンクリート側板上部を被覆する断面コの字状の部分の頂板の所定位置に升状の凹陥部として、断面コの字状の部分の内側板を切欠くことにより1側板を欠き、開口における頂板の端縁がそれよりもそれぞれ内側に突出するように位置した対向2側板と断面コの字状の部分の外側板をそれに用いることのある他の1側板およびボルトを突出固定してある底板とからなる受枠部材と一体のものを設け、(ロ)凹陥部に対しゴム部材として、ヨコ向きに使用する断面四角の管状でその底部中央にボルト孔があり、底部は一端を切断し、頂部は凹陥部の開口における受枠部材の頂板と表面を同一平面にし、左右の上方角部に凹陥部の開口における受枠部材の頂板の突出端縁が食込むように当該箇所を切欠き、対向側部が凹陥部を構成する対向2側板と着脱容易な間隙を有する形状のものを嵌挿し、(ハ)グレーチングの押さえ金具として、ゴム部材の底部の内側相当の幅を有し、水平部にボルト孔を有するL字状板とその直立部に接続した逆U字状板とからなるものL字状板の水平部をゴム部材の底部上に載置し、逆U字状板を凹陥部に隣接するグレーチングのエンドプレートの上縁の切欠き部分に当接跨座させ、当該エンドプレートにかかるメインバーを避けるためあらかじめ逆U字状板に切り溝を設けておき、凹陥部底板の突出ボルトに対しワッシャーを介してナットを締め押さえ金具を凹陥部に固定することからなる受枠部材に対するグレーチングの取付構造を見出すにいたった。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明においてコンクリート製U字形側溝ならびに横断溝(以下、横断溝の記載を省略する)のコンクリート側板上部の内外側と頂部をアンカー付き金属板で被覆している受枠部材を有するものとして、例えばコンクリート製U字側溝のコンクリート側板内側をL型に切欠き(図1)、あるいはさらに内側に突出する内フランジを形成して(図2)、コンクリート側板上部の外側と頂部ならびにコンクリート側板上部内側の段面にいたるまでをアンカー付き金属板による受枠部材で被覆しているものや、コンクリート製U字側溝のコンクリート側板の内側をL型に切欠いた段面を下側に傾斜し、傾斜面の断面を凸曲面にして内側に突出する内フランジを形成して、コンクリート側板上部の外側と頂部ならびにコンクリート側板上部内側の垂直面までをアンカー付き金属板による受枠部材で被覆しているもの(図3)、また、受枠部材の形状は前者と同様であるが、コンクリート製U字側溝のコンクリート側板の内側の下方を凹曲面にしたリボーン側溝と称されているもの(図4)をあげることができる。
【0013】
これらと組合わせて使用されるグレーチングの例として、図1、図2のコンクリート製U字形側溝にはかさ上げ角パイプを有するグレーチング、図3のコンクリート製U字形側溝にはエンドプレートの下方に断面がL字型のプレ−トの一辺を水平に固定し、他辺を途中で内側に曲折してその先端から水平辺に直交する補強片を介在させてあるグレーチング、図4のリボーン側溝にはそのかさ上げパイプの断面が三角形状で斜辺にあたる箇所が凸曲面を形成してコンクリート側板の内側下方の凹曲面に載置されているグレーチングをそれぞれあげることができる。
【0014】
以上のごときコンクリート製U字形側溝とグレーチングの組合わせにおいて、コンクリート製U字形側溝におけるグレーチングの受枠部材のコンクリート側板上部を被覆する断面コの字状(逆U字状)の部分(図5、図6)の頂板の所定位置に升状の凹陥部(図7、図8)を設ける。コンクリート製U字形側溝には二次製品の場合と現場打ちの場合とがある。通常、凹陥部は1個のグレーチングの四隅付近に設けるが(図13)、対向する1組に関しては2個のグレーチングの合わせ目を対象にした位置に設ける場合もある。これにより受枠部材に対するグレーチングの取付構造箇所の数を節減することができる。
【0015】
凹陥部は升状であるが、受枠部材の断面コの字状の部分の内側の側板を所定深さと幅に切欠くことによりその位置に相当する1側板を欠いている。その結果、凹陥部は開口における頂板の端縁がそれよりもそれぞれ内側に突出するように位置した対向2側板と断面コの字状の部分の外側板をそれに用いることのある他の1側板およびボルトを突出固定してある底板とからなり受枠部材と一体をなしている。ここで、他の1側板は断面コの字状の部分の外側板をそのまま用いるほか、断面コの字状の部分の頂板の幅が大な場合はそれよりも内側に新規に設ける場合がある。
【0016】
凹陥部に対しあらかじめゴム部材(図9)を嵌挿するが、ゴム部材はヨコ向きに使用する断面四角の管状でその底部中央にボルト孔があり、底部は一端を切断し、頂部は凹陥部の開口における受枠部材の頂板と表面を同一平面にし、左右の上方角部に凹陥部の開口における受枠部材の頂板の突出端縁が食込むように当該箇所を切欠き、対向側部が凹陥部を構成する対向2側板と着脱容易な間隙を有する形状のものを用いる。
【0017】
ゴム部材は歩行障害や異物堆積を防止するため凹陥部を埋設して平面を形成するためのものである。ゴム部材は耐久性のある各種合成ゴムが適しているが、ほかに塩化ビニールなどの軟質合成樹脂を使用することも可能である。なお、底部の一端の切断箇所は後述、押さえ金具を取付ける際ゴム部材の上部を持ち上げ作業しやすくするためのものである。また、ゴム部材の左右の上方角部に受枠部材の頂板の突出端縁が食込むようにゴム部材の当該箇所を切欠いてあり、押さえ金具により底部が固定されているので、押さえ金具を取付け後、ゴム部材が飛出したりめくれたりすることがない。なお、ゴム部材の底板上面に凸条を複数設け、凸条内を中空部にしておけばボルトを締めた際ゆるみがなくてよい(図9)。このようにしてゴム部材は長期にわたり使用するが、交換も容易である。
【0018】
ついでグレーチングの押さえ金具(図10)として、ゴム部材の底部の内側相当の幅を有し、水平部にボルト孔を有するL字状板とその直立部に接続した逆U字状板とからなるものL字状板の水平部をゴム部材の底部上に載置し、逆U字状板を凹陥部に隣接するグレーチングのエンドプレートの上縁を押さえ金具の厚さ程度に切欠いた部分に当接跨座させるが、当該エンドプレートにかかるメインバーを避けるためあらかじめ逆U字状板にメインバーの厚さ程度の切り溝を設けておく。ここで、メインバーにかからないようにしたのでは取付構造の機械的強度が弱く実用にならない。なお、押さえ金具が2個のグレーチングのつなぎ目がかかる際は、その切り溝の幅がメインバー2個分の厚さになる。
【0019】
最後に凹陥部の底板から突出するボルトに対しワッシャーを介してナットを締め押さえ金具を凹陥部に固定すれば(図11、図12)グレーチングも固定される。なお、押さえ金具には適度の焼き入れをほどこし、金属疲労により形状が変化しないようにしておくとよい。
【0020】
【発明の効果】
鉄筋コンクリート製U字形側溝の受枠部材に対するグレーチングの取付構造においてメインバーの切断箇所およびグレーチング用かさ上げ角パイプのボルト孔がないのでグレーチングの強度を損なうことがない。また、ナットを締める際ワッシャーを使用するので振動によりゆるむことがない。なお、グレーチングの掃除に際してもボルトの清掃が容易であるから問題なく、防音性や耐久性にすぐれたグレーチングが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 L型に切欠いたコンクリート側板の受枠部材にグレーチングを載置した説明図
【図2】 L型に切欠き内側に突出する内フランジを形成しているコンクリート側板の受枠部材にグレーチングを載置した説明図
【図3】 L型に切り欠いた段面を下側に傾斜し、傾斜面の断面を凸曲面にし内側に突出する内フランジを形成しているコンクリート側板の受枠部材にグレーチングを載置した説明図
【図4】 リボーン側溝のコンクリート側板の受枠部材にグレーチングを載置した説明図
【図5】 L型に切欠いたコンクリート側板の受枠部材にグレーチングを載置した断面の説明図
【図6】 L型に切欠いたコンクリート側板の受枠部材にグレーチングを載置し上からみた説明図
【図7】 図5の受枠部材に凹陥部を設けグレーチングを載置した説明図
【図8】 図6の受枠部材に凹陥部を設けグレーチングを載置した説明図
【図9】 凸条内を中空にしたゴム部材の断面図
【図10】 押さえ金具の平面図(イ)と側面図(ロ)
【図11】 図7の受枠部材の凹陥部にゴム部材と押さえ金具とでグレーチングを取付けた説明図
【図12】 図8の受枠部材の凹陥部にゴム部材と押さえ金具とでグレーチングを取付けた説明図
【図13】 受枠部材の凹陥部にゴム部材と押さえ金具とで1個のグレーチングを取付け上方からみた説明図
【図14】 従来のL型に切欠いたコンクリート側板の受枠部材の段面上(袋ナット溶接)にグレーチングの凹陥部をボルトで固定した断面による説明図
【図15】 従来のL型に切欠いたコンクリート側板の受枠部材の段面上(ボルト溶接)にグレーチングの凹陥部をナットで固定した断面による説明図
【図16】 従来のL型に切欠き内側に突出する内フランジを形成しているコンクリート側板の受枠部材の段面上(袋ナット溶接)にグレーチングの凹陥部をボルトで固定した断面による説明図
【図17】 従来のL型に切り欠いた段面を下側に傾斜し、傾斜面の断面を凸曲面にし内側に突出する内フランジを形成しているコンクリート側板の受枠部材の内側(袋ナット溶接)にグレーチングの凹陥部をボルトで固定した断面による説明図
【符号の説明】
1 コンクリート側板
2 受枠部材
3 アンカー
4 凹陥部
5 ボルト
6 ナット
7 グレーチング
8 エンドプレート
9 メインバー
10 ツイストバー
11 角パイプ
12 補強片
13 押さえ金具
14 ボルト孔
15 切欠き
16 ゴム部材
17 切断部
18 凸条
19 中空部
Claims (1)
- (イ)コンクリート製U字形側溝ならびに横断溝におけるグレーチング(7)の受枠部材(2)のコンクリート側板(1)上部を被覆する断面コの字状の部分の頂板の所定位置に升状の凹陥部(4)として、断面コの字状の部分の内側板を切欠くことにより1側板を欠き、開口における頂板の端縁がそれよりもそれぞれ内側に突出するように位置した対向2側板と断面コの字状の部分の外側板をそれに用いることのある他の1側板およびボルトを突出固定してある底板とからなる受枠部材(2)と一体のものを設け、(ロ)凹陥部(4)に対しゴム部材(16)として、ヨコ向きに使用する断面四角の管状でその底部中央にボルト孔があり、底部は一端を切断し、頂部は凹陥部(4)の開口における受枠部材(2)の頂板と表面を同一平面にし、左右の上方角部に凹陥部(4)の開口における受枠部材(2)の頂板の突出端縁が食込むように当該箇所を切欠き、対向側部が凹陥部(4)を構成する対向2側板と着脱容易な間隙を有する形状のものを嵌挿し、(ハ)グレーチングの押さえ金具(13)として、ゴム部材(16)の底部の内側相当の幅を有し、水平部にボルト孔を有するL字状板とその直立部に接続した逆U字状板とからなるものL字状板の水平部をゴム部材(16)の底部上に載置し、逆U字状板を凹陥部(4)に隣接するグレーチング(7)のエンドプレート(8)の上縁の切欠き部分に当接跨座させ、当該エンドプレート(8)にかかるメインバー(9)を避けるためあらかじめ逆U字状板に切り溝を設けておき、凹陥部(4)底板の突出ボルトに対しワッシャーを介してナットを締め押さえ金具(13)を凹陥部(4)に固定することからなる受枠部材に対するグレーチングの取付構造。
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