JP3889300B2 - ギヤドモータ用の減速機、ギヤドモータ及びそのシリーズ - Google Patents

ギヤドモータ用の減速機、ギヤドモータ及びそのシリーズ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業機械、輸送機械等に用いられる減速機とギヤドモータ及びそのシリーズに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータ等の電動機から出力される動力を減速したり、その回転方向を変更する装置として、直交軸タイプの減速機や平行軸タイプの減速機が知られている。この場合、モータの動力の回転方向の変更等が必要な場合には直交軸タイプの減速機、減速のみが必要の場合には平行軸タイプの減速機がそれぞれモータと組み合わされて所定のギヤドモータを構成するのが一般的である。
【0003】
又、回転方向の変換と減速との双方が求められる場合には、直交変換機構と、平行軸減速機構の双方を1つのケーシングに収容した減速機とモータとを組合わせてギヤドモータを構成することもある。
【0004】
なお、減速機の減速手段等としては、歯車伝動機構、摩擦伝動機構等が考えられるが、装置の小型化や低コスト化が可能な歯車伝動機構が用いられることが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の減速機を用いてギヤドモータを構成する場合には、モータに対し、単独の減速機が組合わされる構成とされていたため、モータの大きさや種類、あるいは用途等に合わせて極めて多種多様な減速機を用意しなければならなかった。
【0006】
そのため、減速機メーカー等では、在庫コストの増加や開発コストの増大という問題が生じる一方、減速機のユーザーにとっても、コスト高になる、あるいは、僅かな使用態様の変更の度に新規にギヤドモータを購入しなければならないという問題があった。
【0007】
又、減速機の歯車配置の都合上、その入力軸及び出力軸の位置がある程度制約されてしまうため、減速機の取付け位置(あるいは方向)が制限され、必ずしもユーザーニーズに適した(使い勝手のよい)減速機が提供されているとは言えなかった。
【0008】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであって、減速機とモータの組合せ・選択を容易化し、又、使用用途に柔軟に対応した合理的な使用が可能なギヤドモータ用の減速機、ギヤドモータ及びそのシリーズを提供することをその課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、モータと減速機とを有するギヤドモータを形成するために用いられるギヤドモータ用の減速機において、前記モータの側から入力される動力の回転方向を直交方向に変換する直交変換機構を有し、且つ、該直交変換機構を単独の中間ケーシングに収めた中間直交ギヤヘッドと、前記ギヤドモータが形成された際に、その最終出力軸となる出力軸を含む平行軸減速機構を有し、且つ、該平行軸減速機構を単独の後段ケーシングに収めた状態で前記中間直交ギヤヘッドの後段側に直結可能とされた後段平行ギヤヘッドとを備え、且つ、前記後段平行ギヤヘッドが、前記中間ギヤヘッドを省略して前記モータに直接取りつけ可能な構成とされたことにより、上記課題を解決したものである。
【0010】
即ち、直交変換機構を有する中間直交ギヤヘッドと、平行軸減速機構を有する後段平行ギヤヘッドとを連結可能とすることにより、モータの側から入力される動力の回転方向を直交方向に変換すると共に、回転の減速を実現したものであるが、それぞれのギヤヘッドは単独のケーシングからなるため、中間直交ギヤヘッド単体でも直交変換を行なう減速機として、又、後段平行ギヤヘッド単体でも平行軸減速を行なう減速機としてそれぞれ使用することができる。
更に、中間直交ギヤヘッドのみならず、後段平行ギヤヘッドも同じモータと直接連結可能であるため、モータ+中間直交ギヤヘッドのみのギヤドモータ、モータ+後段平行ギヤヘッドのみのギヤドモータとしても、それぞれ簡単に組み合わせて使用できるようになる。
【0011】
本発明のバリエーションとしては例えば以下のような態様が考えられる。
【0012】
前記後段平行ギヤヘッドを、前記中間直交ギヤヘッドの出力軸を中心として、該出力軸の円周方向に回転して取付けできるように構成した場合には、後段平行ギヤヘッドの出力軸の位置を中間直交ギヤヘッドの出力軸を中心として360度自由な位置に変更することができるようになり、使用用途に応じた取付けが可能になると共に、取付け位置の変更にも容易に対応できるようになる。
【0013】
更に、前記中間直交ギヤヘッドを、該中間直交ギヤヘッドの入力軸線回りに回転する中間第1歯車と、該中間第1歯車と直交・噛合する中間第2歯車とを備える構造とし、前記中間第1歯車又は前記中間第2歯車の少なくとも一部を、中間ケーシングにそれぞれ当接させるようにすれば、中間ケーシングを、中間第1歯車及び中間第2歯車のそれぞれの中心軸線方向の移動を規制する位置決め手段として機能させることもできるようになる。
【0014】
又、中間第1歯車及び中間第2歯車をプラスチックや焼結含油等の自己潤滑性のある素材で製作すれば、潤滑油が不要となる。
【0015】
前記中間直交ギヤヘッドに設けた中間第1歯車に、該中間第1歯車の軸心に沿ってモータの出力軸を挿入するための穴を設け、該穴の内側に前記モータの出力軸と該中間第1歯車を連結するためのヘリカル雌スプラインを形成すれば、モータの出力軸を中間第1歯車に設けた穴にねじ込むだけで容易に連結が可能であると共に、モータの出力軸の回転により、出力軸をねじ込む(締める)方向にスラスト力がかかるため、モータの出力軸が穴から抜けるのを防止することができる。
【0016】
又、前記後段平行ギヤヘッドの出力軸として被駆動軸を挿入するための中空部を有するホローシャフトを用いれば、被駆動軸との連結部材が不要なため、動力伝達部材の削減を図ることができると共に、被駆動軸をホローシャフト内部に挿入可能であり、コンベア等の被駆動装置に組み込んだ場合でも、装置全体の小型化、省スペース化を実現することができる。
【0017】
前記中間直交ギヤヘッドに、前記直交変換機構の出力回転を伝達する中間平行軸減速機構を備え、中間直交ギヤヘッドの入出力軸線を含む中間ケーシングの断面の形状をL字形にすれば、中間直交ギヤヘッド単体で直交変換及び減速が可能になると共に、L字形の両辺で規定される空間内に被動軸等の装置の一部を収めることができ、省スペース化を図ることができる。
【0018】
前記中間直交ギヤヘッドの中間ケーシングにおけるL字形の両辺で規定される空間に、前記後段平行軸ギヤヘッドの後段ケーシングの本体が収まるように、中間直交ギヤヘッドと後段平行ギヤヘッドを連結すれば、減速機全体が出っ張りのない直方体形状となるため、設置が容易となる。
【0019】
又、これらの減速機とモータを結合して一体化することにより、上述の効果を有するギヤドモータとすることも可能である。
【0020】
その他にも、ギヤドモータを構成する減速機の中間直交ギヤヘッドを、モータの出力軸を中心として、該出力軸の円周方向に回転して取付可能とすれば、中間直交ギヤヘッドの出力軸の向きが可変となる。従って、中間直交ギヤヘッドに後段平行ギヤヘッドを取付けてギヤドモータを構成した場合には、後段平行ギヤヘッドの出力軸の向きも中間直交ギヤヘッドを介して可変となるため、ギヤドモータの使用用途に応じた取付けが可能である。
【0021】
又、ギヤドモータの中間直交ギヤヘッドと後段平行ギヤヘッドの取合い寸法を、中間直交ギヤヘッドとモータの取合い寸法と同一とすれば、後段平行ギヤヘッドを中間直交ギヤヘッドを介することなく、モータに直接取付けることができるようになるため、平行減速機能を有する平行軸ギヤドモータを容易に構成可能となる。
【0022】
しかも、モータの出力軸と、中間直交ギヤヘッドの出力軸に同一モジュールのヘリカルスプラインを形成する構造にすれば、モータの出力軸と中間直交ギヤヘッドの入力部及び中間直交ギヤヘッドの出力軸と後段平行ギヤヘッドの入力部の連結形状が同じとなるため、後段平行ギヤヘッドの入力部とモータの出力軸との連結が容易となる。
【0023】
このようなギヤドモータは、モータと減速機の中間直交ギヤヘッド及び後段平行ギヤヘッドのうち少なくとも1種を、交換可能に複数種類用意し、シリーズ化したときに、更に大きなメリットが得られる。
【0024】
本ギヤドモータをシリーズ化すると、モータ、中間直交ギヤヘッド、後段平行ギヤヘッドを相互に共用化しながら、必要な部分のみを交換すればよいようになるため、納期の短縮、在庫の減少等を実現することができると共に、開発コストの低減により減速機の低価格化を図ることができる。
【0025】
又、モータと後段平行ギヤヘッドのみ、若しくはモータと中間直交ギヤヘッドのみで、ギヤドモータを構成可能としたギヤドモータのシリーズとしても、ユーザーニーズに応じた種々の平行軸ギヤドモータ及び直交軸ギヤドモータをそれぞれ提供可能となる。
【0026】
又、後段平行ギヤヘッドの出力軸の後段ケーシングに対する軸心位置が、相互に異なる後段平行ギヤヘッドを、複数種類用意したギヤドモータのシリーズとすれば、後段平行ギヤヘッドの出力軸の軸心位置を種々のタイプから選択が可能となり、使用用途に応じたギヤドモータの提供が可能となる。
【0027】
更に、中間直交ギヤヘッドの直交変換機構の構成として、ベベル歯車、ウォーム歯車、ハイポイド歯車のうち少なくとも2つの種類を選択可能としたギヤドモータのシリーズとすれば、コストや使用用途により歯車構造が選択可能となり、ユーザーニーズに幅広く対応することができるようになる。
【0028】
なお、モータの出力軸と中間直交ギヤヘッドの直交変換機構との間に、更に前段平行軸減速機構を介在可能としたギヤドモータのシリーズとし、減速機構を更に多段の構成にしてもよい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の例を図面に基づいて説明する。
【0030】
図1は、本発明に係るギヤドモータ用の減速機を適用したギヤドモータ500の断面図である。ギヤドモータ500は、中間直交ギヤヘッド100と後段平行ギヤヘッド200とからなる減速機300と、モータ400とを備えている。
【0031】
モータ400と中間直交ギヤヘッド100の取付面F1において、中間直交ギヤヘッド100は、モータ400に対し、モータ400の出力軸(以下、単にモータ軸と称す)402を中心として、該モータ軸402の円周方向R1に90°ずつ回転して取付可能である。なお、モータ400と中間直交ギヤヘッド100は図示せぬボルトにより連結されている。
【0032】
又、中間直交ギヤヘッド100と後段平行ギヤヘッド200の取付面F2においても、後段平行ギヤヘッド200は、中間直交ギヤヘッド100に対し、中間直交ギヤヘッド100の出力軸(以下、単に中間出力軸と称す)108を中心として、該中間出力軸108の円周方向R2に90°ずつ回転して取付可能である。なお、中間直交ギヤヘッド100と後段平行ギヤヘッド200は図示せぬボルトにより連結されている。
【0033】
中間直交ギヤヘッド100の入出力軸線L1、L2を含む中間ケーシング102の断面の形状はL字形となっており、後段平行ギヤヘッド200の後段ケーシング204は、中間ケーシング102におけるL字形の両辺102aと102bで規定される空間に大部分が収まっている。
【0034】
更に、取付面F1におけるモータ400及び中間直交ギヤヘッド100の各々の取り合い寸法と、取付面F2における中間直交ギヤヘッド100及び後段平行ギヤヘッド200の各々の取り合い寸法がそれぞれ同一とされている。具体的には、中間直交ギヤヘッド100とモータ400の角寸法は略同一で、図示せぬ取付ボルト孔の位置はそれぞれ同位置(取付面F1の頂点付近における正方形の頂点相当位置)に形成されている。又、中間直交ギヤヘッド100と後段平行ギヤヘッド200の図示せぬ取付ボルト孔の位置も、それぞれ同位置(取付面F2の頂点付近における正方形の頂点相当位置)に形成されている。即ち、モータ400と後段平行ギヤヘッド200は相互に係合可能な取り合い寸法を有し、後段平行ギヤヘッド200は、直接、モータ400に連結が可能である。
【0035】
前記中間直交ギヤヘッド100は、モータ400から入力される動力の回転方向を直交する方向に変換する直交変換機構104と、該直交変換機構104の出力回転を減速する中間平行軸減速機構106を有し、且つ、これらの機構104、106を単独の中間ケーシング102に収めている。
【0036】
前記直交変換機構104は、ベベル歯車よりなる、中間第1歯車110及び中間第2歯車112を備えている。
【0037】
該中間第1歯車110は、軸受130と131によって回転自在に支持され、中間直交ギヤヘッド100の入力軸線L1をその軸心として回転する。
【0038】
又、中間第2歯車112は、軸受132と133によって回転自在に支持されると共に、自身の一端側112aで前記中間第1歯車110と直交・噛合し、他端側112bで前記中間直交ギヤヘッド100の中間ケーシング102に片持状態で採り付けられている。
【0039】
これら中間第1歯車110及び中間第2歯車112の一端側の先端部110a、112aは、それぞれ中間ケーシング102に当接している。
【0040】
更に、中間第1歯車110には、その軸心L1に沿ってモータ軸402を挿入するための穴110bが設けられており、該穴110bの内側にはモータ軸402と中間第1歯車110を連結するためのヘリカル雌スプラインが形成されている。
【0041】
なお、中間第1歯車110と中間第2歯車112は、自己潤滑性のあるプラスチック製である。
【0042】
一方、中間直交ギヤヘッド100内の中間平行軸減速機構106は、軸線L2を軸心として回転する中間出力軸108と、中間第3歯車114とを備えている。
【0043】
中間出力軸108は、軸受134、135によって回転自在に支持され、中間出力軸108の軸心L2は、直交変換機構104の中間第1歯車110の軸心L1とは平面視で直交した関係にあると共に、中間第2歯車112の軸心L3とは平面視で平行した関係にある。
【0044】
又、中間出力軸108には、モータ軸402と同一モジュールのヘリカルスプラインが形成されている。
【0045】
前記中間第3歯車114は、その外周において直交変換機構104の中間第2歯車112と噛合すると共に、中間出力軸108に取付けられ、該中間出力軸108と同一の軸心L2を中心として回転する。
【0046】
図2は、図1中の後段平行ギヤヘッド200のII−II線に沿う断面図、図3は図2中のIII−III線に沿う断面図を示したものである。
【0047】
後段平行ギヤヘッド200は、ギヤドモータ500が形成された際に、その最終出力軸となる出力軸(以下、単に最終出力軸と称す)202を含む平行軸減速機構206を有し、且つ、該平行軸減速機構206を単独の後段ケーシング204に収めている。なお、図3に示すように、後段ケーシング204の断面形状は正方形となっている。
【0048】
最終出力軸202は、軸受230、231によって回転自在に支持され、軸線L4を軸心として回転する。該軸心L4は、中間出力軸108の軸線L2とは平面視で平行した関係にある。
【0049】
又、後段平行ギヤヘッド200内の平行軸減速機構206は、最終出力軸202と、第1軸206と、第2軸208とを備えている。
【0050】
第1軸206は、その両端において、軸受232、233により回転自在に支持され、該第1軸206には、その軸心L5を中心として回転する大径の後段第1歯車210と、より小径の後段第2歯車212とが設けられている。
【0051】
又、第2軸208は、紙面奥側に図中L6相当位置をその軸心して、第1軸206と平行に配置されている。この第2軸208には、前記後段第2歯車212と噛合し、該後段第2歯車212より大径の後段第3歯車214と、該後段第3歯車214より小径の後段第4歯車216とが設けられている。なお、第2軸208は、その両端において、図示しない軸受により回転自在に支持されている。
【0052】
前記後段平行ギヤヘッド200の最終出力軸202には、前記後段第4歯車216と噛合する後段第5歯車218が設けられている。
【0053】
前記中間出力軸108は、その先端部が直接歯切りされており、後段平行ギヤヘッド200の後段ケーシング204内に挿入され、第1軸206に設けられた後段第1歯車210と噛合し、平行軸減速機構206の初段ギヤセットを構成している。
【0054】
本発明の実施形態に係るギヤドモータ500は、モータ軸402が中間直交ギヤヘッド100内の直交変換機構104の中間第1歯車110に設けられた穴110bに挿入・連結され、又、中間直交ギヤヘッド100の中間出力軸108が後段平行ギヤヘッド200の後段ケーシング204内に挿入され、後段第1歯車210と噛合することにより構成されている。
【0055】
次に、ギヤドモータ500の作用について説明する。
【0056】
モータ400に通電すると、モータ軸402と連結した中間第1歯車110がその軸心L1を中心として回転する。
【0057】
そして、中間第1歯車110の回転により、該中間第1歯車110と直交・噛合する中間第2歯車112が軸線L1と直交する方向L3を軸心として回転する。その結果、モータ軸402より入力された動力の回転方向が90°転換される。
【0058】
又、中間第2歯車112の回転により、該中間第2歯車112と噛合する中間第3歯車114及び該中間第3歯車114が取付けられた中間出力軸108は、軸線L3と平行関係にあるL2を軸心として回転する。そして、中間第2歯車112から伝達された回転が減速され、中間出力軸108に出力される。
【0059】
更に、中間出力軸108がその軸心L2を中心として回転すると、該中間出力軸の先端部と噛合した後段第1歯車210と、該後段第1歯車210と同じ第1軸206に設けられた後段第2歯車212が、第1軸206の軸心L5を中心として回転する。このとき、中間出力軸108の回転が、該中間出力軸108と後段第1歯車210の歯数の比だけ減速され、後段第2歯車212に伝達される。
【0060】
その後、後段第2歯車212の回転と同時に、該後段第2歯車212と噛合する後段第3歯車214と、該後段第3歯車214と同じ第2軸208に設けられた後段第4歯車216が第2軸208の軸心L6を中心として回転し、後段第2歯車212から伝達された回転が更に減速される。
【0061】
最終的に、後段第4歯車216の回転により、該後段第4歯車216と噛合する後段第5歯車218が回転すると共に、最終出力軸202が回転し、動力が出力される。
【0062】
中間直交ギヤヘッド100は、図4の模式図に示すように、モータ400に対し、モータ軸402を中心として、該モータ軸402の円周方向R1に90°ずつ回転して取付可能であると共に、後段平行ギヤヘッド200も、中間直交ギヤヘッド100に対し、中間出力軸108を中心として、該中間出力軸108の円周方向R2に90°ずつ回転して取付可能であるため、ギヤドモータ500の最終出力軸202の向きが16通りに変更可能であり、ギヤドモータの使用用途に応じた取付けが可能で、その変更も容易である。
【0063】
又、モータ400と中間直交ギヤヘッド100の取付面F1における取り合いと、中間直交ギヤヘッド100と後段平行ギヤヘッド200の取付面F2における取り合いを同一としたため、後段平行ギヤヘッド200は、中間直交ギヤヘッド100を介すことなく、モータ400に直接取付けが可能で、平行減速機能を有する平行軸ギヤドモータを容易に構成可能である。
【0064】
しかも、これを具体的に実現するために、中間出力軸108と、モータ軸402に同一モジュールのヘリカルスプラインを形成すると共に、第1歯車110には、その軸心L1に沿って、モータ軸402のヘリカルスプラインと等速外接噛合が可能な雌スプラインを形成するようにしている。
【0065】
即ち、中間出力軸108と、モータ軸402とに同一モジュールのヘリカルスプラインが形成されていることから、後段平行ギヤヘッド200の後段第1歯車210は、中間出力軸108のみならず、モータ軸402とも直接噛合できる。
【0066】
又、このように、モータ軸402にヘリカルスプラインが形成されていても、中間第1歯車110に、その軸心L1に沿ってモータ軸402のヘリカルスプラインと等速外接噛合可能な雌スプラインを形成することにより、該モータ軸402に中間第1歯車110を冠せるようにしてねじ込むだけで、両者402、110を一体化できる。
【0067】
この結果、取り合いの互換性と相俟って、モータ400と中間直交ギヤヘッド100の連結、及びモータ400と後段平行ギヤヘッド200の連結のいずれも容易に、且つ、支障なく実現できる。なお、モータ軸402と中間第1歯車110との連結に当たっては、モータ軸402の回転により、中間第1歯車110がモータ軸402によりねじ込まれる(締められる)方向に荷重がかかるようにしておけば、モータ軸402と中間第1歯車110との連結が緩むことはない。
【0068】
中間直交ギヤヘッド100は、直交変換機構104と中間平行軸減速機構106を有し、単独の中間ケーシング102からなるため、中間直交ギヤヘッド100単体でも直交変換及び減速を行なう減速機として使用することができる。
【0069】
同様に、後段平行ギヤヘッド200も、平行軸減速機構206を有し、単独の後段ケーシング204からなるため、後段平行ギヤヘッド200単体でも平行軸減速を行なう減速機として使用することができる。
【0070】
又、中間直交ギヤヘッド100の入出力軸線L1、L2を含む中間ケーシング102の断面形状をL字形とし、該L字形の両辺102aと102bで規定される空間に、後段平行ギヤヘッド200の後段ケーシング204の本体(一体の突起等を除いた主要部分)の大部分が収納可能であるため、装置全体が出っ張りの少ない直方体形状となり、設置が容易である。
【0071】
更に、中間直交ギヤヘッド100を単体で使用した場合には、L字形の両辺102aと102bで規定される前記空間内に被動側装置の一部(例えばプーリやスプロケット、歯車等)を収めることができ、省スペース化を図ることもできる。
【0072】
又、中間直交ギヤヘッド100の直交変換機構104に設けられた中間第2歯車112は、自身の一端側112aで中間第1歯車110と直交・噛合し、他端側112bで中間直交ギヤヘッド100の中間ケーシング102に片持状態で取付けられているため、中間第1歯車110から加わるスラスト力を中間ケーシング102で受け止めることができる。
【0073】
更に、中間第1歯車110及び中間第2歯車112をベベル歯車にしたことにより、中間直交ギヤヘッド100の小型化、高効率化、低コスト化を図ることができ、その上、該中間第1歯車110及び中間第2歯車112を自己潤滑性のあるプラスチック製としているため、潤滑油が不要である。
【0074】
中間第1歯車110及び中間第2歯車112の一端側の先端部110a、112aは、中間ケーシング102にそれぞれ当接しているため、中間ケーシング102は、中間第1歯車110及び中間第2歯車112のそれぞれの中心軸線方向L1、L3の移動を規制する位置決め手段としても機能している。
【0075】
なお、上記実施形態において、中間直交ギヤヘッド100の直交変換機構104に設けられた中間第1歯車110及び中間第2歯車112はベベル歯車としたが、本発明は、これに限定されるものではなく、ウォーム歯車、ハイポイド歯車等でもよい。むしろ、後述するように、用途に応じ、これらを選択可能としておく方が望ましい。
【0076】
又、これらの中間第1歯車110及び中間第2歯車112は、プラスチックで製作されたものではなくてもよい。従って、例えば、焼結含油等の自己潤滑性のある素材で製作されたものでもよい。更には、必ずしも自己潤滑性のある素材でなくてもよい。
【0077】
なお、上記実施形態においては、中間第1歯車110及び中間第2歯車112を、それぞれ軸受130〜133によって回転自在に支持する構造としたが、図5に示すように、ピン150、152を中間ケーシング102に圧入し、該ピン150、152により中間第1歯車110及び中間第2歯車112を回転可能にする構造としてもよい。又、中間第1歯車110及び中間第2歯車112からなる直交変換機構104を両持状態で支持する構造としてもよい。
【0078】
上記実施形態においては、最終出力軸202を中実軸としたが、図6に示すように、最終出力軸として被駆動軸を挿入するための中空部250aを有するホローシャフト250を用いれば、相手機械との連結部材が不要なため、動力伝達部材の削減を図ることができると共に、被動軸を中空部250a内部に挿入可能であり、コンベア等の被駆動装置に組み込んだ場合でも、装置全体の小型化、省スペース化を実現することができる。
【0079】
又、前記中空部250aの軸線方向L4の一方側(図6中の下側)を有底とした場合には、ホローシャフト250の一端側についてはケーシング252内に収めることができる。この場合は、ケーシング252外と遮断された状態でホローシャフト250を支持可能となるため、中空部250aを貫通孔として形成した場合に比べ、装置内部の潤滑油が外部に漏れ難く、更に、オイルシール256をホローシャフト250の片側に設置すればよいため、ホローシャフト250に加わる負荷が少なく、動力の損失防止を図ることができると共に、部品点数の削減によるコストの低減をも実現することができる。
【0080】
又、前記中間直交ギヤヘッド100内の中間平行軸減速機構106では、中間第2歯車112と中間第3歯車114で減速機構を構成したが、本発明はこれに限定されず、必ずしも減速機能を持たせる必要はない。又、歯車機構ではなく、チェーン、ベルト等の無端伝動機構であってもよい。無端伝動機構により中間平行軸減速機構を構成した場合には、中間第2歯車112の軸心L3と中間出力軸108の軸心L2の距離をほぼ任意に調整することができる。又、ベルトを用いた場合には、騒音を低減することができると共に、ベルトの滑りを積極的に利用してトルクリミッタ的な機能を持たせることもできる。
【0081】
次に、上述の中間直交ギヤヘッド100、後段平行ギヤヘッド200、モータ400の組合せによって構成されるギヤドモータのシリーズについて説明する。
【0082】
図7は、モータ400、中間直交ギヤヘッド100及び後段平行ギヤヘッド200の組合せ例を模式的に示したものであり、モータ400、中間直交ギヤヘッド100及び後段平行ギヤヘッド200のうち少なくとも1種を、交換可能に複数種類用意したギヤドモータのシリーズ例である。
【0083】
図7中の(A)は、1種類のモータ400及び中間直交ギヤヘッド100に対して、複数種類の後段平行ギヤヘッド200a、200b、200c、…を用意したギヤドモータのシリーズである。
【0084】
このようなシリーズを提供することにより、ユーザーは、1種類のモータ400及び中間直交ギヤヘッド100を用意した上で、使用用途に応じた後段平行ギヤヘッド200の選択が可能である。
【0085】
図7中の(B)は、1種類のモータ400及び後段平行ギヤヘッド200に対して、複数種類の中間直交ギヤヘッド100a、100b、100c、…を用意したギヤドモータのシリーズであり、図7中の(C)は、1種類の中間直交ギヤヘッド100及び後段平行ギヤヘッド200に対して、複数種類のモータ400a、400b、400c、…を用意したギヤドモータのシリーズである。
【0086】
このようなシリーズによっても、ユーザーは、複数種類の中間直交ギヤヘッド100a、100b、100c、…又は複数種類のモータ400a、400b、400c、…から使用用途に応じた装置を選択することができる。
【0087】
又、このようなシリーズ化によって、減速機メーカー等は、装置を共用化できるため、納期の短縮、在庫の減少等を実現することができると共に、開発コストの低減により、減速機の低価格化を図ることができる。
【0088】
なお、図7中の(1)〜(3)は、ギヤドモータの構成例である。
【0089】
即ち、モータ400、中間直交ギヤヘッド100、後段平行ギヤヘッド200を連結・一体化することにより、モータ400の動力を直交変換して出力する図7中の(1)に示す直交軸タイプのギヤドモータを構成することができる。
【0090】
又、モータ400と中間直交ギヤヘッド100のみでもギヤドモータが構成可能であるため、モータ400と中間直交ギヤヘッド100を連結・一体化することにより、モータ400の動力を直交変換して出力する図7中の(2)に示す直交軸タイプのギヤドモータを提供することができる。
【0091】
更に、上述のとおり、モータ400と中間直交ギヤヘッド100の取付面F1における取り合いと、中間直交ギヤヘッド100と後段平行ギヤヘッド200の取付面F2における取り合いを同一としたため、後段平行ギヤヘッド200は、中間直交ギヤヘッド100を介すことなく、モータ400に直接取付けることができ、モータ400と後段平行ギヤヘッド200のみでもギヤドモータが構成可能である。従って、モータ400の回転を減速して平行に出力する図7中の(3)に示す平行軸タイプのギヤドモータも提供が可能である。
【0092】
図8は、後段平行ギヤヘッド200の最終出力軸202の後段ケーシング204に対する軸心位置が相互に異なる後段平行ギヤヘッド200を複数用意したギヤドモータのシリーズ例を示している。ユーザーは最終出力軸202の軸心位置を種々のタイプから選択可能で、使用用途に応じたギヤドモータを構成することができる。
【0093】
又、図9は、中間直交ギヤヘッド100の直交変換機構104の構成として、ベベル歯車、ウォーム歯車、ハイポイド歯車のうち、少なくとも2つ(この例では、ベベル歯車とハイポイド歯車)を選択可能としたギヤドモータのシリーズ例であり、ユーザーは、コストや使用用途により歯車構造が選択可能で、ユーザーニーズに幅広く対応することができる。
【0094】
なお、図10のように、モータ400の出力軸402と、中間直交ギヤヘッド100の直交変換機構104との間に、更に、前段平行軸減速機構600を介在可能としたギヤドモータのシリーズとしてもよい。
【0095】
更に、上述の減速機及びモータの選択・組合せは、ギヤドモータの特定の具体的なシリーズに属する全ての機種が対応するものでなくてもよい。即ち、当該特定のシリーズに属する一部の機種において、減速機及びモータの選択・組合せが(あるいは組合せの可能性が)本発明に係る構成となっていれば足りる。
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば、減速機とモータの組合せ・選択を容易化し、又、使用用途に柔軟に対応した合理的な使用が可能なギヤドモータ用の減速機、ギヤドモータ及びそのシリーズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のギヤドモータの側断面図
【図2】図1における後段平行ギヤヘッドのII−II線に沿う断面図
【図3】図2におけるIII−III線に沿う断面図
【図4】本発明の実施形態のギヤドモータの組み合わせ例を示した模式図
【図5】本発明の第2実施形態のギヤドモータの側断面図
【図6】出力軸にホローシャフトを採用した後段平行ギヤヘッドの側断面図
【図7】本発明の実施形態のギヤドモータのシリーズの模式図
【図8】最終出力軸の軸心位置を複数用意したギヤドモータのシリーズの模式図
【図9】中間直交ギヤヘッドの直交変換機構を複数用意したギヤドモータのシリーズの模式図
【図10】前段平行軸減速機構を介在可能としたギヤドモータのシリーズの模式図
【符号の説明】
100…中間直交ギヤヘッド
102…中間ケーシング
104…直交変換機構
106…中間平行軸減速機構
108…中間出力軸
110…中間第1歯車
112…中間第2歯車
114…中間第3歯車
200…後段平行ギヤヘッド
202…最終出力軸
204…後段ケーシング
206…第1軸
208…第2軸
210…後段第1歯車
212…後段第2歯車
214…後段第3歯車
216…後段第4歯車
218…後段第5歯車
300…減速機
400…モータ
402…モータ軸
500…ギヤドモータ
600…前段平行軸減速機構

Claims (18)

  1. モータと減速機とを有するギヤドモータを形成するために用いられるギヤドモータ用の減速機において、
    前記モータの側から入力される動力の回転方向を直交方向に変換する直交変換機構を有し、且つ、該直交変換機構を単独の中間ケーシングに収めた中間直交ギヤヘッドと、
    前記ギヤドモータが形成された際に、その最終出力軸となる出力軸を含む平行軸減速機構を有し、且つ、該平行軸減速機構を単独の後段ケーシングに収めた状態で前記中間直交ギヤヘッドの後段側に直結可能とされた後段平行ギヤヘッドと、を備え、且つ、
    前記後段平行ギヤヘッドが、前記中間ギヤヘッドを省略して前記モータに直接取りつけ可能な構成とされた
    ことを特徴とするギヤドモータ用の減速機。
  2. 請求項1において、
    前記後段平行ギヤヘッドを、前記中間直交ギヤヘッドの出力軸を中心として、該出力軸の円周方向に回転して取付可能とした
    ことを特徴とするギヤドモータ用の減速機。
  3. 請求項1又は2において、
    前記中間直交ギヤヘッドが、
    該中間直交ギヤヘッドの入力軸線回りに回転する中間第1歯車と、
    該中間第1歯車と直交・噛合する中間第2歯車とを備え、
    前記中間第1歯車又は前記中間第2歯車の少なくとも一部が、前記中間ケーシングにそれぞれ当接された
    ことを特徴とするギヤドモータ用の減速機。
  4. 請求項3において、
    前記中間第1歯車及び中間第2歯車が、自己潤滑性のある素材で製作されている
    ことを特徴とするギヤドモータ用の減速機。
  5. 請求項1において、
    前記中間直交ギヤヘッドが、該中間直交ギヤヘッドの入力軸線回りに回転する中間第1歯車を備え、
    該中間第1歯車に、該中間第1歯車の軸心に沿って前記モータの出力軸を挿入するための穴を設け、該穴の内側に前記モータの出力軸と該中間第1歯車を連結するためのヘリカル雌スプラインを形成した
    ことを特徴とするギヤドモータ用の減速機。
  6. 請求項1乃至5のいずれかにおいて、
    前記後段平行ギヤヘッドの出力軸として被駆動軸を挿入するための中空部を有するホローシャフトを用いた
    ことを特徴とするギヤドモータ用の減速機。
  7. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、
    前記中間直交ギヤヘッドが、前記直交変換機構の出力回転を伝達する中間平行軸減速機構を備え、
    前記中間直交ギヤヘッドの入出力軸線を含む中間ケーシングの断面の形状がL字形になっている
    ことを特徴とするギヤドモータ用の減速機。
  8. 請求項7において、
    前記中間直交ギヤヘッドの前記中間ケーシングにおけるL字形の両辺で規定される空間に、前記後段平行ギヤヘッドの後段ケーシングの本体が収まるように、該中間直交ギヤヘッドと後段平行ギヤヘッドが連結されている
    ことを特徴とするギヤドモータ用の減速機。
  9. モータと減速機とを有するギヤドモータにおいて、
    前記減速機として、請求項1乃至8のいずれかに記載の減速機を使用すると共に、該減速機と前記モータを結合して一体化した
    ことを特徴とするギヤドモータ。
  10. 請求項9において、
    前記減速機の中間直交ギヤヘッドを、前記モータの出力軸を中心として、該出力軸の円周方向に回転して取付可能とした
    ことを特徴とするギヤドモータ。
  11. 請求項9又は10において、
    前記中間直交ギヤヘッドと前記後段平行ギヤヘッドの取合い寸法が、前記中間直交ギヤヘッドと前記モータの取合い寸法と同一とされた
    ことを特徴とするギヤドモータ。
  12. 請求項11において、
    前記モータの出力軸と前記中間直交ギヤヘッドの出力軸に同一モジュールのヘリカルスプラインを形成した
    ことを特徴とするギヤドモータ。
  13. 請求項9乃至12のいずれかに記載のギヤドモータに関して、
    前記モータ、前記減速機の中間直交ギヤヘッド及び後段平行ギヤヘッドのうち少なくとも1種を、交換可能に複数種類用意した
    ことを特徴とするギヤドモータのシリーズ。
  14. 請求項13において、
    前記モータと、前記後段平行ギヤヘッドのみでもギヤドモータを構成可能とした
    ことを特徴とするギヤドモータのシリーズ。
  15. 請求項13において、
    前記モータと、前記中間直交ギヤヘッドのみでもギヤドモータを構成可能とした
    ことを特徴とするギヤドモータのシリーズ。
  16. 請求項13乃至15のいずれかにおいて、
    前記後段平行ギヤヘッドの出力軸の後段ケーシングに対する軸心位置が、相互に異なる後段平行ギヤヘッドを、複数種類用意した
    ことを特徴とするギヤドモータのシリーズ。
  17. 請求項13、15乃至16のいずれかにおいて、
    前記中間直交ギヤヘッドの直交変換機構の構成として、ベベル歯車、ウォーム歯車、ハイポイド歯車のうち少なくとも2つの種類を選択可能とした
    ことを特徴とするギヤドモータのシリーズ。
  18. 請求項13乃至17のいずれかにおいて、
    前記モータの出力軸と前記中間直交ギヤヘッドの前記直交変換機構との間に、更に前段平行軸減速機構を介在可能とした
    ことを特徴とするギヤドモータのシリーズ。
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