JP3896591B2 - 二段燃焼装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1段階目で濃炎孔部において過濃燃料混合気を燃焼させ、この燃焼により生じる未燃成分を多く含む燃焼ガスに対し2段階目において二次空気を吹き出させて完全燃焼させるようにした二段燃焼装置に関し、特に吹き出させた二次空気と燃焼ガスとを両者の乱流化を防止しつつ十分な混合を図り低NOx化を図るための技術に係る。
【0002】
【従来の技術】
従来、ブンゼン式バーナでは燃焼振動(燃焼騒音)が発生し難く、又、高いTDR(Turn Down Ratio:ターンダウン比又は絞り比)を実現し得るものの、NOx排出量が多いといわれている。低NOx化のために、ブンゼン火炎の外炎に二次空気を吹き出して外炎温度を下げつつ未燃成分の完全燃焼化を図り、これにより低NOx化を図ることが考えられており、このような二次空気の吹き出しを行う燃焼装置も知られている(例えば特許文献1参照)。このものでは、炎孔面に形成される炎孔火炎に対し平行に二次空気を吹き出させている。
【0003】
他の例として、ボイラ火炉を対象として炎孔火炎から生じる燃焼ガス及び二次空気の混合促進を図るために、燃焼空間内の中央に障害物を設置し、この障害物により上記燃焼ガス及び二次空気の双方に渦流を発生させて積極的に乱流化させるようにしている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特公平4−32287号公報
【特許文献2】
特開平10−169910号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の特許文献1で提案の燃焼装置においては、炎孔火炎に二次空気が直接に接触するとNOx発生の増大化を招くという不都合がある上に、未燃成分と二次空気との混合促進は図り得ない。一方、上記の特許文献2で提案の燃焼装置においては、渦流の積極的形成により著しい燃焼騒音が発生することになる。ボイラ火炉であれば問題とはならないものの、このような技術を例えば給湯器等の燃焼騒音を極力抑制すべき燃焼装置に適用することはできない。
【0006】
そこで、本出願人は先に出願した特願2002−253584号において、乱流化を極力抑制して燃焼騒音の発生を抑制しつつも、二次空気との混合促進を図り低NOx化を図り得る二段燃焼装置を提案したが、耐熱性に考慮を要する余地を残している。すなわち、上記提案の構造例として図4に示すように、濃炎孔部500の炎孔火炎501から生じた未燃成分を含む燃焼ガスを空気噴出部400からの二次空気に対し誘導するために燃焼空間300に形成した誘導壁600が高温に晒されるため、この誘導壁600を耐熱性素材で形成したり、別途冷却のための手段を施したりすることなどが考えられている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、十分な低NOx化及び高TDR化を実現しつつも、耐熱性について特別な方策を施すことを不要とし得る二段燃焼装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、濃炎孔部に形成される空気不足状態の炎孔火炎から発生した未燃成分を多く含む燃焼ガスを空気噴出部からの二次空気に対し誘導するために、物理的な部材を設けるのではなくて、別途設けた炎孔部(後述の誘導炎孔部)からの炎孔火炎(後述の誘導火炎)を活用するようにしたものであり、この炎孔部に形成される炎孔火炎より発生する燃焼ガスの急速膨張に伴う流れや圧力により上記の未燃成分を多く含む燃焼ガスを誘導させるようにしたものである。つまり、誘導火炎を別途形成させるようにしたものである。
【0009】
具体的には、本発明では、先端が開口し基端が閉塞された燃焼空間と、この燃焼空間の基端側に配設され空気濃度が理論燃焼空気量よりも低く燃料濃度の高い過濃混合気を上記燃焼空間に向けて燃焼させる濃炎孔部と、上記燃焼空間に対し二次空気を吹き出させる空気噴出部とを備えることとし、さらに、上記濃炎孔部の燃焼空間側位置に開口し上記空気噴出部の側に向けて混合気を噴出させることにより、上記濃炎孔部に形成される炎孔火炎から発生する燃焼ガスを上記空気噴出部から吹き出される二次空気の側に向けて流動させるよう誘導する誘導火炎を形成する誘導炎孔部を配設することとした(請求項1)。
【0010】
この本発明の場合、上記濃炎孔部では過濃混合気が燃焼されるためその炎孔火炎は未燃成分を多く含んだ燃焼ガスを発生させ、この燃焼ガスが燃焼空間の先端開口側に流動し、空気噴出部から吹き出される二次空気を受けて上記未燃成分が完全燃焼される。この際、上記濃炎孔部よりも燃焼空間側位置に開口する上記誘導炎孔部から混合気を上記の如く所定の向きに噴出させて誘導火炎が形成されるため、この誘導火炎から発生する燃焼ガスの流れやその燃焼ガスの急速膨張に伴う圧力が、上記濃炎孔部の炎孔火炎から燃焼空間の先端開口側に流動しようとする燃焼ガスの流動方向を空気噴出部からの二次空気の側に向けて変えるように作用し、上記燃焼ガスを二次空気まで誘導することになる。この結果、空気噴出部からの二次空気と燃焼ガスとの確実な混合、ひいてはその燃焼ガス中の未燃成分の確実な完全燃焼化が図られることになる。つまり、上記誘導火炎の形成により、上記燃焼ガスの流れを二次空気まで誘導し得ることになる。これにより、燃焼ガスの誘導のための誘導壁を省略しても、燃焼ガスの誘導を確実に行い得ることになる。従って、過濃混合気を用いた濃炎孔部での炎孔火炎の形成による高TDR化、及び、その炎孔火炎から生じる燃焼ガスを二次空気に誘導して完全燃焼させるという二段燃焼による低NOx化を確実に実現しつつも、誘導のために誘導壁等の物理的構成要素の設置を不要としてその設置に伴う耐熱性対策を施す必要性をも不要とし得ることになる。なお、上記の誘導火炎は誘導を目的とするものであり、燃焼量の程度を左右するものではないため、誘導炎孔部に供給する混合気は比較的少量のもの、つまり、誘導炎孔部で消費される燃料量は二段燃焼装置での総燃料量と比べ十分に少ないものとすればよい。
【0011】
ここで、上記の「空気濃度が理論燃焼空気量よりも低く燃料濃度の高い過濃混合気」とは、空気過剰率が1.0未満であることであり、完全燃焼に必要な理論燃焼空気量よりも不足した空気量を含む過濃混合気に加え、空気を全く含まない燃料ガスそのものをも含む意である。
【0012】
請求項1に係る本発明はさらに次の特定事項を備えて構成されたものである。すなわち、上記燃焼空間の基端側位置において上記空気噴出部を中央側位置に、上記濃炎孔部をこの空気噴出部の側部位置にそれぞれ配設し、上記空気噴出部として上記燃焼空間の先端開口側に向けて突出するように形成してその先端部から二次空気を吹き出させる構成とし、かつ、上記誘導炎孔部として上記燃焼空間の基端側から先端開口側の間を区画する内側面において開口するように配設する。この構成によると、上記濃炎孔部よりも燃焼空間側位置の内側面に開口した誘導炎孔部から誘導火炎が形成されるため、濃炎孔部の炎孔火炎から生じる燃焼ガスが燃焼空間の先端開口側に向けて流動した後に、この燃焼ガスの流動の向きが上述の如く上記誘導火炎により変えられて二次空気の側に誘導されることになる。これにより、上記の本発明による作用が確実にかつ具体的に得られることになる。従って、上記燃焼ガスを二次空気に向けて確実に誘導させ得る具体的構造を特定し得ることになる。
【0013】
さらに、この場合には、上記空気噴出部として二次空気を燃焼空間の先端開口側に向けて吹き出す構成とし、上記誘導炎孔部として、上記空気噴出部の先端部よりも上記先端開口側に位置付けられて、誘導火炎を上記空気噴出部から吹き出される二次空気に向けて形成させる構成とすることができる(請求項)。この場合には、空気噴出部から燃焼空間の先端開口側に向けて噴出される二次空気に向けて燃焼空間の内側面位置から誘導火炎が形成されるため、濃炎孔部の炎孔火炎からの燃焼ガスをより確実に上記二次空気に向けて誘導させることが可能となる。これにより、請求項の場合の具体的構造をより具体化して本発明の作用をより一層具体的に得ることが可能になる。
【0014】
また、上記誘導炎孔部の上記濃炎孔部側位置に、上記燃焼ガスの流れから上記誘導火炎の根本部を保護する保護壁部を配設することもできる(請求項)。この場合には、上記誘導炎孔部に形成される誘導火炎の根本部が上記保護壁部により保護されるため、上記誘導火炎の保炎の確実化が図られ、燃焼ガスの誘導もより確実に行い得ることになる。このため、濃炎孔部に対する過濃混合気の供給流量を増大させて燃焼ガスの流速が増大したとしても、その流速の増大した燃焼ガスの流れにより誘導火炎の形成が阻害されることを確実に防止し得ることになる。この結果、上記誘導火炎を確実に形成してその流速の増大した燃焼ガスを確実に二次空気に向けて誘導させることが可能になる。これにより、総燃焼量をさらに増大させ得ることになる。上記保護壁部は誘導火炎の根本部を保護して保炎させることが目的であって、燃焼ガスの誘導を目的とするものではないため、例えば誘導炎孔部の最大孔径と同等の数mm程度の僅かな突出幅でよい。
【0015】
以上の請求項1〜請求項のいずれかの二段燃焼装置では、上記誘導炎孔部として、空気比が1以上になるように予め混合された混合気を噴出させる構成とすればよく(請求項)、なかでも、空気比λが1.05<λ<1.50になるように予め混合された混合気を噴出させる構成とすればよい(請求項)。空気比を理論空気比(λ=1)よりも大きくすることにより、燃焼温度が高くなり誘導火炎から発生する燃焼ガスの体積膨張も大きくなるため、濃炎孔部の炎孔火炎からの燃焼ガスの流動方向を変えて二次空気側に誘導させる効果が高められると同時に、たとえ誘導し切れない未燃成分(例えば誘導炎孔部が形成された内側面位置近傍の未燃成分)が存在していたとしても、その未燃成分を上記誘導火炎の燃焼の際に残留している酸素によって完全燃焼させて、装置外への未燃成分の排出を確実になくすことが可能になる。一方、誘導炎孔部において確実に燃焼させて誘導火炎を確実に形成させる必要があるため、空気比を余りに高くして混合気が過剰に希薄状態にならないようにする必要がある。なお、誘導火炎の燃焼温度が高くなるとNOx生成量も増大するものの、誘導炎孔部に供給する混合気の燃料量を濃炎孔部に供給する過濃混合気の燃料量に比して十分に少なくなるように設定することにより、装置全体としての低NOx化と、上述の誘導作用との双方を両立して得ることが可能になる。
【0016】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1〜請求項のいずれかの二段燃焼装置によれば、誘導炎孔部での誘導火炎の形成によって、濃炎孔部の炎孔火炎から発生する未燃成分を多く含む燃焼ガスの流動方向を誘導炎孔部からの誘導火炎によって空気噴出部の側に変えてその燃焼ガスを空気噴出部から噴出される二次空気まで確実に誘導させることができ、その二次空気と燃焼ガスとの確実な混合、ひいてはその燃焼ガス中の未燃成分の確実な完全燃焼化を図ることができるようになる。これにより、過濃混合気を用いた濃炎孔部での炎孔火炎の形成による高TDR化、及び、その炎孔火炎から生じる燃焼ガスを二次空気に誘導して完全燃焼させるという二段燃焼による低NOx化を確実に実現しつつも、燃焼ガスの誘導のために誘導壁の如き物理的構成要素の設置を不要としてその設置に伴う耐熱性対策を施す必要性をも不要とすることができる。
【0017】
特に、請求項2によれば、上記燃焼ガスを二次空気に向けて確実に誘導させ得る、より具体的な構造を特定することができる。
【0018】
また、請求項によれば、上記誘導炎孔部に形成される誘導火炎の根本部を保護壁部により保護して誘導火炎を確実に保炎させることができる結果、燃焼ガスの誘導もより確実に行うことができる。これにより、濃炎孔部に対する過濃混合気の供給流量を増大させて燃焼ガスの流速が増大したとしても、上記誘導火炎を確実に形成してその流速の増大した燃焼ガスを確実に二次空気に向けて誘導させることができる。この結果、総燃焼量をさらに増大さることが可能となってより一層の高TDR化を得ることができるようになる。
【0019】
そして、請求項又は請求項によれば、誘導火炎の形成による、濃炎孔部の炎孔火炎からの燃焼ガスの二次空気側への誘導効果を高めることができる上に、全ての未燃成分を装置外に排出させることなく上記誘導火炎の燃焼の際に残留している酸素によって完全燃焼させることができるようになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る二段燃焼装置を示す。図1において、2は先端(同図の上端)が開口21とされ基端(同図の下端)側が閉塞された筒状の内側面22を有する筒状本体、3はこの筒状本体2の内側面22により区画形成された燃焼空間、4はこの燃焼空間3の基端位置であって燃焼空間3の中心軸X寄りの中央側位置から燃焼空間3の先端開口21側に所定量突出させた空気噴出部、5a及び5bは上記燃焼空間3の基端位置であって上記空気噴出部4の側部位置でこの空気噴出部4を取り囲むあるいは挟むように配設された濃炎孔部、6は上記空気噴出部4の先端部(図1の上端部)よりも燃焼空間3の先端開口21側位置の内側面22に開口して誘導火炎Pを形成する誘導炎孔部である。
【0022】
上記先端開口21の図1の上方側には図示省略の加熱対象が配設されるようになっており、例えば給湯器の場合であると、内部を通過する水を熱交換加熱するための熱交換器が加熱対象として配設される。また、上記の「中央側位置」及び「側部位置」とは、燃焼装置が円筒型であればその中心側位置に空気噴出部3が配設されこれを取り囲むように外周側位置に濃炎孔部5a,5bが配設されるということであり、燃焼装置が平面視矩形の角筒型であればその幅方向中央位置に空気噴出部3が配設されこれを挟んで両外側位置にそれぞれ濃炎孔部5a,5bが配設されるということである。
【0023】
上記空気噴出部4は、内部に空気が圧送されるようになっており、先端部に開けられた噴出孔41,41,…から上記空気が二次空気として燃焼空間3に噴出させて後述の燃焼ガスに吹き出されるようになっている。上記各噴出孔41は二次空気(図1の点線の矢印参照)を燃焼空間3の中心軸X寄りの中心領域に対し先端開口21側に向けて吹き出させるようになっている。
【0024】
上記濃炎孔部5a,5bには所定の過濃混合気が供給されて噴出させることにより空気不足状態(不完全燃焼状態)の炎孔火炎B1,B2を形成するようになっている。上記濃炎孔部5aは燃焼空間3の基端側を区画する内側面22において空気噴出部4側(内側)に臨む位置に配設され、上記濃炎孔部5bは上記燃焼空間3の基端側を区画する基端面23において燃焼空間3の先端開口21側に臨む位置に配設されたものである。以下、説明上、上記濃炎孔部5aを外周側の濃炎孔部5aといい、上記濃炎孔部5bを基端側の濃炎孔部5bという。
【0025】
上記外周側の濃炎孔部5aは上記過濃混合気を燃焼空間3の中央側に向けて噴出させて炎孔火炎B1を形成し、上記基端側の濃炎孔部5bは上記過濃混合気を燃焼空間3の先端開口21側に向けて噴出させて炎孔火炎B2を形成するようになっている。上記各濃炎孔部5a,5bには空気過剰率(空気比)が1.0(100%)未満に設定された燃料濃度の高い過濃混合気が供給されるようになっており、この過濃混合気の一次燃焼により不完全燃焼火炎である炎孔火炎B1,B2が形成される。
【0026】
なお、上記各濃炎孔部5a,5bに対し上記の過濃混合気に代えて空気を予混合しない燃料ガスそのものを供給して一次燃焼させるようにしてもよい。この場合にも燃焼ガス中の未燃成分が増加するだけで本実施形態における二段燃焼を適用することができる。
【0027】
上記誘導炎孔部6には筒状本体2の外周側部分に配設された供給通路61から所定の混合気(図1の破線の矢印参照)が供給され、上記誘導炎孔部6においてこの混合気を燃焼空間3の中央側又は中心側に向けて噴出させて誘導火炎Pを形成するようになっている。具体的には、図2(a)に示すように内側面22が円筒状内面であって燃焼空間3が円筒状空間であれば、誘導炎孔部6は中心軸Xに向かう径方向に開口して上記混合気を中心軸Xに向けて噴出し、図2(b)に示すように内側面22が角筒状内面であって燃焼空間3が角筒状空間であれば、誘導炎孔部6は燃焼空間3の中央側に向けて噴出するようになっている。つまり、上記各濃炎孔部5a,5bでの炎孔火炎B1,B2から発生する未燃成分を多く含む燃焼ガスが先端開口21側(図1の上側)に流動するのに対し、上記誘導火炎Pはこの燃焼ガスの流動方向に対し略直交する方向に伸びるように形成されるようになっている。
【0028】
上記誘導炎孔部6に供給される混合気は、理論空気比よりもやや高めの空気比λを有し、例えば1.00以上でかつ1.50以下の範囲のλとなるように、好ましくは1.05<λ<1.20の設定範囲に予混合されたものである。また、この混合気の供給流量は濃炎孔部5a,5bへの過濃混合気の供給流量と比してかなり少なく設定されている。具体的には、誘導炎孔部6へ供給される混合気を構成する燃料量が、過濃混合気を構成する燃料量に比して十分に少なくなるように設定されている。
【0029】
この実施形態の場合、炎孔火炎B1,B2から発生する未燃成分を多く含む燃焼ガスが先端開口21側に流動する一方、この燃焼ガスが流れていく先端開口21側には燃焼空間3の中央側又は中心側に向けて誘導火炎Pが形成されているため、この誘導火炎Pから発生する燃焼ガスの急速膨張に伴う圧力や流れによって上記燃焼ガスの流れを空気噴出部3の側、つまり中央側又は中心側に変えることができ、空気噴出部3から噴出する二次空気まで上記燃焼ガスを誘導することができる。そして、上記二次空気と接触して上記燃焼ガス中の未燃成分が先端開口21の側に向けて完全燃焼(二次燃焼)される。この際、二次空気の吹き出しを燃焼空間3の中央側位置において先端開口21に向けて行っているため、上記燃焼ガスの乱流化を極力防止して燃焼騒音の発生を抑制しつつ、二次空気を燃焼ガスに対し貫通供給させて混合促進を図ることができ、確実に完全燃焼させることができる。
【0030】
以上の誘導炎孔部6での誘導火炎Pによる燃焼ガスの誘導において、望ましい形態について、以下においてさらに説明する。
【0031】
例えば図2(a)又は(b)に示すように誘導炎孔部6を構成する各炎孔62の孔ピッチを各炎孔62の孔径の1倍〜2倍の範囲に設定する。つまり、燃焼ガスが各炎孔62に形成される誘導火炎間をすり抜けて装置外に排出させないように炎孔ピッチを設定する。
【0032】
例えば図3(a)に示すように、誘導炎孔部6を構成する各炎孔62の濃炎孔部5a,5b側(同図の下側;上流側)位置の内側面22に燃焼空間3の中央側又は中心側に突出する保護壁部63を形成する。つまり、誘導火炎の根本部を保護することにより誘導火炎を保炎するようにする。これにより、過濃混合気の供給流量が増大して燃焼ガスの流速が増大したとしても確実に誘導火炎を形成するようにする。上記保護壁部63は図例ではリブ状であるが、各炎孔62に対し個別に設けてもよい。この際、上記保護壁部63の突出幅を各炎孔62の最大孔径とほぼ同等に設定し、保炎の確実化を図りつつ過度の加熱を受けないようにすればよい。
【0033】
例えば図3(b)に示すように、誘導炎孔部6を、内側面22から中央側又は中心側に突出させた2列のリブ状保護壁部63,64と、この両保護壁部63,64間に全周に開口するスリット開口65とにより構成するようにしてもよい。この場合の各保護壁部63,64の突出幅も、上記と同様に理由により、スリット開口65の開口幅とほぼ同等に設定すればよい。
【0034】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、濃炎孔部として外周側の濃炎孔部5aと基端側の濃炎孔部5bとの2つの位置に配設した場合を示したが、いずれか一方のみでもよい。また、燃焼空間3の内周側、すなわち、空気噴出部4の外周面側において内側面22に臨む位置に配設した濃炎孔部を単独でもしくは上記の濃炎孔部5a,5bのいずれか一方又は双方と組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0035】
上記実施形態では、空気噴出部4を中央側位置に、濃炎孔部5a,5bを空気噴出部4の側部位置に、誘導炎孔部6を内側面22位置にそれぞれ配設しているが、これに限らず、空気噴出部、濃炎孔部及び誘導炎孔部の互いの位置関係は、誘導火炎により燃焼ガスの流れを二次空気まで誘導し得る関係にあれば上記実施形態以外の種々の配置を採用することができる。例えば、燃焼空間の基端側位置において空気噴出部を一側位置から突出させる一方、濃炎孔部を他側位置に配設し、誘導炎孔部をその濃炎孔部の燃焼空間側位置(先端開口側位置)から空気噴出部側に向けて開口するように配設してもよいし、あるいは、燃焼空間の基端側位置において濃炎孔部を中央側位置に配設する一方、空気噴出部をその濃炎孔部の側部位置から突出させ、誘導炎孔部をその濃炎孔部から燃焼空間側(先端開口側)に離れた位置(濃炎孔部の下流側位置)から側方の空気噴出部側に向けて開口するように配設してもよい。さらに、空気噴出部としては、必ずしも濃炎孔部から突出させる必要はなく、燃焼空間の基端側位置で濃炎孔部と同じかあるいは濃炎孔部よりも凹んだ位置に形成するようにしてもよい。この場合には、濃炎孔部に形成される炎孔火炎と空気噴出部から吹き出させる二次空気との直接の接触を防止するように濃炎孔部と空気噴出部との間を仕切って遮断する区画壁を設けるようにすればよい。
【0036】
また、上記の誘導炎孔部6に供給する混合気を、濃炎孔部5a,5bに供給される過濃混合気を上流側で分流させ、この分流された過濃混合気を供給通路61の上流側に導入しこの供給通路61においてさらに空気を所定量混合させた上で上記誘導炎孔部6に供給させる構成を付加してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を示す端面説明図である。
【図2】 図1の筒状本体の部分斜視図であり、図2(a)は円筒状である場合、図2(b)は角筒状である場合をそれぞれ示す。
【図3】 図1の筒状本体の一部切欠状態の部分斜視図であり、図3(a)は炎孔と保護壁部とにより誘導炎孔部を構成した場合、図3(b)は一の保護壁部とスリット開口とにより誘導炎孔部を構成した場合をそれぞれ示す。
【図4】 課題を説明するための二段燃焼装置の構造例を示す図1対応図である。
【符号の説明】
3 燃焼空間
4 空気噴出部
5a,5b 濃炎孔部
6 誘導炎孔部
21 先端開口
22 内側面
63 保護壁部
B1,B2 炎孔火炎
P 誘導火炎
X 中心軸

Claims (5)

  1. 先端が開口し基端が閉塞された燃焼空間と、
    この燃焼空間の基端側に配設され空気濃度が理論燃焼空気量よりも低く燃料濃度の高い過濃混合気を上記燃焼空間に向けて燃焼させる濃炎孔部と、
    上記燃焼空間に対し二次空気を吹き出させる空気噴出部と、
    上記濃炎孔部よりも燃焼空間側位置に開口し上記空気噴出部の側に向けて混合気を噴出させることにより、上記濃炎孔部に形成される炎孔火炎から発生する燃焼ガスを上記空気噴出部から吹き出される二次空気の側に向けて流動させるよう誘導する誘導火炎を形成する誘導炎孔部と
    を備え、
    上記燃焼空間の基端側位置において上記空気噴出部が中央側位置に、上記濃炎孔部がこの空気噴出部の側部位置にそれぞれ配設され、上記空気噴出部は上記燃焼空間の先端開口側に向けて突出するように形成されてその先端部から二次空気を吹き出させるように構成され、
    上記誘導炎孔部は上記燃焼空間の基端側から先端開口側の間を区画する内側面において開口するように配設されている、
    ことを特徴とする二段燃焼装置。
  2. 請求項に記載の二段燃焼装置であって、
    上記空気噴出部は二次空気を燃焼空間の先端開口側に向けて吹き出すように構成され、
    上記誘導炎孔部は、上記空気噴出部の先端部よりも上記先端開口側に位置付けられて、誘導火炎を上記空気噴出部から吹き出される二次空気に向けて形成させるように構成されている、二段燃焼装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の二段燃焼装置であって、
    上記誘導炎孔部の上記濃炎孔部側位置には、上記燃焼ガスの流れから上記誘導火炎の根本部を保護する保護壁部が配設されている、二段燃焼装置。
  4. 請求項1〜請求項のいずれかに記載の二段燃焼装置であって、
    上記誘導炎孔部は空気比が1以上になるように予め混合された混合気が噴出されるように構成されている、二段燃焼装置。
  5. 請求項1〜請求項のいずれかに記載の二段燃焼装置であって、
    上記誘導炎孔部は空気比λが1.05<λ<1.50になるように予め混合された混合気が噴出されるように構成されている、二段燃焼装置。
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