JP3890578B2 - プリントシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は複数のプリンタを選択して使用することのできるプリントシステムに係わり、特にこれらのプリンタがネットワークに接続され、ネットワーク環境に応じてこれらのプリンタの選択を行うようにしたプリントシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
オフィスや事業所で多数のコンピュータあるいはワークステーション等の情報処理装置が使用されるようになってきており、情報処理装置同士を結んだネットワークの構築が盛んに行われている。例えば1つの事業所内でLAN(ローカルエリアネットワーク)を構築すると、これにこの事業所内のプリンタを接続することで、各コンピュータの共通の資産としてこれらを活用することができる。そこで、ネットワークに接続された複数のプリンタの活用の仕方について幾つかの提案が行われている。
【0003】
例えば特開平9−128174号公報では、ネットワークの構築された環境でユーザがプリンタを選択する際に、ユーザ自身が個々のプリンタの機能やオプションの状態を把握することなしに適正なプリンタの選択が行えるようにしている。この技術で提案された手法は、次のようなものである。
(1)まず、ネットワーク内の利用することのできるプリンタの機能をサーチする。
(2)その上で、ユーザがプリントを行いたい機能と合致するプリンタを選択する。
(3)選択したそのプリンタに印刷のためのプリントジョブを送信する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この公報に提案された技術を使用したプリントシステムでは、(1)で示したプリンタの機能のサーチ結果として同等の機能を有するプリンタが複数存在したとする。例えばユーザが1分間に20枚以上のプリントができるプリンタとしての機能を要求して、該当するプリンタとして次の第1〜第3のプリンタが該当するものとされたものとする。
(a)第1のプリンタ:1分間に60枚のプリントを行うことができるプリンタ。
(b)第2のプリンタ:1分間に40枚のプリントを行うことができるプリンタ。
(c)第3のプリンタ:1分間に20枚のプリントを行うことができるプリンタ。
【0005】
今、ネットワーク全体としてみた場合に、プリントジョブの発生があまり多くないとする。このような場合には、いずれかの情報処理装置から1つのプリントジョブが発生してから次のプリントジョブが発生するまでのプリントジョブの間隔が平均的に長くなる。したがって、プリントの完了までに要する時間等からプリンタを選択すると、どうしても第1のプリンタのみがどのユーザのプリント要求の際にも選択されることになる。したがって、第1のプリンタは過負荷で使用されて、例えば感光体の光に対する疲労が蓄積したり、定着装置の通電による劣化が激しくなる等によって、第1のプリンタの寿命が短くなるという問題がある。また、第2および第3のプリンタについてみると、これらがほとんど使用されない状態となるので、現像剤としてのトナーが凝固したり、プリントのための用紙が吸湿しやすくなるといった現象を発生させ、印字品質を低下させたり寿命を実質的に低下させる場合があるといった問題があった。
【0006】
次に、プリントジョブの発生が比較的多い場合を考えてみる。この場合には、第1のプリンタばかりにプリントジョブが集中するといった事態の発生はなくなり、これら第1〜第3のプリンタに対する負荷の分散がある程度可能になる。しかしながら、この場合でも、処理速度の速い第1のプリンタは与えられたプリントジョブを迅速にこなすので、結局、このような特定のプリンタに対するユーザの選択が多いことに代わりなく、第1のプリンタが先の事例の場合よりも負荷が軽くなることはない。すなわち、後者の例の場合であっても、この例では第1のプリンタが過負荷になって寿命を短くすることに変わりない。
【0007】
そこで本発明の目的は、複数のプリンタから1つのプリンタを選択する際に特定のプリンタに過負荷をかけることを回避させることのできるプリントシステムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、(イ)ネットワークに接続された複数のプリンタを選択して利用することのできるプリンタシステムにおいて、(ロ)前記したプリンタに対してこれら自身の現在の消耗状態を問い合わせる消耗状態質問手段と、(ハ)この消耗状態質問手段の問い合わせに対する返答状態から消耗状態の一番軽いプリンタを選び出すプリンタ選択手段と、(ニ)このプリンタ選択手段によって選択されたプリンタが1回前に選択したプリンタと同一であるかの判別を行う連続使用プリンタ有無判別手段と、(ホ)この連続使用プリンタ有無判別手段が1回前に選択したプリンタと同一であると判別したとき、1回前のプリント終了から予め定めた所定時間が経過しているかどうかを判別する時間経過有無判別手段と、(へ)この時間経過有無判別手段が前記した所定時間が経過していないと判別したとき次に消耗状態の軽い他のプリンタを選択する他プリンタ選択手段と、(ト)時間経過有無判別手段が前記した所定時間が経過していると判別したとき、連続使用プリンタ有無判別手段が1回前に選択したプリンタを選択する該当プリンタ選択手段と、(チ)他プリンタ選択手段あるいは該当プリンタ選択手段によって選択されたプリンタに対してプリントジョブの実行を要求するプリントジョブ実行要求手段とをプリントシステムに具備させる。
【0009】
すなわち請求項1記載の発明では、ネットワークに接続された複数のプリンタに対してこれら自身の現在の消耗状態を問い合わせ、その返答状態から消耗状態の一番軽いプリンタを選び出し、このプリンタが1回前に選択したプリンタと同一であるかの判別を行うことで連続して使用されるプリンタであるかどうかを判別する。そして、連続して使用されるプリンタであると判別された場合には、1回前のプリント終了から予め定めた所定時間が経過しているかどうかを判別する。この結果、この所定時間が経過していないと判別したとき次に消耗状態の軽い他のプリンタを選択するようにしている。一方、この所定時間が経過していると判別したときには、その1回前に選択したプリンタを選択するようにする。このようにして選択されたプリンタに対してプリントジョブ実行要求手段はプリントジョブの実行を要求するようにしている。
【0010】
請求項2記載の発明では、(イ)ネットワークに接続された複数のプリンタを選択して利用することのできるプリンタシステムにおいて、(ロ)ネットワーク上に接続されたそれぞれのプリンタの消耗状態を逐次監視する消耗状態監視手段と、(ハ)この消耗状態監視手段の監視結果から消耗状態の一番軽いプリンタを選び出すプリンタ選択手段と、(ニ)このプリンタ選択手段によって選択されたプリンタが1回前に選択したプリンタと同一であるかの判別を行う連続使用プリンタ有無判別手段と、(ホ)この連続使用プリンタ有無判別手段が1回前に選択したプリンタと同一であると判別したとき、1回前のプリント終了から予め定めた所定時間が経過しているかどうかを判別する時間経過有無判別手段と、(へ)この時間経過有無判別手段が所定時間が経過していないと判別したとき次に消耗状態の軽い他のプリンタを選択する他プリンタ選択手段と、(ト)時間経過有無判別手段が所定時間が経過していると判別したとき、連続使用プリンタ有無判別手段が1回前に選択したプリンタを選択する該当プリンタ選択手段と、(チ)他プリンタ選択手段あるいは該当プリンタ選択手段によって選択されたプリンタに対してプリントジョブの実行を要求するプリントジョブ実行要求手段とをプリントシステムに具備させる。
【0011】
すなわち請求項2記載の発明では、ネットワークに接続された複数のプリンタの消耗状態を逐次監視して、この監視結果から消耗状態の一番軽いプリンタを選び出し、このプリンタが1回前に選択したプリンタと同一であるかの判別を行うことで連続して使用されるプリンタであるかどうかを判別する。そして、連続して使用されるプリンタであると判別された場合には、1回前のプリント終了から予め定めた所定時間が経過しているかどうかを判別する。この結果、この所定時間が経過していないと判別したとき次に消耗状態の軽い他のプリンタを選択するようにしている。一方、この所定時間が経過していると判別したときには、その1回前に選択したプリンタを選択するようにする。このようにして選択されたプリンタに対してプリントジョブ実行要求手段はプリントジョブの実行を要求するようにしている。
【0012】
請求項3記載の発明では、請求項2記載のプリントシステムで消耗状態監視手段は、ネットワーク上のすべてのプリンタの最近の単位時間当たりのプリントを行った枚数を時間当たりの連続プリント可能枚数で除した値をそれぞれ算出し、この値が大きなものほど消耗状態が重いプリンタであると判別することを特徴としている。
【0013】
すなわち請求項3記載の発明では、各プリンタの最近の利用状況を調べると共に、それらのプリンタの時間当たりの処理可能枚数で割って消耗度を調べることにしている。したがって、各プリンタの能力を勘案して現在の消耗の割合を推察することができる。
【0014】
請求項4記載の発明では、請求項2記載のプリントシステムで消耗状態監視手段は、ネットワーク上のすべてのプリンタの寿命に相当する印刷枚数を今までプリントした総印刷枚数で除した値をそれぞれ算出し、この値が大きなものほど消耗状態が軽いプリンタであると判別することを特徴としている。
【0015】
すなわち請求項4記載の発明では、それぞれのプリンタの寿命に相当する枚数にこれらのプリンタがどこまで近づいているかをみて、これをこれらのプリンタの消耗度としてプリンタの選択を行うようにしている。
【0016】
請求項5記載の発明では、請求項2記載のプリントシステムでプリンタ選択手段は、現在使用中のプリンタを除外して選択を行うことを特徴としている。
【0017】
これは時間的に近接して複数のプリント要求があったときに消耗度に関するデータが近似したものが得られる結果として、消耗度の一番低いとされた特定のプリンタが連続して選択され、これによってこのプリンタが連続的にプリントジョブを担当することになり、過負荷状態に陥るという不具合の発生を回避するためのものである。
【0018】
請求項6記載の発明では、請求項3または請求項4記載のプリントシステムで消耗状態監視手段は、ネットワークに接続された通信回線を介して一定期間ごとにそれぞれのプリンタの印刷枚数を問い合わせる印刷枚数問い合わせ手段を具備することを特徴としている。
【0019】
すなわち請求項6記載の発明では、消耗状態監視手段がネットワークに直接接続されているものに限らず、通信回線を介して接続されているものまで含むことを意味している。これは一般的な課金情報を得るために使用している監視手段をプリンタの消耗度間でチェックする消耗状態監視手段として機能させることができる点で有効である。
【0020】
【発明の実施の形態】
【0021】
【実施例】
以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明の一実施例におけるプリントシステムの構成を表わしたものである。このプリントシステムは、オフィスに敷設されたイーサネット等のLAN(ローカルエリアネットワーク)ケーブル11に、第1〜第4のプリンタ121〜124と、第1〜第Nのパーソナルコンピュータ131〜13Nと、1台の監視用コンピュータ14から構成されている。本実施例で監視用コンピュータ14は、通信ケーブル15を介して直接LANケーブル11に接続されているが、電話回線を介して接続されるようになっていてもよい。
【0023】
図2は、ネットワークを構成する各プリンタの機能および寿命と現在までの印刷毎数を表わしたものである。この図に示すように第2のプリンタ122と第3のプリンタ123は全く同一の機能を有している。ただし、第2のプリンタ122の方は現在まで50万枚のプリントを行っているのに対して、第3のプリンタ123の方はこれよりも多い70万枚のプリントを行っている。
【0024】
図3は、それぞれのプリンタの基本的な構成を表わしたものである。第1〜第Nのプリンタ121〜124は共にCPU(中央処理装置)21を備えている。CPU21はデータバス等のバス22を通じて装置内の各部と接続されている。このうちROM23は、プリントのための各種制御を行うためのプログラムを格納したリード・オンリ・メモリである。作業用メモリ24は、このプログラムの実行に必要な各種のデータを一時的に格納するためのメモリであり、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)がこのために使用されている。機能情報NVM25は、図2に示した自己の機能情報を格納した不揮発性メモリである。通信制御部27は、図1に示したLANケーブル11と接続して第1〜第Nのパーソナルコンピュータ131〜13Nあるいは1台の監視用コンピュータ14と通信を行うためのものである。プリント部28は、各プリンタ121〜124のプリントを行う部分である。
【0025】
図4は、これらのプリンタの主要な構成を機能的に表わしたものである。各プリンタ121〜124は、消耗情報を格納した消耗情報格納部と、自己の機能情報を格納した機能情報格納部32と、その他の必要な情報を一時的に格納するキュー情報格納部33とを備えており、これらが問合わせ応答部34と接続されている。問合わせ応答部34は、図1に示した監視用コンピュータ14からの問い合わせに応じてこれらの格納部31〜33に格納した情報を通知するようになっている。
【0026】
図1に示した監視用コンピュータ14は、図示しないがCPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信制御部、ならびにキーボード、マウス、CRT等の入出力機器を備えた通常のコンピュータで構成されている。
【0027】
図5は、この監視用コンピュータの機能的な構成を表わしたものである。監視用コンピュータ14は、第1〜第Nのプリンタ121〜124の中から1つのプリンタを選択するプリンタ選択部41と、その選択したプリンタ12にプリントを依頼するプリント依頼部42から構成されている。プリンタ選択部41は、検索作業を行うプリンタ検索部43と、この検索結果から所望のプリンタ12を決定するプリンタ決定部44とから構成されている。
【0028】
図6は、このプリントシステムにおける監視用コンピュータの制御の流れを表わしたものである。図1に示したネットワーク内の例えば第1のパーソナルコンピュータ131がプリントする文書を作成したものとする。この際、第1のパーソナルコンピュータ131は、具体的に第1〜第Nのプリンタ12 1 〜12 N の中から1つを選択するのではなく、この選択作業を監視用コンピュータ14に委託する。このため、この例の場合、第1のパーソナルコンピュータ131が監視用コンピュータ14にプリント要求を行うことになる。
【0029】
監視用コンピュータ14は、プリント要求があると(ステップS101:Y)、プリント検索条件情報を該当のパーソナルコンピュータ(この場合には第1のパーソナルコンピュータ131)に送信する(ステップS102)。第1のパーソナルコンピュータ131は、プリント検索条件を表示してプリントに要求される機能をそのユーザに入力させる。
【0030】
図7は、第1のパーソナルコンピュータのCRTに表示されるプリント検索条件の内容を表わしたものである。CRT51には、プリントのために使用する言語や、プリントの際の拡縮率や、解像度や、プリントする用紙サイズや、オプションが必要であればその内容およびプリントの緊急度についての選択肢が表示される。ユーザは、これらの各項目から希望するものを選択して、CRT51の右上に表示された「完了」ボタン52を図示しないマウスで選択する。間違った選択を行った場合には、その時点で「取消」ボタン53を押せば、選択内容を取り消して再度選択を行うことが可能になる。
【0031】
第1のパーソナルコンピュータ131のユーザが言語として「ポストスクリプト」(PostScript)を選択し、プリントの拡縮率として「100%」を選択し、解像度として「300dpi」(ドット/インチ)を選択し、用紙サイズとして「A4」用紙を選択し、オプションとして「カラー」印刷を選択し、プリント完了までの緊急度の度合いとして「普通」を選択したものとする。ユーザが「完了」ボタン52を押すと、これらの選択された内容が監視用コンピュータ14に送信される。
【0032】
監視用コンピュータ14は、第1のパーソナルコンピュータ131の選択した検索条件が送られてくるのを待機している(ステップS103)。そして、これが受信されると(Y)、プリンタ検索部43に備えられている機能検索テーブルを検索する(ステップS104)。ここで機能検索テーブルには、第1〜第Nのプリンタ121〜124についての適宜更新された機能情報が格納されている。この結果、監視用コンピュータ14は、要求された機能情報を満足するすべてのプリンタ12を抽出する(ステップS105)。そしてこの中から最適なプリンタ12を1つだけ選択することになる(ステップS106)。そして、その選択されたプリンタ12に第1のパーソナルコンピュータ131のプリントジョブを依頼することになる(ステップS107)。
【0033】
プリントジョブの依頼の仕方としては、監視用コンピュータ14が第1のパーソナルコンピュータ131のプリントジョブを該当のプリンタ12に直接送るようにしてもよいし、そのプリンタに第1のパーソナルコンピュータ131の使用についての予約を入れ、第1のパーソナルコンピュータ131がプリントジョブをその後送信するようにしてもよい。もちろん、ネットワーク上で他のパーソナルコンピュータ13がプリンタ12を直接アクセスすることがないような状況下であれば、監視用コンピュータ14が第1のパーソナルコンピュータ131に選択されたプリンタ12を通知して、プリントジョブの送信を指示するようにすればよい。
【0034】
図8は、図6のステップS106で最適なプリンタを選択する作業の概要を表わしたものである。監視用コンピュータ14は、第1のパーソナルコンピュータ131から送られてきた「緊急度」についてのデータをチェックし(ステップS201)、これが「緊急」となっている場合には(Y)、もっとも早くプリントが終了するプリントを選択する(ステップS202)。これについては既知の技術を適用することができる。すなわち、第1のパーソナルコンピュータ131がプリントする枚数と第1〜第4のプリンタ121〜124のプリンタの速度からプリントの所要時間を求め、現在プリント作業を行っていないプリント2の中からもっとも所用時間の短いプリンタを選択する。
【0035】
もちろん、第1のパーソナルコンピュータ131が大量のプリントを行う場合で所用時間がかなりかかる場合には、たとえ第2および第3のプリンタ132、133が共にプリントを行っている状態でも、これらのうちで最初にプリントを終了させるものを選択する方が、現在プリント作業を行っていない第1または第4のプリンタ121、124にプリントを行わせるよりもプリント完了時刻が早くなる場合もあるので、そのような計算も行ってプリンタ12を選択する必要がある。
【0036】
プリントの「緊急度」が「緊急」ではない場合、本発明の特徴としての消耗の最も少ないプリンタ12が選出される(ステップS203)。もちろん、プリントシステムを構成する各プリンタ12のプリントの速度が大きくばらつくような場合には、「緊急度」として「普通」が選択されているときと「遅い」が選択されているときで選択できるプリンタ12の範囲を変えるようにすることも可能である。これは、「緊急度」として「普通」が選択された結果として極端に処理時間がかかるものが選択された場合の不具合の発生を防止するためである。本実施例では第1〜第4のプリンタ121〜124の処理速度に大きな違いはないので、このような「普通」と「遅い」に関する選択制御を行わないものとして話を進めることにする。
【0037】
図9は、図8のステップS203の制御を具体的に表わしたものである。第1〜第Nのパーソナルコンピュータ131〜13Nのいずれかからプリント要求があった結果として監視用コンピュータ14が消耗の最小のプリンタ12を選択する必要が生じたとき、監視用コンピュータ14はネットワーク上のすべてのプリンタ121〜124に対して、それらの現時点までの総印刷枚数を取得する(ステップS301)。そして、過去に同様の要請から第1〜第4のプリンタ121〜124について取得した総印刷枚数についてのデータを参照して単位時間当たりのこれらプリンタ121〜124それぞれについての最近の印刷枚数を算出する(ステップS302)。最も単純には前回アクセスしたとき、あるいは前々回にアクセスしたときのそれぞれのプリンタ121〜124の総印刷枚数と現在の枚数との差を求めるようにしてもよいし、現時点からある時間(たとえば1時間)前の時間までの印刷枚数を算出してもよい。後者のような算出方法を採る場合には、監視用コンピュータ14は第1〜第4のプリンタ121〜124のプリント要求に関係なく所定時間ごとにこれらの総印刷枚数をネットワーク上でチェックするようにしてもよい。
【0038】
このようにして第1〜第4のプリンタ121〜124についての最近の単位時間当たりの印刷枚数が求められたら、監視用コンピュータ14はそれらの印刷速度でそれぞれを除して、能力あたりの負荷を求める(ステップS303)。そして、算出された値が最小のプリンタ12を現在の消耗度がもっとも少ないプリンタ12として選択することになる(ステップS304)。
【0039】
なお、このような手法で消耗度の最も少ないプリンタを選択すると、それよりもわずかな時間だけ遅れて他のパーソナルコンピュータ13が「緊急度」を「普通」または「遅い」として指定してプリント要求を行ってきた場合、そのプリンタ12が同様にして選択され、結局、その消耗度が異常に高まってしまう危険性がある。
【0040】
図10は、このような消耗度に対する誤動作を防止するようにした処理の流れを表わしたものである。この処理でステップS304までは先の図9と同一であるので図示を省略する。ステップS304で消耗度が最小のプリンタ12を選択したら、それぞれが前回のプリンタ要求に対して消耗度が最小のプリンタとされたプリンタと同一のプリンタであるかどうかのチェックが行われる(ステップS305)。同一でなければ(N)、今回選択してプリンタ12を最終的に選択して(ステップS306)、処理を終了させる(エンド)。前回選択したプリンタでなければ、重複した選択による弊害が一応発生しない(短時間に複数のプリンタが選択された場合には同様の問題がなお発生するが、その確立は一般に十分低い)ので、この場合にはステップS304で選択したプリンタ12を最終的に選択することにしている。
【0041】
これに対して、ステップS305で前回選択したプリンタと同一のプリンタが再度選択されたものとされた場合には(Y)、そのプリンタ12のプリント終了予定時刻から所定の時間t以上経過しているかどうかのチェックが行われる(ステップS307)。これは、同一のプリンタ12が再度選択されても、疲労を最小限回復させることのできる予め定めた時間t以上経過するものであれば連続した選択を許容してよいからである。時間t以上経過するものであれば(Y)、ステップS306に進んでそのプリンタ12を最終的に選択することが許される。これに対して、時間tが経過していないものであれば(ステップS307:N)、ステップS303で得られた値を参照して、次に消耗度の低いプリンタが選択されることになる(ステップS308)。
【0042】
プリントシステムの管理者は、監視用コンピュータ14の選択制御を図9に示した制御内容に設定するか、あるいは図10に示した制御内容に設定するかを事前に選択することができる。後者の制御を採用する場合には、ステップS307で示した時間tの値を予め入力する必要があることは当然である。
【0043】
図11は、以上のような制御を可能にするために監視用コンピュータに用意されている第1のプリンタ情報テーブルの構成を表わしたものである。第1のプリンタ情報テーブル61には、第1〜第4のプリンタ121〜124のそれぞれの名前と、それらのネットワーク上のアドレスが記されている。監視用コンピュータ14は、これらのアドレスを基にして第1〜第4のプリンタ121〜124に対してステップS301の総印刷枚数を問い合わせることができる。なお、第1のプリンタ情報テーブル61の内容は、プリンタ12の構成に変更があったときには随時変更されることになる。
【0044】
図12は、監視用コンピュータに用意されている第2のプリンタ情報テーブルの構成を表わしたものである。第2のプリンタ情報テーブル62には、それぞれのプリンタ121〜124の名称と、これらにについての前回点検したときの時刻、総印刷枚数およびステップS303で計算した値としての消耗情報と、今回点検したときの時刻、総印刷枚数および消耗情報が記されている。この例の第2のプリンタ情報テーブル62には、最近の2つの情報が第1〜第4のプリンタ121〜124のそれぞれについて記されることにしているが、より多くの過去の情報を格納するようにすることは自由である。
【0045】
変形例
【0046】
以上説明した実施例では、各プリンタの最近の印刷枚数をこれらの時間当たりの印刷能力で除して消耗度を算出した。消耗度はこれ以外の観点で算出することができることはもちろんである。
【0047】
図13は、本発明の変形例における消耗度の算出処理の流れを表わしたものであり先の実施例の図9に対応するものである。この変形例で、第1〜第Nのパーソナルコンピュータ131〜13Nのいずれかからプリント要求があった結果として監視用コンピュータ14が消耗の最小のプリンタ12を選択する必要が生じたとき、監視用コンピュータ14はネットワーク上のすべてのプリンタ121〜124に対して、それぞれらの現時点までの総印刷枚数を取得する(ステップS401)。そして、図2でも示したこれらのプリンタ121〜124の寿命に至ると想定される枚数を総印刷枚数で割り算する。例えばある時点での第1のプリンタ121の総印刷枚数が1万枚であり、その寿命が10万枚であれば、商は“10”となる。同様に図2に示した値の場合、第2のプリンタ122の商は“2”となり、第3のプリンタ123の商は“1.43”となり、第4のプリンタ124の商は“2”となる。監視用コンピュータ14は、これらの商のうち最大の値となった第1のプリンタ121を消耗度のもっとも少ないプリンタとして選択する(ステップS403)。
【0048】
この変形例でも、選択されたプリンタ12に負荷が集中する場合がある。そこで、このような場合には図10で示したのと同様の制御を行うことも可能である。また、この変形例のプリントシステムでは、寿命間近のプリンタについてのステップS402で求めた商が限りなく“1”に近づき、ネットワークの中に十分な数のプリンタ12が備えられている場合には、1つだけなかなか使用されないプリンタが出現する可能性がある。
【0049】
そこで、このような使用されにくいプリンタが出現する可能性がある場合には、これらのプリンタの使用間隔を記録しておき、間隔が長くなるほど自己の商に“1”よりも大きなウエイトを付けていって他のプリンタとの協調を図ると共に、老齢化したプリンタを比較的早期に寿命に達しさせて、プリンタ12の新旧の交代を図るように制御することも有効である。
【0050】
なお、実施例および変形例では印刷枚数を基準としてそれぞれのプリンタ12の消耗度を算出するようにしたが、プリンタ12の感光体に対する露光時間の長さや、露光と露光の間の感光体の疲労が回復する時間についてそれぞれデータの収集を行い、監視用コンピュータ14がそれぞれのプリンタの感光体の疲労特性に従って消耗度を算出するようにしてもよい。また、このようにして求められた消耗度と実施例あるいは変形例で求めた消耗度とを組み合わせて、それぞれのプリンタ12の実際の消耗をよりよく反映した消耗度を求め、これを基にして次に使用するプリンタ12の決定を行うようにすることも有効である。
【0051】
なお実施例では純粋なプリンタのみでネットワークを構成する場合について説明したが、現在ではネットワークに接続された複写機やファクシミリがプリンタとしての機能を兼用することも行われている。このような複写機やファクシミリについても専用のプリンタと共に消耗度を管理してプリント先の決定を行うことは、同様に本発明の適用の範囲内である。
【0052】
更に実施例では監視用コンピュータ14がLANケーブル11に直接接続されることにしたが、通常の公衆回線を通じて接続されるようになっていてもよい。このような公衆回線を使用したプリントシステムでは、例えば監視用コンピュータ14が保守会社に設置されており、定期的に公衆回線を使用してそれぞれのプリンタ121〜124に接続され、それらのカウント数等のデータを採取するようになっている。そして、これによって算出された消耗情報を今度は同じネットワーク内の第1〜第Nのパーソナルコンピュータ131〜13Nに消耗度情報として与える。第1〜第Nのパーソナルコンピュータ131〜13Nは、監視用コンピュータ14によって定期的に更新される消耗度情報を勘案して、第1〜第4のプリンタ121〜124の選択時に消耗度のなるべく低いプリンタ12を選択することになる。
【0053】
また、実施例では監視用コンピュータ14をLANケーブル11に接続し、これが各プリンタ121〜124の消耗に関する情報を収集することにしたが、それぞれのプリンタ121〜124とパーソナルコンピュータ等の情報処理装置を1対1で対応づけ、情報処理装置がそれぞれ対応づけられたプリンタ121〜124の消耗情報を管理するようにしてもよい。この場合には、1つの情報処理装置がプリンタ12の選択を行う場合には、ネットワーク上に接続された各情報処理装置にアクセスして消耗情報の収集を行うことになる。この場合、一度各情報処理装置にアクセスした情報処理装置がこれによって得られた消耗情報をデータベース化して自身の装置内に格納しておくことで、ネットワーク上でのデータの収集のためのアクセスを少なくすることが可能になる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、ネットワークに接続された複数のプリンタに対してこれら自身の現在の消耗状態を問い合わせ、その返答状態から消耗状態の一番軽いプリンタを選び出し、このプリンタが1回前に選択したプリンタと同一であるかの判別を行うことで連続して使用されるプリンタであるかどうかを判別し、連続して使用されるプリンタであると判別された場合には、1回前のプリント終了から予め定めた所定時間が経過しているかどうかを判別するようにしている。この結果、この所定時間が経過していないと判別したとき次に消耗状態の軽い他のプリンタを選択する一方、この所定時間が経過していると判別したときには、その1回前に選択したプリンタを選択することにしたので、特定のプリンタが過負荷に陥ることが防止され、ネットワークで共用されているそれぞれのプリンタにプリントジョブの分散を図ることができ、各プリンタの長寿命化に貢献することになる。
【0055】
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができるばかりでなく、ネットワーク上に接続されたそれぞれのプリンタの消耗状態を逐次監視する消耗状態監視手段の監視結果を用いて消耗度の一番軽いプリンタを選出することにしたので、プリントジョブをプリンタに対して依頼するパーソナルコンピュータ等の各情報処理装置に消耗状態の監視を行わせる必要がなく、処理の負担を軽減させることができる。また、消耗状態監視手段にプリントサーバとしての機能も具備させれば、それぞれの情報処理装置は、プリントジョブを単に消耗状態監視手段に送るだけで各プリンタの消耗状態も考慮したプリントを実行させることができ、プリントシステムの一層の効率化を図ることができる。
【0056】
更に請求項3記載の発明によれば、各プリンタの最近の利用状況を調べると共に、それらのプリンタの時間当たりの処理可能枚数で割って消耗度を調べることにしている。したがって、各プリンタの能力を勘案して現在の消耗の割合を推察することができる。
【0057】
請求項4記載の発明では、請求項2記載のプリントシステムで消耗状態監視手段は、ネットワーク上のすべてのプリンタの寿命に相当する印刷枚数を今までプリントした総印刷枚数で除した値をそれぞれ算出し、この値が大きなものほど消耗状態が軽いプリンタであると判別することにしているので、比較的最新のプリンタを優先的に使用して事務の効率化を図ることができる。
【0058】
また請求項5記載の発明によれば、請求項2記載のプリントシステムでプリンタ選択手段は、現在使用中のプリンタを除外して選択を行うことにしているので、時間的に接近してプリント要求があったときに同じプリンタが連続的に選択されて過負荷状態となる不都合を回避することができる。
【0059】
更に請求項6記載の発明によれば、消耗状態監視手段が通信回線を介して接続されているものとされたので、このような手段を1つの狭義のネットワーク内に設ける必要がなく、システムの構築の自由度を高めている。また、例えば一般的な課金情報を得るために使用している監視手段をプリンタの消耗度間でチェックする消耗状態監視手段として機能させることもでき、監視手段の共用化でシステムの効率化を図ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例におけるプリントシステムの構成を表わしたシステム構成図である。
【図2】 本実施例でネットワークを構成する各プリンタの機能および寿命と現在までの印刷毎数を表わした説明図である。
【図3】 本実施例でそれぞれのプリンタの基本的な構成を表わしたブロック図である。
【図4】 本実施例のプリンタの主要な構成を機能的に表わした説明図である。
【図5】 監視用コンピュータの機能的な構成を表わした説明図である。
【図6】 本実施例のプリントシステムにおける監視用コンピュータの制御の流れを表わした流れ図である。
【図7】 第1のパーソナルコンピュータのCRTに表示されるプリント検索条件の内容を表わした平面図である。
【図8】 図6のステップS106で最適なプリンタを選択する作業の概要を表わした流れ図である。
【図9】 図8のステップS203の制御を具体的に表わした流れ図である。
【図10】 実施例で消耗度に対する誤動作を防止するようにした処理の流れを表わした流れ図である。
【図11】 監視用コンピュータに用意されている第1のプリンタ情報テーブルの構成を表わした説明図である。
【図12】 監視用コンピュータに用意されている第2のプリンタ情報テーブルの構成を表わした説明図である。
【図13】 本発明の変形例における消耗度の算出処理の流れを表わした流れ図である。
【符号の説明】
11…LANケーブル、121…第1のプリンタ、122…第2のプリンタ、123…第3のプリンタ、124…第4のプリンタ、131〜13N…第1〜第Nのパーソナルコンピュータ、14…監視用コンピュータ、31…消耗情報格納部、32…機能情報格納部、34…問合わせ応答部、43…プリンタ検索部、44…プリント依頼部、61…第1のプリンタ情報テーブル、62…第2のプリンタ情報テーブル
Claims (6)
- ネットワークに接続された複数のプリンタを選択して利用することのできるプリンタシステムにおいて、
前記プリンタに対してこれら自身の現在の消耗状態を問い合わせる消耗状態質問手段と、
この消耗状態質問手段の問い合わせに対する返答状態から消耗状態の一番軽いプリンタを選び出すプリンタ選択手段と、
このプリンタ選択手段によって選択されたプリンタが1回前に選択したプリンタと同一であるかの判別を行う連続使用プリンタ有無判別手段と、
この連続使用プリンタ有無判別手段が1回前に選択したプリンタと同一であると判別したとき、1回前のプリント終了から予め定めた所定時間が経過しているかどうかを判別する時間経過有無判別手段と、
この時間経過有無判別手段が前記所定時間が経過していないと判別したとき次に消耗状態の軽い他のプリンタを選択する他プリンタ選択手段と、
前記時間経過有無判別手段が前記所定時間が経過していると判別したとき、前記連続使用プリンタ有無判別手段が1回前に選択したプリンタを選択する該当プリンタ選択手段と、
前記他プリンタ選択手段あるいは該当プリンタ選択手段によって選択されたプリンタに対してプリントジョブの実行を要求するプリントジョブ実行要求手段
とを具備することを特徴とするプリントシステム。 - ネットワークに接続された複数のプリンタを選択して利用することのできるプリンタシステムにおいて、
前記ネットワーク上に接続されたそれぞれのプリンタの消耗状態を随時監視する消耗状態監視手段と、
この消耗状態監視手段の監視結果から消耗状態の一番軽いプリンタを選び出すプリンタ選択手段と、
このプリンタ選択手段によって選択されたプリンタが1回前に選択したプリンタと同一であるかの判別を行う連続使用プリンタ有無判別手段と、
この連続使用プリンタ有無判別手段が1回前に選択したプリンタと同一であると判別したとき、1回前のプリント終了から予め定めた所定時間が経過しているかどうかを判別する時間経過有無判別手段と、
この時間経過有無判別手段が前記所定時間が経過していないと判別したとき次に消耗状態の軽い他のプリンタを選択する他プリンタ選択手段と、
前記時間経過有無判別手段が前記所定時間が経過していると判別したとき、前記連続使用プリンタ有無判別手段が1回前に選択したプリンタを選択する該当プリンタ選択手段と、
前記他プリンタ選択手段あるいは該当プリンタ選択手段によって選択されたプリンタに対してプリントジョブの実行を要求するプリントジョブ実行要求手段
とを具備することを特徴とするプリントシステム。 - 前記消耗状態監視手段は、前記ネットワーク上のすべてのプリンタの最近の単位時間当たりのプリントを行った枚数を時間当たりの連続プリント可能枚数で除した値をそれぞれ算出し、この値が大きなものほど消耗状態が重いプリンタであると判別することを特徴とする請求項2記載のプリントシステム。
- 前記消耗状態監視手段は、前記ネットワーク上のすべてのプリンタの寿命に相当する印刷枚数を今までプリントした総印刷枚数で除した値をそれぞれ算出し、この値が大きなものほど消耗状態が軽いプリンタであると判別することを特徴とする請求項2記載のプリントシステム。
- 前記プリンタ選択手段は、現在使用中のプリンタを除外して選択を行うことを特徴とする請求項2記載のプリントシステム。
- 前記消耗状態監視手段は、前記ネットワークに接続された通信回線を介して一定期間ごとにそれぞれのプリンタの印刷枚数を問い合わせる印刷枚数問い合わせ手段を具備することを特徴とする請求項3または請求項4記載のプリントシステム。
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