JP3891074B2 - 二段燃焼装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、1段階目で炎孔面において過濃燃料混合気を燃焼させ、この燃焼により生じる未燃成分を多く含む燃焼ガスに対し2段階目において二次空気を吹き出させて完全燃焼させるようにした二段燃焼装置に関し、特に吹き出させた二次空気と燃焼ガスとを両者の乱流化を防止しつつ十分な混合を図り低NOx化を図るための技術に係る。
【0002】
【従来の技術】
従来、ブンゼン式バーナでは燃焼振動(燃焼騒音)が発生し難く、又、高いTDR(Turn Down Ratio:ターンダウン比又は絞り比)を実現し得るものの、NOx排出量が多いといわれている。低NOx化のために例えば図8に示すように、ブンゼン火炎Bの外炎Boに二次空気を吹き出して外炎温度を下げつつ未燃成分の完全燃焼化を図り、これにより低NOx化を図ることも考えられている。このような二次空気の吹き出しを行う燃焼装置として、その一例が特公平4−32287号公報において提案されている。このものでは、炎孔面に形成される炎孔火炎に対し平行に二次空気を吹き出させている。
【0003】
他の例が特開平10−169910号公報において提案されている。このものでは、ボイラ火炉を対象として炎孔火炎から生じる燃焼ガス及び二次空気の混合促進を図るために、燃焼空間内の中央に障害物を設置し、この障害物により上記燃焼ガス及び二次空気の双方に渦流を発生させて積極的に乱流化させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の特公平4−32287号公報で提案の燃焼装置においては、炎孔火炎に二次空気が直接に接触するとNOx発生の増大化を招くという不都合がある上に、未燃成分と二次空気との混合促進は図り得ない。一方、上記の特開平10−169910号公報で提案の燃焼装置においては、渦流の積極的形成により著しい燃焼騒音が発生することになる。ボイラ火炉であれば問題とはならないものの、このような技術を例えば給湯器等の燃焼騒音を極力抑制すべき燃焼装置に適用することはできない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、乱流化を極力抑制して燃焼騒音の発生を抑制しつつも、二次空気との混合促進を図り低NOx化を図り得る二段燃焼装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、空気濃度が理論燃焼空気量よりも低く燃料濃度の高い過濃燃料ガスを燃焼空間に向けて燃焼させる炎孔面と、この炎孔面に形成される炎孔火炎から発生する燃焼ガスに二次空気を吹き出させる空気噴出部とを備えた二段燃焼装置とし、加えて、上記炎孔面の燃焼空間側に、炎孔面からの炎孔火炎を覆うように対向し、かつ、上記炎孔火炎からの燃焼ガスの流れを上記空気噴出部側に誘導する誘導壁を形成することを基本にした(請求項1)。
この基本事項に基づく発明の場合、上記炎孔面では過濃燃料ガスが燃焼されるためその炎孔火炎は未燃成分を多く含んだ燃焼ガスを発生させ、この燃焼ガスが誘導壁により空気噴出部に誘導され、この空気噴出部から吹き出される二次空気によって完全燃焼される。この際、誘導壁により誘導壁が炎孔火炎を覆うように対向しているため炎孔火炎の伸長が抑制され、空気噴出部からの二次空気と炎孔火炎との直接の接触が抑制され、二次空気は炎孔火炎に対してではなくて燃焼ガスに対して直接に吹き出されることになる。これにより、二次空気と炎孔火炎との直接の接触に起因するNOx増大化を回避して低NOx化が図り得る。加えて、その燃焼ガスが誘導壁により空気噴出部側に誘導されるため、燃焼ガスを乱流化させることなく二次空気と混合させ得る。これにより、燃焼騒音の発生を抑制しつつ混合促進を図り得る。
【0007】
なお、「空気濃度が理論燃焼空気量よりも低く燃料濃度の高い過濃燃料ガス」とは、空気過剰率が1.0未満であることであり、完全燃焼に必要な理論燃焼空気量よりも不足した空気量を含む過濃燃料混合気に加え、空気を全く含まない燃料ガスそのものをも含む意である。
【0008】
上記の本発明の場合、上記空気噴出部からの二次空気の吹き出し方向を、二次空気が燃焼空間前方に向けて吹き付けられるように設定されているため、その空気噴出部に誘導されてきた燃焼ガスの流れを大きく乱すことなく燃焼ガスと二次空気との混合が行われる。そして、二次空気を受けた燃焼ガス中の未燃成分が燃焼空間前方に向けて燃焼することになる。つまり、二次空気の吹き出し方向の上記設定によって、空気噴出部まで誘導されてきた燃焼ガスの流れをあまり大きく乱すことなく燃焼空間前方への流れに整流してその未燃成分の燃焼の向きを燃焼空間前方に整えることが可能になる。
【0009】
この場合には、さらに、上記誘導壁として、空気噴出部まで誘導されてきた燃焼ガスの流れに対し二次空気が浅い角度で交差するように上記燃焼ガスを誘導する構成を採用することが好ましい(請求項2)。このような二次空気の吹き出しにより、燃焼ガスの流れの乱流化をより一層抑制しつつも二次空気を燃焼ガスの流れの内部まで貫通させて二次空気との混合のより一層の促進を図り得る。
【0010】
上述の請求項1に係る発明は、さらに次の種々の構成を特定事項として備えたものである。
【0011】
すなわち、上記空気噴出部を、上記炎孔面からの炎孔火炎よりも燃焼空間前方側に突出して設けるようにする。この構成の場合には、空気噴出部から吹き出される二次空気と、炎孔面からの炎孔火炎とを確実に分離・遮断して、二次空気を上記炎孔火炎から発生する燃焼ガスに対してのみ接触させ得ることになる。これにより、二次空気と炎孔火炎との直接の接触に起因するNOx増大化をより一層確実に回避して、低NOx化のより確実な実現を図り得る。
【0012】
(削除)
【0013】
加えて、燃焼空間に対し空気噴出部を中央位置に、炎孔面がこの空気噴出部の側部位置にそれぞれ配設し、誘導壁の内端縁により燃焼空間に狭窄部が形成されるようにし、そして、上記空気噴出部からの二次空気が上記狭窄部を通過する燃焼ガスに対し燃焼空間前方に向けて吹き出される構成とする。この場合には、燃焼ガスと二次空気との混合促進と、二次空気の吹き出しによる燃焼ガスの乱流化防止との両立がより確実に図られることになる。
【0014】
(削除)
【0015】
加えて、誘導壁の内端縁を燃焼空間前方に向けて屈曲し、その内端縁により形成される狭窄部の開口面積が燃焼空間前方に向けて徐々に低減するベルマウス形状に形成する。この場合には、二次空気の吹き出しを受けた燃焼ガスの流れを燃焼空間前方に向かう流れに整流化して、一層の乱流化防止が図られる。
【0016】
加えて、上記誘導壁を、炎孔面から狭窄部に至る燃焼空間が連続的に狭められる構成とする。この場合には、燃焼ガスの滑らかな誘導を実現して狭窄部における乱流化防止に寄与し得る。
【0017】
以上において、上記空気噴出部からの二次空気の吹き出し流速として、上記狭窄部を通過する燃焼ガスの流速よりも遅くなるように設定することもできる(請求項3)。これにより、乱流化防止が図られる。
【0018】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1〜請求項3のいずれかの二段燃焼装置によれば、誘導壁により炎孔面からの炎孔火炎の伸長を抑制することができ、空気噴出部からの二次空気と炎孔火炎との直接の接触を抑制して、二次空気を炎孔火炎に対してではなくて燃焼ガスに対して直接に吹き出させることができる。これにより、二次空気と炎孔火炎との直接の接触に起因するNOx増大化を回避して低NOx化を図ることができる。加えて、燃焼ガスが誘導壁により空気噴出部側に誘導されるため、燃焼ガスの乱流化を抑制しつつ二次空気と混合させることができ、これにより、燃焼騒音の発生を抑制しつつ混合促進を図ることができる。二次空気の吹き出し方向を燃焼空間前方に向けて吹き出されるように設定することによって、空気噴出部まで誘導されてきた燃焼ガスの流れをあまり大きく乱すことなく燃焼空間前方への流れに整流して、その未燃成分の燃焼の向きを燃焼空間前方に整えることができる。又、空気噴出部から吹き出される二次空気と、炎孔面からの炎孔火炎とを確実に分離・遮断して、二次空気を上記炎孔火炎から発生する燃焼ガスに対してのみ接触させることができる。これにより、二次空気と炎孔火炎との直接の接触に起因するNO x 増大化をより一層確実に回避して、低NO x 化のより確実な実現を図ることができる。さらに、燃焼ガスと二次空気との混合促進と、二次空気の吹き出しによる燃焼ガスの乱流化防止との両立がより確実に図ることができる。加えて、二次空気の吹き出しを受けた燃焼ガスの流れを燃焼空間前方に向かう流れに整流化して、一層の乱流化防止を図ることができ、燃焼ガスの滑らかな誘導を実現して狭窄部における乱流化防止に寄与することができる。
【0019】
特に、請求項2によれば、燃焼ガスの流れの乱流化をより一層抑制しつつも二次空気を燃焼ガスの流れの内部まで貫通させて二次空気との混合のより一層の促進を図ることができる。
【0020】
(削除)
【0021】
請求項3によれば、上記空気噴出部からの二次空気の吹き出し流速の設定により乱流化防止の確実化を図ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る二段燃焼装置を示す。この燃焼装置は、その中央位置に前方の燃焼空間2に向けて所定量突出する空気噴出部3が配設され、この空気噴出部3の側部位置に1又は2以上の燃焼管41,41,…の各先端炎孔により構成される炎孔面4が配設されている。上記の「中央位置」及び「側部位置」とは、燃焼装置が円筒型であればその中心側位置に空気噴出部3が配設されこれを取り囲むように外周側位置に炎孔面4が配設されるということであり、燃焼装置が平面視矩形の角筒型であればその幅方向中央位置に空気噴出部3が配設されこれを挟んで両外側位置にそれぞれ炎孔面4が配設されるということである。
【0024】
上記の燃焼空間2は装置本体の壁21により区画されて炎孔面4からその前方側(下流側;図1の上方側)に拡がる空間のことであり、上端側には図示省略の加熱対象が配設される。例えば給湯器の場合であると、内部を通過する水を熱交換加熱するための熱交換器が加熱対象として配設される。
【0025】
そして、上記空気噴出部3の先端部よりも前方側位置(下流側位置)には上記壁21から中央側に張り出した誘導壁22が設けられ、この誘導壁22の内端縁221により上記燃焼空間2に狭窄部23が形成されている。この誘導壁22は上記炎孔面4の燃焼空間前方側位置(下流側位置)において炎孔面4と相対向するように配置される一方、上記狭窄部23の開口位置に臨んで上記空気噴出部3が配置されている。
【0026】
上記誘導壁22は内部に冷却用の流体(例えば空気)222が循環されるようになっており、この冷却用流体が内端縁221まで循環されることにより燃焼空間2に露出している壁面が冷却されるようになっている。
【0027】
上記空気噴出部3は、内部に空気が圧送されるようになっており、先端部に開けられた噴出孔31,31,…から上記空気が二次空気として燃焼空間2に噴出して後述の燃焼ガスに吹き出されるようになっている。上記各噴出孔31は上記狭窄部23に向けて開口し、二次空気(図1の点線の矢印参照)を燃焼空間2の前方に向けて吹き出させるようになっている。また、上記空気噴出部3は炎孔面4からの炎孔火炎42,42,…よりも燃焼空間2の前方側(下流側)に突出されるように配設されている。
【0028】
上記炎孔面4を構成する各燃焼管41には空気過剰率が1.0(100%)未満に設定された燃料濃度の高い過濃燃料混合気が供給されるようになっており、炎孔面4において過濃燃料混合気の一次燃焼により不完全燃焼火炎である炎孔火炎42,42,…が形成されるようになっている。そして、この炎孔火炎42から発生する未燃成分を多く含む燃焼ガスが誘導壁22に誘導されて狭窄部23、すなわち、空気噴出部3側に流れ、流れてきた燃焼ガスに対し空気噴出部3から二次空気が吹き出され、燃焼ガス中の未燃成分が完全燃焼(二次燃焼)されるようになっている。なお、上記各燃焼管41に対し上記の過濃燃料混合気に代えて空気を予混合しない燃料ガスそのものを供給して一次燃焼させるようにしてもよい。この場合にも燃焼ガス中の未燃成分が増加するだけで本実施形態での二段燃焼を適用することができる。また、以上説明した炎孔面4で一次燃焼させるために供給する過濃燃料ガス(過濃燃料混合気又は燃料ガスそのもの)については、以下の各実施形態においても同じである。
【0029】
以上の第1実施形態の二段燃焼装置の場合、誘導壁22が炎孔面4の前方を覆っているため炎孔火炎42,42,…の伸長が抑制され、空気噴出部3の前方空間に対し燃焼ガスのみを誘導させることができ、空気噴出部3からの二次空気を燃焼ガスのみに対して吹き出させることができる。つまり、上記誘導壁22が空気噴出部3からの二次空気と、炎孔火炎42,42,…との直接の接触を分離・遮断する機能と、炎孔火炎42,42,…から発生する燃焼ガスの流れを空気噴出部3から吹き出される二次空気に対し交差するように誘導する機能とを発揮する。そして、上記分離・遮断機能により二次空気が炎孔火炎42,42,…に直接に接触することに起因するNOx増大を回避して低NOx化を実現することができ、また、上記誘導機能により燃焼ガスの乱流化を抑制しつつ燃焼ガスの内部まで二次空気を貫通供給させて燃焼ガスと二次空気との混合促進を図ることができる。この乱流化抑制により燃焼騒音の発生を極力抑制しつつ、混合促進により未燃成分の完全燃焼化を図ることができる。さらに、二次空気との接触により燃焼ガス温度を低下させて低NOx化にも寄与させることができる。
【0030】
加えて、二次空気が狭窄部23の開口を貫通して燃焼空間2の前方に向けて吹き出され、この二次空気により燃焼ガスが燃焼空間2の前方に向けて吹き出されることになるため、燃焼ガスの流れを大きく乱すことなく燃焼空間2の前方に向けて吹き出させつつ燃焼ガス中の未燃成分の二次燃焼を燃焼空間2の前方に向けることができる。
【0031】
<第2実施形態>
図2は、本発明の第2実施形態に係る二段燃焼装置を示す。この第2実施形態の二段燃焼装置は第1実施形態のそれと二段燃焼の原理は同じであるが、誘導壁として第1実施形態と異なる形状のものを採用したものである。なお、その他の構成要素は第1実施形態のものと同様構成であるため、同一構成要素には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0032】
第2実施形態においては、誘導壁22aとして装置本体の壁21aを炎孔面4位置から前方(図2の上方)にかけて緩やかなカーブを描いて縮径又は内幅が狭まるように屈曲させて形成し、最小くびれ部である内端縁221a間に狭窄部23aが形成されるようにしている。そして、この狭窄部23aに対しその手前位置から空気噴出部3が臨むように配設されている。
【0033】
この第2実施形態では、炎孔火炎42,42,…からの燃焼ガスが第1実施形態の場合よりも滑らかに狭窄部23a及び空気噴出部3に向けて誘導され、その空気噴出部3からの二次空気が燃焼ガスの流れに対し第1実施形態の場合よりも浅い角度で斜めに交差する方向に吹き出されることになる。これにより、狭窄部23a位置において二次空気の吹き出しによる乱流化を第1実施形態の場合よりも抑制又は回避することができ、燃焼騒音の小さい静粛な燃焼を実現させることができる。
【0034】
<第3実施形態>
図3は、本発明の第3実施形態に係る二段燃焼装置を示す。この第3実施形態の二段燃焼装置は第2実施形態の誘導壁を採用しつつ空気噴出部として第2実施形態と異なる構造のものを採用したものである。
【0035】
この第3実施形態では、複数の燃焼管41,41,…の先端炎孔により構成される炎孔面4から燃焼空間2の前方(図3の上方)に向けて内幅を徐々に又は段階的に狭めて誘導壁22bを形成し、その内端縁である先端縁221bにより狭窄部23bを形成している。加えて、上記誘導壁22bを利用してその背後に空気の供給路51,51を形成し、上記先端縁221bにおいて狭窄部23bの前方(図3の上方)に向けて空気を二次空気として吹き出させる噴出孔52,52を形成している。これら供給路51及び噴出孔52によって空気噴出部5を構成している。
【0036】
そして、上記第3実施形態の場合には、供給される空気により誘導壁22bが過加熱されないように冷却しつつ、その空気を二次空気として燃焼ガスに対し吹き出させることができる。
【0037】
<第4実施形態>
図4は、本発明の第4実施形態に係る二段燃焼装置を示す。この第4実施形態の二段燃焼装置は1又は2以上の燃焼管41,41,…の先端炎孔により構成される炎孔面4を覆いかつ両側方に張り出した誘導壁22cを設け、かつ、炎孔面4の両側位置に上記誘導壁22cの張り出し部と相対向して一次燃焼空間2aを形成する張り出し部24,24を設けたものである。
【0038】
そして、上記誘導壁22cの両側端縁(内端縁)221c,221cと、両張り出し部24,24の各端縁241とをそれぞれ凸形状として間に狭窄部23c,23cを形成している。
【0039】
また、上記誘導壁22cを含んで背後に空気の供給路61を形成し、上記各張り出し部24を含んで背後に空気の供給路62,62を形成し、上記各狭窄部23c位置で空気が二次空気として吹き出すように噴出孔63,63,…を形成している。これらの供給路61,62及び各噴出孔63により空気噴出部6が構成される。
【0040】
この第4実施形態では、炎孔面4からの炎孔火炎42,42,…が誘導壁22cにより覆われてその伸長が抑制され、炎孔火炎42,42,…から発生した燃焼ガスが両側に分かれてそれぞれ狭窄部23cに流れるように誘導されることになる。そして、各狭窄部23c位置で二次空気の吹き出しを受けて燃焼ガス中の未燃成分が二次燃焼空間2bに向けて完全燃焼される。また、上記の二次空気用の空気が供給路61,62,62を通過する際に誘導壁22cや各張り出し部24の壁を過加熱状態にならないように冷却することになる。
【0041】
<第5実施形態>
図5は、本発明の第5実施形態に係る二段燃焼装置を示す。この第5実施形態の二段燃焼装置は炎孔面4からの炎孔火炎42,42,…と、空気噴出部7からの二次空気との直接の接触を遮断して分離する仕切壁25,25を設けたものである。
【0042】
すなわち、中央位置の空気噴出部7を、その両側部位置の炎孔面4、4よりも手前位置(図5の下方位置)に配設し、空気噴出部7と各炎孔面4との境界位置に各炎孔面4からの炎孔火炎42,42,…よりも燃焼空間2の前方側(下流側;同図の上方側)に突出する仕切壁25,25を設けている。この各仕切壁25の突出寸法は炎孔面4への過濃燃料混合気の圧力や流量等を考慮して定めればよいが、本実施形態の場合には後述の誘導壁22dによる炎孔火炎42,42,…の伸長抑制をも考慮すれば比較的短いもので足りる。そして、各炎孔面4の前方に各炎孔面4を覆うように誘導壁22dを設け、その誘導壁22d,22dの両内端縁221d,221d間に狭窄部23dを設けている。この狭窄部23d及び燃焼空間2に対する空気噴出部7の各噴出孔71からの二次空気の吹き出し方向や位置関係は第1実施形態と同様である。
【0043】
この第5実施形態の場合には、各炎孔面4に形成される炎孔火炎42,42,からの燃焼ガスが誘導壁22dにより誘導されて仕切壁25と誘導壁22dの内端縁221dとの間から狭窄部23d側に流れ、この狭窄部23dにおいて空気噴出部7からの二次空気の吹き出しを受けて燃焼ガス中の未燃成分が燃焼空間2の前方に向けて完全燃焼することになる。この際、上記仕切壁25,25によって炎孔火炎42,42,…に対し二次空気が直接に吹き出されることを確実に回避して二次空気を燃焼ガスに対してのみ吹き出させることができ、より一層確実な低NOx化を実現させることができる。また、誘導壁22d,22dの前方側位置(図5の上方側位置)に設けられた空気噴出部7aの噴出孔7から吹き出される二次空気によっても上記未燃成分が燃焼されることになる。
【0044】
なお、図6には第5実施形態に属するものとして図5の二段燃焼装置とは若干異なる形状を採用した例を示すが、この図6の二段燃焼装置では燃焼空間2の前後方向(図6の上下方向)に対する空気噴出部7の相対位置として、炎孔面4よりも前方位置(上方位置)に設定してもよいことを示している。
【0045】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記第1〜第5実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記第1〜第3実施形態及び第5実施形態における誘導壁22,22a,22b,22dの内端縁221,221a,221b,221dの形状として燃焼空間2の前方に向けて徐々に開口面積が低減するようなベルマウス形状を採用してもよい。例えば第1実施形態を例にして図示した図7に示す誘導壁22eのように、その内端縁221eを燃焼空間2の前方(図7の上方)側に屈曲させ、前方に行くに従い狭窄部23eの開口面積が低減するようなベルマウス形状とすればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態を示す断面説明図である。
【図2】 第2実施形態を示す断面説明図である。
【図3】 第3実施形態を示す断面説明図である。
【図4】 第4実施形態を示す断面説明図である。
【図5】 第5実施形態を示す断面説明図である。
【図6】 第5実施形態の他の例を示す断面説明図である。
【図7】 他の実施形態の例を示す断面説明図である。
【図8】 従来の問題点を説明するための断面説明図である。
【符号の説明】
2 燃焼空間
3,5,6,7 空気噴出部
4 炎孔面
22,22a,22b,22c,22d 誘導壁
23,23a,23b,23c,23d 狭窄部
25 仕切壁
42 炎孔火炎
221,221a,221d 内端縁
221b 先端縁(内端縁)
221c 側端縁(内端縁)
Claims (3)
- 空気濃度が理論燃焼空気量よりも低く燃料濃度の高い過濃燃料ガスを燃焼空間に向けて燃焼させる炎孔面と、この炎孔面に形成される炎孔火炎から発生する燃焼ガスに二次空気を吹き出させる空気噴出部とを備えた二段燃焼装置であって、
上記炎孔面の燃焼空間側に、炎孔面からの炎孔火炎を覆うように対向し、かつ、上記炎孔火炎からの燃焼ガスの流れを上記空気噴出部側に誘導する誘導壁が形成され、
上記空気噴出部は、上記炎孔面からの炎孔火炎よりも燃焼空間前方側に突出して設けられる一方、上記燃焼空間に対し空気噴出部が中央位置に、炎孔面がこの空気噴出部の側部位置にそれぞれ配設され、
上記誘導壁の内端縁により燃焼空間に狭窄部が形成されるようにし、上記誘導壁は炎孔面から狭窄部に至る燃焼空間が連続的に狭められるように構成され、かつ、上記誘導壁の内端縁が、燃焼空間前方に向けて屈曲されてその内端縁により形成される狭窄部の開口面積が燃焼空間前方に向けて徐々に低減するベルマウス形状に形成され、
上記空気噴出部からの二次空気が上記狭窄部を通過する燃焼ガスに対し燃焼空間前方に向けて吹き出されるように構成されている、
ことを特徴とする二段燃焼装置。 - 請求項1に記載の二段燃焼装置であって、
上記誘導壁は、空気噴出部まで誘導されてきた燃焼ガスの流れに対し二次空気が浅い角度で交差するように上記燃焼ガスを誘導するように構成されている、二段燃焼装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の二段燃焼装置であって、
上記空気噴出部からの二次空気の吹き出し流速が、上記狭窄部を通過する燃焼ガスの流速よりも遅くなるように設定されている、二段燃焼装置。
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