JP3895236B2 - 溶接治具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車の燃料タンクを溶接する際の溶接治具に関し、特に、溶接による熱歪みの影響を軽減する溶接治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
図12に示すように、自動二輪車における燃料タンク200は、一般的に外側板202と内側板204の底部が溶接されている。外側板202と内側板204は、端部がそれぞれ下方に折り曲げられてフランジ部206を形成し、このフランジ部206をシーム溶接することが一般的である。
【0003】
自動二輪車のうち、ハンドルの位置が高く、搭乗者が上半身をほぼ直立させた状態で操作する種類のもの、所謂、アメリカンタイプの自動二輪車においては、燃料タンク200の美観が特に重要視されている。このように美観が必要とされる燃料タンク200では、溶接されたフランジ部206が露出していることは好ましくない。また、フランジ部206の高さだけ燃料タンクの重心は上方に偏位していることになり、自動二輪車の低重心化を進める上で不都合である。
【0004】
さらに、フランジ部206が存在することにより、燃料タンク200の貯油容量が制限されている。
【0005】
シーム溶接によるフランジ部が下方に延出することのない構造の燃料タンクとして、フランジ部を車体内側に折り曲げる技術が提案されている(例えば、特開平10−76985号公報参照)。しかし、この技術では、フランジ部の上部に無駄なスペースが存在し、燃料タンクの容量が制限される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
フランジ部のない構造の燃料タンクを製作するためには、熟練溶接工がアーク溶接等により溶接を行う必要がある。ロボットを用いた自動的な溶接を行う場合には、ワークである燃料タンクを堅固に固定しておくので熱歪みの逃げ場がないことからクラックが発生しやすく、歩留まりが悪い。クラックが発生した場合は、熟練溶接工による補修が必要である。
【0007】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、自動二輪車の燃料タンクを溶接する際に、溶接による熱歪みの影響を軽減し、クラックの発生を抑止することを可能にする溶接治具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る溶接治具は、自動二輪車の燃料タンクを溶接する際に前記燃料タンクを保持する溶接治具であって、弾性体を介して前記燃料タンク保持する複数のアタッチメントを有し、前記アタッチメントは、前記燃料タンクの外側面に当接して内方に向かって弾性的に押圧し、被当接部が変位可能に保持することを特徴とする。
また、本発明に係る溶接治具は、自動二輪車の燃料タンクを溶接する際に前記燃料タンクを保持する溶接治具であって、弾性体を介して前記燃料タンクを保持する複数のアタッチメントを有し、前記アタッチメントは、開閉機構を具備するアームに取り付けられ、前記アームは、全開時には前記燃料タンクが着脱可能な開度に開き、全閉時にはストッパによって位置決めされ、前記燃料タンクを前記アタッチメントにより保持することを特徴とする。
【0009】
このように、弾性体を介して燃料タンクを弾性的に保持することにより、溶接による熱歪みの影響を軽減し、クラックの発生を抑止することができる。
【0010】
また、前記アタッチメントは、開閉機構を具備するアームに取り付けられ、前記アームは、全開時には前記燃料タンクが着脱可能な開度に開き、全閉時にはストッパによって位置決めされ、前記燃料タンクを前記アタッチメントにより保持する構成により、溶接治具に対する燃料タンクの着脱を容易に行うことができる。さらに、ストッパによりアタッチメントの位置を正確に設定することができる。
【0012】
また、前記アタッチメントは、前記燃料タンクを保持する押圧力を調整するための押圧力調整部を有するようにしてもよい。押圧力調整部により、アタッチメントが燃料タンクに接触する際の押圧力と、溶接時における熱変形の許容量を調整することができる。
【0013】
さらに、前記燃料タンクの外側板を支持するアウター治具と、前記燃料タンクの内側板を支持するインナー治具と、を有し、前記アタッチメントは、前記アウター治具に備えられており、前記アタッチメントは、前記外側板の略側方および/または略端部を保持するようすると、燃料タンクの内側板と外側板とがそれぞれ保持されて位置が正確に設定される。
【0014】
前記燃料タンクの外側板は、端部が内方に狭まっており、前記アタッチメントは、前記外側板の端部外面と前記内側板の端部内面とを重ね合わせ、若しくは、前記外側板の端部と前記内側板の端部とを突き合わせた状態に保持するようにしてもよい。このように外側板と内側板とを保持することにより燃料タンクをフランジ部のない形状にすることができる。
【0015】
さらにまた、前記燃料タンクの上面に設けられた給油口に挿入されて、前記燃料タンクの内部に接触して保持する位置決め機構を設けてもよい。位置決め機構によって溶接治具に対して燃料タンクを迅速、かつ正確に設定することができる。
【0016】
前記アタッチメントの先端部で前記燃料タンクと当接する部分は、任意の方向に傾動可能な傾動機構を設けてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る溶接治具について好適な実施の形態を挙げ、添付の図1〜図11を参照しながら説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態に係る溶接治具10は、自動二輪車の燃料タンク12の外側板14と内側板16とを溶接する際の固定用の治具であり、外側板14を支持するアウター治具18と、内側板16を支持するインナー治具20とを有する。燃料タンク12は、図1における右側が前方(ハンドル側)であり左側が後方(シート側)である。また、燃料タンク12は上下が反転した状態に載置されている。
【0019】
燃料タンク12の外側板14は、図1に示すように載置した状態における下方部が複数の下方支持部材22によって支持され、略側方および略端部が複数のアタッチメント24によって支持される。それぞれのアタッチメント24は、2つまたは3つ毎に1本のクランプアーム(アーム)26に取り付けられている。クランプアーム26は左右対象に4本ずつの計8本が設けられており、シリンダ28によりそれぞれ個別に開閉可能である。
【0020】
図2に示すように、アウター治具18は治具用ロボット30の先端部に設けられており、溶接処理が行われる所定の位置に設定される。溶接処理は溶接ロボット32が行う。治具用ロボット30、溶接ロボット32およびシリンダ28等はコントローラ34によって制御される。
【0021】
図3に示すように、外側板14の端部15は内方に狭まっており、この外側板14の端部外面に、内側板16の端部内面が重ね合わさっている。この状態において溶接ロボット32により外側板14と内側板16との重ね合わせの端部である接触部120(図11参照)を溶接し、所謂、すみ肉継手の片側溶接を行う。
【0022】
外側板14の下部には給油口36が設けられている。
【0023】
図4に示すように、アウター治具18は、給油口36の略下方から後方に向けて外側板14の下面と略一定の間隔で延在する2枚の縦フレーム38と、該縦フレーム38から横方向、斜め前方および斜め後方に延在する左右それぞれ4つづつの補助フレーム40とを有する。補助フレーム40の上面には外側板14を下から支持する複数の下方支持部材22が設けられている。縦フレーム38の後端部には外側板14の後端側方を支持する後端支持部材42が設けられている。下方支持部材22および後端支持部材42は、例えばナイロン等の樹脂材を用いるとよい。
【0024】
2つの縦フレーム38の前端部には、給油口36の内部に挿入され、燃料タンク12を内部から保持する位置決め機構44が設けられている。
【0025】
図5に示すように、補助フレーム40のそれぞれの先端部には、クランプアーム26を開閉するためのベース板46およびシリンダ28が設けられており、これらのベース板46およびシリンダ28が開閉機構47を構成している。シリンダ28は、シリンダチューブ28aの一部がベース板46に軸支されて揺動可能である。シリンダ28はロッド28bを伸縮させてクランプアーム26を開閉させる。
【0026】
クランプアーム26の下部はベース板46の上部の軸46aに軸支されており揺動可能である。クランプアーム26の下部には外方にやや突出した突出部26aが設けられており、この突出部26aはシリンダ28のロッド28bの先端部に軸支されている。クランプアーム26の下部には内方にやや突出したストッパ26bが設けられている。該ストッパ26bは、クランプアーム26が閉じるときにベース板46の上面に当接することによりクランプアーム26の位置が決められる。
【0027】
クランプアーム26は、開閉機構47によって閉じられた状態において、軸46aから上方に向かって延在する第1アーム部26cと、第1アーム部26cの先端に設けられ、やや内方に傾斜した第2アーム部26dと、第2アーム部26dの先端に設けられ、第2アーム部26dよりさらに内方に傾斜した第3アーム部26eとを有する。このような構成によりクランプアーム26を閉じたときには、クランプアームと外側板14との間隔は略一定になる。なお、第3アーム部26eは、設定箇所により設置を省略されている。
【0028】
第1アーム部26c、第2アーム部26dおよび第3アーム部26eにはそれぞれアタッチメント24が取り付け可能な孔48が設けられており、各クランプアーム26には2つまたは3つのアタッチメント24が取り付けられている。
【0029】
図6に示すように、アタッチメント24は、クランプアーム26の孔48に取り付けられる筒体50と、筒体50の中心孔52に沿って移動可能なアタッチメント軸54と、アタッチメント軸54の先端に設けられたばね受け板56と、筒体50の先端部外周面に設けられたねじ溝58に螺合する調整ナット60(押圧力調整部)と、調整ナット60に適合するワッシャ62と、ばね受け板とワッシャ62との間に設けられたスプリング(弾性体)64とを有する。
【0030】
ばね受け板56の先端部には球状のボール66と、該ボール66に対して摺動しながら任意の方向へ傾動可能な当接部(傾動機構)68とが設けられている。当接部68は2つの部品68a、68bから構成されていてボール(傾動機構)66を挟んでいる。
【0031】
筒体50の後端外周面に設けられたねじ溝70には固定ナット72が螺合し、筒体50の略中央部の環状突出部74と固定ナット72によりクランプアーム26を挟んで固定する。環状突出部74とクランプアーム26との間には、必要に応じてアタッチメント24のクランプアーム26に対する突出長さを調整する1枚または複数枚の環状シム76を挿入する。
【0032】
筒体50の内面には、潤滑機能を持つ円筒形のブッシュ78が挿入されている。アタッチメント軸54はこのブッシュ78に対して摺動し、滑らかに移動可能である。
【0033】
アタッチメント軸54の後部にはやや細径のねじ部80が設けられ、該ねじ部80にはつまみ82(押圧力調整部)とエンドストッパ84(押圧力調整部)とが螺合している。つまみ82とエンドストッパ84とを回すことによりスプリング64の圧縮量とアタッチメント軸54の張り出し量とを調整することができ、この調整後、つまみ82とエンドストッパ84とは互いに締め合うダブルナット機能により固定される。
【0034】
また、調整ナット60を回すことによってスプリング64の圧縮量を調整することができる。すなわち、スプリング64の圧縮量は、つまみ82、エンドストッパ84および調整ナット60によって調整可能である。実際上、つまみ82およびエンドストッパ84によって粗調整を行い、調整ナット60によって微調整を行うとよい。
【0035】
さらに、当接部68の先端が外側板14によって押動されるときには、アタッチメント軸54は後端側へ向かって移動する。このときアタッチメント軸54はスプリング64を圧縮し、この弾発力に応じた距離を移動する。
【0036】
図7に示すように、位置決め機構44は、2つの縦フレーム38の中間部において給油口36の下部に設けられている。位置決め機構44の上部は給油口36に挿入されている。位置決め機構44は、枠体86に固定された挿入部材88と、ロッド90によって上下に昇降する移動部材92と、移動部材92に軸支され、移動部材92が下降したときにやや外方へ傾斜する2つのフック94とを有する。挿入部材88の横幅Dは給油口36の内径よりやや小径に設定されている。
【0037】
2つのフック94は上方に延在する板であり、それぞれ左右対称に設定されている。フック94は、上部がやや外方へ突出する突出部94aと、長手方向に長い長孔94bと、下部の揺動孔94cとを有する。長孔94bの下部は外方へ向かってやや曲がっている。
【0038】
挿入部材88における略中央高さには、左右対称の2つの固定支軸88aが突出している。移動部材92の上部には、左右対称の2つの移動支軸92aが突出している。固定支軸88aおよび移動支軸92aは、図7の紙面における手前側に突出しており、固定支軸88aはフック94の長孔94bに挿入され、移動支軸92aはフック94の揺動孔94cに嵌合している。
【0039】
外側板14をアウター治具18に載置するとき、シリンダ(図示せず)によりロッド90は上方に移動させておく。このとき、2つのフック94は内方に傾斜し挿入部材88の横幅D内に収まる。外側板14をアウター治具18に載置すると、挿入部材88の上部およびフック94の上部は給油口36に挿入される。
【0040】
図8に示すように、ロッド90を下降させると、移動部材92およびフック94も下降する。フック94は長孔94bに挿入された固定支軸88aによって案内され、外方へ傾斜する。フック94の突出部94aは給油口36の内径以上に張り出し、さらに下降することで給油口36の端部に当接して外側板14を保持する。
【0041】
図9に示すように、インナー治具20は、長尺な上板100と、該上板100の後端部に突出する延長棒102と、上板100の上面に設けられた取手104と、上板100の下面に固定され、内側板16の形状に適合した複数のナイロン材の押さえ板106とを有する。延長棒102の後端部および最前方の押さえ板106aには連結レバー108が設けられている。それぞれの押さえ板106は、上板を中心として張り出した左右対称の形状であり、左右の端面または下面が内側板16の形状と適合している。連結レバー108は、アウター治具18の前後に設けられた連結フック110(図1参照)に係合される。
【0042】
次に、このように構成される溶接治具10を用いて自動二輪車の燃料タンク12の外側板14と内側板16とを溶接する方法について説明する。
【0043】
まず、アウター治具18のクランプアーム26を開いた状態にしておき(図5参照)、燃料タンク12の外側板14を給油口36を下に向けた状態で下方支持部材22の上に載置する。このとき、給油口36に位置決め機構44の挿入部材88を挿入して外側板14を載置する。フック94は上方に変位させておくことにより給油口36の内径より狭い幅に設定されるので、フック94と給油口36が干渉することがない。また、挿入部材88の横幅Dは給油口36の内径よりやや狭く設定されているので、給油口36に挿入部材88の上部を挿入することによってアウター治具18に対する外側板14との位置を簡便かつ正確に設定することができる。
【0044】
次に、位置決め機構44のロッド90を下降させることにより移動部材92および2つのフック94を下降させる。2つのフック94は下降するに従って外側に傾斜し、突出部94aと給油口36の端部とが当接する。これにより外側板14はアウター治具18に対して堅固に固定される。
【0045】
次に、燃料タンク12の内側板16を外側板14の上部に載置する。このとき、外側板14の内方へ狭まった端部15と内側板16の周縁の端部とが略重なり合うように載置する。この後、内側板16の上部にインナー治具20を載置する。
【0046】
次に、8つの各シリンダ28を付勢することによりクランプアーム26を閉じ、ストッパ26bをベース板46の上面に当接させる。このストッパ26bによりクランプアーム26の位置が決定される。クランプアーム26が閉じると、各アタッチメント24の先端部である当接部68は、外側板14に当接する。このとき、当接部68はスプリング64を適度に圧縮しながら外側板14に当接するのでスプリング64の圧縮量に応じて外側板14を押圧することになる。この押圧力は調整ナット60またはつまみ82の回転により調整可能であり、予め適度な押圧力となるように調整しておくとよい。
【0047】
アタッチメント24の当接部68が外側板14を保持することにより、外側板14の位置が設定されるので、例えば、外側板14の自重による撓みを矯正できる。また、8本のクランプアーム26は、4本ずつ左右対称に配置されているので、燃料タンク12をバランス良く保持することができる。
【0048】
また、当接部68は、ボール66を基準にして傾動可能な構造となっているので、先端面が外側面に対して片当たりすることなく、確実に当接する。
【0049】
次に、インナー治具20の両端部に設けられている連結レバー108を連結フック110に係合する。インナー治具20の押さえ板106は内側板16に適合する形状なので、内側板16は外側板14に対して正確に位置決めされて固定される。
【0050】
次に、外側板14と内側板16とを溶接ロボット32(図2参照)により溶接する。溶接方法は、TIG(inert-gas tungsten-arc welding)溶接、MIG(inert-gas metal-arc welding)溶接、レーザ溶接等種々の溶接方法を採用することができる。
【0051】
図10の溶接順序を表す点Q1〜Q12で示すように、溶接は燃料タンク12に対して左右2回行う。すなわち、燃料タンク12の中心線上であって、最も前方の点Q1から溶接を開始し、順に点Q2〜Q6へと溶接を行う。点Q6は、燃料タンク12の中心線上であって、最も後方の点である。点Q6まで溶接を行った後、一度溶接を中断して点Q7に移動する。点Q7は、点Q1の近傍の点であり、重ね溶接部ができるような箇所に設定されている。点Q7から再度溶接を開始し、順に点Q7〜Q12へと溶接を行う。点Q12は点Q7の近傍の点であり、重ね溶接部ができるような箇所に設定されている。このような経路の溶接は、溶接ロボット32(図2参照)の動作によって行われるが、治具用ロボット30(図2参照)が協動しながら溶接を行うようにしてもよい。なお、点Q2〜Q6、点Q7〜Q11は、説明のための便宜上の点であり、例えば、点Q2等で溶接の途中停止や溶接方法の変更等の特別な処理を行うことはない。
【0052】
図11に示すように、内側板16の端部と外側板14との接触部120に沿って電極122(またはアーク等)を移動させて溶接を行う。接触部120には溶接ビード124が形成されて内側板16と外側板14とが溶接されることになる。
【0053】
ところで、溶接時の溶接部は高温となって溶融するので溶融に伴う変形が生じる。特に、ワークが拘束された状態であると、溶融部が冷却されて凝固する際に、変形が許容されずに内部に歪み(熱歪み)を持った溶接ビード124が形成されることになる。このような熱歪みを有する溶接ビード124はクラックを発生することがある。
【0054】
溶接治具10を用いた溶接においては、熱によって溶接ビード124が形成されて溶接部が膨張する場合、外側板14は矢印A0で示されるように、外方に向かって押し出されるようにして変形する。このとき、アタッチメント24の当接部68と当接している当接点Pは矢印A0に応じて力A1を受ける。この力A1は、矢印A0の向き、大きさおよび溶接点Pの位置によって決定され、略外方へ向かう力となる。溶接点Pは力A1によって当接部68を介してスプリング64を圧縮させる。力A1が小さいときにはスプリング64の圧縮量は小さく、力A1が大きいときにはスプリング64の圧縮量は大きい。
【0055】
このようにして、当初の当接点Pは、スプリング64が圧縮されることによる弾発力と力A1とが釣り合う位置Pxまで変位することができる。従って、アタッチメント24の作用によって、溶接後の高温時に、溶接ビード124は熱歪みが吸収されながら凝縮することとなり、冷却後の溶接ビード124に含まれる熱歪みは非常に小さくなる。
【0056】
また、当接点Pと位置Pxとの距離は微少量であるから、この距離が寸法誤差として不都合を生じることはない。
【0057】
図11においては、溶接ビード124の形成によって膨張する方向を示す矢印A0を外側板14における端部の面の向きと略一致する向きとして図示しているが、この矢印A0の方向はいかなる方向でも熱歪みを吸収することができる。つまり、矢印A0が外方に向いているときには、その向きと大きさに応じてアタッチメント24のスプリング64が圧縮されて熱歪みを吸収することができる。
【0058】
また、矢印A0が内方に向いているときには、溶接ビード124が収縮しながら形成される場合であり、アタッチメント24はこの収縮変形を拘束することはない。
【0059】
前記のように溶接の終了点である点Q12まで溶接を行った後、連結レバー108を解除してインナー治具20を取り外し、シリンダ28のロッド28bを収縮させてクランプアーム26を開く。さらに、位置決め機構44のロッド90を上昇させて燃料タンク12を取り外す。
【0060】
上述したように、本実施の形態に係る溶接治具10を用いて溶接を行うことにより、溶接時および溶接後の高温時に、溶接ビード124の熱歪みによる変形をアタッチメント24のスプリングが吸収するので、冷却後の溶接ビード124には熱歪みがほとんど含まれない。従って、溶接ビード124にクラックが発生することを抑止し、歩留まりを向上させることができる。
【0061】
またアタッチメント24は、クランプアーム26によって開閉することができるので、ワークである燃料タンク12の着脱が容易である。クランプアーム26の位置はストッパ26bにより正確に決められる。
【0062】
さらに、アタッチメント24の先端である当接部が外側板14を押圧する力は、調整ナット60およびつまみ82によって調整することができる。
【0063】
さらにまた、アウター治具18には燃料タンク12の給油口36に挿入して固定する位置決め機構44が設けられているので、アウター治具18に対する燃料タンク12の位置決めを迅速、かつ正確に行うことができる。インナー治具20によって燃料タンク12の内側板16の位置を外側板14に対して正確に合わせることができる。
【0064】
また、アタッチメント24は、外側板14の端部15の外面と内側板16の端部の内面とを重ね合わせた状態で保持して溶接を行うので、溶接の終了した燃料タンク12にはフランジ部がない。従って、アメリカンタイプ等の美観が必要とされる自動二輪車の燃料タンクとして好適である。
【0065】
上述の溶接治具10は、8本のクランプアーム26を有する例として説明したが、クランプアーム26の本数は燃料タンク12のサイズおよび形状によって適宜増減させてもよい。例えば、左右2本ずつの計4本のクランプアーム26を設け、左右対称に配置するようにしてもよい。また、1本のクランプアーム26に取り付けられるアタッチメント24は、燃料タンク12のサイズおよび形状によって適宜増減させてもよい。
【0066】
本発明に係る溶接治具は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る溶接治具によれば、自動二輪車の燃料タンクを溶接する際に、溶接による熱歪みの影響を軽減し、クラックの発生を抑止するという効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る溶接治具と自動二輪車の燃料タンクの斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る溶接治具が適用される溶接システムの概略図である。
【図3】本実施の形態に係る溶接治具と自動二輪車の燃料タンクの正面断面図である。
【図4】本実施の形態に係る溶接治具と自動二輪車の燃料タンクの一部省略側面図である。
【図5】シリンダ、クランプアーム、アタッチメントおよびその周辺部を示す正面図である。
【図6】アタッチメントの断面図である。
【図7】フックを上昇させた状態の位置決め機構の正面図である。
【図8】フックを下降させた状態の位置決め機構の正面図である。
【図9】インナー治具、内側板および外側板の斜視図である。
【図10】溶接の経路を示す模式図である。
【図11】アタッチメントにより外側板を押圧しながら溶接を行う様子を示す模式図である。
【図12】フランジ部を有する燃料タンクの斜視図である。
【符号の説明】
10…溶接治具 12…燃料タンク
14…外側板 16…内側板
15…端部 18…アウター治具
20…インナー治具 22…下方支持部材
24…アタッチメント 26…クランプアーム
28…シリンダ 30…治具用ロボット
32…溶接ロボット 34…コントローラ
36…給油口 44…位置決め機構
50…筒体 54…アタッチメント軸
56…ばね受け板 58…ねじ溝
60…調整ナット 62…ワッシャ
64…スプリング 66…ボール
68…当接部 82…つまみ
84…エンドストッパ 88…挿入部材
90…ロッド 94…フック
94a…突出部 94b…長孔
94c…揺動孔 106、106a…押さえ板
108…連結レバー 110…連結フック
120…接触部 124…溶接ビード

Claims (7)

  1. 自動二輪車の燃料タンクを溶接する際に前記燃料タンクを保持する溶接治具であって、
    弾性体を介して前記燃料タンクを保持する複数のアタッチメントを有し、
    前記アタッチメントは、前記燃料タンクの外側面に当接して内方に向かって弾性的に押圧し、被当接部を変位可能に保持することを特徴とする溶接治具。
  2. 自動二輪車の燃料タンクを溶接する際に前記燃料タンクを保持する溶接治具であって、
    弾性体を介して前記燃料タンクを保持する複数のアタッチメントを有し、
    前記アタッチメントは、開閉機構を具備するアームに取り付けられ、
    前記アームは、全開時には前記燃料タンクが着脱可能な開度に開き、全閉時にはストッパによって位置決めされ、前記燃料タンクを前記アタッチメントにより保持することを特徴とする溶接治具。
  3. 請求項1または2記載の溶接治具において、
    前記アタッチメントは、前記燃料タンクを保持する押圧力を調整するための押圧力調整部を有することを特徴とする溶接治具。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶接治具において、
    前記燃料タンクの外側板を支持するアウター治具と、
    前記燃料タンクの内側板を支持するインナー治具と、
    を有し、
    前記アタッチメントは、前記アウター治具に備えられており、前記アタッチメントは、前記外側板の略側方および/または略端部を保持することを特徴とする溶接治具。
  5. 請求項4の記載の溶接治具において、
    前記燃料タンクの外側板は、端部が内方に狭まっており、
    前記アタッチメントは、前記外側板の端部外面と前記内側板の端部内面とを重ね合わせ、若しくは、前記外側板の端部と前記内側板の端部とを突き合わせた状態に保持することを特徴とする溶接治具。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶接治具において、
    前記燃料タンクの上面に設けられた給油口に挿入されて、前記燃料タンクの内部に接触して保持する位置決め機構を有することを特徴とする溶接治具。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の溶接治具において、
    前記アタッチメントの先端部で前記燃料タンクと当接する部分は、任意の方向に傾動可能な傾動機構を有することを特徴とする溶接治具。
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