JP3885463B2 - 方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、変圧器その他の電気機器の鉄心等に用いられる方向性けい素鋼板の製造方法に関し、製造工程中に塗布する焼鈍分離剤を改良することにより、コイルのつぶれ、座屈等による歩留りの低下を防ぐ方法を提案しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
方向性けい素鋼を製造するには、鋼スラブを熱間圧延後に冷間圧延を施し、次いで脱炭焼鈍を施した後、二次再結晶のために最終仕上焼鈍を行うのが一般的である。この最終仕上焼鈍中に二次再結晶が起こり、圧延方向に磁化容易軸の揃った粗大な結晶粒が生成して、優れた磁気特性を有する鋼板が得られる。この最終仕上焼鈍は、鋼板をコイル状に巻いた状態で高温かつ長時間かけて行われるために、鋼板の焼付きの防止を目的として最終仕上焼鈍に先立って鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布する。
【0003】
このような焼鈍分離剤の塗布段階は通常、焼鈍分離剤を水に懸濁させて攪拌することによりスラリー化し、このスラリーをロールコーター等により鋼板表面に塗布し、乾燥炉で乾燥させた後にコイルに巻き取るという工程をとる。このとき、焼鈍分離剤のすべりによりコイルが座屈したり、コイルにテレスコープと呼ばれる竹の子状の巻きずれが起こる場合があった。また、巻き取り後は、コイル状のままで高温長時間の仕上焼鈍を行うところ、この仕上焼鈍に伴って焼鈍分離剤が焼結し、また、焼鈍分離剤と鋼板表面の酸化膜とが反応して被膜を形成することにより焼鈍分離剤の体積が減少することから、コイルの巻き張力が緩くなり、コイルがつぶれてしまう問題が起こる場合があった。これらの座屈、テレスコープ、つぶれが発生すると、クロップロスの増大、ひいては製品歩留まりの大幅な低下を招く。そこで、これらの問題を解決するために種々の対策が講じられている。
【0004】
例えば、焼鈍分離剤の塗布量を変化させて耳伸び、座屈を防止する方法に関して、特開昭55−110721号公報、特開昭50−89719 号公報及び特開昭63−84670 号公報には、コイル板幅方向における塗布量を変化させる技術が提案されている。また、コイル巻き取り張力を変化させる方法に関して、特公平3 −33766 号公報及び特開昭63−140035号公報には、コイル長手方向における張力値を変化させる技術が提案されている。更に、特開平11−246913号公報には,内巻部、中巻部及び外巻部でそれぞれ、巻き張力と焼鈍分離剤塗布量とを特定値に制御する方法が提案されている。しかしながら、上述した塗布量を変化させる方法では、テレスコープが発生し易くなるとともに、塗布量の少ない部分で磁性劣化する問題が発生していた。また、巻き張力を変化させるという方法は、巻き張力の低い個所での焼鈍分離剤のすべりを誘発して、コイルが座屈することがあった。更に、内巻部の張力を高くし過ぎるとバックリングと呼ばれる、内巻の数ターンが円周と逆方向に折れ曲がるという問題が発生することがあった。これらの点から、塗布量と巻き張力とを調節するだけの方法では改善に限界があり、上記の問題が十分に解決されたとはいえなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、磁気特性に悪影響を与えずに座屈やつぶれ、テレスコープやバックリングなどの発生を防止し、ひいてはクロップロスを低減して歩留りを向上させることができる方向性けい素鋼板の製造方法を提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、Si:1.5〜7.0mass%を含有する方向性けい素鋼素材を加熱後、熱間圧延し、1回若しくは中間焼鈍を含む複数回の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げた後、一次再結晶焼鈍を施し、その後、水でスラリー化した焼鈍分離剤を塗布し、乾燥させてから最終仕上焼鈍を行う一連の工程よりなる方向性けい素鋼板の製造方法において、
塗布する焼鈍分離剤の40%以上がMgOであって、該MgOの、スラリー化前の粉体特性として安息角が0.61rad(35°)以上1.17rad(67°)以下、かさ高さが0.0027m3/kg(2.7ml/g)以上0.0073m3/kg(7.3ml/g)以下、タッピング係数が0.47以上0.68以下であり、スラリー化後に粒径40μm以上が質量比で5%以下であるものを選択し、焼鈍分離剤塗布後のコイルの巻き張力を49MPa(5kgf/mm2)以上147MPa(15kgf/mm2)以下にすることを特徴とする方向性けい素鋼板の製造方法。
この発明において、MgOは、常温から1473K までの線収縮率が23%以下であることが、一層有利に適合する。
【0007】
【発明の実施の形態】
発明者らは、コイルのつぶれなどのトラブルをなくす条件を見出すべく種々の検討を行った結果、焼鈍分離剤の主剤の物理特性とコイルの巻き張力とを適正化することにより、これらのトラブルの発生頻度がほとんど0 %になることを新規に発見した。以下にこの知見を得るに至った実験について述べる。
【0008】
C :0.04〜0.05mass%(以下、単に「%」で示す。) 、Si:3.3 〜3.4 %、Al:0.021 〜0.027 %、N:0.007 〜0.009 %、Mn:0.06〜0.075 %、Se:0.018〜0.020 %、Sb:0.02〜0.03%及びCu:0.08〜0.10%を含み、残部は実質的にFeよりなるけい素鋼スラブを1623K で18000s加熱後、熱間圧延して2.2mm の板厚にしたのち、1173K 、60s 間での熱延板焼鈍を施してから、タンデム圧延機により393Kで0.23mm厚に冷間圧延し、最終板厚に仕上げた。これを脱炭焼鈍後、表1 のNo.1 、3 、6 、7 、9 の粉体特性を持つ種々のマグネシアにチタニアを5 %添加した焼鈍分離剤を塗布量15g/m2、水和温度293K、水和時間24000sで水和して塗布し、乾燥させた。
【0009】
【表1】
【0010】
表1 で、かさの測定には、JIS −K5101 の方法を用いた。安息角は同様の方法で水平面に粉体を堆積させたときの水平面と堆積した粉体とのなす角を測定した。また、線収縮率は、粉体を980MPa (100kgf/mm2) で圧粉成型後、N2雰囲気で0.0083K/s (30 ℃/h) の昇温速度で昇温し、1473K に到達後は炉冷して、この熱処理前後のサイズの変化率を求めたものである。
【0011】
また、タッピング係数とはここでは、JIS −K5101 法に規定される容器を用いて、かさ高さを測定し(この値をV0とする)、径が同じサイズの枠をはめて、粉体を堆積させ、落下高さ0.018mで100 回タッピングし、その後枠を外して容器外縁で粉体を擦り切り、再びかさを測定したときのかさ(Vfとする)の、最初のかさからの減少量を最初のかさ高さで割った値(V0−Vf)/V0とした。
【0012】
更に、40μm の粒径を持つ粉体の含有率は、粉体0.02kgを一旦水に入れて攪拌してスラリー化した後、40μm の目開きを持つ篩に投入し、水道水で篩を洗いながら該スラリーを通過させ、篩を乾燥し、篩過しなかった残分の質量比を計測したものである。
【0013】
焼鈍分離剤の塗布、乾燥後は、テンションリールで39.2MPa (4kgf/mm2)と78.4MPa (8kgf/mm2)の巻き張力で巻き取った。次いで、コイルのまま最終仕上焼鈍を施した。テンションリール引き抜き後及び最終仕上焼鈍後のコイルの形状不良を目視観察で判定した結果についてそれぞれ表2 に示す。なお、この表中、焼鈍後の形状不良は、焼鈍前の形状不良と比べ、より激しくなったものについて焼鈍後に発生したものとしてカウントした。
【0014】
【表2】
【0015】
この表2から明らかなように、粉体No.9を用いて巻き張力を78.4MPa (8kgf/mm2)とすることにより、コイルの形状不良発生率は、どの項目も0 %となった。これに対して、安息角が低いNo.1及びかさ高さが低いNo.3では、最終仕上焼鈍前のコイル形状不良が頻発した。また、タッピング係数が高いNo.6では、逆に仕上焼鈍後の耳伸び、座屈、バックリング等が発生した。また、粉体No.9を用いた場合であっても、巻き張力が低い条件では、つぶれ、テレスコープ、耳座屈等が激しく発生した。
【0016】
このような結果が得られた原因については必ずしも明らかではないが、発明者らは、以下のように考える。
仕上焼鈍時のコイルの形状不良を改善するための最も一般的な方法は、巻き張力を調節することである。ここに、巻き張力が弱過ぎると、鋼板が滑ることにより、テレスコープが起こり易くなり、逆に強過ぎると耳伸びが起こり易くなる上に、張力によりコイル内周方向への圧力が高まって鋼板が降伏し、バックリングやつぶれが起こり易くなってしまう。したがって、ある程度は巻き張力を弱くしておいて、焼鈍分離剤の摩擦係数を高めてすべりを抑えれば、コイル形状は改善されると考えられる。焼鈍分離剤の摩擦係数を増大させるには、粉体同士の接着力を高めればよく、このために焼鈍分離剤の主剤となる粉体の安息角、かさ高さを高めることが重要である。とはいえ、粉体同士の接着力のみを高めたとしても、流動性が高い場合には、コイルに巻き取った後に、リールからコイルを抜き出すときや搬送するときに振動により粒子が再配列して面圧力を弱める働きをし、仕上焼鈍後のハンドリング時にはやはり滑って、コイル形状不良を引き起こす。したがって、所期した目的を十分に達成するには、巻き張力の調整、粉体の接着力の向上とともに、粉体の流動性を低下させることが肝要である。そこで、この発明では、タッピング係数を適正化している。すなわち、安息角とかさ高さを高めたままでタッピング係数をこの発明の範囲のレベルまで低めるということは、粉体同士の接着力を高めたままで、粒子間の流動を起こし難くすることに対応する。更に、このように粉体の同士の接着力が高まっていても、粗粒粉があると、これが鋼板間での摩擦係数を下げる働きがあるため、粗粒分も低下させる必要がある。これらの特性を全て満たすことにより、接着力が高いままで焼鈍分離剤を塗布してコイルに巻き取ったときのすべりが少なくなってテレスコープ等が起こり難くなり、かつ流動性が低いために粒子の再配列が起こり難く、仕上焼鈍後の緩みも少なくなって焼鈍後のバックリングや座屈が少なくなるものと考えられる。
【0017】
なお、仕上焼鈍中に焼鈍分離剤は焼結したり、被膜の生成反応により消費されて、上記の特性を満足するにもかかわらず緩みが生じることがある。したがって、焼鈍分離剤の線収縮率を低めることは、この発明で所期した効果を得るために望ましい。
【0018】
つぎに、この発明をより詳細に説明する。
この発明の素材である含けい素鋼は、方向性けい素鋼用素材であれば、特に鋼種を問わないが、代表的な成分組成範囲としては、次のとおりである。
まず、C は、出鋼段階でC 量を低下させて脱炭焼鈍を行わない場合と、ある程度のC 量を確保して圧延中の組織の改善を図り、その後の脱炭焼鈍によりC 量を低下させる場合とがある。前者ではC の悪影響を避けるためには0.01%以下とし、後者では組織改善の好適範囲は0.01%以上0.10%以下である。
つぎに、Siは、1.5 〜7 %である。1.5 %未満、7 %以上とも、鉄損の低減効果が弱まる。
【0019】
C 、Siの他に、インヒビター構成成分を添加する。インヒビターとしてはAlN、MnS 、MnSe等がよく知られているが、これらのいずれを用いてもよく、また、これらの二以上を複合して用いてもよい。インヒビターにMnS 及び/又はMnSeを用いる場合は、Mn:0.03〜0.5 %と、S とSeの合計量:0.01〜0.03%にする。AlN をインヒビターに用いる場合は、Al:0.005 〜0.04%、N :30〜120ppmにする。いずれもこれらの範囲よりも低い量ではインヒビターとして効果が働かず、高い量では二次再結晶が不安定になる。
【0020】
また、これらの主インヒビターのほかに、補助インヒビターとして、B 、Cu、Sn、Cr、Sb、Ge、Mo、Te、Bi、P 、V 等の1 種又は2 種以上を用いることができる。インヒビターとしての働きに有効な濃度としては、補助インヒビターの合計量で、0.01%以上0.2 %以下である。これらの各インヒビターは、単独使用、複数使用いずれも可能である。
【0021】
これらの素材を公知の方法で熱間圧延を行った後、1 回若しくは中間焼鈍を挟む複数回の冷間圧延を行って、最終板厚にする。また、必要に応じて熱延板を冷間圧延前に焼鈍することも可能である。冷間圧延の後、一次再結晶焼鈍を行い、焼鈍分離剤を塗布した後に最終仕上焼鈍を行う。
【0022】
この発明で提案するコイル形状の改善法は、この焼鈍分離剤の塗布から最終仕上焼鈍までの過程にポイントがあり、このポイントに改良を加えてコイルの形状の劣化を防止している。
【0023】
まず、焼鈍分離剤としては、主剤すなわち、焼鈍分離剤全体の40%以上を構成する粉体の安息角を0.61rad (35 °) 以上1.17rad (67 °) 以下、かさ高さ0.0027m3/kg (2.7ml/g) 以上0.0073m3/kg (7.3ml/g) 以下、タッピング係数を0.47以上0.68以下とし、スラリー化後に粒径40μm 以上を質量比で5 %以下とし、また、焼鈍分離剤塗布後のコイルの巻き張力を49MPa (5kgf/mm2)以上147MPa (15kgf/mm2)以下とする。安息角が低過ぎると、粉体同士の接着力が弱くなり、テレスコープなどの形状不良が生じ易くなる。逆に高過ぎると、充填性が低まり、仕上焼鈍後の座屈等が起こり易くなり、また、粉体をホッパーに投入したり、ホッパーから切り出しをしたりする等のハンドリング時にブリッジを形成して粉が詰まったり、スラリーにするときに水と空気との置換が遅くなって、壁に粉が付着する等の不具合が発生する。そのため、この発明では安息角を0.61rad (35 °) 以上1.17rad (67 °) 以下の範囲とする。かさ高さも同様に低過ぎると粉体同士の接着力が低くなり、高過ぎるとブリッジ形成や壁面付着等の問題が生じる。また、かさ高さが高すぎると、粒子の充填性が低くなって仕上焼鈍後のコイルの形状不良も起こし易くなる。そのため、この発明では、かさ高さ0.0027m3/kg (2.7ml/g) 以上0.0073m3/kg (7.3ml/g) 以下の範囲とする。タッピング係数は、高過ぎると粉の流動性が強く、ハンドリング時に粉の再配列が行われる結果、仕上焼鈍後のコイルの形状不良を招き、粒子の接着力が弱く、鋼板と分離剤との接着力がなくなって、粉体が鋼板からはがれ易くなる。そのため、この発明では、タッピング係数を0.47以上0.68以下とする。また、40μm 以上の粒径を持つ粉体の含有率は5 質量%以下とする。40μm 以上の粒径を持つ粒子の割合が、焼鈍分離剤主剤全体の5 質量%よりも多い場合には、かかる粗粒子が鋼板間での摩擦係数を下げる働きがある。
【0024】
このような特性を有する焼鈍分離剤を得るための方法としては、例えば、粉体の粒度分布を適正化して粉体同士に働くファンデルワールス力を調節すること、マグネシアの粉砕時間を適正化して、粉体の帯電量を調節すること、粉体の微量水分雰囲気の暴露時間を適正化して裏面の水分吸着層を調整すること、等がある。
【0025】
焼鈍分離剤を塗布後にコイルを巻き取るときの巻き張力は、49MPa (5kgf/mm2)以上147MPa (15kgf/mm2)以下である。49MPa より小さ過ぎるとテレスコープやつぶれが発生し易くなり、逆に147MPaより大き過ぎてもつぶれが発生し易くなる。なお、巻き張力は特開昭55−110721号公報や、特開昭50−89719 号公報等のように板の長手方向に沿ってテーパーをつけてもよい。この際には、平均張力として5 〜15kgf/mm2 となるようにする。
【0026】
線収縮率は、23%以下とするのが望ましい。23%を超えると、仕上焼鈍中に焼鈍分離剤は焼結されたり、被膜の反応により消費されて、上記の特性を満足するにもかかわらず緩みが生じることがある。
【0027】
その他に、塗布量を適正化することもコイル形状不良の抑制にはよく知られていて、この発明では、従来と同様に鋼板の両面当たり5 〜20g/m2で良好な結果が得られる。
【0028】
焼鈍分離剤の塗布後は、最終仕上焼鈍を行う。最終仕上焼鈍は公知の方法で良い。これら一連の処理の後、張力被膜コートを施し、平坦化焼鈍をして製品に仕上げる。かかる処理工程によって、コイルの形状不良がなく、高い歩留まりで方向性けい素鋼を得ることができる。
【0029】
【実施例】
( 実施例1)
C :0.05〜0.07%、Si:3.2 〜3.5 %、Mn:0.06〜0.075 %、Se:0.018 〜0.021 %、Sb:0.02〜0.03%を含み、残部は実質的にFeよりなるけい素鋼スラブを1623K で1800s 加熱後、熱間圧延して2.2mm の板厚にしたのち、1173K 、60s での熱延板焼鈍を施してから、1273K 、60s の中間焼鈍を挟み、タンデム圧延機により393Kで0.23mm厚に冷間圧延し、最終板厚に仕上げた。これを脱炭焼鈍後、表1 の2 、4 、6 、10,11-17の粉体持性を持つ種々のマグネシアに硫酸ストロンチウムを1.5 %添加した焼鈍分離剤を塗布量13g/m2、水和温度293K、水和時間2400sec で水和して塗布し、乾燥させた。これをテンションリールで147MPaの巻き張力で巻き取った。
【0030】
その後、コイルのまま、最終仕上焼鈍を施した。このときのコイルの形状不良を目視で判定した結果について表3 に示す。この発明の要件を満足する、No.10,11-17 のマグネシアを用いれば、コイルの形状不良は小さくなっている。
【0031】
【表3】
【0032】
( 実施例2)
C :0.05〜0.07%、Si:3.2 〜3.5 %、Mn:0.06〜0.075 %、Se:0.018 〜0.021 %、Sb:0.02〜0.03%を含み、残部は実質的にFeよりなるけい素鋼を1623Kで1800s 加熱後、熱間圧延して2.2mm の板厚にしたのち、1173K 、60s での熱延板焼鈍を施してから、1273K 、60s の中間焼鈍を挟み、タンデム圧延機により393Kで0.23mm厚に冷間圧延し、最終板厚に仕上げた。これを脱炭焼鈍後、表1 のNo.8、9 の粉体特性を持つマグネシアに硫酸ストロンチウムを1.5 %添加した焼鈍分離剤を塗布量13g/m2、水和温度293K、水和時間2400sec で水和して塗布し、乾燥させた。これをテンションリールで147MPaの巻き張力で巻き取った。
【0033】
その後、コイルのまま、最終仕上焼鈍を施した。このときのコイルの形状不良を目視で判定した結果について表4 に示す。どちらの粉体を用いてもほぼ良好な結果が得られているが、線収縮率を適正にすることにより、コイルの形状不良はすべて未発生となっている。
【0034】
【表4】
【0035】
【発明の効果】
この発明によれば、Si:1.5〜7.0mass%を含有する方向性けい素鋼素材を加熱後、熱間圧延し、1回若しくは中間焼鈍を含む複数回の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げた後、一次再結晶焼鈍を施し、その後、水でスラリー化した焼鈍分離剤を塗布し、乾燥させてから最終仕上焼鈍を行う一連の工程よりなる方向性けい素鋼板の製造方法において、塗布する焼鈍分離剤の40%以上がMgOであって、該MgOの、スラリー化前の粉体特性として安息角が0.61rad(35°)以上1.17rad(67°)以下、かさ高さが0.0027m3/kg(2.7ml/g)以上0.0073m3/kg(7.3ml/g)以下、タッピング係数が0.47以上0.68以下であり、スラリー化後に粒径40μm以上が質量比で5%以下であるものを選択し、焼鈍分離剤塗布後のコイルの巻き張力を49MPa(5kgf/mm2)以上147MPa(15kgf/mm2)以下にすること、さらに、MgOの常温から1473K までの線収縮率が23%以下とすることにより、コイルの形状不良発生が抑えられ、高い歩留まりで方向性けい素鋼板が製造できる。
Claims (2)
- Si:1.5〜7.0mass%を含有する方向性けい素鋼素材を加熱後、熱間圧延し、1回若しくは中間焼鈍を含む複数回の冷間圧延を施して最終板厚に仕上げた後、一次再結晶焼鈍を施し、その後、水でスラリー化した焼鈍分離剤を塗布し、乾燥させてから最終仕上焼鈍を行う一連の工程よりなる方向性けい素鋼板の製造方法において、
塗布する焼鈍分離剤の40%以上がMgOであって、該MgOの、スラリー化前の粉体特性として安息角が0.61rad(35°)以上1.17rad(67°)以下、かさ高さが0.0027m3/kg(2.7ml/g)以上0.0073m3/kg(7.3ml/g)以下、タッピング係数が0.47以上0.68以下であり、スラリー化後に粒径40μm以上が質量比で5%以下であるものを選択し、焼鈍分離剤塗布後のコイルの巻き張力を49MPa(5kgf/mm2)以上147MPa(15kgf/mm2)以下にすることを特徴とする方向性けい素鋼板の製造方法。 - MgOは、常温から1473Kまでの線収縮率が23%以下であることを特徴とする請求項1記載の方向性けい素鋼板の製造方法。
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